37.やられ直し
軍事都市ゲヌア、ホテルの一室。
嬌声を漏らす少年と、それを促す魔物娘。
「んぁっ・・・あぁっ・・・♥」
「我慢しねぇで、声出しちまえって」
「そんな、恥ずかしいです・・・」
「アタシとシロの仲だろ？ 今更何気にしてんだよ」
優しく、かつしっかりと撫でられ、血液の通りが良くなっていく。
震える声は、確実に快楽の色みを帯びてきた。
「こんな気持ちいいの・・・耐えられません・・・♥」
「んじゃ耐えなきゃいいんだよ。シロはただ気持ちよくなってりゃいい」
「僕、もう・・・♥」
やわやわと揉み解す動きが激しくなり、止めと言わんばかりに襲い掛かる。
そして・・・
「ほい終わり。どうだ、調子？」
「疲れどころか、力も抜けちゃいましたよ・・・」
今回の騒動で溜まった疲れを癒す、エトナのマッサージ。
その気持ちよさに、シロは完全に骨抜きとなった。
「しばらく、立てません・・・」
「そっか。・・・まぁこっちは勃ってるが」
「・・・その、疲れは抜けたんですけど」
「皆まで言うな。こっちも抜いてやる」
「・・・おっぱいと口で、お願いします」
「分かった。マッサージ特別コース、楽しめよ？」
なお、当然のように前戯のみで終わるはずも無く、
両者共に別の疲れを溜めることになったことを付記しておく。
教団襲撃から三日後の朝。
二人は王都の地図を広げ、どこに何があるかをまとめる作業を行っていた。
次の目的地は決まったが、それはこの大陸最大の都市。
都市自体がかなりの広さである為、行く前に色々と絞り込む必要がある。
「ここにあるのがアイリスさんの言ってた、僕の両親がいるマンションですね。
まぁ、これはいつでも行けるんで、他の物を見てみますか。
ところで、エトナさんって王都に行ったことあります？」
「何回か。お祭りやってる時に行ったな。生憎、この時期はやってねぇけど」
「お祭り・・・あぁ、建国記念日にあるんでしたっけ」
「そうそれ。めちゃくちゃ楽しいぜ？ 夜店にイベントに盛りだくさん。
時期が近かったらその時に合わせて連れてきたかったけど、仕方ねぇ」
「いずれ参加してみたいですね」
「次の祭りで行けるだろ。今ならどこにでも行けるんだしさ」
「そうですね・・・」
少し前まで、考えもしなかった。
魔物娘と共に、旅をすること。
エトナは、色々なことを教えてくれた。
この世界には、自分の知らないことが山ほどある。
『おいしい』『楽しい』『面白い』・・・『気持ちいい』。
辺境の地に逃げ、そこで一生を終えることになるんだろうと思っていた。
それでも、それなりに幸せだったから、それでいいと思っていた。
でも・・・今は違う。
「エトナさん」
「ん？ どうした？」
「いいんですかね、こんなに幸せで」
「・・・まだ、そう思うか？」
「・・・その、怖いんです。
こんなに幸せだと、この幸せを失った時、もう二度と立ち上がれなくなりそうで」
紛れも無く、幸せな『今』。それが『未来』にも続くかどうかなど、誰にも分からない。
・・・だが。
「失わせてたまるかよ。もし失っても、またアタシが幸せにしてやる。
安心しろ。幸せもアタシも無くならない。アタシが保証する」
それだけあれば、十分。
「・・・大好きです、エトナさん」
「アタシも。大好きだ、シロ」
幸せは、尽きない。
隣にエトナがいるだけで、そう思えるシロであった。
「それじゃ、続けますか」
「おう！」
「町長さん、お世話になりました」
「何言ってんだ。世話になったのはこっちだっての。
今回の件はお前の指揮と、エトナの力あってこその勝利だ。
兄貴の言ってた通りだったな。本当に、ありがとな」
「どうってことねぇよ。それよりさ、今度来た時サシで勝負しねぇか？」
「ほほーっ、言うじゃんよ。いつでも来いや、相手してやるよ！」
「あはは・・・」
拳で分かり合えることもある。
この二人の場合、それが一番手っ取り早い方法かもしれない。
「で、王都行くんだろ？ 何かいるものあるか？
報奨金は言い値で構わねぇし、用意できるものはくれてやるぜ？」
「いえ、特には。既に結構な額のお金も頂きましたし、これ以上を望むなんて」
「アタシも。旅に必要なのはこの馬車とちょっとの路銀、後はシロだけだし」
「欲ねぇなお前ら。ま、それならお言葉に甘えさせてもらうよ。
・・・本当、ありがとな。何かあったらいつでも来い。力になるぜ」
ギュッと、握手を交わす。
