連載小説
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釜蓋
 昔々S国に虎岩村と言う漁村に蓋島という島があった。その村と島には奇妙な言い伝えと信仰があった。

毎年男を1人、蓋島に住む神々に婿として与えれば、二千年した後、蓋島より救いの神現れ、下々の者に恵みの雨を与える。

その言い伝えが、その信仰がいつからあったかはわからない。ただいつからか、虎岩村に住む者たちはその言い伝えの通り、毎年冬至の日に男を贄として捧げていた。

男は年も、容姿も、性格もばらばらで、特に決まりはなかった。青年、老人、顔が醜い者、10歳にもいかないような幼子。ただ易により決められた男が、贄として蓋島にすむ神々に捧げられた。

しかし、贄として行くはずなのに、蓋島から笑い声は絶えることは無かった。

そしていつからか、蓋島にはまほらがあるらしいと噂されるようになった。

その噂を聞いてか、各地から蓋島に行きたいという男が多く来るようになった。そして男のみならず、女も蓋島に行きたいという声が出始めた。

そしてある大潮の時、彼らは島にわたる決意をし、島へ渡った。

すると、島に住んでいた神々は問うた。

我々の住む世界に住みたいか。幸せがそんなに欲しいか。

彼らはうなずいた。すると神々はこう答えた。

いいでしょう。あなた達に幸せを与えましょう。しかし、もうこちらの世界には戻れませんよ。

その答えにうなずいた人々は、島の中央にあった穴へと吸い込まれていった。

そして一夜にして虎岩村は消えた。ただ、蓋島より聞こえる笑い声を残して。

長い時が流れ、言い伝えも、信仰も忘れ去られた。そして舞台は現代に移る。

釜の蓋が開かれる。
前門13/03/14 18:47
中門13/03/15 21:56
後門13/03/16 17:03
天庭13/03/17 16:33
再臨13/03/18 23:22
神曲13/03/19 21:42

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