すごく個性的で綺麗だ
「どこだ?タツキ。私達と楽しいことをしよう。」
「でておいでー。」
・・・やあ、諸君。東雲龍紀だ。今は訳あってあの二人から隠れている。あの二人というのは、ミミック氏(名前はミサというらしい。隠れる前に聞いたのだが。)とドラゴンのバハムート氏のことだ。何故こうなったかと言うと遡る事二十分前・・・。
―二十分前―
「でね、私はミミックのミサ!」
「神楽坂学院生徒会執行部会長、二年三組出席番号14番、東雲龍紀だ。」
「で?タツキとやら、お前は何処から来たんだ?『対の鏡』に魅入られるなど滅多にないことだぞ?」
「日本だ。」
「ニホン?」
「そう、日本。」
私はこのミミック氏―ミサと、ドラゴンのバハムート氏に状況を懸命に伝えている。ちなみに冒険者気取りの四人組(一人は跡形もなく消えてしまったが)はバハムート氏が地下室に閉じ込めてきたらしい。とても気になるが、触らぬ神に祟りなしというしな、気にしたらダメだろう。
「だが、そんな国聴いたことがないぞ?」
「いやいやいや、そんな筈は無いだろう。もう一度よく記憶をたどってみてほしい。」
彼女達曰く、そんな国知らないという。
「何か特徴的なものはないの?」
「特徴的なもの・・・」
日本といえば、まあ富士山とかそこらへんを言えば一発だろう。だが、相手は少なくとも日本人ではない(そもそも人ですらない・・・らしい)から若干心配だが。
「あれだ、富士山とか、スカイツリーとか。」
若干チョイスを誤ってしまった気がする。
「ふーむ・・・」
あれ?富士山で伝わるはずだったんだが・・・。
「もしかしてジパングのことか?いやしかし・・・。」
ジパング・・・?いや、良いんだよそれで!ちょっと、いや、かなり時間的壁を感じるけど、問題ない!
「そう!そこだ!ジパングだ!」
「ニホンじゃないの?」
コレで帰る為の光が見えてきた・・・!
「もっとも、どこかにあるという伝説の黄金の国だが・・・本当にあるのか?タツキ?」
先程名前を教えた後から、やたらと下の名前で呼ばれるが、もはやそんなことは瑣末な問題だ。
『本当は嬉しいんだろ?』
そんなことないぞ?私の中の悪魔。
『そうだ悪魔!女っぽい私が女に下の名前で呼ばれて嬉しいわけがないだろう!』
「とっても嬉しいぞ!!」
「「何が!?」」
ハッ!舐めるなよ天使風情が!と言うよりでて来るな!アホ天使!
「じーっ」
視線が痛い!十円のガムの当たりを交換しに行った時の駄菓子屋のおばちゃん以上に視線が痛い!
「違う違う、天使や鋭い視線は今、関係無い。問題はジパングにいく方法だ。」
「だから、あるかどうかすら怪しいんだぞ?」
・・・・・・へ?
「黄金の島かぁ・・・箱いっぱいに金がほしいなぁ。」
「お前の箱は無尽蔵だろ。」
在るかどうかすら怪しい・・・?
『諦めちゃえよ。』
くっ・・・さすが悪魔・・・今の一言で心が折れそうになったぞ。
『諦めるな!お前はまだ、旅先で貰った大粒飴(ラムネ納豆味)があるだろう!』
それを励みに頑張れと?つくづく腹立たしいやつだなキサマ・・・!それでも私の天使か?
「その、なんだ?気を落とすなよ。」
「うんうん、多分、きっと、もしかしたら大丈夫だから。」
・・・ま、何とかなるだろう。なにより、もう二人(二匹?)も知り合いが出来たんだ。
「・・・強い人以外に興味ないんじゃないの?」
「いや、伴侶にするかどうかは別としてだな・・・―」
ん?なんだ?ヒソヒソと何を話しているんだ?あの二人は。まあいいか、それより小腹がすいてきたな・・・。
「―着せ替え人形にしたい」
殺気!
これは・・・幼稚園と小学生と中学生と高校に入ってから感じているものと同じような気配だ。一体この殺気は何なのだ!?
「「じーっ・・・」」
「い、一体どうしたのだ?二人とも。」
何だあいつら、目から光がなくなっている。たとえて言うなら・・・そう、欲望に飲まれた人の目だ。
「お前・・・可愛いよな・・・」
「何!?」
おのれ!キサマまで言うか!?このドラゴンめ!
