読切小説
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Le sapin
「そ〜んな〜よ〜る〜に〜は〜う〜し〜のち〜ち〜♪」
ホルス乳業が乳製品販促キャンペーンソングをサビのみエンドレスで繰り返しゆったりしたテンポで流す、とある街の中心。街のシンボルとも言える巨大なもみの樹が聳える中央広場では、様々なカップル、そして独り身の魔物娘と人間達でごった返していた。
「この寒さなどに負ける程、私達の愛は冷却されていないだろう!ほら!もっと腰を振るがいい!私はどんな攻めでも受け止める――ぁあらああああああっ!」
「ああ!受け止めろ!俺の――俺達の魂の叫び!うおおおおお!」
雪がちらちらと降っているのにも関わらず、オールナイト青姦に挑むアマゾネス夫妻。無駄に熱い声で寝技で突き合う彼女らの勇士に、通りすがりのサキュバス(独り身)が股を濡らす。
「やだ……目の前であんなことされちゃ……♪」
衝動に耐えきれず、彼女は本日家でオールナイト自棄オナニーしようと購入したバフォ工房製のバイブを取り出し、寒いからと身につけていた服を下半身だけ脱ぎ、早速差し込もうと――したところで、黒い肌に包まれた12月生まれのバフォ座の男(独り身)がその手を止めた。なにをするの、とやや恨みがましい視線を男に向けると……その過程で男のナニがアレしているのに気付いた。
「はぁ……はぁ……なぁ……おねぇさん……、ナニ、しようや……」
ロマンのへったくれもない言葉だが、サキュバスはその言葉を話す彼の瞳に、一抹の寂しさが見て取れたのと同時に――直感した。こいつ、いや、この人も私と同じ孤独を持っている存在なんだ、と。
「……あはぁ……ん……♪」
旅のテント生地を加工したズボンの、股間にあるボタンを一つ一つ着実に外していくサキュバス。すでに男の股間はマウントの如く出来た隙間から包む布地を引き延ばしながら隆起している。
ボタンを外し終えたところで、サキュバスは自身の陰唇に左手の人差し指と中指を這わせつつ、右手で彼の枷である布地を開くと……びぃん、と側のもみの樹の如く隆起し膨張したナニが飛び出してきた。
「ひゃあ♪……おっ……きぃ……♪」
既にお互い臨戦態勢に入っている。二人とも、一瞬視線を交錯させると――男が、既にぐちゅぐちゅと愛液に濡れた彼女の〇まんこに前戯もなく一気に突っ込んだ!
「んひゃあああああっ♪」
ぶちぶちと、何かが千切れる音が起こり、一瞬我に還る男だが、その理性をスイッチが入ったサキュバスが一気に吹き飛ばす!押し倒した彼の腕に自身の腕を一気に絡め、そのまま背中に回し、脚も同様に絡める、いわゆるワブユーホールド(らいしゅきほーるど)に持ち込んだのだ!身長がちょうど良かったサキュバスは、そのまま彼の唇を貪るようにキスをし、そのままゴロリと彼を押し倒した。
脱出するにあたって既に為す術のない彼だが、しかし抜け出す理性も彼は同時に失っていた。押し倒されるのと同時に、さらに深く包み込む彼女の膣肉を耕すように、彼は一気に腰を打ち当てる!それは野獣味すら感じられる動きで――!
彼女達は気付いていないが、この一連の流れが、もみの樹の周りにいる人々の魂に火を付けていた。
「アンタぁ、今日はセックスパーリィよぉ……♪御近所さんも呼ぼうじゃないのお……♪」
「い、家に置いた娘は誰に預け――ちょっ!空、空飛んで――!」
淫気に中てられたブラックハーピィが夫と交わりながら集落へと飛び立つ。
「よぉし!今日は此処で性行(バトル)しようぜ……!」
「……ああ、奇遇だな……俺も、すっげぇ、お前と性行(バトル)したいぜ……!」
言うが早いか、がっぷり四つ絡み合ったオーガと男がいた。早くも第一ラウンドが開始され、ばつんっ、ばつんっ、そう肉体同士がぶち当てられる音がもみの樹の回りに盛大に響き渡る。
「お、おねぇちゃぁん……♪ぼ、ボク、ヘンになっちゃいそうだよぉ……♪♪」
「んぁ……い、いいのよ……♪もっと、もっとヘンになりなさぁい……♪どんなにヘンになっても、アタシはアンタを見捨てないわ……♪アンタはアタシのモノだもん……♪」
すっかり出来上がったのは、元弟のアルプと姉サキュバス。周りの目を気にすることなく、するりと服を脱ぐと抱き合いながら、互いの股間に太股を当て合い、唇を交わしながら乳首同士で弾き合っていく。
淫魔同士の濃厚な百合プレイは、そのままもみの樹周辺の淫気を上昇させていく。魔力灯の白い灯りが沸き立ち登る空気を透過すると、そのまま桃色に変色するほどに濃厚になった淫気は、もみの樹周りに集まったあらゆる存在を発情させ、ベンチで、煉瓦の床で、花壇の真横で、あらゆる場所でまぐわいを始めさせた。
もみの樹の周囲にある店も慣れたもので、既に対淫気結界及び転移方陣を作動させており、体のいい避難所と化している。結界の中から、毎年の瀬恒例行事であるそれを眺めつつ、ジパングから渡ってきた蕎麦(の魔改造料理、魔界化中だけに)を啜るのが、此処での年末の粋な過ごし方だという。
「今年は何組新しい夫婦が出来るかしらねぇ……」
「子宝は何人恵まれるだろうかなぁ……」
そんなたわいもない会話を交わしつつ、運良く避難できた夫婦や人々は、店の中で椅子に腰掛けつつ、粗茶の代わりにホルス乳業の牛乳を飲むのであった。
その人々の視線もまた、もみの樹に注がれていた。そして同時に――。

