連載小説
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第六話 ヒーロー参上!!
 
 保育園がお休みの日。朝早くから起きテレビの前に座るスライムのファルちゃん。

 「あらら、ファルったらこの日だけ早起きなんだから・・・・」微笑みながら朝ご飯の支度をするスライムのキャロル。

 「だって、早く起きないと[ゼウスマン]が見れないんだもん」

 ゼウスマンとは、今魔界ではやってるヒーロー番組である。白い服と白いマントに身を包み仮面を着けている。子どものピンチに現われる正義のヒーロー。子ども達から絶大の人気を得ている。

 「あ!!時間だ!!」そう言うとテレビをつけるファルちゃん。大音量と共に始まるゼウスマン。

 今日のお話は、子どものおやつをすべて盗る怪人カシ・トールが出てきて子ども達のお菓子を奪い、一人占めをしていた。その時、ゼウスマンが現われカシ・トールを倒しお菓子を奪い返すというお話だった。

 「ゼウスマンかっこいい!!!大好きゼウスマン!!!」テンションが高いファルちゃん。その大声で起きたのはレイモンド。ファルちゃんのお父さん。

 「ファル、キャロルおはよう」リビングにいる二人に元気に挨拶をするレイモンド。

 「あなた、おはよ〜」朝ご飯の支度が終わりテーブルに食器を並べていくキャロル。

 「パパ〜〜」レイモンドの姿を見て、抱きつくファルちゃん。

 「ねぇねぇ!!今日のゼウスマンもかっこよかったよ!!」今日のゼウスマンの話をするファルちゃん。その話をにやけながら聞くレイモンド。

 「〜〜でね・・・・・パパ聞いてる?」

 「聞いてたぞ!!!今日も大活躍だったんだな。ゼウスマンは!!」

 「うん♪♪♪」笑いながら、レイモンドに抱きつくファルちゃん。

 「ファル、あなたご飯が出来たわよ」キャロルが、温かいお茶を持ちながら二人を呼んだ。テーブルにはとてもおいしいご飯が並べられていた。

 「は〜〜い♪♪♪」元気に返事をするファルちゃん。

 「そうだ!!今日は、一緒にゼウスマンのヒーローショーを見に行くんだっけ!」思い出したように言うキャロル。

 「そうだったな!!ファルこのご飯を食べたら出かける支度をするんだぞ」

 「うん。たのしみだなぁ〜」お気に入りのゼウスマン人形を片手に喜ぶファルちゃん。その様子をみて、微笑むレイモンドとキャロル。

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         〜町の広場・ゼウスマンヒーローショー〜

 町の広場には多くの椅子が並べられており、その一番前に座ってるアービング一家。

 「まだかな♪まだかな♪」そう言いながらゼウスマンが出て来るのを待つファルちゃん。

 「そんなに焦らなくても、もうすぐ始まるからな。ファル」プルプルと震えながら待つファルちゃんを落ち着かせるレイモンド。

 そしたら、いきなり黒い煙が出てきてステージの上に怪人が現われた。

 「ぐへへへへへ、俺様はアブーリ様だ!!おまえらを人質にしてゼウスマンをおびき出してやるぜ!!」そこに現われたのは、ゼウスマンの宿敵アブーリ。ステージから降りて子ども達を連れ去りステージの上で暴れるアブーリ。

 その時だった。何者かがアブーリを蹴り飛ばした。

 「誰だ!?」

 「アブーリ!!貴様の思い通りにはしないぞ!!」白い服と白いマントに身を包み仮面を着けていた。

 「ゼウスマン・・・・やっと現われたか」アブーリがゼウスマンを見て子ども達を見せた。

 その後、ゼウスマンはアブーリと死闘をし何とか勝ち。ショーに来ていた子ども達と握手をしていた。

           ドーーーーーーーーーーーン!!!!!

