読切小説
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コタツと魔物娘さんたち
【ごく一般的なサキュバスさんとコタツ】


「ふー、外は随分寒くなったな、早くコタツに入って暖まろう……」モゾモゾ

『そこまでよ!残念だったわね!』

「あれ?なんかZ級映画みたいなセリフが……こ、コタツの中から誰か出てきた?!」

『こたつじゃ身体しか暖まらないけど、ワタシなら心まで温めてあげられるわよぉ……?♡』

「ちょっ、やめ、服を脱がさないでっ……アッー!!」





【スライムちゃんとコタツ】

「ふー、外は随分寒くなったな、早くコタツに入っ……あれ、なんか濡れて……?」

『ばあ〜』ズルズル

「うわっ?!え、液体が動いた!!」

『……ね〜、はやくでんきいれて〜、つめたいの〜』

「え?え?」

『これにはいると、あったかくなるってきいたのに……つめたいよぉ……』

「……俺を襲わないなら、スイッチつけてあげてもいいけど」

『えっ……う〜〜〜ん……』

「……できないなら帰って」

『やだぁ……そと、つめたいもん……かたまって、うごきにくくなっちゃう……』

「ええ……そんなこと言われても」

『…………あ。じゃあ、あなたであったまろ〜っと。それなら、いいよね〜♡』

「ち、ちがっ、そういう意味じゃ……ウ、ウワーッ!」





【レッドスライムさんとコタツ】

「ふー、外は随分寒くなったな、早くコタツに入って……」ゴソゴソ

『……っ』

「あれ、なんかぬるぬるしたのが当たったような……気のせいかな」

『(ど、どうしようっ……出ていくタイミングなくなっちゃった)』

「スイッチスイッチ……かちっとな。あー、あったかい……」

『(布団がジャマで出にくいよお……これだと足にしか絡み付けないし……。
 せっかく気に入ったヒトの家に忍び込めたのにぃ……。
 ちゃんとわたしの事教えて、おはなしして、気に入ってもらって……それでっ、き、キスからはじめたいっ……♡
 あ、そうだ!このヒトが隙をみせるまで待てばいいんだ……!)』

「なんか妙に暖かいような……温度調節いじったっけ?」


〜三十分後〜


『(も、もうガマンできないよぉ……はやく、はやく、ぐちゃぐちゃにしたいっ……)』

「(ゴソゴソ)よいしょ、っと」

『(あ! やった、今なら出れるっ!)』

「はー、トイレ寒いからやだなー」

『(あ、あれ?からだがなんか、思ったように動かせない……。
  形がうまくとれなくて……も、もしかして熱さで溶けていってる……!?)』

「……ふう。寒い寒い、早くコタツに……なんだこれ!?
 あ、赤い液体が、床いっぱいに……うわああっ!!」

『あ……ま、まって!逃げないでー!』




【バブルスライムちゃんとコタツ】

『(だれにもみつからなかったし……この中でまってれば、きっとあのひとが……えへへ)』

『(……はやく、かえってこないかな……)』

 ピッピッピッ……

『え……?な、なに? なんのおと……?』

 ピッピッピッ……ガスガモレテイマセンカ?

『だ、だれ? わたしいがいにも、だれかいるの?』

 ピッピッピッ……ガスガイシャヘ、ツウホウシテイマス……

『(だ、だいじょうぶ、だよね……ぜったい、だれもいなかったもん……)』


 〜十分後〜


「えっ?!ウチでガス漏れ……!? う、確かに少しヘンな匂いが……」
「はい。今から処置しますので、お待ちください」

『(あ、あわわわ……なんで? いっぱい、ヒトがあつまってきたっ……。
 お、おこられちゃうよぉ……うええっ……)』







【ワーキャットさんとコタツ】

「あー、外は随分さむ……うわっ!だ、誰だっ、玄関を開けた瞬間に、何か……?!」

『隙アリみゃーっ……つ、つめたい!おいニンゲン、早くコタツをつけろ!』

「いきなり入って来といて何言ってんだ……覚悟しろよ、この猫野郎!」

『にゃ?』

「お前の丸くなるコタツはない!キタローの家にでも行ってろ!」

『にゃに言ってんのか分からんけど、それなら力づくだ!ネコパンチ!ネコキック!』

「いててっ!ていうかお前の手どれだよ!?」

『ほれほれっ、早くしないとこのキレーな壁で爪とぎしちゃおっかな〜』

「ちょっ、大家さんに怒られるからやめろーっ!わかった、わかったから!」

『はーやーく!はーやーく!みゃーっ!』




【ケット・シーちゃんとコタツ】

「ふー、外は随分寒くなったな、早くコタツに入っ……中になんかいる!?」

『みゃー……ねている子をおこすみゃよ』

「なに勝手に人んちのコタツに入って丸まってんだ、このノラネコめ!」

『にゃっ、ききずてにゃらぬ!
 我は猫の国に代々つたわる、めいけのキゾクであるぞ!』

「猫の身分なんぞ知らんわ!早く出ていけ!
 さもないとお前の姿を撮りまくって動画サイトに毎秒投稿するぞ!」

『にゃにっ?!キサマ、我のきゅーとなぼでーをじろじろうつして、ぐみんどもにこうかいし、はずかしめをうけさせようというのかっ!
 よけいなBGMをつけて、なぜかニンゲンのこえでムダでよけいなアテレコを入れるつもりだみゃ!?』

