後編 下 一人芝居のような暴走
「おかしいわね〜?なんで魔物化しないのかしら…?」
もう何回イカせたかわからない。魔力も大量に注いである。通常ならとっくに魔物化してもおかしくない乱れようだった。
「ひっぐ…魔物化? もうあたし魔物だよ…?」
「…なんですって?」
「リストが結婚式に来たら言おうと思ってたんだけど…」
ダークプリーストとは違うすべすべとした皮膜のような翼とハート型の尻尾が生えてくる。頭には異形の角が姿を現す。オリアが人間ではないことを証明するのにこれほど説得力のあるものはない。
「魔界に長く居すぎたみたいなんだ…」
どうやら、冒険中、魔界の空気に徐々に侵されていたようだ。気づいてやれなかった私の責任だ…
「サキュバスになったのはこの町に住み始めてからだから、リストに言う機会がなくて…」
それもそうだろう、二人が更に親しくなっていくのを私は見ていることが出来なかった。いっしょの町に住んでいても、出来る限り会おうとしなかった。たとえ会いに来てくれたとしても理由をつけてすぐに追い返していた。
「言うのが遅くなってごめんな…」
オリアが謝ることは何もないのだ。私が二人の関係に耐えられなかったから逃げていただけだ。
「でも、リストも魔物になってるなんてびっくりしたぜ。もしかしてそれであたしたちを避けてたのか?」
「いいえ、魔物化したのはちょっと前よ… あなたが羨ましいから魔物化してアーチくんを奪おうと… ってあ゛…」
「……詳しく話を聞かせてもらおうか…」
オリア…あなた目が据わってるわよ…
辛うじて生きているようだ。
「あれ…なんで生きてんの?どうみても即死だよねこれ?」
腕やら足の骨が私の周りに散乱している。こんなにバラバラに砕かれても意識があるとはアンデッドは辛いものだ。私の顔も今どうなっているか考えたくない。
「レイバ!!」
アーチが駆け寄ってくる。おいおい、まだ油断するなよ、不意打ちされるかもしれないぞ?
「どうやらスケルトンだったようだな…」
デュラハンさん、人をこんなにしておいてずいぶん冷静ですね。
「元に戻れるはずだ、さっさと体を直せ」
何をそんな… カメ王国の骨亀じゃあるまいし
「そんな簡単にできるはず… ……出来ました」
みるみる体を構成する骨が集まってくる。なんてこったい。
体が直ったのはいいが…裸で復活するのはお約束ですね…
「え…レイバじゃない… 君は誰なの…?」
「一体何を言ってるんだねアーチ君? どこからどう見ても私じゃないか」
新手のジョークにしてはあまり面白くない冗談だったぞ。
「スケルトンは男性からでも生み出すことが出来る。おそらく本当にこいつは、君の言うレイバなのだろう」
「何言ってるんだ?死ぬ前から私はこの格好じゃないか?」
「そして、スケルトンになると記憶が歪む。自分自身のこともあやふやになる」
「自分自身のことくらい余裕だぜ、生まれから死ぬまで話してやろうか?」
「なら自分の性別を言ってみろ」
「バカにするなよ、女に決まってるだろ」
…ん?
「いや!違う!男!男だよ私! あ、あれ?」
…どっちだっけ?
「ど、どっちにしろ今は関係ない!まだ勝負は決まっていないぞ!!」
破れかぶれに斧槍を拾い上げ振りかぶる。この距離なら三人一気に仕留められる。
「食らえ!!
…ってあれ?」
体に力が入らない、そのまま地面に倒れこむしかなかった。
「レイバ!」
アーチが私を抱きかかえる。温かくて気持ちがいい。ずっとこうしていたい気分だ。
「この抱き心地…本当にレイバなんだね…?」
「そうだけどさ…」
何とんでもない基準で人を判断しているんだアーチ…
「魔力が底を尽きそうなようだな」
「魔力がなくなるとレイバはどうなるの…?」
アーチが心配そうに私を見ている。少しは成長したと思っていたが、中身は変わってないようだ。
「また、ただの骨に戻る…」
「そんな!!嫌だよレイバ!!」
「もともと、こうなる予定だったのさ…」
アーチの声が遠くに聞こえる。となるとここでお終いか…
中途半端な結果になってしまったが、時間はちゃんと稼げた。
ちょっとすれば、魔物化したオリアを連れてリストが来る。
アーチのことだし、リストも受け入れてくれるはずだ。
これで俺の役目も終わりだ。
…意識が朦朧としてくる。
「アーチぃ…」
誰だこんな甘ったるい声を出しているのは?……私だな
「アーチね、あったかくていいにおいがする…」
それについては同感です。
「ん〜」
アーチにスリスリするんじゃない。やめなさいっての。
「ねぇ…なでなでしてほしいな…?」
ファー○ーかよ ファー...ブルスコ...ファー...
