海の遭難者はマーメイド!?
現在地-海沿いの草原-街道
カラカラと馬車がと荷車が進む音が聞こえるが、俺は馬車の奥で座っているので正面の景色しか見えん。
僅かに波の音が聞こえるから海沿いに入ったのかな。
因みに、俺は胡坐をかいて座っているが、足の上にはシャナがちょこんと座っている。
「なあイズマ、お前ずっと歩いてるけど大丈夫か?」
そう、今この馬車を馬と共に引いているのはイズマである。
「この程度は全く問題ない、むしろ修行になって丁度いい位だ」
バッカスであったあの出来事…3日前の行為で漸く俺たちに友好な表情を表し始めた。
だが、もう2人変わった奴がいる。
それは…
「兄様〜!ワシも馬車に乗るのじゃ〜!」
「センさん…」
馬車の壁越しに声が聞こえる…ミスティとコロナだが、あの酔った勢いでヤッた事で俺を兄にすると決めたらしい。
て言うか都合よくヤってた時の記憶が残ってるってのがな…。
「…やれやれ、そろそろ休憩するか。イズマ、止めてくれ!」
「ああ」
馬車が止まり、降りると、目の前には大きな大きな海岸があった。
「うお〜!オーシャンビューだな!」
鼻で息を吸うと、潮の香りがして気持ちいい。
「よし、あの砂浜で休憩するか」
そう言って砂浜へと歩いて行くと、後ろからドドドドと地響きが聞こえるので振り返ると…
「兄様〜!」
コロナがもの凄いスピードで迫ってきていた。
「だ〜いぶ!なのじゃ!」
そのまま俺に飛び掛ってきて押し倒された。
下が砂だから怪我こそしなかったが巻き上がった砂を少し食っちまった…!
「ちょ、コロナ!退いてくれ!」
「嫌なのじゃ〜、漸く見つけた兄様だから少しでもイチャイチャしたいのじゃ〜」
俺の顔にナイチチを押し付けてグリグリしてくる…はっきり言って少し痛い。
だがコロナはひょいと誰かに持ち上げられる。
「そこまでにしておけ、流石に私も我慢できん」
イズマがコロナの首根っこを掴んで持ち上げていた。
「むぅ〜!何をするのじゃ!放すのじゃー!」
持ち上げられたままジタバタするが、手足が短すぎるのであまり意味が無い。
「兄貴!久しぶりにあたいとイチャイチャしようぜ〜!」
「しようぜ〜!」
「私も〜」
「ぼ、僕もいいですか…?」
そう言って俺を起き上がらせると同時に抱きついてくるゴブリンs…。
「アタシの相手もしておくれよセン」
「セン!結局街に着いても構ってもらえなかったのだから私を構え!」
そこへアノンとイオも加わり俺は魔物塗れ。
「ぬぅー!お主等兄様にベタつきすぎじゃ!」
コロナはイズマから逃れると再び俺の下に来て正面に抱きつく。
「セン、私の事も構ってよ」
「あら、楽しそうだし私も入ろうかしら?」
「ニャー!私も混じるのニャー!」
「おいお前等…ムグッ!?」
更にティピやヴェロニカ、シャム達も加わろうとしてきたので流石に止めるように言おうと思ったがその前に口を塞がれる。
それもキスで…犯人はコロナだった。
更に、コイツ舌入れてきやがった。
「じゅる…ちゅぷ……じゅ…ぴちゅ…」
僅かに水音だが、その音で皆は少し固まっている。
「ぷはっ!フフフ、どうじゃったか?ワシの味は…?」
「まあ、ぶっちゃけ気持ち良かった」
なんだかラヴ空間が出来上がっている最中に、コロナが一瞬にして姿を消した。
「うおっ!?何だ!?」
何時の間にか全員俺から離れたと思ったら、一箇所に集まってコロナを縄で縛ってる!?
しかも布まで噛ませて…。
「うぐぐー!?」
「さぁてセン、コロナだけとは少しズルいんじゃないか?」
アーリアが妙に迫力がある…!
