連載小説
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Tale04
Tale:番町血屋敷

ITEEM#:1011
CODENAME:十一枚目の血
Object Class:Euclid

取り扱い方:#1012は二重にした不透明な箱の中に入れておき保管して下さい

概要:#1011は視覚した者の認識を変える様々なミーム効果を持った大きな皿です

#1011が齎すミーム効果は以下の8つです

・#1011はとても価値の有る物だと認識する
例として単純に高価な物、とても身分の高い者、または恩人や家族からの贈り物など
・物を数えると一つ多く数えてしまう
・人や物品の名前に対し余計に付け足してしまう
例としてアイクク室長、キーパーー室長、ライ卜室長、マヲカス大臣、グデラス犬臣
・物のサイズや規格を一つ多く認識してしまう
・記憶障害を起こし再度同じ行動を繰り返してしまう
・#1011のミーム効果に発露した者は常時ミームの支配下にいる訳ではなく
#1011を見た時間に比例して日に数〜数十一回、上記のミーム効果に晒されます
・ミーム発露者はミーム効果に対し何も不自然に思えない
しかし#1011の発露者が別の発露者に対し行動の不自然さを指摘する事が有る

これらのミーム作用は記憶処置で解消されます
#1011は#1868が我々に譲渡した物品の一つです
以下は#1867がそれを入手した経緯です


インタビューログ#1867-725

■■■博士:こんにちね1867
#1867:こんにちわ?まだ朝だろう
■■博士:うん?まぁ良いか、今日は君にこの前私達にくれた大皿について聞きたいんだが
#1867:大皿?皿なら渡したがそんなに大きくなかったと思うが・・・
■■博士:結構大きいと思うが・・・アレが一体何なのか教えてほしいんだが・・・
#1867:皿だろ?・・・・・
あ、昔、ジパングの骨董店で見つけた品で逸話が面白かったから買った
■■博王:逸話?詳しく聞かせてくれ
#1867:何でも昔、大菊と言う娘が大山?青山?名前は失念したが
兎に角、貴族の男に召し抱えられたんだ、この男は泥棒なんかを取り締まる
地位の高い役職に付いて居たのだが、奇妙な病に罹り職を辞した
■■博士:病?
#1867:物を多く数え間違えたり、自分が書類を書いた事を忘れもう一度書類を書いたり
人の名前を間違えたりとか色々
■■博士:健忘症とかか?
#1867:若い男らしいし違うんじゃないのか?
それなりに生まれも良いから本人に何か言うと何をされるか分からないから
誰も何も言わずに人は大山・・・で良いか、大山から離れていった
困ったのは、大山の召使い達だ、主人が可笑しいのは分かるが
それを指摘すると首が飛ばされかねないからそれを指摘する事はしなかった
大菊もそれに倣い大山に合わせて居た
ある日の事、大山が自慢の皿を使って酒宴を開いた
大山はとても身分の高い者から素晴らしい十枚の皿を貰い、それを誇りとしていた
しかし何故か酒宴には誰も来なかった
大山は自分が昨日酒宴をしていたんだがそれを忘れていたんだな
兎も角、酒宴?が終わり大菊が皿を洗うと皿の枚数が足りない事に気付く
大菊がそれを大山に報告し大山が確認するときちんと全部有る
普通なら叱る程度だが気が立っていた大山は
『物の勘定も出来ない馬鹿は内には必要無い』と大菊を追い出してしまった
大山は物を多く数える病気できちんと全部有る思い込んで居たと言う訳だな
もしも大山がその病気を患って居なかったら大菊はもっと恐ろしい責めを負っていたかもしれない
■■博士:その十枚の皿の一つが君が渡した皿と言う事か?
#1868:いや、それがその後
大山に息子が出来たんだが大山は息子の指を一本切り落としてしまったんだ
一本多く見えたから、そして奥方には逃げられた、奥方も良い所のお嬢さんだから
大山も罰を受けて家が没落してしまった
大山の嘗ての住まいも廃墟になってしまった
大菊は嘗ての自分の職場に何の気も無しに入って行った
そしてあの皿を見つけた訳だな
とても高そうな物だったのでこっそりとガメて骨董店に売りに行き
5両、結構良い額で取引した訳だ、そして大菊は頭を下げてこう言った
『6両もありがとうございます!!』・・・どうだ?
所有すると数を多く数え間違えたりする呪われたアイテム、面白いだろう?
■■博士:それを何故私達に?
#1868:悪気が有った訳じゃない、純粋に逸話を忘れていたんだ、倉庫にずっと閉まっていたからな
でも退屈凌ぎにはなったろう?
■■博士:・・・・・
#1868:怒っているのか?
■■博士:何故?
#1868:いや、黙っているから
■■博士:ん?可笑しな事を言うな1867、今日は少し君に聞きたい事が有ってな
この前君が私達にくれた皿の事で
#1868:本当にすまなかった