アーチもわざわざしなくていいから。
「んふふ…」
ずいぶん嬉しそうだな。もういいだろ、ほら、いい加減逝くぞ。
「いや!やっとアーチに会えたんだもん!このままいっしょにいる!」
我ながらわがまま過ぎやしませんか?
「レイバ…?」
アーチも困ってるだろ、早くしろよ。
「うん!レイバだよ!」
違います。違います。違います〜。
「ずっとね、いいたかったんだ! しんじゃってもアーチのことだいすきだよって!」
別の意味でな、そう別の意味、やましい気持ちなどありません。
「アーチがゆみやをピュン!ってうつのかっこいいな〜っておもってたし、やくそうやおくすりでわたしをかいふくしてくれたのもすっごいうれしかった!」
ないない、それはない。
…と否定できないのが悲しい。もうやめてくれ。
「アーチにスリスリされたりギュってしてもらうのもすごいうれしかった!」
これだけは否定しないと…
アーチのスリスリなんて…
最高でした!!
何回アーチが女だったらと思ったことか…
俺が彼女できなかったのはアーチが悪い。
…これは責任とってもらわなければな。
……なんかまずくないか私?
「ねぇアーチ…わたしのこと、すき?」
わたしはとってもと〜〜〜ってもだいすきだよ! ね!わたし!
おいやめろ、こっちに振るんじゃない。
「………」
アーチ…わたしのこときらいなのかな?
嫌いではないと思うんだけどな…
「……好き…だよ」
「やったぁ!!」
「ね!ね!じゃあ!じゃあね……
…エッチしよ!!」
野生動物でももう少しステップ踏むんじゃないのか?
…でも嫌いじゃないです。
「……レイバ!!」
「んふふ…きてぇ…アーチぃ…」
リストさんオリアさん本当にごめんなさい。悪気はないんです。
「レイバ…ずるいよ…やっと…やっと忘れようと思ったのに…」
「だ〜め、わたしのことをわすれるなんてゆるさないんだから♥
わたしのにおいもからだもぜ〜んぶおぼえて、わすれないで♥」
もう知らん、悪いのはこんな術式にしたリストに文句を言ってくれ。
私だってアーチが好きだったんだ。こうなればとことんやらせてもらう。
そのまま私とアーチは快楽に身を任せた。
もう何回イカせたかわからない。魔力も大量に注いである。通常ならとっくに魔物化してもおかしくない乱れようだった。
「ひっぐ…魔物化? もうあたし魔物だよ…?」
「…なんですって?」
「リストが結婚式に来たら言おうと思ってたんだけど…」
ダークプリーストとは違うすべすべとした皮膜のような翼とハート型の尻尾が生えてくる。頭には異形の角が姿を現す。オリアが人間ではないことを証明するのにこれほど説得力のあるものはない。
「魔界に長く居すぎたみたいなんだ…」
どうやら、冒険中、魔界の空気に徐々に侵されていたようだ。気づいてやれなかった私の責任だ…
「サキュバスになったのはこの町に住み始めてからだから、リストに言う機会がなくて…」
それもそうだろう、二人が更に親しくなっていくのを私は見ていることが出来なかった。いっしょの町に住んでいても、出来る限り会おうとしなかった。たとえ会いに来てくれたとしても理由をつけてすぐに追い返していた。
「言うのが遅くなってごめんな…」
オリアが謝ることは何もないのだ。私が二人の関係に耐えられなかったから逃げていただけだ。
「でも、リストも魔物になってるなんてびっくりしたぜ。もしかしてそれであたしたちを避けてたのか?」
「いいえ、魔物化したのはちょっと前よ… あなたが羨ましいから魔物化してアーチくんを奪おうと… ってあ゛…」
「……詳しく話を聞かせてもらおうか…」
オリア…あなた目が据わってるわよ…
辛うじて生きているようだ。
「あれ…なんで生きてんの?どうみても即死だよねこれ?」
腕やら足の骨が私の周りに散乱している。こんなにバラバラに砕かれても意識があるとはアンデッドは辛いものだ。私の顔も今どうなっているか考えたくない。
「レイバ!!」
アーチが駆け寄ってくる。おいおい、まだ油断するなよ、不意打ちされるかもしれないぞ?
