chaptar 1-1 消えた人たち
そして、俺たちはあの懸賞が当たったという紙のとおり、当日…今現在いるホテルの正面にいるんだよ!!
す、すげぇ…まさか、本当にこんな豪邸に無償でいてもいいのか…!?って思わず思ってしまうほど、立派な外見だぜ…
しかし、大事なのは外側ではなく、内側であるわけで…どんな凄い建物だって入ってみないと分からないじゃないか!!
「デメさーーんっ!!早く入ろうよーー!!」
「あぁっ!!分かってるよ!!」
俺はそう返事をすると、大きなホテルに向かって歩き出したんだが、この建物、中々大きいし…あの紙は本当だったんだな…
洋風と和風の二つのホテル…もしくは民宿がセットになっている建物とは…しかも、建物の中から中に移動できるみたいだ
最近の宿屋情勢も…便利になったもんだなぁ…
こ、これは…俺の宿屋もこんな革新的なことを行わないと…駄目なのでは…
そんな事を思っていると、サリィが俺の手を引いて建物の中に移動し始めたんだ…
そ、そんなに引っ張らなくても、ちゃんと行くってば…
「いやぁ…あいつら、何時見てもうらやましい夫婦っぷりだよな…新婚みたいだぜ…そう思わないかセムちゃん?」
「………消えればいいのにな…あの鳥…」
「えっ…?今、なにか言ったかい?」
「いいえ?ヤマトさんも急がないと、花梨さん怒りますよ?」
「あっ…いけねぇ…早く行かないと…」
「………今回の旅行は…チャンスよね…?神様?ふふふっ…あはっ…」
ん…?セムちゃん、あんなところで1人、何笑っているんだ?あぁ…うれしいんだな?きっとそうだ…
いやぁ…セムちゃんのようなお金持ちの家のお嬢様でも、旅行はうれしいものなんだな…
これだったら俺も、連れてきて良かったって思うよ
それから、俺たちはホテルの中に移動したんだが…
このホテル…【従業員がいない】のか?さっきから見るのは俺たちと同じような旅行客ばかりだし…
…いや、まさかな…従業員がいないのなら、そもそもホテルとして成り立たないからな…
俺がそんな事を思っていると、いきなりアナウンスが流れ始めたんだよ…
やっぱり、従業員はいたじゃないか…なぁ?で…なんのアナウンスなんだ?
【本日は、当ホテルにお越しいただき、本当にありがとうございます…先ほどお越しになったお客様で全員となりますので、皆様は隣の部屋に移動してください】
ふぅん…到着して早くも何かあるんだな…さすがのサービス精神といったところだよなぁ…
これ、絶対に物凄いお金かかってるよ…いや、別にいいんだけどさ?
そう思って俺が隣の部屋に移動すると、そこは大きなロビーになっていたんだ
へぇ…中々、いい広さじゃないか…これだったら、ここにいる全員だったら楽に入るかな…余り人数はいないようだし…ね?
【皆様、今晩は各部屋でお休みになってくださいませ…各部屋に食事が用意されております、明日…スタッフがお客様たちを起こしに参りますので、今晩は申し訳ありませんが各テーブルの上にあるご自分の名前を書いたタグをとってご自分のお部屋へどうぞ】
えぇっ…?夜遅いって…俺たちは夕方にここについたんだから…って、あれ?
俺がそう思いながらロビーに吊ってある時計に目を通すと、時計は夜の8時を指していたんだ…
こんなに時間が経つのって早かったか…?いやいや、楽しい事が待っていると時間も早く過ぎたように感じる…あの現象に違いないよな…
じゃあ、俺たちも…って、へぇ…本当に各部屋の鍵がついたタグが机の上に並べられているな…
俺たちは…104号室とその近くだな…
そして、俺とサリィはタグのあった部屋に移動したんだが…って、おぉっ!?
す、凄い…物凄く豪華な内装と食事じゃないか!!こんなご馳走…滅多にフェルス興国の俺の宿屋内じゃ食べる事が出来ないぞ…!?
それに…こんなにふっかふかなベッド!!もう…物凄くテンションが上がるって奴だぜっ!!
「よぉっしっ…ひゃっほーー…」
ガッ…
「いぃっ!?うおぉぉぉぉっ…!?な、なんだ…?頭に物凄く響いてくるこの痛みはぁっ!?」
「デメさんっ!?大丈夫っ!?」
「あ…あぁ…」
まさか…一日目から頭を打つ事になるなんてなぁ…いや、別にいいさ…
次の日からいいことが待っているに違いないんだからなぁっ!!
俺はそう思うと、滅多に食べる事のできないごちそうをいただき、満足して眠りについたんだ…
ひゅうぅぅぅぅぅっ〜〜〜
ゴロゴロゴロッ!!
な、なんだぁっ!?いきなり物凄い音がしたんだが…!?
俺はそう思い、布団からのっそりと身体を起こしたんだ…外は物凄い雨のようだな…
って、なんで窓が開いているんだよ…ホテルの従業員が一時的に空気の入れ替えを行ってから閉めなかったのか?
俺はそう思いながら窓を閉め、またサリィと一緒に寝ようと…って、あれっ!?
さ、サリィがいないっ!?ど、どこに行ったんだ…!?トイレか?
仕方が無いなぁ…サリィは…はぁ…中途半端な時間に起きてしまったから眠れないぜ…仕方が無い、待ってやるかな?
俺はそれから数分の間、サリィをずっと待っていたんだが…一向にサリィが帰ってこないんだよなぁ…
トイレにしては…さすがに長すぎるよな…仕方が無い、探しに行くかな…
もしかしたら、宅配業をしているサリィでもホテルの道を間違える事だってあるだろうし…
よしっ!!行くかっ!!
「……って、暗っ!?で、電気…まったくついてないじゃないか…」
さすがにこの廊下の電気をつけようにも、俺はこのホテルには来たばかりだからな…
仕方が無い、部屋に戻って懐中電灯でも取ってくるか…
いやぁ…本当にケイは色々な発明品を作ってくれるから、俺は大助かりだよ!!
さぁて…懐中電灯は…
そう思いながら部屋の中に入ると…俺は窓のカーテンが揺れているのが見えたんだよ…
よーく見ると、窓が開いている……?
あれぇ?俺は窓、しっかり閉めなかったかな…?まぁいいけどさ?
「えっと…あれぇ?持ってこなかったか?おっかしいなぁ…」
俺がそう言いながら、懐中電灯を探していると…廊下のほうから足音が聞こえてきたんだ…
今、何時か分からないけど…こんな夜遅くにトイレか?いや…トイレは俺の部屋とは反対側の廊下を使わないといけないはずだよな…
って事は、俺の部屋に何か用事か?あぁ…サリィだな?ようやく帰ってきたのか…
ドンドンッ…ドンドンッ…!!
な、なんだっ!?いきなり扉を激しくノックして来たりしちゃって…そんなに慌てなくても鍵なんてかかってないのに…
「サリィか?まったく…早く入れよな…」
俺がそう言いながら部屋の扉を開けると、そこには……
ナッカーサーが立っていたんだよ…しかも、結構慌てて俺の部屋に来た風にさ?
