読切小説
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みえないきこえない
何も見えない

それが目が覚めた時の感想だった

別に私は産まれた時から目が見えないわけでもないし、怪我等で見えなくなったわけではない

私は親魔物領の街の近くの森に暮らしているサキュバス……記憶も特に問題ない

つい昨日、寝る前に最近気に入っている小説家の書いた官能小説を読んだことも憶えている

つまりは目隠しか何かが私の目を覆っているということなのだろう

幸い手錠はされていないようなので手で触って確認をすると、確かに布のようなものでできた目隠しが私の目を覆っているようだ

ほのかに魔力を感じることから、おそらく自分の意思では取れないような魔術でも施してあるのだろう

だが、この程度のものであれば私の覚えている解除の魔術ですぐに外せるようになるはずだ

口も防がれていないから魔術の詠唱もできるはず


 「〜〜〜〜!?」


詠唱をしている途中で魔術がかき消されてしまった

…………

室内……あまり広くない……家具も私が今いるベッドだけ……壁にルーン…?……

おそらくこの部屋では体外に放出された魔力が一箇所に一定以上集まると四散されるような魔術が施してあるようだ

あとは………このベッドはワーシープの羊毛が使われているみたいね

消費が激しいからあまりやりたくなかったのだが、私の魔力を薄く広がるように放出し分かった結果がこれだ

魔術を唱えられないようにしていることから手械や足枷をしていないのはなんとなく分かるのだが、何故目隠しだけをしているのだろうか?

多分私を捉えた人は奴隷商人か調教師だと思うのだけれど…………趣味かしら?……

どちらにせよ、私の素敵な旦那様になってくれる人なら良いと思う

今まで自分で色んな男の人を見てきたけれども良い人は見つからなかった、だから逆転の発想で良い人が私を見つけてくれるはずと思って街の路地裏や森の中でオナニーしていたけれど………その結果がこれねぇ………

…………思い出していたら何故かムラムラしてきたので私を捕まえた人が来るまでオナニーしようかしら

ちょうど裸にされてるし

と、そのときドアが開かれるような音と共に男の人の匂いと気配が入ってきた

私を捕まえた人かしら?それとも見張り?

とりあえず声をかけてみましょう


 「ねぇあなた、私を捕まえた人かしら?もしそうだったらなんで私を捕まえたか教えてくれない?」


 「…………………」


彼は何も返事をしないまま私のほうに向かって歩いてくる

むぅ、返事ぐらいしてくれてもいいじゃない

彼が私の側まで来ると、なにやらごそごそしだした

そして広がる濃厚なオスの良い香り

彼は何も言わないまま私の頭を掴み、口の中に己の性器を乱暴に突っ込んできた


 「んぶっ!?」


いきなりだったから少し驚いてしまったけれども、中々良い味をしてるかも………

しかもこの子……皮を被ってるわ………他の女のニオイが付いてないしもしかしたら童貞かも……

彼は私の口の中に突っ込んできたけれどもそれからどうすれば良いのか分からないのか、それとも私の口の中に挿れただけで気持ち良くて動けないのか、私の頭を掴んだまま動かない

