おまけ
※ベッドルームでの一幕です。エロメインですがエロさはおまけ程度です。
天蓋付のベッドなど、自分の人生で見る機会が在るとは思わなかった。
僅かな灯火が揺れる中、仄暗い空間から橙に切り取られた彼女と居る空間を見回してそう考える。
此処は一体、何処なのだろうか。
「ここは万魔殿(パンデモニウム)の一角の、一室の、そのまた一部の時間です」
背もたれにした枕はマットレス同様自分を深く、柔らかく受け止めている。
彼女はその状態の俺に馬乗りになっていた。
今の俺は、柔らかい釘と柔らかい台に固定された標本のようですらある。
「【デモパレス32】へのご契約、ありがとうございます♪……ここが本日ご紹介の目玉、ベッドルームです♥」
彼女が俺の胸板に密着してくる。
ひしゃげた胸の柔らかさと肉感に意識を持って行かれそうになるが彼女の深紅の瞳がそれを許さない。
「当ベッドルームの最大の特徴はズバリ『性欲増進』。特殊加工を施されたワーシープの毛を使っています」
ワーシープについては聞いた事がある。
その毛皮は強制的ともいえる安眠効果があり、大変重宝されている高級素材だとか。
しかしそれでは二人でベッドインしても安眠するだけではなかろうか。
「そう、思われるでしょう?……でも、ほら」
そういって彼女は適当なところからシーツの一部を手繰り寄せる。
鼻元に持ってこられた際に鼻腔に入った香りに俺は一瞬ボーッとしてしまう。
「眠くならないでしょう?代わりに少し何も考えられなかったでしょう?」
彼女は優しく俺の頬を撫でると、そのまま首筋に舌を這わせてくる。
それだけで半勃ち状態であった俺の陰茎が硬度を増してきた。
「これ、は――――」
「この素材は少々特殊でして。男性の精液、女性の愛液、その他体液を吸うとお互いを昂ぶらせる匂いを発散するんです。勿論元がワーシープの体毛ですので若干の睡眠を誘いますが――――」
次の瞬間、俺の股間に何かが巻き付いてきた。
芯を備えた柔らかさを持つ、何やら長い器官のようだ。
その先の尖った部分が陰嚢(いんのう)を転がしている。
「そんな気に、ならないでしょう?」
次の瞬間、彼女は臀部を俺の方に向けて倒れこんだ。
最低限度の衣類で隠された部分が目の前に放り出される。
「私、もう我慢できません♥だから――――いただきまーす♥」
唐突に音が消えたように感じた。
気がつくと天蓋部分を上に見たまま動けなかったのだ。
何やら股間が強烈な吸入を受けているような感覚があったのでそれを頼りに意識を集中する。
結果、しなければ良かったと後悔した。
「あああああああああああっ♥♥♥♥」
獣じみた咆哮が漸く鼓膜に届く。
これが――自分の声だと気付くのに然程時間は掛からなかった。
「じゅぅ♥ずず♥ぢゅうううぅぅぅ♥♥」
より強い吸い上げを食らった瞬間、視界が真っ白になる。
圧からの開放感。
快楽の果てに欲望を吐き出した解放感。
ペニスから何億もの命を放出する、生命としての達成感が綯い交ぜ(ないまぜ)になる。
「……ぷはっ。あぁ、何て美味しいのでしょう♥これが真さんの味……♥」
尿道に残っていた一滴すら吸出し、彼女は恍惚した声を上げる。
起き上がった上体は背中側しか見れないが、腰付近から生えている黒翼と鎖の巻きついた尻尾が嬉しそうに震えていた。
脱力した俺が漸く首だけ持ち上げると、丁度尻尾が目の前にある体勢となる。
俺はおもむろに彼女の尻尾に手を伸ばした。