どうしたんだ?あんなに慌てて…こんな夜遅くに…
「ナッカーサー?どうしてお前が?俺はてっきりサリィかと…」
「サリィちゃんもいなくなっているのか…!?おかしいな…とにかく、来てくれないか?」
「来いって、何処にだ?」
「ロビーだよ、ロビー…他のみんなの部屋にも行ったんだが…俺の嫁のミーシャと一緒でいないらしいんだ、嫁たちが」
「他のって…ヤマトとか?」
「あぁ…別のホテルの宿泊客の人の部屋にでもいるんじゃないかって思ったんだが…皆さん、部屋に鍵をかけて寝ているみたいでさ?」
……確かに、旅行で来ているのに部屋に鍵をかけずに寝ているのは俺たちくらいのものかも知れないな…
しかし…嫁たちが消えた?いっせいに?
…なんだ?なんか、嫌な予感がするんだけど…まぁ、所詮俺の予感だから気のせいなんだろう
それから俺は、ナッカーサーに連れられてロビーに向かったんだ…
どうでもいいけど…ナッカーサーは廊下の電気を何処でつけるか…知っていたんだな…
俺は暗くて、電気を付ける気にもならなかったけどさ…
そういえば、ナッカーサーの部屋はこの廊下の一番エントランスに近い場所だったな…だから電気をつけるボタンがすぐ近くにあったのか
しかし…夜のホテルってのはなんだか静かな物なんだな…
び、微妙にこう静かだと、怖くなるから不思議なものだぜ…
ロビーに着くと、他の連中はすでに集まっていたんだ…
ケイにヤマトにドラグーン…ユーマンまでこの部屋に集まっているって事は…ナッカーサーが俺を呼びに来たのは最後だったって事だよな?
…本当に、俺たち以外はこの部屋にいないみたいだが…
「あれ…?ケイもここに来たのか…スカニちゃんがいないって事は、お前もまさか…」
「あぁ、スカニの姿も無いんだ…で、ここにいるのかと思ってきたら、他の連中がいたんだよな…」
「でも…これで妻たちが全員いなくなったって事に…なるんじゃないか?これは明らかに…」
……ヤマトが言おうとしたこと、俺でもなんとなくわかるな…
この状況は明らかに…おかしい
始めは嫌な予感がするなぁって思ったくらいだったけど、今ははっきりと言えるぜ…これはやばいってな?
こんなにも狙い済ましたタイミングでサリィたちがみんないなくなるなんて…誰がどう考えてもおかしいって思うはずだ…
「なぁ…こんなところでのんびりとしていても、ウェスたちは見つからないかも知れないからさ…探しに行こうぜ?」
「ドラグーン…確かにその考えも無くはないが…もしそれで俺たちが迷ってしまったらどうするんだ?ん?」
「ユーマン、お前はつまり…ここでのんびりと待っているっていうのか?さすがはエリートさんは考え方が違うよなぁっ!!」
「何…?それは皮肉のつもりかドラグーン…?喧嘩を売っているなら買うぞ?」
おいおい…ちょっと待ってくれよ…
今は喧嘩している場合じゃないって事くらい分かってくれよなぁ…
あいつら、宿屋の中でも結構仲が悪いけど…こういったときくらい団結して欲しいぜ…
俺がそう思っていると、ナッカーサーが俺たち全員の前に立って話を始めたんだ…
「おいっ!ユーマン、ドラグーン!!お前たちがここで喧嘩しても、無駄な体力を使うだけだってわからないのか?」
「だったら、お前は何かいいアイデアがあるのかよ!?ナッカーサー!!」
「いや…だが、妻たちが行方不明になってしまった以上、他の宿泊客の人たちにも探すのを手伝ってもらうのが一番効率的にいいと思う」
……確かに、ナッカーサーの言うとおりだ
こんなとき、リーダーシップを発揮できるナッカーサーがいてくれて本当に良かったって思うね…
じゃあ、早速夜遅いけど、他の人たちに捜索を手伝ってもらおうかな…
と俺がそう思って他の連中と一緒に他の宿泊客が泊まっているであろうロビーからでてエントランスの右側にある扉に向かっていた時だった…
ドゴォーンッ!!
「うわぁっ!?な、なんだ…!?今の大きな音は…!?」
「落ち着けってヤマト、たぶん雷が落ちたんだろう…」
ナッカーサーがそういうと、次の瞬間…さっきまで明るかったロビーが真っ暗になったんだよ!!
こ、これは…さっきの雷で停電が起こってしまったんじゃないのか…!?
くそっ…かろうじてみんなのシルエットが分かるくらいなんだよな…
今の状況は、普通に怖いぜ…
「みんな…大丈夫か?」
「なんとか…な?」
「しかし、こうタイミングよく屋敷の電気が落ちるとはな…たぶん、さっきの雷でブレーカーが落ちたんだろうが…」
「蝋燭でもつけるか?少しでも灯りがあったほうが、気持ち的には落ち着くと思うが…」
「……誰が火をつけるんだ?俺は火を持っていないが…ドラグーンは?」
「俺も…火は持ってないな…」
……駄目じゃんっ!!
暗い上に、こんな大きな建物の中じゃ…他の人たちに助けを求めても見つかりそうに無いしな…
これは…落ちたブレーカーを戻しに行かないと駄目なんじゃないか?
俺はそう思い、みんなにこの事を相談してみたんだ…
まぁ、無理だって言われたら…別の方法を考えるけどね?
「なぁ…ブレーカーを上げれば、万事解決するんじゃないか?」
「……しかしだなデメトリオ…俺たちは誰も電気室の場所を知らな…」
「それだったら、安心してくれてもいいぞナッカーサー?僕が電気室の場所は分かっているからさ」
えぇっ…!?け、ケイ…もう電気室の場所とか把握したのかよ!?
さ、さすがはメガロス帝国で最高の発明家…その二つ名は伊達じゃなかったぜ!
さぁて、だったらこんなところでのんびりとしている場合じゃないな…
いざ、電気室に向かって…出発!!
俺はそう思うと、ケイの後を追いかけていったんだ…
まずは俺たちのいた部屋の前を通って…俺の部屋の近くにあった非常口から地下へ…
って、地下まであるのかよ!?
さ、さすがは豪華なホテル…俺の宿屋なんて比べ物にならないくらいに大きいのに、地下室まであるなんて…
それにしても、地下室は1階とは違ってさらに不気味な雰囲気だぜ…
重苦しい雰囲気を感じると同時に、息苦しいこの感じ…まさに地下室って感じなんだが、それが余計に怖さを演出している…って、この部屋か?
ケイが立ち止まり、俺たちはケイの目の前にある扉に目を向けてみたんだが…扉の上には古い木の板が張ってあって、そこに電気室って書かれていたんだ
ここで間違いないようだな…それにしても、この鉄格子の向こうにも廊下が続いているようだなぁ…
まぁ、これだけ広ければ、地下室だってそれ相応の広さなんだろうけどさ?
そして、物凄くギィギィと音が鳴る扉を開けると、そこには若干レトロな感じの電気室があったんだ
メガロス帝国で見た電気室に比べるとずいぶんと古いつくりだけど…って、あれだな?ブレーカー…
「なぁ、ブレーカーってコレだよな?」
「あぁ、上に動かせば、このホテル内の電気が復旧すると思うぜ?」
「わかった…って、ん?」
ガチャッ…ガチャッ…
なんだ?レバーが途中で動かなくなるんだが…何かが詰まっているのか?
まったく…仕方が無いなぁ…
【 今回の作品では、読者の皆さんに楽しんでいただけるよう、ところどころにトリックを仕掛けております
作品を見ていただける中で、のんびりと作者が考えた簡単な問題にお付き合いいただけると、うれしいです
まぁ、無理に問題に答える必要は…無いのですけどね?(雑ですし)】
【問題 no.1 動かないレバー
ここに、ある場所で動きが止まってしまい、動かせないレバーがある
そのレバーはどうやら特別な仕組みで動くようで、詰まっていたものはパズルのようになっていた!