武骨な手の熱が、二人に更なる力を与えるかのようにして伝わった。
「町長さんも、お達者で！」
「その内また来るから、鍛えとけよー！」
「おう！ お前らも、道中気をつけて行けなー！」
腕を肩からブンブンと振り、二人を見送るデューク。
その姿と笑顔を見て、シロとエトナは街の発展を確信した。
「・・・いよいよ、ですね」
「あぁ。そうだな」
偶然の出会いの二人旅。
その最終目的地へ、馬車は進む。
「馬車でも、そんなにかかりませんよね」
「多分。昼過ぎには着くだろ。少なくとも夜にはならねぇ」
「ですよね。・・・あんまり出来ませんね」
「着いてからもヤってやるよ。で、どうしたいんだ？」
「その・・・」
行為を求めることの抵抗は、もう無い。
インキュバスの性質にしっかり順応した心と体が、エトナを求める。
「・・・足で、してもらえませんか？」
「んっ！？ ・・・え、太股とかじゃなくて、足コキってことか？」
「はい・・・これを履いて」
そう言いながら、馬車の隅に置いてある木箱から取り出したのは、黒のパンスト。
エトナの知らぬ間に、買っていたらしい。
「シャルクの露店で見つけたんですけど、これでしてもらえたらなって」
「てっきりトラウマになってるもんだと思ったけど、まさかだな」
「・・・正直、あれだけ気持ちいいなら、豚でいいやって思ってました」
「・・・くくっ」
「えぇ、笑って下さい。エトナさんにしてもらえるなら、僕は豚でも犬でも、
何にでもなりますから」
「いやごめんな。あの時はどうかしてた。それ履くから、寄越せ」
長く、美しい脚を覆う、黒のストッキング。
ぴったりと張り付いた生地が、太股や脹脛のしなやかな曲線をくっきりさせる。
「あぁ・・・もう・・・」
「視線、上にも行ってるな。おっぱいと脚、どっちメインで見るか大変だな♪」
「うぅ・・・」
幾度となく顔や陰茎を埋めた深い谷間に、これからしごいてもらう脚。
目を横方向に動かすしか、性欲を掻き立てる姿から逃れる術はないが、
どうしても、上下に行き来してしまう。
「そうだな・・・シロ、アタシをオカズに自分でしてみろ」
「・・・はい」
とっくに限界まで膨張した肉棒をズボンから出し、右手で握って上下に擦る。
虚ろな瞳が映すのは、エトナの谷間と、脚とその付け根の間にある陰裂のみ。
エトナもたまには、自分の希望を伝える。これはここ数日でのこと。
与えられてばかりだと、申し訳なさがあり、行為に没入しきれないシロの性格上、
シロにどうして欲しいか聞くだけではなく、こうした方がいいことが分かった。
それに、どうせならお互いに気持ちよくなりたい。
「ほら、もっとしごけ」
「あぁ・・・あぁ・・・」
胸の下で腕を組み、大きさ・柔らかさを強調するようにして、持ち上げる。
視線はやや上の方に偏り始め、脳裏には触感を思い出す指令が下り、
シロは自分の一物が挟まれていることを錯覚した。
（柔らかい・・・気持ちいい・・・♥♥♥）
息を荒げながら、自慰を続ける。
時折、乳首を摘んだり、睾丸を揉んだり、亀頭をこね回したり、色々な方法で性感を高める。
（気持ちいい・・・乳首も、玉も、先っぽも・・・）
「シロ・・・」
両手で自身を責め、快楽を貪る。
年行かない少年、それも愛する男が己を慰める姿を、エトナは恍惚の表情で見つめ、
自身も、秘所に手を伸ばした。
（・・・ぐしょぐしょ。もうこれいらねぇや）
腰巻きを外し、ストッキング越しに陰唇に触れる。
扇情的過ぎる目の前の光景と、普段と違った感触が与える性感は、
それだけで、火花が弾けるような衝撃だった。
「んっ・・・あぁ・・・」
ゆっくりと、指を動かす。
筋に沿ってなぞったり、軽く指を埋めたり。
ざらざらとした生地が擦れる度、快楽神経に電流が走る。
（エトナさんも・・・気持ちよさそう）
熱に浮かされたかのように歪む表情が、その想像が正しいことをを裏付ける。
自分と同じように、エトナも自慰の気持ちよさに浸っている。
互いの体は自分に触れているだけで、相手とは接触していない。
しかし、心は密着を通り越し、溶け合って同化している。
故に、気持ちよさは乗算で増してゆく。
（・・・もう、無理）
しごく手の動きを一層速め、絶頂へと一足飛びに・・・
「ストップ」
「ふぇっ？」
エトナの声。
反射的に、手を止める。
「え、何で・・・」
「忘れてたのか？ ココで、射精したいんだろ？」
エトナが指差したのは、足先。
