魔物アプリ……魔物娘色々編
薄い雲の隙間から月光の光が降り注ぎ、荒れた大地の一角に建てられた古き良き石造りの城を照らし付ける。高さは然る事ながら、城の四方は深い堀で囲まれ、万が一に軍勢に攻め込まれても、そう簡単に入れさせない作りとなっている。
唯一通れる道は城の正面入り口に設けられた跳ね橋のみだ。しかし、それも上へ跳ね上げられてしまっているので通れる事は事実上不可能だ。
この城は嘗てこの地に君臨した権力者が、自身が此処に居た証し、そして“力”の象徴として建てさせたものだ。そして大勢の人々を雇い入れ、たった一人の傲慢な主の為に働かせていたに違いない。
しかし、それも遠い昔の物語である。今では城内に人の気配は一切感じられず、明かりも月明かりを除けば皆無だ。あるのは蓄積した数百年分の埃と、居なくなった城の主と従者に代わって住みついている昆虫やネズミ、そして部屋の隅々に張り巡らされたクモの巣のみだ。
権力者が君臨していた頃に激戦を潜り抜けたのかは定かではないが、主を守る為の城壁は長い年月に渡る雨風で風化し、所々が欠けてきており、大砲はおろかやや強い地震が襲い掛かっただけで今にも崩れそうだ。
虚しい沈黙と周囲の荒れ地と相俟って、強固な権力を誇示した城は今では寂れた岩の塊と化してしまっていた。
しかし、そんな哀れな城の見張り台と思しき塔の上で相対する二人……いや、二匹の魔物の姿が見受けられた。
漆黒の荒々しい毛並みと黒に近い灰色の皮膚、そしてマグマの炎を彷彿とさせる赤い瞳を兼ね備えたヘルハウンド。
対するは純白の流れる様なストレートヘアーに、穢れの無い新雪の如く白い鱗で覆われた蛇の下半身を持った白蛇。
ヘルハウンドは上半身を地面スレスレにまで低くし、下半身を高く突き上げる四つん這いのポーズを取りながら『グルルル』と低い唸り声と、相手を射抜く鋭い眼光で威嚇する。
一方の白蛇はヘルハウンドの威嚇に気押されるどころか、涼しい顔を浮かべながらクネクネと上半身を揺らしてヘルハウンドを挑発するような笑みを携えている。しかし、その瞳は笑っておらず、寧ろ敵愾心の色が強く浮かび上がっている。
両者の間にあるのは敵対心のみ。ヘルハウンドの威嚇も、白蛇の挑発も、どちらも互い特有のファイティングポーズのようだ。つまり臨戦態勢という訳だ。
互いに睨み合いが続く中、先に仕掛けたのはヘルハウンドだった。四つん這いの格好から、四脚の筋肉をバネのように弾ませて白蛇へ襲い掛かる。
可愛らしい女性の姿とは言え、その牙は狼のそれと何ら遜色はない。獲物を噛み殺し、血肉を貪る為に備わっているものだ。まともに噛み付かれたら一溜まりもない。
だが、白蛇は向かって来るヘルハウンドに対し、自身の持つ強靭な尻尾を鞭のように振る舞い相手を叩き落とした。白蛇の攻撃を受けてヘルハウンドの身体は石造りの床に激しく叩き付けられ、まるで蹴鞠のようにワンバウンドするものの、空中に浮いた僅かな間に器用に体を捻らせ、体勢を立て直して着地した。
ヘルハウンドが華麗な着地を決めたのも束の間、今度は白蛇が蒼白い火の玉を両手から交互に放ち、彼女を追い詰めようとする。
弧を描くように降り注ぐ火の玉をヘルハウンドは右へ左へと素早く動き回って攻撃を避けてみせる。しかし、彼女が避けた後に落ちた火の玉は消えはせず、火の勢いを保ったまま燻り続けていた。もしも誤って踏んでしまえば、彼女の足も少なからずの傷を負うのは目に見えている。
されど火の玉が放たれる速度は然程速くもなく、ヘルハウンドの脚力を持ってすれば回避する事は雑作もなかった。だが、彼女は降り掛かる火の玉に意識を集中し過ぎたが故に視野が狭まり、自分が追い込まれている事に気付いていなかった。
それに漸く気付いた頃には、自身は塔の端へ追い込まれ、周囲は蒼白い炎の海と化していた。正に逃げ場を失ってしまったのである。
そして白蛇はトドメの一撃と言わんばかりに両手を添え、特大の火球を逃げ場の無いヘルハウンドに向けて撃ち放った。今まで適当に放っていた火の玉とは比べ物にならない大きさと速度、無論その威力も言わずもがなだ。
放たれた火球は吸い込まれるようにヘルハウンドへと向かって、やがて盛大な爆発音を立てて彼女に命中する――――筈であった。
火球が命中する直前、ヘルハウンドは自慢の脚力で頭上へ跳び上がって攻撃を躱した上に、火球が引き起こした爆発の勢いを利用して窮地を脱したのだ。
そして九死に一生を得た彼女が降り立ったのは、散々自分を追い詰めた白蛇の背後であった。
白蛇もヘルハウンドの動きには細心の注意を払っていたが、この予期せぬ行動に反応が遅れてしまった。完全に後ろへ振り返るよりも先にガラ空きの脇腹に鈍い衝撃が走り、直後に痛覚が襲い掛かる。
見れば彼女の脇腹にヘルハウンドの鋭い爪が深々とめり込んでいた。一瞬の隙が命取りとなった訳であるが、この程度の傷で悔やんでいる暇など無かった。何故ならヘルハウンドはもう片方の手を構え、更なる一撃を白蛇の顔面目掛けて振り下ろそうとしていたのだから。
流石の白蛇も二撃目を受ける気は更々なく、顔を横へ背ける事で攻撃を辛うじて避けてみせた。そして擦れ違いざまのカウンター攻撃として、蒼い炎を纏った拳をヘルハウンドの鳩尾に叩き込んだ。
蒼い炎がヘルハウンドの無防備な腹を焼き、ジュッと肉の焼ける音と独特の匂いが両者の鼻孔に入る。普通ならば身体が焼ける激痛に耐え兼ねて離れる所だが、ヘルハウンドは我が身の怪我など気にも留めず攻撃を続けた。
自分の鳩尾にめり込んでいる白蛇の腕を掴み、相手が逃げられないようにし、且つ近距離を維持したまま、お返しと言わんばかりに彼女の顎を強く蹴り上げる。強烈な一撃を受けて彼女の身体が大きく後ろへ反れる瞬間を好機と見て、ヘルハウンドは更に追撃を加える。
どんな獲物も容易く切り裂く鋭いヘルハウンドの爪は白蛇の軟な身体に痛々しい傷跡を付け、強靭な狼の足から繰り出される蹴りは彼女の白魚のような肌に内出血を伴う青紫色の痣を付けていく。
それでも決定打に至らなかったのは白蛇が上手くガードし、受けるダメージを可能な限り低くしているからだ。しかし、それも何時までも続けられる訳ではない。このままダメージが蓄積していけば、結局やられてしまうのは目に見えている。
防御に徹し続けていた白蛇だったが、ヘルハウンドが飛び掛かって来きた瞬間に姿勢を低くし、相手の真下を潜り抜けて危機を脱した。そして今度は自分がヘルハウンドの背後を取ると、その背中に先程と同じ火球を御見舞した。
火球はヘルハウンドの背中に命中し、盛大な爆発と共に彼女の身体は吹き飛ばされる。流石にこの一撃は重かったのか、最初に尻尾で弾かれた時と違い、ワンバウンドどころか数回バウンドして石畳の上を転がっていく。
体勢を立て直そうとするも、受けたダメージが大きいのか足元がふらついている。しかし、それは彼女だけじゃない。白蛇も散々痛めつけられたせいか、動きが鈍っている相手に追加の攻撃を仕掛けられる余裕など無かった。
ボロボロとなった相手の姿を観察し、同時に己の肉体に問い掛ける。そこから導き出されるのは、この戦いの長さだ。どちらも疲労困憊であるのは揺るがぬ事実であり、恐らくこの戦いも長くは続かないだろうというのが二匹の共通した認識であった。
つまり、決着は目に見える所までやって来ているという事だ。
相手の出方を待つ―――と戦法も有りだが、今の彼女達はそういう気分ではなかった。目の前に居る相手を一刻も早く潰してやりたいという、魔物のおぞましい一面が垣間見えていた。
奇しくも二匹は事前にタイミングを図っていたかのように、同時に駆け出した。みるみると両者の間は詰められ、遂に互いが得意とする間合いへ踏み込んだ。
蒼い炎を纏った白蛇の拳が、鋭利な爪先を持つヘルハウンドの手が、互いの意地と誇りを掛けて激突する。
そして――――勝者が決定した。
『ヘルハウンド WIN!!』
「ぃよっしゃー! 俺の勝ち!」
「あぁー! 負けたー!」
スマートフォンに上記の文字が映し出された途端、二人の男の反応が真っ二つに別れた。片やスマホ片手に勝利のガッツポーズをし、片や悔しげな表情を浮かべながらスマホと一緒にベッドの上に沈んだ。
二人がやっていたのは魔物アプリの一つである『モンスターファイター』と呼ばれるゲームであり、単純な操作で様々な必殺技や攻撃コンボが打てる、俗に言う格闘ゲームである。
今も述べた様に単純な操作で数多の必殺技を放ち、そして何十種類にも及ぶ豊富な魔物娘というキャラクターを操って戦うというスタンスなので、意外とやり込み要素は多い。
しかし、魔物アプリ自体が極一部の人間にしか知られていない秘密のゲームアプリ故に、認知度は極めて低い。それこそ一握りの人間のみしか知らないと言っても過言ではない。
だが、このアプリゲームの本当の魅力はゲームの内容ではない。ゲームをクリアした後に待っている特典だ。
魔物アプリにはゲームをクリアした後、必ず『人生を棒に振りますか?』という意味深なメッセージが現れる。それに対しYESを選んだ人間は、魔物アプリの真の魅力に取り憑かれ、一生手離せなくなってしまうのだ。
因みに『モンスターファイター』では一人のキャラクターに付き、アーケードモードや通信対戦を含めて通算で百勝した瞬間に上記のメッセージが出現する。
ヘルハウンドを操作していた宮永大地、白蛇を操作していた火々地(かがち)伸吾、両者共に格ゲーを好み、『モンスターファイター』では短期間で百勝を成し遂げる程の腕前を持つ程の男達だ。