下の図のようなパズルだったと考えると、最低何回動かせばいいだろうか?
最も少ない数を教えて欲しい!!
答えは…感想欄にでも書いてくださると…うれしいです!
(ただし、作者は物凄くひねくれた性格ですので、ひっかけ問題が多いです、注意してください)
×
○○ ○○ ○○
○ ○ ○○○
○○ ○○ ○
○○○○ ○○○
×…レバーであり、一番下の穴を通過させればOK
しかし、縦1列を使うので注意
一列目は右にも左にも動くので、ボタンで右か左を決める
二列目は一列目とは逆に動く
三列目は左にしか動かないし、四列目は動かない
すべての列は同時に動くと思ってください
○は8マス分あり、×は右から四番目の位置にある
実際に書いてみると分かりやすいかも…
】
さて、無事にブレーカーも上がった事だし、これで電気が復旧するはずだ…
俺がそう思うと、電気室に小さい明かりが灯り始めたんだ…
ふぅ…これで、電気は復旧したはずだよ?
さぁて…そうと分かれば、ロビーに戻るとしようか…って、なんだ?あの机の上にあるものは…?
俺達が電気室から去ろうとしたとき、俺は電気室にぽつんと置いてある机の上に何かがあるのが分かったんだ
暗いときはわからなかったけど…なんだ?あれは…?
デメトリオは【ホテルの地図】を手に入れた!!
デメトリオは【音が鳴る懐中電灯】を手に入れた!!
アイテムの情報がEXに記載されました
これは…ホテルの見取り図だろうか?でも…この地図、未完成じゃないか!
だって、俺たちが通ってきた道しか書き込まれてないんだぜ?
って、あれ!?見取り図に部屋が…追加された!?
な、なんなんだ!?これは…!?いや…一応持っておこうかな…
さて…お次は音がなる懐中電灯だが…これ、壊れてるようだなぁ…
だって、灯りがつかないんだぜ?懐中電灯で灯りがつかないって致命的だろ…?
「おーい…デメトリオ?そこで何やってるんだ?早く戻ろうぜ?」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!!行くって!!」
そして、俺たちは地下室から一階に戻ってきたわけだが…
どうしてまだ、電気がついていないんだよ!?えぇっ!?
いや…まぁ、ついていないのならついていないんだろうって言ってしまえばそこまでだけど…
「おかしいな…この廊下の電気はついていてもいいと思ったんだが…」
「まぁ、とにかく今はロビーに戻ろうぜ!!この廊下だったら、微妙に先が見えるからいいじゃないか」
「ヤマト…まぁ、そのとおりだが…」
そ、それでいいのかよナッカーサー…
ま、まぁ…俺も別にいいよ?いいんだけどさ…なんかなぁ…
俺がそう思いながらみんなの後をついていくと、エントランスに女の人が立っていたんだ…
あのシルエット…長い髪に胸も大きい、さらに蛇の下半身って事は、ラミア種の女性だよな?
いやぁ…本当に俺たち以外はいないのかと思って、焦ったぜ…
「なぁ、ナッカーサー…ユーマン?あそこにいる女性も宿泊客の1人かな?」
「そうなんじゃないか…?それ以外に考えられないとは思うが…」
「とにかく、話を聞いてみたらいいんじゃないか?」
俺たちが話をして、考えを纏めたときだった…
その女性がいたはずの場所には、何かが落ちていて、その女性の姿は何処にもなかったんだな…
いや…おそらく、彼女は俺たちのことに気がついていなかったんだろうけどさ…?
でも…それだったら、彼女は何処にいったんだ…?こんなに暗いのに、むやみにうろついたりはしないと思うが…
ギィィッ…
あぁ、ロビーに移動しただけか…俺たちはロビーの扉を閉めていたけど、開いているんだからそれしかないよな?
じゃあ、さっきの女性にも協力をお願いして、早くサリィたちを見つけないとな…
俺たちはそう思って、女性を追いかけ…っと、さっきあの人がいた場所に落ちてあるものを届けてあげないとな…
えっと…これは…なんだ?いや、別にいいんだけどさ…
デメトリオは【電池】を手に入れた!
デメトリオは【女神像が彫りこまれているチョーク】を手に入れた!
ロビーに入ると、その女性が1人で立っていたんだよ!!
それを見つけた俺は、彼女に協力を頼もうと近づいて行ったんだが…
俺が声をかけた瞬間、俺は物凄い衝撃で真後ろに吹き飛ばされてしまったんだよ!!
意味が分からないと思うだろうが…俺は本当に吹き飛ばされたんだ!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「なっ…!?デメトリオ!こっちに飛んでくるなって!!うわぁぁぁぁっ!!」
俺は勢いよくドラグーンとヤマトに当たったんだが…
ほ、本当に何が起こったんだ…!?
俺がそう思ったとき、俺は見てしまったんだ…
俺たちが宿泊客だと思っていたラミアの女性が笑いながらこっちに近づいてきているのを!!
そ、そして…彼女が次の瞬間…消えたんだよ!!
……あ、ありえない…こんな事が起こりえるのか…!?
いや、で、でも…実際に俺の目の前で…彼女は消えたわけだし…
そう思ったと同時に、俺は後ろに嫌な気配を感じたんだ…
なんだ…?急に室内温度が4度は下がったようなこの感じは…?
「ひ、ひぃっ…うわあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ま、待ってくれよヤマトっ!!」
……そして、後ろにいたはずのヤマトとドラグーンがナッカーサーたちのほうに向かって走り始める足音…
だが、俺の嫌な予感はまだ…続いているんだよ!!
二人とも後ろからいなくなったはずだ…それなのに…後ろに誰か…いる気配がする!!
くそぉっ…で、でも…振り向かないと何がいるのか分からないし…
見てみるしか…無いよな?
俺は結局そう結論を出し、後ろに向かって勢いよく振り向いたんだが…
あれ?おかしいな…確かに誰かいる気配がしたんだが…俺の気のせいだったっていうのか?
「どこを…見ているんですか?」
…っ!?
後ろに…物凄く近くに誰かがいる気配がする…
しかも…声が聞こえたって事は…まさか…
次の瞬間、首筋に何か冷たいものが触れて来たんだ…
物凄くつめたいわけでもなく、微妙に冷たいって分かるようなものが…
えっ…なんだよこれ…?物凄く怖いんだけど…?何っ?何が俺の後ろにいるんだ…?
俺がそう思いながら後ろを振り向くと…そこに、さっきまで俺たちの前にいたはずのあの女性が立っていたんだ
しかも、物凄く光の宿っていない目で俺を見ていたんだよ!!
彼女と俺の距離は…彼女の息が俺に当たるくらいに…近い!!
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!あわ…あわわわわわわっ…」
「女性の目の前でそんな表情を浮かべるのは…失礼じゃないですかぁ…?」
「うわああぁぁぁぁっ!!」
俺は余りの恐怖に負け、彼女を突き飛ばして逃げようとした…したんだが…
俺は確かに彼女の身体を突き飛ばすために彼女に触れたはずなんだ…
これだけ近いなら、彼女がよける事も当然出来ないよな…?だったら…
どうして…何も触った感じがしないんだ…?
