連載小説
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汚された花嫁衣裳 ― 貴方、ごめんなさい ―
彰くんとは結婚以来ラブラブよ!
昨日も彰くんと徹夜でラブラブしたんだから!
でも・・・・・
最近はマンネリ気味ね。
最初は騎乗位で軽く三回ほど抜いて、それから後から突いてもらいながらの種付け&乳搾りで最後は対面座位で抱き合いながらのフィニッシュ。
彰くんとのセックスに不満はないわ。
でも・・・・・
私はラブラブをもっとラブラブにしたいの!
世界一エッチでラブラブな夫婦になりたいのよ!
彰くんに赤褌を締めてもらってのセックスにも飽きちゃったな・・・・・。
このままじゃ、牧場の乳牛みたいにただの搾乳セックスになっちゃう!!
私は若葉よ!ただの乳牛じゃないわ!!!



〜 はぁ・・・デザインの依頼が来ないな・・試したいアイディアは山ほどあるのに 〜



― 雲崎衣料品店 ―

魔物娘である「ジョロウグモ」の雲崎楓がが店主を務める、この店はこじんまりとしていながらも少額のオーダーにも懇切丁寧に対応してくれるため、件の「赤褌」以来若葉は懇意にしている。
特に、ホルスタウロスである若葉には既製品の服が入らないことが多々あり、彼女にサイズ直しを依頼することも多かった。
今若葉が座っているのは店の奥の雲崎の工房。
そこかしこに様々なデザイン画が置かれている。
人間から志願してジョロウグモとなった楓は、何でも有名なプレタポルテのデザイナーだったと若葉は風の噂で聞いたことがあるが、それも頷けられるほど彼女のデザインは洗練されていた。
そこで雲崎とハーブティーを飲みながら日々の愚痴を言い合っていた。
やりたいデザインや仕掛けを思いついてもそれを実行に移せないことが多いことや、将来は自分でデザインした花嫁衣裳を着て結婚式をしたいなど蜘蛛型の魔物娘でありながら少女のように語る雲崎。
何でも店先の花嫁衣裳は彼女が自分でデザインした「自分の為の」花嫁衣裳とのことだ。

「何か悩みでもあるのかしら?若葉さん?」

「いや・・・それほどでも・・・」

「嘘。貴方の顔に深刻な悩みを抱えていますって書いてあるわよ?」

「・・・・笑わない?」

「人の悩みを笑い飛ばすほど私は外道じゃないわよ?」

「実はね・・・・」

若葉は雲崎に目下の悩みを打ち明けた。

「ふ〜〜ん、なかなか難しい悩みね」

伴侶との愛ある交わりを求める魔物娘にとっては常に付き纏うとても大きな悩み。

― セックスのマンネリ化 ―

ただの人間の夫婦でも大きな悩みであるが、ある意味セックスが「主食」である魔物娘にとっては死活問題。
特に人間以上の寿命を持つ彼女達は常にパートナーとどのようなセックスを楽しむか、それは現魔王が即位して以来魔界でも大きな問題となっていた。
「外地」である魔界ではそれこそ、パートナーにサバト謹製の「分身薬」を使用してもらっての疑似輪姦(魔物娘が分身薬を服用しての疑似逆輪姦も含む)を楽しんだり、触手の森の奥にあると言われる伝説の樹「子宝宝樹」にトライするといった流行りの「エクストリームスポーツ」に挑戦することもできるだろう。
しかし「門の向こうの国」こと、こちらではそれらの選択肢はかなりハードルが高い。
「外地」である王魔界は濃厚な魔力が渦巻いているおかげで一般市民の渡航がある程度制限されているし、サバト製の魔法薬特に「分身薬」は犯罪者の手に渡るとかなり厄介だ。
故に入手はかなり難しい。
無論、薬局などで買えるような代物ではない。
こちらでは魔物娘専用のラブホテルなど公的に登録された施設で、しかも施設内で使用する一回分しか購入できない。
おまけに「外地」ならいざ知らずこちらでは分身薬は結構な値がする。
年に何回か魔法薬の密輸でコボルトの調査官に捕まる馬鹿がいるくらいだ。
さる大物芸能人がパンツの中に分身薬を隠してこちらに密輸しようとパクられて、「もうパンツは履かない」と記者会見で言い放ったのは有名だ。
もっともその芸能人はその後、伴侶のアリスと不思議の国に移住してこの世からログアウトしてしまったのだが。


「そうだ!若葉さん、ショーウィンドウに飾ってある花嫁衣裳を着てみない?」

「え?いいの?」

「いいって!もともとは自分に合わせてにあつらえて作ったものの着る機会がなくて、結局宣伝用においてある代物だし、着てみたら何か良いアイディアが浮かぶかもしれないわよ?」

若葉は少し悩むと彼女に頭を下げた。

「お願いします・・・」



「できたわよ若葉さん」

姿身に写るのは白無垢を着た若葉。
彰との結婚式ではウェディングドレスを着用した若葉ではあるが彼女も乙女だ。
大和撫子の憧れである白無垢にときめくのも無理からぬことである。

「綺麗・・・・・」

ホルスタウロスの特徴である牛の角も純白の角隠しで隠され、その豊満な果実以外に彼女がホルスタウロスとはわからない。

〜 私にもこんな未来があったのかな・・・ 〜

「人間」のまま彰くんの花嫁になった自分。
神前での婚礼を終えた彰くんは私を閨に連れて行くの・・・
優しく抱きしめて、その逞しい腕で私の胸を・・・・

「いやぁ〜〜〜ん!!そんなに激しく揉んだら・・・私!」

彼女が少々アブないトリップをして身悶えしてしまった瞬間だった。

ピュル!

