連載小説
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2.村での出来事
マール達が村人を捜していると、近くからうめき声が聞こえた。

「うぅ…」
「あっ、偵察部隊です!」

偵察部隊のハーピーが崩れた民家にもたれかかっていた。

「しっかり!今回復魔法をかけます!」
「う…ありがとう…」

回復魔法のおかげで少し回復した様子なので、マールは彼女に聞いた。

「一体何があった?」
「それが…教会の奴らを追い払おうとしたら…突然…」
「突然?」
「爆発みたいのが起こって…爆風で飛ばされて気を失ってしまって…」

爆発…何の事だろうか。
マールはとりあえず、村人の安否を確かめる事にした。

「…村人達はどうした?見たところ誰もいないが」
「他の人達は、近くに作ってある地下室に避難してるから…多分無事よ」
「どの辺りだ?」
「ここから北に行ったところにある小屋の中に地下への隠し扉があるらしいの。教会の奴らがいなくなったらそれを伝えに行く事になってて…」
「よし、私がその小屋へ行ってくる。お前達は馬車の所へ行け」
「分かりました」

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オリビアが村を探索していると、フィルが息を切らせて走ってきた。

「隊長!」
「どうした?フィル」
「あー、その、なんと言うか、村人は無事でした。それから、教会の奴らも既に逃げたらしいっス」
「ああ、何よりだ。それで?」
「へ?」
「わざわざそれだけの報告のために来た訳じゃないんだろう?」
「あぁ…それなんスが…」

フィルは少し戸惑ったように言った。

「その…偵察部隊が言うには…教会の狙いはこの村じゃなかったみたいで…」
「…何だと?」
「どうやら…何かを追いかけてたようッス」
「それで?」
「追いかけられていた奴が、村の中央あたりで騎士達に襲われて、その直後に…」

そこまで言うとフィルは不意に声を潜めて言った。

「…爆発のような物が起こったと…おそらく村が破壊された原因じゃないかと…」

それを聞いて、オリビアは言った。

「……わかった。私が様子を見に行く。しばらくしても戻らなかったら、先に村人達を砦に連れて行ってくれ」
「うす、了解ッス」

オリビアはガシャ、ガシャ、と音を立てながら村の中央に歩いていった。

「……!」

何か、いや、誰かが倒れている。近寄ってみると

「…こいつは…」

一人の少年が倒れていた。身長はオリビアより少し低そうだ。
癖の強そうな髪は真っ白で、皮膚も青白い。一見死人の様に見える。
おまけに全身血まみれだった。教会の騎士に斬られたのだろうか。
頭にも大量の血が付いている。
血はもう止まっているようだったが、もう死んでいるからなのかもしれない。

「(生きているのか…?)」

警戒しながらもゆっくりと近づき、首に手を当ててみた。
脈はあるようだったが少し弱い。全身血まみれなのだ。このままでは危険だろう。
彼女は回復魔法を使う事は出来ない。救護部隊のところに連れて行かなくては…

「急がなくては…」

オリビアは男を抱えると、馬車へと走り出した。

しばらく走ると、馬車が見えてきた。

「あっ!隊長!」

オリビアに気がついたセラが声をかけた。

「救護部隊を呼んでくれ。怪我人だ。」
「了解!」

救護部隊の一人と男を乗せると、馬車は勢いよく走り出した。

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ガラガラ、と馬車が音を立てて走る。

「どうだ?助かりそうか?」
「傷を見ない事には分かりませんが…」

救護部隊の魔女が少年の服を脱がすと、体の傷を見た。

「……あれ?」
「どうした?」
「傷…無いです」

男の体には大量の血が付いているし、来ていた服も鋭い刃物で切り裂かれたようになっていた。
それにも関わらず、少年の背中には傷の跡こそあったが、血は既に止まっているのだった。

「…もう回復魔法が掛られているみたいです。いったい誰が…?」
「まぁ、教会におわれていたんだから、あいつらにとって敵なんだろ?」
「…とりあえず砦に戻って司令官に報告しましょう。判断はその後にでも…」

馬車には村人全員が乗る事が出来なかったので、怪我をしていない村人は馬車の横を歩いていた。
そのため、来た時の数倍の時間がかかってしまっており、砦についたときには既に空は真っ暗になっていたが、青年はまだ目を覚まさない。
青年の体はそこそこにたくましい物の、まだその顔にはあどけなさが残っており、
オリビアよりもやや年下に見える。

「………」

相変わらず反応は無いが、血は止まっているのだからしばらくの間は大丈夫だろう。

「到着しました!怪我人を降ろして下さい!」

砦に到着すると、馬車に乗っている怪我人達を村人が降ろして行った。

「じゃ隊長、あたし達は怪我人を運ぶのを手伝ってきますんで、司令官殿に報告お願いできます?」
「あぁ、わかった」
「じゃ、またあとで!」

フィルはそう言うと、馬車の方へと戻って行った。
11/10/23 15:19更新 / ホフク
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■作者メッセージ
初です。
投稿に時間がかると思いますが、気長に待っていただければありがたいです。

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