俺がそう思って彼女のほうを見ると…彼女は物凄い笑顔で俺を見てきていたんだ
しかも、笑っているのは口だけ…はっきり言うと、物凄く怖いの一言だ
「積極的ですねぇ…私も…積極的になっちゃおうかしら?」
な、なんだ…!?急に身体全体が…何も当たっていないのに締め上げられているような感じが…
身体には何も触れていない…それなのに、身体が物凄く圧迫されているような…
「ぐっ…がはっ…な、なんだ…これ?」
「あははっ…あはははははははははははっ!!私の…これが愛でしょう?」
「な、何かがデメトリオに起こっている…みんな、のんびりしている場合じゃないぞ!!デメトリオを助けるんだ!」
「た、助けるって言ったって…どうやって?」
「武器があるだろっ!!それで彼女の気をそらすんだ!」
「悪い…俺、武器おいてきちゃった…」
「なっ…!?ヤマト、お前…」
くそっ…そんな事を行っている場合じゃ…ないだろ…
早く、早く俺を助けてくれないと…そろそろ意識がだな…
さ、酸欠状態になりつつある…は、早く何とかしないと…
「僕にいい考えがある…彼女の後ろからナッカーサー、お前がその武器で攻撃をしかけるんだ!!」
「相手の背後を突くのか…?確かに、確実ではあるか…よし、待ってろよデメトリオ!!」
なっ…背後を突く?ちょっと待ってくれよ!!
俺は彼女と一緒に、なぜか物凄い空中に持ち上げられているんだぞ!?
しかも、謎の締め付けと共に…って、彼女が俺の身体を締め上げているのか!?
いや…そうじゃなくてな…彼女は俺の身体に触れる事が出来ても、俺から彼女には触れられないんだぞ!?
それだったら…彼女の背後から攻撃をしたら…俺がナッカーサーの催眠弾で爆睡してしまうのは、目に見えているじゃないか!
あっ…でもあいつら…その事をまだしらな…
「悪いけど、少し眠ってくれよ!!おらあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ダダダダダダダッ…
「ぐほぁっ!?ナッカーサー…てめ…え…」
「何っ…!?か、貫通しただと!?」
「いや…これが狙いだ!ユーマン、フックショットでデメトリオの身体をつかむんだっ!!」
「……そうかっ、彼女の身体をナッカーサーの撃った弾がすり抜けるって事は…」
「そう、ユーマンのフックショットも彼女をすり抜けるって事さ!」
「デメトリオを眠らせる必要はなかったんじゃ…」
「いや、ヤマト…デメトリオがユーマンのフックショットにつかまって暴れないと思うか?」
「…暴れるだろうな…って、あぁっ!!だからデメトリオを眠らせたのか…!?」
「そう…たのんだぜ?ユーマン!」
がしゃーーーぁんっ!!
「よし…デメトリオ捕獲だ!!おらあぁぁぁっ!!」
「あら…?せっかく…楽しくなりそうだったのに…ふふっ…あはっ…」
……うぅっ…はっ!?
あ、あの女性は…!?それに、ここは…あいたっ…
頭と腰に変な痛みが走ったが、俺は周りを見回してここがどこかを判断したんだ…
俺がさっきまでいたロビーに間違いなさそうだが…
「デメトリオ、気がついたか?」
「ナッカーサーか?あの女性は…」
「お前を引き離したら…いきなり消えたぜ?で、その後電気がついたって訳だ」
「…そうかって、そういえば…ナッカーサーっ!!お前、いきなり俺を撃ってきやがって…」
「まぁまぁ…それはそれ、コレはコレって事で、許してくれよ」
くっ…ま、まあ…俺は無事だったんだからいいんだけど…
そういえば、他の連中はどうしたんだ?姿が見えないが…
「他の連中は…どうしたんだ?」
「ヤマトはあそこでお茶飲んでるぜ?ユーマンはケイと一緒に自分達の部屋の道具を取りに行ってる」
「ドラグーンは?」
「あいつは、他のお客さんのところに行っているぜ?始めの目的は嫁達を探す事だったからな…」
「…そうか、なぁ…ナッカーサーはあの女性をどう思う…?」
「それは…やっぱりゴーストじゃないかって思うが…」
ナッカーサーもそう思うよな…でも、それだったら1つ引っかかる事があるんだ
ゴーストは元々、人間の魂が魔王の魔力と結びついて生まれるはずだ
そして、ゴーストは実態に触れる事が出来ない…それくらいの常識なら俺でも知っている
じゃあ、さっきの彼女は…一体何なんだ?
彼女は明らかにラミアだった…しかも、俺の身体に触れてきたんだぞ?
俺は魔物娘が亡くなった時にゴーストになり得るって話を聞いた事が無い…
大きな謎がここに来て1つ出てきたようだぜ…
なんだか、旅行に来たってのに、とんでもない事に巻き込まれた気が…
「…これは、ちょっとゾーネとかにも相談したほうがいいんじゃないか?俺、今からフェルス興国に帰ってつれてこようと思うんだけど…」
「デメトリオが呼びに帰るのか?俺も…似たような事を考えていたんだが…わかった、それじゃあ…俺が持っていたランプを貸してやるよ」
「雨は…ちょうどやんでるみたいだしな…じゃあ、他の全員にはナッカーサーから言っておいてくれないか?」
「わかった…気をつけろよ?」
俺はナッカーサーにそういうと、フェルス興国に戻るために屋敷を出たんだが…って、あれぇっ!?
な、な…なんじゃこりゃああぁぁぁぁぁぁぁっ!?
帰る道が…無い!?
いや…もうそんな簡単な言葉で表せないことが起こっているんだけど!?
そう、この屋敷はあたり一面が闇の中にぽつんと浮いていたんだ…
ここ、重要だぜ?浮いていたんだよ!!
「ナッカーサー!!ちょっと来てくれ!!」
「なんだ…って、なにぃっ!?こ、これは…」
「俺たち…帰る事も出来なくなってるぞ…!?」
「と、とにかくロビーに戻ろうか…」
俺たちがロビーに戻ると、他の連中は戻ってきていたんだ…
俺とナッカーサーは他のみんなにその事を説明し、他のみんなも自分たちがやっていたことを話しはじめたんだよな
「なぁ、みんな…俺、思ったんだけどさ…」
「どうした?ドラグーン?」
「俺、他の宿泊客の人たちに協力してもらおうと各部屋を回ったんだが…もしかしたら、他の人たちもいないかも知れない…」
「何…だと!?」
「いや…なんかさ?あんなに扉をドンドン叩いたら、普通は気づくのに、出てくれなかったからさ…そう思っただけ…」
…確かに、ドラグーンが言ったこともありえるかもしれない…
これだけ俺たちが動き回っているんだから、普通だったら1人はうるさいって怒ってくる客がいてもいいはずだ…
だけど、そんな事はなかった…もし、それが偶然では無くて…部屋に他の人たちがいなかったとしたら…?
可能性は…無くは無いよな…
「とにかく、これから…どうする?」
ヤマトがそういって俺たちに話しかけてきたが、正直言うと…どうすればいいのか分からない…
俺たちの攻撃が通じない…ゴーストのような魔物娘が現れた以上、むやみに動くのは凄く危険だし…
でも、動かないと何にもならない…
「とにかく、情報を整理しよう…みんな、持っているものを机の上に出してくれ…」
ナッカーサーがそういって、自分のランプを机の上に置いたんだ…
俺もそれを見て、この建物の中で手に入れたものを出したんだ…って、なんだ?この紙は…
デメトリオは【破れた手紙(右端)】を手に入れた!
…一応、これで全部だが…
なんだか、本当にとんでも無い事になってきたぜ…
俺たちは楽しく旅行にきただけのはずなのに…こんな事に巻き込まれるなんて誰が予想できた?