『事実可愛いしな』
うるさい、天使!この自意識過剰な愚か者が!
「どうだタツキ?このフリルのついた服など―」
「さらばだッ!」
三十六計逃げるにしかず。ミサのほうは知らないが、バハムートのほうは非常にマズイ。つかまったら確実にアウトだ。
「まて!タツキ!」
「すっごく可愛いよ?この服ー!」
―というわけだ。会長の誇りと男の尊厳にかけて捕まる訳にはいかない・・・・・・!
「やれやれ、仕方がない・・・か。」
「ふぇ?諦めるんですか?バハムートさん」
よし!なかなかついている!・・・まぁ、これ以上不幸にはなりようがないだろうが。
「・・・グループAを使うぞ、すぐに召集だ」
「・・・・・・可愛そうに、タッちゃん・・・」
グループA?なんだその意味深なグループ名は。
『降参するなら今のうちだぞ』
諦めるのはまだ早いぞ悪魔。
『そうだ!しつこさこそ我等の真骨頂!』
「違う!粘り強いだけだ!」
「見つけたぞ」
・・・・・・。
「じゃっそういうことで・・・。」
「まあ、待て少し私が身だしなみを―」
「さらばっ!」
こうなったらもう私は悪魔崇拝者になろうか・・・。いい加減この天使を消したくなった。
・・・しかし、どうにも気になる。いったいグループAとは何なのだ?
「・・・止まれ。」
「ん?」
いつの間にか目の前には甲冑を装備し、大剣を携えた美女が立っていた。
「・・・ここは通行不可。」
「・・・何のつもりかは知らないが、そこを通してほしい。今、私は己が誇りと、男としての尊厳と、貞操の危機なのだ。」
先程のあいつらの目・・・確実に危ない。
「・・・通すつもりはない。」
「どうしてもか?」
「・・・・・・。」
この無言は肯定ととるべきだろう。
「仕方ない・・・急いでいる故、手加減はしない。」
「・・・勝負。」
おそらくあの剣ならこの『黒き帳』にダメージは与えられないだろう。少し攻撃をいなせば―
「・・・・・・!」
突如、目の前の美女は首を投げつけてきた。
・・・・・・首?
「首いいぃぃ!?!?」
バカな!これは今話していた美女の―
「・・・隙有り。」
「くっ・・・!」
いつの間にか振りかざしてきた大剣を何とかギリギリでよける。だが、またすぐに剣を切り返してくる。思った以上に動きが早いし、それ以上に、
「・・・何故首がなくても動ける!?」
いったい何者なんだ。この美女は。
「・・・フフフ、いいニオイ。」
首だけで笑った!?というより頭を摺り寄せるな!
『デュラハンだろ、アンデットの』
さすが私の中の悪魔!こういったことに詳しいな。・・・しかしなるほど、これがかの有名なデュラハン・・・。
「いや、デュラハンはかなり強かったはず・・・!」
マズイ、ただの人だと油断していた。こちらは敵の斬撃をよけるのが精一杯で、反撃どころか下手に逃げれば確実にやられる。なにより、
「・・・暖かい。」
この首が邪魔だ!捨てるなり盾にするなりも出来るが、仮にもこれは女性の顔。確かに自分の誇りや尊厳や貞操は大切だが、さすがに顔を使うのは・・・。
「・・・捨てないの?」
「・・・はい?」
何を言ってるんだ?この人(人じゃないけど)。
「・・・なんで捨てないの?」
「何でといわれても。」
さっきも言ったがさすがに顔を使うのは・・・。
「・・・教えて」
ピタッと動きを止めるデュラハン。・・・そこまで気になるなら最初に顔を投げなければいいと思うが。
「・・・なんで捨てないの?」
同じ質問をしてくるデュラハン。頭だけで、少し不気味だが、まあ、ウソを言っても仕方ないか。
「確かに私は今急いでいる。今この瞬間だってゆっくりしていられる時間はないだろう。」
しっかりと腕の中にある頭の、相手の瞳に向かって言う。
「・・・だがな、少なくとも私は、キミの頭を盾にして逃げるくらいなら、キミの頭を抱えたまま逃げるぞ。」
「・・・・・・?」
きょとんとした顔になるデュラハン。顔が美人なだけにこのギャップの破壊力は凄い・・・!