ログ終了


補遺
この報告書は私が#1011の効果が発露した状態で執筆した物です
現在、私にアイク室長が記憶処理を行った為平常に戻りました
皆さんにこの報告書から感じて欲しい事は確かに#1011は
今まで私達が対処して来た物に比べれば安全ですが
それでも異世界の理解不能な物品に違いは無いので
勝手に持ち出して悪戯に使わないで下さい-デクスター博士




「デクスター君、自身の書いた報告書に対しての補遺を頼む
#1012を悪戯に使う奴に対して戒めるような・・・」

「アイク室長、既に私見返して補遺を書いている様なのですが・・・」

「・・・・・」


補遺2
身に覚えのない大皿が俺の部屋に置いてあると思ったら#1012だったらしい
今から自身に記憶処理してから誰がそんな馬鹿げた悪戯をしたか
燻り出してやる-アイク第四室長




人事ファイル

第四室室長アイク
好きな物:冷たい食べ物、
嫌いな物:甘い物、特定多数の人物達(多過ぎるので省略)
特に嫌いな物:エルフ系創作物全般、ライト第一室室長
この世で一番嫌いな物:

あ、もうそこまでで結構です-人事部

あ、はい-アイク第四室長

アイク第四室室長は物の好き嫌いが激しくややヒステリックな部分が有りますが
基本的にバロワ第三室長と同等の常識人ですが
バロワ第三室長とは違い魔術の才が有り
記憶操作と言う極めて有用且つ特殊で希少性が高い魔法の継承者で
全ての室長の中で最も忙しい室長です
良識が有るのが救いで利己的な理由で記憶操作を行わず
記憶操作の魔法の講習など王国に非常に協力的です

身を粉にして働く忠臣の鏡だな、コイツには色々世話になってるから
結構好印象だ-バロワ第三室長

だが他の室長に比べて給料が5倍以上、更に経費なども第四室の審査はかなり甘い
コイツそこまで必要か?
コイツから記憶操作の講習受けた奴居れば良いのでは?-大臣ダーク


デクスター博士
好きな物:小説、ファンレター執筆
嫌いな物:最近妙に感じる倦怠感

第七室所属の異常物品についての研究をしている真面目な博士
でしたが最近妙に物事を先延ばしにし始めたり
物の数を多く数えたり、ランプに向かって話しかけたり
血を一滴垂らしたプレパラートを友人達と言い始めたり奇行が目立ちます

最近の彼の勤務態度は褒められた物じゃないが
私が就任する前から居る古参の人だから怒り難い・・・ライン第七室長

異世界のアーティファクトに触れ過ぎたか・・・-サルメゾン第一王子



Tale:おっさん二人(間の抜けたBGM推奨)

何処かは知らない町のなんとか言う酒場の一席
混んでいたのでカウンターに座る
隣で飲んでいた何処かの誰かに見覚えが有るので話しかけてみた

「あれ・・・アンタ、どっかで会いましたか?」
「俺はお前に見覚えないが・・・王城で働いてるか?」
「ええ、まぁ・・・ちょっと色々有りまして休暇を取りました」
「俺も色々有って休暇中だ・・・ちょっとアレな・・・同僚?
まぁそれなりに俺と同じ位の地位の奴に振り回されてな・・・お前は?」
「俺はプライド圧し折られて・・・」
「そうか・・・まぁ一杯」
「あざっす」

グラスに注がれるビールの泡が星屑の様に煌めいている

「お前は何処の所属だよ」
「頭巾」
「マジか、見えないな、俺アルフレード」
「あぁ・・・酔った第二室長を止めたとか・・・」
「お前は何やったんだ?」
「・・・・・異世界関係の実験で色々と」
「深くは尋ねまい・・・所で何でこんな辺鄙な所に?」
「・・・俺、この歳まで仕事ばっかりで長期休暇取った事無くて
適当にブラブラしてたらここに、アンタは?」
「俺も似た様なもんさ、剣一筋だったからなぁ・・・まぁ今日は呑めよ」
「あざーっす」

