連載小説
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第3回 前編

エル&フィーネ『スーパー クレールヘンシスターズ!!はじまるよ!!』


♪OPテーマ『Maiden's Garden』♪









エル「ごきげんよう諸君。俺がエルだ。」

フィーネ「ごきげんようみんな!フィーネです!」

エル「この番組は、連載小説『英雄の羽』を基礎にした特別外伝!」

フィーネ「パーソナリティはクレールヘン兄妹二人がお送りいたします!」



エル「さて、前回の放送はいつだったっけな。」

フィーネ「たしかバレンタイン特別企画の次の日だったから…、2月15日だったはず。」

エル「それはまたずいぶん間隔が開いたな。」

フィーネ「本当はもっと早く収録できそうだったんだけど、
地震の影響をもろに受けてちゃったんだよね。
     私たちは無事だけど、これからも計画停電が続くから、どうなることやら。」

エル「犠牲者の方々には改めて追悼の意をこの場を借りて表明する。」

フィーネ「それと、遅れた理由はもう一つあるらしいの!」

エル「ほう、なんだそれは?」

フィーネ「参謀本部が新しく買った
『ストロン○・ホールド ゴールドエディション』にはまっちゃって、
     私たちをそっちのけでゲームで攻城戦やクルセイダーをやりまくってたみたい。」

エル「これだから戦争大好き人間は…」

フィーネ「にいさんも人のこと言えないと思うんだけど。」

エル「ちなみに、ストロ○グ・ホールドは中世ヨーロッパを舞台にした
『城郭都市建設リアルタイムストラテジー』で、自分は『閣下』になって要塞を築いて
敵の進攻を防いだり、逆に敵の堅固な要塞を落としたりする。
   あと、内政をするには自分で資源を採取して経済を発展させることもあるぞ。
   …って何気に宣伝しちまったよ!本当はこんなこと良くないんだけどな!」

フィーネ「でもマイナーなゲームだし、やってるリスナーはまずいなそうだよね。
     それと続編の『クルセイダー』では十字軍になってアラビア軍と戦います!
     最近は何気にアラビア軍兵士を魔物娘兵士に置き換えて妄想して楽しんでる私です。」

エル「ええい、きりがない。この話題はここで終わり。
   それよりも、今回からほかのラジオを見習ってオープニングBGMをつけてみたそうだ。」

フィーネ「曲を知ってる人は流しながら聞いてくれると幸いです。」

エル「だからなんだと言われれば、雰囲気のためとしかいいようがないけどな。
   と、いったところで今回も楽しくやっていきますので、よろしくお付き合いください。」

フィーネ「この番組はロンドネル公営放送により、参謀本部からお送りいたします!」





―――――『今日の戦友!!』―――――





エル「戦友……、つまりゲスト紹介のコーナーだ。」

フィーネ「前回はヴァル=フレイヤさんが来てくれました!カーリング勝負、楽しかったです!」

エル「そして今回のゲストは魔物娘だそうだ。」

フィーネ「わーお!私達一応反魔物軍だから魔物娘さんのゲストが来てくれるか心配だったけど
     来てくれたんだ!どんな子かたのしみだね!」

エル「しかも二人…『匹』と数えるのは失礼だからこのラジオでは魔物娘も『人』で統一するぞ
   二人の魔物娘さんが来てくれたんだ。」

フィーネ「なんと!」

エル「では、本日のゲストはセイレーンのリエンさんとサイクロプスのリラさんです!どうぞ!」




ガラッ


放送室に入ってきたのは二人の魔物娘だ。


まず、青が基調の鮮やかな翼をもち、腰に届かないくらいの長さの茶髪、
そして背丈が小さく、見た目がかなり若いセイレーンの少女。
服装に装飾は少ないが、左足に短い鎖が巻かれ、その先に赤い鈴が目を引く。
表情にはかなり緊張と不安の色が出ているものの、臆することなく部屋の扉から入出してきた。

次に、紫色の短髪に青の肌。頭から生えた角を持ち、
顔の半分ほどの大きさをした琥珀色の単眼が特徴的なサイクロプス。
サイクロプスゆえ、その身長はかなりの大きさだ。
こちらは緊張具合を見せず、ゆっくりと入出してきた。



