読切小説
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催眠式とっかえっ娘プレイ!
「……なあ、オマエ」
「ん?どうしたの?」

 うららかな春の昼下がり。
 恋人であり、ゲイザーの真白はぽつりと口を開いた。

「いや、最近アタシが責められてばっかな気がして……気のせいだと思うんだが」
「そうかな?」

 確かに、この頃責めてばかりいるような気はしていた。
 とある事情から彼女の女性化催眠&ふたなり攻めを受け、責められるようになったのが原因だった。
 具体的に言うと触り方がかわったのだ。
 女の子が気持ちよくなる場所が、的確に攻められるようになる。自分が気持ち良かったところを触っていけば良いのだ。
 真白がやっていたようにくりくりと乳首をなであげたり、女の子の部分を優しく愛撫すると、彼女は腰をくねらせて、切なそうな息を荒くするのだった。

「……その態度、オマエ分かってやってんだろ」
「そうだけど?」
「……はぁ」

 僕の返答に、真白は極大のため息をついた。
 なんというか、彼女を責めるのは楽しいのだ。
 愛撫したり、キスしたりすると、普段のけんのある表情が取れてとろとろになって。感じてくれているのが嬉しくてついつい手加減なして主導権を握ってしまう。
 そのときの表情があんまりにもかわいかったのでこっそり写真を撮ったのは今でも彼女相手の唯一の秘密だ。

「……オマエ、たまにはアタシの気持ちも慮ってだな……あ、そうだ」
「?どしたの?」
「良いこと、考えた」

 不満げに話す真白は何かを思いついたのか急にその大きな目を見開いた。
 ぎざぎざの歯が三日月のようににやりと歪んでいた。

「かなり複雑な暗示を使うけど−−オマエと、アタシだったら上手くいくだろ」
「……どんな暗示なの?」
「そりゃ、後のお楽しみって奴だ。クク、とりあえず催眠のためにも風呂、行こうぜ?」
「う、うん」

 真白に促されるがままに、風呂場に行く。
 彼女曰く、催眠の利きには自律神経が関わっていると言う。深呼吸や、あったかいお風呂、瞑想なんかが催眠の強度を大きく上げてくれるのだ(前に長い説明をされたけど、よく覚えてない。とにかくリラックスが大事らしい。多分2回目に聞いたら怒られるので聞いてない)
 勿論ゲイザーである真白の催眠は元々強力で色んなことができるけど、その上で色々小細工をするとさらに凄いことができるらしい。女体化プレイとかもその一環だ。

「ちょっと待ってろ?沸かしてやるから。『温かい湯を−−我が手の元に』」
「うーん、凄いな……」
「こんなの初歩の初歩だ。さ、入れよ?ゆっくりな」
「真白も入ろうよ」
「あ、ああ……」

 二人で軽く身体を洗った後、ゆっくりとお風呂に入る。
 触手を軽くなでるように洗うと、眉を寄せて「まだ気が早いぜ?」と笑われてしまった。
 お風呂に入るために髪をまとめたせいで、普段前髪を長くしている彼女の顔がよく見えるのは役得だ。

「−−ふう」
「たまには、真昼間に風呂ってのも良いもんだな。オマエ」
「そうだね……」

 魔術によってわかされたお風呂は、熱過ぎでもなく、ぬるくもなく丁度良い塩梅だった。
 お湯に身をまかせると、身体がゆっくりと弛緩していくのが分かる。
 隣で使っている真白を見れば、タオルを頭に載せて、目を細めていた。
 彼女の傷一つない肌と、余計な脂肪一つない若竹のような裸身がお湯の中に揺れていた。

