連載小説
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第六話
「ん、ちゅ…………っ」

とある街の片隅に位置している宿屋。うっすらと白み始めた空の色がカーテンの隙間から除くその一室には、妖艶な複数の水音が響き渡っていた。
それらの音源は部屋の中央。大きなベッドに腰かけた、年の頃は十代半ばほどの見た目の少年に口を使って夢中で奉仕をしている三人の獣人。熊猫の特徴を持つ一人はその大柄な肉付きの良い体で少年を後ろから包み込むように抱きしめ、その耳や首筋に啄むようなキスを繰り返している。
残る二人、少年の足元に跪き、その肉棒に舌を這わせているのは、うっすらと筋肉の浮かぶ引き締まった体躯の人虎と、三人の中では飛びぬけて小柄な体躯の火鼠。
そんな三人の唇がその身体に触れる度、その奉仕を一身に受けている少年の口からは微かな声が漏れる。外見は十代の半ばを少し過ぎた程だろうか。その手足には火鼠の衣と呼ばれる炎を纏い、やや細身ながらもその肉体は徹底的に鍛え込まれている事が見て取れる。

「っ……」

少年の身体が強張り始め、絶頂が近づいている事を感知した三人の顔に喜色が浮んだ。
身体を後ろから抱きしめている人熊猫が、その暖かな毛皮に包まれた腕で少年の身体を撫でまわしながら聞く。

「んふふ〜。ルウくん、もうイっちゃいそうですか〜……?」
「は、はいっ、メイ師匠……っ!?」

その返事に、足元に少年の足元に跪く二人の奉仕はより激しいものとなった。片方が肉棒を喉奥まで咥え込み、ぐぷっ、ぐぷっと音を鳴らしながらの激しいディープスロートを息の続く限り繰り返す。息が続かなくなれば、もう片方がすぐさま空いた肉棒を咥え。それを順番に繰り返し始めた。
肉体的な快楽は勿論だが。熱に浮かされたような表情の極上の雌二匹が己の足元に跪き、交代しながら夢中で肉棒に奉仕をしている姿は、少年の雄としての本能をこの上なくなく昂らせた。

「っ…………!!」
「ん……っ♪」

そうして、とうとう少年は限界を迎えた。己の怒張を咥え込んだ火鼠の喉奥目掛けて、熱い白濁が迸る。
どくり、どくりと。うっすらとその瞳に涙を浮かべた火鼠が、その小さな咥内に注がれる精液をこくこくと嚥下してゆく。が、少年の吐精は一向に収まる気配がない。初めて少年が彼女達と交わったのが、少年に精通が訪れた直後の、既に数年前の事。それ以降毎日のように彼女達三人との房中術を繰り返してきた少年の精力は、もはや完全に人としての域を逸脱している。それにしては彼の容姿がまだ少年と呼べるような姿のままであるのは、どうやらこの姿が彼女達三人の、彼に対する理想像の平均であるかららしい。
少年の身体を撫でまわす人熊猫の動きに合わせて、脈打ち続ける肉棒。とうとう、火鼠の小さな口では受け止めきれなくなる。ちゅぽんっ、と彼女の口からペニスが引き抜かれ、その顔に熱い精液が降り注いだ。

「あはぁ……っ♥」

だが、それも一瞬の事。獲物を狙う肉食獣のような俊敏な動きでぱくりと肉棒を咥えた人虎が、その後を引き継いだからだ。
喉を鳴らしながら。もっと、もっとと精液をねだるように、ざらざらとした感触の舌を肉棒に絡みつかせ、ちゅうちゅうと切なげに吸い上げる。
その横では、火鼠が先程顔にかけられた精液を指で救い、うっとりとした表情でそれを口に運んでいた。
やがて、長い長いその射精がようやく終わりを迎えた。人虎の咥内から再び姿を現したその肉棒は、あれだけの射精を行った直後にも関わらず、いささかもその硬度を衰えさせていない。
そんな少年の逸物に、再び人虎と火鼠の二人が顔を近づけ、おもむろに舌を這わせ始めた。僅かに付着していた残りの精液を残らず舐めとり、代わりに唾液で丹念にコーティングしてゆく。