リエン「(ペコリ)」

リラ「こんにちは。」

エル「ようこそお二方!って改めて見るとすごい身長差だ!」

フィーネ「ごきげんようリエンさん!リラさん!フィーネだよ、よろしく!」

リラ「こちらこそ、よろしく。」

リエン「(コクン)」


軽い挨拶を交わした後、それぞれ対面して座る。
配置的には麻雀が出来そうな感じだ。


エル「では早速二人には自己紹介をしてもらおうと思っている……んだけど、
   リエンさんは諸事情で声が出ないんだそうだ。」

フィーネ「えっ!?そうだったんだ!?」

リラ「私も今、初めて知った。」

リエン「…………(コクン)」

エル「ごめんね、フィーネにはそのことを話してなかったからな。
   そのかわり、リエンさんの意思表示を代替する人を用意しているんだ。
   ではユリアさんお願いします。」


ユリア「はーい♪よろしくね、リエンさん。
    リエンさんはモル・カント聖王国地方を旅するセイレーンの女の子です。
    奴隷商に売られそうになったところを現在の保護者の方に助けられました。
    保護者の方によると、やや内気でおとなしい子だそうですが
    ロマンチックな面もある心美しい女の子です。」

リエン「ペコリ(///)」

ユリア「何か伝えたいことがあったら私が介しますので、安心してくださいね!」

エル「反魔物軍の将軍相手ということで不安かもしれないけど、
   取って食うようなことはしないから、気さくにリアクションしてくれ。」

リエン「?」

リラ「リアクション?」

フィーネ「高度な蘇生魔法のこと!」

リエン「(ズビシッ!)」←羽を素早く水平に動かした時の音

ユリア「それは『リザレクション』ですね…」

フィーネ「早速ツッコミが入った!?」

エル「こんなかんじに自己主張してくれてもいい。」

フィーネ「では、次にリラさんよろしくおねがいします。」

リラ「ええ。私は、サイクロプスのリラ。鍛冶屋『LILAC』を経営してる。以上。」

エル「短っ!も、もう少しリスナーのみなさんに対して何か情報くれると嬉しいんだが…」

リラ「ごめん。少し端折りすぎた…
   グランデムの中央通りから少し外れた通りに、私の鍛冶屋があるの。
   経営はあまり良いとは言えないかもしれないけど、品質は保証する。
   私も、ニシカも、キリュウも、毎日一生懸命がんばってる。だから、よろしく。」

