温泉街での休息 Rest at a hot spring town 後編
旅館の中居に冷やかされつつ朝食を済ませ、どうするか考えることにした。
「さて、これからどうするかな…。」
『朝風呂でも入って来たら?』
「そうしよう、ここで考えてても仕方ない。」
とりあえず旅館の露天風呂で考える事にした。
「情報集めるかな…。」
『もう行っちゃうの?』
「また入って来たか。」
『これからお父様とお母様に紹介したかったのに。』
「いろいろ過程が飛んでないか?それに近い。」
『いいじゃない、別に。』
「ブランが良くても俺が良くない。」
『このままだと貴方が戻れなくなるからよ。』
「もう戻る道もない、教団の奴らを既に殺してるんだから。」
『あ、そういえばそうだったわね…。』
「だから1人殺そうが皆殺しにしようがあまり変わらない、数の違いでしかないんだよ。」
『貴方がこれ以上傷ついて欲しくないのよ。』
「だから近いって…。」
気が付けばもう手が届く位置までブランは近づいていた。
「傷ついてもいない、俺はただ報復と殲滅を行うだけだ。」
『心が壊れかけて悲鳴を上げているのが分からないの?』
「敵に情けをかければ足元を掬われる、心の入る余地はないよ。」
『否定はしないけど、貴方は復讐する必要性をもうすぐ無くすわよ?』
「?」
『あの後お母様に頼んでおいたのよ、あの村の人たちを生き返らせてって。』
「アンデットとして蘇らせるのか。」
『えぇ、そうよ。』
「そうか、それは良かった。」
『貴方が復讐する必要性は無くなるわよ♪』
「いや、復讐の理由が少なくなるだけで無くならない。」
『?』
「こうしている今でも教団に虐げられている人たちはいる、自分達の気に入らないものを排除する輩が正義だと思うか?」
『思わないわね…。』
「だったらそいつらを叩き潰す、戦争においてはどんなことをしてもとは言い過ぎかもしれないが勝者が正義だ。」
『そうかもしれないわね。』
「それに、自分は上で何もしない私腹を肥やすクズ共が居て平和があると思うか?」
『それは同意できるわね。』
「そういう奴らを殺すのが弱者の為だろう。」
『弱いものの立場で考えてるのね。』
「弱者が勝つ方法は2つあるけど分かるか?」
『強くなること?』
「もう1つは憎しみを力に変えて数で戦う事だ。」
『弱いものは数で勝負ってことね。』
「俺の居た世界の歴史にある戦いの1つでは、それこそ数の暴力だったらしい。」
『うわ…。』
「話によると地獄絵図だったってよ。」
『沢山人が死んだのね…』
「まぁそいつらは自由と今まで踏みつけてきた上の奴らを踏みつけることができるようになったらしい、因果応報かな…。」
『かもしれないわね。』
「今までやってきたことを返しているだけだ、悲しいことは1つしかない。」
『?』
「弱者から強者になった奴らは数の強さを知っている、だから反逆を起こす前に断つ。」
『?』
「少しでも怪しい奴らは処刑だ。」
『因果応報とはいえ、やり過ぎよ!』
「あんた達は教団を堕落させたいんだろうし俺は上の奴らを潰して恨みを晴らしたい、俺の考えた案はそういうことを考えてたんだ。」
『恨みは、新しい恨みを生むわよ。』
「それならあんた達が止めたらいい、あんた達が堕落させれば考えることも無くなるだろうさ。」
『そ、そうね…。』
「どうしたんだ?」
『少しのぼせたみたいね…。』
「おい、大丈夫か!?」
『あっ…。』
ズルッ!