「ひゃんっ!……もう、尻尾は敏感なんですよ?いきなり触っちゃ駄目、です」
先端の細いくびれ部分を細かく擦る。
口調は非難する内容だったが、態度はその限りではなさそうである。
少女のような不満顔でこちらを振り返る姿に、若干悪戯心が芽生えてきた。
少し時間を置いたから回復したし、こちらから攻めても良いだろう。
俺は陰茎を扱くように指で輪っかを作るとそのまま前後に動かした。
「ちょっ、本当に、あ♥怒り、ます、よ!?」
敏感な部分を攻められると流石に弱いのか、尻を突き出す形で突っ伏していく舞の姿が酷く艶かしい。
左右に揺れる尻の動きは、まるでもっとして欲しいとねだっているようだった。
「伊嘉瀬さん……すっげぇエロいです」
尻尾を擦り続けていると、彼女の身体のある一点に目に入った。
履いている水着の色が濃くなっている。
水着の吸水量を超えているのか、愛液が蜜のように汗ばんだ白い太腿を伝っていた。
水着をずらして指を入れると、何の抵抗も無く第一関節まで沈んでいく。
「見て下さいよ。伊嘉瀬さんのココ、凄い事になってますから……」
彼女の目の前に指を突き出す。
少し入れただけで纏わりついた愛液は、光を反射しテラテラと光っていた。
俺は尻尾の扱き部分を徐々に根元に近づかせながら耳元で囁いた。
「尻尾扱かれただけでこんなになるなんて、感じ易いにも程がありますよ。溜まってたんですか?」
彼女は顔を赤く染めると、そのまま俯いて向いてしまう。
図星を当てられて答えられず、黙りこくる気なのかもしれない。
その姿がより嗜虐心を誘った為、小陰唇付近を掻くように指でなぞる。
「んぅ♥ふ、あぁぁ♥」
「何とか言って下さいよ。これじゃ俺が馬鹿みたいじゃないですか」
漏れ出す愛液を肛門まで塗りたくる。
唐突の刺激に一瞬括約筋が閉められて人差し指の進入を阻んだが、すぐに易々と俺の指を飲み込んだ。
「ケツの穴まで欲しがってるじゃないですか。欲しいものがあるでしょう?言って下さいよ」
指を二本に増やし腸壁を押すように掻きまわすと彼女は弱々しく声を上げた。
「……おねがい……します……真さんのおチンポから出る精液を、私のおマンコに排泄して下さい……っ!」
伊嘉瀬さんは震えながらこちらを振り返る。
巨尻が揺れたおかげで予想外に刺激を与えてしまい、また小刻みな痙攣をしている。
まさかいきなり伊嘉瀬さんの口からあんな淫語が飛び出すとは思っていなかった。
そこまで我慢出来なかったという事だろう。
俺は伊嘉瀬さんの腰を上げると、いきり立った分身を秘裂にあてがった。
「来て、すぐ来て!真さんのすごいので私をハメ倒してぇ♥♥」
完全に何かのスイッチが入ってしまった伊嘉瀬さんは期待いっぱいで声を上げる。
俺自身抑える気もない為、一気にそのまま貫いた。
その瞬間、俺を受け入れる準備をしていた伊嘉瀬さんの膣内は縦横無尽に俺自身を絞り込む。
ざらつく襞、不規則な細かい突起の集合が俺から再度子種を奪わんと蠢いた。
俺のペニスが快楽信号を受信するだけの別の器官になったような錯覚すら憶える。
結局俺は挿入して数十秒も保てず射精した。
自分でも驚くくらいの早漏である。
散々焦らして自分がこれでは、伊嘉瀬さんも拍子抜けしたのではなかろうか。
大量に吐き出した射精の余韻の中、そのような事を考えていると――――
「すご♥濃いの出てる、まことさんが私でイってくれてるううぅぅぅ♥♥」
然程気にしていないようだった。
……どういう事だろうか?