リエン「―――(バサバサ)」

ユリア「こちらこそよろしく、だそうです。」

エル「実は自由都市アネットの市長であるフェデリカさんも、
   武器をリラさんに作ってもらったのだとか。」

フィーネ「あのすごい頑丈な斧、リラさんが作ったんだ!すごーい!」

リラ「フェデリカさん…、斧に負担がかかる使い方をするから、すぐ壊れちゃうの。
   だから特注の武器がほしいって、言ってたの。」

フィーネ「そして今ではアネット革命はあの斧なくしては達成できなかったと言われてるくらい
   一躍有名な武器になっているんだって!」

リラ「え…、いや、そんな凄いことになっていたなんて…」

エル「というのは誇張だけど、フェデリカさんは
   正義と自由のためにあの斧で戦ったのは事実だ。
   つまりリラさんもアネット革命の立役者の一人ってわけだ。」

リエン「……(尊敬の眼差し)」

リラ「照れる。」

エル「そんなわけで、今日は二人のゲストとともにお送りしていくことにする
   進行も少し大変かもしれないが……、そう言えば次のコーナーは」

フィーネ「まずはこのコーナーから!」




―――――『今日のエル縛りプレイ』――――――



フィーネ「チートすぎるにいさんに、
     リスナーの皆さんから縛りを要求してもらうコーナーです!」

エル「前回は…、……、いろいろ大変だったな。」

リラ「女性口調の後遺症は、なおったの?」

フィーネ「私的にはあのままでもよかったんだけど、仕事に支障が出るから
     あの後みんなで色々やってようやく元に戻りました。」

エル「本当に自覚がなかった…、かなりショックだ。」

リラ「私も聴いていたけど、違和感無かった。」

リエン「(コックリ)」

エル「大きく頷かれた!?ああもう、我に返るとかなり恥ずかしいんだからねっ!」

フィ&リラ『あ、また。』

リエン「……(シャン♪)』

エル「…………、早く今回のお題を。」

フィーネ「はいはい。今日の縛りは、ラジオネーム『大熊猫大好き』さんから頂きました!」



条件:口調を執事風にさせる。ついでに服装も執事服にする。



フィーネ「やったねにいさん!男らしいものが来たよ!」

エル「ええ、まことに結構なお題で御座いますな。」

リエン「!」

リラ「この瞬間から、戦いは始まってる、みたいね。」

フィーネ「というわけで、にいさんは更衣室へゴー!」

エル「畏まりました。」


ススス〜


リエン「……」

ユリア「『私は執事って見たことないけど、なんとなくキッチリした雰囲気がある』
    とおっしゃっています。」

リラ「私はたまに見る。ヴァンパイアが、スーツを着たインキュバスを連れている。」

フィーネ「でも執事は単なる下僕じゃないんだよ。」

リエン「?」

フィーネ「高貴なる下僕です。」

リラ「本質は、あまり変わらないと思う…」


コンコン


エル「失礼いたします。」

フィーネ「どうぞー!」


カチャッ


入出してきたエルの格好は、キッチリした黒い執事服だった。
ただ、容姿的には「女性が執事になるとこうなる」の見本みたいな雰囲気だった。
さながら宝塚の役者が執事役を演じたような男装の麗人と言ったところか。



エル「おはようございます閣下。」

フィーネ「それスト○ング・ホールドの書記官だから!いつまでも引っ張らない!」

エル「これは失礼。ではお嬢様方、どのようなご命令でも承ります。」

リラ「いいの?こんなことさせて。」


ファーリル「それについては放送作家の僕が保証するよ。
      今日のエルはどんな命令でも聞いてくれるから
      好きなだけこき使ってもいいよ。」


エル「…、はいその通りでございます。」

フィーネ「じゃあにいさんを呼び捨てにしてもいいの?」

エル「はっ。わたくしは執事ですので、呼び捨てで構いません。」


ファーリル「じゃあ早速リエンちゃん。何か命令してみて。」


リエン「………(コクン)」

ユリア「リエンお嬢様は飲み物を所望だそうです。」

フィーネ「じゃあ私にもオレンジジュースを!」

リラ「私は緑茶でいい。」

リエン「―――」

ユリア「リエンお嬢様はホットミルクを所望するそうです。」

エル「畏まりました、お嬢様。」

ニコッ(執事スマイル発動!)