そして百勝した後に出て来た“あの”メッセージも二人は迷う事無くYESと答え、それ以降の彼等は充実した毎日を過ごす事となった。何がどう充実しているのかと言うと、男ならば誰もが持つ雄の本能を満たしている……と言った所であろうか。
「それじゃ今日は俺のヘルハウンドでイクぞ〜」
「うー……。やっぱりアレをやるの…?」
「当たり前だろ! その為の戦いだったんだからよ!」
片や大地はニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべ、片や伸吾は落胆するように溜息を吐き出して渋々友人の意見に頷いた。伸吾の了承を確かめた後、大地は自分のスマートフォンに向かって呼び掛けた。
「ヘルハウンド、出て良いぞ〜」
直後、彼の呼び掛けに反応するかのようにスマートフォンの画面が妖しげな濃い紫色の光りで溢れ返るかと思いきや、次の瞬間には画面から黒い塊が飛び出て来た。
画面から出て来たのは、赤い血の様な瞳に漆黒の毛並みを持った一匹の狼だった。先程まで彼が操作していたヘルハウンドに近い特徴を持っているが、あちらは人型であるのに対し、こちらは完全に動物だ。
おまけに1m近くもある体躯は、どう見てもあのスマートフォンの狭い画面から出て来たとは思えない。しかし、そんな常識など最初から見て見ぬ振りをするかのように、大地は気にもせずに狼に歩み寄ると、飼い主が飼い犬にするのと全く同じ動作で狼の頭を優しく撫でた。
「お疲れさん、今日はよく頑張ったなぁ。偉い偉い」
「グルルル……」
大地が褒め称えるように狼に語り掛けると、狼の瞳がニィッとまるで笑顔を理解しているかのように細まった―――その刹那だ。俗に言う『お座り』の体勢を取っていた狼の身体がみるみると変化し始めたのは。
漆黒の毛で覆われていた胴体や太股、上腕から毛が消え去り、代わりに黒と灰色の中間のような柔らかな人間の皮膚が現れる。更に胸元には女性の魅力を象徴する豊満な胸が存在していた。次いで身体の体格も四足歩行から、二足歩行に適した体格へと変貌していき、益々人間に近付いて行く。
そして極め付けが顔だ。狼男から人間に戻る過程を見ているかのように顎が収縮していき、顔を覆っていた毛も縮んでいき、遂には消えて無くなった。やがて狼の顔から人間の顔へと完全に変わると、そこには逞しさと美しさを兼ね備えた美女の顔があった。
いや、顔だけではない。細身ながらも無駄の無い筋肉質の肉体に、所々が露出して男を魅了してしまいそうな灰色の肌。そして炎を彷彿とさせる真っ赤な瞳に手足の漆黒の毛……そう、それは紛れもなく大地が今さっきまで操作していたヘルハウンドそのものであった。
これがゲーム後の特典―――魔物娘を実現化させ、自分の傍に置いておけるようになるというものだ。最初は大地も伸吾もスマホから出て来た具現化した魔物娘を見て、大いに混乱したものだが、今では慣れて平然としている。いや、平然としているどころか、甘い恋人のような雰囲気にさえ発展している。
「大地ぃ、よくやったぞ〜! 流石はアタイを操作するだけの事はあるなぁ!」
「うわっ、やめろよ! あんまり頭を撫で回すなよ!」
「何言ってやがんだよ! 今さっきアタイの頭を撫でてデレデレしてやがったくせに!」
人型になったヘルハウンドは大地を力強く抱き寄せると、豊満な胸で彼を受け止め、肉球の手で彼の後頭部を撫で回す。余り子供扱いされるのが好きでないのか、それとも二房の巨乳に頭を挟まれながら撫でられるという行いが恥ずかしいのか、大地は顔を真っ赤にしながら文句を口にする。
それを遠目から見ていた伸吾は苦笑いを浮かべて『相変わらずだな……』とボヤき、目の前の二人のバカップル並の遣り取りを赤の他人のように見守っていたが、ヘルハウンドの野性味の帯びた鋭い視線が伸吾の方へ向けられた瞬間にビクリと背筋を震わせた。
「さてと……それじゃ今日はアタイが勝ったんだから、思う存分楽しませて貰おうかしらねぇ〜」
ヘルハウンドが狼だとしたら、大地は恐らく彼女のお気に入りの雄という部類に当て嵌まるだろう。では、大地の友人である伸吾は一体何か?
答えは一つ……只の哀れな生贄の子羊である。
◆
アプリゲームに存在する魔物娘はどういう訳か性欲が極めて旺盛であり、二人がそれぞれ愛用しているキャラクター……ヘルハウンドや白蛇も例外ではなかった。実体化してスマホから出た直後、襲われると言っても過言ではない勢いで二人は彼女達と肉体関係を結ばされた。
可愛い女の子を欲していた大地からすれば嬉しい事この上なしだが、ちゃんとした手順を踏みたかった伸吾にとってはちょっとしたトラウマである。
それからというもの二人は魔物娘達と肉欲を貪り合う日々を過ごしていたのだが、余りにもやり過ぎる為に飽きが生じ始めて来た。所謂マンネリ化というヤツだ。
そこで大地は『モンスターファイター』で勝負し、勝った方の魔物娘で3Pセックスをするという独自のルールを提案したのだ。伸吾はイマイチ乗り気ではなかったが、提案者である大地と二匹の魔物娘がこのルールに賛同した為、少数派の彼の意見は無視されてしまうのであった。
「ハァー……♥ 良いねぇ。若くてピチピチした雄を二匹も同時に味わえるだなんてさ」
恍惚の溜息を吐きながらヘルハウンドが見遣るその先には、身に纏っていた依服を全て脱ぎ払い、一糸纏わぬ姿となった大地と伸吾の姿があった。大地は臆するどころか堂々と局部をヘルハウンドに見せ付けているが、伸吾は少なからず抵抗感があるのか両手で隠してモジモジとしている。
それがヘルハウンドの気に障ったらしく、伸吾をキッと強く睨み付ける。
「おい、伸吾! 此処まで来てモジモジすんなよ!」
「そうだぞ、これは罰ゲームなんだぞ。それに今更恥ずかしがってどうすんだよ!?」
「だ、だってぇ〜……」
「ああもう! じれったいな! さっさと来い!」
未だに決断出来ずにいる伸吾に痺れを切らしたヘルハウンドは、局部を隠している彼の手を掴んで自分の元へと引き寄せる。もう片方の手は大地の腰に回し、そのまま抱き寄せるように近付けさせる。
二人の身体に挟まれるように己の身体を密着させつつ、ヘルハウンドは蹲踞の姿勢を取るようにしゃがみ込んだ。
「あはっ! 何だよ、嫌がっていた割にはちゃんとチンポは一丁前に反応してるんじゃねぇか!」
「ううう……」
よくよく見れば伸吾のペニスも大地同様に青筋の血管が浮き出る程に力強く勃起しており、モジモジした態度とは裏腹にしっかりと女性の身体に興奮しているようだ。
また白蛇と何度もセックスしているらしく、年若い青年であるにも拘らず、彼のペニスは一回り大きくなって皮が剥け、色も黒々としている。それは伸吾のみならず、大地も同じだと言える。
ヘルハウンドとしても自分の裸体を見て勃起しない男よりかは、勃起する男の方が遥かに好ましい。最も彼女の場合は相手が勃っていようがいなかろうが、気に入った男ならば襲い掛かって無理矢理交わろうとするのだが。
「さて、それじゃ二本のソーセージを頂いちまおうかねぇ。あむっ♥」
そう言って味比べだと言わんばかりに、ヘルハウンドは大地と伸吾のペニスを交互に口に咥え込む。
大地のペニスは陰茎が中太りしており、ヴァギナの中へ挿入すると前後する度に太い部分がGスポットを擦り、心地良い快感を与えてくれる。伸吾のペニスは大地と比べて亀頭が一回り大きく、これで膣を掻き回されたらと想像するとヘルハウンドの子宮も思わず疼いてしまう。
だが、それは後回しだ。今は二人の雄の味を楽しみながら、何時でも挿入出来るように下準備をするのが最優先だ。
「うああっ、すっげぇ気持ち良い……。犬舌堪んねぇ……」
「あっ…! 肉球も……柔らかい……!」
犬舌のザラザラした感触がペニスの敏感な部分に絡み付き、大地は軽く天井を見上げて蕩けるような笑みを浮かべる。一方の伸吾はヘルハウンドの肉球でペニスを扱かれ、堪らず甘い悲鳴を上げてしまう。
「んー……ぷぁ♥ そろそろ良い頃合いかなぁ〜♥」
両者のペニスを十分に味わい尽くした所で、ヘルハウンドは四つん這いの格好を取り、弾力のある可愛らしいお尻を大地の方へ尽き出し、顔の方は伸吾の方へ向けた。
「それじゃ……今日も前と後ろのお口で一杯出しておくれよ?」
「よぉし! 伸吾、念の為に言っておくけど、これはちゃんとした罰ゲームだかんな! 遠慮せずにガンガンやれよ!」
「う、うん……」
未だに乗り気になれない伸吾に罰ゲームだからと言い聞かして、3Pセックスを促す大地。何時までもウジウジしている伸吾の姿は男らしくないが、裏を返せばゲーム如きで他の女性とセックスしても良いのだろうかと真剣に迷ってしまう程に、ある意味で純粋な男でもあった。
「おら! さっさと食わせろ!」
「あひぃ!!」
だが、そんな真剣に考える彼の意志など無視して、ヘルハウンドは彼のペニスを口に咥える。ペニスを根元まで咥え込まれてしまえば、流石に思慮深い伸吾と言えども何も考えられなくなってしまう。
「へへっ、それじゃこっちもイクぜ!」
そして大地も突き出されたヘルハウンドの大きなお尻を両手で乱暴に鷲掴みにすると、その中央下にある彼女の秘部に己の滾ったペニスを突き入れる。ヘルハウンドがフェラをした際に付いた唾液と、彼女の秘部から止め処なく溢れる愛液が潤滑油となり、勢いを付けて入れただけで彼女の子宮までスムーズに届いてしまった。
「ウッ! ウォォォォォォォン!! ♥♥♥」
固いペニスを子宮口へ叩き付けられる感触に、ヘルハウンドも咥えていたペニスを口から外して獣の雄叫びを上げてしまう。先程までは逞しい姐さん面をしていた彼女だったが、ペニスを入れられた途端に発情した雌犬のように雄を受け入れる快楽に喜びを見い出してしまう。