「ご主人様…私にもご主人様のキスを下さい…」
そんな捨てられた子犬みたいな表情するなポウ、可愛いから。
「じゅるり…ではまずは私から頂くニャ」
その後、全員とディープなキスを交わして舌が疲れたのは言うまでも無い。
「んんんー!」
コロナはその間、ずっとモガモガ言ってもがいていた。
現在地-ハルフ海岸-砂浜
「結局此処で野宿か」
あのまま全員とヤる事はなかったが、イチャイチャし過ぎて時間を食い、気づけば夕方になっていたのでこの海岸の野宿する事にした。
只今シャナが銛を持って海に魚を取りに行っていて、コロナとミスティが荷物の中の薪に魔法で火をつけている。
ザバッと海から上がってきたシャナは、右手に銛、左手に網を持っている。
網はかなり膨れ上がっており、大物もいて大漁なようだ。
「お疲れさんシャナ」
「…ん」
少しだけ嬉しそうな表情になると、俺に抱き付いてくる。
服が濡れるが、大して気にならない。
じゃ、魚を料理するか…バッカスで買った塩があるから塩焼きだな。
それよりも久しぶりに刺身でも食うか?
あぁ〜、白米が恋しいな。
「じゃあ、今日の成果を見せてくれ」
シャナはコクリと頷くと、網を広げて取って来た魚を砂浜にぶち撒けた。
見た事の無い魚ばかりだが、その中でも大物は一際変わっていた。
下半身は青い鱗を持つ魚で、問題ないが、上半身がまぎれもなく人間の女…まあ美女だった。
「シャナ、これ何処で取って来た?」
「……向こうの方で…打ち上げられてた」
えー?
なんでだよ?こんな姿ってことは人魚なんだよな?
「まあ、こいつは食えないから向こうで寝かせておくか」
俺の言葉にコクリと頷くと、シャナは俺を手を引いて皆の下へ戻ろうとする。
この人魚は、俺が肩に担いでいる。
「おい皆、魚の調理するぞ」
「はい、ご主人様……」
クーが調理用の包丁を持ってこっちに来るが、俺が担いでいる人魚をみると動きが止まる。
「ご主人様…それは…?」
「いや、シャナが打ち上げられたのを拾ってきてな…コイツはなんて魔物だ?」
砂浜に下ろし、寝かせると同時に俺の着物をかけておく。
「それはマーメイドです…しかし海に住む彼女が何故打ち上げられて?」
「さぁな、起きたら聞けばいいだろう。さ、早い所料理しようぜ」
まず魚の内臓を取り除き、串に刺して塩をかけて焼く。
そして生のまま捌いていき刺身にする。
「ニャニャ!手伝うニャ!」
そのままシャムも加わり無事に調理は終了したが…
「「「「「「「頂きます」」」」」」」
皆で食い始めるがある事に気がついた。
「…犬毛と猫毛が…」
そう、毛が入っていた…それもそうだよな。
なんたって毛でモフモフした手で料理するんだからそりゃあ毛が入るよな。
「ペッペッペ!なんですかコレ…毛が入ってますよ?」
「今日の料理係は確か…センとクーとシャムだったわよね?」
「あ、成る程…それで毛が…」
上からミスティ、ヴェロニカ、ティピの感想だ。
まあ、毛を取り除けば普通に美味い。
「なぁセン、これって生の魚を切っただけだよね?腹壊さないかい?」
アノンが刺身を見ながら呟く。
そう言えば元の世界でも魚を生で食うのは珍しいんだっけか?