と、とにかく、今は話し合いをするべき…だよな?
chaptar 1-1 END
す、すげぇ…まさか、本当にこんな豪邸に無償でいてもいいのか…!?って思わず思ってしまうほど、立派な外見だぜ…
しかし、大事なのは外側ではなく、内側であるわけで…どんな凄い建物だって入ってみないと分からないじゃないか!!
「デメさーーんっ!!早く入ろうよーー!!」
「あぁっ!!分かってるよ!!」
俺はそう返事をすると、大きなホテルに向かって歩き出したんだが、この建物、中々大きいし…あの紙は本当だったんだな…
洋風と和風の二つのホテル…もしくは民宿がセットになっている建物とは…しかも、建物の中から中に移動できるみたいだ
最近の宿屋情勢も…便利になったもんだなぁ…
こ、これは…俺の宿屋もこんな革新的なことを行わないと…駄目なのでは…
そんな事を思っていると、サリィが俺の手を引いて建物の中に移動し始めたんだ…
そ、そんなに引っ張らなくても、ちゃんと行くってば…
「いやぁ…あいつら、何時見てもうらやましい夫婦っぷりだよな…新婚みたいだぜ…そう思わないかセムちゃん?」
「………消えればいいのにな…あの鳥…」
「えっ…?今、なにか言ったかい?」
「いいえ?ヤマトさんも急がないと、花梨さん怒りますよ?」
「あっ…いけねぇ…早く行かないと…」
「………今回の旅行は…チャンスよね…?神様?ふふふっ…あはっ…」
ん…?セムちゃん、あんなところで1人、何笑っているんだ?あぁ…うれしいんだな?きっとそうだ…
いやぁ…セムちゃんのようなお金持ちの家のお嬢様でも、旅行はうれしいものなんだな…
これだったら俺も、連れてきて良かったって思うよ
それから、俺たちはホテルの中に移動したんだが…
このホテル…【従業員がいない】のか?さっきから見るのは俺たちと同じような旅行客ばかりだし…
…いや、まさかな…従業員がいないのなら、そもそもホテルとして成り立たないからな…
俺がそんな事を思っていると、いきなりアナウンスが流れ始めたんだよ…
やっぱり、従業員はいたじゃないか…なぁ?で…なんのアナウンスなんだ?
【本日は、当ホテルにお越しいただき、本当にありがとうございます…先ほどお越しになったお客様で全員となりますので、皆様は隣の部屋に移動してください】
ふぅん…到着して早くも何かあるんだな…さすがのサービス精神といったところだよなぁ…
これ、絶対に物凄いお金かかってるよ…いや、別にいいんだけどさ?
そう思って俺が隣の部屋に移動すると、そこは大きなロビーになっていたんだ
へぇ…中々、いい広さじゃないか…これだったら、ここにいる全員だったら楽に入るかな…余り人数はいないようだし…ね?
【皆様、今晩は各部屋でお休みになってくださいませ…各部屋に食事が用意されております、明日…スタッフがお客様たちを起こしに参りますので、今晩は申し訳ありませんが各テーブルの上にあるご自分の名前を書いたタグをとってご自分のお部屋へどうぞ】
えぇっ…?夜遅いって…俺たちは夕方にここについたんだから…って、あれ?
俺がそう思いながらロビーに吊ってある時計に目を通すと、時計は夜の8時を指していたんだ…
こんなに時間が経つのって早かったか…?いやいや、楽しい事が待っていると時間も早く過ぎたように感じる…あの現象に違いないよな…
じゃあ、俺たちも…って、へぇ…本当に各部屋の鍵がついたタグが机の上に並べられているな…
俺たちは…104号室とその近くだな…
そして、俺とサリィはタグのあった部屋に移動したんだが…って、おぉっ!?
す、凄い…物凄く豪華な内装と食事じゃないか!!こんなご馳走…滅多にフェルス興国の俺の宿屋内じゃ食べる事が出来ないぞ…!?
それに…こんなにふっかふかなベッド!!もう…物凄くテンションが上がるって奴だぜっ!!
「よぉっしっ…ひゃっほーー…」
ガッ…
「いぃっ!?うおぉぉぉぉっ…!?な、なんだ…?頭に物凄く響いてくるこの痛みはぁっ!?」
「デメさんっ!?大丈夫っ!?」
「あ…あぁ…」
まさか…一日目から頭を打つ事になるなんてなぁ…いや、別にいいさ…
次の日からいいことが待っているに違いないんだからなぁっ!!
俺はそう思うと、滅多に食べる事のできないごちそうをいただき、満足して眠りについたんだ…
ひゅうぅぅぅぅぅっ〜〜〜
ゴロゴロゴロッ!!
な、なんだぁっ!?いきなり物凄い音がしたんだが…!?
俺はそう思い、布団からのっそりと身体を起こしたんだ…外は物凄い雨のようだな…
って、なんで窓が開いているんだよ…ホテルの従業員が一時的に空気の入れ替えを行ってから閉めなかったのか?
俺はそう思いながら窓を閉め、またサリィと一緒に寝ようと…って、あれっ!?
さ、サリィがいないっ!?ど、どこに行ったんだ…!?トイレか?
仕方が無いなぁ…サリィは…はぁ…中途半端な時間に起きてしまったから眠れないぜ…仕方が無い、待ってやるかな?
俺はそれから数分の間、サリィをずっと待っていたんだが…一向にサリィが帰ってこないんだよなぁ…
トイレにしては…さすがに長すぎるよな…仕方が無い、探しに行くかな…
もしかしたら、宅配業をしているサリィでもホテルの道を間違える事だってあるだろうし…
よしっ!!行くかっ!!
「……って、暗っ!?で、電気…まったくついてないじゃないか…」
さすがにこの廊下の電気をつけようにも、俺はこのホテルには来たばかりだからな…
仕方が無い、部屋に戻って懐中電灯でも取ってくるか…
いやぁ…本当にケイは色々な発明品を作ってくれるから、俺は大助かりだよ!!
さぁて…懐中電灯は…
そう思いながら部屋の中に入ると…俺は窓のカーテンが揺れているのが見えたんだよ…
よーく見ると、窓が開いている……?
あれぇ?俺は窓、しっかり閉めなかったかな…?まぁいいけどさ?
「えっと…あれぇ?持ってこなかったか?おっかしいなぁ…」
俺がそう言いながら、懐中電灯を探していると…廊下のほうから足音が聞こえてきたんだ…
今、何時か分からないけど…こんな夜遅くにトイレか?いや…トイレは俺の部屋とは反対側の廊下を使わないといけないはずだよな…
って事は、俺の部屋に何か用事か?あぁ…サリィだな?ようやく帰ってきたのか…
ドンドンッ…ドンドンッ…!!
な、なんだっ!?いきなり扉を激しくノックして来たりしちゃって…そんなに慌てなくても鍵なんてかかってないのに…
「サリィか?まったく…早く入れよな…」
俺がそう言いながら部屋の扉を開けると、そこには……
ナッカーサーが立っていたんだよ…しかも、結構慌てて俺の部屋に来た風にさ?
どうしたんだ?あんなに慌てて…こんな夜遅くに…
「ナッカーサー?どうしてお前が?俺はてっきりサリィかと…」
「サリィちゃんもいなくなっているのか…!?おかしいな…とにかく、来てくれないか?」
「来いって、何処にだ?」
「ロビーだよ、ロビー…他のみんなの部屋にも行ったんだが…俺の嫁のミーシャと一緒でいないらしいんだ、嫁たちが」
「他のって…ヤマトとか?」
「あぁ…別のホテルの宿泊客の人の部屋にでもいるんじゃないかって思ったんだが…皆さん、部屋に鍵をかけて寝ているみたいでさ?」
……確かに、旅行で来ているのに部屋に鍵をかけずに寝ているのは俺たちくらいのものかも知れないな…
しかし…嫁たちが消えた?いっせいに?