三人『!!!』


エルは三人の要望に最上の笑顔で応えると、再び放送室からスススっと出て行った。



フィーネ「あの破壊力抜群の笑顔もに…じゃなくてエル執事の持ち味なんだよね!」

リラ「おそらく、あの笑顔で接客させたら、それだけで店が繁盛しそう。」

リイン「(コクン)」

フィーネ「じゃあエル執事がお飲み物をとってくるまでに、
     私たちで先に進めましょうか。」





―――――『探求の羽』――――――



フィーネ「このコーナーは本編「英雄の羽」に対する
     疑問質問に、深いものから、しょうもないものまで、
     探求していくコーナーです!」

リラ「…いいのかな、私たちだけで始めちゃっても。」

フィーネ「多分もうすぐ戻ってくるよ。」


スススッ


エル「お待たせいたしましたお嬢様方。お飲み物でございます。」

リラ「お、早い。」

フィーネ「ありがと。」

リイン「(コクン)」

エル「それと、軽い食べ物も持ってまいりました。
   チーズケーキにチョコレート、ビスケットでございます。」

フィーネ「そしてこの気配り!」

リラ「このお茶、とてもいい香りがする。」

エル「喜びいただいて何よりです。
   では今回の探究の羽で御座いますが、
   特別にお嬢様方の疑問に答えたいと存じます。」

リエン「?」

リラ「私たちの、疑問?」

フィーネ「今回はあまりお便りが来なかったからなんだけどね…」

リエン「…(チリンチリン♪)」

エル「如何いたしましたか、リエンお嬢様。」



リエン「―――――(?)」

ユリア「リエンさんが言うには『冒頭の画像、変わった?』だそうです。」



リラ「確かに、冒頭の画像が毎回違う。」

フィーネ「そうなの!せっかく素材があるからってことで毎回加工してるの!」

エル「とは言いましても、細部まで加工する技術は持ち合わせておりません。
   よって、わたくしが執事服を着た立ち絵は用意できませんので、悪しからず。」

リラ「それは残念。」

リエン「…」

ユリア「『エルさんのあられもない姿や色っぽい姿が見れなくて残念』
    とリエンさんがいってます。」

リエン「!?(ブンブン)///」←全力で首を横に振る。

エル「いけませんよ…、通訳が勝手に言葉を捏造しては…」

フィーネ「ちなみに今回の画像は…ストロ(ry のスクリーンショットです。」

リエン「(ビシッ)」

ユリア「『またですか!?』だそうです。」

エル「詳細といたしましては、画像はマップエディターによる自作シナリオで
   とある戦争系SSにおける一つの攻防を再現したものでございます。」

フィーネ「三回連続で戦争の画像だったから、
     そろそろ風景画が欲しいと思っています。」

リラ「でも、そういう画像は著作権があるから、簡単にはできないかも。」

リエン「(コクン)」

エル「左様でございますな。しかし、参謀本部はそれでも
   毎回違う画像を用意することは間違いないとのことです。」

フィーネ「じゃあ今度はリラさん、何か質問はありますか?」


リラ「エルさんの武器、方天画戟の性能が知りたい。」


フィーネ「お、早速鍛冶屋魂が現れたみたい!」

エル「ではただいま持ってまいりますので、少々お待ち下さい。」


スススッ


リエン「……」

ユリア「『パーソナリティーが放送中に放送室を出て行くのは珍しい』
    とおっしゃっています。」

フィーネ「この番組は公営放送なのに結構何でもアリだからね!」

リラ「…はたして、それでいいのかな?」


スススッ


エル「こちらで御座います、リラお嬢様。」

リラ「ありがとう。……、これが…」


エルの装備、方天画戟。
『戟』とは、槍の穂先の側面に三日月形の刃がついている長柄武器の一種。
はるか東方の国で主に使用される武器で、ユリスでは比較的珍しい。
突く、薙ぐ、払うの三動作を可能とする万能武器なのだが、
側面についている刃のせいで深く突き刺せないという欠点もある。



リエン「…(興味深々)」

リラ「柄が銀で出来ている…、けど、穂先が何で出来てるのか、分からない。
   オリハルコンより強度はないけど、鋼鉄や銀より遥かに強度がある。
   しかしミスリルでも、ダマスカス鋼でもない…?」

フィーネ「リラさんにも分からない素材があるんだね。」

リラ「うん。こんな素材見たことない。一体何?」

エル「はっ、実はこれは幻の金属『ニッケルクロムモルブデン鋼』が使われております。」

フィーネ「あれ?」

リエン「……(バサバサ)」

ユリア「『ニッケルクロムモリブデン鋼ってなに?』だそうです。」

リラ「私はそんな金属、聞いたことがない。」

エル「ニッケルクロムモリブデン鋼といいますのは、錬金術によってのみ作られる合金で
   錬金術の過程で様々な追加効果がつけ放題という超万能金属でございます。
   この方天画戟も、実は隠された機能といたしまして、持ち主の身長に合わせて
   大きさが変わったり、投げると空中で分裂して散弾となって敵全体に降り注いだり
   そのあと手元に戻ってきたり…」