取り敢えず俺が下に入ったことでブランは無事なようだ。
「っ痛ぇ…、って!?」
ブランのタオルがはだけて落ちた上、俺に上から抱きついている構図になっていた。
「!?!?」
『捕まえた♪』
「いや、そんな場合じゃないだろ…。」
『?』
「は、早く服を着るんだ、湯冷めするぞ!」
『それは嫌ね、そうするわね♪』
「あぁ、そうしてくれ…。」
(ブランの身体、すっげぇ柔らかかった。しかもなにも香水とか付けて無くていい香りがしたなぁ…。)
いろいろモヤモヤしたものを頭の隅に押しやりながら、とりあえず露天風呂から上がった。
着替えを済ませて出ると、ブランが風呂上がりに冷たい水を飲んでいた。
『大丈夫?』
「背中を打ったくらいだ、多分大丈夫。」
『そう、はいお水。』
「あ、あぁ…。」
『さっきはありがとうね♪むちゅっ早x
「!?!?!?!?」
(俺にキスしてる!?、嫌ではないがいきなりは心の準備がとかそういう問題じゃないだろ、何か、何か言わないと…。)
『顔がリンゴみたいに真っ赤よ♪』
「あのな、耐性がない奴にそれは反則だ…。」
『耐性ないの?』
「出会いがなかったって言ってるだろ…。」
『ムラムラしたなら部屋に戻って、する?』
「い、いや、大丈夫だ。」
『何をしてるの?』
「精神統一だ。」
『私が解消するために協力するのに、どうして?』
「俺には、報復を成功させないといけない理由がある。」
『なに?』
「言えば間違いなく俺を止めるだろう、だからこれは俺の心の中に永久にしまって墓場まで持って行く。」
『そう、だとしたらますます聞かないといけないわね。』
「止めないと約束できるなら話す。」
『…。』
「俺は情報を集めてくる、その間に考えてみればいい。」
『え、えぇ…。』
2時間程して情報を集め、整理した後に戻るとブランが何かを決意したような目付きで話しかけてきた。
『話して、くれる?』
「止めない覚悟が出来たのか?」
『聞かないと私は貴方のことを知らないままで終わりそうだから…。』
「…わかった、話そう。」
『えぇ…。』
「俺には尊敬できる師が居た、その師を殺した奴が牢屋に十数年入っただけで出てくる、納得できるか?」
『まずできないわよね。』
「だから俺はその男を殺そうとしたんだが…。」
『まさか、殺したの!?』
「いや、その前に事故死した。」
『貴方がこれ以上殺しを重ねなくて良かったわ…。』
「だからこそ、もう大切な人たちを失いたくなかったんだ…。」
『…。』
「だが教団は自分達と違うだけで村のみんなを殺した、もう我慢出来ないんだ。」
『…。』
「報復をしたところで死んだ人たちは蘇らないと自分を納得させて来たけどもう限界だ、俺は教団を潰す。もう俺のような奴を生み出さないためにもな。」
『そう、辛かったわね…。』
「報復の連鎖は俺の命をかけてでも俺で終わらせる、そうしないといけないんだ。」
『そう…、こっちに来てくれる?』
「?」
『痛かったでしょう?苦しかったでしょう?辛かったでしょう?』
「それも今になって考えたら俺が背負う痛みなんだ、背負って生きないといけない。」
『なんでよ…。』
「わっ!なんだ!?」
『何で一番悲しいはずの貴方が涙を流さないのよ…。』
ブランは涙を流しながら近づいてきた。
「本当に悲しい時は、涙が流れないもんだ。」
『そんなの、そんなの絶対おかしい!』
「俺が背負って、生きて行かないといけないんだ。」
『何でよ…。』
「…。」
俺はブランの肩に手を置く。
「誰かに想いを託されたなら、それを背負わないといけない、投げ出すのは許されないんだ。」
『ごめんなさい、私が聞いていいことじゃなかったわ…。』
「いや、仮にも俺を夫にする気があるんなら、聞いておいて欲しいことだからな。」
『そう…。』
「嫌になったなら引いてもいい、今なら止めない。」
『いいえ、貴方を諦めるつもりはないわ。』
「物好きだな。」
『何と言われても変わらないわよ♪』
「お、おう…。」
『だけど報復は止めないといけないと思ったわ。』
「だから話したくなかったんだ…。」