…なんだ?なんか、嫌な予感がするんだけど…まぁ、所詮俺の予感だから気のせいなんだろう
それから俺は、ナッカーサーに連れられてロビーに向かったんだ…
どうでもいいけど…ナッカーサーは廊下の電気を何処でつけるか…知っていたんだな…
俺は暗くて、電気を付ける気にもならなかったけどさ…
そういえば、ナッカーサーの部屋はこの廊下の一番エントランスに近い場所だったな…だから電気をつけるボタンがすぐ近くにあったのか
しかし…夜のホテルってのはなんだか静かな物なんだな…
び、微妙にこう静かだと、怖くなるから不思議なものだぜ…
ロビーに着くと、他の連中はすでに集まっていたんだ…
ケイにヤマトにドラグーン…ユーマンまでこの部屋に集まっているって事は…ナッカーサーが俺を呼びに来たのは最後だったって事だよな?
…本当に、俺たち以外はこの部屋にいないみたいだが…
「あれ…?ケイもここに来たのか…スカニちゃんがいないって事は、お前もまさか…」
「あぁ、スカニの姿も無いんだ…で、ここにいるのかと思ってきたら、他の連中がいたんだよな…」
「でも…これで妻たちが全員いなくなったって事に…なるんじゃないか?これは明らかに…」
……ヤマトが言おうとしたこと、俺でもなんとなくわかるな…
この状況は明らかに…おかしい
始めは嫌な予感がするなぁって思ったくらいだったけど、今ははっきりと言えるぜ…これはやばいってな?
こんなにも狙い済ましたタイミングでサリィたちがみんないなくなるなんて…誰がどう考えてもおかしいって思うはずだ…
「なぁ…こんなところでのんびりとしていても、ウェスたちは見つからないかも知れないからさ…探しに行こうぜ?」
「ドラグーン…確かにその考えも無くはないが…もしそれで俺たちが迷ってしまったらどうするんだ?ん?」
「ユーマン、お前はつまり…ここでのんびりと待っているっていうのか?さすがはエリートさんは考え方が違うよなぁっ!!」
「何…?それは皮肉のつもりかドラグーン…?喧嘩を売っているなら買うぞ?」
おいおい…ちょっと待ってくれよ…
今は喧嘩している場合じゃないって事くらい分かってくれよなぁ…
あいつら、宿屋の中でも結構仲が悪いけど…こういったときくらい団結して欲しいぜ…
俺がそう思っていると、ナッカーサーが俺たち全員の前に立って話を始めたんだ…
「おいっ!ユーマン、ドラグーン!!お前たちがここで喧嘩しても、無駄な体力を使うだけだってわからないのか?」
「だったら、お前は何かいいアイデアがあるのかよ!?ナッカーサー!!」
「いや…だが、妻たちが行方不明になってしまった以上、他の宿泊客の人たちにも探すのを手伝ってもらうのが一番効率的にいいと思う」
……確かに、ナッカーサーの言うとおりだ
こんなとき、リーダーシップを発揮できるナッカーサーがいてくれて本当に良かったって思うね…
じゃあ、早速夜遅いけど、他の人たちに捜索を手伝ってもらおうかな…
と俺がそう思って他の連中と一緒に他の宿泊客が泊まっているであろうロビーからでてエントランスの右側にある扉に向かっていた時だった…
ドゴォーンッ!!
「うわぁっ!?な、なんだ…!?今の大きな音は…!?」
「落ち着けってヤマト、たぶん雷が落ちたんだろう…」
ナッカーサーがそういうと、次の瞬間…さっきまで明るかったロビーが真っ暗になったんだよ!!
こ、これは…さっきの雷で停電が起こってしまったんじゃないのか…!?
くそっ…かろうじてみんなのシルエットが分かるくらいなんだよな…
今の状況は、普通に怖いぜ…
「みんな…大丈夫か?」
「なんとか…な?」
「しかし、こうタイミングよく屋敷の電気が落ちるとはな…たぶん、さっきの雷でブレーカーが落ちたんだろうが…」
「蝋燭でもつけるか?少しでも灯りがあったほうが、気持ち的には落ち着くと思うが…」
「……誰が火をつけるんだ?俺は火を持っていないが…ドラグーンは?」
「俺も…火は持ってないな…」
……駄目じゃんっ!!
暗い上に、こんな大きな建物の中じゃ…他の人たちに助けを求めても見つかりそうに無いしな…
これは…落ちたブレーカーを戻しに行かないと駄目なんじゃないか?
俺はそう思い、みんなにこの事を相談してみたんだ…
まぁ、無理だって言われたら…別の方法を考えるけどね?
「なぁ…ブレーカーを上げれば、万事解決するんじゃないか?」
「……しかしだなデメトリオ…俺たちは誰も電気室の場所を知らな…」
「それだったら、安心してくれてもいいぞナッカーサー?僕が電気室の場所は分かっているからさ」
えぇっ…!?け、ケイ…もう電気室の場所とか把握したのかよ!?
さ、さすがはメガロス帝国で最高の発明家…その二つ名は伊達じゃなかったぜ!
さぁて、だったらこんなところでのんびりとしている場合じゃないな…
いざ、電気室に向かって…出発!!
俺はそう思うと、ケイの後を追いかけていったんだ…
まずは俺たちのいた部屋の前を通って…俺の部屋の近くにあった非常口から地下へ…
って、地下まであるのかよ!?
さ、さすがは豪華なホテル…俺の宿屋なんて比べ物にならないくらいに大きいのに、地下室まであるなんて…
それにしても、地下室は1階とは違ってさらに不気味な雰囲気だぜ…
重苦しい雰囲気を感じると同時に、息苦しいこの感じ…まさに地下室って感じなんだが、それが余計に怖さを演出している…って、この部屋か?
ケイが立ち止まり、俺たちはケイの目の前にある扉に目を向けてみたんだが…扉の上には古い木の板が張ってあって、そこに電気室って書かれていたんだ
ここで間違いないようだな…それにしても、この鉄格子の向こうにも廊下が続いているようだなぁ…
まぁ、これだけ広ければ、地下室だってそれ相応の広さなんだろうけどさ?
そして、物凄くギィギィと音が鳴る扉を開けると、そこには若干レトロな感じの電気室があったんだ
メガロス帝国で見た電気室に比べるとずいぶんと古いつくりだけど…って、あれだな?ブレーカー…
「なぁ、ブレーカーってコレだよな?」
「あぁ、上に動かせば、このホテル内の電気が復旧すると思うぜ?」
「わかった…って、ん?」
ガチャッ…ガチャッ…
なんだ?レバーが途中で動かなくなるんだが…何かが詰まっているのか?
まったく…仕方が無いなぁ…
【 今回の作品では、読者の皆さんに楽しんでいただけるよう、ところどころにトリックを仕掛けております
作品を見ていただける中で、のんびりと作者が考えた簡単な問題にお付き合いいただけると、うれしいです
まぁ、無理に問題に答える必要は…無いのですけどね?(雑ですし)】
【問題 no.1 動かないレバー
ここに、ある場所で動きが止まってしまい、動かせないレバーがある
そのレバーはどうやら特別な仕組みで動くようで、詰まっていたものはパズルのようになっていた!
