連載小説
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五軒目:とある研究所と誘拐船
※14000字超で長いです。
※若干胸が悪くなる内容が含まれますので、ご覧頂く方はご注意下さい。



 PM16:15

 通された部屋の内装は一言で言えば豪華であった。
 高い天井にシャンデリアを模した電灯が配置され、細かい装飾の施された大きめのソファは柔らかく客人を受け入れる。
 清潔感のある白い壁にはいくつかの絵画が目の保養になる範囲で配置されている。
 腰下程度の高さのテーブルには、ソラさんの用意したと思われる香り高いお茶と香ばしい焼き菓子が鎮座していた。

 「(エ△エ) ようこそ、アマルのアトリエへ」

 大型の輸送車に揺られ数十分。
 人気の無い閑静な土地――といえば聞こえは良いものの、自然以外取り立てる条件の無い立地に変態天才美人研究者 アマル・スタグナント・ハイドラグラムは居を構えている。
 この変態先生は本来研究に集中できるよう郊外に住む研究者とは違い、どちらかといえば追いたてられて郊外に移り住んだ類だ。
 出不精なので材料集めは空間転移魔法を使い現地へ直行。
 素材を集めて帰ってきては座標軸を固定したままうっかり忘れるのが殆どなのだが、結果としてその度にはた迷惑な状況に陥る。
 例をいえば

 ・本来この国に居ない筈の大型生物が紛れ込んできてちょっとしたパニック事件が発生。
 ・真夏日に極寒地にしかない希少な『不凍水』という、こちらでいう液体窒素のような物質の採取に向かって閉じ忘れ数日間放置した結果研究所を中心とした極寒地獄が発生。
 ・元々住んでいた魔界から研究機材の調達を行ったところ、ゾンビと触手が研究所内に大量発生し研究所周辺が某ゲームと同じような状況に。※先生達は脱出済み。
 ・ダークマターが何故か出現。暗黒魔界化しかける。

 等々。
 枚挙に暇が無い為、どうかこれ以上研究をするなら余所でやってくれという周辺住民の必死の願いを聞かざるを得なくなり研究所ごと転移して今に至る。
 正直この変態研究バカに付き合わなければならなかった周辺住民には同情を禁じ得ない。
 
 「(エ△エ) いい加減変態変態言うのは止めてくれないか。直すのが大変だぞ」

 「人のモノローグ勝手に書き換えてんじゃねえよ!? ていうかアンタ最初に会った時、紛う事無き変態だったわ!」

 「(エ△エ) あぁ、由緒正しい全裸マントだった時だな。あの時君は可愛かったなぁ。『お姉ちゃん、何でお服ないの?』だったか。危うく襲いそうになったよ」

 「あっぶねえ……俺の人生、助けを求めた張本人に閉じられるところだったのかよ!?」
 
 俺達のやり取りを茶を啜りながら生温い目で見ているのは、沙耶とソラさんだ。
 だがちょっと待って欲しい。俺の温度が高いと思うか?
 仮にも信頼している人物から、実はお前俺のせいで年齢一桁で人生を詰むところだったとカミングアウトされれば誰だってこうなる。
 寧ろ殴り掛からない分まだ紳士的だ。

 「(エ△エ) 女に殴り掛かるのかね君は。その性格面の欠点、調整してあげようか?」

 「それが出来たらと本気で思ってるわ。自分の紳士さが恨めしいぜ」

 かと言って先生が嫌いかというとそうでもない。
 一応幼少時からの俺の恩人だし、何より年上の美人である。
 実は小さい頃、最初はそれなりに好意を抱いていたのだがあまりにもぶっ飛んだ思考回路と行動の為俺の好意は恋にすら成らず早々に幻滅していった。
 今では俺にとって歳の離れた姉のような存在である。

 外見で言えば前髪と揉み上げが長い変則的なショートカットで、体型は身長の低さも相まってトランジスタグラマーの見本のようなプロポーションをしている。
 やや童顔気味だが深海生物を思わせる無表情は本人も気にしているようで、そこにさえ触れなければ割りと面倒見の良い人物で通る。

 「あの、ちょっといいですか?」

 俺達の日常会話に耐え切れなくなったのか、沙耶が声を掛けてきた。
 そうだ、そういえば俺と一緒に来たわけだが、何で先生は沙耶まで連れてきたんだ?
 俺の疑問を余所に沙耶は口を開く。

 「(エ△エ) 何かな、日藤君。豪の事なら趣味嗜好まで答えられるが」

 「本当ですか!?……い、いや、そっちは後でいいですが。ちょっと気になりまして」

 知ってるんかい。そして知りたいんかい。
 だが、割って入るくらいだから結構重要な事なの、か?
 ここは黙って聞いていた方がいいか。

 「(エ△エ) ? では何かね」

 「あぁそれです」

 あまりに抽象的な質問に流石の先生も考え込む。
 ソラさんは勿論だが俺も分からん。
 沈黙をされたのが先生が気に触ったと勘違いしたらしく、慌てて沙耶が訂正してきた。

