#444 ウシオニ
ITEM#:444
CODENAME:ウシオニ
Object Class:Keter
取り扱い方:#444は収容する事は愚かこの世界に来させる事自体行ってはなりません
また文書#444-13は鋼鉄製の危険物品保管庫の一室に
誰にも触れられない様に密閉した鉄の箱に封じ込め
更に5名以上の騎士と魔法使いによって監視されなければなりません
概要:#444は現在未収容です、収容される事は有りません
#444については以下の断片的な情報しか分かっていません
・肌が緑色
・ウシオニと呼ばれている
・名に反し女の上半身に蜘蛛の下半身を持つ
・蜘蛛の様に糸を出して獲物を捕まえる事が出来る
・非常に強い再生力を持つ
・怪力
・#444の血に触れると#444と同種の生物になる
・怪物として恐れられている
現状王室専属魔術会には#444実物を見た者はおらず
#444の変異初期段階を見たと言う記録しかありません
この報告書を書くのは非常に気が乗りません
私は#444の実物をこの目で見た事が無いのです
見た事も無い物の報告書を書くのは学士としてするべきでは無いと思います
しかし#444は非常に危険です、それは理解できますので啓発の意を込めて
ここに報告書を書き記します
とは言え殆どエリックのレポートの写しですが-キーパー第五室長
#444の情報は第五次異世界侵攻の下準備の為に調査隊として派遣された部隊に
記録兼雑用係として従事したエリック名誉騎士が
#444の事を記した非公式レポート文書#444から分かりました
文書#444は13枚存在し文書#444-1〜12は自由に閲覧出来ます
文書#444-13は複写した物は自由に閲覧可能ですが原本は厳重に管理されています
以下に文書#444-1〜13の写しを記します
文書#444-1
異世界調査報告書
調査一日目
執筆エリック騎士従者
本日から異世界探査の任務を任せられました
これが正式な初任務なので不安ですが
魔力での探知では危険な存在は感知されなかったと言う事なので
危険は無いと思います
初日なので異世界の門の周囲に野営地を作って一日を費やしてしまいました
門の傍ですしこんな所で野営するなら門を潜って一旦元の世界に帰って
自室でゆっくり休みたいです、料理も私担当ですし
私以外は全員女性なのですが
誰も料理が出来ないと言うのは問題が有るのではないでしょうか
そして彼女等全員仲が良いので新入りの私は非常に気まずいです
身分も地位も私より上ですし少々ナーバスになってきました
私がナーバスになった以外には特に問題有りません
こんな感じで良いですかね、一応公式記録なので問題の有る所は後で書き直すとして
とりあえずこんな感じで終わりましょうか
一応部隊のメンバーも書いておきます
部隊長のフレデリカ上級騎士
彼女は騎士学校では色々お世話になった先輩でも有ります
そして部隊員の騎士のカーマ、ミロ、ジーンの三名、彼女達も先輩でフレデリカさんの追っかけやってましたね
魔法使いのウィモさんは落ち着いた雰囲気の方ですが
あまりギスギスした印象は受けません
全員良い所のお嬢さんだから不安ですね、料理の腕は褒められましたが・・・