「つまり、だ。」
何と言うかこういうことをまじめに話すのは少々恥ずかしいな。
「キミの頭を盾にして、もし傷ついたら、その・・・なんだ、美人だから、いや、美人じゃなくても、女性の顔を利用するなど・・・。」
『キザなセリフだな』
『似合ってないぞ』
うるさい、天使と悪魔。
「・・・・・・?」
「だからっ!」
なんでこのデュラハンは私のいいたいことを理解しないんだ!?
「人だとか、魔物娘だとか、美人ブス若い老婆に関係なく!」
やっぱり恥ずかしい。
「・・・女性の顔に、傷はつけれないだろう。」
「・・・・・・!」
ボンッと音がしそうな勢いで真っ赤になる顔。そうなるならもっと早い段階で気づいてほしいものだ。
「ほら、頭。」
首のない胴体が真っ赤になった頭をつける。・・・先程まで殺す気で足止めをしてきた相手に頭を返すとは・・・変な光景だ。
「じゃあ、私は急ぐので。」
早くしないとバハムートに追いつかれる。
「・・・。」
去ろうとする私の手を掴むデュラハン。まだ何か用か?
「・・・私、綺麗?」
口裂け女か?まぁ、正直に答えよう。
「すごく、綺麗だ。」
「・・・これでも?」
そう尋ねて頭をはずすデュラハン。さっき見たし、口裂け女的な展開だと、この先は死亡フラグだ。
「ああ、すごく個性的で綺麗だ。」
「・・・・・・!」
頭をはめなおしてうつむくデュラハン。時間的にそろそろヤバイ。
「・・・名前は?」
「東雲龍紀。神楽坂学院で生徒会会長をしていた。」
「・・・そう。」
また、うつむいてしまう。・・・いったい何がしたいんだ?
「・・・スピア。」
「ん?」
「・・・私の名前。スピア・クラムトーレ・デュッラ・ハーン・シノノメ」
最後におかしな部分があったぞ。
「・・・スピアと呼んでください、ア・ナ・タ・・・。」
「あ、アナタ!?」
そういうとスピアは頬を赤く染めながらはにかんだ。
「・・・私のパートナーはアナタだけ・・・!」
・・・私がいつフラグを立てたというのだ・・・?
「でておいでー。」
・・・やあ、諸君。東雲龍紀だ。今は訳あってあの二人から隠れている。あの二人というのは、ミミック氏(名前はミサというらしい。隠れる前に聞いたのだが。)とドラゴンのバハムート氏のことだ。何故こうなったかと言うと遡る事二十分前・・・。
―二十分前―
「でね、私はミミックのミサ!」
「神楽坂学院生徒会執行部会長、二年三組出席番号14番、東雲龍紀だ。」
「で?タツキとやら、お前は何処から来たんだ?『対の鏡』に魅入られるなど滅多にないことだぞ?」
「日本だ。」
「ニホン?」
「そう、日本。」
私はこのミミック氏―ミサと、ドラゴンのバハムート氏に状況を懸命に伝えている。ちなみに冒険者気取りの四人組(一人は跡形もなく消えてしまったが)はバハムート氏が地下室に閉じ込めてきたらしい。とても気になるが、触らぬ神に祟りなしというしな、気にしたらダメだろう。
「だが、そんな国聴いたことがないぞ?」
「いやいやいや、そんな筈は無いだろう。もう一度よく記憶をたどってみてほしい。」
彼女達曰く、そんな国知らないという。
「何か特徴的なものはないの?」
「特徴的なもの・・・」
日本といえば、まあ富士山とかそこらへんを言えば一発だろう。だが、相手は少なくとも日本人ではない(そもそも人ですらない・・・らしい)から若干心配だが。
「あれだ、富士山とか、スカイツリーとか。」
若干チョイスを誤ってしまった気がする。
「ふーむ・・・」
あれ?富士山で伝わるはずだったんだが・・・。
「もしかしてジパングのことか?いやしかし・・・。」
ジパング・・・?いや、良いんだよそれで!ちょっと、いや、かなり時間的壁を感じるけど、問題ない!
「そう!そこだ!ジパングだ!」
「ニホンじゃないの?」
コレで帰る為の光が見えてきた・・・!