シロとの相互オナニーに満足したら、今度は望みを叶えてやる番。
連続発射が余裕となった身体とはいえ、なるべく自分が射精へ導きたい。
「はい、お願いします！」
「ほらこっち来い。思いっきりイカせてやるから」
寸前で止められた昂ぶりは、間もなく最高の射精へと昇華する。
その期待感を胸に、シロは腰を上げた。
「・・・割と、恥ずかしいな」
「ダメ、ですか？」
「いや全然。シロのしたいことがアタシのしたいことだし」
少し、特殊な体勢を取ることとなった。
床に女の子座りをしたシロが、ベッドに腰掛けるエトナの太ももを抱きしめつつ、
股間に顔を埋める。
この体勢だと丁度、シロの陰茎にエトナの足が届くので、扱く。
つまり、エトナの脚を足コキの他、上半身や顔面、及び匂いでも感じられる形。
シロ曰く、ストッキングを買った時からずっと考えていたらしい。
「太ももコキも足コキもしてもらいたかったんですけど、
こうしたら同時に味わえるかなって」
「ふふっ、この欲張りさんめ♥ それじゃ、揉むなり嗅ぐなり好きにしろ。
アタシも好きにさせてもらうから」
「お願いします。あと・・・」
「頭、だろ？」
「・・・はい♥」
この体勢なら、シロの頭を撫でることも出来る。
エトナはゆっくりと、両手をシロの頭に置いた。
「いくらでもやってやるから、我慢するなよ？」
「ふぁい・・・♥」
既に、エトナの太ももの虜となったシロ。
それを見て、エトナは両足でシロのいきり立った一物を挟む。
「痛かったら言・・・って、もう聞いてないか」
「・・・♥♥♥」
しゅこしゅこと、ストッキングで表面を滑らせるようにして刺激する。
細かく動かすことが難しい上、この体勢だと肉棒が見えない為、足先の感覚だけが頼り。
といっても、エトナは性技に長けた、魔物娘のオーガ。何ら問題は無い。
闘いのような性交をする種族ではあるが、こういったことが出来ない訳でもない。
況して、相手が大好きなシロなら尚更。
（可愛いな本当。チンポびくびくさせて、必死に匂い嗅いで。
普通、ここまで変態だと気持ち悪いはずなんだけどな）
柔らかい髪を掌に、深く、荒い鼻息を太ももに感じる。
これもこれで、気持ちいい。
（それにしても、綺麗な髪してるよな。多分アタシより髪質いいだろ。
・・・何か気に入らねぇ）
少し強く、太ももでシロの頭を締め付ける。
微かに「んっ」と声が漏れたが、すぐに鼻息が肌を撫でた。
あんまり意味が無かったようなので、今度は陰茎への責めを強める。
器用に足の指で亀頭から漏れるガマン汁を塗りたくり、摩擦係数を変化させる。
滑りが良くなったところで、これまでよりも激しく、肉棒を擦る。
（変な嫉妬するんじゃねぇな、うん。・・・あ、亀頭膨らんだか？）
と、思ったのとほぼ同時に、シロがエトナの太ももを軽く叩く。
『イキそう』のサイン。
「ん、そのまま射精せ」
サインの他、予め決めていたことがある。
絶頂の瞬間、シロはエトナに言ってもらいたいことがあった。
震える肉棒から、奔流が迸ろうとした瞬間。
「この・・・」
「変態」
（〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！）
精液を吐き出すと同時に、脳髄に直撃した罵倒の言葉。
震えが快楽と共に全身に行き渡り、全てが桃色に染まった。
幾度と無く身体を重ねてきた中、シロにとって強く印象に残っている行為は二つある。
一つは、ノノンで童貞を喪失し、精通を迎えたこと。
もう一つは、シャルクの娼館での、爆乳サキュバスとの３Ｐ。
後者の経験の中、シロは『罵倒されることが快楽』という、被虐性欲に目覚めた。
「変態♪」
エトナも、悪い気はしていない。
シロのやりたいことをやりたいだけさせてはやりたいが、主導権は握りたい。
初めは戸惑いもあったが、すぐに順応した。
「ド変態♪」
罵倒の言葉を口にする度、シロは震える。
陰茎が気持ちよくて、太ももとその奥の陰唇の香りが鼻腔を擽る中、
耳にまで甘露が流し込まれるのだから、脳のキャパシティは簡単に超える。
正に『人外の悦楽』という言葉が相応しい、多幸感で廃人一直線の快楽。
事実、この時のシロの頭は回っていない。
ただ本能に従順に『きもちいい』と『しあわせ』の二つだけを感じ取っている。
「・・・・・・ふぁぁぁぁ♥」
甘い罵りを聞きながら、一頻り精液を吐き出して、ようやく最低限の意識が戻る。
そうなると今度は『だいすき』の感情が湧き上がる。