異世界の探索より彼女等の機嫌を損ねないか不安です
文書#444-2
異世界調査報告書
調査二日目
執筆エリック騎士従者
昨日、調査報告書内でここの地理について書く事を失念していた
門の周囲は木が生い茂って言うので森だと思いましたが如何やら山の様です
少し歩くと山の麓に村と畑を見つけました、ですが人が居る気配がしません
今日は麓の村へのルートの作成に取り掛かりました
騎士三名と僕と部隊長と魔法使いの三名でそれぞれ二手に分かれました
騎士三名は不服げでしたが、あっさりと山道と小屋を見つけました
小屋は暫く誰も使っていないようなので前線拠点として使う事になりました
夜中に麓の村を見ましたが明かりは一軒だけ付いて居ました
文書#444-3
異世界調査報告書
調査三日目
執筆エリック騎士従者
今日は麓の村へ行きましたが、麓の村には誰も居ませんでした
何故だかどの家にも荷物が殆ど無く大急ぎで逃げたかの様でした
しかし何故か一軒だけまるでついさっきまで誰か居たかの様な痕跡が有り
幾つかの野菜が散らばっていました
畑を見てみるとそれなりに色々な野菜が有りました
皆一様に首を傾げました、魔法使いが立札に有った張り紙を見つけました
翻訳魔術で読み解くと、以下の文章になりました
"奉行所より通達、ウシオニ襲来、直ぐに逃げよ、荷は最小限せよ
避難に応じぬ者にはそれ相応の罰を処す
避難期間:ウシオニ専門陰陽師が来て対処が済むまで
避難中に盗みを働いた者は厳罰に処す"
ウシオニと言う何かがこの付近に存在するようです
文書#444-4
異世界調査報告書
調査四日目
執筆者エリック騎士従者
今日はとても疲れました、今日一日中皆で追いかけっこでした
本当に草臥れた、如何にか泥棒を捕まえられました
一昨日見た一軒だけ見えた光、昨日の一軒だけ誰か居た痕跡
何の事はない、ただ皆が避難した時に乗じて盗みを働く野菜泥棒でした
今日、僕が彼が畑で仕事中に偶然鉢合わせて、皆で上へ下への大騒ぎ
泥棒も身軽で大荷物なのに屋根へ飛び乗ったりしてました
屋根伝いで逃げて行きましたが屋根が脆い家に飛び乗って屋根が抜けて
それでやっと捕まえられました、彼への尋問は別に書いておきます、あぁ草臥れた
文書#444-5
事情聴取
執筆者エリック騎士従者
対象:ナナシノ ゴンベイ
インタビュアー:フレデリカ上級騎士
付記:対象は逃げられない様に縄で縛られた状態にした
フレデリカ:まず名前は何だ?
ナナシノ:ナナシノゴンベイ
フレデリカ:ではナナシノで良いか
ナナシノ:あんごめ(判別不能、方言か何かか?)、アンタ等は何だ?
フレデリカ:答える義務な無い
ナナシノ:そうかい、だがここの奴じゃねぇな、大陸からの密偵か?
フレデリカ:・・・だとしたら何だ?
ナナシノ:悪い事は言わねぇ
さっさと帰りな、立札見たろ?ウシオニが出るんだとさ
フレデリカ:・・・ウシオニって言うのは何だ?
ナナシノ:大陸の妖の王が代替わりして尚化け物と呼ばれる大怪物よ
フレデリカ:牛の怪物か?
ナナシノ:蜘蛛の化け物って聞いた事有るぞ
スゲェ馬鹿力だとよ、それから・・・
フレデリカ:・・・それから?
ナナシノ:ちょいと腹減ったな、飯にしねぇか?