 「違うんですよ。それ、どんな風になってるのかなって」

 沙耶は自らのタッチパネル式の携帯端末を取り出して何やら打ち込むと、出来上がった画面を先生に見せた。
 あぁ、そういう事か。

 「こんなの→(エ△エ)がアマルさんの会話の冒頭に見えるんですけど、これって何ですか?」

 「(エ△エ) 顔文字だよ。自身の発言をより相手に直感的に理解して貰う為の人類の素晴らしい発明の一つだな」

 「いえ私が伺いたいのはそれが何であるかではなく、何故使われている事が分かるか、なのですが」

 「(エ△エ) ふむ。そうだな……例えばソラスタスは私と同じような事が出来る。何故だと思う?」

 「え? えぇと……分かりません……」

 「(エ△エ) うむ。素直で宜しい。要はソラスタスの表現技法は私が与えたものだからだ。だから私も使える。簡潔に言えばそういう事だな」

 「え……でもソラスタスさんは色々使えてますがアマルさんは……」

 その一言で空間にピシリ、という亀裂が入ったような錯覚を覚える。
 所詮錯覚は錯覚だ。現実にある訳じゃない。
 だが悲しいかな、錯覚だけに目で見て耳で聞こえて察せてしまう。

 「(エ△エ) 日藤君」

 「は、はい!」

 ただならぬ雰囲気に圧され、必要以上に勢いよく沙耶が返答する。
 
 「(エ△エ) 今後その話題は振らないように。いいね?」

 「は……しかし、ソラスタスさんが使えるのは「(エ△エ) 日藤君」」

 本来発言を遮る事をしない筈の先生だが、無表情のまま沙耶に迫る。
 貫禄のせいか単純な距離の問題か、沙耶は口を噤んでしまう。
 先生は更に続けた。
 
 「(エ言エ) 世の中にはいくら研究しても実を結ばないものが有る。そういう事だ」
 
 (顔文字が変わった!? それ程踏み込んじゃいけなかったの!?)
 
 きっぱりと言い放つ先生に沙耶は了承の意と引き攣った笑いしか出ない様子だった。
 そりゃそうだろう。その部分は先生のコンプレックスだからな。
 言った早々踏み抜く現場に居合わすとは我ながらツいてねぇな……。

 ちなみにこれは俺の推測だが、表面上無表情のソラさんは内面では感情表現が上手く、表面どころか内面すら感情表現が苦手なのが先生ではなかろうか。
 我ながら案外的を射ているのではないかと思うのだが、先生の愚痴を聞くのが嫌だから言っていない。

 「(エ△エ) さて、少々時間を使ってしまったな。早速本題に入ろう。着いてき給え」

 そういうと先生は広い応接室の壁側に歩いていく。
 事情を知っている俺とソラさんを尻目に、沙耶は一人遅れる形で俺達の後を着いてきた。
 先生は何も無い白い壁の前で立ち止まると小さく呟く。
 途端、壁に大穴が穿たれた。

 「か、壁が消えた!? 仕掛けですか!?」

 良い反応である。
 俺も最初はこんな初々しい反応をしていたのだと思うと懐かしい気分になった。
 先生も素直に驚かれて気分がいいのか、無表情でドヤ顔を決めている。

 「(エωエ) ようこそ、アマルのアトリエ改め、A・S・H総合研究所へ」

 一歩踏み入れれば、そこは見た事のある機械類が至る所に幾何学模様の施された空間の中整然と並んでいる。
 ご家庭にあるPCの何倍も大きなモニターとコンソールはそれだけで科学的な空気を匂わせているが、それらが繋がっている配線の先には有るのは古めかしい簡素な意匠の鎧とその倍程はある重厚な装甲を持つ、現代の技術で作り上げた鎧のようなものだ。
 研究所という名前には納得が出来るものの、何を研究しているのか全く分からない為ドヤ顔を決められても反応に困る。

 「何だ、あれは……」

 「(エ△エ) 【祝福鎧(ブレス・アーマー)】。アレはそう呼ばれている」

 「ブレス・アーマー? 何だ、そりゃ」

 初めて聞く名前に戸惑う俺。
 足りない主の説明をソラさんが補足した。
 
 《(・w・) アレはねぇ、所長が調査を依頼された、今日豪君に動かして貰う押収品》

 え? アレ着るもんなんすか?