俺は結合を解くと、ぐったりと背中から倒れこんだ。
陰茎が抜かれた事で物足りなさそうな表情を浮かべ、伊嘉瀬さんがこちらを覗き込んでくる。
「素敵でしたよ、真さん♥……どうしたんです?」
情交の後の為頬は火照り髪は些か乱れている。
その状態で不思議そうな表情を浮かべ、彼女は俺に問うてきた。
「いや、焦らしてあんな一発だけで終わりとか、幻滅してないかなぁって思って……」
何分童貞には強すぎるどころか無理ゲー過ぎる快感であった。
逆に、一度も戦った事のない兵士が有名所の砦の門まで侵入した事を褒めて欲しいくらいである。
「しませんよ。真さん、初めてでしたでしょう?私も初めてですし。お相子ですよ」
そう言われて何とか上半身だけ起き上がる。
彼女の股の部分を見ると確かに赤い血と俺の精液、そしてそれらが混ざった斑なピンク色が見えた。
そういえば昔彼女から『初めては痛い』と聞いていた。
行為に及んだ事はないのだが、今初めてを奪われた女性が目の前にいるのだ。
俺の中で急に罪悪感が込み上げてきた。
「すみません……俺、自分の事ばっかりで……。痛く、なかったですか?」
恐る恐る聞いてみる。
流石に彼女から逃げる気は無い。
ただ、誘われたとはいえここまでする気は当初の自分には無かったのである。
彼女からの恨み言を一つくらいは受けなくては、彼女の怒りが収まらないのではと思ったのだ。
彼女は小首を傾げながら、きょとんとした表情で返してきた。
「堕落神様の元に行ったまま、帰って来れないのではと思うくらい気持ちよかったですよ?」
全くの杞憂であったようである。
しかし俺は自分のした事からどうしても罪悪感が拭えない。
勝手な感情とは思うが、どうしても暗い表情になってしまう。
そんな中、伊嘉瀬さんがポツリと声を出した。
「――――私、自分の名前が嫌いだったんです」
突然何を言っているのか分からなかったが、彼女はこちらに意を介さず話を進めた。
「私の名前、何度か呼んで下さったからご存知ですよね? “伊嘉瀬 舞”。この名前を平仮名で読んでくれます?」
伊嘉瀬 舞……いかせ まい。
別段何もおかしいと思うところがない。綺麗な響きの名前である。
そう告げると、彼女は少し満ち足りた表情を浮かべた。
「ありがとうございます。今度は“い”の部分を片仮名の“イ”にして、名字と名前と繋げて読んで頂けますか?」
言われたとおりに脳裏に浮かべる。
いかせ まい……イかせ まい。
……まさか。
「そう、『イかせまい』です。この読み方に気付いたのは、私が中学校に上がったくらいでしょうか」
ご両親は良かれと思ってつけたのだろう。
だが、偶々遊びに来ていた父親の弟――彼女にとっては叔父にあたる――が酒の席で気付いてしまったそうだ。
そして、止せばいいのにそれを伝えて『名前負けしないように頑張らないとな!』と笑い転げていたらしい。
流石に冗談だと彼女自身も考えていた為彼女は苦笑いで返し、叔父さんは事態に気付いた親族からその場で絞られて結納まで済まされた事で有耶無耶(うやむや)になったそうだ。
だがその後も叔父の発言が影を生み、どうしても恋愛に一歩進めなかった。と彼女は語った。
彼女が入居者に番を宛がうのは、もしかしたら彼女の性質以上に自分が恋愛が出来ない代償行為だったのかもしれない。
「今日も誰かを紹介して終わり、と思っていました。けれど真さんは私を選んでくれた。それが本当に嬉しかったんです」
沢山の魅力的な魔物娘が選び放題だったにも関わらず、わざわざ自分を選んだ男性に興味が沸いたと彼女は続けた。
あわよくばその男性、つまり俺が彼女を通して心の底から快楽を貪れれば自分のコンプレックスも克服出来るのではと考えた為、俺が自分から襲おうとするように仕向けたそうだ。
「私も、結局自分の事しか考えていなかったんです。真さんが気に病む必要なんて全くありません」
自嘲気味の笑顔を浮かべたまま、俺に非が無いと言ってくれるその姿が逆に苦痛に感じる。
――――俺に、何か出来ないのか。