この気持ちを伝えたいが、太ももから離れたくないので。
「んむっ」
「ひゃっ！？」
肉を食み、舌で舐めることで表現した。
「ちょっ、シロお前、んっ、待てって・・・あぁんっ！」
「んちゅ、んみゅ、じゅるっ・・・」
位置的に少し顔の向きを調整すれば、パンスト越しのクンニとなる。
これもほぼ本能的に、雌の匂いにつられるようにして。
一心不乱に顔を突っ込み、湿りきった秘所を舐り倒した。
呼吸がしづらい為、脳に酸素が回らない。
自制心は働かず、欲望の赴くまま、鼻や唇、舌を擦り付ける。
「やめっ、もう・・・あぁぁぁっ！！！」
エトナも、自慰行為で絶頂に近づいていた。
そこにシロのクンニが来るとなれば、抑えようもない。
いとも簡単に、達した。
無意識に脚を閉めてしまい、シロの頭が強く圧迫される。
かなり力が入っている為、普通ならばどうしたって『痛い』と感じるはず。
しかし、その痛みすら、シロにとってはご褒美以外の何物でもない。
（いたい・・・けど、きもちいい・・・♥）
意識が消失しきる直前で、なんとか解放された。
身体の力が抜け、後ろに倒れそうになったところを、エトナに支えられた。
「もっと・・・くらひゃい・・・♥」
「・・・可愛いからいいけどさ、顔酷いぞ」
脳も表情も、とろとろに、蕩けきっていた。
快楽で頭がおかしくなりそう、というか、おかしくなっている。
均整の取れた顔をぐちゃぐちゃに歪め、シロは更なる悦楽を望んだ。
「また、足でするか？」
「こんろは・・・挿れひゃいれす・・・」
「はいはい。シロがこんなにドロドロになってくれて、アタシは嬉しいぞ♪」
「ふぁぁ・・・♥」
「・・・うーん、やっぱり届かない」
「無理すんな。代わりに、おっぱい、な？」
シロが上の、正常位。この体位は行為の最中も口付けを交わすことができることが利点だが、
二人の身長差の都合上、挿れることができる位置だと、シロの顔はエトナの胸辺り。
エトナが上になれば、どうにかできないこともないが、両者の体勢が不自然になる。
「ほら。間に顔突っ込むなり乳首吸うなり、何でもしていいからな？」
「はい。・・・それじゃ、挿れますね」
割れ目に亀頭を宛がい、腰をゆっくりと前へ。
何度もしてきただけあって、スムーズに滑り込んだ。
「んああぁっ！」
「んっ・・・♥」
そして、何度挿入しても慣れないこと。
入れた途端にキュッと締まって離さない、エトナの膣の感触。
オーガは身体だけではなく、膣の締まりも鍛えているらしい。
「ふぁぁぁ・・・♥」
「うん、頭撫でてやるから、アタシのおっぱいもいじめてくれ」
「ふぁい・・・んっ♥」
「あっ！」
丁度目の前にある豊かな乳房に顔を埋め、先端を口に含む。
匂いも味も、脳を溶かす媚薬。むにりとした弾力も、顔全体で感じる。
（あぁ・・・幸せ・・・♥）
「んんっ・・・本当に、上手くなったよな、こういうのも・・・」
舌も、腰も止まらない。
欲望の赴くまま、乳首を舐め転がし、子宮目がけて腰を打ちつける。
気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。
大好き。大好き。大好き。
脳内麻薬過剰分泌。多幸感で思考回路はショート。
『射精したい』。
そう思った瞬間、既に精を吐き出していた。
「・・・・・・・・・・・・♥♥♥」
「んっ？ ・・・あ、出てる・・・♥」
シロの射精に合わせて、エトナの膣も自然と蠕動する。
一滴たりとも零さぬように、一滴たりとも残らぬようにして、
陰茎の根元から先端に至るまで、ぐにぐにと動き、締め付ける。
最後の最後まで、快感が続き、ぐったりと脱力。
「ふぁぁ・・・♥」
「気持ちよかったか？」
「ふぁい・・・♥」
「良かった。アタシも気持ちよかったぞ♥」
胸に埋もれたシロの頭を、くしゃくしゃ。
滑らかな髪の感触を楽しみながら、撫で回す。
（あたま・・・おかしくなる・・・♥）
全身どこにも、力が入らない。
確かなのは顔面に感じるエトナの胸と、肉棒を包む襞、
そして頭どころか脳味噌ごと犯しているかのような手。
「今度はどうしたい？」
「・・・しばらく、このまま・・・♥」
「そっか。それじゃ、挿れたままゆっくりしてるか」
結局、意識がまともに戻ることは無く、そのまま眠りにつき、
二人は繋がったまま、王都に辿り着くこととなった。
嬌声を漏らす少年と、それを促す魔物娘。