「(エ△エ) どうだね? 機能の一部を試験的に盛り込んだのだが。使い勝手は上がったかな?」
 
 「燃費に関してはカートリッジを搭載する事で解決出来てると思います。ただ、矢張りあれだけ大きいと小回りが利きませんね。閉所や高度の低いところの作業には現時点では不向きかと」

 「(エ△エ) やはり小型化が必須か……困ったものだ。消費が激しいから外付けの増槽を付けたのにそのせいで重量の増大・大型化を招く。いやはや、いくら試験機とはいえ考え物だな」

 成る程、確かにアレだけデカけりゃ燃費も悪いだろうな。
 でも俺デカブツどこかで見覚えが……あ、アレ! 思い出した、俺を追い回してたヤツだ!
 話してる様子からデカブツを沙耶が使ってて、そのデータを元に先生が改修していたようだ。
 黒幕コイツ等かよ…………。

 「おい」

 俺の呼びかけは向こうに通じていないのか無視しているのか。
 全く返答がない代わりに向こうの遣り取りだけはこちらに届いてきている。

 「(エ△エ) まぁ致し方ない。今回の実験で実際の魔力の流れが分かれば効率的な運用方法も見えてくるだろう。どんな結果であれ実践ほど分かり易い成果を出してくれる機会はないわけだからな」

 《( ´・ω・)⊃旦  所長、沙耶ちゃん。お茶入りましたよー》

 「有難う御座います。あ、このクッキーお茶の葉が入ってるんですね」

 《(9`・ω・)9 頑張ったの》

 まさか俺が着るのはあのデカブツか? とか思ってたんだがそうではない。
 今俺は鈍色の簡素な鎧を着せられた上に何やらゴテゴテとした計測器とも装備品とも判断出来ないものを全身にくっ付けられていた。
 そして情けない事に動けない。マジで。

 「おい! 全く動かねぇぞコイツ! 不良品じゃないのか!?」

 「(エ△エ) あー。神代って訳じゃないが黴臭い時代の代物だしな。壊れてるかもしれん」

 「マジ!? 黴生えてんのコレ!?」

 他人に着せるなら清掃くらいしとけよ!?
 汚すぎんだろ洒落にならんぞオイ! ――――って脱げねええええぇぇぇぇっ!!??

 「(エ△エ) 装着すると魔力が切れるまで継ぎ目すら無くなるからな。素晴らしいフィット感だろう?」

 「質問に答えろおおお! 黴生えてんのか生えてねぇのかどっちだコレ!」

 「(エ△エ) ふはははは! 怯えろぉ! 竦めぇ! 外れぬ恐怖を抱いたままモッサリしたネギ臭さと同居するが良いわ!」

 「こんの人でなしがぁぁぁああああっ!!!」
 
 「(エ△エ) 冗談だよ。今間接のロックを外そう」

 俺の悲痛な叫びを余所に軽い電子音の響いた後、全身に解放感が満ちる。
 先生は俺をおちょくらんと気がすまんのか……何もしてないのに相当疲れた……。
 俺は調子を整える為、呼吸を落ち着かせると軽く柔軟を開始した。
 
 「(エ△エ) どうだね? 何か違和感はあるかな」

 「いや、気持ち悪いくらいに何も無いな。それにこいつどうなってるんだ? 先生の仕業か?」

 俺が着させられたのは簡素以外何も言えない、板金で作ったような安い造りの金属鎧だ。
 所々に磨り減った意匠はあるものの、くすんだ銀色は自身を照らす光を曇らせながら反射している。
 体を覆う部分は足首から下と脛、それに腿と間接の自由度を確保した上で最小限割り振られており、続いて胴と肩、二の腕が手甲部分と分かれて配置されている。
 
 どれも間接の自由度を優先しているのか覆われていない部分が多く、金属に覆われていない部分は革のツナギをインナーにすることで心持ち程度の防御力を用意されていた。
 ここまでおざなりな防御力に反して頭だけは徹底して守ろうとしたのか、延髄まで守る視界最悪そうな兜が安っぽさを加速する。
 
 敢えて好意的に解釈すれば機動力優先の部品点数を削減した全身甲冑と言えなくも無いが、正直俺がRPGの主人公で王様からこんなもん渡されたら文字通り王様の頭を兜で割る自信があった。

 そんな不満タラタラになるような手の込んだコスプレ紛いの装備品を着せられて尚、俺が先生に面と向かって文句を言わないのは外見の安っぽさに反した予想以上の性能からだった。
 まず重さ。腐っても金属なのでそれなりの重量はあると覚悟したのだが、まるで普段着のように軽い。
 
 「(エ△エ) 素材はミスリル銀がベースでな。まるで装着していないようだろう」

 「……視界も普段と大差ないから余計にそう思うな」

 もう一つは予想に反して視界が非常に良好であるという事。
 一枚の金属板から作られたような簡素どころか手抜きのような形の兜だったが、被るとミラーバイザーのような処理が施されていたらしく非常に良好な視界が得られた。
 
 「(エ△エ) ちなみにそれはその【祝福鎧】――〈レイディエンド〉の基本的な機能だ。他の解析した部分は既に改造済み。やったね」

 「押収品って題目何処行った!?」

 先生、やったねっていうかやっちまってんじゃねぇか。
 借り物勝手に改造しやがったよこの人!