フレデリカ:・・・・・少し間を空けようか
エリック、カーマ呼んで来て見張らせて
後、何か喋るまで何も食わせるな
ナナシノ:かなん(判別不能、方言?)奴だなー
文書#444-6
異世界調査報告書
調査五日目
執筆者エリック騎士従者
今日は昨日捕まえた泥棒のナナシノ ゴンベイと言う男への尋問を行いました
彼曰くウシオニと言うのは馬鹿力を持った蜘蛛の化け物だそうです
大陸の何かの王が代替わりしたとか言ってましたが詳細は未だ分かりません
まだ何か有るようですが話していません、食事を与えていないので何れ喋り始
(文書はここで終わり、くしゃくしゃになっている)
文書#444-7
調査六日目
不味い自体になりました、カーマさんが捕まりました
如何やら村民が避難出来たか確認する為にやって来た連中に
見つかってしまった様です
人数は30人位、僕達を探し回っている様です、今僕達は山の小屋に居ます
援軍要請の紙をフレデリカ隊長が書いてミロさんが持っていきましたが
果たして援軍が間に合うか如何か・・・
僕の書いた報告書も一緒に持って行きましたが役に立つでしょうか・・・
援軍の要請書は届けられ以下がその写しです
尚この際文書#444-1〜6は届けられました
援軍要請書
真に申し訳有りません
今回私の不注意で部隊隊員の1人で有る、騎士カーマ・マカーラが捕虜になりました
此度の調査では現在、異質な存在は発見出来ませんでしたが
こちらの世界には人間が存在し我等の部隊は発見されました
向こうの人数は30人弱で太刀打ち出来る数では無いと判断し逃走しましたが
こちらが捕虜として捕まえていた泥棒の見張りをしていた騎士カーマが逃げ遅れ
捕まった様です、救出の為に援軍を要請いたします
こちらの情報として記録係のエリック騎士従者の書いたレポートも添付します
異世界調査隊部隊長フレデリカ・イール上級騎士
援軍の要請は受理され
至急部隊編成を行い救出へ動く予定でしたが、事態は急変しました様です
文書#444-8
僕達が山の中に隠れていると気づかれているみたいです
カーマさんを山の方に連れて僕達に出てくるように促しています
フレデリカ隊長はミロさんが援軍を連れてくるかをギリギリまで待つようです
神よどうか、彼女を救いたまえ
文書#444-9
これは遺書になるかもしれませんのでこれはここに置いていきます
事態は切迫しカーマさんを捕縛した連中から最終通告を出されました
フレデリカ先輩は如何やら行く様です
自分1人で行くから僕達にここで待てと言われましたが
そんな事するつもりは有りません
僕達は全員でフレデリカ隊長と騎士カーマの救出と援護へ向かいます
ミロさん、この紙を見て、もし連中と僕達が戦っていたら援護をお願いします
戦っていなかったら敵討ちをお願いします、では、行ってきます
文書#444-7と文書#444-8と文書444-9は山の中の小屋の残骸から見つかりました
文書#444-10
異世界調査報告書
山から大きな物音がしてきました、幾つかの木が薙ぎ倒される様な音です
幸いにもフレデリカ隊長がカーマさんを連れて帰る事に成功しました
何でも大きな音に反応してカーマさんを放って逃げ出したらしいです
如何やらウシオニとやらを恐れて逃
文書#444-10は山道に捨てられていました
文書#444-11
(全体的にかなり震えて読み辛い)
ウシオニの報告書
山道ではちわあせ(鉢合わせの誤字?)になってしまい
散り散りになって逃げました、僕はフレデリカ先輩と一緒に逃げました
追いつかれました
ウシオニの特徴は
肌が緑色、女の上半身に蜘蛛の下半身を持つ
非常に強い再生力を持つ
フレデリカ先輩が斬っても目玉を抉っても直ぐに再生します
木を圧し折る怪力
後蜘蛛の糸の様な糸で獲物を絡め取ります、現在僕の体に纏わりついて動けません
先輩が僕の為に戦っているのに僕はこうして報告書を書く事しか出来ない
先輩の指示で今報告書を書いて、首行った!!
