読切小説
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何事も気から
 主人公である私は、今大学4年生の陸上部で、400mハードル走の選手ある。私は、明日の大会で引退する予定である。しかし、最近卒業論文の事もあってか、中々練習も出来ておらず、実力は全盛期の頃と比べるとガタ落ちしてしまっている。そんなコンディションでハードルを跳ぶのだ。私は確実にハル○ララと化するだろう。いや、それだけならよい。怪我でもしてしまったら、取り返しのつかない事になってしまう。

「はぁ〜どないせっちゅーねん。」

今になって悩む私。ただ、悩んだからと言ってこの問題が解決出来る訳も無い。

「なぁ〜にそんなに悩んじゃって?」

悩む私の隣で、悪戯っぽく話しかけるのは、私の彼女であるゲイザーのジュン。彼女との出会いの説明は省くが、とりあえず一目ぼれだったということは伝えておこう。

「実はな…明日部活の大会があって、それがちゃんと走れるかどうかで不安でな…」

私は珍しくジュンに愚痴をこぼす。いつもならジュンに愚痴を言ったところで、軽くあしらわれてしまうのだが、今回ばかりは不安のあまりか、つい愚痴をこぼした。すると、彼女から意外な言葉が返って来た。

「ふーん。じゃあさ、その不安、私の暗示で無くしてあげよっか?」

そう、ゲイザーの得意とすることは暗示。かく言う私も、本来の単眼スキーに暗示をかけられ、一気にヒートアップしたのだ。それに、考え方一つで体の調子とは簡単に変化してしまう物である。

「マジで!?」

「うん、別にいいよ。」

返答するジュンの声は純粋無垢であるが、顔は何やら薄ら笑いを浮かべてる。どうやら、何か企んでるようだ。

「おいおい、何企んでるんだ?」

「別にぃ。私はただ、純粋に勝って欲しいなって思っただけなのにぃ。」

やっぱり薄ら笑いは崩さないジュン。不安を取り除けるのは良いが、彼女の策略にはまるのはごめんである。と言うのも以前、彼女に騙され、ル・マン24時間耐久レースのパロディだと称され、チン・マン24時間耐久ファックをやらされ、腰をダメにした事があったからだ。しかし、この不安を取り除くにはこの方法しかない。

「…わかった、お前を信じよう。」

「えへへ、判ればいいんだよ。」

そう言うとジュンは、先端に目が付いている多くの触手を私の方に向け、不安を取り除く暗示をかけ始めた。

「オンオロチアラミダマソワカ…」

「それ、ちょっと違くない。」

「あ、ごめんごめん。」

「もう。頼むよ。」

「任せて。」

そうしてジュンは、再び私に暗示をかけ始めた。

 大会当日。400mハードル走は、大会最初の種目として行われ、9時半スタートと言うあまりにもどきつい始まり方をした。しかし、ジュンに暗示をかけられ、不安も何も無い私にとって競技開始時間何ていう物は、意味をなさなかった。

「ねぇあなた、調子はどぉ〜?」

「大丈夫だ、問題無い。」

「私の暗示が効いた様ね。」

「ああ、ジュンのおかげだ。ありがとな。」

「きゃっ、褒められちゃった♥」

照れるジュン。白い顔が赤くなっている様は何とも言えない可愛さだ。しかしどうも妙だ。いつものジュンらしくない。いつもだったら、意地悪に意地悪を重ねるような彼女なのに。だが、いまさら藪から何が出ようと動じない私である。

「よし、期待していろよ!」

 時間は9時半となり、決勝が始まった。と言うのも、この400mハードルと言う競技、参加者が少ない時も多く、いきなり決勝と言う事がよくあるのだ。その中で私は、第1組の1レーン。この1レーンと言う場所が、かなりの曲者なのである。この場所は、トラックの一番中を走る。その為、足の負担が大きく怪我しやすいと言う恐るべき場所である。しかし、何度も言うようだが、ジュンに暗示をかけられた私は、負担どころか、痛みすら感じていない。

「オンユアマーク!!」

審判の声が競技場内に響く。もう私の心臓の鼓動はかなり早くなっている。しかし、暗示によって冷静になっているのだから、それすらも感じない。

「セット!!」

パァン!!

雷管の音が鳴り響き競技は始まった。私はスタートは遅い方だが、今回ばかりはすんなりとスターと出来た。400mハードル走では、何よりハードルを跳ぶ時のリズムが重要視される。疲れや、集中力が切れる事により、それが狂った途端、一気に遅くなる。だが、くどい様だが、ジュンに暗示をかけられた私の頭はいたって冷静である。

「あなた、ファイトー!!」

こんな様に、ジュンの応援が聞き分けられるほどにである。さらに、ハードルを跳ぶリズム、スピードも、スーパー○リオの効果音が聞こえそうなほど、軽やかに跳んでいる。それでいて、ハードル間の走りは速い。その速さは、200mを越えたあたりから、私の前、横を走っている選手はいなくなったほどだ。それほどに今私は速く走っているのだ。そして、残り100m。普通の選手なら、ここら辺からスピードが落ちてくる。しかし、私はと言うと、スピードは全く落ちていないばかりか、疲れすら感じていなかった。残り50、40、30…どんどんゴールが近づいてくる。そして私は、堂々の一位でゴールする事が出来た。…が、ゴールした直後、異変が私を襲ったのである。

「あ…あれ?足が…呼吸が…」

そう、足ばかりか、体が動けなくなり、さらに呼吸もままならなくなり、そのまま倒れてしまったのである。しかし、幸いにも意識はあった。…が、それが大きな災いとなっていしまった。

「あなたー、大丈夫ー?」

何処からかジュンが走り寄り、倒れている私を覗き込んだ。

(何故お前がここに?)

グラウンド内は、基本関係者以外は立ち入り禁止である。でも何故か、ジュンは入って来ている。

「わー大変だー(棒)。人が倒れてるー。早く人工呼吸をしなきゃー(棒)。」

そう言いながらジュンは、私のユニフォームの下を脱がし始めた。

(な、何をする!?)

「こう言う時は、人工呼吸と、魔力注入よね♥」

そう言いながらジュンは、疲れているのにも関わらず、いきり立っている私の息子に挿入しながら、人工呼吸と称して、私の口に舌を絡ませてきた。

(き、貴様・・最初からこうなる事がわかって…)

ああ、だからやたらめったら親切にしてくれたのか。わざわざこんな公開ファックの為に。うん、全く嬉しくない。さらに、競技場の巨大モニターに、私をジュンの公開ファックが映される始末。それを意識有りで見る羽目になったのだから…私は、顔からイグニスが生まれそうなぐらい恥ずかしくなった。

 その後、暗示をかけられての記録だと言う事がわかり、記録は取り消し。さらに、部活のみんなからは単眼スキー、及び露出羞恥プレイが好きだと言う事が広まり、変態第六単眼天魔王と言う大変不名誉なあだ名が付いてしまった。

「でもあの時、凄く気持ち良かったでしょ♥」

「黙れ!」

今回の事件は、あまりにも失ったものが大きすぎた。しかし、彼女だけは変わらず私を愛してくれている。まぁ、彼女が喜んでくれたから良しとしよう。私はそう思いながら、再び卒業論文に精を出すのであった。

13/09/11 23:25更新 / JOY

■作者メッセージ
今回のゲイザーさんは、ガチでドストライクです。単眼娘もっと増えないかなー。

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