19 ミストブリッジの死闘 (前編)
今、俺達は霧のかかった谷の霧をとくために、この橋を渡るところだ。
俺達の前にはかなり大きな橋が展開されていたんだよ!いや…本当に大きな橋だよ?橋の前に書かれている表札がかなり古く、ミストヴィレッジと書かれていたから、里の名前はミストヴィレッジなんだろうけど、この表札の年号を見ると今から400年くらい前のものなんだが、本当に里残っているのか?
「…あの話って本当なのか?見る限りもう見捨てられた感のある橋なんだけど…」
「つべこべ言わずに行くわよデメトリオ?早く霧をどうにかしたいんでしょ?」
「まぁ、確かに霧をどうにかしたいけど…途中で橋が落ちてるとか無いよな…?」
「まぁ、多分大丈夫じゃ!このタイプの橋なら頑丈さは最強クラスじゃからな!多分3層造りじゃろうな」
「…なんでゾーネがそんなこと分かるんだ?」
「わしはドワーフじゃ!!一応建築知能は頭に叩き込んでおるからな!」
……だったら変な発明なんて作らずに、建物を造ったらいいんじゃないか!?
って少しは思ったんだけどさ…俺の宿屋に大砲をつけられていたことを思い出したんだ。あいつ、建築作業をさせたら絶対に家を兵器に変えたりする気がする…
結局は、変に何か言わないほうがいいってことだな?うん。
そして俺達はかなり重かった扉をあけ、橋に足を踏み入れた…なるほど、なるほどな?確かに頑丈そうだ…石造りだしな。
……俺は、少し身の回りの光景を見て不安に思っていた。
あんなにもたくさん立ち込めていた霧がすっかり晴れ、辺りは薄暗く松明の光だけが橋を照らしていた。
「メリィ…あんなにたくさんあった霧はどうしたんだろう?」
「さぁ…まあ進めばわかるでしょ」
「結構横幅が広い橋なんですねー…歩きやすくていいです!」
「むぅ…あのメアリーとかいう新人…いきなり私達空気ラグーンズよりも目立つってどういうことよ!!先輩として、モンスターラグーンの掟でも教えてやろうか…」
「正直、空気ラグーンズって何なんですか?でも、あの新入りは本当に…」
……後ろのほうから嫉妬のオーラが漂ってきている気がする…
しかも、下手すれば俺よりも数倍強い嫉妬オーラだ…これが、女の嫉妬の力か…
そして俺達が歩いていて、橋の真ん中に差し掛かったときだった。
「待てみんな…誰かいるぞ…」
ジャンヌがそう言ってみんなを止めた。
そうかな…?
俺には何も見えないけど…あ、あの黒い輪郭がそうか?
じっと目を凝らしていると、微妙に輪郭が見える…よくアレに気付いたなジャンヌ…俺だったら絶対に気がつかなかった。
「誰だ!?姿を見せろ!」
「馬鹿!!デメトリオ……まだ向こうは気付いていなかったのかも知れないのに…」
「あ…ご、ごめん…」
やってしまった…これは物凄い致命的なミスといったところか…
もしもこれでみんなに何を言われても、俺は何も言えないな…
「……あらぁ〜?このようなところに何の用ですかぁ〜?まぁ、どのような用事であったであろうとも、関係ないんですけど…」
「まったく…デメトリオが静かにしてないからだよー?馬鹿ね…」
はい…すいません…くそっ、ルタに言われるのってかなり悔しい…
もう少しこっちに来てくれると、何人いるのか分かるんだけどなぁ…
声の調子から判断すると、結構危険なやつだと思うんだ…
何事も無いといいけど…はっ…いけないいけない…こう思うと必ず戦闘になるからな…無心、無心っと…
「はは…やったぜみんなぁ〜…男だ!本当に久しぶりだ〜…くふっ…くははっ!!」
……デメトリオ、無心だ!!無心であれ!!
今、俺は凄く必死だ…無意味なフラグは回避したいんだ!しかも、若干墓場で味わったような嫌な感じがするんだ…
「そうね…早く味見したいわ〜…ふふっ…」
「あはっ、あはははははははっ!!」
……しかも、最低でも3人はいるだと!?やばい…やばいぞコレは…
そして、俺達は戦う構えをして少し後ろに下がった。
相手の姿が少し灯りに照らされて確認されたんだが…状況は俺が思っていたのよりはるかに悪い気がする…
俺、3人はいるって言ったけど…リーダー格っぽいのが3人いて、その後ろに物凄い数のデビルバグやベルゼブブがうごめいている…というか、こちらを見ている。
リーダー格の3人は…まず、本来ならかなり臆病で知られるナイトメア…夜の力なのだろうか…?なんだか自分に自信があるって雰囲気を出してる…
それとも、後ろにいる仲間達の量で安心感を覚えているのか?
次に、オーガ…肉弾戦が強そうなくせに、斧装備なんて半端じゃない!
最後に…凄くはっきりと見えるゴースト…しかも、表情がもうやばい…
はっきりと言わせてもらおう…逃げたいと…
でも、逃げれないんだろ!?わかってるんだよそのくらい!!
若干逆切れしてしまった俺…だめだ、切れてもいいことなんて無いぞ…
「ど、どうするんですか!?た、戦うのか?」
「……向こうはやる気だけどね?多分、逃げれないと思うわね…」
いつにも無く真剣な表情だなメリィ…それだけやばい相手って事なのか!?