喉を切り裂かれてもウシオニは死なないみたいです
あんなに一杯血が出てるのに、先輩にも大量の返り血が
でもウシオニが止まった、結構効いているみたいです
先輩がこっちに来
文書#444-11は川の畔にてエリック名誉騎士の荷物と一緒に見つかりました
#444の物と見られる蜘蛛の糸も有ったと言う報告がなされました
糸は岩に張り付いており採取は不可能だと判断されました
文書#444-12
理由は分からないのですがウシオニと戦っていた先輩に投げ飛ばされて
川に流されてしまいました
僕を逃がす為でしょうか
待て、だったら何で戦いが始まる前に逃がす筈、戦っている最中に
そもそも何であの頑強な糸を外せたんだ
とりあえず小屋に戻ってみましたが小屋も壊されていました
ドアに使われていた紙を重ねてこのレポートを書いています
兎に角、一回フレデリカ先輩の元に戻らねば
文書#444-12は山中に抛り棄てられていた薄い紙でした
騎士ミロの証言で拠点にしていた小屋に木の格子に紙を張った
横にスライドする扉が有ったと言う証言が有り
文書#444-12はその扉の紙を剥がして書かれたと思われます
文書#444-7〜12は騎士ミロが騎士カーマ救出の為の援軍部隊が発見し回収しました
援軍部隊はフレデリカ上級騎士が援軍要請書に記した
異世界の人間達を発見出来ませんでしたが
部隊の魔法使いウィモが酷い錯乱状態で発見され、保護されました
ウィモは異世界で起こった出来事について一切の供述を拒否しました
そして一人になった際に自分の衣類を使い首吊り自殺を図りました
その後彼女は完全な廃人となり精神病棟に収容されました
増援部隊は調査隊の捜索を続けましたが発見出来ず
部隊を縮小して捜索隊に再編成されました
三度目の捜索で騎士ミロが丸まったフレデリカ上級騎士のマントを見つけ
そのマントの中から文書#444-13を発見しました
文書は騎士ジーンの私物のルーズリーフに書かれていました
文書#444-13
エリック・ハガーからの警告
これを見ている王国の方々に警告です
血です、ウシオニが怪物と言われる原因は血です
ウシオニの血を浴びた者はウシオニとなる
これがウシオニが怪物と言われる理由です
フレデリカ先輩はウシオニの返り血を浴びてウシオニと化してしまいました
そしてフレデリカ先輩と戦ったジーンさんと
何時の間にかカーマさんもウシオニになってしまいました
僕は捕まって彼女達に■■■■■(何故かグチャグチャにかき消されている)
僕は何とか隙を見て逃
お母さん、ごめんなさい僕は立派な騎士に
(血の手形が付けられ、更に大量の血液が付着している)
とりあえずうるさいにどとくるなつぎきたらようしゃ■■■
フレデ■■■
(万年筆のインクの染みが出来ている)
騎士ミロはマントを持ち帰り異世界から王国へ帰還しましたが
マントの中から落ちた文書#444-13を拾い、その際に文書#444-13に付いていた
#444の血液に触れ変異し始めました、彼女は文書#444-13の内容を把握した為
即座に異世界の門を潜り異世界に自身を隔離しました
文書#444-13に付着していた#444の物と見られる血痕は
揮発性が皆無で乾く事が無い様です
この性質からか魔力が周囲に放射される事は有りません
ですが#444の血痕は非常に強力且つ異質な魔力特性を有し
魔法資源としての活用は不可能で処分した場合、含有される魔力量から推測して
魔力の暴走で周囲に甚大な破壊、若しくは非常に深刻な魔力汚染
或はその両方を齎される可能性が非常に高く
現在の様な封印に留まっています-キーパー第五室長