 「……一応聞くが。この肘や脛に付いてる出っ張りは何だ? モビ○スーツにでもなった気分になるんだが」

 気になるのは肘部と膝部に不自然な長方形の出っ張りが取り付けられている事だ。
 動き難くはないのだが、簡素な板金鎧に対してあまりにも機械感を醸し出すそれは別の意味で違和感しか感じない。

 「(エ△エ) それはカートリッジだ。言ってしまえばバッテリーの魔力版だな。言っておくが外すなよ? それが無いと歩行すらまま成らないのだからね」

 先生が言うには、俺が着ているこの【祝福鎧】とかいう安っぽい鎧はインキュバスや人間用の新しい装備品の云わば雛形らしい。
 魔力を吸収させて活性化、装着者の動作補助に充てる事で建機の入れない狭い空間での重労働や災害救助を容易にする、言ってしまえば魔力版パワードスーツの目的で参考にしているとの事だ。
 
 とはいえ魔力消費量が半端ではないらしく、そのまま使えばまず実用に耐えない。
 なので事前にデータ取りをして作ったのが沙耶がテスターをしていた宇宙世紀な動作音の重ゴーレムなのだが、如何せん大型化が進みすぎこれも実用に耐えないという判断をされた。
 結果、より省エネ化・効率的な魔力回路の運用の為どうしても動いている状態でのデータ取りが必要になったという訳だ。

 「(エ△エ) 単純作業ならカートリッジ一本で約1時間は動けるのでね。今回は余裕を持って4時間分積んだ。君の拘束時間内は余裕で動いてくれるだろう。ついでに残量の表示もしておこうか」

 そういうと俺の視界の端に円形のグラフと%、数字が表示された。
 ……どうやら、コレがカートリッジの残量表示らしいな。

 「(エ△エ) それと注意点としては、間接部に付いている機材はデータ収集用の他にロック機構となっている。無駄に動くと使用者の魔力を大幅に消耗するから動かないようにする為の措置だ。びっくりして動こうとするんじゃないぞ?」

 気付けば足元が急に光りだす。
 何事かと下を見ると、同心円の間に幾何学的な文字がいくつも並んでいた。

 「(エ△エ) 歩く、走る等は既にテスト済みだ。作業時の負荷も含めてデータが欲しいのでこちらの指定する座標へ転送させて貰うよ」

 言うが早いか俺の意思確認など関係ないとばかりに足元の床が消えた。
 悲鳴一つ上げられず急激に下がる視界の中、俺が最後に聞いたのは――――

 「(エ△エ) む? 高さが…………まぁ、何とかなるか」


 ――――最後まで言えよっ! 気になるだろ!?



PM 17:00

 轟音が響く。衝撃が体を走る。
 体を走る信号は過度の情報から目蓋の裏を白く染め、信号に耐えられなかった体は触覚と言わず聴覚と言わず、脳に新たな情報を更新させる事をサボタージュしていた。
 
 「い……たくないけど。一体、何があったんだ?」

 鎧のせいで感触が今一掴めないが、体を動かすと漸く俺は自分が四肢を投げ出して倒れていた事に気付いた。
 思わず上を見るとささくれ立った建材や鋼材が内側に向けてひしゃげている。
 見上げた俺の視界は、そこから除く群青色で埋め尽くされていた。
 散りばめられた輝点は白赤黄と様々に明滅している。
 暗色に散った雲は緩やかに流れており、ここが何処かの建物の中で上からそれなりの勢いで落ちてきた事が想像出来た。
 ややあって、視界の片隅にどこかで見たような黒い小さな四角形が映し出される。
 ご丁寧に【SOUND ONLY】と書かれたそれは多少走っていたノイズが収まると明瞭な声を弾き出した。

 『(エ△エ) ほう、土壇場での調整が功を奏したな。無事で何よりだ』

 
 「ざけんな! 上見ろ上! でっかい穴開いてんじゃねーかっ!!」
 

 『(エ△エ) ふむ。すまんが取り急ぎ音声しか回復出来なかったのでな。見えんのだ』

 「確信犯かコノヤロウ!?」

 地団駄踏みながら抗議するが、冷静な突込みしか返ってこない。
 先生、アンタ少しは悪いとか思わねーのかよ!?