……俺、戦いに参加せずにあの橋の端っこにある樽の山に隠れとこ…うん。
「さて、食料等を置いていってもらおうか!!あと、ついでに死体もね…」
…あぁ、そうか…あのデビルバグたちが群がっているのって多分死体…
他にもいろいろな人がここで死んだのかな…くそっ!!雑食だからって、そんなものまで食べるなよ!!腹壊すぞ!!
結構、内心ではいろんなことを考えながら俺は地味に樽のほうに移動していた。決めたぜ…この戦いが終わったら、死体をちゃんと供養しよっと…
そして、冥福を祈るとしよう…本来なら誰も死ななければいいんだけど…
「さぁ!私の背中に乗ってください!」
「あぁ!!借りるぜ…へへっ…」
「憑依憑依憑依ぃぃぃぃぃ!!くはっ、くはははははっ!!」
な…が、合体した!?まぁ、詳しく言うと、オーガがナイトメアの背中に乗り、ゴーストが二人に憑依したというべきなのかも知れないが…どれほど強くなったんだろう?
これから先は、冷静に戦況を見極めさせてもらうよ?だって…あんなところに戦いに行きたくなんて無いよ!!
そして、戦いが始まった…俺の目の前では物凄い数のデビルバグがこっちに向かってくるのが見えた。
戦い始めて早20分…ずっとばれなかった俺を褒めて欲しい。
今の状況は明らかにこちらが不利だ!俺は樽の積んであった場所で空き箱を見つけたんで、中に入って地味に状況を確認しているところだ。
向こうのボスクラスの3人は一切動かずに、大量のデビルバグやベルゼブブだけで俺達は押されている状況だ。
「くっ…固体の強さはぜんぜんだが…デビルバグの数が多い…はぁっ!!」
「ベルゼブブは数が少なめですけど…早いわね…」
「う〜む…この状況では発明品を作ることは出来んし…」
みんな困っているようだなぁ…ま、どれだけ困っていたとしても俺は絶対にこの空き箱から出ないけどな?
ふぅ…緊張のあまり少し汗をかいてきたな…っと、危ない危ない、前方をしっかりと見て、自分の身は自分で守らないと…
「きゃ〜っ!!う〜ん…」
それでも、ラグーンメンバーは普通よりは戦闘力が高いようだな、不利とはいえデビルバグを気絶させていってる。
だけど、まだ明らかに敵のほうが数が多い…
そうしていると、不意に…本当に不意に空き箱が持ち上げられた!
後ろには何と、男を見つけた魔物につき物の妖しい目つきのデビルバグが一体…や、やばい…見つかった!!
「汗のにおいがしたと思ったら…ラッキー」
「来るな!いや、こないでくれ!」
そう言いながら俺は物凄く乱雑に剣を振り回しまくった。
「きゃっ!?な、何…?えっ!?」
運よく俺の剣がデビルバグのおしりに当たり、一瞬でデビルバグの姿が小さくなる。まさか…数は多い代わりにかなり体力が少ないのか?
まぁ、そうだよな〜…気絶させていける速度も早いしなぁ…
さて…問題はここから目の前の幼女化したデビルバグの少女をどうするかだ。
今までの敵のほとんどは小さくなっても攻撃を仕掛けてきたしなぁ…
「む〜…小さくなったとしても、いいもん!えいえいえいえいっ!」
「痛い痛いっ!いや、本当に痛い!」
効果音的にはぽかぽかという音が似合う攻撃なんだが…その攻撃でも大ダメージを受けている俺…
自分で思うのもなんだけど…弱いな俺って…
「……くそ!つ、強いじゃないかよ…いいのか!?俺をこれ以上傷つけたらこの乾パンって名前のお菓子を捨てるぞ!」
「えぅぅっ…お、お菓子…じゅるぅ…」
…つ、釣れた!?まさか…お菓子で釣れるというのか!?
よし、こうなったら…やってやるぜ!
「ふっふっふ…嬢ちゃん、今すぐこの場所から自分の家に帰ってくれるのなら、この乾パンをあげちゃうんだけどなぁ…?」
「うん!帰る!だから…そのお菓子頂戴〜!!」
「はいっ!家でじっくり食べるんだよ?」
「は〜い!」
そして、俺の脅威は飛び去って行った…
この方法…使えるぜ!
俺はあることに気がついた…これで、俺も戦闘で役に立てる!
俺は空き箱に隠れながらそっと戦闘が行われているところに行った。
「む〜…あの子達しぶといなぁ…あれ?これって空き箱…かなぁ?ねぇねぇみんな!この中に食べ物あるかな?」
「あると思うよ!ちょっと持ち上げてみようよ!」
……まさか、戦っていたデビルバグの10分の8も来るなんて…これは凄い誤算だったけどまぁ、これで他のみんなは戦闘が楽になっただろう?
そして、空き箱が持ち上げられる…
「あぁ!!お、男の人だ!!しかも、死体じゃないよぉ!?」
「はぁっ、はぁっ…興奮が収まってなかったからちょうど良かったよ!」
「そういえば…しばらくご無沙汰だったしね〜…みんなで犯す?」
「おぉ〜!!えへへ!」
……ふっ、体力がそこまで無いことは分かってるんだ!行くぞ、久しぶりの固有技!【嫉妬ストリームアタック】だ!!