今回の件について幸運は3つ有った
一つは捜索部隊に一旦帰還命令が成されミロが最後に帰って来た事で
捜索部隊の人的被害は騎士ミロ以外ゼロだった
二つ目は騎士ミロが自身がウシオニになると直ぐに悟り被害を出さない為に
変異が完了する前に異世界に移動した事で更なる被害がゼロだった
三つ目は文書#444-13をエリック騎士従者が残した事
これで我々は#444の真の危険性を知る事が出来、これ以降の被害を出さずに済んだ
結果として#444が王国に齎した被害は騎士4人と騎士従者1人
それから魔法使い1人
王国に#444が来た場合の被害はどれだけ甚大な被害が出るか予測出来ない
この功績を湛え、エリック騎士従者を名誉騎士へ昇格を要請する-騎士団長ブライス
要請を受理する、神よ、彼に如何か安らぎを-国王
CODENAME:ウシオニ
Object Class:Keter
取り扱い方:#444は収容する事は愚かこの世界に来させる事自体行ってはなりません
また文書#444-13は鋼鉄製の危険物品保管庫の一室に
誰にも触れられない様に密閉した鉄の箱に封じ込め
更に5名以上の騎士と魔法使いによって監視されなければなりません
概要:#444は現在未収容です、収容される事は有りません
#444については以下の断片的な情報しか分かっていません
・肌が緑色
・ウシオニと呼ばれている
・名に反し女の上半身に蜘蛛の下半身を持つ
・蜘蛛の様に糸を出して獲物を捕まえる事が出来る
・非常に強い再生力を持つ
・怪力
・#444の血に触れると#444と同種の生物になる
・怪物として恐れられている
現状王室専属魔術会には#444実物を見た者はおらず
#444の変異初期段階を見たと言う記録しかありません
この報告書を書くのは非常に気が乗りません
私は#444の実物をこの目で見た事が無いのです
見た事も無い物の報告書を書くのは学士としてするべきでは無いと思います
しかし#444は非常に危険です、それは理解できますので啓発の意を込めて
ここに報告書を書き記します
とは言え殆どエリックのレポートの写しですが-キーパー第五室長
#444の情報は第五次異世界侵攻の下準備の為に調査隊として派遣された部隊に
記録兼雑用係として従事したエリック名誉騎士が
#444の事を記した非公式レポート文書#444から分かりました
文書#444は13枚存在し文書#444-1〜12は自由に閲覧出来ます
文書#444-13は複写した物は自由に閲覧可能ですが原本は厳重に管理されています
以下に文書#444-1〜13の写しを記します
文書#444-1
異世界調査報告書
調査一日目
執筆エリック騎士従者
本日から異世界探査の任務を任せられました
これが正式な初任務なので不安ですが
魔力での探知では危険な存在は感知されなかったと言う事なので
危険は無いと思います
初日なので異世界の門の周囲に野営地を作って一日を費やしてしまいました
門の傍ですしこんな所で野営するなら門を潜って一旦元の世界に帰って
自室でゆっくり休みたいです、料理も私担当ですし
私以外は全員女性なのですが
誰も料理が出来ないと言うのは問題が有るのではないでしょうか
そして彼女等全員仲が良いので新入りの私は非常に気まずいです
身分も地位も私より上ですし少々ナーバスになってきました
私がナーバスになった以外には特に問題有りません
こんな感じで良いですかね、一応公式記録なので問題の有る所は後で書き直すとして
とりあえずこんな感じで終わりましょうか
一応部隊のメンバーも書いておきます