リラ「すごい…、人間の錬金術は侮れない。」

エル「…したらいいなと考えております。」

リエン「(ズビシッ!!)」

ユリア「『嘘なんですか!?』と、リエンお嬢様が唖然としております…」

フィーネ「あのね、リラさん。本当はその武器は『隕鉄』で出来てるの。」

エル「嘘を言って申し訳ございません。
   特に伸びたりビームが出たりは致しません。」

リラ「いや…、少しびっくりしただけ。
   これが隕鉄…、地上には埋蔵されてないから、隕石みたいなものからしか
   取れない、ものすごく貴重な金属。初めて見た。」

エル「強度はオリハルコンに劣りますが、通常の金属より遥かに強度があります。
   この隕鉄はロンドネル郊外にある大穴でわずかに採掘できます。」

フィーネ「本編にはまだ出てきてないけど、私の武器にも隕鉄が使われてるの。」

リラ「買えるの?」

エル「いえ、こればかりは領主さまの使用許可が必要です。」

リエン「……」

ユリア「『重さはどのくらいでしょうか』とのことです。」

エル「そんなに重くは御座いません。だいたい3s程度です。
   長さは4.5mとなっております。」

リラ「けど、この形状で、その長さだと、熟練しないと使いにくい。」

フィーネ「だからこの方天画戟は兄さんにしか扱えないんだよね。」

リエン「(納得)」



エル「では、ここからはお便りを紹介したいと存じます…」

リエン「…(チリンリイィン♪)」

エル「如何いたしましたか、リエンお嬢様。」

リエン「――」

ユリア「ホットミルクをもう一杯所望のようです。」

エル「かしこまりました。」


スススッ

   
フィーネ「リエンさんって実はけっこう度胸あるんだね。」

リラ「私も、未だに遠慮してしまっている。」

リエン「……(汗」

ユリア「ふふふ、いいんですよリエンお嬢様。遠慮なさらずに
    どんどんお申し付け下さって構いません。
    リラさんも、お気軽に言っていただいて構わないんですよ。」

リラ「…そう。」


スススッ


エル「ホットミルクをお持ちいたしました。」

リエン「(ペコリ)」

エル「では改めてお便りのご紹介。
   ラジオネーム『ティモテ』さんから頂きました。



ティモテ:パラディンとテンプルナイトはどちらも聖騎士だけど
     具体的にどこが違うの?



フィーネ「恒例のユニットに関する質問だね。」

リラ「そもそも騎士は、どれだけの、種類があるの?」

フィーネ「うーん、基本的に一般兵士クラスの騎士は何を装備してるかで
     〜ナイトって区分されるの。例えば剣装備だとソードナイトとか。」

エル「しかし、経験を積んで昇格しますと、今度は専門分野によって分けられます。
   その中でパラディン(聖騎士)は主に下級の騎士たちを率いる役目がございます。
   一方で、テンプルナイト(教会騎士)は教会そのものに忠誠を誓った
   教会兵団のエリートとされる者達なのです。」

リエン「…?」

ユリア「『でも、パラディンもテンプルナイトも、
     魔物が嫌いなことには変わりないのでは?』とおっしゃっています。」

エル「確かにテンプルナイトの方々は教会の教えを絶対としていますので、
   大抵は魔物に対してかなりの敵意を持っております。
   ひとたび魔物と出会えば、見境なく亡き者にしようとする人さえいます。」

リラ「私は人間は、あまり嫌いじゃない。でも、こういう人たちは嫌い。」

フィーネ「うーん、私もテンプルナイトの人たちは石頭だから
     あんまり好きじゃないかも。」

エル「しかしながら、パラディンになる騎士は思想信条に関係ございません。
   たとえ親魔物国であったとしても、そこに騎士階級があれば
   パラディンは存在しますし、パラディン同士で戦うことも珍しくありません。」

フィーネ「逆に、テンプルナイト同士は身内意識が強いから
     お互いが戦うことはまずないと言っていいかも。」

リラ「私の店にも、稀に騎士の人が、来る。そう言う人が、パラディンなのね。」

エル「いえ、そうとは限りません。他にも重装騎兵のグレートナイトや、
   一般兵や傭兵を指揮するコマンドナイト、特定の国に仕えないフリーナイト、
   領主以上の為政者地位を持つデュークナイトなど複雑な区分がございます。」