「うおおぉぉぉぉおぉぉぉ!!【嫉妬ストリームアタック】!!」
俺の目の前で俺の横切りの餌食になっているデビルバグたち…
次々と幼女がその場に増えていく状況だ。俺はあっという間にデビルバグたちを全員幼女に変えた。
「えぇ〜い!くらえぇ!!みんなでやったらいけるよ!」
「おぉ〜!!」
そしてまた…俺に降りかかってくるぽこぽこという効果音の攻撃…
本当にこの攻撃は痛いんだよ!?早めに追い払わないと…
俺は、早速お菓子を出す準備をした…俺がロリコンだったらこの状況では一切身動きをとらずなすがままになっていただろうが…
ロリコンじゃなくて良かったぜ…
「ぐふぅっ…はぁ、はぁ…い、いいのかいお嬢ちゃんたち…お、俺はお菓子を持ってるんだけどなぁ〜…?」
「はぅっ!?お、お菓子…」
「ほ、欲しいなぁ〜…」
「うん…じゅるぅ…」
「ここでちょっと話があるんだ。お菓子をあげるから家に戻ってくれないかい?」
「帰る帰る〜!!」
「私も私も〜!お菓子頂戴〜!!」
「はい!みんな…ちゃんと家に持って帰るんだよ?」
「は〜い!」
ふっふっふ……計画道理…
俺でも役に立てたじゃないか!!どうだ!
今回もどうせ役に立たないとか思ってたんだろ!
そう言っている間に、デビルバグたちは全員戦闘不能になった…
どうだ!これが俺の力…うおぉっ!?
いきなり何かにつかまれたと思うと、俺は橋の上空に連れて行かれた。
どうやら、この雰囲気から察するに…ベルゼブブにつかまったようだな…
俺は冷静に判断しているわけじゃないぞ?その証拠に…結構もがいてる。
「もぅ…おとなしくしてくれないと困るなぁ?さて…下の連中はほっといて楽しむとしますか?」
「賛成さんせーい!じゃあ…搾取タイムの始まりだね?」
そういったかと思うと、俺は空中で服を剥ぎ取られ始めた!
なぜ!?どうしてこうなってるんだ!?いやいや…まぁいい。
「って、良くねぇよ!!や、やめてくれ!!服はいいけど…ぱ、パンツをずらすのはいろいろと不味いって!!」
「ふっ…やっぱり空中でヤるのって安全だし、手間かからないからいいよね?」
そういいながら首筋をなめられたとき、俺は本当に自分に起こっている事の重大さに気付いた。
「や…やめっ…おねがいだから!!な…舐めるなぁっ!!お、おろして!」
ただいま、非常に背中を舐められております…と、そんなことはいいんだよ!
早くおろしてもらわないと本当にやばいよ…
「おろせっていってもなぁ…おろしたら死にますよ〜?」
うっ…し、死にたくは無いよなぁ…やっぱり…
でも、このままだとやばい…
「デメトリオ!!まだ無事?」
「め、メリィ!!おお…神よ!あなたはまだ俺を見捨てず…HELP!!」
そうだよ…メリィや他にもラグーンメンバーには羽が生えてて飛べるやつがいたじゃないか!さきほど、ようやくそのことに気がついた俺がそこにいた。
「さぁて…じゃあそろそろ…って、きゃっ!?」
メリィの蹴りが俺を捕まえていたベルゼブブを捕らえ、彼女はバランスを崩しながら落ちていく…そして俺も回りながら落ちて…待て!!
このままだと俺、死ぬじゃないかよ!!
「誰か助けてくれーー!!」
「…大丈夫?デメトリオ…いつも手間ばかりかけてくれちゃって…」
「でも、デビルバグの件は褒めてほしいんだけど…」
「絶対やだ…さて、行くわよ?」
……褒めてくれてもいいと思うんだ俺は…で、行くってどこに?
…なんだろう、フラグの予感だ…物凄いフラグの予感がするぜ…
掴んでくれたのはありがたいけど…なんだこの構えは!?
メリィは俺をまるで爆弾を投下するときのような持ち方で持っている…
「行って来い!!デメトリオーー!!」
「え…?うわあぁーーー!!」
俺は行って来いといわれた後、思いっ切りベルゼブブのほうに回転を加えられながら飛んでいった。
「な、何っ!?きゃぁっ!!」
回転しながらベルゼブブの彼女達をなぎ払っていく俺…
的確に言うと、運よく攻撃が当たっているだけで俺は何もしてないんだが…
でも、この行為って一方的にしか進めないから…俺って戻ってこられない!!
そんな馬鹿なことが…俺って使い捨てだったのか!?
「う〜ん…と、飛べないよぉ…」
幼女化したベルゼブブたちは自分の体重を小さくなった羽では支えきれないらしく、スローリーに下に落ちていく…そして、橋の上にぽてんと転がって気絶していく…
確かに…なんかしら敵の戦意を喪失させているのは分かるが…俺はどうなるんだ!?
「ケイト!コニー!デメトリオをはじき返して!!」
「「了解!!」」
……なっ!?は、はじき返せ!?ちょっと待ってくれ!そんなことしたら…
「ストップ!!や、やめ…」
「「【バットソバット】!!」
「ぐはぁーーーっ!!」
コニーとケイトの協力技であろう【バットソバット】は俺の横腹を攻撃し、俺を元いたルートに弾き飛ばしている!!