部隊長のフレデリカ上級騎士
彼女は騎士学校では色々お世話になった先輩でも有ります
そして部隊員の騎士のカーマ、ミロ、ジーンの三名、彼女達も先輩でフレデリカさんの追っかけやってましたね
魔法使いのウィモさんは落ち着いた雰囲気の方ですが
あまりギスギスした印象は受けません
全員良い所のお嬢さんだから不安ですね、料理の腕は褒められましたが・・・
異世界の探索より彼女等の機嫌を損ねないか不安です
文書#444-2
異世界調査報告書
調査二日目
執筆エリック騎士従者
昨日、調査報告書内でここの地理について書く事を失念していた
門の周囲は木が生い茂って言うので森だと思いましたが如何やら山の様です
少し歩くと山の麓に村と畑を見つけました、ですが人が居る気配がしません
今日は麓の村へのルートの作成に取り掛かりました
騎士三名と僕と部隊長と魔法使いの三名でそれぞれ二手に分かれました
騎士三名は不服げでしたが、あっさりと山道と小屋を見つけました
小屋は暫く誰も使っていないようなので前線拠点として使う事になりました
夜中に麓の村を見ましたが明かりは一軒だけ付いて居ました
文書#444-3
異世界調査報告書
調査三日目
執筆エリック騎士従者
今日は麓の村へ行きましたが、麓の村には誰も居ませんでした
何故だかどの家にも荷物が殆ど無く大急ぎで逃げたかの様でした
しかし何故か一軒だけまるでついさっきまで誰か居たかの様な痕跡が有り
幾つかの野菜が散らばっていました
畑を見てみるとそれなりに色々な野菜が有りました
皆一様に首を傾げました、魔法使いが立札に有った張り紙を見つけました
翻訳魔術で読み解くと、以下の文章になりました
"奉行所より通達、ウシオニ襲来、直ぐに逃げよ、荷は最小限せよ
避難に応じぬ者にはそれ相応の罰を処す
避難期間:ウシオニ専門陰陽師が来て対処が済むまで
避難中に盗みを働いた者は厳罰に処す"
ウシオニと言う何かがこの付近に存在するようです
文書#444-4
異世界調査報告書
調査四日目
執筆者エリック騎士従者
今日はとても疲れました、今日一日中皆で追いかけっこでした
本当に草臥れた、如何にか泥棒を捕まえられました
一昨日見た一軒だけ見えた光、昨日の一軒だけ誰か居た痕跡
何の事はない、ただ皆が避難した時に乗じて盗みを働く野菜泥棒でした
今日、僕が彼が畑で仕事中に偶然鉢合わせて、皆で上へ下への大騒ぎ
泥棒も身軽で大荷物なのに屋根へ飛び乗ったりしてました
屋根伝いで逃げて行きましたが屋根が脆い家に飛び乗って屋根が抜けて
それでやっと捕まえられました、彼への尋問は別に書いておきます、あぁ草臥れた
文書#444-5
事情聴取
執筆者エリック騎士従者
対象:ナナシノ ゴンベイ
インタビュアー:フレデリカ上級騎士
付記:対象は逃げられない様に縄で縛られた状態にした
フレデリカ:まず名前は何だ?
ナナシノ:ナナシノゴンベイ
フレデリカ:ではナナシノで良いか
ナナシノ:あんごめ(判別不能、方言か何かか?)、アンタ等は何だ?
フレデリカ:答える義務な無い
ナナシノ:そうかい、だがここの奴じゃねぇな、大陸からの密偵か?
フレデリカ:・・・だとしたら何だ?
ナナシノ:悪い事は言わねぇ
さっさと帰りな、立札見たろ?ウシオニが出るんだとさ
フレデリカ:・・・ウシオニって言うのは何だ?
ナナシノ:大陸の妖の王が代替わりして尚化け物と呼ばれる大怪物よ
フレデリカ:牛の怪物か?
ナナシノ:蜘蛛の化け物って聞いた事有るぞ
スゲェ馬鹿力だとよ、それから・・・
フレデリカ:・・・それから?
ナナシノ:ちょいと腹減ったな、飯にしねぇか?