「オラオラ! これぐらいでへばるなよ!」
「へ…へへっ! 誰がへばるだってぇ!? ちょっとビックリしただけさ! 御託は良いから、もっと思い切りアタイの雌を犯しな!」
「おっしゃァ! 行くぞぉ!!」
ヘルハウンドの挑発に敢えて乗る形で、大地は激しく腰を前後させて彼女を攻め立てた。中太りしたペニスが膣口の出入りを繰り返し、その都度にヘルハウンドのGスポットを刺激する。この時の彼の腰振りの勢いと速さは、彼女の膣内が擦り切れてしまうのではないかと思える程に凄まじいものであった。
それに応えるように彼女は膣に力を込めて大地のペニスを扱きつつ、口では伸吾のペニスを咥えながら手で睾丸を撫で回したり、彼の肛門に指を入れて掻き回したりして初心な彼の反応を楽しんでいた。
「あーやっぱ堪んないぜ! ヘルハウンドの中、最高に気持ち良いー!」
「ひゃっ! や、やだ! 指が……お尻にっ! ああっ!」
てっきり一匹の魔物娘を嬲る3Pセックスになるのかと思いきや、蓋を開けてみれば片方の男は果敢に攻め立て、もう片方の男は魔物娘に攻められるという不思議な構図が出来上がっていた。
そうしている内に絶頂へ王手を掛けたのは伸吾であった。乗り気ではなかったとは言え、慣れない犬舌でフェラチオをされた挙句に敏感なお尻の穴まで弄られてしまえば我慢しろと言う方が無理な話だ。
「あっ! 駄目っ! イク――――」
熱が陰部に集中し、性欲の塊を放出するかのように尿道の奥から精液が込み上がって来る。そのまま射精の勢いを抑えきれず、彼女の口に出そうとした瞬間―――
ピチャリッ
「うひゃぁっ!?」
―――不意に伸吾の足元に冷たい液体が掛かり、その冷たさの余り射精するタイミングを見失い、同時に絶頂の予感も何処かへと遠ざかってしまった。
だが、そんな事よりも突然自分の足元に掛かった液体の方が気に掛かった。ふと視線を下に向けてみれば、床の上には何時の間にか水溜りが出来上がっており、そこに自分の片足を突っ込んでいた。
それを見て当然『どうして水溜りが出来ているのだろうか』という疑問に尽きた。雨漏れや水漏れという説が濃厚なので天井を見上げるが、それらしい形跡は何処にも見当たらない。
では、これは一体何なのか。汗や愛液が水溜り並に溜まる可能性は絶対に有り得ない。というか、もしそれが正解だとしたら脱水症状も免れないだろう。
そもそもこの水は何処からやって来ているのかという疑問に気付き、水溜りが作ったであろう水の道筋を辿っていくと……辿り着いたのはベッドに放り出した形で置いた自分のスマホだ。しかも、どういう訳か水は布団の上を伝っているのに、布団は一切濡れていない。
「まさか……」
嫌な予感が……いや、スマホから水が出ているのを見た時点で確信に変わっていたが、兎に角ヤバい事に変わりはない。そして次の瞬間には、それは現実の物となった。
水溜りが突然噴水のように凄まじい水柱を噴き出したかと思いきや、その水柱の中から一匹の魔物娘が現れた。白い巫女衣装に、同色の蛇の下半身、そして白銀のような長い髪を持った白蛇だ。無論、彼女も伸吾がアプリで操っていたゲームキャラクターの一人である。
水柱が収まるのと同時に白蛇は伸吾の背後に素早く回り込み、彼の身体を抱き締めるとそのままヘルハウンドから奪い取るように二人を引き離した。
「あっ! こら、何すんだよ!」
突然目の前からペニスを奪われた事にヘルハウンドは抗議の声と不満に満ちた瞳を奪った張本人へと向けるが、白蛇も負けじと彼女を睨み付ける。それはもう水さえも凍ってしまうのではと思える程に冷たい視線で。
「こんにちは、ヘルハウンドさん。先程振りですわね」
その冷たい視線を一旦引っ込めると、人の良さそうな微笑みを携えてペコリとお辞儀した。だが、白蛇の微笑みが表向きのフェイクだと知っているヘルハウンドは、益々疑念を深めるように眉間に皺を寄せながら彼女を見詰める。
「急に出て来て何をしやがるんだ! 折角、こっちの気分が乗って来たってのによ!」
「あらあら、何をするとは随分な物言いですねぇ。前回、私が勝った時は貴方が約束を破って出て来たではありませんか? というか、貴方がルールを守った時なんてあったでしょうか?」
「ウグッ…! そ、そん時は我慢出来なかっただけだ!!」
「あら、ヘルハウンドさんの辞書に『我慢』という言葉があったなんて驚きですわ」
「ウッセェ!! 馬鹿にしてんのか!!」
クスクスと小さく声を立てて笑う白蛇の姿は大和撫子のように清楚であったが、ヘルハウンドからすれば只単に馬鹿にされているに他ならない。
しかし、白蛇の言い分もまた事実だ。そもそも大地が考えたゲームのルールを破ったのは彼女が初めてではない。
寧ろ最初にルールを破ったのはヘルハウンドだ。白蛇は勝負に負けた時はルールに従ってスマホから出て来るのを我慢していたが、向こうは勝っても負けてもルールを守る気なんて無いと言わんばかりにしょっちゅうスマホから飛び出していた。
遂に白蛇も我慢の限界を超え、今回初めてルールを破ってスマホから自分の意思で出て来た……と言う訳だ。この経緯を聞けば寧ろ悪いのはヘルハウンドなのだが、彼女の欲望に只管真っ直ぐな性格を考えると致し方ないというのが実情だ。
「うーん、よくよく考えたら罰ゲームの意味無い気がしてきたなぁ……」
「それって今更過ぎない、大ちゃん」
大地もヘルハウンドのルール無視を今更ながら指摘し、それに対し伸吾が呆れた口調で突っ込みを入れる。そして最初は単調なセックスが飽きたからという理由で始めたのに、結局皆が出て来ては罰ゲームの意味がないのではという事実に気付く。
「よし、こうしよう。罰ゲームは中止! もうこうなったら乱交だ! 乱交!!」
「そんな投げ遣りで良いの!?」
「細かい事は気にすんなよ。それにお前だって白蛇とセックスしたいんだろ?」
「うっ、それは……そうだけど……」
チラリと大地が友人の股間に視線を落とせば、今にもはち切れんばかりに勃起したペニスに白蛇の滑らか指が優しく絡まり、今にも暴発しそうだった。適当なように見えて実は的を射ている大地の発言に伸吾も口を噤んでしまう。
大地の意見は言い争いを繰り広げていた二匹の耳にも届いたらしく、彼の意見に同意するようにコクリと首を上下に動かした。
「そうですね。何処かの誰かさんの前じゃ罰ゲームなんて無意味でしたし、それよりかは楽しく交尾する方が楽しいですもんね。そうでしょ、伸吾さん?」
「うぇ!? ええっと……ハイ」
「けっ、言われっ放しで癪だけど……ま、どの道ヤる事ヤッてんだから結局は同じか。おい、大地! このままセックスを続けるぞ!」
「おう、そうこなくっちゃな!」
ヘルハウンドと大地は意気投合したように笑い合うが、二人は先程からバックの状態で繋がったままだ。結局何も変わっていないのだが、そんな事を気にする様子もなく大地は雄犬のように腰を振り出しヘルハウンドと野獣のようなセックスを再開した。
そんな荒々しいセックスに触発されたのか、伸吾のペニスがビクンビクンと力強く脈打ち出し、それを掌で感じ取った白蛇は不満気な表情で彼の横顔を睨みつつ、ペニスをギュッと握り締める。
「ひぎっ!? な、何!?」
「何じゃありません。どうして私以外の魔物娘のセックスを見て興奮なさるんですか?」
「そ、そりゃ……誰だって興奮しちゃうよぉ……」
それは男に留まらず、女にだって言えることかもしれない。しかし、そんな言い訳など魔物娘に通用しない。否、嫉妬深い事で知られる白蛇の機嫌を損ねるだけだと後々になって気付き、慌てて弁明しようとしたが時既に遅し。
ペニスを握り締める手に力が篭り、声にならない悲鳴が伸吾の口から漏れ出て来る。そして彼の悲鳴とは対照的に、白蛇はニッコリと満面の、されど何処か薄ら寒さを感じさせる笑みを浮かべて耳元で囁いた。
「全く……見境の無いオチンチンですこと。ですが、丁度良い機会です。このオチンチンが“誰”の為にあるのかという事を一から教育して差し上げますわ」
「ハ、ハヒ……」
◆
乱交となってから一時間余りが経過したが、互いの肉体を貪り合う肉欲に塗れた行為は治まるどころか、益々加熱してエスカレートしていく一方だ。
大地は一時間の内に様々な体位でヘルハウンドと交わり、五回も彼女の中に濃厚な白濁色の精を注ぎ込んだ。余程溜め込んでいたのか精液の量も半端無く、四回目の中出しで満杯になった子宮から精液が溢れ返る程だ。しかし、魔物娘のフェロモンのせいか、それとも溢れ返った精液の生臭さのせいか、完全に理性という箍が外れた二人は尚も互いの身体を求め続け、傍らに居る友人達の姿など気にも留めようとしなかった。
一方の伸吾の方は互いの身体を上下反対に抱き合いながら性器を舐め合う69で前戯に勤しんでいた。
伸吾が白蛇のヴァギナを舐めたり、指を入れたりし感触と舌触りの両方を楽しむのに対し、伸吾の身体に覆い被さった白蛇はバランスの取れた張りのある胸にペニスを挟みつつ、先端が割れた細長い蛇舌で亀頭を弄るという中々どうして男の敏感な部分をピンポイントで攻めて来る。どちらがセックスの主導権を握っているのかなんて、一目瞭然だ。
巧みな攻めの前に伸吾は何度も絶頂に達しそうになるが、その前触れが見られる都度にペニスの根元を強く握られてしまい、結局望んだ絶頂を迎えられなかった。そして強く握る余り、少し赤みを帯びたペニスを小突きながら白蛇は意地の悪い笑みを携えながら尋ねるのだ。
「あらあら、オチンチンが今にも爆発しそうで大変ですね〜。ねぇ、伸吾さん、どうしたいですか?」
「だっ……出したいです……」