痛みが常に俺に訴えかけ、さらに物凄い回転力で俺はだんだん気持ち悪くなってきた。もう…勘弁して…
そして俺は戻りながらほとんどのベルゼブブをなぎ払い、残っている3匹はメリィたちが気絶させた。そして…目の前にあった小麦粉の小袋がたくさんあった木箱に叩きつけられた。
で、今刺さっていながらもがいてるところだ。
「しょうがないなぁ…えいっ!!」
「ぶはぁっ!!あ、ありがとうレベッカ…」
「あ、これって小麦粉じゃないの!もらっていこうっと!!」
…そんな事をしている場合ではないのでは?
そして、俺は自分のタオルで顔を拭くと、敵の残った3人のほうを見た。
「ふはっ…なるほど…だが、ザコを倒した位でいきがるんじゃねぇぞ?」
「はぁっ、はぁっ…そ、そぉですよ…まだ私達が…残ってますから!」
……確かに強そうだが…こっちも負けてないんだ!!
なんせ、こちらには凄い戦闘力を持っているレベッカとアイネがいるからな!
「さぁて…行くぜ!!」
「くっ…早いな…アイネ!!右から攻めろ!!」
戦いが始まった…なんという速さなんだ!?とてもじゃないが、俺は自分の目で敵を追えなかった。
「今だ!!」
「甘いですねぇ!こうやって鎌で動きを止めながら…」
「なっ!?しまった!」
「上にいる俺がこの斧で吹き飛ばす!!」
「させるかぁ!!【ヘルファイアヴォルケーノ】!!」
すげぇ…目の前の戦いの激しさに口を開けながら見ていることしか出来ない…
本音を言うと、声と攻撃したときの金属がこすれるような音と攻撃のエフェクトしか見えない。
そうしながら、のんびりと戦いの様子を見ていた俺に、ゾーネが話しかけてきた。
「デメトリオよ…このままでは戦いは中々終わらぬとは思わんか?」
「まぁ、互いに激戦しているからね…すぐには終わらないだろうけど…」
「わしの発明品を作動させたいのじゃが、少々火力が足りなくてなぁ…なにか火力を上げるために燃えやすい物をもってないのか?」
火力を上げるための物…?というか、ゾーネの発明品に全てをかけるのは少々危険な気がするんだけどなぁ…
そう思いながら鞄を探ってみると、カスタニアワインがまだまだ残っていたのを見つけた。
これなら大丈夫かな…?
「カスタニアワインならあったけど…これでいいの?」
「十分じゃ!では…少々待っておれよ…新、電磁檻マゼラ起動!!火力スタンバイ!」
……相変わらず、その機械をどこから出したのかを俺は聞かないからな!?
「ジャンヌ!アイネ!そやつらを少々押さえつけておくのじゃ!」
「え!?わ、分かった!!」
「了解…だけど…」
ん?微妙に敵の姿が確認できたな…でも、ゾーネ一体何を…?
「起動準備完了じゃ!!では…やるぞ!」
きゅいーんという機械音と共に、ゾーネの発明品が音を立てて動き始めた!
そして、明らかにやばそうな色の光線を敵のほうに打ち出した!
ジャンヌやアイネはそれをきれいにかわし、敵のほうはかわせなかったわけだが…俺だったら絶対に当たってたな…
そう思うと、なんだかやるせない。
「何をぼんやりしているのじゃデメトリオ!?この装置は5分しか敵の動きを拘束できないのじゃぞ!?急げ!」
「はっ…わ、わかった!!」
「うぐぅ…う、動けない…ま、待てよ!!そこで待っていてくれたら…死ぬほど気持ちいいことを経験させてあげてもいいんだぞ?」
「丁重に遠慮させてもらうよ!!じゃっ!!」
こうして俺達は一番初めの橋を突破した…あと二つ橋があるわけなんだが…何も起こらないといいけどなぁ…って、いけないいけない…敵が来ないように門に閂しないとな…
さぁて…次行くか〜
《〜おまけ〜》
「う〜ん…おかしいなぁ…道に迷ったのかなやっぱり…」
「お兄ちゃん!これ…誰かがこの橋を通った跡だよ?いってみようよ!」
「そうだな…お前がそういうんだったら…」
そういいながら、俺と弟は橋を渡ってみることにした。
思えば、この谷で迷ってから早2日…弟につらい思いをさせていたと思うと忍びないぜ…はやく町に着かないといけないな…うん。
「あれ…?うわっ!!お、お兄ちゃん、ま、魔物だよぉっ!!」
「な…に、逃げろ!!うわあぁっ!!」
気がつくと、俺は大勢の魔物の女の子達に押さえつけられていた。
やばい…まさか、こんなところで魔物と出くわすなんて…
駄目だ!!せめて弟だけでも逃がさないと…
「おい!!兄ちゃんの事はもういい!!お前だけでも逃げ…」
「あれぇ〜…今日は結構人間の男が来る日だね…さっきは変な光線で逃げられたけど…今度は絶対に逃がさないから!!」
「ああ!捕まえてさっきの男の分ももてあそんでやるぜ!!」
「くっ、に、逃げろーー!!せめてお前だけでも逃げ…」
「お…お兄ちゃん!!駄目だ!奥に続く門、向こう側から何か鍵がされてるよぉ!!う…うわぁーー!!」
そして、俺も弟もなぜか変に気が昂っている魔物に襲われてしまった…
どうして…門が閉まっていたんだ…
もしもあいていたら…弟だけなら助かったのに…うぅっ…
俺達の前にはかなり大きな橋が展開されていたんだよ!いや…本当に大きな橋だよ?橋の前に書かれている表札がかなり古く、ミストヴィレッジと書かれていたから、里の名前はミストヴィレッジなんだろうけど、この表札の年号を見ると今から400年くらい前のものなんだが、本当に里残っているのか?