「すみません、変な雰囲気になってしまいましたね。如何です? もう一回、なさいます?」
目の前で大振りの肉果実を惜しげもなく強調しながら、艶かしい表情で彼女は笑った。
話を聞くまでの俺であれば、一も二も無く流されたろう。
だが、今の俺にそんな薄っぺらい表情は意味が無い。
俺は彼女の頭が自分の胸に来るように抱き締めた。
「とりあえず、さ」
今から言うのは流石に面と向かっては恥ずかしい。
なので、俺も自分の顔が隠れるようにさせて貰う。
「名字の部分を“大島”に変えてみません? 」
彼女が驚いてこちらの表情を伺おうとするが、やらせない。
自分が抱き締める力を弱める気が無いと分かると彼女も諦めたのか、顔を見せないまま応えてきた。
「ちゃんと、“舞”って呼んでくれるのなら」
今度こそ彼女を解放して、お互い面をつき合せる。
片やクサイ台詞で真っ赤な酷い顔、片や嬉し泣きで涙目だ。
出会って一日。
見切り発車にも程がある何とも急な二人だが。
「――――全く、エロい身体してるよな、舞。もう一回したくなるじゃない、か!」
「キャー♪犯されちゃいますー」
きっと、最高のスタートを切れる筈だ。
天蓋付のベッドなど、自分の人生で見る機会が在るとは思わなかった。
僅かな灯火が揺れる中、仄暗い空間から橙に切り取られた彼女と居る空間を見回してそう考える。
此処は一体、何処なのだろうか。
「ここは万魔殿(パンデモニウム)の一角の、一室の、そのまた一部の時間です」
背もたれにした枕はマットレス同様自分を深く、柔らかく受け止めている。
彼女はその状態の俺に馬乗りになっていた。
今の俺は、柔らかい釘と柔らかい台に固定された標本のようですらある。
「【デモパレス32】へのご契約、ありがとうございます♪……ここが本日ご紹介の目玉、ベッドルームです♥」
彼女が俺の胸板に密着してくる。
ひしゃげた胸の柔らかさと肉感に意識を持って行かれそうになるが彼女の深紅の瞳がそれを許さない。
「当ベッドルームの最大の特徴はズバリ『性欲増進』。特殊加工を施されたワーシープの毛を使っています」
ワーシープについては聞いた事がある。
その毛皮は強制的ともいえる安眠効果があり、大変重宝されている高級素材だとか。
しかしそれでは二人でベッドインしても安眠するだけではなかろうか。
「そう、思われるでしょう?……でも、ほら」
そういって彼女は適当なところからシーツの一部を手繰り寄せる。
鼻元に持ってこられた際に鼻腔に入った香りに俺は一瞬ボーッとしてしまう。
「眠くならないでしょう?代わりに少し何も考えられなかったでしょう?」
彼女は優しく俺の頬を撫でると、そのまま首筋に舌を這わせてくる。
それだけで半勃ち状態であった俺の陰茎が硬度を増してきた。
「これ、は――――」
「この素材は少々特殊でして。男性の精液、女性の愛液、その他体液を吸うとお互いを昂ぶらせる匂いを発散するんです。勿論元がワーシープの体毛ですので若干の睡眠を誘いますが――――」
次の瞬間、俺の股間に何かが巻き付いてきた。
芯を備えた柔らかさを持つ、何やら長い器官のようだ。
その先の尖った部分が陰嚢(いんのう)を転がしている。
「そんな気に、ならないでしょう?」
次の瞬間、彼女は臀部を俺の方に向けて倒れこんだ。
最低限度の衣類で隠された部分が目の前に放り出される。
「私、もう我慢できません♥だから――――いただきまーす♥」
唐突に音が消えたように感じた。
気がつくと天蓋部分を上に見たまま動けなかったのだ。
何やら股間が強烈な吸入を受けているような感覚があったのでそれを頼りに意識を集中する。
結果、しなければ良かったと後悔した。
「あああああああああああっ♥♥♥♥」
獣じみた咆哮が漸く鼓膜に届く。
これが――自分の声だと気付くのに然程時間は掛からなかった。
「じゅぅ♥ずず♥ぢゅうううぅぅぅ♥♥」
より強い吸い上げを食らった瞬間、視界が真っ白になる。
圧からの開放感。
快楽の果てに欲望を吐き出した解放感。