「何を出すんですか?」
「せ、精液を……です……」
「何処に?」
「白蛇さんの………アソコに……」
「聞こえませんよ、もう一度しっかり言って下さい」
「〜〜〜! ォ、オマンコ……です!」
女性の性器や破廉恥な言葉に慣れていないからか、伸吾の顔は熟したトマトのように赤色に染まっていた。自分が言った言葉を振り返るだけで、羞恥心の余り胸が一杯になるが、彼女の要望通りに言ったのだからコレで願望が叶う―――と思っていた所に彼女の一言が降って来た。
「では、今言った言葉を繋げて、きちんとした文章にして言い直して下さい」
この時、世界で一番愛しい筈の彼女がこの上なく鬼畜の魔物に見えた。確かに相手は下半身が蛇の魔物だし、何よりも嫉妬すると恐ろしい事は伸吾本人が良く知っている。が、この仕打ちはあんまりだ。口にして恥ずかしい台詞を言い慣れていないと知りながら、敢えて言わせようとするのだから余計に性質が悪い。
涙目になった視線で『酷い』と彼女に訴えるが、加虐心に駆られた白蛇からすれば、それさえも愛おしく見えるようだ。うっとりとした恍惚の笑みが白蛇の顔に浮かび上がり、涙目になった彼に向けて『何が酷いの?』と妖しげな視線で問い掛ける。
元々伸吾は強気に出たり、自分の意見を押し通せるような意思の強い人間ではない。現に彼女の視線で逆に問い掛けられると、困惑と羞恥心を掻き混ぜたような真っ赤な顔をそっぽへ向けてしまう。
まるで恥ずかしがり屋の子供がしてみせるような態度に、白蛇は益々彼と言う人間を気に入ってしまうのであった。最もこの場合のお気に入りは男としてというよりも、弄りがいのある玩具としてという意味合いの方が強いかもしれない。
しかし、幾ら目の前の男が可愛くて仕方がない存在だとしても、このまま羞恥心を理由に物事が進まないのは白蛇としても大変遺憾である。遂に彼女は伸吾の中にある羞恥心という心の壁をこじ開けるべく、奥の手を繰り出した。
「じゃあ、仕方ありませんね。出来れば素直に聞きたかったんですけど、伸吾さんが強情だから悪いんですよ?」
「!?」
そう言いながら彼女の手にゲームに映し出されたのと全く同じ蒼い炎が灯されるのを見て、伸吾の表情が蒼褪める。彼女とセックスをする関係になってから、彼女が可愛いく見える時と、真逆の恐ろしく見える時の二種類が伸吾の中にあった。
そして今の白蛇は後者の部類だ。彼女が上機嫌だと普通の甘い恋人のようなセックスをするのだが、彼女が不機嫌の場合……気に入らない事があったり、気分的にドSな時には、この蒼い炎を用いるのだ。
ゲーム内で蒼い炎は単純に攻撃の一つであったが、現実世界では大きく異なる。この蒼い炎には白蛇の魔力と嫉妬の念が込められており、意中の男が触れた途端、誰もが持ち得る情欲を激しく燃え上がらせ、男を性欲に塗れた野獣に変えてしまう恐ろしい能力を秘めているのだ。
要するに炎を受けた途端、自分が自分で無くなってしまうという訳だ。伸吾自身も今まで幾度か蒼い炎を身体に当てられる体験をした事はあるが、正直に言えば彼は蒼い炎が好きではなかった。苦手と言っても良い程だ。
激しく燃え上がる性欲をコントロール出来ずに暴走する挙句、暴走しても自我がギリギリの瀬戸際で踏み止まる為、記憶もハッキリ残ってしまう。やがて蒼い炎の効果が薄らぎ、ふと冷静に戻った途端に脳裏に過る己の姿に何度泣きそうになった事やら。
それだけは何としてでも避けたい。その一心で伸吾は白蛇に懇願するように叫んだ。
「ま、待っ―――!!」
「待ちません」
だが、無情にも伸吾の願いが言い終わるよりも先に、彼女の台詞が断罪の如く言い放たれた。蒼い炎を纏った白蛇の手が彼の胸に押し当てられ、炎は皮膚に吸収されるように彼の体内へと入っていく。
炎と言う割には熱くもなければ、当然冷たくもない。只、言葉に表し切れない何かが身体の奥底へ流れ込んでいくような感覚だ。まるで口以外の所から体内に入っていくような感じがし、決して気持ちの良いものではなかった。
しかし、その効果は驚くほど速く身体に現れ出した。アルコール度数の高い酒を一気に飲み干したかのような身体の内側を焼き付ける熱が込み上がり、体温が一気に急上昇する。
凄まじい勢いで精子が作られているのではと思える程に股間が疼き、更には自身の勃起で痛みを覚えてしまう程にペニスが膨張し始める。
だが、一番の変化は身体の中に湧き起こる過激な情欲だ。意識を保っていられるのがやっとであり、少しでも気を抜けば情欲に流されて何をしでかすか分からないと確信してしまう程に衝動的な情欲だ。
この荒ぶる情欲を鎮める方法は一つしかない事を伸吾は知っている。いや、知っていると言うよりも身体が覚えてしまっているのだ。そして一度覚えてしまった彼の肉体は白蛇を欲し出していた。
それを察した白蛇は薄らと笑みを浮かべ、彼の顔を両手で優しく包み込みながら囁いた。
「さて、伸吾さん。どうして欲しいんですか?」
「だ、出したいです! 白蛇さんのマンコにオチンチンを突っ込んで、白蛇さんを僕のザーメンでドロドロに汚して滅茶苦茶にしたいです!」
まるで見境無しにペニスを突っ込みたがる発情した雄犬のようだと、白蛇は心の中でほくそ笑む。しかし、彼をこのようにしたのは自分の魔力が原因であり、同時に彼女の望みでもあった。
痴態に塗れる愛しい男の姿を見れて一通り満足した所で、白蛇は仰向けに寝転がって自分のヴァギナに両手の指を当てて押し広げてみせた。
やはり人間の女性とは異なり股と呼ばれる部分が無く、上半身と下半身の境目付近に白いヴァギナが備わっていた。パッと見は蛇の蛇腹に縦の割れ目が付いた程度にしか見えないせいで性的興奮はイマイチ欠けるが、それを広げて中を覗いてみれば若々しい人間の女性と同じ引き締まったヴァギナがそこにあった。
「さぁ、いらっしゃい。思う存分、伸吾さんの若いザーメンを中に吐き出しなさい」
只でさえ伸吾の体内に入った蒼い炎で性欲が暴走していると言うのに、そんなのを堂々と見せ付けられて冷静で居られる筈がなかった。
伸吾は彼女からの申し出に対し、返事をする事も忘れて彼女の身体にしがみ付くと、通常以上に感度が敏感になったペニスで彼女のヴァギナの入り口を見付け出し、ペニスを突き入れた。
直後、慣れ親しんだ肉壺の感触と、蛇の魔物とは裏腹に生温かな白蛇の体温がペニスを優しく包み込む。そして何者にも代え難い充実感に満たされ、口から甘い悲鳴が漏れ出て来る。
だが、それは伸吾だけではない。白蛇も同様であり、剛直したペニスが己の中へ侵入した瞬間、恍惚の笑みと共に妖しげな喘ぎ声を漏らしていた。
「あぁん♥ この男を受け入れている感触……堪らないわぁ♥ さぁ、この後どうするかは分かっていますよね、伸吾さん?」
既に彼女とは何度もセックスしている間柄なのだ。伸吾も彼女からの挑発的な誘惑を受けずとも、何をすべきなのかは頭ではなく身体と本能が理解していた。腰を揺り動かし、何度も何度も繰り返して彼女の敏感な子宮をノックする。
すると最初は猫撫で声で喘いでいた白蛇の声も徐々に本気の喘ぎ声へと変貌していき、遂にはどっちの声なのか分からなくなる程に激しくなっていった。
二人がセックスで変貌していく様を目の当たりにして、大地とヘルハウンドは思わず目を丸くしたものだが、同時に『こちらも負けていられない』という不思議な意地が出始める。
ヘルハウンドが大地の身体に跨り、俗に言う騎馬位の体勢でセックスの主導権を握ると、激しく腰を振り下ろして大地のペニスを根元まで飲み込む。しかし、大地もまた不利な体勢ながらも負けじと腰を突き上げて、彼女の子宮を幾度も勃起したペニスで穿つ。
「ああっ!♥ 大地のペニスでイクッ! イクイクイクゥ!!♥♥♥」
「も、もう駄目だ! 出るぅぅぅぅ!!」
「伸吾さん! 出しなさい! 私のオマンコに伸吾さんのザー汁を注ぎなさい!!♥♥♥」
「うぅぅぅぅ!! アァーっ!!」
ほぼ同時に絶頂の声が上がった瞬間、二人の男は愛しい魔物娘の体内に己の精を吐き出した。そして二匹の魔物娘も男根から注がれる精液が自分の子宮に流れ込むのを感じ取り、その心地良さと快感で身体の芯が震える程の絶頂に達した。
そして暫くの間、自分が放出した熱と彼女の温もりに浸りながら、セックス後の余韻に浸っていたのだが………。
「よしっ、大地! もう一回ヤるぞ!」
「へ? ま、またかよぉ?」
「さぁ、伸吾さん。もう一踏ん張りしましょうね」
「え? だって……今さっき出したばっかりだし……」
余韻を味わう時間の方が勿体無いと言わんばかりに性欲旺盛な魔物娘達は次のラウンドへ移行しようしていた。しかし、大地は何度も精液を出していた男根は草臥れ掛け、伸吾も一度濃厚な精を放ったおかげで炎の効果は薄らいでいた。
つまり男性陣は体力的にも精力的にもヘバっているという訳なのだが、そんな人間様の事情なんて魔物である彼女達が察してくれる筈もなかった。
「おいおい、それぐらいでヘバんなよ! アタイが満足するまで何度もヤルからな!!」
「お、おい! せめて休憩を挟んで―――!」
「問答無用ォー!!」
「ギャー!!」
「さぁ、伸吾さん。もう一度楽しみましょう? 貴方はまだ一回しか出していないんですから、まだもっと出せますよね?」
「あ、あの……此処は友達の家だし、続きは家に帰ってからでも良いんじゃないのかなぁ?」
「…………」
「あっ! ま、待って! ニッコリ笑いながら蒼い炎を手に宿すのは止めて! ヤメテー!!」
寒い季節になると天候が悪くなり、家で過ごす時間が増えるかもしれません。ですが、ゲームのやり過ぎにはご注意を。特にこのような妖しげなアプリゲームには、色々な危険が付き物ですから……。