「んぁっ・・・あぁっ・・・♥」
「我慢しねぇで、声出しちまえって」
「そんな、恥ずかしいです・・・」
「アタシとシロの仲だろ？ 今更何気にしてんだよ」
優しく、かつしっかりと撫でられ、血液の通りが良くなっていく。
震える声は、確実に快楽の色みを帯びてきた。
「こんな気持ちいいの・・・耐えられません・・・♥」
「んじゃ耐えなきゃいいんだよ。シロはただ気持ちよくなってりゃいい」
「僕、もう・・・♥」
やわやわと揉み解す動きが激しくなり、止めと言わんばかりに襲い掛かる。
そして・・・
「ほい終わり。どうだ、調子？」
「疲れどころか、力も抜けちゃいましたよ・・・」
今回の騒動で溜まった疲れを癒す、エトナのマッサージ。
その気持ちよさに、シロは完全に骨抜きとなった。
「しばらく、立てません・・・」
「そっか。・・・まぁこっちは勃ってるが」
「・・・その、疲れは抜けたんですけど」
「皆まで言うな。こっちも抜いてやる」
「・・・おっぱいと口で、お願いします」
「分かった。マッサージ特別コース、楽しめよ？」
なお、当然のように前戯のみで終わるはずも無く、
両者共に別の疲れを溜めることになったことを付記しておく。
教団襲撃から三日後の朝。
二人は王都の地図を広げ、どこに何があるかをまとめる作業を行っていた。
次の目的地は決まったが、それはこの大陸最大の都市。
都市自体がかなりの広さである為、行く前に色々と絞り込む必要がある。
「ここにあるのがアイリスさんの言ってた、僕の両親がいるマンションですね。
まぁ、これはいつでも行けるんで、他の物を見てみますか。
ところで、エトナさんって王都に行ったことあります？」
「何回か。お祭りやってる時に行ったな。生憎、この時期はやってねぇけど」
「お祭り・・・あぁ、建国記念日にあるんでしたっけ」
「そうそれ。めちゃくちゃ楽しいぜ？ 夜店にイベントに盛りだくさん。
時期が近かったらその時に合わせて連れてきたかったけど、仕方ねぇ」
「いずれ参加してみたいですね」
「次の祭りで行けるだろ。今ならどこにでも行けるんだしさ」
「そうですね・・・」
少し前まで、考えもしなかった。
魔物娘と共に、旅をすること。
エトナは、色々なことを教えてくれた。
この世界には、自分の知らないことが山ほどある。
『おいしい』『楽しい』『面白い』・・・『気持ちいい』。
辺境の地に逃げ、そこで一生を終えることになるんだろうと思っていた。
それでも、それなりに幸せだったから、それでいいと思っていた。
でも・・・今は違う。
「エトナさん」
「ん？ どうした？」
「いいんですかね、こんなに幸せで」
「・・・まだ、そう思うか？」
「・・・その、怖いんです。
こんなに幸せだと、この幸せを失った時、もう二度と立ち上がれなくなりそうで」
紛れも無く、幸せな『今』。それが『未来』にも続くかどうかなど、誰にも分からない。
・・・だが。
「失わせてたまるかよ。もし失っても、またアタシが幸せにしてやる。
安心しろ。幸せもアタシも無くならない。アタシが保証する」
それだけあれば、十分。
「・・・大好きです、エトナさん」
「アタシも。大好きだ、シロ」
幸せは、尽きない。
隣にエトナがいるだけで、そう思えるシロであった。
「それじゃ、続けますか」
「おう！」
「町長さん、お世話になりました」
「何言ってんだ。世話になったのはこっちだっての。
今回の件はお前の指揮と、エトナの力あってこその勝利だ。
兄貴の言ってた通りだったな。本当に、ありがとな」
「どうってことねぇよ。それよりさ、今度来た時サシで勝負しねぇか？」
「ほほーっ、言うじゃんよ。いつでも来いや、相手してやるよ！」
「あはは・・・」
拳で分かり合えることもある。
この二人の場合、それが一番手っ取り早い方法かもしれない。
「で、王都行くんだろ？ 何かいるものあるか？
報奨金は言い値で構わねぇし、用意できるものはくれてやるぜ？」
「いえ、特には。既に結構な額のお金も頂きましたし、これ以上を望むなんて」
「アタシも。旅に必要なのはこの馬車とちょっとの路銀、後はシロだけだし」
「欲ねぇなお前ら。ま、それならお言葉に甘えさせてもらうよ。
・・・本当、ありがとな。何かあったらいつでも来い。力になるぜ」
ギュッと、握手を交わす。
武骨な手の熱が、二人に更なる力を与えるかのようにして伝わった。
「町長さんも、お達者で！」
「その内また来るから、鍛えとけよー！」