リエン「……」

ユリア「『複雑すぎて覚えられない』そうです。」

エル「いえ、覚える必要は御座いません。ただしテンプルナイトだけは
   リエンお嬢様やリラお嬢様にとって注意すべきかと思われます。」

リエン「(コクン)」

フィーネ「それじゃ最後のお便り!
     ラジオネーム『ボルトアクス将軍』からいただきました!」

リラ「ぬう、ここまで登ってきたか。」

リエン「?」



ボルトアクス将軍:親魔物国の構造が良く分からない。教えてくれ。




フィーネ「この人はそれを知って何する気なんだろう?」

リラ「私の住んでいる国は、魔物が、領主をやってる。」

エル「親魔物国の構造も、やはり様々な形がありますが
   大まかに分けて三つほどの種類がございます。」

リエン「(コクン)」

エル「まず、魔物だけで構成される純魔物国家。結束は非常に強いのですが、
   魔物娘化の影響で雄個体がいなくなったため、今ではほとんどありません。
   また、人間がいても人間の女性がいない国も、人間が生まれないため
   純魔物国家に分類されるのです。」

リラ「私たちにとって、始めのうちは、魔王の代替わりは、死活問題だった。
   人間と過ごさないと、子孫を残せないの。」

エル「次に魔物が治めているのですが、人間も住んでいる治魔国家。
   魔物が人間の政治の仕方を学んで、作った国の大半が該当いたします。
   理想とされる政治体系ですが、人間国家からの攻撃を受けやすく
   さらに統治する魔物の力量がないと、すぐに崩壊してしまいます。」

フィーネ「だからリリシアさんやフェデリカさんは、
     かなり領主としての才能があるんだよね。
     実際に、好き勝手に国を作っても人がついてこないの。」

エル「そして最後に人間が治めているのですが、魔物も住んでいる親魔国家。
   人間も魔物も分け隔てなく受け入れる国がこれに該当いたします。
   トップが変わると方針が変わる危険性もありますが、
   やはりこの時代では人間が政治をした方が安定します。」

リエン「…(コクコク)」

エル「そうですね。リエンお嬢様が旅するモル・カント聖王国もまた
   親魔国家の一種ですね。」

リラ「親魔物国は、誰でも住みやすい。でも、大きな欠点がある。」

リエン「?」

フィーネ「男女比が偏るんだよね(汗
     男性と女性の割合が1:2以上は当たり前なんだとか…」

リラ「普通だと、未婚の女性が増えてしまう。だから、重婚を認める国も、ある。」

エル「そして、寿命の違いゆえの歳の差結婚も日常茶飯事なのです。」

リエン「……?」

ユリア「リエンお嬢様、魔物と人間の間では歳の差なんて些細なことなのですよ♪」

エル「リエンお嬢様は何とおっしゃられているのでしょう?」

ユリア「『未成年でも結婚できるか』だそうです。」

エル「それは…、その国の法律によるでしょう。」

リラ「特に、サバトは、法律があっても、無視しちゃう。」

フィーネ「まあ、あれは存在自体が特殊だからね。」


エル「では、今回の探究の羽はここまでで御座います。
   いかがでしたでしょうかお嬢様方?」

リラ「とても、勉強になった。」

リエン「(コクン)」

フィーネ「みなさんも疑問質問、なんでも送ってきてくださいね!」

エル「以上、『探求の羽』でした。」





―――――『RNGで遊ぼう』――――――




フィーネ「このコーナーは、本編で使われている地図を作ってる、
    『RLG(ランダム・ランド・ジェネレータ)』の姉妹ソフトである、
    『RNG(ランダム・ネーム・ジェネレータ)』を使って遊んでいくコーナーだよ!」