 『(エ△エ) 少なくとも怪我は一切していない筈だが。カートリッジに封入されているのは我々魔物娘の魔力だからな。保護の魔力が君を守っているだろう? それに【祝福鎧】自体が装着者を守るよう設計されている。……まさか、何処か怪我をしてしまったかね?』

 改めて体のあちこちを触ってみるが、何処も痛むところが無い。
 視界が白むほどの衝撃こそあったが、いざ動かすと普段と変わらない感覚しか感じなかった。

 「――いや、何ともない。意外とすげぇのな、コレ」

 『(エ△エ) 燃費が悪い分性能は高い。すまないが今何が見えるか教えてくれ。指定座標からずれてしまったようなんだ』

 どのくらいの威力だったか知らないが、破壊跡から見ると大よそ10m前後の高さから仰向けで倒れたようだ。
 普通大怪我だよなぁ……スマン、鎧。安っぽいとか思って悪かった。
 しかし何が見えるか、か。暗いし目が慣れないんで良く見えないんだが、この匂いは潮か?
 波の音も聞こえるし、海が近いのかも知れない。

 「まだ良く見えないが建物の中のようだ。海が近くにある」

 『(エ△エ) ……転移魔法陣繋げた埠頭で間違いなさそうだな。外に出れるか? そこは使われなくなった資材置き場の筈だ。コンテナが無造作に置かれているだろう』

 「外? あー、ちょっと待ってくれ先生。何か見えそうだ」

 灯りが乏しい中、徐々に輪郭が浮かび上がってくる。
 つか妙に狭いなココ……。
 そう考えて周囲を見渡そうとしたところ――――

 ――――チャリ

 微かな、だが確かな金属音を耳が拾った。
 集中しようと五感に意識を向ける。

 「はぁ、はぁ……」

 「う、う……ぐすっ……」

 「寒い……怖い……帰りたい……」

 消え入りそうな息遣い。
 絶望感を漂わせる嗚咽。
 小さな、悲痛な叫び。

 狭いのは当然だ。
 ここは細い廊下。右と左の空間を見渡し、時に押し込めるだけの通路。
 暗いのは当然だ。
 慣れてきた事で漸く気付いたが、この空間には窓が無い。空いた穴から光が入って漸く凹凸が確認出来るくらいだ。
 そして――――この子達が怖がるのも当然だ。
 ここには彼女達を守る筈の親も大人も居ない。

 「何だ! 襲撃か!?」

 「この場所はバレないんじゃなかったのか!?」

 「おいお前等! 下に行け! 商品を確認して来い!」

 ドカドカと不揃いな足音が聞こえる。
 無遠慮な、聞きたくも無い濁声が近づいてくる。
 ふと周囲を見ると――慣れてきた視界の中、身を寄せ合うように縮こまり、この上なく怯える少女達の姿が映った。
 
 「穴!? 侵入者か!」

 乱暴に開け放たれた扉の音に少女達の怯えが漣のように広がっていく。
 入ってきた男達は乱雑に持っていた懐中電灯を振り回すと光の当たる牢の中を見回した。
 
 そうか。

 「貴様、何処の子飼いだ! ここを知られたからには生きては――――」

 男が何か言い掛けたようだが気にしない。
 近寄ってぶん殴ったら吹っ飛んだまま動かなくなった。
 どうせ大した事じゃない。
 どうせ――――

 「い、一撃だと!?」

 「化け物共の仲間か、コイツ――」


 
 お前等のせい、なんだろう?













  遭遇は短く、決着はもっと短かった。
 今俺の足元には物言わぬ男達が転がっている。
 よく見ると拳銃も持っていたようだが、それを抜く間すら無かったようだ。

 「――――先生、聞こえるか」

 なるべく感情を出さずに呼び掛ける。
 頭が沸騰しそうな怒りは治まりそうに無いが、それでも会話をするには支障ない程度には温度が下がった。
 彼女達を怖がらせたくないし、俺は静かに先生が答えるまで待った。

 『(エ△エ) 問題ない。今映像をリアルタイムで見られるくらい回復したが――派手にやったものだな』

 返答が返ってきたのを確認すると、俺は続けて先生に頼み事をする事にした。

 「救急と警察へ連絡してくれ。場所、分かるか?」

 『(エ△エ) それも問題ないさ。元々その〈レイディエンド〉には追跡タグが付けてあるんだ。位置くらい簡単に割り出せる』

 「そうか」

 俺は答えながら男達に近寄る。
 鍵くらい持ってるかと思ったが、下っ端なんだろう。電灯と武器くらいしか持っていない。

 『(エ△エ) まぁ、呼ぶ手間は省けそうだがな。……出てきても問題ないと思うぞ、お嬢さん?』

 「!」

 勘を頼りに振り返る。
 その先から、小柄な影が浮き彫りになった。

 「随分派手な登場だったわね。確かに応援要請はしたけれど、貴方は何処のどなた様なのかしら」

 背丈で言えば俺の半分くらい、牢に入れられている少女達と何ら変わりない。
 脛まであるブーツに覆われた先は膝上まであるニーソックスが覆い、程よい肉の付いた太腿はこの時期厳しいであろうホットパンツとの間で眩い輝いている。
 上は象形化されたハートを意匠にしたジャケットが着込まれており目深に被ったフードから薄闇に長い銀の髪が伸びていた。
 