「む……」
「へへ、覗き見してただろ?」

 思わず大きくなった股間のものを隠すように手を当てたら、彼女の触手が僕の顔を覗き込んでいた。
 目が合ってしまい思わず目をそらす。

「全く、はしたない奴だ」
「−−だって真白が綺麗だったから……」
「う、ずるいぞそれ……と、とにかくゆっくり漬かるんだよ!」

 不意に延びてきた触手が、やんわりした拘束とともに僕をお湯に浸けてきた。
 そうして、完全にあったまるまでの十数分間、僕達はのんびりとお風呂に浸かったのだった。



−−

「−−さて、と。はじめるとしようじゃないか」
「う、うん」

 お風呂から上がって、丁寧に身体を拭いた後(風邪を引くと彼女が泣いてしまうので)、ベッドの上に座って見詰め合う。
 彼女の一つ目が、まっすぐに僕の奥を見つめてくる。

「今回は、オマエにアタシの気分を味わってもらうぜ?勿論アタシがオマエの立場になるわけだ」
「それって、またふたなり薬ってこと?」
「いいや、違うぜ……?」

 真白がぱちり、と指を鳴らす。
 それだけで、僕の意識がやんわりと遠くなっていく。
 条件付けというやつだ。暗示とともに聞かされた何度も聞いた真白の指の音だけで、僕の身体は催眠へと落ちていく。

「オマエと、アタシの身体を入れ替えてみるんだ。面白そうだろ?」
「そんなことできるの……?」
「ああ、確かに難しい。何せアタシにも催眠が必要だからな」

 今までの催眠はかなり滅茶苦茶だったけれど、真白自身が催眠に浸るようなことはなかった。
 そもそも、僕に催眠は出来ない。

「−−オマエの眼にアタシの眼を写して……それをアタシ自身が見る。ま、瞳も鏡の一種だから出来なくもないだろ。……なにせ、アタシもその……オマエのこと、信頼してるからな」

 微妙に顔をそらし、真っ赤になる真白。
 なるほど、二人分の催眠を真白がかけるらしい。
 まずは僕に−−そして僕の眼を鏡にして自分自身に。

「ーーさ、ゆっくり深呼吸をしてリラックスしながら−−このアタシの眼をしっかりと見るんだ」
「……すぅ……はぁ……」

 お風呂に入っていたおかげで、体の力がどんどん抜けていく。
 右手、左手、右足、左足が使い物にならなくなって、おなかの力も抜けて−−
 彼女の催眠特有の、甘い痺れが全身を満たしていく。
 そして、頭にこもっていた力も、なくなっていく。

「−−今のオマエは、心の底まで落ちている状態だ」
「……うん」
「だから、その瞳はアタシしか写さない鏡になって……アタシだけをみるんだ」
「……うん」

 心がゆっくりと浮き上がっていく。
 魂が抜けてしまった人形のようだ。
 ふわふわとした甘い痺れ。それとともに魂が吸い込まれていくようだ。

「そして、抜けた魂が−−アタシのからっぽの身体に入っていく。そして空っぽのオマエを−−アタシが支配する」

 そして、、ふわふらとした感覚が−−不意に消える。

「さあ、身体を確かめてみな」

 その声は、僕の口から出たものだった。
 驚いて身体に触れると、すべすべした滑らかな肌に触れた。

「ホントに、僕……?」

 そして、漏れ出る声は。彼女の高くて、美しい声。
 目の前で、『僕』がにやりと笑う。

「……さ、はじめようぜ?」

 くい、と長い髪をつかまれ、下へと視線を向けられる。
 目の前にあるのは、見慣れたはずの男の性器。

「……っ」
「アタシの気持ちが、分かっただろ?」

 見る、ただそれだけなのに、きゅん、きゅん、と股のあたりが疼いてしまう。
 まるで誘蛾灯にひかれる蛾のように、吸い寄せられていく。
 「ほんと、こいつはズルイんだよな」と真白が言っていたのを思い出す。
 その気持ちが、今ならわかる。
 ずる過ぎる−−こんなの、勝てるわけない。

「……んっ……あっ……」

 ぺろり、まるでアイスキャンデーを舐めるように舐め上げると、切ない声が漏れる。
 それが嬉しくて、くわえ込んだり、裏筋をちろちろと撫でる。そのたびに違った喘ぎ声が漏れて。それが面白くて、嬉しくて。
 口の中で存在感を感じるたびに、きゅんきゅんと、疼いてしまう。
 上の口じゃなくて−−ここでも味わいたいと、身体が、求めてしまっているのがわかる。
 思わず、指が伸びて自分を慰めてしまう。
 後ろの触手が蠢いて、胸を愛撫するように動かしてしまう。ぐちゅ、ぐちゅとはしたない音が漏れて恥ずかしい。