一頻り呑んだ俺達は別の店にはしご酒する事にした

「結構いける口かぁ、お前ぇ」
「アルフレードさんこそけっこうガンガン行くじゃないですか」
「おい、そこのおっさん」
「「ん」」

俺達が振り向くとそこにはチンピラ3人が現れた

「ちょっと俺達金が無くて困っ!!!」

1人俺が殴りーの

「てめ何す」

アルフレードさんがもう一人なげーの

「「おう、兄ちゃん、俺達これからはしご酒するから軍資金くれよ」」
「は、はい・・・」

脅しーの

「「かんぱーい、ガンガン飲むぜええええええ」」

ボトル開けーの

「「おえええええええええええ」」

嘔吐、とりあえずアルフレードさんの好意に甘んじて彼が取っている宿に
お邪魔した、アルフレードさんをベッドに寝かせ、俺はソファーに横になる

「・・・俺達何やってんだろ」
「・・・・・酔い潰れて横になってる」
「そうじゃねぇよ、俺さ
結構良い所の生まれで騎士になる為に結構努力して
家柄の補正は有れど結構強い騎士だと、思う
流石に王国最強だとは口が裂けても言えないが
お前だって頭巾は幼少からずっと処刑人になる為に色々やってるって聞くぞ」
「そーっすね・・・5歳位から処刑人の親の手伝いしてました」
「仕事一筋で頑張ってる俺等が魔法使いやら異世界の女やらに振り回されて
呑んだくれてるって何だよ・・・」
「・・・・・だよなぁ、魔法のお勉強してた方が良かったんですかね」
「さぁな・・・」



人事ファイル

処刑人
好きな物:機密保持の為、不詳
嫌いな物:機密保持の為、不詳

典型的な頭巾(処刑人の隠語)です、先祖代々処刑人の一族で彼はその末裔です
処刑人としては失敗も無く、平々凡々ですが失敗は有りませんでした
勤務に忠実で今まで長期休暇を取った事が無かったのですが
#682の実験後に長期休暇を取られました

流石に色々悪かったと思うから謝りたいが
一体今何処に居るのやら・・・-バロワ第三室長

顔は愚か名前すら分からないからなぁ・・・-アイク第四室長


騎士団長アルフレード
好きな物:釣り、塩の結晶作成、オカルト
嫌いな物:死体、虫

アルフレード騎士団長は現職の四人の騎士団長の中でも
これといって特徴は有りませんが
それ故隙も無く他の団長から一目置かれています
恵まれた家柄以外は平々凡々で問題事を起こさない真面目人間です
パニックもあまり起こさず精神的に強い人物でしたが
#447の実験で精神に重大なダメージを負い長期休暇を取られました

一体俺は何やったんですか-レフ第二室長



Tale:サイト88跡地にて見つかった文書

王室専属魔術会第六室主導の新しい異世界の門を作る魔方陣の実験は失敗しました
結果として実験が行われた
サイト88及び第六室室長、副室長、研究チーム及び護衛部隊
サイト88全職員は消失しました
調査の結果、魔方陣の重要箇所に何者かが細工を行い
犯行声明と思わしき文書が1枚残されていました
文書から読み取れるのは
何らかのグループの仕業と言う事だけで他の内容は意味不明な物でした
空いてしまった第六室室長にはベンが就任する事になりました





以下クリアランスレベル5以上のみ参照可能



人々に恵みを、如何か慈しみを、神よ我等を救いたまえ

私は幼い頃、故郷で四つの門を見た
一つには老人が
一つには病人が
一つには死人が
一つには僧侶が

私は僧侶に問うた、何故貴方はここに居るのですかと
僧侶は私に言った、私は皆を救い教えを説く為に或ると彼は言った
私は僧侶に問うた、こことは別の門に苦しむ人々が居るのに何故救わないのかと
僧侶は少し考え言葉を紡いだ、すまない、私は僧侶だが普通の人間だから
この世全ての人々を私は救えない、そう行って小走りで去って行った
走った先に馬車が飛び出して彼は死んだ

僧侶には興味が無い、人には限界が有る、私は神のみを信奉する

しかし神は応えなかった

ある日の事、私が辺境の教会に視察に行った時の事
奇妙な女性と出会った

赤目で白い女性だった、とても美しい人だった

彼女に対し私は悩みを打ち明けた
何故そうしたのかは分からない
彼女は言った

[へんしゅうずみ](注釈:回収した時点で本来の文章を塗りつぶす形で
文書全体の三分の一程の大きな文字で
へんしゅうずみと粗雑な字で書かれていました)