エル「お嬢様方、パソコンの準備が出来ました。」

リラ「まだ画面には、何も書かれていない。」

リエン「(興味深々)」

フィーネ「じゃあ、前回みたいに好きなボタンを押してください!」

リラ「リエンさん、どれがいい?」

リエン「…(スッ)」←画面を翼の先で指す。

リラ「じゃあ、これ。」


カチッ 

―――――――――――――――――――――――

♀イターシー
♀サールアル
♀スートシェン
♀タフディナ
♀セーファリーヌ
♀ミルーラ
♀ラーレナ
♀ニートエス
♀ニタナス
♀ラーレナ

―――――――――――――――――――――――


リラ「なんか、画面に一杯出てきた。」

エル「今お嬢様が押されましたのは『女性名(複)』でございます。
   ランダムで複数の女性名候補が現れます。」

フィーネ「もうすでに何箇所か突っ込みたい要素が…」

リエン「…(うずうず)」

エル「遠慮なさらずにどうぞ。」

フィーネ「エスのニート!?すさまじいね…」

リエン「(ビシッ)」

ユリア「『ラーレナさんが二回も出てきてます!』だそうです。」

エル「はい、わたくしも同じ名前が二回でたところを見るのは初めてでございます。」

リラ「じゃあ、これは?」


カチッ

―――――――――――――――――――――――

△堕ちるオアシス
△魔女たちの脅威
△燃えさかる狩猟場
△枯れ果てた呟き
△戦士の友
△サバトの償い
△秘密の魔法戦士
△失われた断崖
△覚醒の弁明
△絶妙なる邪剣