唯一通れる道は城の正面入り口に設けられた跳ね橋のみだ。しかし、それも上へ跳ね上げられてしまっているので通れる事は事実上不可能だ。
この城は嘗てこの地に君臨した権力者が、自身が此処に居た証し、そして“力”の象徴として建てさせたものだ。そして大勢の人々を雇い入れ、たった一人の傲慢な主の為に働かせていたに違いない。
しかし、それも遠い昔の物語である。今では城内に人の気配は一切感じられず、明かりも月明かりを除けば皆無だ。あるのは蓄積した数百年分の埃と、居なくなった城の主と従者に代わって住みついている昆虫やネズミ、そして部屋の隅々に張り巡らされたクモの巣のみだ。
権力者が君臨していた頃に激戦を潜り抜けたのかは定かではないが、主を守る為の城壁は長い年月に渡る雨風で風化し、所々が欠けてきており、大砲はおろかやや強い地震が襲い掛かっただけで今にも崩れそうだ。
虚しい沈黙と周囲の荒れ地と相俟って、強固な権力を誇示した城は今では寂れた岩の塊と化してしまっていた。
しかし、そんな哀れな城の見張り台と思しき塔の上で相対する二人……いや、二匹の魔物の姿が見受けられた。
漆黒の荒々しい毛並みと黒に近い灰色の皮膚、そしてマグマの炎を彷彿とさせる赤い瞳を兼ね備えたヘルハウンド。
対するは純白の流れる様なストレートヘアーに、穢れの無い新雪の如く白い鱗で覆われた蛇の下半身を持った白蛇。
ヘルハウンドは上半身を地面スレスレにまで低くし、下半身を高く突き上げる四つん這いのポーズを取りながら『グルルル』と低い唸り声と、相手を射抜く鋭い眼光で威嚇する。
一方の白蛇はヘルハウンドの威嚇に気押されるどころか、涼しい顔を浮かべながらクネクネと上半身を揺らしてヘルハウンドを挑発するような笑みを携えている。しかし、その瞳は笑っておらず、寧ろ敵愾心の色が強く浮かび上がっている。
両者の間にあるのは敵対心のみ。ヘルハウンドの威嚇も、白蛇の挑発も、どちらも互い特有のファイティングポーズのようだ。つまり臨戦態勢という訳だ。
互いに睨み合いが続く中、先に仕掛けたのはヘルハウンドだった。四つん這いの格好から、四脚の筋肉をバネのように弾ませて白蛇へ襲い掛かる。
可愛らしい女性の姿とは言え、その牙は狼のそれと何ら遜色はない。獲物を噛み殺し、血肉を貪る為に備わっているものだ。まともに噛み付かれたら一溜まりもない。
だが、白蛇は向かって来るヘルハウンドに対し、自身の持つ強靭な尻尾を鞭のように振る舞い相手を叩き落とした。白蛇の攻撃を受けてヘルハウンドの身体は石造りの床に激しく叩き付けられ、まるで蹴鞠のようにワンバウンドするものの、空中に浮いた僅かな間に器用に体を捻らせ、体勢を立て直して着地した。
ヘルハウンドが華麗な着地を決めたのも束の間、今度は白蛇が蒼白い火の玉を両手から交互に放ち、彼女を追い詰めようとする。
弧を描くように降り注ぐ火の玉をヘルハウンドは右へ左へと素早く動き回って攻撃を避けてみせる。しかし、彼女が避けた後に落ちた火の玉は消えはせず、火の勢いを保ったまま燻り続けていた。もしも誤って踏んでしまえば、彼女の足も少なからずの傷を負うのは目に見えている。
されど火の玉が放たれる速度は然程速くもなく、ヘルハウンドの脚力を持ってすれば回避する事は雑作もなかった。だが、彼女は降り掛かる火の玉に意識を集中し過ぎたが故に視野が狭まり、自分が追い込まれている事に気付いていなかった。
それに漸く気付いた頃には、自身は塔の端へ追い込まれ、周囲は蒼白い炎の海と化していた。正に逃げ場を失ってしまったのである。
そして白蛇はトドメの一撃と言わんばかりに両手を添え、特大の火球を逃げ場の無いヘルハウンドに向けて撃ち放った。今まで適当に放っていた火の玉とは比べ物にならない大きさと速度、無論その威力も言わずもがなだ。
放たれた火球は吸い込まれるようにヘルハウンドへと向かって、やがて盛大な爆発音を立てて彼女に命中する――――筈であった。
火球が命中する直前、ヘルハウンドは自慢の脚力で頭上へ跳び上がって攻撃を躱した上に、火球が引き起こした爆発の勢いを利用して窮地を脱したのだ。
そして九死に一生を得た彼女が降り立ったのは、散々自分を追い詰めた白蛇の背後であった。
白蛇もヘルハウンドの動きには細心の注意を払っていたが、この予期せぬ行動に反応が遅れてしまった。完全に後ろへ振り返るよりも先にガラ空きの脇腹に鈍い衝撃が走り、直後に痛覚が襲い掛かる。
見れば彼女の脇腹にヘルハウンドの鋭い爪が深々とめり込んでいた。一瞬の隙が命取りとなった訳であるが、この程度の傷で悔やんでいる暇など無かった。何故ならヘルハウンドはもう片方の手を構え、更なる一撃を白蛇の顔面目掛けて振り下ろそうとしていたのだから。
流石の白蛇も二撃目を受ける気は更々なく、顔を横へ背ける事で攻撃を辛うじて避けてみせた。そして擦れ違いざまのカウンター攻撃として、蒼い炎を纏った拳をヘルハウンドの鳩尾に叩き込んだ。
蒼い炎がヘルハウンドの無防備な腹を焼き、ジュッと肉の焼ける音と独特の匂いが両者の鼻孔に入る。普通ならば身体が焼ける激痛に耐え兼ねて離れる所だが、ヘルハウンドは我が身の怪我など気にも留めず攻撃を続けた。
自分の鳩尾にめり込んでいる白蛇の腕を掴み、相手が逃げられないようにし、且つ近距離を維持したまま、お返しと言わんばかりに彼女の顎を強く蹴り上げる。強烈な一撃を受けて彼女の身体が大きく後ろへ反れる瞬間を好機と見て、ヘルハウンドは更に追撃を加える。
どんな獲物も容易く切り裂く鋭いヘルハウンドの爪は白蛇の軟な身体に痛々しい傷跡を付け、強靭な狼の足から繰り出される蹴りは彼女の白魚のような肌に内出血を伴う青紫色の痣を付けていく。
それでも決定打に至らなかったのは白蛇が上手くガードし、受けるダメージを可能な限り低くしているからだ。しかし、それも何時までも続けられる訳ではない。このままダメージが蓄積していけば、結局やられてしまうのは目に見えている。
防御に徹し続けていた白蛇だったが、ヘルハウンドが飛び掛かって来きた瞬間に姿勢を低くし、相手の真下を潜り抜けて危機を脱した。そして今度は自分がヘルハウンドの背後を取ると、その背中に先程と同じ火球を御見舞した。
火球はヘルハウンドの背中に命中し、盛大な爆発と共に彼女の身体は吹き飛ばされる。流石にこの一撃は重かったのか、最初に尻尾で弾かれた時と違い、ワンバウンドどころか数回バウンドして石畳の上を転がっていく。
体勢を立て直そうとするも、受けたダメージが大きいのか足元がふらついている。しかし、それは彼女だけじゃない。白蛇も散々痛めつけられたせいか、動きが鈍っている相手に追加の攻撃を仕掛けられる余裕など無かった。
ボロボロとなった相手の姿を観察し、同時に己の肉体に問い掛ける。そこから導き出されるのは、この戦いの長さだ。どちらも疲労困憊であるのは揺るがぬ事実であり、恐らくこの戦いも長くは続かないだろうというのが二匹の共通した認識であった。
つまり、決着は目に見える所までやって来ているという事だ。
相手の出方を待つ―――と戦法も有りだが、今の彼女達はそういう気分ではなかった。目の前に居る相手を一刻も早く潰してやりたいという、魔物のおぞましい一面が垣間見えていた。
奇しくも二匹は事前にタイミングを図っていたかのように、同時に駆け出した。みるみると両者の間は詰められ、遂に互いが得意とする間合いへ踏み込んだ。
蒼い炎を纏った白蛇の拳が、鋭利な爪先を持つヘルハウンドの手が、互いの意地と誇りを掛けて激突する。
そして――――勝者が決定した。
『ヘルハウンド WIN!!』
「ぃよっしゃー! 俺の勝ち!」
「あぁー! 負けたー!」
スマートフォンに上記の文字が映し出された途端、二人の男の反応が真っ二つに別れた。片やスマホ片手に勝利のガッツポーズをし、片や悔しげな表情を浮かべながらスマホと一緒にベッドの上に沈んだ。
二人がやっていたのは魔物アプリの一つである『モンスターファイター』と呼ばれるゲームであり、単純な操作で様々な必殺技や攻撃コンボが打てる、俗に言う格闘ゲームである。
今も述べた様に単純な操作で数多の必殺技を放ち、そして何十種類にも及ぶ豊富な魔物娘というキャラクターを操って戦うというスタンスなので、意外とやり込み要素は多い。
しかし、魔物アプリ自体が極一部の人間にしか知られていない秘密のゲームアプリ故に、認知度は極めて低い。それこそ一握りの人間のみしか知らないと言っても過言ではない。
だが、このアプリゲームの本当の魅力はゲームの内容ではない。ゲームをクリアした後に待っている特典だ。
魔物アプリにはゲームをクリアした後、必ず『人生を棒に振りますか?』という意味深なメッセージが現れる。それに対しYESを選んだ人間は、魔物アプリの真の魅力に取り憑かれ、一生手離せなくなってしまうのだ。
因みに『モンスターファイター』では一人のキャラクターに付き、アーケードモードや通信対戦を含めて通算で百勝した瞬間に上記のメッセージが出現する。
ヘルハウンドを操作していた宮永大地、白蛇を操作していた火々地(かがち)伸吾、両者共に格ゲーを好み、『モンスターファイター』では短期間で百勝を成し遂げる程の腕前を持つ程の男達だ。
そして百勝した後に出て来た“あの”メッセージも二人は迷う事無くYESと答え、それ以降の彼等は充実した毎日を過ごす事となった。何がどう充実しているのかと言うと、男ならば誰もが持つ雄の本能を満たしている……と言った所であろうか。
「それじゃ今日は俺のヘルハウンドでイクぞ〜」