「それは刺身っていうジパングの料理だよ」
答えたのは俺ではなくティピで、誇らしげな顔をしていた。
「へぇ、諺とかこういう料理とか…ティピはジパングに詳しいんだね」
「えへへ…昔ジパングの旅人から教えてもらったんだ」
「どれくらい前なんだ?」
ジパングの旅人というのに引かれて俺も質問してみる。
「ん〜、10年位前でだったけど、その人は今頃きっとお爺さんだよ」
「どんなご老体だったんだ?」
アーリアも興味を引かれたのか、質問…て言うか爺さんかよ。
「えっとね…ジパング出身だから黒髪黒目で…今思えばセンに似てたかもしれないなぁ」
「俺に?」
「あら、じゃあ若い頃は素敵だったのね」
「それでも兄様の方が魅力的なのじゃ!」
そのままワイワイ騒ぎながら、俺たちの話は盛り上がっていった。
「う、ううん……」
すると僅かだが呻き声のような声が聞こえた。
どうやらあのマーメイドが起きたようだ。
「起きたか?」
声をかけると、マーメイドは驚いたのか、素早く上半身を起こして俺たちを見た。
「あ、貴方達は…?」
「傭兵団のセンだよ…アンタは海岸に打ち上げられてたから仲間のサハギンが持ってきたんだ」
未だに此方を警戒しているが…なんだか過剰にビクビクしてるな…。
「おいコロナ、アイツ妙に警戒してるけどなんでだ?」
一応バフォメットなので知識があると思い、コロナに聞くと、コロナは無い胸を張って答えた。
「うむ、マーメイドの血を飲むと不老長寿になるのじゃが…それを狙う人間は多くての…兄様が人間じゃから警戒しておるのじゃろう」
あー、そういや人魚の血を飲むと不老不死になるとか聞くよな。
「不老長寿か…興味はあるけど無理に欲しいって程でもないかな」
「まあ、その気になればワシが薬を作ることも出来るのじゃがの」
「そう言う訳で、海に帰るか?それか俺等と一緒に飯でも食うか?」
俺の食いかけの塩焼きを差し出すと、最初はオドオドしていたが、恐る恐る受け取って食べた。
「美味しい…」
「そりゃ良かった」
シシシと笑うとマーメイドは少しだけ驚いた表情をした。
「……ありがとう」
急にボロボロと泣き出したマーメイドに、俺は流石にギョッとする。
「泣かした…」
「泣かしたわね」
「センさん…」
「兄貴が泣かした…」
「泣かしたな」
「うぇ!?なんでそうなるんだよ!?」
おいおい、これじゃ俺が悪者じゃねえか!?
「お、おい…泣き止めよ…てか何で泣いてるんだよ?」
「もう駄目だと思ってたのに…こんなに優しくされて…嬉しくて…!」
どんどん泣き出すマーメイドに、取り合えず泣いている訳を聞いてみるか。
「訳を聞いてもいいか?」
俺がそう聞くと、暫く泣き続け、ある程度落ち着くと顔を上げて話し始める。
「実は…私はこの近海に住んでいて、時折魔物と恋人の男性が尋ねてきたので、血を分けていたんです」
ぐすっと鼻を啜りながら続ける。
「でも、私が此処に住んでいる事を知った教団が…大勢で追いかけてきて、沖に逃げたのですけど捕まってしまったんです」
また教団…もしかしたら以前聞いた魔物狩りってやつかもしれないな。
「でも、突然に嵐がやってきて、間一髪で逃げる事が出来たんです。でも流石に流されてしまって…」
「それであそこに流れ着いた訳か」
「はい…」
魔物狩りか…一体なんの為にやっているんだろうな。
流石にこうも周りに被害があると俺も流石に怒りそうだ。
「…そうか」
此処でふと、考えが浮かんだ。
「なあ、良かったらでいいんだが…」
現在地-海沿いの草原-街道
「ま、そう簡単にはいかないよな」
「でも折角兄貴が誘ったのに…」
俺たちはまた荷車と馬車で道を進む。
この旅路に、マーメイドの彼女…マリーナは加わらなかった。
旅に加わらないかと聞いてみたが、自由に海を旅すると言って、あの後海に消えた。
もし加わるつもりなら、シャナの壷に一緒に入ってもらうつもりだったけれどな。
「しかしご主人様…」
クーやパノは納得できないらしい。
まあ確かに此処までトントンと仲間が増えたからな。
「俺に付いてこない奴もいるだろうさ…それよりもさっさと東へ向かおう、ジパングも少しずつ近づいてきたしな」