「で、出る……っ」
「ん、ふっ……」

 どろりとした、熱い液体が口の中に放たれる。
 嗅ぎなれたはずの、独特の匂い。
 だけど、彼女−−真白の身体はそれを、心地よいと感じていたのだ。
 天上の美酒であるかのごとく、舌の上で転がすようにして、細胞の中にしみこませるようにしてから、こくり、こくりと咽喉の奥に流し込んでいく。
 食欲と、性欲。両方が満たされていく感覚。ただ、飲み込んだだけなので恍惚とするほどの快楽で意識が遠くなる。

「……へへ、どうだ?味のほうはよ」
「おい、しい−−けど」

 しかし、たりない。
 身体が、疼く。
 もっと、受け止めたい。と、子宮が疼いてしまう。

「……この程度で、終わりじゃないだろ?」

 その言葉に、こくんと頷く。
 出したばかりだと言うのに萎えないそれを、ぐちゅぐちゅに濡れた穴にぶち込みたい。
 触手で縛って抜けないようにしてしまいたい。
 何度も、何度も出して欲しい。

「じゃあ、おねだりだ……分かってるだろ?」
「ぼ、僕の……ここに、居れてっ!そのおちんちんを奥まで入れてっ!出してっ!」
「……へへ、アタシの顔でそれを言われるのもちょっと悲しいけど−−良いぜ」

 不意に、ベッドの上に押し倒される。
 背中に感じる柔らかな布団の触感。そして直後苦襲い掛かってきたのは。

「やって、やる!」
「ふっ……ああっ!」

 凄まじいまでの、快楽。
 口で受け止めるのとは、快感の質が違う。
 たった10センチと少ししかない器官が、とんでもない存在感を持って全身を狂わせていく。
 そして、奥の部屋−−精子を受け止める場所。即ち子宮に触れられただけで魂まで吹き飛ばされそうになった。

「入れただけでいっちまうとは……アタシの体ながら、なさけっ、ないっ、なっ!」
「うっ、あっ……!?」

 ぱちゅん、ぱちゅんと打ち付けられるリズミカルな音が響く。
 そのたびに、咽喉から色々な嬌声が漏れ出してしまう。
 まるで、身体を使った楽器のようだ。少し角度を変えて擦れば違う音が出てしまうのだから。

「さあ、出すぜ……!」
「うんっ、出してっ!全部っ!中にっ!」

 そして、射精と同時に。

「−−っ!?」

 極大の絶頂。
 僕の意識は完全に、焼ききれ、落ちた。



−−

「少しは、アタシの気持ち分かっただろ?」

 僕が目を覚ましたのはそれから数時間たった後だった。
 目を開けると、彼女の大きな一つ目が僕のことを覗き込んでいた。

「うん」
「全く、ずるいよなオトコって」
「……良く分かった」

 本当に、脳が焼ききれるような快感だった。
 敏感にされる催眠は良くもらっているけど、それとは格が違う快楽だ。
 正直、プレイ中に催眠を保つだけの精神力を保てる真白を心から尊敬してしまう。

「けど。あんなに気持ち良いのは羨ましいなあ……」
「ば、馬鹿……っ」

 僕の言葉に真っ赤になって顔を背ける真白。
 触手がなんともいえない動きで周囲を蠢いていた。

「とにかく掃除!掃除だっ!」
「はーい」

 彼女から渡されたモップをもってゆっくりと部屋の掃除を始める(あらかた片付いていたけど)。

 こんどは、彼女がどんな事をしてくれるのかを考えながら。
18/01/20 00:00更新 / くらげ

■作者メッセージ
なんだこのマニアックなプレイは(白目)
春だからショウガナイネ!

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