フレデリカ:・・・・・少し間を空けようか
エリック、カーマ呼んで来て見張らせて
後、何か喋るまで何も食わせるな
ナナシノ:かなん(判別不能、方言?)奴だなー
文書#444-6
異世界調査報告書
調査五日目
執筆者エリック騎士従者
今日は昨日捕まえた泥棒のナナシノ ゴンベイと言う男への尋問を行いました
彼曰くウシオニと言うのは馬鹿力を持った蜘蛛の化け物だそうです
大陸の何かの王が代替わりしたとか言ってましたが詳細は未だ分かりません
まだ何か有るようですが話していません、食事を与えていないので何れ喋り始
(文書はここで終わり、くしゃくしゃになっている)
文書#444-7
調査六日目
不味い自体になりました、カーマさんが捕まりました
如何やら村民が避難出来たか確認する為にやって来た連中に
見つかってしまった様です
人数は30人位、僕達を探し回っている様です、今僕達は山の小屋に居ます
援軍要請の紙をフレデリカ隊長が書いてミロさんが持っていきましたが
果たして援軍が間に合うか如何か・・・
僕の書いた報告書も一緒に持って行きましたが役に立つでしょうか・・・
援軍の要請書は届けられ以下がその写しです
尚この際文書#444-1〜6は届けられました
援軍要請書
真に申し訳有りません
今回私の不注意で部隊隊員の1人で有る、騎士カーマ・マカーラが捕虜になりました
此度の調査では現在、異質な存在は発見出来ませんでしたが
こちらの世界には人間が存在し我等の部隊は発見されました
向こうの人数は30人弱で太刀打ち出来る数では無いと判断し逃走しましたが
こちらが捕虜として捕まえていた泥棒の見張りをしていた騎士カーマが逃げ遅れ
捕まった様です、救出の為に援軍を要請いたします
こちらの情報として記録係のエリック騎士従者の書いたレポートも添付します
異世界調査隊部隊長フレデリカ・イール上級騎士
援軍の要請は受理され
至急部隊編成を行い救出へ動く予定でしたが、事態は急変しました様です
文書#444-8
僕達が山の中に隠れていると気づかれているみたいです
カーマさんを山の方に連れて僕達に出てくるように促しています
フレデリカ隊長はミロさんが援軍を連れてくるかをギリギリまで待つようです
神よどうか、彼女を救いたまえ
文書#444-9
これは遺書になるかもしれませんのでこれはここに置いていきます
事態は切迫しカーマさんを捕縛した連中から最終通告を出されました
フレデリカ先輩は如何やら行く様です
自分1人で行くから僕達にここで待てと言われましたが
そんな事するつもりは有りません
僕達は全員でフレデリカ隊長と騎士カーマの救出と援護へ向かいます
ミロさん、この紙を見て、もし連中と僕達が戦っていたら援護をお願いします
戦っていなかったら敵討ちをお願いします、では、行ってきます
文書#444-7と文書#444-8と文書444-9は山の中の小屋の残骸から見つかりました
文書#444-10
異世界調査報告書
山から大きな物音がしてきました、幾つかの木が薙ぎ倒される様な音です
幸いにもフレデリカ隊長がカーマさんを連れて帰る事に成功しました
何でも大きな音に反応してカーマさんを放って逃げ出したらしいです
如何やらウシオニとやらを恐れて逃
文書#444-10は山道に捨てられていました
文書#444-11
(全体的にかなり震えて読み辛い)
ウシオニの報告書
山道ではちわあせ(鉢合わせの誤字?)になってしまい
散り散りになって逃げました、僕はフレデリカ先輩と一緒に逃げました
追いつかれました
ウシオニの特徴は
肌が緑色、女の上半身に蜘蛛の下半身を持つ
非常に強い再生力を持つ
フレデリカ先輩が斬っても目玉を抉っても直ぐに再生します
木を圧し折る怪力
後蜘蛛の糸の様な糸で獲物を絡め取ります、現在僕の体に纏わりついて動けません
先輩が僕の為に戦っているのに僕はこうして報告書を書く事しか出来ない
先輩の指示で今報告書を書いて、首行った!!