――――――

「……今年も、非常に集まりましたね……んんっ♪」
ずぷん、と腰が打ち当てられる。彼女の眼前にいる夫の股間に反り立つ大木は、彼女の愛蜜に濡れた柔肉を押し広げ、神経の集う肉襞を刷り上げていく。
「後処理する立場からしたら……必要以上に……過剰に集まるのは……遠慮して欲しいんだけど……ねぇっ♪」
ずぶずぶと、彼は妻にたぎる己を沈めていく。一寸、また一寸と深く埋め込まれていくそれを揉みほぐすように、彼女の膣肉はうにうにと蠕動し、皮の裏や隆起した棹の血管、カリや裏筋などを優しく舐め擽っていく。
「あんっ♪い、いいじゃないですかぁ……♪」
彼女の子宮までの道を埋め尽くす無数の柔襞は、四方八方から彼女を制圧する肉棒に絡み、身を寄せ、啄むように吸い付いていく。ぺとっ、ちゅ、ぺとっ、ちゅ……両手両足の指で数え切れないほどの、細かく、小さなキス。それが敏感な、一皮剥けた巨木の表皮に加えられていく。同時に、さながら愛撫するかのように、愛液を纏った襞は怒張したそれに纏い付き、香りを染み込ませるかのように何重にも粘り気のある液体を塗りつけ、揉み擽っていく。
「んっ……お前がそう言うなら……俺達の姿を……街のモニターに映しても……いいんだぜ……んっ♪」
深緑色の髪越しに妻の顔を近付け、彼は口付けを交わした。妻の口に満ちている甘い蜜を舐めとるかのように強引に舌を絡めつつ、歯の裏から舌の裏筋まで、あらゆる場所を舐め擽っていく。
「んんんっ……♪んぁ……んむんんんっ……♪」
絡み合った舌越しに伝わる夫の熱、染み込む夫の唾液の味、そして舌から伝わる確かな夫の感触に、彼女はきゅん、と膣を締め上げた。柔らかな肉に包まれたそれは、まるで彼自身の肉棒を埋め込むかのように密着し、奥に貯まる精を吸い出さんと蠕動していく。まるで柔らかな肉の沼の中に導かれているよう……。
「……んっっ♪♪んぉぉんっ♪んんんんんっ♪」
ずるり、と彼は腰を引き、妻の蜜壷から離れようとする。彼女の股間はそれを逃すまいと襞を絡ませ、表面を幾本もの濡れた"舌"で擦り上げていく。彼が舌で彼女の口を蹂躙しているように、皮の内側の部分も含め、彼の男の全てが"舌"で蹂躙されていく。
「んんんんんっ♪♪んんっっ♪♪♪んっ♪んんんっっっ♪♪♪」
全て出し切る前に、彼は再び彼女に腰を押し当てる。とろとろと垂れ流しになる蜜が攪拌され泡立つ音がするのと同時に、彼によって押し退けられた部分の蜜が溢れ、二人の股間を濡らし、貼り付く。同時に、先程まで逸物を引き留めるようにすがりつく肉襞が、今度は先に進むのを押し留めようとまとわりついてきた!
未入の皮被りすら剥ききってしまうのではないかと思えるほどキツく締め、ぬるりぬらりと擦り上げていく。密着する柔肉は彼のモノをそのまま埋め込み、鈴口も含め一気に舐め擽っていく。
それと同時にリング状に隆起した彼女の膣肉は、敏感な箇所であるカリの部分を執拗なまでに擦り上げ、性感を刺激していく。
耕す肉棒と、引き留め、退ける陰唇。それらは互いに共鳴し合うかのように動き合い、幾度も抱擁と接吻を繰り返していく。ぐぢゅ、にぢゅと柔らかな肉襞は幾度となく逸物を撫で上げ、その裏に隠された性感帯をビリビリと刺激していく。
陰嚢の中で、精子が急ピッチで生産され、蓄えられているのを彼は感じていた。蓄えられる度に膨らんだ彼の逸物が、彼の逸物が触れる妻の体が刻む脈の一つ一つを彼に伝えていく。それが無性に彼の精神を高ぶらせていく。
それは彼女とて同じらしかった。彼女が包む彼の逸物は、射精のわななきと共に彼自身の脈を彼女に伝えていく。それを聞き、彼女もまた精神を高ぶらせていく。
「ん……ちゅ……んぶ……ぱぁ……あん……んむ……♪」
深く深く、勢いと衝動に任せて唇を押しつけ、舌を絡ませていく二人。高まる感情そのままに二人の腰が盛大に打ち付けられ、ばつんっ、ばつんっ!と音を立てる。
彼女の深緑色の髪がさわさわと揺れ、夫の顔を柔らかになで上げる。くすぐったさとむず痒さから速めた動きは、さらに彼らを絶頂に向けて高みへと持ち上げていく――!
びくんっ!びくくんっ!
「――んんっ!んんんっっ!んんんんっ!」
射精が近いのか、"彼女"に包まれた彼のそれが盛大に震え始める。微動によりかき混ぜられる膣の感触に、彼女は瞳に一筋の喚起の涙を伝わせつつ力強く抱き寄せる。
それに合わせるように彼が彼女の奥を貫いた――その瞬間、隆起した陰核が、怒帳した彼のそれによって弾かれた!

