番外録 小さな少女の初恋と終わり
日差しが良く通り、一人の少女の可愛らしい寝顔を照らしてまるで目覚めさせるのを急かしているように少女の顔を照らし続けていた。
「・ふぁぁあ・・・よく寝たぁ・・」
この少女、チコは現在自分の部屋に備え付けてあるベットからゆっくりと目を覚ました所である。チコは特に何をするでもなくただただボウッとしていた。
「・・・・そだ・・おとぉさん起こさなきゃ・・」
いつも抱えている蜂のぬいぐるみを抱き直したチコは、やっとベッドを離れて別の場所へ移動し始めた。その動きはとてもゆっくりとしていて、チコがまだ眠たいのがよく分かる。そしてチコは父親の部屋へと辿りついた。
「おとぉさん・・起きて?」
チコが山になっている布団を揺すると、素直にその中から父親は這い出して来てくれた。リーフは布団から出てくると、お礼の意味とおはようの挨拶を込めてチコの、小さくも可愛らしく咲いている花のすぐ隣を撫でてあげた。
「おはよ。チコも目が覚めたかい?」
「・・ふっ・・うん・・」
どうやらリーフが撫でていた時に避けていた花の部分に、うっかり触れてしまったらしい。チコは気持ち良さそうにしていたがそれを隠そうとリーフの質問にはきっちりと答えていた。そして時間を見たチコは、学校に行く用意を済ませてリーフとネルの見送りの下、学校に向かってゆっくりと歩いて行った。
「おはよ!また会っちゃったね。チコ・・だっけ。」
「・・・うん。そうだよ?」
いつものようにチコの隣を一人の少年が歩幅を合わせて付いてくる。チコはこの少年に付いて知っている。この少年は自分の隣の席の男子生徒で「ツリー」と言うらしい。とても変わった名前。チコが知っているのはそこまでだった。元々、チコには好きな人なんていない。作ろうとも思っていない。
「それにしてもよく会うよね。ここまで来ると運命感じちゃうよ。」
「・・・運命・・ねぇ・・」
気軽に運命なんて大層な言葉を使っているんじゃない。そう心の中で思っていたチコだが、時計を見て危険を感じた。チャイムの鳴る2分前だ。先程までのノロノロとした歩調では点呼にギリギリ間に合わない。急いで行こうにもアルラウネ故に走るような足の構造をしていない。すると、ツリーはチコの手を取ると一緒に走ってくれた。それに引っ張られる様にしてチコは校舎に駆けこんで靴を履き替えて教室に入って席に着いた。その瞬間にチャイムがなってスタンバイしていた担任のラニィ先生が点呼を始める。ラニィ先生は、チコやツリーの良き担任であり、リーフの友達でもあった。
「・・チコ!」
「はい。」
ラニィに呼ばれて普通に挨拶するチコ。しかし、チコには違和感があった。隣のツリーの様子がおかしい。まだ二人とも小学一年生だ。発情するのも早ければ、恋愛感情を持つのも早すぎる。それなのにチコのツリーに対する気持ちは蠢いていた。
「・・・それで?ここに呼び出した理由って?」
「え・・っと・・チコ?僕と・・その・・」
「君にはまだ早いわよ?もっと育ってからにして頂戴?」
こうして、チコの勘違いとツリーの初恋は幕を閉じた。しかし、チコには不信感が拭えなかった。何故お互いにまだ子供なのに恋をしたのだろう。違う、これは恋では無い。友情の度合いを間違えた結果なのだ。そうに違いない。
「さて・・かえっておとぉさん達と遊んでもらお・・・♪」
学校の机の中に必要最低限の物を置いて帰って、現在は帰路に付いているチコは、音楽を小さく刻みながらリーフ達の待つ家へと向けて歩を進めて行った。
「・ふぁぁあ・・・よく寝たぁ・・」
この少女、チコは現在自分の部屋に備え付けてあるベットからゆっくりと目を覚ました所である。チコは特に何をするでもなくただただボウッとしていた。
「・・・・そだ・・おとぉさん起こさなきゃ・・」
いつも抱えている蜂のぬいぐるみを抱き直したチコは、やっとベッドを離れて別の場所へ移動し始めた。その動きはとてもゆっくりとしていて、チコがまだ眠たいのがよく分かる。そしてチコは父親の部屋へと辿りついた。
「おとぉさん・・起きて?」
チコが山になっている布団を揺すると、素直にその中から父親は這い出して来てくれた。リーフは布団から出てくると、お礼の意味とおはようの挨拶を込めてチコの、小さくも可愛らしく咲いている花のすぐ隣を撫でてあげた。
「おはよ。チコも目が覚めたかい?」
「・・ふっ・・うん・・」
どうやらリーフが撫でていた時に避けていた花の部分に、うっかり触れてしまったらしい。チコは気持ち良さそうにしていたがそれを隠そうとリーフの質問にはきっちりと答えていた。そして時間を見たチコは、学校に行く用意を済ませてリーフとネルの見送りの下、学校に向かってゆっくりと歩いて行った。
「おはよ!また会っちゃったね。チコ・・だっけ。」
「・・・うん。そうだよ?」
いつものようにチコの隣を一人の少年が歩幅を合わせて付いてくる。チコはこの少年に付いて知っている。この少年は自分の隣の席の男子生徒で「ツリー」と言うらしい。とても変わった名前。チコが知っているのはそこまでだった。元々、チコには好きな人なんていない。作ろうとも思っていない。
「それにしてもよく会うよね。ここまで来ると運命感じちゃうよ。」
「・・・運命・・ねぇ・・」
気軽に運命なんて大層な言葉を使っているんじゃない。そう心の中で思っていたチコだが、時計を見て危険を感じた。チャイムの鳴る2分前だ。先程までのノロノロとした歩調では点呼にギリギリ間に合わない。急いで行こうにもアルラウネ故に走るような足の構造をしていない。すると、ツリーはチコの手を取ると一緒に走ってくれた。それに引っ張られる様にしてチコは校舎に駆けこんで靴を履き替えて教室に入って席に着いた。その瞬間にチャイムがなってスタンバイしていた担任のラニィ先生が点呼を始める。ラニィ先生は、チコやツリーの良き担任であり、リーフの友達でもあった。
「・・チコ!」
「はい。」
ラニィに呼ばれて普通に挨拶するチコ。しかし、チコには違和感があった。隣のツリーの様子がおかしい。まだ二人とも小学一年生だ。発情するのも早ければ、恋愛感情を持つのも早すぎる。それなのにチコのツリーに対する気持ちは蠢いていた。
「・・・それで?ここに呼び出した理由って?」
「え・・っと・・チコ?僕と・・その・・」
「君にはまだ早いわよ?もっと育ってからにして頂戴?」
こうして、チコの勘違いとツリーの初恋は幕を閉じた。しかし、チコには不信感が拭えなかった。何故お互いにまだ子供なのに恋をしたのだろう。違う、これは恋では無い。友情の度合いを間違えた結果なのだ。そうに違いない。
「さて・・かえっておとぉさん達と遊んでもらお・・・♪」
学校の机の中に必要最低限の物を置いて帰って、現在は帰路に付いているチコは、音楽を小さく刻みながらリーフ達の待つ家へと向けて歩を進めて行った。
10/10/22 00:44更新 / 兎と兎
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