「ラン師匠、リン師匠……」

少年がそんな二人の名を呼び、優しく頭を撫でると。口による奉仕を続ける彼女達の頭上にある耳が嬉し気にぴこぴこと動き、その尻尾が揺れた。
それと同時に、二対合わせて四つの期待に満ちた瞳が、少年の顔を見上げる。

――この後は、誰を最初に抱いてくれるのか、と。

「あ……」

少年の手が引いたのは、リンと呼ばれた火鼠の腕。途端に、どこか寂し気な雰囲気を感じさせていた彼女の表情が、ぱっと明るい物に変わった。

「ルウっ、ぁ……っ♪」

立ち上がった彼女を振り返らせ、背中から抱き締めるようにしながら。ベッドに腰かけている自分の足の上に座らせるような形で、既に濡れそぼっている割れ目に挿入する。
それだけでリンの身体は反りかえり、後ろから回された手に愛おし気に頬ずりする。三人の中では唯一、少年よりも身体が小さい彼女。少年の腕の中に身体をすっぽりと包まれるのは、彼女だけに許された特権なのだ。

「ひぁっ、っ♪」

少年がずんっ、ずんっとリズミカルにその腰を突き上げる度。リンは体格差で地面から浮き上がってしまっている足の指をぎゅっと曲げ、その身体を歓喜に震わせている。桜色の小さな唇から甘い嬌声が漏れ、少年の形に押し広げられている膣がうねうねと蠕動する。

「し、少年っ……」
「ほら〜、ルウくん、こっちも相手してくれなきゃ、嫌ですよ〜……?」

気が付けば人虎と人熊猫……ランとメイと呼ばれていた二人が、切なげな顔で少年の後ろ、両肩の上から顔を覗かせていた。
苦笑した少年が二人に振り向き、ちゅっ、ちゅと順番にキスを繰り返す。それだけで、彼女達の瞳はとろんと蕩け始めてしまう。

「もうっ、ルウ……っ!?ふぁ……♪」

自分の片手間に他の二人を相手し始めた。そんな少年に対して抗議の声を上げようと開かれたリンの口に、するりと少年の指が滑り込む。

「っ、るふぅ…………っ♪」

後ろから抱きしめられながら、己の最奥をペニスで突き上げられ。その歯茎を指で愛撫されると、最早なにも考えられなくなってしまう。
リンは閉じる事の出来ない口から声を漏らしながら、ちゅぷ、ちゅぷと咥内を出入りする指をおしゃぶりのように咥えている。その口の端からは、だらしなくも一筋の涎が肌を伝っていた。

「っ、リン、師匠……っ!」
「あ、ふぁ、ぁぁ…………っ♪」

そんな、蹂躙されるがままのようなリンの子宮口を、一際強く肉棒で捩じり上げ。先程と比べても全く遜色がない程の勢いの射精が、リンの最も奥深い場所へと注ぎ込まれた。
さらに最後の一滴まで己の精液を注ぎ込もうと、震えるリンの小さい柔らかな尻にぐりぐりと腰を押し付ければ。只でさえ絶頂を迎えてしまっていたリンの意識は、更に高い場所へと昇りつめてしまった。その足をぴん、と張ったまま、細かい痙攣を繰り返している。

「ぁ、ぁ…………♪」

身体からくたりと力の抜けたリンの身体を受け止め、額に軽くキスを振らせる。
そのまま彼女の身体を抱え、ベッドに仰向けに寝かせると、彼女の小さな体には収まりきらなかった精液がつつ、とシーツの上に垂れ落ちた。

「うふふ。ルウくん、休んでいる暇はないですよ〜?」
「少年っ、早く、私達にも……っ」

師匠達の声に、少年が振り返れば。そこにはメイを下、ランを上にして重なり合うような体勢で秘所をこちらへと向けている二人の姿。
こちらに向けられた割れ目からは既に愛液が滴り落ちており、黒と縞模様、二つの尻尾がふりふりと少年を誘う。
二人の胸は、身体の間でむにゅりと逃げ場を求めるように潰れ。その柔らかさを常よりも少年の視覚へと訴えかけてくる。