 「すまないのだけれど、先に名乗って頂けるかしら。返答によっては容赦はしないけれどね」

 俺、何で幼さの残る声で何やら物騒な脅しかけられてるんですかねぇ……。
 とはいえ隠すような事は無いのでさっさと終わらせる事にした。

 「志磨市立第二高等学校二年生、斑鳩 豪。現在バイト中だ」

 「……学生? 最近の若い子のバイトって分からないわね――――あぁ、成る程ね」
 
 何やら合点いったのか、少女は俺に歩み寄ってきた。
 お互いの顔が見える距離――但し俺はフルフェイスだが――まで近寄ると、その少女が人間でない事に気付いた。
 青い肌に、本来白目の部分が黒くなった紅彩を持つ瞳が目深に被ったフードから覗いている。
 よく見ると腰から後ろに先が鏃(やじり)のように尖った尻尾が垂れていた。

 「アマル、貴女の差し金? 盗み聞きは良くないんじゃないかしら」

 俺――というよりは俺を通して居るであろう人物――を見据えながら少女は呼びかけてきた。
 俺がどう答えるべきか考えていると、先生が代わりに返答する。

 『(エ△エ) やぁメフィル。それは全くの誤解だ。彼は僕の用意した仕事に協力してくれているだけでね。ここにも偶然入り込んでしまったんだ』

 「誘拐犯のたむろする輸送船にわざわざ? ソレのテストのつもりかしら?」

 どうやら知り合いらしい。
 が、いつまでも話し込んでいていいのだろうか。
 どうやらこのロリっ娘はそれなりの立場にいるようだが、それならこの娘達を早く助けて欲しい。
 
 「なぁアンタ。アンタが別に何処の誰だって構わない。この娘達を助けてくれないか?」

 俺が割り込むとロリっ娘は話を中断させられて少し気分を害したのか、やや投げ遣りに応えてきた。

 「良いわよ? じゃあまずこの牢を開けて頂戴。それとまだ敵も残ってるだろうから倒してきてくれるかしら。出来ないなら――――」

 最後を言い終わるところで俺は牢に設けられた出入り口と思われる格子に手を掛けると、思いっきり力を込めて引っ張った。
 途端、鍵部分と蝶番が格子ごと纏めて破壊される。
 ロリっ娘は『黙ってて』とでも続けようとしたのかも知れないが、口を閉じるのも忘れて呆然とこちらを見ていた。
 構わず向かいの牢の格子も全部壊し、俺はロリっ娘に向き直る。

 「開けたぞ。後は連中を倒せばいいんだよな? 行ってくるわ」

 普段ならやりたくない、と考えたろう。
 背中を向けて安全なところまで走って助けを呼んだろう。
 だが、少女達に課せられていた仕打ちで熱くなった頭はロリっ娘の挑発で油を注がれてちょっとやそっとでは治まりがつかなくなってしまった。
 今の俺は、自分が負けるイメージなんて沸いてこない。
 だが――――

 「――――ごめんな」

 牢を壊して怖がらせたかもしれない。
 ロリっ娘にも実は無理難題を押し付けたのかもしれない。
 何を思って自分も謝ったのか分からない。
 もしかしたら、人間の汚い部分に翻弄された彼女達に人間として謝りたかったのかも知れない。
 自分でもよく分からないまま男達が入ってきた扉を進むと、俺は弾けるようにその階段を駆けて行った。

 







 弾けるように姿を消した豪を見送る形となったメフィルだが、その心中は穏やかではなかった。
 彼女から見れば身元不明、背景も不明瞭な頭がフルフェイスである以外は軽装鎧を纏うだけの不審人物だが、勢いだけの発言で戦地に駆り出させてしまったからだ。
 
 ――――なぁアンタ。アンタが別に何処の誰だって構わない。この娘達を助けてくれないか?

 若い声だった。
 振り返れば名乗りも何処かの機関ではなく学生ではなかったか。
 アマルの関係者である様子と時代錯誤な軽装鎧を着込んでいた事が重なって勝手に子飼いの私兵かと勘違いしていたが、彼自身アマルから斡旋されたバイトでここに来たと言っていた。
 もう少し信用して、協力しても良かったのではないか。
 
 グルグルと回るかつて選べたであろう選択肢と選ばなかった後悔を彼女は反芻する。
 だがもう遅かった。
 彼女は未来ある若人に戦地への吶喊を命じている。
 
 ――――ごめんな。

 その一言が突き刺さる。
 己がした訳でも無かろうに、その言葉には後悔があった。
 己がされた訳でも無かろうに、その言葉には怒りがあった。
 無茶な要求に不満を漏らす事無く、溢れる感情に身を焼きながら彼は駆け出した。
 
 (何やってのよ。私は……!)