―――――――――――――――――――――――


リラ「絶妙なる…邪剣…、……(笑」

フィーネ「なんかリラさんのツボに入ったっぽい!?」

エル「じわじわきます。」

リエン「(コクコク)」

エル「では、今回もツッコミどころ満載な
   言葉達を紹介していきましょう。」



No.1  「エースエル」男性名


フィーネ「エスエルって蒸気機関車!?」

エル「SLですね。」

リエン「…?」

リラ「リエンさんの時代には、ないけど、
   蒸気の力で走る大きな乗り物のこと。」



No.2  「ホールシュタイン」男性名


エル「なにやら、男色者のような名前ですね…」

リエン「……」

ユリア「リエンお嬢様は、ホルスタウルスの男性版ではないかと
    考えているようです。」

リラ「それ、ただのインキュバスだから。」

フィーネ「いやいやいや!」



No.3  「ゴンデレバクト」男性名


リエン「?」

リラ「ゴンデレって、何?」

フィーネ「なんか新手のジャンルが出現した模様。」

エル「なぜかゴンデレ・バクトに分けてしまいますね…」



No.4  「クーデレデス」女性名


リエン「(ビシッ)」

フィーネ「自分からクーデレだって暴露した!?」

エル「これほど直球な名前も珍しいですね。」

リラ「クールに、デレるのは、なかなか難しい。」



No.5  「イレース」女性名


エル「参謀本部によりますと、FEに同じ名前のキャラがいるとか。」

リエン「…?」

ユリア「『どんな人?』か知りたいそうです。」

リラ「たしか、その子は雷魔法が得意な魔道士の女の子。」

フィーネ「華奢で薄幸で影が薄いけど、すごく大食いなんだよね…」



No.6   「ギ モトム」日本名


リラ「荒んだ世の中では、義を求めて、戦う人がいると言う。」

フィーネ「だからといって名前にまで現すなんて…」

エル「ギ、という苗字も非常に珍しいですな。」

リエン「(コクン)」



No.7  「ワカノハナ エジ」日本名



リエン「!!」

ユリア「リエンお嬢様!まさかSUMOUを知っているのですか!?」

リラ「私も、聞いたことがある。ジパングには、RIKISIという、戦士がいるらしい。」

エル「ワカノハナはそこそこ有名なRIKISIでございます。」

フィーネ「そんな人が衛士(えじ)をしてるジパングって一体…」



No.8  「聖女の妻」閃き


リエン「!?(ズビシッ)」

フィーネ「同性婚キタコレ。」

リラ「じつは、魔物同士の結婚は、そんなに珍しいことじゃない。」

エル「ランダムですので、稀にこういった事故も起こります…」



No.9  「安全な宝箱」閃き


フィーネ「うーん、この世界だとミミックが結構どこにでもいるから
     完全に安全な宝箱ってなかなかないんだよね。」

エル「しかしながら、あるにはあります。」

リエン「?」

リラ「一度開けた宝箱は、安全。」



No.10  「我が家の街道」閃き


リラ「一個人が、所有する街道。」

フィーネ「相当お金持ちだね。」

リエン「…」

ユリア「『それにしてはあまり壮大な感じがしない』とお嬢様はおっしゃっています。」

エル「我が家の街道自慢。無理です。」



No.11  「熊猫の決戦前夜」閃き


エル「字面だけみれば格好いいのですが…」

リラ「熊猫は、パンダのこと。」

リエン「…」

ユリア「実に奥ゆかしい光景ですね、リエンお嬢様。」

フィーネ「夢見月様の報告よりいただきました!」



No.12  「紀元前の絆」閃き


リラ「一万年と、二千年前から」

フィーネ「あ、い、し、て、る〜♪」

リエン「…?」

ユリア「『一万二千年前は何時代だっけ?』だそうです。」

エル「まだ人類は石器を使っていた時代でした。」



No.13  「邪眼の発情期」閃き


リエン「(ズビシッ)」

フィーネ「もはやいろいろ手がつけられないことになってます。」

リラ「メデューサのSSの、題字に最適かも。」

エル「ではお嬢様方、今回は以上になります。」

リラ「ランダムとは、恐ろしい。」

リエン「(コクン)」

フィーネ「以上!『RNGで遊ぼう』のコーナーでした!」



リエン「…(チリンチリン♪)」

エル「如何いたしました、リエンお嬢様。」

リエン「…………///」

ユリア「リエンお嬢様はお花を摘みたいようですわ。」

エル「承知いたしました。こちらになります。」

リラ「花を、摘む?」


ファーリル「では、ここで一旦休憩に入ります。
      『オン・エル・バトル』は後編で!」


11/03/16 13:06更新 / バーソロミュ
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■作者メッセージ


外部の様子


キリュウ「いやー、楽しそうですねぃ師匠たち!あっしも混ざりたいでさぁ!」

ニシカ「そうですね。それに少しも緊張した様子がないです。
    僕があそこに放り込まれたら、緊張で動けなくなっちゃうよ…」

キリュウ「にしても、あのセイレーンの嬢ちゃんすげぇや。
     よくあそこまでお偉いさんをパシれるな…」

ニシカ「リラさんが謙虚すぎるだけでは?」

キリュウ「いんや、リエンの嬢ちゃんは内向きっぽいが、意外とノリが…」

フェムノス「…何の話をしている。」

二人『うおう!?』

キリュウ「あ、あんたいつの間に後ろに!?」

ニシカ「びっくりした…」

フェムノス「俺はさっきからいたぞ。
      だが、気のせいかリエンの話題が出たような気がしてな。」

キリュウ「え、ええ!あっしらもリエン嬢は可愛いなと言う話をしていたところでやして…!」

ニシカ「そ、その僕もリラさんとリエンさんは似てるなって思って。」

フェムノス「似てる?」

ニシカ「リラさんは一見すると周りに興味がないように見えますが、
    実は非常に好奇心旺盛な人なんです!
    そしてリエンさんもけっこう好奇心旺盛のようで、
    常に目を輝かせて、話に聞き入ってる様子が
    リラさんと似てるなって…」

フェムノス「なるほどな。言われてみれば、リエンは内向的で落ち込みがちな性格だが
      人一倍好奇心が旺盛で、新しい発見をすることが大好きだ。
      君たちの師匠も同じというのなら……、似ているかもしれんな。」

キリュウ「なら、もしかしたらあっしらも似た者同士かもしれませんぜ!」

ニシカ「え!?どうしてですか先輩!?」

キリュウ「いや、なんとなくでっさぁ!」

フェムノス「…まあ、人間だれしも他人と共通点を持っていると言うからな。
      おおかた、我々三人は保護者と被保護者のちがいはあれど
      大切な仲間の楽しむ姿を見ていたいという気持ちがあるのだろうな。」



こうして、控室でも何気ない交流があった。

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