「……っ!」
「っ、ぁ、しょうねん……っ♥」

たまらず、ルウは己を待ち焦がれている雌穴へと。リンの愛液と、自分の精液に塗れたままの己の逸物を乱暴に突き入れた。
鍛え上げられたランの肉体は、一突き毎に雌の歓喜に打ち震え。気を抜けば押し出されてしまいそうな程に、少年の肉棒をぎちぎちと締め付けてくる。
ぱぁんっ!

「ひ、ぁ…………っ、っっっっ♥♥」

さらに少年がその引き締まった尻を平手で叩けば。ランは掠れた叫び声のような嬌声を上げながら、その尻尾をぴんと張って悶え狂う。
痛みはあまり感じない。ランが元から痛みに強い事とは関係なく、そもそもこれはそういう叩き方なのだ。だが、己の尻から響く音とその衝撃は、ランの雌としての被虐心に火をつけ、それを際限なく膨らませてゆく。
ぱんっ、ぱんっ、ぱぁんっ!!

「っ、ぁ、ぁぁぁぁ…………ぁ♥♥」
「ん、ぅ……」

少年の平手がランの臀部に振り下ろされる度。ランの目の焦点がぶれ、結合部からは歓喜の涙のような愛液がメイの秘所へと垂れ落ち。そんなメイはランの身体の下でむずむずと身体を捩じらせている。
己の愛する雄に、思うがままに己の身体を弄ばれているという歓び。己の雌としての場所に突き入れられているペニスから感じる、それによって少年が昂っているという喜び。
自分の身体が少年の色に完全に染められてしまっているという事を、どうしようもなく実感させるその行為に。快楽の火花で真っ白に塗りつぶされたランの脳内は、この上ない幸福に満ち溢れていた。

「ルウくん、私もっ、私も早く欲しいです〜……」

メイから、ルウに切なげな声がかけられた。震えるランの身体から、にゅぽっ、と一旦そのペニスを引き抜く。二人……いやリンも含めれば三人分の混ざった体液が二人の性器の間で糸を引き、たらりとメイの秘所へと垂れ落ちた。
白い素肌、むっちりとした肉づきのいい太ももとお尻。少し盛り上がった割れ目はぴっちりと閉じられ、己と他人の愛液でてらてらと怪しく輝いている。

「っ…………!」
「っ、えへへぇ……っ♪やっとっ、ルウくんのおちんちん、もらえましたぁ……っ♪」

ふわふわと。しかし隙間なくルウの肉棒を包み込む膣壁。メイの膣中は、まるで全方向から優しく抱きしめられているかのようだ。
ルウがペニスの反りを利用し、メイのお腹側の膣壁を押し上げると。メイは『ひゃんっ♪』と嬉しそうな嬌声をあげ、己の上でぜえぜえと虚ろな目をしているランの身体に抱き着いた。
さらに少年が肉エラでその部分を重点的に引っ掻くと、その身体がびくんと大きく震える。

「あんっ、ルウくん、素敵です〜……♪布団の上なら、もう私達に勝てちゃうかもしれませんね〜……♪」
「……ルウ、私も……」

そんなルウの腕を、潤んだ目のリンが引っ張った。
ルウはリンの身体を抱き寄せる。その胸の感触を楽しみながら、差し出された唇を自分のそれで塞ぐ。
さらに、メイから己の逸物を引き抜くと、ランの腰をがっちりと掴み。再びその膣へと、硬くいきり立ったそれを挿入した。

「……ぁ、ん、ちゅ……っ♪」
「っ……少年……っ♥」

手と口ではリンの胸と甘い唇を楽しみ、肉棒で感触のまるで違うランとメイの締め付けを交互に味わう。
そんな肉体的、精神的共に極上の快楽を味わう少年が、それ程長くの時間を耐えられる訳も無く――