ジパングへの旅路も大分進んだ。
ああ、白米が恋しい…。
「さ、行くか」
こうして俺たちの旅は続く。
現在地-何処かの海-詳細不明
sideマリーナ
先日の彼の…センさんの誘いを断った私は、今自由に海を泳いでいます。
確かに、彼にも着いて行きたかったけれど…私は私の王子様を探します。
私とセンさんにご縁があるなら、きっとまた素敵な出会いがあるはずでしょう。
「だからそれまで…」
私は運命を信じます。
そしてセンさんと…。
私の自由な旅は始まったばかりです。
カラカラと馬車がと荷車が進む音が聞こえるが、俺は馬車の奥で座っているので正面の景色しか見えん。
僅かに波の音が聞こえるから海沿いに入ったのかな。
因みに、俺は胡坐をかいて座っているが、足の上にはシャナがちょこんと座っている。
「なあイズマ、お前ずっと歩いてるけど大丈夫か?」
そう、今この馬車を馬と共に引いているのはイズマである。
「この程度は全く問題ない、むしろ修行になって丁度いい位だ」
バッカスであったあの出来事…3日前の行為で漸く俺たちに友好な表情を表し始めた。
だが、もう2人変わった奴がいる。
それは…
「兄様〜!ワシも馬車に乗るのじゃ〜!」
「センさん…」
馬車の壁越しに声が聞こえる…ミスティとコロナだが、あの酔った勢いでヤッた事で俺を兄にすると決めたらしい。
て言うか都合よくヤってた時の記憶が残ってるってのがな…。
「…やれやれ、そろそろ休憩するか。イズマ、止めてくれ!」
「ああ」
馬車が止まり、降りると、目の前には大きな大きな海岸があった。
「うお〜!オーシャンビューだな!」
鼻で息を吸うと、潮の香りがして気持ちいい。
「よし、あの砂浜で休憩するか」
そう言って砂浜へと歩いて行くと、後ろからドドドドと地響きが聞こえるので振り返ると…
「兄様〜!」
コロナがもの凄いスピードで迫ってきていた。
「だ〜いぶ!なのじゃ!」
そのまま俺に飛び掛ってきて押し倒された。
下が砂だから怪我こそしなかったが巻き上がった砂を少し食っちまった…!
「ちょ、コロナ!退いてくれ!」
「嫌なのじゃ〜、漸く見つけた兄様だから少しでもイチャイチャしたいのじゃ〜」
俺の顔にナイチチを押し付けてグリグリしてくる…はっきり言って少し痛い。
だがコロナはひょいと誰かに持ち上げられる。
「そこまでにしておけ、流石に私も我慢できん」
イズマがコロナの首根っこを掴んで持ち上げていた。
「むぅ〜!何をするのじゃ!放すのじゃー!」
持ち上げられたままジタバタするが、手足が短すぎるのであまり意味が無い。
「兄貴!久しぶりにあたいとイチャイチャしようぜ〜!」
「しようぜ〜!」
「私も〜」
「ぼ、僕もいいですか…?」
そう言って俺を起き上がらせると同時に抱きついてくるゴブリンs…。
「アタシの相手もしておくれよセン」
「セン!結局街に着いても構ってもらえなかったのだから私を構え!」
そこへアノンとイオも加わり俺は魔物塗れ。
「ぬぅー!お主等兄様にベタつきすぎじゃ!」
コロナはイズマから逃れると再び俺の下に来て正面に抱きつく。
「セン、私の事も構ってよ」
「あら、楽しそうだし私も入ろうかしら?」
「ニャー!私も混じるのニャー!」
「おいお前等…ムグッ!?」
更にティピやヴェロニカ、シャム達も加わろうとしてきたので流石に止めるように言おうと思ったがその前に口を塞がれる。
それもキスで…犯人はコロナだった。
更に、コイツ舌入れてきやがった。
「じゅる…ちゅぷ……じゅ…ぴちゅ…」
僅かに水音だが、その音で皆は少し固まっている。
「ぷはっ!フフフ、どうじゃったか?ワシの味は…?」
「まあ、ぶっちゃけ気持ち良かった」
なんだかラヴ空間が出来上がっている最中に、コロナが一瞬にして姿を消した。
「うおっ!?何だ!?」
何時の間にか全員俺から離れたと思ったら、一箇所に集まってコロナを縄で縛ってる!?
しかも布まで噛ませて…。
「うぐぐー!?」
「さぁてセン、コロナだけとは少しズルいんじゃないか?」
アーリアが妙に迫力がある…!