「うー……。やっぱりアレをやるの…?」
「当たり前だろ! その為の戦いだったんだからよ!」
片や大地はニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべ、片や伸吾は落胆するように溜息を吐き出して渋々友人の意見に頷いた。伸吾の了承を確かめた後、大地は自分のスマートフォンに向かって呼び掛けた。
「ヘルハウンド、出て良いぞ〜」
直後、彼の呼び掛けに反応するかのようにスマートフォンの画面が妖しげな濃い紫色の光りで溢れ返るかと思いきや、次の瞬間には画面から黒い塊が飛び出て来た。
画面から出て来たのは、赤い血の様な瞳に漆黒の毛並みを持った一匹の狼だった。先程まで彼が操作していたヘルハウンドに近い特徴を持っているが、あちらは人型であるのに対し、こちらは完全に動物だ。
おまけに1m近くもある体躯は、どう見てもあのスマートフォンの狭い画面から出て来たとは思えない。しかし、そんな常識など最初から見て見ぬ振りをするかのように、大地は気にもせずに狼に歩み寄ると、飼い主が飼い犬にするのと全く同じ動作で狼の頭を優しく撫でた。
「お疲れさん、今日はよく頑張ったなぁ。偉い偉い」
「グルルル……」
大地が褒め称えるように狼に語り掛けると、狼の瞳がニィッとまるで笑顔を理解しているかのように細まった―――その刹那だ。俗に言う『お座り』の体勢を取っていた狼の身体がみるみると変化し始めたのは。
漆黒の毛で覆われていた胴体や太股、上腕から毛が消え去り、代わりに黒と灰色の中間のような柔らかな人間の皮膚が現れる。更に胸元には女性の魅力を象徴する豊満な胸が存在していた。次いで身体の体格も四足歩行から、二足歩行に適した体格へと変貌していき、益々人間に近付いて行く。
そして極め付けが顔だ。狼男から人間に戻る過程を見ているかのように顎が収縮していき、顔を覆っていた毛も縮んでいき、遂には消えて無くなった。やがて狼の顔から人間の顔へと完全に変わると、そこには逞しさと美しさを兼ね備えた美女の顔があった。
いや、顔だけではない。細身ながらも無駄の無い筋肉質の肉体に、所々が露出して男を魅了してしまいそうな灰色の肌。そして炎を彷彿とさせる真っ赤な瞳に手足の漆黒の毛……そう、それは紛れもなく大地が今さっきまで操作していたヘルハウンドそのものであった。
これがゲーム後の特典―――魔物娘を実現化させ、自分の傍に置いておけるようになるというものだ。最初は大地も伸吾もスマホから出て来た具現化した魔物娘を見て、大いに混乱したものだが、今では慣れて平然としている。いや、平然としているどころか、甘い恋人のような雰囲気にさえ発展している。
「大地ぃ、よくやったぞ〜! 流石はアタイを操作するだけの事はあるなぁ!」
「うわっ、やめろよ! あんまり頭を撫で回すなよ!」
「何言ってやがんだよ! 今さっきアタイの頭を撫でてデレデレしてやがったくせに!」
人型になったヘルハウンドは大地を力強く抱き寄せると、豊満な胸で彼を受け止め、肉球の手で彼の後頭部を撫で回す。余り子供扱いされるのが好きでないのか、それとも二房の巨乳に頭を挟まれながら撫でられるという行いが恥ずかしいのか、大地は顔を真っ赤にしながら文句を口にする。
それを遠目から見ていた伸吾は苦笑いを浮かべて『相変わらずだな……』とボヤき、目の前の二人のバカップル並の遣り取りを赤の他人のように見守っていたが、ヘルハウンドの野性味の帯びた鋭い視線が伸吾の方へ向けられた瞬間にビクリと背筋を震わせた。
「さてと……それじゃ今日はアタイが勝ったんだから、思う存分楽しませて貰おうかしらねぇ〜」
ヘルハウンドが狼だとしたら、大地は恐らく彼女のお気に入りの雄という部類に当て嵌まるだろう。では、大地の友人である伸吾は一体何か?
答えは一つ……只の哀れな生贄の子羊である。
◆
アプリゲームに存在する魔物娘はどういう訳か性欲が極めて旺盛であり、二人がそれぞれ愛用しているキャラクター……ヘルハウンドや白蛇も例外ではなかった。実体化してスマホから出た直後、襲われると言っても過言ではない勢いで二人は彼女達と肉体関係を結ばされた。
可愛い女の子を欲していた大地からすれば嬉しい事この上なしだが、ちゃんとした手順を踏みたかった伸吾にとってはちょっとしたトラウマである。
それからというもの二人は魔物娘達と肉欲を貪り合う日々を過ごしていたのだが、余りにもやり過ぎる為に飽きが生じ始めて来た。所謂マンネリ化というヤツだ。
そこで大地は『モンスターファイター』で勝負し、勝った方の魔物娘で3Pセックスをするという独自のルールを提案したのだ。伸吾はイマイチ乗り気ではなかったが、提案者である大地と二匹の魔物娘がこのルールに賛同した為、少数派の彼の意見は無視されてしまうのであった。
「ハァー……♥ 良いねぇ。若くてピチピチした雄を二匹も同時に味わえるだなんてさ」
恍惚の溜息を吐きながらヘルハウンドが見遣るその先には、身に纏っていた依服を全て脱ぎ払い、一糸纏わぬ姿となった大地と伸吾の姿があった。大地は臆するどころか堂々と局部をヘルハウンドに見せ付けているが、伸吾は少なからず抵抗感があるのか両手で隠してモジモジとしている。
それがヘルハウンドの気に障ったらしく、伸吾をキッと強く睨み付ける。
「おい、伸吾! 此処まで来てモジモジすんなよ!」
「そうだぞ、これは罰ゲームなんだぞ。それに今更恥ずかしがってどうすんだよ!?」
「だ、だってぇ〜……」
「ああもう! じれったいな! さっさと来い!」
未だに決断出来ずにいる伸吾に痺れを切らしたヘルハウンドは、局部を隠している彼の手を掴んで自分の元へと引き寄せる。もう片方の手は大地の腰に回し、そのまま抱き寄せるように近付けさせる。
二人の身体に挟まれるように己の身体を密着させつつ、ヘルハウンドは蹲踞の姿勢を取るようにしゃがみ込んだ。
「あはっ! 何だよ、嫌がっていた割にはちゃんとチンポは一丁前に反応してるんじゃねぇか!」
「ううう……」
よくよく見れば伸吾のペニスも大地同様に青筋の血管が浮き出る程に力強く勃起しており、モジモジした態度とは裏腹にしっかりと女性の身体に興奮しているようだ。
また白蛇と何度もセックスしているらしく、年若い青年であるにも拘らず、彼のペニスは一回り大きくなって皮が剥け、色も黒々としている。それは伸吾のみならず、大地も同じだと言える。
ヘルハウンドとしても自分の裸体を見て勃起しない男よりかは、勃起する男の方が遥かに好ましい。最も彼女の場合は相手が勃っていようがいなかろうが、気に入った男ならば襲い掛かって無理矢理交わろうとするのだが。
「さて、それじゃ二本のソーセージを頂いちまおうかねぇ。あむっ♥」
そう言って味比べだと言わんばかりに、ヘルハウンドは大地と伸吾のペニスを交互に口に咥え込む。
大地のペニスは陰茎が中太りしており、ヴァギナの中へ挿入すると前後する度に太い部分がGスポットを擦り、心地良い快感を与えてくれる。伸吾のペニスは大地と比べて亀頭が一回り大きく、これで膣を掻き回されたらと想像するとヘルハウンドの子宮も思わず疼いてしまう。
だが、それは後回しだ。今は二人の雄の味を楽しみながら、何時でも挿入出来るように下準備をするのが最優先だ。
「うああっ、すっげぇ気持ち良い……。犬舌堪んねぇ……」
「あっ…! 肉球も……柔らかい……!」
犬舌のザラザラした感触がペニスの敏感な部分に絡み付き、大地は軽く天井を見上げて蕩けるような笑みを浮かべる。一方の伸吾はヘルハウンドの肉球でペニスを扱かれ、堪らず甘い悲鳴を上げてしまう。
「んー……ぷぁ♥ そろそろ良い頃合いかなぁ〜♥」
両者のペニスを十分に味わい尽くした所で、ヘルハウンドは四つん這いの格好を取り、弾力のある可愛らしいお尻を大地の方へ尽き出し、顔の方は伸吾の方へ向けた。
「それじゃ……今日も前と後ろのお口で一杯出しておくれよ?」
「よぉし! 伸吾、念の為に言っておくけど、これはちゃんとした罰ゲームだかんな! 遠慮せずにガンガンやれよ!」
「う、うん……」
未だに乗り気になれない伸吾に罰ゲームだからと言い聞かして、3Pセックスを促す大地。何時までもウジウジしている伸吾の姿は男らしくないが、裏を返せばゲーム如きで他の女性とセックスしても良いのだろうかと真剣に迷ってしまう程に、ある意味で純粋な男でもあった。
「おら! さっさと食わせろ!」
「あひぃ!!」
だが、そんな真剣に考える彼の意志など無視して、ヘルハウンドは彼のペニスを口に咥える。ペニスを根元まで咥え込まれてしまえば、流石に思慮深い伸吾と言えども何も考えられなくなってしまう。
「へへっ、それじゃこっちもイクぜ!」
そして大地も突き出されたヘルハウンドの大きなお尻を両手で乱暴に鷲掴みにすると、その中央下にある彼女の秘部に己の滾ったペニスを突き入れる。ヘルハウンドがフェラをした際に付いた唾液と、彼女の秘部から止め処なく溢れる愛液が潤滑油となり、勢いを付けて入れただけで彼女の子宮までスムーズに届いてしまった。
「ウッ! ウォォォォォォォン!! ♥♥♥」
固いペニスを子宮口へ叩き付けられる感触に、ヘルハウンドも咥えていたペニスを口から外して獣の雄叫びを上げてしまう。先程までは逞しい姐さん面をしていた彼女だったが、ペニスを入れられた途端に発情した雌犬のように雄を受け入れる快楽に喜びを見い出してしまう。
「オラオラ! これぐらいでへばるなよ!」
「へ…へへっ! 誰がへばるだってぇ!? ちょっとビックリしただけさ! 御託は良いから、もっと思い切りアタイの雌を犯しな!」