「――!!!んんんんんんんんんんんん!!」

ぶるり、と震える彼女の体。絶頂時の肉体反応から、潰すかと思えるほどに膣肉が逸物に押しつけられ、締め付けられる!
「――んんっっ!!んんんんんんんんっっ!!」
――びゅっ!びゅるるるるるるぅ〜〜っ!
交わり続けて開いた彼女の子宮に、男の精液が濁流の如く流れ込んでいく!びくり、びくりと震える体を互いに抱きしめ合いつつ、二人は体を走る絶頂の快楽を貪っていた。
膣道を通り、子宮へと大挙として押し掛ける精液に、彼女は自分がはらんでしまうのではないかと思えるほどだった。事実、毎回この年の瀬に彼女は身ごもっている。そして相手のいない男性に託す……それも毎年恒例であった。

と……。

「――ぁ……♪」
「――ん……♪」

二人が交わる、妻の作り出す空間の空気が、徐々に桃色に染まり始める。同時に、仄かに寒さが増していく。
絶頂の余韻にあるはずの二人。だが……その瞳には既に情欲の炎が宿っていた。
「……ちょっと……寒くなりましたね……♪……また、暖め合いませんか……♪」
ふにゃり、と何処かとろけたような笑みで夫に問いかける妻に――。

「――んんぁ♪♪」

――夫は、腰を再び動かすことで応えた。
二人の年の瀬の夜は、長い。

――――――

彼らが交わる度に、もみの樹は周りの淫気を吸い取って、優しい温もりに変えていく。はらり、はらりと魔力の葉が落ち、交わり疲れた彼らの体を覆い包んでいくそのまま彼らの家へと転移させていく。続きは風邪を引かない家で、と言うわけだ。
もみの樹の二人のお陰で今年もまた、この街で年の瀬に青姦による死者も病気発症者も出さずに済んでいた。
同時に……この青姦のお陰もあって、この街の街路樹は来年もまた、蒼々と茂ることになる。

斯くして、この街の年は明けていく。

fin.
12/01/04 10:17更新 / 初ヶ瀬マキナ

■作者メッセージ
ホルス乳業の販促の歌はこちらです。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm12569026

クリスマスということで書いてみた。
きっと心優しいドリアードさんの周りでは青姦が絶えないからこんな感じでみんなを家に送っていたり、淫気処理をしているに違いない。

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