「…あの話って本当なのか?見る限りもう見捨てられた感のある橋なんだけど…」
「つべこべ言わずに行くわよデメトリオ?早く霧をどうにかしたいんでしょ?」
「まぁ、確かに霧をどうにかしたいけど…途中で橋が落ちてるとか無いよな…?」
「まぁ、多分大丈夫じゃ!このタイプの橋なら頑丈さは最強クラスじゃからな!多分3層造りじゃろうな」
「…なんでゾーネがそんなこと分かるんだ?」
「わしはドワーフじゃ!!一応建築知能は頭に叩き込んでおるからな!」
……だったら変な発明なんて作らずに、建物を造ったらいいんじゃないか!?
って少しは思ったんだけどさ…俺の宿屋に大砲をつけられていたことを思い出したんだ。あいつ、建築作業をさせたら絶対に家を兵器に変えたりする気がする…
結局は、変に何か言わないほうがいいってことだな?うん。
そして俺達はかなり重かった扉をあけ、橋に足を踏み入れた…なるほど、なるほどな?確かに頑丈そうだ…石造りだしな。
……俺は、少し身の回りの光景を見て不安に思っていた。
あんなにもたくさん立ち込めていた霧がすっかり晴れ、辺りは薄暗く松明の光だけが橋を照らしていた。
「メリィ…あんなにたくさんあった霧はどうしたんだろう?」
「さぁ…まあ進めばわかるでしょ」
「結構横幅が広い橋なんですねー…歩きやすくていいです!」
「むぅ…あのメアリーとかいう新人…いきなり私達空気ラグーンズよりも目立つってどういうことよ!!先輩として、モンスターラグーンの掟でも教えてやろうか…」
「正直、空気ラグーンズって何なんですか?でも、あの新入りは本当に…」
……後ろのほうから嫉妬のオーラが漂ってきている気がする…
しかも、下手すれば俺よりも数倍強い嫉妬オーラだ…これが、女の嫉妬の力か…
そして俺達が歩いていて、橋の真ん中に差し掛かったときだった。
「待てみんな…誰かいるぞ…」
ジャンヌがそう言ってみんなを止めた。
そうかな…?
俺には何も見えないけど…あ、あの黒い輪郭がそうか?
じっと目を凝らしていると、微妙に輪郭が見える…よくアレに気付いたなジャンヌ…俺だったら絶対に気がつかなかった。
「誰だ!?姿を見せろ!」
「馬鹿!!デメトリオ……まだ向こうは気付いていなかったのかも知れないのに…」
「あ…ご、ごめん…」
やってしまった…これは物凄い致命的なミスといったところか…
もしもこれでみんなに何を言われても、俺は何も言えないな…
「……あらぁ〜?このようなところに何の用ですかぁ〜?まぁ、どのような用事であったであろうとも、関係ないんですけど…」
「まったく…デメトリオが静かにしてないからだよー?馬鹿ね…」
はい…すいません…くそっ、ルタに言われるのってかなり悔しい…
もう少しこっちに来てくれると、何人いるのか分かるんだけどなぁ…
声の調子から判断すると、結構危険なやつだと思うんだ…
何事も無いといいけど…はっ…いけないいけない…こう思うと必ず戦闘になるからな…無心、無心っと…
「はは…やったぜみんなぁ〜…男だ!本当に久しぶりだ〜…くふっ…くははっ!!」
……デメトリオ、無心だ!!無心であれ!!
今、俺は凄く必死だ…無意味なフラグは回避したいんだ!しかも、若干墓場で味わったような嫌な感じがするんだ…
「そうね…早く味見したいわ〜…ふふっ…」
「あはっ、あはははははははっ!!」
……しかも、最低でも3人はいるだと!?やばい…やばいぞコレは…
そして、俺達は戦う構えをして少し後ろに下がった。
相手の姿が少し灯りに照らされて確認されたんだが…状況は俺が思っていたのよりはるかに悪い気がする…
俺、3人はいるって言ったけど…リーダー格っぽいのが3人いて、その後ろに物凄い数のデビルバグやベルゼブブがうごめいている…というか、こちらを見ている。
リーダー格の3人は…まず、本来ならかなり臆病で知られるナイトメア…夜の力なのだろうか…?なんだか自分に自信があるって雰囲気を出してる…
それとも、後ろにいる仲間達の量で安心感を覚えているのか?
次に、オーガ…肉弾戦が強そうなくせに、斧装備なんて半端じゃない!
最後に…凄くはっきりと見えるゴースト…しかも、表情がもうやばい…
はっきりと言わせてもらおう…逃げたいと…
でも、逃げれないんだろ!?わかってるんだよそのくらい!!
若干逆切れしてしまった俺…だめだ、切れてもいいことなんて無いぞ…
「ど、どうするんですか!?た、戦うのか?」
「……向こうはやる気だけどね?多分、逃げれないと思うわね…」
いつにも無く真剣な表情だなメリィ…それだけやばい相手って事なのか!?