「もっとも、どこかにあるという伝説の黄金の国だが・・・本当にあるのか?タツキ?」
先程名前を教えた後から、やたらと下の名前で呼ばれるが、もはやそんなことは瑣末な問題だ。
『本当は嬉しいんだろ?』
そんなことないぞ?私の中の悪魔。
『そうだ悪魔!女っぽい私が女に下の名前で呼ばれて嬉しいわけがないだろう!』
「とっても嬉しいぞ!!」
「「何が!?」」
ハッ!舐めるなよ天使風情が!と言うよりでて来るな!アホ天使!
「じーっ」
視線が痛い!十円のガムの当たりを交換しに行った時の駄菓子屋のおばちゃん以上に視線が痛い!
「違う違う、天使や鋭い視線は今、関係無い。問題はジパングにいく方法だ。」
「だから、あるかどうかすら怪しいんだぞ?」
・・・・・・へ?
「黄金の島かぁ・・・箱いっぱいに金がほしいなぁ。」
「お前の箱は無尽蔵だろ。」
在るかどうかすら怪しい・・・?
『諦めちゃえよ。』
くっ・・・さすが悪魔・・・今の一言で心が折れそうになったぞ。
『諦めるな!お前はまだ、旅先で貰った大粒飴(ラムネ納豆味)があるだろう!』
それを励みに頑張れと?つくづく腹立たしいやつだなキサマ・・・!それでも私の天使か?
「その、なんだ?気を落とすなよ。」
「うんうん、多分、きっと、もしかしたら大丈夫だから。」
・・・ま、何とかなるだろう。なにより、もう二人(二匹?)も知り合いが出来たんだ。
「・・・強い人以外に興味ないんじゃないの?」
「いや、伴侶にするかどうかは別としてだな・・・―」
ん?なんだ?ヒソヒソと何を話しているんだ?あの二人は。まあいいか、それより小腹がすいてきたな・・・。
「―着せ替え人形にしたい」
殺気!
これは・・・幼稚園と小学生と中学生と高校に入ってから感じているものと同じような気配だ。一体この殺気は何なのだ!?
「「じーっ・・・」」
「い、一体どうしたのだ?二人とも。」
何だあいつら、目から光がなくなっている。たとえて言うなら・・・そう、欲望に飲まれた人の目だ。
「お前・・・可愛いよな・・・」
「何!?」
おのれ!キサマまで言うか!?このドラゴンめ!
『事実可愛いしな』
うるさい、天使!この自意識過剰な愚か者が!
「どうだタツキ?このフリルのついた服など―」
「さらばだッ!」
三十六計逃げるにしかず。ミサのほうは知らないが、バハムートのほうは非常にマズイ。つかまったら確実にアウトだ。
「まて!タツキ!」
「すっごく可愛いよ?この服ー!」
―というわけだ。会長の誇りと男の尊厳にかけて捕まる訳にはいかない・・・・・・!
「やれやれ、仕方がない・・・か。」
「ふぇ?諦めるんですか?バハムートさん」
よし!なかなかついている!・・・まぁ、これ以上不幸にはなりようがないだろうが。
「・・・グループAを使うぞ、すぐに召集だ」
「・・・・・・可愛そうに、タッちゃん・・・」
グループA?なんだその意味深なグループ名は。
『降参するなら今のうちだぞ』
諦めるのはまだ早いぞ悪魔。
『そうだ!しつこさこそ我等の真骨頂!』
「違う!粘り強いだけだ!」
「見つけたぞ」
・・・・・・。
「じゃっそういうことで・・・。」
「まあ、待て少し私が身だしなみを―」
「さらばっ!」
こうなったらもう私は悪魔崇拝者になろうか・・・。いい加減この天使を消したくなった。
・・・しかし、どうにも気になる。いったいグループAとは何なのだ?
「・・・止まれ。」
「ん?」
いつの間にか目の前には甲冑を装備し、大剣を携えた美女が立っていた。
「・・・ここは通行不可。」
「・・・何のつもりかは知らないが、そこを通してほしい。今、私は己が誇りと、男としての尊厳と、貞操の危機なのだ。」
先程のあいつらの目・・・確実に危ない。
「・・・通すつもりはない。」
「どうしてもか?」
「・・・・・・。」
この無言は肯定ととるべきだろう。
「仕方ない・・・急いでいる故、手加減はしない。」
「・・・勝負。」
おそらくあの剣ならこの『黒き帳』にダメージは与えられないだろう。少し攻撃をいなせば―
「・・・・・・!」
突如、目の前の美女は首を投げつけてきた。
・・・・・・首?
