連載小説
[TOP][目次]
中庸の街でお仕事♪
現在地-親魔物領と反魔物領の狭間、中庸の街ダダイル-南門

おーっし、やっと到着だ。

まずは門番に盗賊の頭を突き出して金を手に入れて街に入る。

「おっと、この街に入るにあたって、皆に言っておきたい事があるんだが…いいか?」

入ったと同時に皆を呼び止めてそう告げる。

「なんですかご主人様?」

「実はこの街は魔物も教団も受け入れる中庸姿勢を取っているから、街中には教団もいれば魔物もいる」

これを告げた瞬間、ポウのこめかみがピクリと動いた…どうしたんだ?

「え?それって揉め事にならないんですか?」

ミスティがいち早く気がついて質問してくる。

「ああ、街に被害が出る程の揉め事なら自警団に捕まるが…ある程度ならば色々見逃されているらしい。だからこの街では行動を慎む事な」

この言葉に皆頷き、とりあえず宿屋に向かう。

安く、できるだけ良い宿屋を借りた。

そしてその後は皆でギルドへ向かい依頼を探す事にした。

「はいはい皆もういっちょ伝える事がある」

依頼を選ぶ前に、皆を呼び止めてこっちを向かせる。

「どうしたセン?」

「俺たちも人数が増えてきたからな…以前バッカスでやったみたいに1人〜4人までにチーム分けをするぞ」

言い終わった瞬間、俺は皆に四肢を引っ掴まれていた。

「いだだだだっ!?」

「放しな!センはアタシと一緒に依頼を受けるのさ!」

「いいや!ご主人様は私とシャム、ミンとチームを組む!」

「兄様はワシ等サバトチームに入るのじゃ〜!」

「どれも違います〜、お兄さんは私達ゴブリンチームが頂きます〜!」

上からアノン、クー、コロナ、ポムだが他の奴等も俺の手足を引っ掴んでいてマジでヤバイ!

「あだだだだだだ!腕取れる!腕取れるってコレ!足!足も取れるぅうううううううううう!」

ミチミチと徐々に引っ張る力が強くなっていき…

ゴキッという音と共に俺の手足の関節に痛みが奔る。

「がぁああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?」

「「「「「あ…」」」」」

この後、俺が医者の世話になったのは言うまでもないだろう。



現在地-ダダイルの外れ-林

「ほいっと」

「フンッ!」

「ほっ」

「はっ」

只今、アノンと一緒に林の木を斧で切り倒している。

コーンコーンと良い音が辺りに響き、次第に木が倒れる。

「良し、これで最後だね」

アノンは俺に斧を渡すと、木を引きずりながら歩いていく…スゲ。

そして林から出ると、そこには大型の荷車が用意されており、イズマが荷車に繋がれており、ポウとポップが待機していた。

「ん、やっと出てきたか」

「待たせたな」

アノンが木を荷車に載せて、俺も斧を置く。

俺とアノンとイズマ、ポウ、ポップの5人で受けた依頼はこの林から木材を取ってくる事で、多ければ多いほどいいらしい。

そんな訳で、大型の荷車を借りて木を切り倒して持っていくのだ。

イズマが正面で荷車を引き、俺とアノンとポウの3人で荷車を押す。

これ位沢山集めれば大丈夫だろう、なんたって大きな木が10本だ。

ティピとポム、キャノ、ウトは物の運搬の仕事で、ヴェロニカ、クー、シャム、アーリアは喫茶店で接客業の手伝い。

パノ、ミン、シャナは料理の手伝いで、イオ、コロナ、ミスティは子供の家庭教師らしい。

俺たちは街に戻り、依頼者の元へ行き、木材を渡しにいく。

この街の大工らしいのだが、流石に少し多すぎたらしい…料金も多めに貰っておいた。

「折角だし皆の仕事ぶりでも見に行くか」

「そうだな…っとセン、あっちを見ろ」

イズマの指差す方を見ると、教団騎士が3人で此方を睨んでいた。

「奴さんもこっちが気になるみたいだな…下手に反応して騒ぎになっても困る…さっさと行こう」

「うん!」

「…はい」

ん?さっきからポウが教団の人間をずっと睨んでいるが…どうしたんだ?