「ラン、師匠…………っ!!」
「っ、ぁ、ぁぁぁ…………♥♥」

ぱちゅんっ!と最奥までそのペニスを突き込み。腰を引く事が出来ないように腕で掴んだまま。ルウはランの子宮口へと直接精液を吐き出した。

「っ、メイ師匠も、っ……!」
「っ、ぁんっ、ルウくぅん……っ♪」

更に射精の半ば程で、素早くランの膣からペニスを抜き去り、物欲しげにひくついていたメイの膣中で残りの射精を行う。
メイは自らの中で脈動するペニスに合わせて微かに腰をゆする事で、勢いで劣る射精途中での挿入ながらも。ランの中に吐き出されたのと同等の白濁をルウに吐き出させてゆく。

「っ、はぁ、はぁ…………っ」

平行感覚を失いそうになるほどの、強烈な快感。リンの身体を強く抱きしめ。重なったランの身体に、さらに半ば預けるような体勢で倒れる事を何とか防いだルウは、しかし体力を使い果たし、後ろにどさりと倒れ込んだ。

「っ、ぁ…………!?」

少しの間を置いて、そんなルウの耳に響き始めた水音。下腹部から伝わる甘い快感、熱い吐息。
ルウが己の下半身に視線を移せば――そこにはやはりというべきか。全員分の体液でどろどろになった己の肉棒に、夢中で舌を這わせている師匠達の姿があった。

「ん、ちゅ、っ…………♪」

言葉を発さずとも、彼女達のその表情からは未だその情欲が冷めていない事は一目瞭然で。
己の肉棒を這いまわる舌と唇に、幾度もの絶頂を迎えた敏感な身体をびくびくと震わせながら。少年の肉棒が硬さを取り戻してゆくにつれ、彼女達の瞳が期待できらきらと輝き始める。

「っ、ぁ、師匠っ…………」

どうやら、ベッドの上の戦いでも――少年が彼女達相手に勝利を収めるのは、まだまだ先の話になるようだった。





――――――――――――――――――――




「ルウく〜んっ、お待たせしました〜♪」

多くの人々が行き交う石畳の大通り。その殆どは純粋な人間だが、その中にちらほらと魔物の姿が混じっている。そんな人混みの向こうから、大きな荷物を背負ったメイが、ぶんぶんとこちらに大きく手を振りながら駆け寄って来た。

「メイ師匠、そんなに食料買ってきたんですか?お金足りました……?」
「うふふ〜、いえ、この街でお世話になったお店にお別れのご挨拶に行ったらですね〜、皆さん良い方ばかりで、た〜くさんおまけして下さったんです〜♪」

鼻歌を口ずさみながら、メイが背負っていた荷物を下ろし、その中身を披露する。

「干し肉に〜、お野菜に〜、少しですが調味料に〜……あ、美味しそうなリンゴも貰ったんですよ〜。皆で一緒に食べましょう〜♪」
「……何というか、メイってよくそういうおまけとか沢山貰うわよね。何かコツでもあるの?」

ぽいぽいっ、と各人に投げ渡されたリンゴをキャッチし、怪訝そうな顔をしてリンが尋ねた。

「いえ、私は普段通りにしているつもりですよ〜?そういえば、私がランみたいに一人で旅をしてた時も、こんな感じでよくおまけして貰ってましたね〜」
「まぁ、メイは愛嬌があるからな。お陰で随分と楽な旅になったものだ」

ランが軽く笑いながら、受け取ったリンゴをシャクッ、と齧る。
そもそもが少年とメイに房中術を始めさせたのも、旅の途中の食料不足等を懸念しての事だったが……メイがひとたび路上で声を上げれば人が集まり、拳法の余興程度の雑技を披露すればあっという間におひねりが集まってしまう。そうして買い物に行かせればこれだ。今晩も、存分にリンがその腕を振るってくれることだろう。

「……しかし、この辺りも随分と様変わりしたものだな。私が一人で旅をしていた頃は、この一帯は反魔物一色だったはずだが」
「そうなんですか、ラン師匠?」
「ああ。人に化けなければ、とても近づけるような雰囲気ではなかった」