下の図のようなパズルだったと考えると、最低何回動かせばいいだろうか?
最も少ない数を教えて欲しい!!
答えは…感想欄にでも書いてくださると…うれしいです!
(ただし、作者は物凄くひねくれた性格ですので、ひっかけ問題が多いです、注意してください)
×
○○ ○○ ○○
○ ○ ○○○
○○ ○○ ○
○○○○ ○○○
×…レバーであり、一番下の穴を通過させればOK
しかし、縦1列を使うので注意
一列目は右にも左にも動くので、ボタンで右か左を決める
二列目は一列目とは逆に動く
三列目は左にしか動かないし、四列目は動かない
すべての列は同時に動くと思ってください
○は8マス分あり、×は右から四番目の位置にある
実際に書いてみると分かりやすいかも…
】
さて、無事にブレーカーも上がった事だし、これで電気が復旧するはずだ…
俺がそう思うと、電気室に小さい明かりが灯り始めたんだ…
ふぅ…これで、電気は復旧したはずだよ?
さぁて…そうと分かれば、ロビーに戻るとしようか…って、なんだ?あの机の上にあるものは…?
俺達が電気室から去ろうとしたとき、俺は電気室にぽつんと置いてある机の上に何かがあるのが分かったんだ
暗いときはわからなかったけど…なんだ?あれは…?
デメトリオは【ホテルの地図】を手に入れた!!
デメトリオは【音が鳴る懐中電灯】を手に入れた!!
アイテムの情報がEXに記載されました
これは…ホテルの見取り図だろうか?でも…この地図、未完成じゃないか!
だって、俺たちが通ってきた道しか書き込まれてないんだぜ?
って、あれ!?見取り図に部屋が…追加された!?
な、なんなんだ!?これは…!?いや…一応持っておこうかな…
さて…お次は音がなる懐中電灯だが…これ、壊れてるようだなぁ…
だって、灯りがつかないんだぜ?懐中電灯で灯りがつかないって致命的だろ…?
「おーい…デメトリオ?そこで何やってるんだ?早く戻ろうぜ?」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!!行くって!!」
そして、俺たちは地下室から一階に戻ってきたわけだが…
どうしてまだ、電気がついていないんだよ!?えぇっ!?
いや…まぁ、ついていないのならついていないんだろうって言ってしまえばそこまでだけど…
「おかしいな…この廊下の電気はついていてもいいと思ったんだが…」
「まぁ、とにかく今はロビーに戻ろうぜ!!この廊下だったら、微妙に先が見えるからいいじゃないか」
「ヤマト…まぁ、そのとおりだが…」
そ、それでいいのかよナッカーサー…
ま、まぁ…俺も別にいいよ?いいんだけどさ…なんかなぁ…
俺がそう思いながらみんなの後をついていくと、エントランスに女の人が立っていたんだ…
あのシルエット…長い髪に胸も大きい、さらに蛇の下半身って事は、ラミア種の女性だよな?
いやぁ…本当に俺たち以外はいないのかと思って、焦ったぜ…
「なぁ、ナッカーサー…ユーマン?あそこにいる女性も宿泊客の1人かな?」
「そうなんじゃないか…?それ以外に考えられないとは思うが…」
「とにかく、話を聞いてみたらいいんじゃないか?」
俺たちが話をして、考えを纏めたときだった…
その女性がいたはずの場所には、何かが落ちていて、その女性の姿は何処にもなかったんだな…
いや…おそらく、彼女は俺たちのことに気がついていなかったんだろうけどさ…?
でも…それだったら、彼女は何処にいったんだ…?こんなに暗いのに、むやみにうろついたりはしないと思うが…
ギィィッ…
あぁ、ロビーに移動しただけか…俺たちはロビーの扉を閉めていたけど、開いているんだからそれしかないよな?
じゃあ、さっきの女性にも協力をお願いして、早くサリィたちを見つけないとな…
俺たちはそう思って、女性を追いかけ…っと、さっきあの人がいた場所に落ちてあるものを届けてあげないとな…
えっと…これは…なんだ?いや、別にいいんだけどさ…
デメトリオは【電池】を手に入れた!
デメトリオは【女神像が彫りこまれているチョーク】を手に入れた!
ロビーに入ると、その女性が1人で立っていたんだよ!!
それを見つけた俺は、彼女に協力を頼もうと近づいて行ったんだが…
俺が声をかけた瞬間、俺は物凄い衝撃で真後ろに吹き飛ばされてしまったんだよ!!
意味が分からないと思うだろうが…俺は本当に吹き飛ばされたんだ!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「なっ…!?デメトリオ!こっちに飛んでくるなって!!うわぁぁぁぁっ!!」
俺は勢いよくドラグーンとヤマトに当たったんだが…
ほ、本当に何が起こったんだ…!?
俺がそう思ったとき、俺は見てしまったんだ…
俺たちが宿泊客だと思っていたラミアの女性が笑いながらこっちに近づいてきているのを!!
そ、そして…彼女が次の瞬間…消えたんだよ!!
……あ、ありえない…こんな事が起こりえるのか…!?
いや、で、でも…実際に俺の目の前で…彼女は消えたわけだし…
そう思ったと同時に、俺は後ろに嫌な気配を感じたんだ…
なんだ…?急に室内温度が4度は下がったようなこの感じは…?
「ひ、ひぃっ…うわあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ま、待ってくれよヤマトっ!!」
……そして、後ろにいたはずのヤマトとドラグーンがナッカーサーたちのほうに向かって走り始める足音…
だが、俺の嫌な予感はまだ…続いているんだよ!!
二人とも後ろからいなくなったはずだ…それなのに…後ろに誰か…いる気配がする!!
くそぉっ…で、でも…振り向かないと何がいるのか分からないし…
見てみるしか…無いよな?
俺は結局そう結論を出し、後ろに向かって勢いよく振り向いたんだが…
あれ?おかしいな…確かに誰かいる気配がしたんだが…俺の気のせいだったっていうのか?
「どこを…見ているんですか?」
…っ!?
後ろに…物凄く近くに誰かがいる気配がする…
しかも…声が聞こえたって事は…まさか…
次の瞬間、首筋に何か冷たいものが触れて来たんだ…
物凄くつめたいわけでもなく、微妙に冷たいって分かるようなものが…
えっ…なんだよこれ…?物凄く怖いんだけど…?何っ?何が俺の後ろにいるんだ…?
俺がそう思いながら後ろを振り向くと…そこに、さっきまで俺たちの前にいたはずのあの女性が立っていたんだ
しかも、物凄く光の宿っていない目で俺を見ていたんだよ!!
彼女と俺の距離は…彼女の息が俺に当たるくらいに…近い!!
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!あわ…あわわわわわわっ…」
「女性の目の前でそんな表情を浮かべるのは…失礼じゃないですかぁ…?」
「うわああぁぁぁぁっ!!」
俺は余りの恐怖に負け、彼女を突き飛ばして逃げようとした…したんだが…
俺は確かに彼女の身体を突き飛ばすために彼女に触れたはずなんだ…
これだけ近いなら、彼女がよける事も当然出来ないよな…?だったら…
どうして…何も触った感じがしないんだ…?