着物を着る時に下着を着けないのは「様式美」だ。
愛する伴侶との交わりを妄想して性欲が高まっていた矢先に、滑らかな肌ざわりを身上とするジョロウグモの糸をふんだんに使用した生地が彼女の乳首を刺激したのだ。
暴走気味の性欲が濃厚なミルクとなって放出されてしまうのも道理だ。

「・・・・・・雲崎さんごめんなさい」

「・・・・・・・・・・・・」

雲崎の逸品である花嫁衣裳を自らのミルクで汚してしまったのだ。
若葉は弁償も覚悟した。
善意を不意にされた雲崎から声もない。
花嫁衣裳の買い取りなると、30万から50万ほど。
それも中古の場合だ。
これだけの代物100万でも足りないかもしれない。
それだけじゃない。
自分が着るためにデザインした花嫁衣裳を汚されたのだ。
所謂「出禁」にされても文句は言えない。

「お願い許して・・・・なんでもするから」

「!」

雲崎が若葉の手を掴む。

「雲崎さん・・・・?」

「今何でもするって言ったよね?」

「え・・・それは・・・」

「何でもするって言ったよね!!!ウフフ・・・イイこと思いついちゃった・・・」

不気味な笑みを浮かべる雲崎。
その胸元にはアイオライトをあしらったペンダントが妖しく光っていた。


その夜
食事もそこそこに彰は若葉とのセックスを楽しんでいた。
本来、魔物娘と番った人間は食事をとらなくてもそれのみでも生きていくことができる。
とはいえ、若葉も彰も元人間だ。
身体が人間とかけ離れた存在となっても可能な限り「人間らしく」生きていくこと。
それが彼ら夫婦のルールだ。
実際、魔物娘と番った夫婦の中には仕事も何もせず、ただただ惰眠を貪り一日をセックスに費やすことも多い。
魔物娘としてはそれは正常なことかもしれないが、人間的な感性を持っている二人にはいわゆる「魔物らしい」生活に違和感がある。
自分たちがかつて「人間」であったことを忘れずにいることを彼らは選択した。
数度の交わりを終え、二人はベットの中で抱き締め合っていた。
そのまま枕になるくらい大きく豊満な若葉の乳房。
柔らかく、手が沈み込むがしかし重力に負け垂れてしまうこともない。
男が求める理想の乳房だ。
それを独り占めできる幸せを彰は噛み締めていた。
若く、魅力的な若葉の肢体。
いくら抱いても飽きることがない。
だが・・・・・
彰には何かが気になっていた。
微かな「違和感」。
彰は若葉からいつもと違う違和感を感じていた。
それが何であるのか。
それを言葉で言い表すことができなかった。

〜 何かがいつもと違う 〜

彰の感じた違和感。
ぼんやりとした不安が彰を覆いつつあった。


「あの・・・雲崎さんから紹介してもらった若葉です・・・」

くたびれたビルの二階。
不安気に若葉が辺りを見る。
ヴァギナとクリトリス、そしてアナルを同時に弄ぶための凶悪な形状をしたバイブや、女性が男性を犯す際に使用するペニスバンドなどが所狭しと置かれていた。

「ああ事情は聞いとるよ?あんさんも大変やな〜〜。まぁ、これも旦那さんの為やと思うて気張りなはれ」

目の前の少女 ― 狸の耳と尻尾があることから恐らくは刑部狸だろう ― がにこやかな笑みを浮かべる。

「・・・・・早くしてください」

「そう急かすなや。こちとらあんさんの状態を把握せなあかんのや。あんさんも無理矢理や痛いのは嫌やろ?」

若葉は静かに頷いた。

「じゃあ服を脱いでな」

「そんな・・・・」

若葉が顔を赤らめる。

〜 私の身も心も彰くんのモノなのに・・・ 〜

「脱がへんなら手伝うで?ワイはこう見えてもゴールドフィンガーの京香ちゃんとその筋では呼ばれてんで?乳首こねくり回してイイ夢見せたろか?」

そう言うと、京香と名乗る刑部狸がいやらしく指を動かす。

「わかりました・・・脱ぎますだから・・・」

「ったく、覚悟くらい決めてから来いや?」

パサッ・・・
若葉が来ていたセーターを脱ぎ、特注のブラを脱いでその場に置く。
ブラという縛めから解放された若葉の乳房が天をむく。
外気に晒されたせいか、それとも見ず知らずの人物に視姦されている故の恥辱の為か、彼女の乳首はそそり立っていた。

「ほうほう、なかなかのモノを・・・・」

モニュッ!
京香が若葉の乳房を揉む。

「キャッ!」

「キャッて、何カマトトぶってんね!あんさん旦那さんと毎晩毎晩盛っとるやろ!減るもんやないし」

「でもなんで揉むんですか!」

若葉が抗議する。
刑部狸である彼女の胸は実際のところ若葉の半分もない。
どうみても個人的な嫉妬である。

「これほどの身体なら今日の分はすぐに終わるわ。ほないくで」

「はい・・・」

若葉はその刑部狸と一緒に奥の部屋へと向かう。
錆びた鉄の扉の先に何があるのか、それを彼女は知らない。
全ては愛する彰の為。
そう、彼女は自分に言い聞かせていた。
それでも・・・・

「あなた・・・・ごめんなさい」

彼女の呟きが虚飾の部屋に響き、その言葉を聞くものは誰もいなかった。











17/11/12 10:13更新 / 法螺男
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■作者メッセージ
久方ぶりの若葉夫妻です。
今回は王道の「奥さん・・・身体で払ってもらおうか!」ネタです。
リクエストは常時受け付け中です。

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