「おっしゃァ! 行くぞぉ!!」
ヘルハウンドの挑発に敢えて乗る形で、大地は激しく腰を前後させて彼女を攻め立てた。中太りしたペニスが膣口の出入りを繰り返し、その都度にヘルハウンドのGスポットを刺激する。この時の彼の腰振りの勢いと速さは、彼女の膣内が擦り切れてしまうのではないかと思える程に凄まじいものであった。
それに応えるように彼女は膣に力を込めて大地のペニスを扱きつつ、口では伸吾のペニスを咥えながら手で睾丸を撫で回したり、彼の肛門に指を入れて掻き回したりして初心な彼の反応を楽しんでいた。
「あーやっぱ堪んないぜ! ヘルハウンドの中、最高に気持ち良いー!」
「ひゃっ! や、やだ! 指が……お尻にっ! ああっ!」
てっきり一匹の魔物娘を嬲る3Pセックスになるのかと思いきや、蓋を開けてみれば片方の男は果敢に攻め立て、もう片方の男は魔物娘に攻められるという不思議な構図が出来上がっていた。
そうしている内に絶頂へ王手を掛けたのは伸吾であった。乗り気ではなかったとは言え、慣れない犬舌でフェラチオをされた挙句に敏感なお尻の穴まで弄られてしまえば我慢しろと言う方が無理な話だ。
「あっ! 駄目っ! イク――――」
熱が陰部に集中し、性欲の塊を放出するかのように尿道の奥から精液が込み上がって来る。そのまま射精の勢いを抑えきれず、彼女の口に出そうとした瞬間―――
ピチャリッ
「うひゃぁっ!?」
―――不意に伸吾の足元に冷たい液体が掛かり、その冷たさの余り射精するタイミングを見失い、同時に絶頂の予感も何処かへと遠ざかってしまった。
だが、そんな事よりも突然自分の足元に掛かった液体の方が気に掛かった。ふと視線を下に向けてみれば、床の上には何時の間にか水溜りが出来上がっており、そこに自分の片足を突っ込んでいた。
それを見て当然『どうして水溜りが出来ているのだろうか』という疑問に尽きた。雨漏れや水漏れという説が濃厚なので天井を見上げるが、それらしい形跡は何処にも見当たらない。
では、これは一体何なのか。汗や愛液が水溜り並に溜まる可能性は絶対に有り得ない。というか、もしそれが正解だとしたら脱水症状も免れないだろう。
そもそもこの水は何処からやって来ているのかという疑問に気付き、水溜りが作ったであろう水の道筋を辿っていくと……辿り着いたのはベッドに放り出した形で置いた自分のスマホだ。しかも、どういう訳か水は布団の上を伝っているのに、布団は一切濡れていない。
「まさか……」
嫌な予感が……いや、スマホから水が出ているのを見た時点で確信に変わっていたが、兎に角ヤバい事に変わりはない。そして次の瞬間には、それは現実の物となった。
水溜りが突然噴水のように凄まじい水柱を噴き出したかと思いきや、その水柱の中から一匹の魔物娘が現れた。白い巫女衣装に、同色の蛇の下半身、そして白銀のような長い髪を持った白蛇だ。無論、彼女も伸吾がアプリで操っていたゲームキャラクターの一人である。
水柱が収まるのと同時に白蛇は伸吾の背後に素早く回り込み、彼の身体を抱き締めるとそのままヘルハウンドから奪い取るように二人を引き離した。
「あっ! こら、何すんだよ!」
突然目の前からペニスを奪われた事にヘルハウンドは抗議の声と不満に満ちた瞳を奪った張本人へと向けるが、白蛇も負けじと彼女を睨み付ける。それはもう水さえも凍ってしまうのではと思える程に冷たい視線で。
「こんにちは、ヘルハウンドさん。先程振りですわね」
その冷たい視線を一旦引っ込めると、人の良さそうな微笑みを携えてペコリとお辞儀した。だが、白蛇の微笑みが表向きのフェイクだと知っているヘルハウンドは、益々疑念を深めるように眉間に皺を寄せながら彼女を見詰める。
「急に出て来て何をしやがるんだ! 折角、こっちの気分が乗って来たってのによ!」
「あらあら、何をするとは随分な物言いですねぇ。前回、私が勝った時は貴方が約束を破って出て来たではありませんか? というか、貴方がルールを守った時なんてあったでしょうか?」
「ウグッ…! そ、そん時は我慢出来なかっただけだ!!」
「あら、ヘルハウンドさんの辞書に『我慢』という言葉があったなんて驚きですわ」
「ウッセェ!! 馬鹿にしてんのか!!」
クスクスと小さく声を立てて笑う白蛇の姿は大和撫子のように清楚であったが、ヘルハウンドからすれば只単に馬鹿にされているに他ならない。
しかし、白蛇の言い分もまた事実だ。そもそも大地が考えたゲームのルールを破ったのは彼女が初めてではない。
寧ろ最初にルールを破ったのはヘルハウンドだ。白蛇は勝負に負けた時はルールに従ってスマホから出て来るのを我慢していたが、向こうは勝っても負けてもルールを守る気なんて無いと言わんばかりにしょっちゅうスマホから飛び出していた。
遂に白蛇も我慢の限界を超え、今回初めてルールを破ってスマホから自分の意思で出て来た……と言う訳だ。この経緯を聞けば寧ろ悪いのはヘルハウンドなのだが、彼女の欲望に只管真っ直ぐな性格を考えると致し方ないというのが実情だ。
「うーん、よくよく考えたら罰ゲームの意味無い気がしてきたなぁ……」
「それって今更過ぎない、大ちゃん」
大地もヘルハウンドのルール無視を今更ながら指摘し、それに対し伸吾が呆れた口調で突っ込みを入れる。そして最初は単調なセックスが飽きたからという理由で始めたのに、結局皆が出て来ては罰ゲームの意味がないのではという事実に気付く。
「よし、こうしよう。罰ゲームは中止! もうこうなったら乱交だ! 乱交!!」
「そんな投げ遣りで良いの!?」
「細かい事は気にすんなよ。それにお前だって白蛇とセックスしたいんだろ?」
「うっ、それは……そうだけど……」
チラリと大地が友人の股間に視線を落とせば、今にもはち切れんばかりに勃起したペニスに白蛇の滑らか指が優しく絡まり、今にも暴発しそうだった。適当なように見えて実は的を射ている大地の発言に伸吾も口を噤んでしまう。
大地の意見は言い争いを繰り広げていた二匹の耳にも届いたらしく、彼の意見に同意するようにコクリと首を上下に動かした。
「そうですね。何処かの誰かさんの前じゃ罰ゲームなんて無意味でしたし、それよりかは楽しく交尾する方が楽しいですもんね。そうでしょ、伸吾さん?」
「うぇ!? ええっと……ハイ」
「けっ、言われっ放しで癪だけど……ま、どの道ヤる事ヤッてんだから結局は同じか。おい、大地! このままセックスを続けるぞ!」
「おう、そうこなくっちゃな!」
ヘルハウンドと大地は意気投合したように笑い合うが、二人は先程からバックの状態で繋がったままだ。結局何も変わっていないのだが、そんな事を気にする様子もなく大地は雄犬のように腰を振り出しヘルハウンドと野獣のようなセックスを再開した。
そんな荒々しいセックスに触発されたのか、伸吾のペニスがビクンビクンと力強く脈打ち出し、それを掌で感じ取った白蛇は不満気な表情で彼の横顔を睨みつつ、ペニスをギュッと握り締める。
「ひぎっ!? な、何!?」
「何じゃありません。どうして私以外の魔物娘のセックスを見て興奮なさるんですか?」
「そ、そりゃ……誰だって興奮しちゃうよぉ……」
それは男に留まらず、女にだって言えることかもしれない。しかし、そんな言い訳など魔物娘に通用しない。否、嫉妬深い事で知られる白蛇の機嫌を損ねるだけだと後々になって気付き、慌てて弁明しようとしたが時既に遅し。
ペニスを握り締める手に力が篭り、声にならない悲鳴が伸吾の口から漏れ出て来る。そして彼の悲鳴とは対照的に、白蛇はニッコリと満面の、されど何処か薄ら寒さを感じさせる笑みを浮かべて耳元で囁いた。
「全く……見境の無いオチンチンですこと。ですが、丁度良い機会です。このオチンチンが“誰”の為にあるのかという事を一から教育して差し上げますわ」
「ハ、ハヒ……」
◆
乱交となってから一時間余りが経過したが、互いの肉体を貪り合う肉欲に塗れた行為は治まるどころか、益々加熱してエスカレートしていく一方だ。
大地は一時間の内に様々な体位でヘルハウンドと交わり、五回も彼女の中に濃厚な白濁色の精を注ぎ込んだ。余程溜め込んでいたのか精液の量も半端無く、四回目の中出しで満杯になった子宮から精液が溢れ返る程だ。しかし、魔物娘のフェロモンのせいか、それとも溢れ返った精液の生臭さのせいか、完全に理性という箍が外れた二人は尚も互いの身体を求め続け、傍らに居る友人達の姿など気にも留めようとしなかった。
一方の伸吾の方は互いの身体を上下反対に抱き合いながら性器を舐め合う69で前戯に勤しんでいた。
伸吾が白蛇のヴァギナを舐めたり、指を入れたりし感触と舌触りの両方を楽しむのに対し、伸吾の身体に覆い被さった白蛇はバランスの取れた張りのある胸にペニスを挟みつつ、先端が割れた細長い蛇舌で亀頭を弄るという中々どうして男の敏感な部分をピンポイントで攻めて来る。どちらがセックスの主導権を握っているのかなんて、一目瞭然だ。
巧みな攻めの前に伸吾は何度も絶頂に達しそうになるが、その前触れが見られる都度にペニスの根元を強く握られてしまい、結局望んだ絶頂を迎えられなかった。そして強く握る余り、少し赤みを帯びたペニスを小突きながら白蛇は意地の悪い笑みを携えながら尋ねるのだ。
「あらあら、オチンチンが今にも爆発しそうで大変ですね〜。ねぇ、伸吾さん、どうしたいですか?」
「だっ……出したいです……」
「何を出すんですか?」
「せ、精液を……です……」
「何処に?」
「白蛇さんの………アソコに……」
「聞こえませんよ、もう一度しっかり言って下さい」
「〜〜〜! ォ、オマンコ……です!」