 怒号が響く。
 軽火器の発砲音が響く。
 小さな振動が伝わり、やがて静かになる。
 そのローテーションをメフィルはただ一人聞いていた。
 
 (一先ず連絡だわ。こんな大人数、私一人で安全圏に移動なんてとても無理)

 彼の装着していた簡素な鎧は、恐らくアマルに引き渡されたという【祝福鎧】で間違いないだろう。
 普通に動いているという事は何らかの解決案が試されているという事だ。
 アレがマトモに動くなら彼も余程の事が無い限り無事だと考えられる。
 
 向こうは無茶を飲んだのだ。
 ならば、こちらも相応の働きをしなくては会わせる顔が無い。
 
 メフィルは懐から小型の通信機器を取り出す。
 通信魔法で連絡を取れれば良かったのだが、現在彼女がいる場所はジャミングが掛かっているのか調整に手間取ってしまう。
 そういった場合に備えて彼女の所属する機関は機械式の通信端末も支給している。
 普段使う事の少ないそれを操作すると、ややあって慣れ親しんだ声に繋がった。

 「私よ。被害者は全員無事を確認。ただ衰弱が酷いから、すぐに救護班と制圧部隊を用意して。場所は――――」
 
 一通りの遣り取りを済ませた後、メフィルは通信機を懐に仕舞う。
 代わりに小さなハート型の小瓶を取り出すと、牢の中に入り込み特に衰弱の激しい天使の口に少量中身を含ませる。
 反射的に嚥下した少女は荒かった吐息を睡眠時のような浅く規則的なものへと変えていき、ゆっくりと眠りに落ちていった。
 彼女が取り出したのは非常用の精補給剤である。
 通常の市販されている味気ないものではなく、虜の果実の濃縮液を配合された栄養価の高い支給品で即効性も高い。

 救護班の到着まではそれで凌げるだろう。
 頭の中でざっと要請した支援が到着するまでの時間を算出し、その後の処理までメフィルが考えてた丁度その瞬間。

 「――あの、さっきの人のお知り合いですか? お願いが――――」

 捕虜となっていた天使の少女の一人がメフィルに呼びかけて来た。
 切羽詰ったような様子の少女を宥めつつ聞いたメフィルだが、内心苦虫を噛んだような心境に陥る。
 面倒事が一つ、増えてしまったのだ。









 PM 17:20


 「おおおおおおおおっ!!!!」

 
 床を飛ぶ。
 壁を蹴る。
 天井を走る。
 狭い空間を獣の如く駆け抜ける。
 出会い頭に遭遇した筋肉と肥満体の中間のような男にフライングニーを決めて壁ごと吹き飛ばした事を皮切りに、俺は破竹の勢いで船内で暴れ回った。

 「ブ、【祝福鎧(ブレス・アーマー)】!? 何で味方が!?」

 「知らん! あれだけの天使だ、大方金に目が眩んだんだろう! 構わん撃てっ!」

 「金如きで主神様に牙を向くとは……あの世で悔いるが良い!」

 正面:敵性 3。
 予測攻撃:火器による小口径弾の掃射。
 予測損害:軽微。
 
 脳内に情報は速やかに届けられ、フルフェイスの内側に映る映像はまるで俺以外が遅くなったかのように緩やかに流れ始める。
 
 驚愕、憤怒、敵意。
 それらを浮かべる男達に刻まれた表情の歪みすらつぶさに観察出来そうだ。
 ――――しかし、本当に遅い。やる気あるのかコイツ等?
 
 彼我の距離は8m程か。
 構えた腕が持ち上がる頃には一度の踏み込みで4mを縮めた。
 壁を突き飛ばし勢いを殺さず方向転換して更に2m近づくと、反対側の壁を蹴ってもう2m一気に踏み込む。
 方向転換した要領で殺さなかった勢いのまま中央の男に体当たりすると男は冗談のように吹き飛んでいく。
 中央にいた人間が姿を消した事で我に返ったのか、残った二人が腰だめに構えた小火器でこちらを撃ち抜こうとするがそれも遅い。
 左の裏拳で右にいた男を打ち抜くとそいつは錐揉みしながら床を転がっていった。
 回転の勢いを乗せたまま打ち下ろし気味の右フックを叩き込むと、残った最後の男も俺が出てきた階段を通り過ぎて向こう側の壁にぶつかると動かなくなる。
 
 急がないと。
 あのロリっ娘に『全員安全に助けたければ敵を残らずぶちのめせ』と言われたんだ。
 手間取ってたらあそこにいる女の子全員の身が危険になる。
 
 それにしてもこの船自体は改造を施された貨客船のようでかなり大型だ。
 構造自体は広めのフロア、格納室、通路と単純だが、どうやら簡単な妨害術式が施されているのかある程度敵の気配のようなものは感じるのだが正確に何処か、というのが分からない。
 今着ている俺だから分かるが、どうやらこれもこの鎧――〈レイディエンド〉とやらの機能のようだ。

