ドラゴンとワーウルフで珍道中
現在地-首都ガーランド-冒険者ギルド
私の名はイオ、誇り高きドラゴンだ。
最近私はこの冒険者ギルドで冒険者の真似事をしながら生活している。
何故ドラゴンたる私がこんな生活をしているのかと言えば、それには私の生涯に関わる重大な理由がある。
我が伴侶に相応しい男を探しているのだ。
名は知らない。
特徴は、黒髪黒目なので恐らくジパング出身。
そして足に刃を付けて戦う珍しい男だった。
置手紙にはこの首都、ガーランドに向かうと書いてあったので空を飛んで追いかけたのだが、彼に追いつけなかった。
そう思ったが、この首都にいれば何れ見つかると思ったのだが、何時まで経っても見つからない…。
今日も近くにある洞窟でトレジャーハントとやらをしてギルドの酒場に帰ってきたばかりだ。
「ミスティ、このガラクタを換金してくれ」
洞窟で見つけたよく分からん壷や銅貨を受付の魔女の前に置く。
「今日も大量ですね…」
「フン、こんなガラクタ、彼に比べればつ、つ…月とキュッポンだ」
「月とすっぽんですね。これが今回の報奨金になります」
カウンターに出される小さな袋。
「…これだけか?」
「今回は壊れてる物が多かったので」
「もう少しくれないか?このままでは宿賃が危ないんだ」
「駄目です」
むぅ、ミスティはいらん所で真面目なんだ…そんな事だからパートナーが出来ないんだ。
「余計なお世話ですっ!」
「む!?これが読心術という奴か!?」
「そんなことどうでもいいですよ!」
突っ込みを入れたせいでカウンターと高さを合わせる為の椅子から落ちそうになるが、なんとか持ち直す。
「おとと…そんな事より、イオさんもいいんですか?その探してる人…」
「ん?何故だ?」
「何故って…ドラゴンの貴女に勝つ体術と武器、手紙で貴女を落とす口説き文句、貴女の話からすると顔も決して悪くない…そんな人を世の中の魔物が放っておく筈がないと思うんですけど…」
そこまで言われて私は顔が青ざめていた。
彼が別の女に取られる…?
モワワワ〜ン
「わりいな、俺コイツと幸せになるわ」
「フフフ、ごめんなさい負け犬さん…あら、負けトカゲさんかしら?どちらにしても負けに変わりないわよね」
モワワワ〜ン
「だ、駄目だ駄目だ駄目だ!そんな事は認めんっ!こうなれば一刻も早く彼を見つけなければ!」
ミスティとの話もそこそこに、私は情報集めの為に人のいる場所に走った。
「…ちょっと煽り過ぎでしたかね?でもうちのコロナ様も兄様が欲しいのじゃ〜!とか言ってたし…私も探さないと拙いですかね」
「ミスティさーん!」
「あ、君は後輩の…」
「今はいいからこっちへ!大変な事が起こったんですよ!」
「ふぇ?」
現在地-ガーランド-酒場
「悪いな、知らないよ」
「そんな奴聞いた事ねえよ」
「アンタが身体で払ってくれるなら思い出せそうだけどなぁ?」
最後の奴は殴って裏路地に捨ててきた。
「くっ…やはり駄目か…!」
拳をギュッと握り締めて机に軽く叩きつける。
木製の机に皹が入ったがそんな事は些細な事に過ぎない。
今まで多くの人間や魔物に情報を聞いたが彼の特徴と一致する人物を見つけた事は無い。
このままではミスティの言っていた事が現実に…
「わぁああああああ!駄目だ駄目だ!絶対に彼と結ばれてみせると決めたんだ!」
頭をガンガン机にぶつけると机が壊れかけたが、少し落ち着いた。
そしてふと少し離れた場所に座っている2人組みの冒険者の話し声が聞こえた。
「すげーなあのドラゴンさん…好きな奴でも探してんのか?」
「さぁな。好きな奴って言えばスーダンの闘技大会であった事件知ってるか?」
「なにそれ?」
「南の町のスーダンで足に刃を付けた男が裏路地を仕切ってる悪党を倒してブチ込んだんだ…それでそいつの株は急上昇で、そいつを探してる魔物や女性が結構多いらしいぜ」
足に刃を付けた男というので私は席を立ってそいつ等に詰め寄った。
「い、今の話は本当か!?」
「うぇ!?ま、まあ噂程度だけど…ごく最近の話らしいぞ?」
「何処の町と言った!?」
両肩を掴んで更に詰め寄ると、男は若干怯えたようになる。
「こ、ここから南にいったスーダンだよ…南部にはアルトリア砂漠があって、砂漠に消えたとかいう噂もあるけど…」
「礼を言う!」
南のスーダンの砂漠に入ったのか!