「おう！ お前らも、道中気をつけて行けなー！」
腕を肩からブンブンと振り、二人を見送るデューク。
その姿と笑顔を見て、シロとエトナは街の発展を確信した。
「・・・いよいよ、ですね」
「あぁ。そうだな」
偶然の出会いの二人旅。
その最終目的地へ、馬車は進む。
「馬車でも、そんなにかかりませんよね」
「多分。昼過ぎには着くだろ。少なくとも夜にはならねぇ」
「ですよね。・・・あんまり出来ませんね」
「着いてからもヤってやるよ。で、どうしたいんだ？」
「その・・・」
行為を求めることの抵抗は、もう無い。
インキュバスの性質にしっかり順応した心と体が、エトナを求める。
「・・・足で、してもらえませんか？」
「んっ！？ ・・・え、太股とかじゃなくて、足コキってことか？」
「はい・・・これを履いて」
そう言いながら、馬車の隅に置いてある木箱から取り出したのは、黒のパンスト。
エトナの知らぬ間に、買っていたらしい。
「シャルクの露店で見つけたんですけど、これでしてもらえたらなって」
「てっきりトラウマになってるもんだと思ったけど、まさかだな」
「・・・正直、あれだけ気持ちいいなら、豚でいいやって思ってました」
「・・・くくっ」
「えぇ、笑って下さい。エトナさんにしてもらえるなら、僕は豚でも犬でも、
何にでもなりますから」
「いやごめんな。あの時はどうかしてた。それ履くから、寄越せ」
長く、美しい脚を覆う、黒のストッキング。
ぴったりと張り付いた生地が、太股や脹脛のしなやかな曲線をくっきりさせる。
「あぁ・・・もう・・・」
「視線、上にも行ってるな。おっぱいと脚、どっちメインで見るか大変だな♪」
「うぅ・・・」
幾度となく顔や陰茎を埋めた深い谷間に、これからしごいてもらう脚。
目を横方向に動かすしか、性欲を掻き立てる姿から逃れる術はないが、
どうしても、上下に行き来してしまう。
「そうだな・・・シロ、アタシをオカズに自分でしてみろ」
「・・・はい」
とっくに限界まで膨張した肉棒をズボンから出し、右手で握って上下に擦る。
虚ろな瞳が映すのは、エトナの谷間と、脚とその付け根の間にある陰裂のみ。
エトナもたまには、自分の希望を伝える。これはここ数日でのこと。
与えられてばかりだと、申し訳なさがあり、行為に没入しきれないシロの性格上、
シロにどうして欲しいか聞くだけではなく、こうした方がいいことが分かった。
それに、どうせならお互いに気持ちよくなりたい。
「ほら、もっとしごけ」
「あぁ・・・あぁ・・・」
胸の下で腕を組み、大きさ・柔らかさを強調するようにして、持ち上げる。
視線はやや上の方に偏り始め、脳裏には触感を思い出す指令が下り、
シロは自分の一物が挟まれていることを錯覚した。
（柔らかい・・・気持ちいい・・・♥♥♥）
息を荒げながら、自慰を続ける。
時折、乳首を摘んだり、睾丸を揉んだり、亀頭をこね回したり、色々な方法で性感を高める。
（気持ちいい・・・乳首も、玉も、先っぽも・・・）
「シロ・・・」
両手で自身を責め、快楽を貪る。
年行かない少年、それも愛する男が己を慰める姿を、エトナは恍惚の表情で見つめ、
自身も、秘所に手を伸ばした。
（・・・ぐしょぐしょ。もうこれいらねぇや）
腰巻きを外し、ストッキング越しに陰唇に触れる。
扇情的過ぎる目の前の光景と、普段と違った感触が与える性感は、
それだけで、火花が弾けるような衝撃だった。
「んっ・・・あぁ・・・」
ゆっくりと、指を動かす。
筋に沿ってなぞったり、軽く指を埋めたり。
ざらざらとした生地が擦れる度、快楽神経に電流が走る。
（エトナさんも・・・気持ちよさそう）
熱に浮かされたかのように歪む表情が、その想像が正しいことをを裏付ける。
自分と同じように、エトナも自慰の気持ちよさに浸っている。
互いの体は自分に触れているだけで、相手とは接触していない。
しかし、心は密着を通り越し、溶け合って同化している。
故に、気持ちよさは乗算で増してゆく。
（・・・もう、無理）
しごく手の動きを一層速め、絶頂へと一足飛びに・・・
「ストップ」
「ふぇっ？」
エトナの声。
反射的に、手を止める。
「え、何で・・・」
「忘れてたのか？ ココで、射精したいんだろ？」
エトナが指差したのは、足先。
シロとの相互オナニーに満足したら、今度は望みを叶えてやる番。
連続発射が余裕となった身体とはいえ、なるべく自分が射精へ導きたい。