……俺、戦いに参加せずにあの橋の端っこにある樽の山に隠れとこ…うん。
「さて、食料等を置いていってもらおうか!!あと、ついでに死体もね…」
…あぁ、そうか…あのデビルバグたちが群がっているのって多分死体…
他にもいろいろな人がここで死んだのかな…くそっ!!雑食だからって、そんなものまで食べるなよ!!腹壊すぞ!!
結構、内心ではいろんなことを考えながら俺は地味に樽のほうに移動していた。決めたぜ…この戦いが終わったら、死体をちゃんと供養しよっと…
そして、冥福を祈るとしよう…本来なら誰も死ななければいいんだけど…
「さぁ!私の背中に乗ってください!」
「あぁ!!借りるぜ…へへっ…」
「憑依憑依憑依ぃぃぃぃぃ!!くはっ、くはははははっ!!」
な…が、合体した!?まぁ、詳しく言うと、オーガがナイトメアの背中に乗り、ゴーストが二人に憑依したというべきなのかも知れないが…どれほど強くなったんだろう?
これから先は、冷静に戦況を見極めさせてもらうよ?だって…あんなところに戦いに行きたくなんて無いよ!!
そして、戦いが始まった…俺の目の前では物凄い数のデビルバグがこっちに向かってくるのが見えた。
戦い始めて早20分…ずっとばれなかった俺を褒めて欲しい。
今の状況は明らかにこちらが不利だ!俺は樽の積んであった場所で空き箱を見つけたんで、中に入って地味に状況を確認しているところだ。
向こうのボスクラスの3人は一切動かずに、大量のデビルバグやベルゼブブだけで俺達は押されている状況だ。
「くっ…固体の強さはぜんぜんだが…デビルバグの数が多い…はぁっ!!」
「ベルゼブブは数が少なめですけど…早いわね…」
「う〜む…この状況では発明品を作ることは出来んし…」
みんな困っているようだなぁ…ま、どれだけ困っていたとしても俺は絶対にこの空き箱から出ないけどな?
ふぅ…緊張のあまり少し汗をかいてきたな…っと、危ない危ない、前方をしっかりと見て、自分の身は自分で守らないと…
「きゃ〜っ!!う〜ん…」
それでも、ラグーンメンバーは普通よりは戦闘力が高いようだな、不利とはいえデビルバグを気絶させていってる。
だけど、まだ明らかに敵のほうが数が多い…
そうしていると、不意に…本当に不意に空き箱が持ち上げられた!
後ろには何と、男を見つけた魔物につき物の妖しい目つきのデビルバグが一体…や、やばい…見つかった!!
「汗のにおいがしたと思ったら…ラッキー」
「来るな!いや、こないでくれ!」
そう言いながら俺は物凄く乱雑に剣を振り回しまくった。
「きゃっ!?な、何…?えっ!?」
運よく俺の剣がデビルバグのおしりに当たり、一瞬でデビルバグの姿が小さくなる。まさか…数は多い代わりにかなり体力が少ないのか?
まぁ、そうだよな〜…気絶させていける速度も早いしなぁ…
さて…問題はここから目の前の幼女化したデビルバグの少女をどうするかだ。
今までの敵のほとんどは小さくなっても攻撃を仕掛けてきたしなぁ…
「む〜…小さくなったとしても、いいもん!えいえいえいえいっ!」
「痛い痛いっ!いや、本当に痛い!」
効果音的にはぽかぽかという音が似合う攻撃なんだが…その攻撃でも大ダメージを受けている俺…
自分で思うのもなんだけど…弱いな俺って…
「……くそ!つ、強いじゃないかよ…いいのか!?俺をこれ以上傷つけたらこの乾パンって名前のお菓子を捨てるぞ!」
「えぅぅっ…お、お菓子…じゅるぅ…」
…つ、釣れた!?まさか…お菓子で釣れるというのか!?
よし、こうなったら…やってやるぜ!
「ふっふっふ…嬢ちゃん、今すぐこの場所から自分の家に帰ってくれるのなら、この乾パンをあげちゃうんだけどなぁ…?」
「うん!帰る!だから…そのお菓子頂戴〜!!」
「はいっ!家でじっくり食べるんだよ?」
「は〜い!」
そして、俺の脅威は飛び去って行った…
この方法…使えるぜ!
俺はあることに気がついた…これで、俺も戦闘で役に立てる!
俺は空き箱に隠れながらそっと戦闘が行われているところに行った。
「む〜…あの子達しぶといなぁ…あれ?これって空き箱…かなぁ?ねぇねぇみんな!この中に食べ物あるかな?」
「あると思うよ!ちょっと持ち上げてみようよ!」
……まさか、戦っていたデビルバグの10分の8も来るなんて…これは凄い誤算だったけどまぁ、これで他のみんなは戦闘が楽になっただろう?
そして、空き箱が持ち上げられる…
「あぁ!!お、男の人だ!!しかも、死体じゃないよぉ!?」
「はぁっ、はぁっ…興奮が収まってなかったからちょうど良かったよ!」
「そういえば…しばらくご無沙汰だったしね〜…みんなで犯す?」
「おぉ〜!!えへへ!」
……ふっ、体力がそこまで無いことは分かってるんだ!行くぞ、久しぶりの固有技!【嫉妬ストリームアタック】だ!!