ペニスから何億もの命を放出する、生命としての達成感が綯い交ぜ(ないまぜ)になる。
「……ぷはっ。あぁ、何て美味しいのでしょう♥これが真さんの味……♥」
尿道に残っていた一滴すら吸出し、彼女は恍惚した声を上げる。
起き上がった上体は背中側しか見れないが、腰付近から生えている黒翼と鎖の巻きついた尻尾が嬉しそうに震えていた。
脱力した俺が漸く首だけ持ち上げると、丁度尻尾が目の前にある体勢となる。
俺はおもむろに彼女の尻尾に手を伸ばした。
「ひゃんっ!……もう、尻尾は敏感なんですよ?いきなり触っちゃ駄目、です」
先端の細いくびれ部分を細かく擦る。
口調は非難する内容だったが、態度はその限りではなさそうである。
少女のような不満顔でこちらを振り返る姿に、若干悪戯心が芽生えてきた。
少し時間を置いたから回復したし、こちらから攻めても良いだろう。
俺は陰茎を扱くように指で輪っかを作るとそのまま前後に動かした。
「ちょっ、本当に、あ♥怒り、ます、よ!?」
敏感な部分を攻められると流石に弱いのか、尻を突き出す形で突っ伏していく舞の姿が酷く艶かしい。
左右に揺れる尻の動きは、まるでもっとして欲しいとねだっているようだった。
「伊嘉瀬さん……すっげぇエロいです」
尻尾を擦り続けていると、彼女の身体のある一点に目に入った。
履いている水着の色が濃くなっている。
水着の吸水量を超えているのか、愛液が蜜のように汗ばんだ白い太腿を伝っていた。
水着をずらして指を入れると、何の抵抗も無く第一関節まで沈んでいく。
「見て下さいよ。伊嘉瀬さんのココ、凄い事になってますから……」
彼女の目の前に指を突き出す。
少し入れただけで纏わりついた愛液は、光を反射しテラテラと光っていた。
俺は尻尾の扱き部分を徐々に根元に近づかせながら耳元で囁いた。
「尻尾扱かれただけでこんなになるなんて、感じ易いにも程がありますよ。溜まってたんですか?」
彼女は顔を赤く染めると、そのまま俯いて向いてしまう。
図星を当てられて答えられず、黙りこくる気なのかもしれない。
その姿がより嗜虐心を誘った為、小陰唇付近を掻くように指でなぞる。
「んぅ♥ふ、あぁぁ♥」
「何とか言って下さいよ。これじゃ俺が馬鹿みたいじゃないですか」
漏れ出す愛液を肛門まで塗りたくる。
唐突の刺激に一瞬括約筋が閉められて人差し指の進入を阻んだが、すぐに易々と俺の指を飲み込んだ。
「ケツの穴まで欲しがってるじゃないですか。欲しいものがあるでしょう?言って下さいよ」
指を二本に増やし腸壁を押すように掻きまわすと彼女は弱々しく声を上げた。
「……おねがい……します……真さんのおチンポから出る精液を、私のおマンコに排泄して下さい……っ!」
伊嘉瀬さんは震えながらこちらを振り返る。
巨尻が揺れたおかげで予想外に刺激を与えてしまい、また小刻みな痙攣をしている。
まさかいきなり伊嘉瀬さんの口からあんな淫語が飛び出すとは思っていなかった。
そこまで我慢出来なかったという事だろう。
俺は伊嘉瀬さんの腰を上げると、いきり立った分身を秘裂にあてがった。
「来て、すぐ来て!真さんのすごいので私をハメ倒してぇ♥♥」
完全に何かのスイッチが入ってしまった伊嘉瀬さんは期待いっぱいで声を上げる。
俺自身抑える気もない為、一気にそのまま貫いた。
その瞬間、俺を受け入れる準備をしていた伊嘉瀬さんの膣内は縦横無尽に俺自身を絞り込む。
ざらつく襞、不規則な細かい突起の集合が俺から再度子種を奪わんと蠢いた。
俺のペニスが快楽信号を受信するだけの別の器官になったような錯覚すら憶える。
結局俺は挿入して数十秒も保てず射精した。
自分でも驚くくらいの早漏である。
散々焦らして自分がこれでは、伊嘉瀬さんも拍子抜けしたのではなかろうか。
大量に吐き出した射精の余韻の中、そのような事を考えていると――――
「すご♥濃いの出てる、まことさんが私でイってくれてるううぅぅぅ♥♥」
然程気にしていないようだった。
……どういう事だろうか?