『失敗だったわね。』
「今すぐには取り掛からないけどな。」
『だけど止めるわよ。』
「もう情報は手に入れた、後は集めてとりかかる。」
『思った以上に進めてるわね…。』
「まあどうなるかな…。」
『?』
「報復したい奴らがまだどのくらい居るのか分からないからな。」
『報復より貴方が優先すべきことがあるはずよ…。』
「もう俺は振り返らない、俺のような奴がいない未来に向かって突き進むだけだ。」
『…。』
「考えを少し歩み寄ってやるよ。」
『?』
「報復したい奴らがいなかったなら俺は諦める。」
『…。』
「俺は今からその村に向かう、来るなよ?」
『…。』
俺は、虐げられた人々が居る村に向かった。
『来ない訳、ないじゃない…。』
「さて、これからどうするかな…。」
『朝風呂でも入って来たら?』
「そうしよう、ここで考えてても仕方ない。」
とりあえず旅館の露天風呂で考える事にした。
「情報集めるかな…。」
『もう行っちゃうの?』
「また入って来たか。」
『これからお父様とお母様に紹介したかったのに。』
「いろいろ過程が飛んでないか?それに近い。」
『いいじゃない、別に。』
「ブランが良くても俺が良くない。」
『このままだと貴方が戻れなくなるからよ。』
「もう戻る道もない、教団の奴らを既に殺してるんだから。」
『あ、そういえばそうだったわね…。』
「だから1人殺そうが皆殺しにしようがあまり変わらない、数の違いでしかないんだよ。」
『貴方がこれ以上傷ついて欲しくないのよ。』
「だから近いって…。」
気が付けばもう手が届く位置までブランは近づいていた。
「傷ついてもいない、俺はただ報復と殲滅を行うだけだ。」
『心が壊れかけて悲鳴を上げているのが分からないの?』
「敵に情けをかければ足元を掬われる、心の入る余地はないよ。」
『否定はしないけど、貴方は復讐する必要性をもうすぐ無くすわよ?』
「?」
『あの後お母様に頼んでおいたのよ、あの村の人たちを生き返らせてって。』
「アンデットとして蘇らせるのか。」
『えぇ、そうよ。』
「そうか、それは良かった。」
『貴方が復讐する必要性は無くなるわよ♪』
「いや、復讐の理由が少なくなるだけで無くならない。」
『?』
「こうしている今でも教団に虐げられている人たちはいる、自分達の気に入らないものを排除する輩が正義だと思うか?」
『思わないわね…。』
「だったらそいつらを叩き潰す、戦争においてはどんなことをしてもとは言い過ぎかもしれないが勝者が正義だ。」
『そうかもしれないわね。』
「それに、自分は上で何もしない私腹を肥やすクズ共が居て平和があると思うか?」
『それは同意できるわね。』
「そういう奴らを殺すのが弱者の為だろう。」
『弱いものの立場で考えてるのね。』
「弱者が勝つ方法は2つあるけど分かるか?」
『強くなること?』
「もう1つは憎しみを力に変えて数で戦う事だ。」
『弱いものは数で勝負ってことね。』
「俺の居た世界の歴史にある戦いの1つでは、それこそ数の暴力だったらしい。」
『うわ…。』
「話によると地獄絵図だったってよ。」
『沢山人が死んだのね…』
「まぁそいつらは自由と今まで踏みつけてきた上の奴らを踏みつけることができるようになったらしい、因果応報かな…。」
『かもしれないわね。』
「今までやってきたことを返しているだけだ、悲しいことは1つしかない。」
『?』
「弱者から強者になった奴らは数の強さを知っている、だから反逆を起こす前に断つ。」
『?』
「少しでも怪しい奴らは処刑だ。」
『因果応報とはいえ、やり過ぎよ!』
「あんた達は教団を堕落させたいんだろうし俺は上の奴らを潰して恨みを晴らしたい、俺の考えた案はそういうことを考えてたんだ。」
『恨みは、新しい恨みを生むわよ。』
「それならあんた達が止めたらいい、あんた達が堕落させれば考えることも無くなるだろうさ。」
『そ、そうね…。』
「どうしたんだ?」
『少しのぼせたみたいね…。』
「おい、大丈夫か!?」
『あっ…。』
ズルッ!