『まぁ、何十年も前の話だが……』と小さく付け加えるランに、シャクシャクとリンゴを齧りながらメイが続ける。

「このリンゴをくれたお店のお爺さんから聞いた話なんですけど〜。何でもこの近くにリリム様が納める国が出来てから、徐々に周りが親魔物に傾いてきているみたいですよ〜?」
「……反魔物の地域に、いきなり国を作ったの?また随分と豪胆なお姫様ね……」
「ん〜、元々は魔王軍関係のリリム様らしいですし、どれだけ攻められても返り討ちに出来る自信があったんじゃないですか〜?国を立ち上げる時には、魔王軍から結構な人数が着いてきたみたいですし〜」

呆れ顔のリンに、聞きかじりの知識を披露するメイ。

「リリム様の作った、元魔王軍の腕利き達が居る国か。……ちょうどいいかもしれんな」
「ええ。とりあえず実際に行ってみない事には、何とも言えないけどね」
「師匠、次の目的地はその国にするんですか?」
「ん?……あ、ああ、まぁ、そんなところだ」
「…………?」

そのどこか歯切れの悪い曖昧な反応に、ルウが頭の上に疑問符が浮かべていると。

「んふふ〜。あのですね、ルウくんっ。最近リンとランと話し合ったんですけど〜」

そんな弟子に、メイが楽しそうに笑いながら言う。

「私達もそろそろ、本格的にルウくんの子供を身籠りたいな〜、って思ってまして〜♪」
「っ、ごほっ、ごほっ!!?」

齧っていたリンゴが気道に入ってしまったらしく、激しく咳込むルウ。
ばっ、と残りの前を歩く師匠二人を振り返れば。揃って顔を赤くし、気恥ずかし気にそっぽを向きながら頭を掻いている。

「……その、何だ。た、旅を始めた頃に比べれば、少年も随分と頼もしくなったからな」
「で、でもほら。大きいお腹だったり、赤ん坊を連れて旅をするっていうのも、その、何か、不安じゃない?」
「うふふ。それで、今度何処か住みやすい場所を見つけたら、思い切って皆でそこに住んじゃいましょうか、って話をしていたんですよ〜♪」

丁度、一行の隣を赤ん坊を抱いたサキュバスと、その夫らしき二人組が通り過ぎた。
どちらもとても満ち足りた、幸せそうな顔をしていた。

「…………っ」

あんな風に。
師匠達が、自分の子供を産む。
そんな光景が、ルウの頭の中で明確な輪郭を持って描かれてゆく。

「ルウくんも、私達に赤ちゃん産んでほしいですよね〜……?」
「は、はい……っ!」

ああ、駄目だ。
その光景を想像しただけで……あまりの幸せに、顔がにやけてしまう。

「元魔王軍の皆さんが居るとなれば、強い相手にも事欠かないでしょうし〜♪……あ、ランが昔引き分けたっていう方も、そこに来てるかもしれませんね〜?」
「い、いや、流石にそこまで出来た偶然は無いと思うが……」
「ほ、ほら、もっと速く歩きなさいルウっ、置いて行くわよ!?」

それは師匠達も同じなのか。弟子にそんなだらしない顔を見せまいとしているように、前を歩いているリンとランの歩調が速くなった。
そんな二人をからかうように。メイがその後ろにぴったりとくっつき、楽しそうに付いて行く。

「――っ、はいっ、師匠っ!」

そんな師匠達の背中目指して、彼女達の弟子は大きく一歩を踏み出した。

彼女達の背中を、追いかけて。追いかけて。
どこまでだって、強くなるんだ。

――そう、いつまでも。大好きな、師匠達の傍で。




      『名师出高徒、高徒育名师』  終わり



20/10/27 15:03更新 / オレンジ
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■作者メッセージ
初めて連載を完結させる事が出来ました。
ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。

今途中の連載も順次完結させていく予定ですので、そちらもお付き合いいただければ嬉しく思います。

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