ならば砂漠を越えた街で待ち伏せすれば出会えるはずだ!
まず宿に行って荷物を纏めなければ!
「あ、イオさん何処に行くんですか?」
「彼と似た人物の情報を掴んだ!南のスーダンへ行く!」
「スーダン!?なら私も一緒に行っていいですか!?
え?
「何故だ?」
「うちのサバトのバフォメット様のコロナ様が置手紙をしていなくなっていたんです!置手紙にはこう…」
ワシは自分の兄様を探しに行く!
見つけたら連絡するので探さないでくれなのじゃ。
まずは南のスーダンにでも行くかのう。
ではサバトは魔女のシルバに任せたぞ!
「と書かれていまして…私が探してくるように言われたんです」
「む、了解した。此処では世話になっていたし私の翼で連れて行こう」
「ありがとうございます!」
こうして、私と魔女のミスティの慌しい旅は始まった。
現在地-スーダン-山方面入り口
sideワーウルフ
「スンスン…臭いは弱いけれど間違いなくこの街を通ってる…」
私の名前はポウ、ワーウルフだ。
少し前に、教団に襲われて仲間がいなくなり、傷を受けた私も死んだはずだった。
でも私は生きていた。
傷を癒してすぐに医者の元を出た。
医者が言うには、私を運び込んできた男はジパング風の男で、足に刃を付けていたらしい。
そして私は彼を探している。
命の恩人で、私は顔も知らない彼に恋をしている。
「それでも私は…」
右手に握るのは私に包帯代わりに巻かれていた黒い布。
これが彼への唯一の手がかり。
この臭いを覚えて臭いを辿ってきた。
そして彼はこの街を通っている。
この辺りは乾燥地帯らしいので雨は降りにくいので臭いが消える事は無いだろうから大丈夫!
とりあえずこの街で彼の情報を集めよう。
酒場に辿り着き、マスターみたいな渋いおじさんの下へ歩いていく。
「マスター、ちょっと聞きたい事があるんだけど…」
「なんだね?」
「ジパング風の黒髪黒目の男性で、足に刃を付けた男を知らないか?」
そう言うと、マスターのおじさんはフッと鼻で笑った。
「なんだよ?」
「その男をこの街で聞くって事はアンタ最近此処に来たな?」
「そうだけど…」
マスターのおじさんは再び笑って口を開いた。
「その男の名はセン・アシノ。闘技大会で準優勝、路地裏を仕切っていた悪党の男を牢屋にブチ込んで最近この街はそいつの話で持ちっきりだ」
やっぱり凄い人だったんだ…。
名前はセン…セン・アシノ。
覚えた!
「序に言うと、その悪党は護送車で北から回り込んで東にある大監獄に放り込まれるらしい…」
「へぇ、そいつ強いの?」
「裏路地を仕切っていたからな…実力は高かったみたいだ」
でもやっぱりセン……いや、ご主人様には叶わなかったんだね。
「監獄と言えば最近噂されてる教団が秘密裏の建てた魔物専用の監獄には罪の無い魔物が捕まっているらしいが…真偽は不明。それから…」
「あ、うん、もういいよ…所でそのセンって人は何処にいるの?」
「砂漠に向かったらしい、仲間の魔物を連れてな」
仲間の魔物…?
私からご主人様を盗ろうとする奴は例え誰であろうと許さない……!