「うおおぉぉぉぉおぉぉぉ!!【嫉妬ストリームアタック】!!」
俺の目の前で俺の横切りの餌食になっているデビルバグたち…
次々と幼女がその場に増えていく状況だ。俺はあっという間にデビルバグたちを全員幼女に変えた。
「えぇ〜い!くらえぇ!!みんなでやったらいけるよ!」
「おぉ〜!!」
そしてまた…俺に降りかかってくるぽこぽこという効果音の攻撃…
本当にこの攻撃は痛いんだよ!?早めに追い払わないと…
俺は、早速お菓子を出す準備をした…俺がロリコンだったらこの状況では一切身動きをとらずなすがままになっていただろうが…
ロリコンじゃなくて良かったぜ…
「ぐふぅっ…はぁ、はぁ…い、いいのかいお嬢ちゃんたち…お、俺はお菓子を持ってるんだけどなぁ〜…?」
「はぅっ!?お、お菓子…」
「ほ、欲しいなぁ〜…」
「うん…じゅるぅ…」
「ここでちょっと話があるんだ。お菓子をあげるから家に戻ってくれないかい?」
「帰る帰る〜!!」
「私も私も〜!お菓子頂戴〜!!」
「はい!みんな…ちゃんと家に持って帰るんだよ?」
「は〜い!」
ふっふっふ……計画道理…
俺でも役に立てたじゃないか!!どうだ!
今回もどうせ役に立たないとか思ってたんだろ!
そう言っている間に、デビルバグたちは全員戦闘不能になった…
どうだ!これが俺の力…うおぉっ!?
いきなり何かにつかまれたと思うと、俺は橋の上空に連れて行かれた。
どうやら、この雰囲気から察するに…ベルゼブブにつかまったようだな…
俺は冷静に判断しているわけじゃないぞ?その証拠に…結構もがいてる。
「もぅ…おとなしくしてくれないと困るなぁ?さて…下の連中はほっといて楽しむとしますか?」
「賛成さんせーい!じゃあ…搾取タイムの始まりだね?」
そういったかと思うと、俺は空中で服を剥ぎ取られ始めた!
なぜ!?どうしてこうなってるんだ!?いやいや…まぁいい。
「って、良くねぇよ!!や、やめてくれ!!服はいいけど…ぱ、パンツをずらすのはいろいろと不味いって!!」
「ふっ…やっぱり空中でヤるのって安全だし、手間かからないからいいよね?」
そういいながら首筋をなめられたとき、俺は本当に自分に起こっている事の重大さに気付いた。
「や…やめっ…おねがいだから!!な…舐めるなぁっ!!お、おろして!」
ただいま、非常に背中を舐められております…と、そんなことはいいんだよ!
早くおろしてもらわないと本当にやばいよ…
「おろせっていってもなぁ…おろしたら死にますよ〜?」
うっ…し、死にたくは無いよなぁ…やっぱり…
でも、このままだとやばい…
「デメトリオ!!まだ無事?」
「め、メリィ!!おお…神よ!あなたはまだ俺を見捨てず…HELP!!」
そうだよ…メリィや他にもラグーンメンバーには羽が生えてて飛べるやつがいたじゃないか!さきほど、ようやくそのことに気がついた俺がそこにいた。
「さぁて…じゃあそろそろ…って、きゃっ!?」
メリィの蹴りが俺を捕まえていたベルゼブブを捕らえ、彼女はバランスを崩しながら落ちていく…そして俺も回りながら落ちて…待て!!
このままだと俺、死ぬじゃないかよ!!
「誰か助けてくれーー!!」
「…大丈夫?デメトリオ…いつも手間ばかりかけてくれちゃって…」
「でも、デビルバグの件は褒めてほしいんだけど…」
「絶対やだ…さて、行くわよ?」
……褒めてくれてもいいと思うんだ俺は…で、行くってどこに?
…なんだろう、フラグの予感だ…物凄いフラグの予感がするぜ…
掴んでくれたのはありがたいけど…なんだこの構えは!?
メリィは俺をまるで爆弾を投下するときのような持ち方で持っている…
「行って来い!!デメトリオーー!!」
「え…?うわあぁーーー!!」
俺は行って来いといわれた後、思いっ切りベルゼブブのほうに回転を加えられながら飛んでいった。
「な、何っ!?きゃぁっ!!」
回転しながらベルゼブブの彼女達をなぎ払っていく俺…
的確に言うと、運よく攻撃が当たっているだけで俺は何もしてないんだが…
でも、この行為って一方的にしか進めないから…俺って戻ってこられない!!
そんな馬鹿なことが…俺って使い捨てだったのか!?
「う〜ん…と、飛べないよぉ…」
幼女化したベルゼブブたちは自分の体重を小さくなった羽では支えきれないらしく、スローリーに下に落ちていく…そして、橋の上にぽてんと転がって気絶していく…
確かに…なんかしら敵の戦意を喪失させているのは分かるが…俺はどうなるんだ!?
「ケイト!コニー!デメトリオをはじき返して!!」
「「了解!!」」
……なっ!?は、はじき返せ!?ちょっと待ってくれ!そんなことしたら…
「ストップ!!や、やめ…」
「「【バットソバット】!!」
「ぐはぁーーーっ!!」
コニーとケイトの協力技であろう【バットソバット】は俺の横腹を攻撃し、俺を元いたルートに弾き飛ばしている!!