「めっちゃ人間社会の動物番組事情分かってんじゃねえか!
 まずは風呂場に連れ込んでお湯責めして、薬品まみれにしてやる!」

『や、やだーっ!やめるにゃーっ!おフロになんか入れるみゃーっ!!』





【サイクロプスさんとコタツ】

「ふー、外は随分寒くなったな、早くコタツに……え?!だ、誰ですか!?」

『……』

「(なんでコタツの前に見たことない女性が……?)」

『……もうちょっと、待ってて。もう少しで……直る』

「は、はい?」

『壊れてたから……直しにきた』

「え、あの……そもそもどうやって入ったんですか」

『……大家さんが、変な音と、匂いがするから、見てくれって……。
 もう少しで、火が出るところだった』

「えっ?! そ、そうだったのか……すみません、不注意で」

『……ん、終わった……動作も……うん、問題ない。一応、あなたも確かめて』

「そうですか、良かっ……(こ、この女の人、目が一つだけしか……?!)」

『…………目は、あんまり、見ないで……ほしい』

「す、すみません……! あの、修理代はいくらですか?」

『……いらない』

「えっ? いやでも、そういうわけには」

『わたし……業者さんじゃ、ないから。好きでやってるだけ』

「……」

『じゃあ……お邪魔して、ごめんなさい』

「あ……ま、待って!」

『え……?』

「その……まだ寒いですし、せっかく直してもらったので……。
 コタツで、暖まっていきませんか?」

『………………え、と……』

「あ、いえ!嫌なら断ってください、いきなり言われても困りますよね、すみません……」

『わたし……と、いいん、ですか?……こんな、顔なのに……』

「えっ? いえ、そんな。とても綺麗だと思いますよ。顔立ちはもちろん、その大きな瞳も」

『っ……!?……あ、ありがとう……ござい、ます……』

「じゃあお茶を持ってきますから、コタツに入って待っててください」

『は、はいっ……。  ………………きれい、だって……えへへ……♪』





【ゆきおんなさんとコタツ】

「ふー、外は随分寒くなったな、早くコタツに入って暖まろう……あー、暖かい……。
 さて、十分暖まったところで、さっき買ってきたアイス食べよっと。
 矛盾してる気がするけど、コタツで食うアイスって妙に美味いからなあ……」

 ピンポーン…

「あれ、誰だ?ったくもう、コタツから出たくないのに……はーい!すぐ出ます!」

『どうも、こんばんは』

「(女の人……?なんか妙に肌が青いし、しかもこの時期に着物って……)
 えーと、何かご用でしょうか?」

『お恥ずかしい話ですが……実は、今晩泊まるところがなくて、困っているのです。
 一晩でいいのです、どうか貴方様の家へ置いてはいただけませんか……?』

「……あの、ウチ見ての通り単身者用アパートなんで……それに近くにホテルありますから」

『えっ?!ホテルに行こうとのお誘いですか!?まあっ、なんと気のお早い……♡』

「いやラブホとかじゃないですから……あと俺は一緒に行かないです」

『ちぇっ……でもその、えーっと、お財布も無くしてしまっておりまして……』

「それぐらいなら貸しますよ」

『ご、ごはんもお作りしますから……』

「夕飯はさっきコンビニで買ってきてもう食べたんで」

『し、仕方ありません……あ、貴方様がお求めくださるなら、わたくしのこの身体をっ……』

「いえ困ります」

『………………氷の吐息っ、ふーっ!』 ビュォォォ

「うわっ?!さ、さ、さむっ……なっ、何をしたんですかっ!?」

『あらあら、お身体が震えておりますよ……?
 ゆきおんなのわたくしはまだしも、貴方様が凍えてしまってはいけません、
 さあ早く家の中で、一緒にコタツへ入りましょう……♡』