俺は結合を解くと、ぐったりと背中から倒れこんだ。
陰茎が抜かれた事で物足りなさそうな表情を浮かべ、伊嘉瀬さんがこちらを覗き込んでくる。
「素敵でしたよ、真さん♥……どうしたんです?」
情交の後の為頬は火照り髪は些か乱れている。
その状態で不思議そうな表情を浮かべ、彼女は俺に問うてきた。
「いや、焦らしてあんな一発だけで終わりとか、幻滅してないかなぁって思って……」
何分童貞には強すぎるどころか無理ゲー過ぎる快感であった。
逆に、一度も戦った事のない兵士が有名所の砦の門まで侵入した事を褒めて欲しいくらいである。
「しませんよ。真さん、初めてでしたでしょう?私も初めてですし。お相子ですよ」
そう言われて何とか上半身だけ起き上がる。
彼女の股の部分を見ると確かに赤い血と俺の精液、そしてそれらが混ざった斑なピンク色が見えた。
そういえば昔彼女から『初めては痛い』と聞いていた。
行為に及んだ事はないのだが、今初めてを奪われた女性が目の前にいるのだ。
俺の中で急に罪悪感が込み上げてきた。
「すみません……俺、自分の事ばっかりで……。痛く、なかったですか?」
恐る恐る聞いてみる。
流石に彼女から逃げる気は無い。
ただ、誘われたとはいえここまでする気は当初の自分には無かったのである。
彼女からの恨み言を一つくらいは受けなくては、彼女の怒りが収まらないのではと思ったのだ。
彼女は小首を傾げながら、きょとんとした表情で返してきた。
「堕落神様の元に行ったまま、帰って来れないのではと思うくらい気持ちよかったですよ?」
全くの杞憂であったようである。
しかし俺は自分のした事からどうしても罪悪感が拭えない。
勝手な感情とは思うが、どうしても暗い表情になってしまう。
そんな中、伊嘉瀬さんがポツリと声を出した。
「――――私、自分の名前が嫌いだったんです」
突然何を言っているのか分からなかったが、彼女はこちらに意を介さず話を進めた。
「私の名前、何度か呼んで下さったからご存知ですよね? “伊嘉瀬 舞”。この名前を平仮名で読んでくれます?」
伊嘉瀬 舞……いかせ まい。
別段何もおかしいと思うところがない。綺麗な響きの名前である。
そう告げると、彼女は少し満ち足りた表情を浮かべた。
「ありがとうございます。今度は“い”の部分を片仮名の“イ”にして、名字と名前と繋げて読んで頂けますか?」
言われたとおりに脳裏に浮かべる。
いかせ まい……イかせ まい。
……まさか。
「そう、『イかせまい』です。この読み方に気付いたのは、私が中学校に上がったくらいでしょうか」
ご両親は良かれと思ってつけたのだろう。
だが、偶々遊びに来ていた父親の弟――彼女にとっては叔父にあたる――が酒の席で気付いてしまったそうだ。
そして、止せばいいのにそれを伝えて『名前負けしないように頑張らないとな!』と笑い転げていたらしい。
流石に冗談だと彼女自身も考えていた為彼女は苦笑いで返し、叔父さんは事態に気付いた親族からその場で絞られて結納まで済まされた事で有耶無耶(うやむや)になったそうだ。
だがその後も叔父の発言が影を生み、どうしても恋愛に一歩進めなかった。と彼女は語った。
彼女が入居者に番を宛がうのは、もしかしたら彼女の性質以上に自分が恋愛が出来ない代償行為だったのかもしれない。
「今日も誰かを紹介して終わり、と思っていました。けれど真さんは私を選んでくれた。それが本当に嬉しかったんです」
沢山の魅力的な魔物娘が選び放題だったにも関わらず、わざわざ自分を選んだ男性に興味が沸いたと彼女は続けた。
あわよくばその男性、つまり俺が彼女を通して心の底から快楽を貪れれば自分のコンプレックスも克服出来るのではと考えた為、俺が自分から襲おうとするように仕向けたそうだ。
「私も、結局自分の事しか考えていなかったんです。真さんが気に病む必要なんて全くありません」
自嘲気味の笑顔を浮かべたまま、俺に非が無いと言ってくれるその姿が逆に苦痛に感じる。
――――俺に、何か出来ないのか。
「すみません、変な雰囲気になってしまいましたね。如何です? もう一回、なさいます?」
目の前で大振りの肉果実を惜しげもなく強調しながら、艶かしい表情で彼女は笑った。
話を聞くまでの俺であれば、一も二も無く流されたろう。
だが、今の俺にそんな薄っぺらい表情は意味が無い。
俺は彼女の頭が自分の胸に来るように抱き締めた。
「とりあえず、さ」
今から言うのは流石に面と向かっては恥ずかしい。
なので、俺も自分の顔が隠れるようにさせて貰う。
「名字の部分を“大島”に変えてみません? 」
彼女が驚いてこちらの表情を伺おうとするが、やらせない。
自分が抱き締める力を弱める気が無いと分かると彼女も諦めたのか、顔を見せないまま応えてきた。
「ちゃんと、“舞”って呼んでくれるのなら」
今度こそ彼女を解放して、お互い面をつき合せる。
片やクサイ台詞で真っ赤な酷い顔、片や嬉し泣きで涙目だ。
出会って一日。
見切り発車にも程がある何とも急な二人だが。
「――――全く、エロい身体してるよな、舞。もう一回したくなるじゃない、か!」
「キャー♪犯されちゃいますー」
きっと、最高のスタートを切れる筈だ。
14/08/23 18:20更新 / 十目一八
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