痛みが常に俺に訴えかけ、さらに物凄い回転力で俺はだんだん気持ち悪くなってきた。もう…勘弁して…
そして俺は戻りながらほとんどのベルゼブブをなぎ払い、残っている3匹はメリィたちが気絶させた。そして…目の前にあった小麦粉の小袋がたくさんあった木箱に叩きつけられた。
で、今刺さっていながらもがいてるところだ。
「しょうがないなぁ…えいっ!!」
「ぶはぁっ!!あ、ありがとうレベッカ…」
「あ、これって小麦粉じゃないの!もらっていこうっと!!」
…そんな事をしている場合ではないのでは?
そして、俺は自分のタオルで顔を拭くと、敵の残った3人のほうを見た。
「ふはっ…なるほど…だが、ザコを倒した位でいきがるんじゃねぇぞ?」
「はぁっ、はぁっ…そ、そぉですよ…まだ私達が…残ってますから!」
……確かに強そうだが…こっちも負けてないんだ!!
なんせ、こちらには凄い戦闘力を持っているレベッカとアイネがいるからな!
「さぁて…行くぜ!!」
「くっ…早いな…アイネ!!右から攻めろ!!」
戦いが始まった…なんという速さなんだ!?とてもじゃないが、俺は自分の目で敵を追えなかった。
「今だ!!」
「甘いですねぇ!こうやって鎌で動きを止めながら…」
「なっ!?しまった!」
「上にいる俺がこの斧で吹き飛ばす!!」
「させるかぁ!!【ヘルファイアヴォルケーノ】!!」
すげぇ…目の前の戦いの激しさに口を開けながら見ていることしか出来ない…
本音を言うと、声と攻撃したときの金属がこすれるような音と攻撃のエフェクトしか見えない。
そうしながら、のんびりと戦いの様子を見ていた俺に、ゾーネが話しかけてきた。
「デメトリオよ…このままでは戦いは中々終わらぬとは思わんか?」
「まぁ、互いに激戦しているからね…すぐには終わらないだろうけど…」
「わしの発明品を作動させたいのじゃが、少々火力が足りなくてなぁ…なにか火力を上げるために燃えやすい物をもってないのか?」
火力を上げるための物…?というか、ゾーネの発明品に全てをかけるのは少々危険な気がするんだけどなぁ…
そう思いながら鞄を探ってみると、カスタニアワインがまだまだ残っていたのを見つけた。
これなら大丈夫かな…?
「カスタニアワインならあったけど…これでいいの?」
「十分じゃ!では…少々待っておれよ…新、電磁檻マゼラ起動!!火力スタンバイ!」
……相変わらず、その機械をどこから出したのかを俺は聞かないからな!?
「ジャンヌ!アイネ!そやつらを少々押さえつけておくのじゃ!」
「え!?わ、分かった!!」
「了解…だけど…」
ん?微妙に敵の姿が確認できたな…でも、ゾーネ一体何を…?
「起動準備完了じゃ!!では…やるぞ!」
きゅいーんという機械音と共に、ゾーネの発明品が音を立てて動き始めた!
そして、明らかにやばそうな色の光線を敵のほうに打ち出した!
ジャンヌやアイネはそれをきれいにかわし、敵のほうはかわせなかったわけだが…俺だったら絶対に当たってたな…
そう思うと、なんだかやるせない。
「何をぼんやりしているのじゃデメトリオ!?この装置は5分しか敵の動きを拘束できないのじゃぞ!?急げ!」
「はっ…わ、わかった!!」
「うぐぅ…う、動けない…ま、待てよ!!そこで待っていてくれたら…死ぬほど気持ちいいことを経験させてあげてもいいんだぞ?」
「丁重に遠慮させてもらうよ!!じゃっ!!」
こうして俺達は一番初めの橋を突破した…あと二つ橋があるわけなんだが…何も起こらないといいけどなぁ…って、いけないいけない…敵が来ないように門に閂しないとな…
さぁて…次行くか〜
《〜おまけ〜》
「う〜ん…おかしいなぁ…道に迷ったのかなやっぱり…」
「お兄ちゃん!これ…誰かがこの橋を通った跡だよ?いってみようよ!」
「そうだな…お前がそういうんだったら…」
そういいながら、俺と弟は橋を渡ってみることにした。
思えば、この谷で迷ってから早2日…弟につらい思いをさせていたと思うと忍びないぜ…はやく町に着かないといけないな…うん。
「あれ…?うわっ!!お、お兄ちゃん、ま、魔物だよぉっ!!」
「な…に、逃げろ!!うわあぁっ!!」
気がつくと、俺は大勢の魔物の女の子達に押さえつけられていた。
やばい…まさか、こんなところで魔物と出くわすなんて…
駄目だ!!せめて弟だけでも逃がさないと…
「おい!!兄ちゃんの事はもういい!!お前だけでも逃げ…」
「あれぇ〜…今日は結構人間の男が来る日だね…さっきは変な光線で逃げられたけど…今度は絶対に逃がさないから!!」
「ああ!捕まえてさっきの男の分ももてあそんでやるぜ!!」
「くっ、に、逃げろーー!!せめてお前だけでも逃げ…」
「お…お兄ちゃん!!駄目だ!奥に続く門、向こう側から何か鍵がされてるよぉ!!う…うわぁーー!!」
そして、俺も弟もなぜか変に気が昂っている魔物に襲われてしまった…
どうして…門が閉まっていたんだ…
もしもあいていたら…弟だけなら助かったのに…うぅっ…
12/02/19 21:41更新 / デメトリオン
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