「はい、お願いします！」
「ほらこっち来い。思いっきりイカせてやるから」
寸前で止められた昂ぶりは、間もなく最高の射精へと昇華する。
その期待感を胸に、シロは腰を上げた。
「・・・割と、恥ずかしいな」
「ダメ、ですか？」
「いや全然。シロのしたいことがアタシのしたいことだし」
少し、特殊な体勢を取ることとなった。
床に女の子座りをしたシロが、ベッドに腰掛けるエトナの太ももを抱きしめつつ、
股間に顔を埋める。
この体勢だと丁度、シロの陰茎にエトナの足が届くので、扱く。
つまり、エトナの脚を足コキの他、上半身や顔面、及び匂いでも感じられる形。
シロ曰く、ストッキングを買った時からずっと考えていたらしい。
「太ももコキも足コキもしてもらいたかったんですけど、
こうしたら同時に味わえるかなって」
「ふふっ、この欲張りさんめ♥ それじゃ、揉むなり嗅ぐなり好きにしろ。
アタシも好きにさせてもらうから」
「お願いします。あと・・・」
「頭、だろ？」
「・・・はい♥」
この体勢なら、シロの頭を撫でることも出来る。
エトナはゆっくりと、両手をシロの頭に置いた。
「いくらでもやってやるから、我慢するなよ？」
「ふぁい・・・♥」
既に、エトナの太ももの虜となったシロ。
それを見て、エトナは両足でシロのいきり立った一物を挟む。
「痛かったら言・・・って、もう聞いてないか」
「・・・♥♥♥」
しゅこしゅこと、ストッキングで表面を滑らせるようにして刺激する。
細かく動かすことが難しい上、この体勢だと肉棒が見えない為、足先の感覚だけが頼り。
といっても、エトナは性技に長けた、魔物娘のオーガ。何ら問題は無い。
闘いのような性交をする種族ではあるが、こういったことが出来ない訳でもない。
況して、相手が大好きなシロなら尚更。
（可愛いな本当。チンポびくびくさせて、必死に匂い嗅いで。
普通、ここまで変態だと気持ち悪いはずなんだけどな）
柔らかい髪を掌に、深く、荒い鼻息を太ももに感じる。
これもこれで、気持ちいい。
（それにしても、綺麗な髪してるよな。多分アタシより髪質いいだろ。
・・・何か気に入らねぇ）
少し強く、太ももでシロの頭を締め付ける。
微かに「んっ」と声が漏れたが、すぐに鼻息が肌を撫でた。
あんまり意味が無かったようなので、今度は陰茎への責めを強める。
器用に足の指で亀頭から漏れるガマン汁を塗りたくり、摩擦係数を変化させる。
滑りが良くなったところで、これまでよりも激しく、肉棒を擦る。
（変な嫉妬するんじゃねぇな、うん。・・・あ、亀頭膨らんだか？）
と、思ったのとほぼ同時に、シロがエトナの太ももを軽く叩く。
『イキそう』のサイン。
「ん、そのまま射精せ」
サインの他、予め決めていたことがある。
絶頂の瞬間、シロはエトナに言ってもらいたいことがあった。
震える肉棒から、奔流が迸ろうとした瞬間。
「この・・・」
「変態」
（〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！）
精液を吐き出すと同時に、脳髄に直撃した罵倒の言葉。
震えが快楽と共に全身に行き渡り、全てが桃色に染まった。
幾度と無く身体を重ねてきた中、シロにとって強く印象に残っている行為は二つある。
一つは、ノノンで童貞を喪失し、精通を迎えたこと。
もう一つは、シャルクの娼館での、爆乳サキュバスとの３Ｐ。
後者の経験の中、シロは『罵倒されることが快楽』という、被虐性欲に目覚めた。
「変態♪」
エトナも、悪い気はしていない。
シロのやりたいことをやりたいだけさせてはやりたいが、主導権は握りたい。
初めは戸惑いもあったが、すぐに順応した。
「ド変態♪」
罵倒の言葉を口にする度、シロは震える。
陰茎が気持ちよくて、太ももとその奥の陰唇の香りが鼻腔を擽る中、
耳にまで甘露が流し込まれるのだから、脳のキャパシティは簡単に超える。
正に『人外の悦楽』という言葉が相応しい、多幸感で廃人一直線の快楽。
事実、この時のシロの頭は回っていない。
ただ本能に従順に『きもちいい』と『しあわせ』の二つだけを感じ取っている。
「・・・・・・ふぁぁぁぁ♥」
甘い罵りを聞きながら、一頻り精液を吐き出して、ようやく最低限の意識が戻る。
そうなると今度は『だいすき』の感情が湧き上がる。
この気持ちを伝えたいが、太ももから離れたくないので。
「んむっ」
「ひゃっ！？」