「どうやらスケルトンだったようだな…」
デュラハンさん、人をこんなにしておいてずいぶん冷静ですね。
「元に戻れるはずだ、さっさと体を直せ」
何をそんな… カメ王国の骨亀じゃあるまいし
「そんな簡単にできるはず… ……出来ました」
みるみる体を構成する骨が集まってくる。なんてこったい。
体が直ったのはいいが…裸で復活するのはお約束ですね…
「え…レイバじゃない… 君は誰なの…?」
「一体何を言ってるんだねアーチ君? どこからどう見ても私じゃないか」
新手のジョークにしてはあまり面白くない冗談だったぞ。
「スケルトンは男性からでも生み出すことが出来る。おそらく本当にこいつは、君の言うレイバなのだろう」
「何言ってるんだ?死ぬ前から私はこの格好じゃないか?」
「そして、スケルトンになると記憶が歪む。自分自身のこともあやふやになる」
「自分自身のことくらい余裕だぜ、生まれから死ぬまで話してやろうか?」
「なら自分の性別を言ってみろ」
「バカにするなよ、女に決まってるだろ」
…ん?
「いや!違う!男!男だよ私! あ、あれ?」
…どっちだっけ?
「ど、どっちにしろ今は関係ない!まだ勝負は決まっていないぞ!!」
破れかぶれに斧槍を拾い上げ振りかぶる。この距離なら三人一気に仕留められる。
「食らえ!!
…ってあれ?」
体に力が入らない、そのまま地面に倒れこむしかなかった。
「レイバ!」
アーチが私を抱きかかえる。温かくて気持ちがいい。ずっとこうしていたい気分だ。
「この抱き心地…本当にレイバなんだね…?」
「そうだけどさ…」
何とんでもない基準で人を判断しているんだアーチ…
「魔力が底を尽きそうなようだな」
「魔力がなくなるとレイバはどうなるの…?」
アーチが心配そうに私を見ている。少しは成長したと思っていたが、中身は変わってないようだ。
「また、ただの骨に戻る…」
「そんな!!嫌だよレイバ!!」
「もともと、こうなる予定だったのさ…」
アーチの声が遠くに聞こえる。となるとここでお終いか…
中途半端な結果になってしまったが、時間はちゃんと稼げた。
ちょっとすれば、魔物化したオリアを連れてリストが来る。
アーチのことだし、リストも受け入れてくれるはずだ。
これで俺の役目も終わりだ。
…意識が朦朧としてくる。
「アーチぃ…」
誰だこんな甘ったるい声を出しているのは?……私だな
「アーチね、あったかくていいにおいがする…」
それについては同感です。
「ん〜」
アーチにスリスリするんじゃない。やめなさいっての。
「ねぇ…なでなでしてほしいな…?」
ファー○ーかよ ファー...ブルスコ...ファー...
アーチもわざわざしなくていいから。
「んふふ…」
ずいぶん嬉しそうだな。もういいだろ、ほら、いい加減逝くぞ。
「いや!やっとアーチに会えたんだもん!このままいっしょにいる!」
我ながらわがまま過ぎやしませんか?
「レイバ…?」
アーチも困ってるだろ、早くしろよ。
「うん!レイバだよ!」
違います。違います。違います〜。
「ずっとね、いいたかったんだ! しんじゃってもアーチのことだいすきだよって!」
別の意味でな、そう別の意味、やましい気持ちなどありません。
「アーチがゆみやをピュン!ってうつのかっこいいな〜っておもってたし、やくそうやおくすりでわたしをかいふくしてくれたのもすっごいうれしかった!」
ないない、それはない。
…と否定できないのが悲しい。もうやめてくれ。
「アーチにスリスリされたりギュってしてもらうのもすごいうれしかった!」
これだけは否定しないと…
アーチのスリスリなんて…
最高でした!!
何回アーチが女だったらと思ったことか…
俺が彼女できなかったのはアーチが悪い。
…これは責任とってもらわなければな。
……なんかまずくないか私?
「ねぇアーチ…わたしのこと、すき?」
わたしはとってもと〜〜〜ってもだいすきだよ! ね!わたし!
おいやめろ、こっちに振るんじゃない。
「………」
アーチ…わたしのこときらいなのかな?
嫌いではないと思うんだけどな…
「……好き…だよ」
「やったぁ!!」
「ね!ね!じゃあ!じゃあね……
…エッチしよ!!」
野生動物でももう少しステップ踏むんじゃないのか?
…でも嫌いじゃないです。
「……レイバ!!」
「んふふ…きてぇ…アーチぃ…」
リストさんオリアさん本当にごめんなさい。悪気はないんです。
「レイバ…ずるいよ…やっと…やっと忘れようと思ったのに…」
「だ〜め、わたしのことをわすれるなんてゆるさないんだから♥
わたしのにおいもからだもぜ〜んぶおぼえて、わすれないで♥」
もう知らん、悪いのはこんな術式にしたリストに文句を言ってくれ。
私だってアーチが好きだったんだ。こうなればとことんやらせてもらう。
そのまま私とアーチは快楽に身を任せた。
12/07/12 04:05更新 / ヤルダケヤル
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