 そろそろショーの終盤の方に差し掛かった時だ。ステージの後ろの方で大きな爆発音と共にねずみみたいな大きな怪物が出てきた。

 固まる人々。誰かが「逃げろーーー!!!!!」と言った瞬間、蜘蛛の子のように逃げる人々。もちろんショーに出ていた怪人やゼウスマンも逃げていった。

 「あ!!ゼウスマン人形が!!」ファルちゃんがとても大切にしていた人形が人ごみに押されファルちゃんの手から落ちてしまったのだ。急いで落ちた人形を拾おうとした時だった。ファルちゃん怪物の持っている触手に捕まってしまった。

 「ファル!!」キャロルが気づいた時には、もうファルちゃんは触手に絡めとられその怪物の所にいたのだ。そして、ファルちゃんは怪物に食べられそうになっていた。

 「た・・・たす・・・・・け・・・・・て・・・・・・・助けてゼウスマーーーーン!!!」

 その声と共に、ファルちゃんに絡まっていた触手が切れた。何が起こったのかわからないファルちゃん。だが、自分を助けたのは自警団の方やパパやママじゃなかった。そこにいたのは・・・・・


             「ゼウスマン!!!」

 「やぁ、君が私を呼んだんだね」静かにファルちゃんに話し掛けるゼウスマン。ファルちゃんは、驚いて声が出なかった。だって、ショーにいたゼウスマンはいち早く逃げたのだから。

 「驚いているね・・・でも、今はあの怪物を倒さなきゃならない。君は危ないからここにいなさい」その場所には、キャロルがいた。

 「ファル!!」抱きしめられるファルちゃん。

 「ママ!!ゼウスマンが私を助けてくれたよ!!!」驚きと興奮で今会ったことを話すファルちゃん。その話を頷きながら聞くキャロル。

 「おい!!!!ねずみ野郎!貴様のような化け物はこの私が相手だ!!!」怪物に攻撃を仕掛けるゼウスマン。怪物は、切られた触手をゼウスマン目掛けて突いてきた。だが、ゼウスマンは、ひるむことなくその触手を真っ二つに切り落とした。そして、その怪物相手にかかと落しを当てるゼウスマン。その攻撃にひるんだのか後ろに倒れこむ怪物。その隙に、触手をすべて切り間合いを取るゼウスマン。

 「コレで、終わりだ!!!ジャスティス!!!ビーーーーーム!!!」手をクロスさせ怪物に光線を当てるゼウスマン。その攻撃をくらい、大きな爆発音と共に消える怪物。

 「正義は、必ず勝つ!!!」

 「ゼウスマン!!」後ろからファルちゃんが走ってやってきた。

 「もう、大丈夫だ」ゼウスマンがファルちゃんの頭に手をやって言った。

 「うん!!ゼウスマン・・・・私を助けてくれてありがとう!!」

 「ピンチになったら、また駆けつけるよ!!!さらばだ!!」マントを翻し赤い夕焼け目掛けて飛び去っていくゼウスマン。

 「また、会いたいな・・・・」ファルちゃんはゼウスマンが見えなくなるまでずっと夕日を見ていた。
10/11/28 17:27更新 / pi-sann
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■作者メッセージ
 〜二人の過去〜

 「ただいま〜キャロル」

 「お帰り、あなた」

 「ファルは?」

 「寝ちゃった・・・・ねぇあなた」

 「どうしたのキャロル・・・・」

 「昔を思い出したの・・・・・あなたが私を助けてくれた日のことを・・・・・あの時もあんな感じで助けてくれたよね」

 「そうだな・・・・だが、ファルには秘密だ・・・・いや、子ども達には秘密だぞ」

 「わかってるけど・・・・あんまり無茶しないでね・・・・・ゼウスマン」

 「わかってる・・・・今は、家族を守るのが仕事だからな」そう言って抱きあう二人。レイモンドのポケットからは白く小さなバッチが輝いていた。




 はい、お久しぶりです!!!今回は、新キャラ!!ゼウスマンの登場です。さて子どもの時や今・・・自分のあこがれるヒーローはいましたね。魔界にもいたので本当に親近感がわく今日この頃。さて、そろそろクリスマス。子供たちはナニが欲しいか決まったのかな?

 でわでわ、感想お待ちしてます。

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