喉を切り裂かれてもウシオニは死なないみたいです
あんなに一杯血が出てるのに、先輩にも大量の返り血が
でもウシオニが止まった、結構効いているみたいです
先輩がこっちに来
文書#444-11は川の畔にてエリック名誉騎士の荷物と一緒に見つかりました
#444の物と見られる蜘蛛の糸も有ったと言う報告がなされました
糸は岩に張り付いており採取は不可能だと判断されました
文書#444-12
理由は分からないのですがウシオニと戦っていた先輩に投げ飛ばされて
川に流されてしまいました
僕を逃がす為でしょうか
待て、だったら何で戦いが始まる前に逃がす筈、戦っている最中に
そもそも何であの頑強な糸を外せたんだ
とりあえず小屋に戻ってみましたが小屋も壊されていました
ドアに使われていた紙を重ねてこのレポートを書いています
兎に角、一回フレデリカ先輩の元に戻らねば
文書#444-12は山中に抛り棄てられていた薄い紙でした
騎士ミロの証言で拠点にしていた小屋に木の格子に紙を張った
横にスライドする扉が有ったと言う証言が有り
文書#444-12はその扉の紙を剥がして書かれたと思われます
文書#444-7〜12は騎士ミロが騎士カーマ救出の為の援軍部隊が発見し回収しました
援軍部隊はフレデリカ上級騎士が援軍要請書に記した
異世界の人間達を発見出来ませんでしたが
部隊の魔法使いウィモが酷い錯乱状態で発見され、保護されました
ウィモは異世界で起こった出来事について一切の供述を拒否しました
そして一人になった際に自分の衣類を使い首吊り自殺を図りました
その後彼女は完全な廃人となり精神病棟に収容されました
増援部隊は調査隊の捜索を続けましたが発見出来ず
部隊を縮小して捜索隊に再編成されました
三度目の捜索で騎士ミロが丸まったフレデリカ上級騎士のマントを見つけ
そのマントの中から文書#444-13を発見しました
文書は騎士ジーンの私物のルーズリーフに書かれていました
文書#444-13
エリック・ハガーからの警告
これを見ている王国の方々に警告です
血です、ウシオニが怪物と言われる原因は血です
ウシオニの血を浴びた者はウシオニとなる
これがウシオニが怪物と言われる理由です
フレデリカ先輩はウシオニの返り血を浴びてウシオニと化してしまいました
そしてフレデリカ先輩と戦ったジーンさんと
何時の間にかカーマさんもウシオニになってしまいました
僕は捕まって彼女達に■■■■■(何故かグチャグチャにかき消されている)
僕は何とか隙を見て逃
お母さん、ごめんなさい僕は立派な騎士に
(血の手形が付けられ、更に大量の血液が付着している)
とりあえずうるさいにどとくるなつぎきたらようしゃ■■■
フレデ■■■
(万年筆のインクの染みが出来ている)
騎士ミロはマントを持ち帰り異世界から王国へ帰還しましたが
マントの中から落ちた文書#444-13を拾い、その際に文書#444-13に付いていた
#444の血液に触れ変異し始めました、彼女は文書#444-13の内容を把握した為
即座に異世界の門を潜り異世界に自身を隔離しました
文書#444-13に付着していた#444の物と見られる血痕は
揮発性が皆無で乾く事が無い様です
この性質からか魔力が周囲に放射される事は有りません
ですが#444の血痕は非常に強力且つ異質な魔力特性を有し
魔法資源としての活用は不可能で処分した場合、含有される魔力量から推測して
魔力の暴走で周囲に甚大な破壊、若しくは非常に深刻な魔力汚染
或はその両方を齎される可能性が非常に高く
現在の様な封印に留まっています-キーパー第五室長
今回の件について幸運は3つ有った
一つは捜索部隊に一旦帰還命令が成されミロが最後に帰って来た事で
捜索部隊の人的被害は騎士ミロ以外ゼロだった
二つ目は騎士ミロが自身がウシオニになると直ぐに悟り被害を出さない為に
変異が完了する前に異世界に移動した事で更なる被害がゼロだった
三つ目は文書#444-13をエリック騎士従者が残した事
これで我々は#444の真の危険性を知る事が出来、これ以降の被害を出さずに済んだ
結果として#444が王国に齎した被害は騎士4人と騎士従者1人
それから魔法使い1人
王国に#444が来た場合の被害はどれだけ甚大な被害が出るか予測出来ない
この功績を湛え、エリック騎士従者を名誉騎士へ昇格を要請する-騎士団長ブライス
要請を受理する、神よ、彼に如何か安らぎを-国王
15/08/15 00:51更新 / Mr.後困る
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