綺麗な歌声が広場に響く。
人々は口々に賞賛の声を浴びせる。
賞賛の声の届く先を覗いてみる。
吟遊詩人のレイドとセイレーンのヒューゲだ。
一曲歌い終わると、広げられた箱の中に見物料を入れていく。
二人は一礼して箱を閉じる。
「よぅ、兄ちゃん、次は何時来るんだい?」
「べっぴんな嫁さんだなぁ」
「また、来て下さいねー!」
等、声をかけられる。
夫婦は、にこやかに次の街へと歩を進める。
「ヒューゲ、今日も素敵な歌声だったよ」
「レイドも素敵だったわよ?」
仲睦まじく腕を絡ませながらお互いを褒める。
「ヒューゲ、ボクの為に歌ってくれないか?」
「えぇ、勿論よ。レイド♥」
柔らかく、美しい歌声が響く。
「あぁ、美しいよ、ヒューゲ」
「んふ、貴方だけの歌よ。」
愛を囁きながら、二人は歌う。
二人の歌によって結ばれたカップルは数知れずだ。
そうこうしている内に次の街へ到着した。
月は高く上がり、星が瞬いている。
「今から宿をとろうか。」
「ええ。そうね」
魔物娘の経営する宿を見つけ、一泊泊まる。
〜〜・・・・〜〜
「おはよう。」
「おはよう。よく眠れたかしら?」
「嗚呼。勿論。ヒューゲもよく眠れたかい?」
「えぇ。よく眠れたわ」
軽い朝のやり取りを済ませた後、二人は準備を始める。
「まだ時間があるから観光しようか」
「そうしましょう!」
セイレーンも女の子だ。
観光にはワクワクするものらしい。
「何処を見ようか?」
宿の女将から貰った街の地図を見ながら話を進める
〜〜・・・・〜〜
「レイド、レイド!どれが可愛いと思う?」
「うーん、ヒューゲが着ると全部可愛いからなぁ………」
「んもう!」
呉服店にて。
ヒューゲは、照れたように、『じゃあ、これにしようかな!』と言っている。
「うんうん、好きなのを買うといいよ」
「あら、そろそろ時間じゃないかしら?」
そういえば、とレイドは時間を確認するとヒューゲが選んだ服を会計に持っていく。
「さ、広場に行こう」
〜〜・・・・〜〜
「〜〜〜〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜〜♪」
「♪〜〜〜♪♪〜〜〜♪」
買い物に来ていた人々が立ち止まり二人の歌に聞き惚れる。
「お母さん!!あのお姉ちゃん達とってもお歌が上手ね!」
「そうねぇ。聞いて行きましょうか」
そんな母娘をみながら、ヒューゲは考える。
____いいなぁ……
と。
「〜〜〜〜♪♪………………ありがとうございました」
最後の一節を歌い終わり、二人は揃ってお辞儀をする。
「ねぇ、レイド」
ヒソッと耳打ちをするヒューゲ。
「なんだい?ヒューゲ」
「私達も、子供を作らない?」
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