連載小説
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5日目 魔城「ヨルムンガント」
朝、眼を覚ますとスバルが私を抱いていた。どうやら眠っている間に私に抱きついていたらしい。主にされたのと同じ感じがした。胸の中がまたおかしい。暫くするとスバルは起きて、テントを片付けてくれた。私はスバルに付いて行く。

暫くすると雲行きが怪しくなってきた。とても暗い、とても妖しい感じのする雲だ。スバルは雨が降るのを恐れていた。何故かは分からないが、スバルを守ってやりたいと私は思った。スバルは私に何かとてつもなく大切なものを与えてくれそうな気がする。そう感じた。

目の前には、小振りだが横幅の広い屋敷がある。私が住んでいた屋敷よりも大きいだろう。そこには蝙蝠や鴉がたくさん樹に止まっている。スバル曰く「不気味で近づく気も起らないわよっ!」らしい。私には何も感じない。感じても遠くから放たれている魔力だけだ。その点ではイグニスであるスバルは敏感なのかもしれない。私は今からこの屋敷に侵入する。主を助けるために。私との生活を取り戻すために。

 『心が欲しいんじゃなかった』?

私が甘かった。この屋敷の中のトラップは上級なものばかりだ。魔力で感知して作動するタイプの落下鉄格子。スバルが燃やして助かった。
スイッチで作動する落石トラップ。私の手で砕いて事なきを得た。
糸で作動する槍飛ばしトラップ。スバルが引っ掛かって一つを掠めたが無事に交わした。おかしい。トラップの設置個所が私たちの的を射ている。
熱で作動する濁流トラップ。スバルが波に飲まれた。掘り返しても彼女の姿が見当たらない。彼女は一体どこへ
重さで作動する落とし穴トラップ。私はそれに落ちー

私はこの事を永遠に後悔し続けるだろう。私は愚かにも上位種のサキュバスの城に侵入してしまった。私にはもう打つ手が残されていない。だから私はここでー

 (血痕)

わたしはおかしくなってしまった。からだがいうことをきかない。からだがおかしい。いたい。かなしい。くるしい。こわい。いたい。いやだ。おかしい。たすけて。こわい。くるしい。かなしい。あるじ。(血痕) もういやだ。しにたい。ころして。(血痕) いたい。くるしい。はずかしい。こないで。いや。

 (濡れた跡)   (血痕)  (濡れた跡)

いたい。はなして。わたしを。ころして。いたい。ころして。


あるじをかえして。     (血痕)
かえして。   (血痕)
あるじを。  (血痕)
あるじをかえして。 (血痕)
あるじを(血だまり)


あるじを。かえして。
すばるを。かえして。
わたしを。かえして。

  (濡れた跡)  (濡れた跡)

私はレイカに犯された。体の至る所に私の体から出た赤や透明の液体がこびりついている。体が熱い。体が痛い。自由なのは右手だけ。この状態では逃げられない。誰か、助けに来ー

 (炭の跡)

レイカにお気に入りの、主から借りていた万年筆を踏み潰された。今は彼女から借りた、人の骨で作られた筆を使って書いている。右手が痛い。レイカに蹴られて半壊状態にある。体中が痛い。とてつもなく痛い。助けて(破かれている。


(穴が開いている) が、私の体を這いずり回っている。気持ちが悪い。何かの使役獣なのだろう。レイカは私の体に何かを塗りつけていた。私は気持ち悪かった。この生き物たちは、私に快楽を与える為だけに召喚されたらしい。非常に(穴)ち悪い。私の体に(穴)が入って来る。死んでしまいそうだ。痛い。


わたしのいのちはもうつきた。いまのわたしは、もうなにもできない。ごーれむとしてうごくこともできない。たすけて(破き跡


あるじはわたしにあうと、わたしにあるじのなにかがいれられた。いたい。これはあるじなのか?きもちいい。あるじがわたしのなかにいる。わたー
 (濡れた跡)   
(        一直線に濡れた跡が続く               )
   (白濁した液体)
あるじがわたしのなかにきた。きもちがいい。つかれた。ねむい。わたしはあるじといっしょがいい。いやだ。あるじといっしょがいい。いたい。あるじ。いたい。わたしはどうすれば(血痕)  いたい。あるじ。いかないで。あるじといっしょにいたい。あるじ。


主がレイカと一緒に姿を消して暫く。スバルが私の前に放り出された。彼女は生きていたのだ。しかし、(濡れた跡)

彼女はレイカの魔力に当てられて凶暴化していー
 (濡れた跡)  (濡れた跡)  (穴)

すばるにおかされた。きもちがよかった。じょうずだ。わたしはいままでなんどはてた?きもちがよかったのはなぜ?わたしのからだはどうなった。おかしくなってしまった。きもちがいい。


スバルはテクニックが上がっていた。今は私と共に鎖で縛られて眠っている。私は右腕以外の四肢を半壊にさせられた状態でこれを書いている。結構腕が痛い。私にはペンを走らせる程度しか能が無い。だからこれは私が出来る最良の行動。そして最大の行動。(破かれ跡
10/10/20 06:54更新 / 兎と兎
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■作者メッセージ
カザリはレイカに屈してしまいました。さて、カザリは果たして主を連れ帰る事が出来るのか。それは次回。

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