俺がそう思って彼女のほうを見ると…彼女は物凄い笑顔で俺を見てきていたんだ
しかも、笑っているのは口だけ…はっきり言うと、物凄く怖いの一言だ
「積極的ですねぇ…私も…積極的になっちゃおうかしら?」
な、なんだ…!?急に身体全体が…何も当たっていないのに締め上げられているような感じが…
身体には何も触れていない…それなのに、身体が物凄く圧迫されているような…
「ぐっ…がはっ…な、なんだ…これ?」
「あははっ…あはははははははははははっ!!私の…これが愛でしょう?」
「な、何かがデメトリオに起こっている…みんな、のんびりしている場合じゃないぞ!!デメトリオを助けるんだ!」
「た、助けるって言ったって…どうやって?」
「武器があるだろっ!!それで彼女の気をそらすんだ!」
「悪い…俺、武器おいてきちゃった…」
「なっ…!?ヤマト、お前…」
くそっ…そんな事を行っている場合じゃ…ないだろ…
早く、早く俺を助けてくれないと…そろそろ意識がだな…
さ、酸欠状態になりつつある…は、早く何とかしないと…
「僕にいい考えがある…彼女の後ろからナッカーサー、お前がその武器で攻撃をしかけるんだ!!」
「相手の背後を突くのか…?確かに、確実ではあるか…よし、待ってろよデメトリオ!!」
なっ…背後を突く?ちょっと待ってくれよ!!
俺は彼女と一緒に、なぜか物凄い空中に持ち上げられているんだぞ!?
しかも、謎の締め付けと共に…って、彼女が俺の身体を締め上げているのか!?
いや…そうじゃなくてな…彼女は俺の身体に触れる事が出来ても、俺から彼女には触れられないんだぞ!?
それだったら…彼女の背後から攻撃をしたら…俺がナッカーサーの催眠弾で爆睡してしまうのは、目に見えているじゃないか!
あっ…でもあいつら…その事をまだしらな…
「悪いけど、少し眠ってくれよ!!おらあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ダダダダダダダッ…
「ぐほぁっ!?ナッカーサー…てめ…え…」
「何っ…!?か、貫通しただと!?」
「いや…これが狙いだ!ユーマン、フックショットでデメトリオの身体をつかむんだっ!!」
「……そうかっ、彼女の身体をナッカーサーの撃った弾がすり抜けるって事は…」
「そう、ユーマンのフックショットも彼女をすり抜けるって事さ!」
「デメトリオを眠らせる必要はなかったんじゃ…」
「いや、ヤマト…デメトリオがユーマンのフックショットにつかまって暴れないと思うか?」
「…暴れるだろうな…って、あぁっ!!だからデメトリオを眠らせたのか…!?」
「そう…たのんだぜ?ユーマン!」
がしゃーーーぁんっ!!
「よし…デメトリオ捕獲だ!!おらあぁぁぁっ!!」
「あら…?せっかく…楽しくなりそうだったのに…ふふっ…あはっ…」
……うぅっ…はっ!?
あ、あの女性は…!?それに、ここは…あいたっ…
頭と腰に変な痛みが走ったが、俺は周りを見回してここがどこかを判断したんだ…
俺がさっきまでいたロビーに間違いなさそうだが…
「デメトリオ、気がついたか?」
「ナッカーサーか?あの女性は…」
「お前を引き離したら…いきなり消えたぜ?で、その後電気がついたって訳だ」
「…そうかって、そういえば…ナッカーサーっ!!お前、いきなり俺を撃ってきやがって…」
「まぁまぁ…それはそれ、コレはコレって事で、許してくれよ」
くっ…ま、まあ…俺は無事だったんだからいいんだけど…
そういえば、他の連中はどうしたんだ?姿が見えないが…
「他の連中は…どうしたんだ?」
「ヤマトはあそこでお茶飲んでるぜ?ユーマンはケイと一緒に自分達の部屋の道具を取りに行ってる」
「ドラグーンは?」
「あいつは、他のお客さんのところに行っているぜ?始めの目的は嫁達を探す事だったからな…」
「…そうか、なぁ…ナッカーサーはあの女性をどう思う…?」
「それは…やっぱりゴーストじゃないかって思うが…」
ナッカーサーもそう思うよな…でも、それだったら1つ引っかかる事があるんだ
ゴーストは元々、人間の魂が魔王の魔力と結びついて生まれるはずだ
そして、ゴーストは実態に触れる事が出来ない…それくらいの常識なら俺でも知っている
じゃあ、さっきの彼女は…一体何なんだ?
彼女は明らかにラミアだった…しかも、俺の身体に触れてきたんだぞ?
俺は魔物娘が亡くなった時にゴーストになり得るって話を聞いた事が無い…
大きな謎がここに来て1つ出てきたようだぜ…
なんだか、旅行に来たってのに、とんでもない事に巻き込まれた気が…
「…これは、ちょっとゾーネとかにも相談したほうがいいんじゃないか?俺、今からフェルス興国に帰ってつれてこようと思うんだけど…」
「デメトリオが呼びに帰るのか?俺も…似たような事を考えていたんだが…わかった、それじゃあ…俺が持っていたランプを貸してやるよ」
「雨は…ちょうどやんでるみたいだしな…じゃあ、他の全員にはナッカーサーから言っておいてくれないか?」
「わかった…気をつけろよ?」
俺はナッカーサーにそういうと、フェルス興国に戻るために屋敷を出たんだが…って、あれぇっ!?
な、な…なんじゃこりゃああぁぁぁぁぁぁぁっ!?
帰る道が…無い!?
いや…もうそんな簡単な言葉で表せないことが起こっているんだけど!?
そう、この屋敷はあたり一面が闇の中にぽつんと浮いていたんだ…
ここ、重要だぜ?浮いていたんだよ!!
「ナッカーサー!!ちょっと来てくれ!!」
「なんだ…って、なにぃっ!?こ、これは…」
「俺たち…帰る事も出来なくなってるぞ…!?」
「と、とにかくロビーに戻ろうか…」
俺たちがロビーに戻ると、他の連中は戻ってきていたんだ…
俺とナッカーサーは他のみんなにその事を説明し、他のみんなも自分たちがやっていたことを話しはじめたんだよな
「なぁ、みんな…俺、思ったんだけどさ…」
「どうした?ドラグーン?」
「俺、他の宿泊客の人たちに協力してもらおうと各部屋を回ったんだが…もしかしたら、他の人たちもいないかも知れない…」
「何…だと!?」
「いや…なんかさ?あんなに扉をドンドン叩いたら、普通は気づくのに、出てくれなかったからさ…そう思っただけ…」
…確かに、ドラグーンが言ったこともありえるかもしれない…
これだけ俺たちが動き回っているんだから、普通だったら1人はうるさいって怒ってくる客がいてもいいはずだ…
だけど、そんな事はなかった…もし、それが偶然では無くて…部屋に他の人たちがいなかったとしたら…?
可能性は…無くは無いよな…
「とにかく、これから…どうする?」
ヤマトがそういって俺たちに話しかけてきたが、正直言うと…どうすればいいのか分からない…
俺たちの攻撃が通じない…ゴーストのような魔物娘が現れた以上、むやみに動くのは凄く危険だし…
でも、動かないと何にもならない…
「とにかく、情報を整理しよう…みんな、持っているものを机の上に出してくれ…」
ナッカーサーがそういって、自分のランプを机の上に置いたんだ…
俺もそれを見て、この建物の中で手に入れたものを出したんだ…って、なんだ?この紙は…
デメトリオは【破れた手紙(右端)】を手に入れた!
…一応、これで全部だが…
なんだか、本当にとんでも無い事になってきたぜ…
俺たちは楽しく旅行にきただけのはずなのに…こんな事に巻き込まれるなんて誰が予想できた?
と、とにかく、今は話し合いをするべき…だよな?
chaptar 1-1 END
13/01/12 21:40更新 / デメトリオン
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