「どうした?急に殺気立って?」
「い、いや、何でもないよ…情報ありがとう」
そう言ってここまで来るときにごろつきから奪った金を出す。
情報料金。
払わなくても別段問題はないが、払うのが礼儀だ。
酒場を出ると、残っている金を確認して市場に向かう。
「まずは水…それからまた日持ちする食料に、完全な状態で言った方がいいから今日は宿で休んでいこうかな…」
ご主人様は近くまで来ているけれど、砂漠で行き倒れになったら冗談では済まない…。
ご主人様に救われたこの命は、ご主人様の為に役立てなければならない。
「すぐ行きます…待っていて下さい、ご主人様」
こうして私は決意を新たに砂漠入りの準備を進めた。
私の名はイオ、誇り高きドラゴンだ。
最近私はこの冒険者ギルドで冒険者の真似事をしながら生活している。
何故ドラゴンたる私がこんな生活をしているのかと言えば、それには私の生涯に関わる重大な理由がある。
我が伴侶に相応しい男を探しているのだ。
名は知らない。
特徴は、黒髪黒目なので恐らくジパング出身。
そして足に刃を付けて戦う珍しい男だった。
置手紙にはこの首都、ガーランドに向かうと書いてあったので空を飛んで追いかけたのだが、彼に追いつけなかった。
そう思ったが、この首都にいれば何れ見つかると思ったのだが、何時まで経っても見つからない…。
今日も近くにある洞窟でトレジャーハントとやらをしてギルドの酒場に帰ってきたばかりだ。
「ミスティ、このガラクタを換金してくれ」
洞窟で見つけたよく分からん壷や銅貨を受付の魔女の前に置く。
「今日も大量ですね…」
「フン、こんなガラクタ、彼に比べればつ、つ…月とキュッポンだ」
「月とすっぽんですね。これが今回の報奨金になります」
カウンターに出される小さな袋。
「…これだけか?」
「今回は壊れてる物が多かったので」
「もう少しくれないか?このままでは宿賃が危ないんだ」
「駄目です」
むぅ、ミスティはいらん所で真面目なんだ…そんな事だからパートナーが出来ないんだ。
「余計なお世話ですっ!」
「む!?これが読心術という奴か!?」
「そんなことどうでもいいですよ!」
突っ込みを入れたせいでカウンターと高さを合わせる為の椅子から落ちそうになるが、なんとか持ち直す。
「おとと…そんな事より、イオさんもいいんですか?その探してる人…」
「ん?何故だ?」
「何故って…ドラゴンの貴女に勝つ体術と武器、手紙で貴女を落とす口説き文句、貴女の話からすると顔も決して悪くない…そんな人を世の中の魔物が放っておく筈がないと思うんですけど…」
そこまで言われて私は顔が青ざめていた。
彼が別の女に取られる…?
モワワワ〜ン
「わりいな、俺コイツと幸せになるわ」
「フフフ、ごめんなさい負け犬さん…あら、負けトカゲさんかしら?どちらにしても負けに変わりないわよね」
モワワワ〜ン
「だ、駄目だ駄目だ駄目だ!そんな事は認めんっ!こうなれば一刻も早く彼を見つけなければ!」
ミスティとの話もそこそこに、私は情報集めの為に人のいる場所に走った。
「…ちょっと煽り過ぎでしたかね?でもうちのコロナ様も兄様が欲しいのじゃ〜!とか言ってたし…私も探さないと拙いですかね」
「ミスティさーん!」
「あ、君は後輩の…」
「今はいいからこっちへ!大変な事が起こったんですよ!」
「ふぇ?」
現在地-ガーランド-酒場
「悪いな、知らないよ」
「そんな奴聞いた事ねえよ」
「アンタが身体で払ってくれるなら思い出せそうだけどなぁ?」
最後の奴は殴って裏路地に捨ててきた。
「くっ…やはり駄目か…!」
拳をギュッと握り締めて机に軽く叩きつける。
木製の机に皹が入ったがそんな事は些細な事に過ぎない。
今まで多くの人間や魔物に情報を聞いたが彼の特徴と一致する人物を見つけた事は無い。
このままではミスティの言っていた事が現実に…
「わぁああああああ!駄目だ駄目だ!絶対に彼と結ばれてみせると決めたんだ!」
頭をガンガン机にぶつけると机が壊れかけたが、少し落ち着いた。
そしてふと少し離れた場所に座っている2人組みの冒険者の話し声が聞こえた。
「すげーなあのドラゴンさん…好きな奴でも探してんのか?」
「さぁな。好きな奴って言えばスーダンの闘技大会であった事件知ってるか?」
「なにそれ?」
「南の町のスーダンで足に刃を付けた男が裏路地を仕切ってる悪党を倒してブチ込んだんだ…それでそいつの株は急上昇で、そいつを探してる魔物や女性が結構多いらしいぜ」
足に刃を付けた男というので私は席を立ってそいつ等に詰め寄った。
「い、今の話は本当か!?」
「うぇ!?ま、まあ噂程度だけど…ごく最近の話らしいぞ?」
「何処の町と言った!?」
両肩を掴んで更に詰め寄ると、男は若干怯えたようになる。
「こ、ここから南にいったスーダンだよ…南部にはアルトリア砂漠があって、砂漠に消えたとかいう噂もあるけど…」
「礼を言う!」
南のスーダンの砂漠に入ったのか!