肉を食み、舌で舐めることで表現した。
「ちょっ、シロお前、んっ、待てって・・・あぁんっ！」
「んちゅ、んみゅ、じゅるっ・・・」
位置的に少し顔の向きを調整すれば、パンスト越しのクンニとなる。
これもほぼ本能的に、雌の匂いにつられるようにして。
一心不乱に顔を突っ込み、湿りきった秘所を舐り倒した。
呼吸がしづらい為、脳に酸素が回らない。
自制心は働かず、欲望の赴くまま、鼻や唇、舌を擦り付ける。
「やめっ、もう・・・あぁぁぁっ！！！」
エトナも、自慰行為で絶頂に近づいていた。
そこにシロのクンニが来るとなれば、抑えようもない。
いとも簡単に、達した。
無意識に脚を閉めてしまい、シロの頭が強く圧迫される。
かなり力が入っている為、普通ならばどうしたって『痛い』と感じるはず。
しかし、その痛みすら、シロにとってはご褒美以外の何物でもない。
（いたい・・・けど、きもちいい・・・♥）
意識が消失しきる直前で、なんとか解放された。
身体の力が抜け、後ろに倒れそうになったところを、エトナに支えられた。
「もっと・・・くらひゃい・・・♥」
「・・・可愛いからいいけどさ、顔酷いぞ」
脳も表情も、とろとろに、蕩けきっていた。
快楽で頭がおかしくなりそう、というか、おかしくなっている。
均整の取れた顔をぐちゃぐちゃに歪め、シロは更なる悦楽を望んだ。
「また、足でするか？」
「こんろは・・・挿れひゃいれす・・・」
「はいはい。シロがこんなにドロドロになってくれて、アタシは嬉しいぞ♪」
「ふぁぁ・・・♥」
「・・・うーん、やっぱり届かない」
「無理すんな。代わりに、おっぱい、な？」
シロが上の、正常位。この体位は行為の最中も口付けを交わすことができることが利点だが、
二人の身長差の都合上、挿れることができる位置だと、シロの顔はエトナの胸辺り。
エトナが上になれば、どうにかできないこともないが、両者の体勢が不自然になる。
「ほら。間に顔突っ込むなり乳首吸うなり、何でもしていいからな？」
「はい。・・・それじゃ、挿れますね」
割れ目に亀頭を宛がい、腰をゆっくりと前へ。
何度もしてきただけあって、スムーズに滑り込んだ。
「んああぁっ！」
「んっ・・・♥」
そして、何度挿入しても慣れないこと。
入れた途端にキュッと締まって離さない、エトナの膣の感触。
オーガは身体だけではなく、膣の締まりも鍛えているらしい。
「ふぁぁぁ・・・♥」
「うん、頭撫でてやるから、アタシのおっぱいもいじめてくれ」
「ふぁい・・・んっ♥」
「あっ！」
丁度目の前にある豊かな乳房に顔を埋め、先端を口に含む。
匂いも味も、脳を溶かす媚薬。むにりとした弾力も、顔全体で感じる。
（あぁ・・・幸せ・・・♥）
「んんっ・・・本当に、上手くなったよな、こういうのも・・・」
舌も、腰も止まらない。
欲望の赴くまま、乳首を舐め転がし、子宮目がけて腰を打ちつける。
気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。
大好き。大好き。大好き。
脳内麻薬過剰分泌。多幸感で思考回路はショート。
『射精したい』。
そう思った瞬間、既に精を吐き出していた。
「・・・・・・・・・・・・♥♥♥」
「んっ？ ・・・あ、出てる・・・♥」
シロの射精に合わせて、エトナの膣も自然と蠕動する。
一滴たりとも零さぬように、一滴たりとも残らぬようにして、
陰茎の根元から先端に至るまで、ぐにぐにと動き、締め付ける。
最後の最後まで、快感が続き、ぐったりと脱力。
「ふぁぁ・・・♥」
「気持ちよかったか？」
「ふぁい・・・♥」
「良かった。アタシも気持ちよかったぞ♥」
胸に埋もれたシロの頭を、くしゃくしゃ。
滑らかな髪の感触を楽しみながら、撫で回す。
（あたま・・・おかしくなる・・・♥）
全身どこにも、力が入らない。
確かなのは顔面に感じるエトナの胸と、肉棒を包む襞、
そして頭どころか脳味噌ごと犯しているかのような手。
「今度はどうしたい？」
「・・・しばらく、このまま・・・♥」
「そっか。それじゃ、挿れたままゆっくりしてるか」
結局、意識がまともに戻ることは無く、そのまま眠りにつき、
二人は繋がったまま、王都に辿り着くこととなった。
16/08/13 19:46更新 / 星空木陰
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