 「くっそ――敵は何処だ……?」

 早く倒さないと。
 早く、早く、早く、早く。もっと強くなって倒さないといけない。
 

 『(エ△エ) 探し物は何かね? 青少年』

 
 「おわあっ!? せ、先生かよ。何だよ急に……」

 
 『(エ△エ) 見つけ難いもののようだね。少し手伝ってあげよう』


 「近い近い近い! リアルタイム映像と音声とイメージ映像全部が近い!」

  一刻を争う中、通信するタイミングを計っていたのだろう。
 先生がアップからドアップになって呼びかけてくる。
 まぁ、お陰で少し頭は冷えたが……。

 『(エ△エ) 今調整を加えた。どうだい? 美人先生以外に何か見えないかな?』

 「ボロ雑巾になった野郎共と瓦礫と鏡を見せたい奴が居るかな」

 『(エ△エ) ほう、説明するまでも無い美しさという事か。いやはや、面と向かって言われると年甲斐も無く照れてしまうな』

 「だったらそれらしい表情作れよアンタは。……で? このあからさまなレーダーっぽいのがそれか?」

 視界の左側に船の概略図らしい表示といくつかの輝点がある。
 恐らくこれが敵の位置だろう。
 頭で考えるとそのとおりに概略図が移動し拡大・縮小される。
 うわ、凄っげぇ便利だコレ。

 『(エωエ) 即席にしては中々だろう。まず良いニュースだ。相手は一箇所に戦力を集中する事に決めたようでね。今暫くはお互い世間話に花を咲かせて居られる』
 『((エ△エ) そしてもう一つ。君がご執心の天使のお嬢さん方だが、もうじき到着する救護が到着する。彼女達を護衛する為の人材も同時に派遣される予定だ』

 「そうか……良かった……」

 あのロリっ娘約束を守ってくれたんだな。また会ったら礼でも言っておこう。
 ん? でもそうなると俺はどうすればいいんだ?

 「なぁ先生、そうなると俺どうすればいいんだ? やっぱ突っ込んでかないと駄目なのか?」

 『(エ△エ) 個人的には帰ってきても良い……といいたいところだが、君を焚きつけたメフィルから依頼があったよ。船内から重要人物を救出して欲しいそうだ。悪いニュースと重なるが、どうやら救出して欲しい人物はその集中している戦力の向こう側に居るらしい』
 『(エ△エ) メフィル自身も天使のお嬢さんから聞かされて初めて知ったらしい。予想外の出来事だが、君を見込んで頼みたいそうだ』
 
 うわーい俺鉄砲玉ー。
 何このハードな一日。簡単なバイトじゃなかったのかよ。
 さっきは頭に血が上ってたけど、俺今相当危ない事してなかったか?
 ていうかアイツ等銃持ってなかった?
 ……俺、帰ってもいいかな。

 「なあ先生、俺ここで帰ったりしたら駄目か?」

 『(エ△エ) ……魔力の一部が滞留している? こんな反応をするのか。だが何の意味が……?

 「確かにさっきは何か何でも出来そうなくらい頭に血が上ってたけどさ、流石にこんな守る部分が薄くて少ない板金鎧だけだと命を守る防衛ラインに一抹の不安を感じるというか何というか」

 『(エ△エ) プールしているのに消費が激しい……? 実際に動く事で各部にバイパスが出来たのか? それよりも先程の生体データ、薬物の効果を打ち消していたような……これは一体どういう事だ……?

 「あのー先生? 駄目なら駄目で覚悟決めるから、せめて安全策とか欲しいなー……なんて」

 『煤iエ△エ) ん? あ、あぁ済まない。やってくれるかそうかありがとう』

 「欠片も俺の話聞いちゃいねぇよこの人っ! 何、軽いの? 俺の命マウス並なの!?」

 魔物娘は人命最優先っていうけどこの人絶対その枠から外れてるだろ!
 つかメフィルって誰だよあのロリっ娘か!? 俺を見込んでとかどの辺りを見込んでんだよお前!
 買い被りもいいところだっつーのっ!

 『(エ△エ) まぁ策はある。取り合えず君の身の安全は確保したいからメフィルにも協力して貰おう』

 ――――先生、俺、先生の事信じてたぜ!
 あ、でも結局やらされてるじゃん俺……。

14/12/26 23:58更新 / 十目一八
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■作者メッセージ
頭の中は年末までシングルヘル。十目です。
今回は駆け足の為、大分長いのを投下してしまいました。当方の見通しが甘かったせいでお目汚しとなり申し訳ありません。
分割した内容で要らない部分を削ってくっつけた為、違和感も半端ないかもしれませんが頑張りますのでお付き合い頂ければと存じます。

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