取り敢えず俺が下に入ったことでブランは無事なようだ。
「っ痛ぇ…、って!?」
ブランのタオルがはだけて落ちた上、俺に上から抱きついている構図になっていた。
「!?!?」
『捕まえた♪』
「いや、そんな場合じゃないだろ…。」
『?』
「は、早く服を着るんだ、湯冷めするぞ!」
『それは嫌ね、そうするわね♪』
「あぁ、そうしてくれ…。」
(ブランの身体、すっげぇ柔らかかった。しかもなにも香水とか付けて無くていい香りがしたなぁ…。)
いろいろモヤモヤしたものを頭の隅に押しやりながら、とりあえず露天風呂から上がった。
着替えを済ませて出ると、ブランが風呂上がりに冷たい水を飲んでいた。
『大丈夫?』
「背中を打ったくらいだ、多分大丈夫。」
『そう、はいお水。』
「あ、あぁ…。」
『さっきはありがとうね♪むちゅっ早x
「!?!?!?!?」
(俺にキスしてる!?、嫌ではないがいきなりは心の準備がとかそういう問題じゃないだろ、何か、何か言わないと…。)
『顔がリンゴみたいに真っ赤よ♪』
「あのな、耐性がない奴にそれは反則だ…。」
『耐性ないの?』
「出会いがなかったって言ってるだろ…。」
『ムラムラしたなら部屋に戻って、する?』
「い、いや、大丈夫だ。」
『何をしてるの?』
「精神統一だ。」
『私が解消するために協力するのに、どうして?』
「俺には、報復を成功させないといけない理由がある。」
『なに?』
「言えば間違いなく俺を止めるだろう、だからこれは俺の心の中に永久にしまって墓場まで持って行く。」
『そう、だとしたらますます聞かないといけないわね。』
「止めないと約束できるなら話す。」
『…。』
「俺は情報を集めてくる、その間に考えてみればいい。」
『え、えぇ…。』
2時間程して情報を集め、整理した後に戻るとブランが何かを決意したような目付きで話しかけてきた。
『話して、くれる?』
「止めない覚悟が出来たのか?」
『聞かないと私は貴方のことを知らないままで終わりそうだから…。』
「…わかった、話そう。」
『えぇ…。』
「俺には尊敬できる師が居た、その師を殺した奴が牢屋に十数年入っただけで出てくる、納得できるか?」
『まずできないわよね。』
「だから俺はその男を殺そうとしたんだが…。」
『まさか、殺したの!?』
「いや、その前に事故死した。」
『貴方がこれ以上殺しを重ねなくて良かったわ…。』
「だからこそ、もう大切な人たちを失いたくなかったんだ…。」
『…。』
「だが教団は自分達と違うだけで村のみんなを殺した、もう我慢出来ないんだ。」
『…。』
「報復をしたところで死んだ人たちは蘇らないと自分を納得させて来たけどもう限界だ、俺は教団を潰す。もう俺のような奴を生み出さないためにもな。」
『そう、辛かったわね…。』
「報復の連鎖は俺の命をかけてでも俺で終わらせる、そうしないといけないんだ。」
『そう…、こっちに来てくれる?』
「?」
『痛かったでしょう?苦しかったでしょう?辛かったでしょう?』
「それも今になって考えたら俺が背負う痛みなんだ、背負って生きないといけない。」
『なんでよ…。』
「わっ!なんだ!?」
『何で一番悲しいはずの貴方が涙を流さないのよ…。』
ブランは涙を流しながら近づいてきた。
「本当に悲しい時は、涙が流れないもんだ。」
『そんなの、そんなの絶対おかしい!』
「俺が背負って、生きて行かないといけないんだ。」
『何でよ…。』
「…。」
俺はブランの肩に手を置く。
「誰かに想いを託されたなら、それを背負わないといけない、投げ出すのは許されないんだ。」
『ごめんなさい、私が聞いていいことじゃなかったわ…。』
「いや、仮にも俺を夫にする気があるんなら、聞いておいて欲しいことだからな。」
『そう…。』
「嫌になったなら引いてもいい、今なら止めない。」
『いいえ、貴方を諦めるつもりはないわ。』
「物好きだな。」
『何と言われても変わらないわよ♪』
「お、おう…。」
『だけど報復は止めないといけないと思ったわ。』
「だから話したくなかったんだ…。」
『失敗だったわね。』
「今すぐには取り掛からないけどな。」
『だけど止めるわよ。』
「もう情報は手に入れた、後は集めてとりかかる。」
『思った以上に進めてるわね…。』
「まあどうなるかな…。」
『?』
「報復したい奴らがまだどのくらい居るのか分からないからな。」
『報復より貴方が優先すべきことがあるはずよ…。』
「もう俺は振り返らない、俺のような奴がいない未来に向かって突き進むだけだ。」
『…。』
「考えを少し歩み寄ってやるよ。」
『?』
「報復したい奴らがいなかったなら俺は諦める。」
『…。』
「俺は今からその村に向かう、来るなよ?」
『…。』
俺は、虐げられた人々が居る村に向かった。
『来ない訳、ないじゃない…。』
15/03/13 23:52更新 / サボテン
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