「ポウ、どうかしたのかい?」

どうやらアノンも気づいたらしく、俺より先に質問する。

「え?あ、別になんでもないよ…」

少し慌てたように答えるが、その教団の人間を見る目は憎しみに溢れていた。

アノンとイズマは俺に質問するような目を向けるが、俺もよく分からないので肩を竦めた。

「…すいませんご主人様、行きましょう」

結局ポウのあの感情の正体は分からなく、俺たちはまず運搬屋の所に行く事にした。



現在地-ダダイル-運搬屋

「ほらほら!退いた!」

「3番の荷物何処だ?」

「そっちの物は纏めておいてくれ!」

結構ドタバタしてるんだな…お、あっちにキャノとウトがいる。

「ようキャノ、ウト…頑張ってるか?」

「あ、センさん!」

「さんー!」

2人共ゴブリンなので力があり、体より大きい木箱を持ち上げている。

「結構大変ですけど…センさんたちの為なら頑張れます!」

「キャノもー!」

「おーい、そこのゴブリン達、早く持ってきてくれ!」

2人共ニコリと笑った後、他の奴から声がかかる。

「あ、はい!じゃあ姐さんとティピちゃんもお仕事頑張ってるから私達も頑張りますね!」

「ますねー!」

「おう、邪魔して悪かったな…頑張れよ」

最後に励ましの言葉を贈って、俺たちは運搬屋を出た。



現在地-ダダイル-喫茶店コスモス

「此処でヴェロニカとクーとシャムとアーリアが働いているのか」

ヴェロニカとシャムはともかく…クーとアーリアが接客って…大丈夫かな?

と、仕事が決まったときから少し心配している。

「とにかく中へ入ってみるぞ」

イズマが先頭で中へ入っていく。

てか入り口も魔物仕様でイズマも簡単に入れたな。

中はお洒落な喫茶店…客足は少しまばらだが昼過ぎの時間帯のせいだろう。

店員は皆メイド服…ってメイド喫茶かよ!

「いらっしゃ〜い」

まず出迎えてくれたのがアラクネ種用に改造かれたメイド服姿のヴェロニカだった。

はっきり言おうか…もの凄く似合う。

「あらセン達じゃない?どうしたの?」

「センお兄ちゃんはお仕事終わったから皆の様子を見に来たんだよ!」

俺の肩の辺りをフワフワ飛んでいるポップは、ヴェロニカの顔の前に飛んでいく。

「あらそうなの…フフ、なら彼女達も見せてあげようかしら?シャム!クーとアーリアを連れて来て!センが来たわ!」

「了解なのニャ〜!」

店の奥からシャムの声が聞こえ、少しドタバタする。

「ちょ、ちょっと待て!ご主人様が来ているのにこの服装は…!」

「ま、待て!放してくれシャム!」

「駄目だニャ〜。それではお披露目ニャ!」

店の奥から出てきたのは、メイド服姿のシャムと、ミニスカートタイプのメイド服のクーとアーリアだった。

「あうあうあぅ…」

「せ、セン…あまり見ないでくれ…裾が短くて…」

クーは自分を抱くようにして少しでも姿をかくそうとして、アーリアはミニスカートの裾を押さえている。

「可愛い…」

「「っ!」」

思わず発した言葉に、2人共顔を真っ赤にする。

「「「「むぅ…」」」」

するとなにか不満そうに呻くアノンとポウとイズマとポップ。

「悪いね店員さん…アタシに合う服は無いかい?」

「私にも無いかな?」

「出来ればケンタウロス種用のメイド服を貸して欲しい…お金は要らん」

「ねぇねぇ!私の体に合うメイド服は無いの!?」

皆急に店員さんに詰め寄っていく。

店員さんは押しに負けたのか、皆を店の奥へと案内した。

「ウフフ、皆メイド服で貴方にご奉仕するつもりなのね」

ヴェロニカ…何時の間にってか仕事はいいのか?

「いや別に俺にそう言う趣味は無いんだが」

「それでも可愛いって言われたいのが乙女心なのよ♪」

ふーん、そんなものなのかねぇ。

「なんなら、私が今から下のご奉仕をしてもいいのよ?」

「遠慮しとく」

ナニさせる気だ?