「ご主人様…私にもご主人様のキスを下さい…」
そんな捨てられた子犬みたいな表情するなポウ、可愛いから。
「じゅるり…ではまずは私から頂くニャ」
その後、全員とディープなキスを交わして舌が疲れたのは言うまでも無い。
「んんんー!」
コロナはその間、ずっとモガモガ言ってもがいていた。
現在地-ハルフ海岸-砂浜
「結局此処で野宿か」
あのまま全員とヤる事はなかったが、イチャイチャし過ぎて時間を食い、気づけば夕方になっていたのでこの海岸の野宿する事にした。
只今シャナが銛を持って海に魚を取りに行っていて、コロナとミスティが荷物の中の薪に魔法で火をつけている。
ザバッと海から上がってきたシャナは、右手に銛、左手に網を持っている。
網はかなり膨れ上がっており、大物もいて大漁なようだ。
「お疲れさんシャナ」
「…ん」
少しだけ嬉しそうな表情になると、俺に抱き付いてくる。
服が濡れるが、大して気にならない。
じゃ、魚を料理するか…バッカスで買った塩があるから塩焼きだな。
それよりも久しぶりに刺身でも食うか?
あぁ〜、白米が恋しいな。
「じゃあ、今日の成果を見せてくれ」
シャナはコクリと頷くと、網を広げて取って来た魚を砂浜にぶち撒けた。
見た事の無い魚ばかりだが、その中でも大物は一際変わっていた。
下半身は青い鱗を持つ魚で、問題ないが、上半身がまぎれもなく人間の女…まあ美女だった。
「シャナ、これ何処で取って来た?」
「……向こうの方で…打ち上げられてた」
えー?
なんでだよ?こんな姿ってことは人魚なんだよな?
「まあ、こいつは食えないから向こうで寝かせておくか」
俺の言葉にコクリと頷くと、シャナは俺を手を引いて皆の下へ戻ろうとする。
この人魚は、俺が肩に担いでいる。
「おい皆、魚の調理するぞ」
「はい、ご主人様……」
クーが調理用の包丁を持ってこっちに来るが、俺が担いでいる人魚をみると動きが止まる。
「ご主人様…それは…?」
「いや、シャナが打ち上げられたのを拾ってきてな…コイツはなんて魔物だ?」
砂浜に下ろし、寝かせると同時に俺の着物をかけておく。
「それはマーメイドです…しかし海に住む彼女が何故打ち上げられて?」
「さぁな、起きたら聞けばいいだろう。さ、早い所料理しようぜ」
まず魚の内臓を取り除き、串に刺して塩をかけて焼く。
そして生のまま捌いていき刺身にする。
「ニャニャ!手伝うニャ!」
そのままシャムも加わり無事に調理は終了したが…
「「「「「「「頂きます」」」」」」」
皆で食い始めるがある事に気がついた。
「…犬毛と猫毛が…」
そう、毛が入っていた…それもそうだよな。
なんたって毛でモフモフした手で料理するんだからそりゃあ毛が入るよな。
「ペッペッペ!なんですかコレ…毛が入ってますよ?」
「今日の料理係は確か…センとクーとシャムだったわよね?」
「あ、成る程…それで毛が…」
上からミスティ、ヴェロニカ、ティピの感想だ。
まあ、毛を取り除けば普通に美味い。
「なぁセン、これって生の魚を切っただけだよね?腹壊さないかい?」
アノンが刺身を見ながら呟く。
そう言えば元の世界でも魚を生で食うのは珍しいんだっけか?