「さむ、さむい……っ、あ、あああ……」

『うふふふ、今すぐ一つになって、温まりましょうね〜♪♡』


 〜翌日〜


「ううっ……こ、こんな自宅にいられるか!俺は出て行くぞ!」

『まあっ、どうしたのですか?』

「どうしたもこうしたもあるか!一晩中カラカラになるまで絞ってきたのはどこのどいつだよ!」

『だ、だって……ぎゅっとしてると、気持ちよくて、つい……』

「ていうかお前ゆきおんなって言ってたよな!?どうして人の家に上がり込んでくるんだよ!
 雪山に来た男を泊めるほうだろ普通は!」

『だ、だって、このご時世で雪山に迷う人なんて全然来ないんですもん……』

「しかも人が食べようとしてた雪女見だいふくアイスまで勝手に食いやがって!
 『一個ちょーだい♡』が雪女見だいふくで許されると思うなよ!!」

『な、なら、わたくしの身体にある、この大きな二つの大福を食べさせてあげます……♡』ヌギヌギ

「うるせえ!どこが大福だよ!生八つ橋かと思ったわ!!」

『(ブチッ)』

「えっ」

『……貴方様……いま、何か……おっしゃいましたか……?』

「(こ、こいつはヤバい……ケツの穴にツララを突っ込まれた気分だ……氷柱女さんじゃなくてゆきおんななのに)」

『お話がありますので……ちょっと、そこにお座りになっていただけます……?』

「こういう時……俺の一族には伝統的な(魔物娘との)戦いの発想法があってだな……
 それは!逃げッ…… うわっ!さささむっ、外でいきなり吹雪が!?」

「わたくしが起こしました……玄関を開ける9秒前の時点でね……やれやれですわ」

「いやちょっと待て!!それって確か自分の住処から逃がさない為の魔法だろ!?
 なんで雪山でもお前の家でもないここで使えるんだよ?!!」

「いいですか!わたくしが『この家で貴方様と一緒に住みたい』と思ったならッ!
 その時スデに行動は終わっているのですッ!!
 これからッ!貴方様をぶち犯すのにッ!3秒もかかりませんよッ!♡」

「や……ヤンデレさのスケールで……ま……まけた……」





【氷柱女さんとコタツ】

『(ふふふ……この中で待っておれば、不意をついてあの男を襲ってやれるぞ♪)』

『(……しかし、ただこんなところで独り待つのも、寒くてかなわぬ……)』

『(確か、最近のこたつは”はいてく”だから、すぐに暖める方法があったはずだが)』

『お、これか? えーと……とりあえず回してみるかの……』ツマミグイー


〜十分後〜


「ふー、外は随分寒くなったな、早くコタツに入って暖ま……あれ?電気つけっぱだ」

『……ぁ』

「え、なんか声……うわっ!コタツから誰か出てき……」

『あ……ぁぅぅ……♡』

「あの……だ、大丈夫ですか? すごい苦しそうですけど……?!」

『あ、熱いよぉ……からだ、とけちゃうぅ……♡』

「なんか不審者にしか見えないけど……顔めっちゃ赤いし、救急車を呼……
 うわっ?!」

『えへー……つかまえたぞお、ぬしさまぁ♡
 いっしょに”こたつ”であったまろうではないか……♡
 外はさむかったであろう? わしがこころまで温めて、溶けさせてやろうぞ……♡』

「お……俺は……何回犯されるんだ……?
 俺のそばにちかよ……アッー!!」








【ゲイザーちゃんとコタツ】

『しししっ……アタシならコタツに隠れるなんて、メンドくさいコトしなくてもいい』

『さーて、テレビでも見ながらのーんびり待っててやるか〜』

『あいつが帰ってきた瞬間に”暗示”をかけて……あとは……、
 年の瀬ックスからの年越しイキ、そして姫初め……これだな、ししし……♪』




























『……』

『……最近のてれび、なんだかなー』リモコンポチッ

『……』

『……あ、紅白歌合戦はじまった……』

『アタシの好きなB……あ、出てないんだっけ……』

『……』

『……ガキ使……』

『……』

『なんか……まんねりってかんじ……もういいや』プチッ

『……』

『(ずっと待ってるのに、なんで帰ってこないんだろ……)』

『……』

『……あ、”すまほ”にメッセージ来てる……サイクロプスのやつだ』

『ふーん……「今から彼と初詣に行ってきます」……か』

『……』

『……』

『年越しそば、たべたいな……かっぷらーめんでも……』

『でもたぶん、勝手に火にさわったら、怒られるし……』

『外に行ったら……幸せそうなカップルいっぱいいそうで、ヤダな……』

『……』

『……ぐすっ……』

『……』

『……あ、みかん、なくなっちゃった……』


〜おしまエンド〜
18/11/25 21:46更新 / しおやき

■作者メッセージ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
えっ?ゲイザーちゃんかわいそう?
そう思ったお前が慰めに行くんだよ!!!言わせんなはずかしい!!

シリアスが続くとギャグっぽいSSを書きたくなる……前も言ってた?気のせいです。
皆様、風邪などひかないようにコタツに入って暖まってくださいね。
でもコタツで寝落ちすると色々よくないのでだめだぞ!

(挿絵を描いてくれたあすとら君のついったアカウント:@anterdel )

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