「首いいぃぃ!?!?」
バカな!これは今話していた美女の―
「・・・隙有り。」
「くっ・・・!」
いつの間にか振りかざしてきた大剣を何とかギリギリでよける。だが、またすぐに剣を切り返してくる。思った以上に動きが早いし、それ以上に、
「・・・何故首がなくても動ける!?」
いったい何者なんだ。この美女は。
「・・・フフフ、いいニオイ。」
首だけで笑った!?というより頭を摺り寄せるな!
『デュラハンだろ、アンデットの』
さすが私の中の悪魔!こういったことに詳しいな。・・・しかしなるほど、これがかの有名なデュラハン・・・。
「いや、デュラハンはかなり強かったはず・・・!」
マズイ、ただの人だと油断していた。こちらは敵の斬撃をよけるのが精一杯で、反撃どころか下手に逃げれば確実にやられる。なにより、
「・・・暖かい。」
この首が邪魔だ!捨てるなり盾にするなりも出来るが、仮にもこれは女性の顔。確かに自分の誇りや尊厳や貞操は大切だが、さすがに顔を使うのは・・・。
「・・・捨てないの?」
「・・・はい?」
何を言ってるんだ?この人(人じゃないけど)。
「・・・なんで捨てないの?」
「何でといわれても。」
さっきも言ったがさすがに顔を使うのは・・・。
「・・・教えて」
ピタッと動きを止めるデュラハン。・・・そこまで気になるなら最初に顔を投げなければいいと思うが。
「・・・なんで捨てないの?」
同じ質問をしてくるデュラハン。頭だけで、少し不気味だが、まあ、ウソを言っても仕方ないか。
「確かに私は今急いでいる。今この瞬間だってゆっくりしていられる時間はないだろう。」
しっかりと腕の中にある頭の、相手の瞳に向かって言う。
「・・・だがな、少なくとも私は、キミの頭を盾にして逃げるくらいなら、キミの頭を抱えたまま逃げるぞ。」
「・・・・・・?」
きょとんとした顔になるデュラハン。顔が美人なだけにこのギャップの破壊力は凄い・・・!
「つまり、だ。」
何と言うかこういうことをまじめに話すのは少々恥ずかしいな。
「キミの頭を盾にして、もし傷ついたら、その・・・なんだ、美人だから、いや、美人じゃなくても、女性の顔を利用するなど・・・。」
『キザなセリフだな』
『似合ってないぞ』
うるさい、天使と悪魔。
「・・・・・・?」
「だからっ!」
なんでこのデュラハンは私のいいたいことを理解しないんだ!?
「人だとか、魔物娘だとか、美人ブス若い老婆に関係なく!」
やっぱり恥ずかしい。
「・・・女性の顔に、傷はつけれないだろう。」
「・・・・・・!」
ボンッと音がしそうな勢いで真っ赤になる顔。そうなるならもっと早い段階で気づいてほしいものだ。
「ほら、頭。」
首のない胴体が真っ赤になった頭をつける。・・・先程まで殺す気で足止めをしてきた相手に頭を返すとは・・・変な光景だ。
「じゃあ、私は急ぐので。」
早くしないとバハムートに追いつかれる。
「・・・。」
去ろうとする私の手を掴むデュラハン。まだ何か用か?
「・・・私、綺麗?」
口裂け女か?まぁ、正直に答えよう。
「すごく、綺麗だ。」
「・・・これでも?」
そう尋ねて頭をはずすデュラハン。さっき見たし、口裂け女的な展開だと、この先は死亡フラグだ。
「ああ、すごく個性的で綺麗だ。」
「・・・・・・!」
頭をはめなおしてうつむくデュラハン。時間的にそろそろヤバイ。
「・・・名前は?」
「東雲龍紀。神楽坂学院で生徒会会長をしていた。」
「・・・そう。」
また、うつむいてしまう。・・・いったい何がしたいんだ?
「・・・スピア。」
「ん?」
「・・・私の名前。スピア・クラムトーレ・デュッラ・ハーン・シノノメ」
最後におかしな部分があったぞ。
「・・・スピアと呼んでください、ア・ナ・タ・・・。」
「あ、アナタ!?」
そういうとスピアは頬を赤く染めながらはにかんだ。
「・・・私のパートナーはアナタだけ・・・!」
・・・私がいつフラグを立てたというのだ・・・?
11/04/22 23:02更新 / ああああ
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