店の奥からはドタバタと喧しい音が聞こえる。

「着替えるだけなのに何をドタバタしてるんだ?」

「さぁ?所でセン、座って注文でもしてみたら?センの相手は任せるわね」

アーリアとクーにウィンクすると、さっさと他の客の対応をしにいくヴェロニカ…なんだかサッパリしてるよな。

「じゃあアーリア、クー注文していいか?」

「あ、あぁ…」

「どうぞ…」

まだ恥ずかしがっている2人だが、メニューを渡してくれる。

喫茶店だけあって、コーヒーや紅茶を中心に茶菓子ばかりだ。

「じゃあコーヒーを一杯」

「か、かしこまりました」

「コーヒーをお一つですね」

そして2人は逃げるように厨房へと向かった。

ああいう反応も初々しくてなんだかいいな。

すると店の奥からメイド服を着たアノンとイズマとポウとポップが出て来た。

よくサイズが合ったな…特にポップ。

「センお兄ちゃ〜ん、どうかな?似合うかな?」

「どうだセン?」

「ちょ、ちょっと胸がキツイね…」

「ご主人様!お待たせしました!」

それぞれの反応…と言うかアノンの胸がぱっつんぱっつんだ。

「ああ、皆似合ってる…可愛いよ」

さっきヴェロニカが可愛いと言われたいのが乙女心と言っていたので言ってみると、皆顔を赤くしながらも笑っていた。

「ありがとうございますご主人様!何かご注文はございますか?」

ポウのテンションが異様に高い…。

「いや、注文は今したから大丈夫だ」

「じ、じゃあ私が肩でも揉んでやろうか?」

イズマも少し恥ずかしそうに両手を出してくる。

「あー、いや…肩こってないから大丈夫だ」

「じゃあじゃあ〜」

そうこうしている内にアーリアが戻ってきた。

「お、お待たせしました…コーヒーです」

俺のいるテーブルにコーヒーを置いてくれるが、アノン達と目が合うと、何故か火花が散っていた。

「では…ご、ご主人様…他のご注文は?」

「んにゃ、別に無いけど…他の客はいいのか?」

まばらにだが、他の客にも対応しなきゃいけないだろうが、アーリアは少し焦った風になりながらも留まっていた。

「ほら、行ったらどうだ?」

「い、いや…私はその…お、お前が行けイズマ!」

「私は今はセン専用のメイドだ…手伝いは後回しだ」

「くぅ…!」

またバチバチと火花が飛び散っているように見える。

なんだあの火花?

まあともかくコーヒーを飲む……ん、美味いな。

「ご主人様…他にご用件は?」

「うおっ!?クー、何時の間に戻ってきてたんだ?」

「たった今だニャ〜!」

「どわっ!?」

クーが何時の間にか戻ってきたと思ったら、後ろからシャムに抱きつかれた。

その衝撃でコーヒーを危うく溢しそうになるがどうにか留まる。

「どうしたんだシャム?」

「ん〜?私も好きな男とイチャイチャしたいだけだニャ〜」

「こらシャム!放れろ!」

「センお兄ちゃ〜ん」

右にも左にもメイドばかり…なにこの状況?

次第にシャムを引き剥がし、皆で火花を散らし合っていた。

……………冥土が見える。

コーヒーを飲み干すと、こっそりと抜け出して、唯一あそこに加わっていないヴェロニカに勘定を頼む。

「放っておいていいの?」

「アレに巻き込まれたら身が持たん」

「放っておいても今夜身が持たないかもしれないわよ?」

「は?」

どういう意味だ?

まあともかく金を払う。

「ありがとうございました…これは私個人からのサービスです」

チュっと俺の唇に触れるだけのキスをしてくるヴェロニカ…。

「フフ、本番はまた今度ね」

…やれやれだ。

この後、沢山の魔物のメイドがいると言う噂が広がり、親魔物派の人々はこの喫茶店に行った事で大繁盛したらしい。



現在地-ダダイル-料理屋裏

「で、逃げてきたんだ」

「そうだったのか…くっそーあたいもメイド服着て兄貴にアタックすれば…」

止めれ。

今俺は喫茶店から逃げるようにパノとミンとシャナがいる料理屋に来た。

丁度休憩らしく、厨房の裏に3人を呼んで話をしている。

「でもパノが料理できたとは驚いたな」

「あはは…あんまし細かい料理はできないけど…」

パノは他の皆より少しだけ料理が得意らしい。

「シャナはどうなんだ?」

どの位の腕前なのか聞いてみると、シャナは厨房へと行き、暫くすると戻ってきた。

その手には包丁と魚が握られている。

そしてシャナは持っている魚を空中に投げると、自分も跳び上がって包丁で瞬時に魚を斬った。

着地と同時に何処からか皿を取り出して受け止めると、見事な魚の造りになっていた。

「「おぉ〜!」」

俺のパノは賞賛の拍手を送ると、また少しだけ照れるように笑う。

「なんだ?結構嬉しいのか?」

「…うん」

可愛い奴めと頭を撫でてやる。

「…なあ兄貴、兄貴ってシャナの表情の見分けつくのか?」

「当たり前だろ?良く見りゃ簡単だ」

「…多分それ兄貴だけだと思うけどね」

なんだ?皆は分かってないのか?