ならば砂漠を越えた街で待ち伏せすれば出会えるはずだ!
まず宿に行って荷物を纏めなければ!
「あ、イオさん何処に行くんですか?」
「彼と似た人物の情報を掴んだ!南のスーダンへ行く!」
「スーダン!?なら私も一緒に行っていいですか!?
え?
「何故だ?」
「うちのサバトのバフォメット様のコロナ様が置手紙をしていなくなっていたんです!置手紙にはこう…」
ワシは自分の兄様を探しに行く!
見つけたら連絡するので探さないでくれなのじゃ。
まずは南のスーダンにでも行くかのう。
ではサバトは魔女のシルバに任せたぞ!
「と書かれていまして…私が探してくるように言われたんです」
「む、了解した。此処では世話になっていたし私の翼で連れて行こう」
「ありがとうございます!」
こうして、私と魔女のミスティの慌しい旅は始まった。
現在地-スーダン-山方面入り口
sideワーウルフ
「スンスン…臭いは弱いけれど間違いなくこの街を通ってる…」
私の名前はポウ、ワーウルフだ。
少し前に、教団に襲われて仲間がいなくなり、傷を受けた私も死んだはずだった。
でも私は生きていた。
傷を癒してすぐに医者の元を出た。
医者が言うには、私を運び込んできた男はジパング風の男で、足に刃を付けていたらしい。
そして私は彼を探している。
命の恩人で、私は顔も知らない彼に恋をしている。
「それでも私は…」
右手に握るのは私に包帯代わりに巻かれていた黒い布。
これが彼への唯一の手がかり。
この臭いを覚えて臭いを辿ってきた。
そして彼はこの街を通っている。
この辺りは乾燥地帯らしいので雨は降りにくいので臭いが消える事は無いだろうから大丈夫!
とりあえずこの街で彼の情報を集めよう。
酒場に辿り着き、マスターみたいな渋いおじさんの下へ歩いていく。
「マスター、ちょっと聞きたい事があるんだけど…」
「なんだね?」
「ジパング風の黒髪黒目の男性で、足に刃を付けた男を知らないか?」
そう言うと、マスターのおじさんはフッと鼻で笑った。
「なんだよ?」
「その男をこの街で聞くって事はアンタ最近此処に来たな?」
「そうだけど…」
マスターのおじさんは再び笑って口を開いた。
「その男の名はセン・アシノ。闘技大会で準優勝、路地裏を仕切っていた悪党の男を牢屋にブチ込んで最近この街はそいつの話で持ちっきりだ」
やっぱり凄い人だったんだ…。
名前はセン…セン・アシノ。
覚えた!
「序に言うと、その悪党は護送車で北から回り込んで東にある大監獄に放り込まれるらしい…」
「へぇ、そいつ強いの?」
「裏路地を仕切っていたからな…実力は高かったみたいだ」
でもやっぱりセン……いや、ご主人様には叶わなかったんだね。
「監獄と言えば最近噂されてる教団が秘密裏の建てた魔物専用の監獄には罪の無い魔物が捕まっているらしいが…真偽は不明。それから…」
「あ、うん、もういいよ…所でそのセンって人は何処にいるの?」
「砂漠に向かったらしい、仲間の魔物を連れてな」
仲間の魔物…?
私からご主人様を盗ろうとする奴は例え誰であろうと許さない……!
「どうした?急に殺気立って?」
「い、いや、何でもないよ…情報ありがとう」
そう言ってここまで来るときにごろつきから奪った金を出す。
情報料金。
払わなくても別段問題はないが、払うのが礼儀だ。
酒場を出ると、残っている金を確認して市場に向かう。
「まずは水…それからまた日持ちする食料に、完全な状態で言った方がいいから今日は宿で休んでいこうかな…」
ご主人様は近くまで来ているけれど、砂漠で行き倒れになったら冗談では済まない…。
ご主人様に救われたこの命は、ご主人様の為に役立てなければならない。
「すぐ行きます…待っていて下さい、ご主人様」
こうして私は決意を新たに砂漠入りの準備を進めた。
11/06/16 19:30更新 / ハーレム好きな奴
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