彼女の言う通りに事は運んだ

この世界に彼女達がやって来た

私達より神に近い者達、何れ私達も彼女達の列に加わるだろう

あの女性は恐らく神か神の使者だろうか

ならば私には一体何が出来る、地位は有る、財産も有る、従う人も居る
後は私が勇気を出すだけだ

しかし私には出来なかった、私は口では偉そうな事を良い
彼女達の現状を慈しむ事を言っていたが、怖かったのだ

だが第六の少年が企てた実験は明らかに彼女達の不利益になる
この世界から彼女達を出す訳には行かない
しかし如何すれば実験を止められる?

私はとても幸運だった
あの女性からの使者が現れ、如何すれば良いのか教えてくれた
魔方陣を崩壊させる為のウィークポイント、そこを崩せば良い

やるなら簡単、しかしやった後如何するかが問題だった
王国と、故郷と戦う事になるのはとても大変だし辛い事だ

私は半ば諦めてしまった、私は一先ず故郷に戻った

故郷で四つの門を見た
一つには老人が
一つには病人が
一つには死人が
一つには泣き伏せている若い尼が

私は尼に尋ねた、貴女は何故泣いているのです?
尼は私に言った、直ぐ近くに沢山の人が嘆いているのに私には救えないのです
私は尼に、何も言えなかった

私は人、この尼も人、昔会った僧侶も人

人では人を救えない

ならばこそ私は神に祈り、自分に出来る事をする

これは遺言になるかもしれない

だけどもこの世界は人ではもう如何しようもならない

私は神の信仰の為に、人の幸せの為に

私は王国に刃を向ける

ロバート・ブマロ



Kの実験の失敗はブマロ大臣の工作だったと言う事か!?-ライト第一室長

あいつ・・・やらかしやがった-サルメゾン第一王子

至急ブマロの行方とブマロを唆した者の追跡を行え-国王

ブマロ大臣の離反は厳重に隠蔽されブマロ大臣は急病で死去したと言うカバーストーリーが流布されました



第六室室長ベン・セルフインサート
好きな物:ビタミン
嫌いな物:騎士など脳筋と彼が判断した物

ベン第六室室長は王立魔術学校でトップの成績を持ち
複数の魔法開発コンペにて優秀な成績を残した輝かしい経歴を持っていましたが
自身に違法且つ無許可の人体改造を行った事が発覚し逮捕された経歴を持って居ます
彼自身は単純に自身の魔法のスキルを向上させ周囲にチヤホヤされたかっただけと語りました
彼の体の9割以上は既に人の物では無く脳以外全ての臓器が改造されていました
また極めて軽薄な男で男性に対しては気まぐれですが女性に対してはナイトの様と称されます

自身を改造しようとした度胸は認めるが
改造した動機が不純、違法の改造をした後の思慮も浅く、経験も浅い
歳は19・・・なのはKがもっと若いから良いとしてKと比べても
精神年齢が低い様に見える、少々無謀では?-パトリシア大臣

"K"前室長と前副室長、多くの魔法使い達が消えたが第六室は概ね無事だ
第六室を運用する為にお飾りでも室長を決めておく必要が有った
万が一の場合も考え次の室長もリストアップ済みだ、何も問題は無い-大臣ダーク
15/08/30 21:49更新 / Mr.後困る
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■作者メッセージ
番町皿屋敷、良いですよね、色々な俗説が有ったり落語などで改変されたり色々と二次創作しやすい怪談だと思います
足りなくて泣いている原点から逆の発想で増えているなんてありきたりな発想ですが
増えていると思い込むとかミーム的にしてみました、ミーマチックオブジェクト特有のミームに感染した人が書いた文章とか
憧れてます、書いてみましたが上手く出来ていますかね?

今回はホワイトアッシュ卿の怪談話とおっさん二人の話とK室長の殉職とブマロ大臣の離反ですね
怪談以外は後の伏線ですね、伏線って言って良いのか如何か分かりませんが・・・
本家SCPと違い段々連続したストーリーめいた物になって来ましたね、これって有りですかね?

次は元ネタは無いけどSCPとしては一ジャンルを形成している有る物がネタです、ではどうぞ

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