「ま、コイツは結構表情豊かさ」

「…ミンは?」

シャナの賞賛ばかりしていると、少し妬いたのかミンがシャナから俺を引き剥がす。

その時シャナがムッとした顔になった。

「ハハハ、他のマミーとかに比べたら表情豊かだろ?」

「ん…シャナとどっちが豊か?」

「………判定に困るな」

どうしたんだよミン…。

「まあどっちも感情豊かさ…それよりミンは料理できるのか?」

「ん…遺跡では料理当番」

「どんな料理が得意だったんだ?」

すると少し思い出すように考え込む。

「…スカラベの姿揚げ、サソリの毒抜きサラダ、それから×××を△△△したものを…」

「分かった!分かった!スマンもういい!」

ゲテモノ系ばっかりかよ…パノは吐きそうになってるしシャナも俺に擦り寄ってくる。

「うぷ…今の話聞いて飯の臭いがすると気分悪くなってきた…俺もう行くな」

「そ、そっか…じゃあ兄貴また後で!」

「…また」

「それから他にも○○○を□□□した物も…」

もうええっちゅうねんミン。



現在地-ダダイル-塾

「此処がイオ達が家庭教師をやっている場所か…」

この塾に生徒を集めて、イオ、コロナ、ミスティの3人が講師をしている。

イオは長年培った知識で、コロナはバフォメットなので博識だろう、ミスティも魔女なので知識は豊富なはずだ。

とにかく、中に入ってみよう。

「おいイオ…」

ガチャと扉を開けると、そこは…

「良いか!この様に人間の男を喜ばせるにはロリというジャンルが1番なのじゃ!だから皆サバトに入るのじゃ!」

「そうです!ロリだからヤる時は受身でもいいし、ロリなのに責めるというギャップが良いと言う人もいるんですよ!」

「だが私のように大人の形態ならば責める時には何の不自由も無い!お前達はドラゴンになることは出来んがサキュバスになると良いだろう!」

…………………………。

「お前等なにしとんじゃー!」

思わずスライディングツッコミをしてしまった。

「おお兄様!今こ奴等をサバトに勧誘しておる…もし入ったら兄様特別のロリハーレムを作ろうぞ!」

「その時はコロナ様と私も一緒ですよ」

「いや、ロリばかりでは少し拙いのではないか?飽きたり…」

「そうじゃねーよ!お前等の家庭教師の相手7歳〜12歳くらいだろ!?なにを教えてるんだよ!」

碌でもない事教えてるんじゃないよ!それに男の子も混じってるしどうするんだよ!?

「そう、男の子も混じってるのに何教えてるんだよ!?」

「それならば問題は無いぞ兄様!アルプという魔物になれば男も女体化して安心じゃ!」

「そういう問題じゃねぇええええええええええ!?」

「えっ!?センさんは男の子もそのままヤるのが好きなんですか!?」

「そういう意味でもねぇええええええええええええええええええええ!?」

この後、俺たちで騒いでいて家庭教師の仕事はあまり捗らなかった。

因みに何人かサバト入会希望者が出たらしいが俺が止めておいた。



現在地-ダダイル-宿屋

あ〜…結局色々回って疲れたな…。

すると部屋のドアがガチャリと開いてメイド服を着たアノン、イズマ、ポウ、ポップ、アーリア、クー、シャム、ヴェロニカがいた。

「どうしたんだお前等…それにその格好…」

「昼は逃げられたからな…改めてこれからご奉仕しようと言う訳だ」

皆で俺を掴んで放さない。

「お、おい…何処に行く気だ?」

「この宿で1番大きいベッドを借りたからそこへ行くんだよ」

「おいおい、そんな所借りてまた金がかかったんじゃないか?」

「大丈夫だよセンお兄ちゃん!店主さん優しくて…訳を話したらサムズアップして料金今夜だけタダにしてくれたんだよ!」

何してくれてんだ店主。

そしてこの宿で1番大きなベッドのある部屋に着く。

「さ、此処だよ」

「…ったく、全員とヤるのは正直キツイが…ヴェロニカ、もしあれだったら毒を刺してくれていいが…やりすぎるなよ?」

「ええ、勿論」

中に入ると、薄暗く、そして部屋の中央に巨大ベッドがあった。

「それではご主人様…」

「ひ、昼の分まで私達に…」

「ご奉仕させて貰うわね」

上からクー、アーリア、ヴェロニカだ。

「ったく、激しくするぞ?」

「臨む所だよ」

枯れなきゃいいけどな、俺。
11/07/09 14:14更新 / ハーレム好きな奴
戻る 次へ

■作者メッセージ
どうもお久しぶりです。

スイマセン、色々リアルで忙しくて…。

これからは週1か週2更新になるかもしれませんが、それなりに頑張りますのでどうか見放さないで下さい。

あと、残念ながら次回も魔物娘は仲間に加わりません。

近いうちにデュラハンは仲間に加わる予定で、その次は多分ホルスタウロスとワーシープになりますかねぇ。

ではその日をお楽しみに。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33