連載小説
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4.青年の言語
しばらくすると青年はパンを食べ終わり、いくらか落ち着いたようだった。
とりあえずアネットのもとに連れて行こうと思ったが、

「(言葉が通じないと言うのは厄介だな…)」

オリビアが青年に近付いて、青年の手を握った。

「来い」
「&#%…;*$!?」

青年は驚いていたが、無理矢理彼女に手を引かれて司令室へと連れて行かれた。


「見つかったのね?」
「あぁ、やはり敵ではなかった。怯えていただけだったようだ。」
「そう…良かった」
「それから、どうやら異国のものでな、言葉がわからん。どこの国だかわかるか?」
「言葉を聞いてみないとわからないけど…」

オリビアは青年の方を向き、青年に話しかけた。

「おい、何か喋れ」
「いや、言葉が通じないんでしょ?」
「ん、そうだったか…面倒だな」
「?……&#;ΨΗ、<¶◆&#;&#;?」
「あ、まあ、それで十分ね…」

そう言うと、アヌビスの目が赤く光りだした。

「………」

魔力を使い、青年の言葉を調べ始めたのだった。

「……え?」

しばらくすると、アネットが驚いた声を上げた。

「どうした?」
「該当する言語…無し…」

アヌビスの魔力を使ってもわからないと言うのは初めての事だった。

「こんな事初めて…異国の言葉だって解らない事は無かったのに…」
「どういう事だ…?」
「ジパングの言葉と似ているけど…やっぱり違う…」

アヌビスの魔力でも解らないとなると、この青年の言語を理解できるものはまず居ない事になる。

「どうする?話を聞こうにも言葉が解らないとなると、どうしようも無いだろう」
「誰かが言葉を教えるしか無いわね…彼の面倒も見てあげないと…」
「うむ、そうだな」
「……」

アネットがオリビアをじっと見つめた。

「…なんだ?」
「その人を見つけたのは誰?」

突然何を言うのだろうか。

「私だが…?」
「そう。じゃあちょうど良いわね」
「…は?」

アネットはオリビアを指差すと言った。

「あなたが面倒を見れば良いわ」

………。

「な…何だと!?なんで私が!?」
「この子を見つけたのは貴方でしょ?第1部隊なんて滅多に仕事ないし、ちょうどいいじゃない」
「なら、他の隊員に…」
「フィルやマールじゃ戦いを挑んで…叩きのめした後で襲いかかるわね」
「む…それはまずいな…じゃあ、セラならどうだ?あいつなら年も近そうだし…」
「だめよ。あの娘最近風邪気味なのよ?この間も会議中に大変な事になったじゃない」
「…そうだった…」

少し前にくしゃみで首が外れて、会議中だと言うのに発情した事があったのだ。

「あいつもまずいな…待て、じゃあ、アネット、お前がやってくれれば…」
「無理よ、私は司令官だもの。暇なんて無いわ〜」
「…お前、楽しんでるだろう…」
「なんのことかしら〜?」

アネットは楽しそうに笑っている。楽しんでる。絶対楽しんでる。

「司令官殿!報告です!」

扉の外から声が聞こえた。

「わかったわ。じゃ、オリビア。頼んだわね〜」
「ちょっ、おい!」

そう言うと、アネットは二人を司令室から追い出した。

「……▲&#;?」
「…仕方が無いな…来い」

青年を手招きして、とりあえず自分の部屋へ連れて行く事にした。


こうして本日より、私はこの青年の面倒を見る事になった。
11/02/27 19:16更新 / ホフク
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■作者メッセージ
銀歯がとれた。なんてこった。
歯医者行ってきます。

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