「それは刺身っていうジパングの料理だよ」
答えたのは俺ではなくティピで、誇らしげな顔をしていた。
「へぇ、諺とかこういう料理とか…ティピはジパングに詳しいんだね」
「えへへ…昔ジパングの旅人から教えてもらったんだ」
「どれくらい前なんだ?」
ジパングの旅人というのに引かれて俺も質問してみる。
「ん〜、10年位前でだったけど、その人は今頃きっとお爺さんだよ」
「どんなご老体だったんだ?」
アーリアも興味を引かれたのか、質問…て言うか爺さんかよ。
「えっとね…ジパング出身だから黒髪黒目で…今思えばセンに似てたかもしれないなぁ」
「俺に?」
「あら、じゃあ若い頃は素敵だったのね」
「それでも兄様の方が魅力的なのじゃ!」
そのままワイワイ騒ぎながら、俺たちの話は盛り上がっていった。
「う、ううん……」
すると僅かだが呻き声のような声が聞こえた。
どうやらあのマーメイドが起きたようだ。
「起きたか?」
声をかけると、マーメイドは驚いたのか、素早く上半身を起こして俺たちを見た。
「あ、貴方達は…?」
「傭兵団のセンだよ…アンタは海岸に打ち上げられてたから仲間のサハギンが持ってきたんだ」
未だに此方を警戒しているが…なんだか過剰にビクビクしてるな…。
「おいコロナ、アイツ妙に警戒してるけどなんでだ?」
一応バフォメットなので知識があると思い、コロナに聞くと、コロナは無い胸を張って答えた。
「うむ、マーメイドの血を飲むと不老長寿になるのじゃが…それを狙う人間は多くての…兄様が人間じゃから警戒しておるのじゃろう」
あー、そういや人魚の血を飲むと不老不死になるとか聞くよな。
「不老長寿か…興味はあるけど無理に欲しいって程でもないかな」
「まあ、その気になればワシが薬を作ることも出来るのじゃがの」
「そう言う訳で、海に帰るか?それか俺等と一緒に飯でも食うか?」
俺の食いかけの塩焼きを差し出すと、最初はオドオドしていたが、恐る恐る受け取って食べた。
「美味しい…」
「そりゃ良かった」
シシシと笑うとマーメイドは少しだけ驚いた表情をした。
「……ありがとう」
急にボロボロと泣き出したマーメイドに、俺は流石にギョッとする。
「泣かした…」
「泣かしたわね」
「センさん…」
「兄貴が泣かした…」
「泣かしたな」
「うぇ!?なんでそうなるんだよ!?」
おいおい、これじゃ俺が悪者じゃねえか!?
「お、おい…泣き止めよ…てか何で泣いてるんだよ?」
「もう駄目だと思ってたのに…こんなに優しくされて…嬉しくて…!」
どんどん泣き出すマーメイドに、取り合えず泣いている訳を聞いてみるか。
「訳を聞いてもいいか?」
俺がそう聞くと、暫く泣き続け、ある程度落ち着くと顔を上げて話し始める。
「実は…私はこの近海に住んでいて、時折魔物と恋人の男性が尋ねてきたので、血を分けていたんです」
ぐすっと鼻を啜りながら続ける。
「でも、私が此処に住んでいる事を知った教団が…大勢で追いかけてきて、沖に逃げたのですけど捕まってしまったんです」
また教団…もしかしたら以前聞いた魔物狩りってやつかもしれないな。
「でも、突然に嵐がやってきて、間一髪で逃げる事が出来たんです。でも流石に流されてしまって…」
「それであそこに流れ着いた訳か」
「はい…」
魔物狩りか…一体なんの為にやっているんだろうな。
流石にこうも周りに被害があると俺も流石に怒りそうだ。
「…そうか」
此処でふと、考えが浮かんだ。
「なあ、良かったらでいいんだが…」
現在地-海沿いの草原-街道
「ま、そう簡単にはいかないよな」
「でも折角兄貴が誘ったのに…」
俺たちはまた荷車と馬車で道を進む。
この旅路に、マーメイドの彼女…マリーナは加わらなかった。
旅に加わらないかと聞いてみたが、自由に海を旅すると言って、あの後海に消えた。
もし加わるつもりなら、シャナの壷に一緒に入ってもらうつもりだったけれどな。
「しかしご主人様…」
クーやパノは納得できないらしい。
まあ確かに此処までトントンと仲間が増えたからな。
「俺に付いてこない奴もいるだろうさ…それよりもさっさと東へ向かおう、ジパングも少しずつ近づいてきたしな」
ジパングへの旅路も大分進んだ。
ああ、白米が恋しい…。
「さ、行くか」
こうして俺たちの旅は続く。
現在地-何処かの海-詳細不明
sideマリーナ
先日の彼の…センさんの誘いを断った私は、今自由に海を泳いでいます。
確かに、彼にも着いて行きたかったけれど…私は私の王子様を探します。
私とセンさんにご縁があるなら、きっとまた素敵な出会いがあるはずでしょう。
「だからそれまで…」
私は運命を信じます。
そしてセンさんと…。
私の自由な旅は始まったばかりです。
11/06/29 18:03更新 / ハーレム好きな奴
戻る
次へ