女性の性器や破廉恥な言葉に慣れていないからか、伸吾の顔は熟したトマトのように赤色に染まっていた。自分が言った言葉を振り返るだけで、羞恥心の余り胸が一杯になるが、彼女の要望通りに言ったのだからコレで願望が叶う―――と思っていた所に彼女の一言が降って来た。
「では、今言った言葉を繋げて、きちんとした文章にして言い直して下さい」
この時、世界で一番愛しい筈の彼女がこの上なく鬼畜の魔物に見えた。確かに相手は下半身が蛇の魔物だし、何よりも嫉妬すると恐ろしい事は伸吾本人が良く知っている。が、この仕打ちはあんまりだ。口にして恥ずかしい台詞を言い慣れていないと知りながら、敢えて言わせようとするのだから余計に性質が悪い。
涙目になった視線で『酷い』と彼女に訴えるが、加虐心に駆られた白蛇からすれば、それさえも愛おしく見えるようだ。うっとりとした恍惚の笑みが白蛇の顔に浮かび上がり、涙目になった彼に向けて『何が酷いの?』と妖しげな視線で問い掛ける。
元々伸吾は強気に出たり、自分の意見を押し通せるような意思の強い人間ではない。現に彼女の視線で逆に問い掛けられると、困惑と羞恥心を掻き混ぜたような真っ赤な顔をそっぽへ向けてしまう。
まるで恥ずかしがり屋の子供がしてみせるような態度に、白蛇は益々彼と言う人間を気に入ってしまうのであった。最もこの場合のお気に入りは男としてというよりも、弄りがいのある玩具としてという意味合いの方が強いかもしれない。
しかし、幾ら目の前の男が可愛くて仕方がない存在だとしても、このまま羞恥心を理由に物事が進まないのは白蛇としても大変遺憾である。遂に彼女は伸吾の中にある羞恥心という心の壁をこじ開けるべく、奥の手を繰り出した。
「じゃあ、仕方ありませんね。出来れば素直に聞きたかったんですけど、伸吾さんが強情だから悪いんですよ?」
「!?」
そう言いながら彼女の手にゲームに映し出されたのと全く同じ蒼い炎が灯されるのを見て、伸吾の表情が蒼褪める。彼女とセックスをする関係になってから、彼女が可愛いく見える時と、真逆の恐ろしく見える時の二種類が伸吾の中にあった。
そして今の白蛇は後者の部類だ。彼女が上機嫌だと普通の甘い恋人のようなセックスをするのだが、彼女が不機嫌の場合……気に入らない事があったり、気分的にドSな時には、この蒼い炎を用いるのだ。
ゲーム内で蒼い炎は単純に攻撃の一つであったが、現実世界では大きく異なる。この蒼い炎には白蛇の魔力と嫉妬の念が込められており、意中の男が触れた途端、誰もが持ち得る情欲を激しく燃え上がらせ、男を性欲に塗れた野獣に変えてしまう恐ろしい能力を秘めているのだ。
要するに炎を受けた途端、自分が自分で無くなってしまうという訳だ。伸吾自身も今まで幾度か蒼い炎を身体に当てられる体験をした事はあるが、正直に言えば彼は蒼い炎が好きではなかった。苦手と言っても良い程だ。
激しく燃え上がる性欲をコントロール出来ずに暴走する挙句、暴走しても自我がギリギリの瀬戸際で踏み止まる為、記憶もハッキリ残ってしまう。やがて蒼い炎の効果が薄らぎ、ふと冷静に戻った途端に脳裏に過る己の姿に何度泣きそうになった事やら。
それだけは何としてでも避けたい。その一心で伸吾は白蛇に懇願するように叫んだ。
「ま、待っ―――!!」
「待ちません」
だが、無情にも伸吾の願いが言い終わるよりも先に、彼女の台詞が断罪の如く言い放たれた。蒼い炎を纏った白蛇の手が彼の胸に押し当てられ、炎は皮膚に吸収されるように彼の体内へと入っていく。
炎と言う割には熱くもなければ、当然冷たくもない。只、言葉に表し切れない何かが身体の奥底へ流れ込んでいくような感覚だ。まるで口以外の所から体内に入っていくような感じがし、決して気持ちの良いものではなかった。
しかし、その効果は驚くほど速く身体に現れ出した。アルコール度数の高い酒を一気に飲み干したかのような身体の内側を焼き付ける熱が込み上がり、体温が一気に急上昇する。
凄まじい勢いで精子が作られているのではと思える程に股間が疼き、更には自身の勃起で痛みを覚えてしまう程にペニスが膨張し始める。
だが、一番の変化は身体の中に湧き起こる過激な情欲だ。意識を保っていられるのがやっとであり、少しでも気を抜けば情欲に流されて何をしでかすか分からないと確信してしまう程に衝動的な情欲だ。
この荒ぶる情欲を鎮める方法は一つしかない事を伸吾は知っている。いや、知っていると言うよりも身体が覚えてしまっているのだ。そして一度覚えてしまった彼の肉体は白蛇を欲し出していた。
それを察した白蛇は薄らと笑みを浮かべ、彼の顔を両手で優しく包み込みながら囁いた。
「さて、伸吾さん。どうして欲しいんですか?」
「だ、出したいです! 白蛇さんのマンコにオチンチンを突っ込んで、白蛇さんを僕のザーメンでドロドロに汚して滅茶苦茶にしたいです!」
まるで見境無しにペニスを突っ込みたがる発情した雄犬のようだと、白蛇は心の中でほくそ笑む。しかし、彼をこのようにしたのは自分の魔力が原因であり、同時に彼女の望みでもあった。
痴態に塗れる愛しい男の姿を見れて一通り満足した所で、白蛇は仰向けに寝転がって自分のヴァギナに両手の指を当てて押し広げてみせた。
やはり人間の女性とは異なり股と呼ばれる部分が無く、上半身と下半身の境目付近に白いヴァギナが備わっていた。パッと見は蛇の蛇腹に縦の割れ目が付いた程度にしか見えないせいで性的興奮はイマイチ欠けるが、それを広げて中を覗いてみれば若々しい人間の女性と同じ引き締まったヴァギナがそこにあった。
「さぁ、いらっしゃい。思う存分、伸吾さんの若いザーメンを中に吐き出しなさい」
只でさえ伸吾の体内に入った蒼い炎で性欲が暴走していると言うのに、そんなのを堂々と見せ付けられて冷静で居られる筈がなかった。
伸吾は彼女からの申し出に対し、返事をする事も忘れて彼女の身体にしがみ付くと、通常以上に感度が敏感になったペニスで彼女のヴァギナの入り口を見付け出し、ペニスを突き入れた。
直後、慣れ親しんだ肉壺の感触と、蛇の魔物とは裏腹に生温かな白蛇の体温がペニスを優しく包み込む。そして何者にも代え難い充実感に満たされ、口から甘い悲鳴が漏れ出て来る。
だが、それは伸吾だけではない。白蛇も同様であり、剛直したペニスが己の中へ侵入した瞬間、恍惚の笑みと共に妖しげな喘ぎ声を漏らしていた。
「あぁん♥ この男を受け入れている感触……堪らないわぁ♥ さぁ、この後どうするかは分かっていますよね、伸吾さん?」
既に彼女とは何度もセックスしている間柄なのだ。伸吾も彼女からの挑発的な誘惑を受けずとも、何をすべきなのかは頭ではなく身体と本能が理解していた。腰を揺り動かし、何度も何度も繰り返して彼女の敏感な子宮をノックする。
すると最初は猫撫で声で喘いでいた白蛇の声も徐々に本気の喘ぎ声へと変貌していき、遂にはどっちの声なのか分からなくなる程に激しくなっていった。
二人がセックスで変貌していく様を目の当たりにして、大地とヘルハウンドは思わず目を丸くしたものだが、同時に『こちらも負けていられない』という不思議な意地が出始める。
ヘルハウンドが大地の身体に跨り、俗に言う騎馬位の体勢でセックスの主導権を握ると、激しく腰を振り下ろして大地のペニスを根元まで飲み込む。しかし、大地もまた不利な体勢ながらも負けじと腰を突き上げて、彼女の子宮を幾度も勃起したペニスで穿つ。
「ああっ!♥ 大地のペニスでイクッ! イクイクイクゥ!!♥♥♥」
「も、もう駄目だ! 出るぅぅぅぅ!!」
「伸吾さん! 出しなさい! 私のオマンコに伸吾さんのザー汁を注ぎなさい!!♥♥♥」
「うぅぅぅぅ!! アァーっ!!」
ほぼ同時に絶頂の声が上がった瞬間、二人の男は愛しい魔物娘の体内に己の精を吐き出した。そして二匹の魔物娘も男根から注がれる精液が自分の子宮に流れ込むのを感じ取り、その心地良さと快感で身体の芯が震える程の絶頂に達した。
そして暫くの間、自分が放出した熱と彼女の温もりに浸りながら、セックス後の余韻に浸っていたのだが………。
「よしっ、大地! もう一回ヤるぞ!」
「へ? ま、またかよぉ?」
「さぁ、伸吾さん。もう一踏ん張りしましょうね」
「え? だって……今さっき出したばっかりだし……」
余韻を味わう時間の方が勿体無いと言わんばかりに性欲旺盛な魔物娘達は次のラウンドへ移行しようしていた。しかし、大地は何度も精液を出していた男根は草臥れ掛け、伸吾も一度濃厚な精を放ったおかげで炎の効果は薄らいでいた。
つまり男性陣は体力的にも精力的にもヘバっているという訳なのだが、そんな人間様の事情なんて魔物である彼女達が察してくれる筈もなかった。
「おいおい、それぐらいでヘバんなよ! アタイが満足するまで何度もヤルからな!!」
「お、おい! せめて休憩を挟んで―――!」
「問答無用ォー!!」
「ギャー!!」
「さぁ、伸吾さん。もう一度楽しみましょう? 貴方はまだ一回しか出していないんですから、まだもっと出せますよね?」
「あ、あの……此処は友達の家だし、続きは家に帰ってからでも良いんじゃないのかなぁ?」
「…………」
「あっ! ま、待って! ニッコリ笑いながら蒼い炎を手に宿すのは止めて! ヤメテー!!」
寒い季節になると天候が悪くなり、家で過ごす時間が増えるかもしれません。ですが、ゲームのやり過ぎにはご注意を。特にこのような妖しげなアプリゲームには、色々な危険が付き物ですから……。
14/12/13 15:45更新 / ババ
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