結構ビクビクしてるし、もしかしたら両方かもしれないけれど……

そう思っていたら段々と顔も声も知らない彼の事が可愛く思えてきた

………逆に彼を調教してあげようかしら

口の中に入っている皮被りさんに舌を這わせる

唯一先端だけちょこんと顔を出している亀頭と皮の間に舌を滑り込ませる

そうしてゆっくりゆっくりと皮を剥いていく

このただでさえ濃いオスの香りが口の中で更に濃くなっていく感覚……いいわねぇ………


 「あっ………うっ……」


ふふふ、彼も感じているみたい……

にしても、思っていたより可愛い声をしてるわね

やがて完全に剥き終えると彼は口から可愛い声を出しつつも、弱々しく腰を突き入れてきた

そうよ……それで良いわ……

私は舌で愛撫するのを一旦止め、口内全体で彼のモノを受け入れることにした

私なりに彼の調教を受け入れた、という意思表示である

もちろん、私が楽しむためでもあるが

段々と彼の腰の動きが早くなり、彼の性器も今にも射精しそうなぐらいに脈をうっている

あぁ……私の口がオナホみたいに使われているわ………

この目隠しさえ無ければきっと彼のかわいい表情が見れただろう

でもこれはこれでアリかも♥

にしても……そろそろ……かしら……

タイミングを見計らって彼の性器に軽く甘噛みをする

既に射精寸前になっていた事と、私の甘噛みによる予想外の快楽によって彼は私の口の中に射精した

あぁん……結構おいしいじゃないの……♥

私は彼の射精を促すように吸い上げ、射精が終わってもまだ奥の方に残っている精を吸い上げる

私が今回の射精した分を全て飲み干した時、彼は私の口から己の性器を抜き取った

そしてガッチリと私の頭を掴んでいた手を離し、優しく労わるように撫でてくれる

ふふ……優しいのね………

もはや我慢の限界に近くなった私は自らベッドに横たわりM字開脚をした


 「ねぇ……次は…ここに頂戴………」


そして私のアソコがどんな状況になっているか見せ付けるために「くぱぁ」をする

彼に抱かれたい、彼のメスになりたい

今の私にはそのことでいっぱいだった









あれから私の生活は『彼に抱かれている時』と『そうでない時』の二つになった

彼に抱かれている時はただひたすらにお互いを求め合い、そうでない時はオナニーをして彼を待つ

時間や日数の感覚なぞ既に無く、時計やカレンダーを見れない現状ではどうなっているのかは分からない

彼を待ちわび、彼を求める、ずっと交わっていることができないのは残念だが、一匹のメスとしては幸福な方だろうと思う

あと、彼は相変わらず私に話しかけてくれないし、目隠しも外してくれない(私が寝ている時に取り替えているみたいだけれど)

だけれどお風呂に入りたいと言ったら(交わりながら)お風呂に入れさせてくれるし、何か甘いものを食べたいと言ったら(口移しで)お菓子を食べさせてもくれる

私を抱く時もちゃんと気遣ってくれるし、何より愛情を感じる

後ろの処女もあげちゃったし、媚薬で激しく発情されたた事もあった、分身薬や触手薬でのプレイもアリだわ

私はそれで十分なのだ

あの時と同じくガチャリという音と共に彼のニオイが部屋の中へ入ってきた

今回はどんなプレイをしてくれるのか楽しみだわ









彼が私を強く抱きしめながら激しく突き入れてくる

今回だけでも既に5回は中に出してくれているというのにまだまだ衰える気配は無い

おそらく彼はインキュバスになっているのかも知れない

何度も何度も私を抱いているので当然かもしれないが

体を重ねるごとに彼の精が更に美味しくなっていき、同時に愛しさも増していく

今の私にとっては彼が全てであり、それ以外のことなどどうでもいい

そもそも見えないのだからなんとも思わない

彼の6回目の絶頂に私も身を震わせ、彼の唇を奪う

最初にキスをした時はぎこちないもので可愛らしいものだったけれど、今ではすっかり馴れてキスだけでイかされるときだってある

いつもならこのまま何度か続けて無言のまま彼がこの部屋から出て行くのだが、今回はなんだか彼の様子がおかしかった

そわそわしているというか……交わりに集中できてないといった感じである


 「ねぇ………なんか変な感じだけどどうしたの……」


私の言葉に彼はキスを止め、私の頭を軽く撫でる

そうしてこの部屋に来た時からずっと私の目を覆っている目隠しに手を添えた


 「………目隠し外すから眩しいかもしれないけど我慢して」


えっ?

私は耳を疑った

初めて彼が話しかけてくれた上に目隠しも取ってくれると言ったのだ

まだ混乱している私を尻目に彼は目隠しを取り払った

私の視界は長い間真っ暗だったので部屋の明かりがとても眩しい

ゆっくりと目を明かりに慣らしていく

徐々に見えていく彼の顔の感想は、なんだか可愛らしいだった

整った顔立ちではあるがまだ幼さを残しており、なぜだか申し訳無さそうな表情をしている


 「これで君は自由だ、言い方は軽いけど今まで悪かったね」
 「僕の事が嫌いなら殺してくれたって構わないよ、僕はそれほどのことをしてるんだし許してもらえるとも思ってないよ」


あっけからんと言う彼の雰囲気はなんだか寂しそうに見えた

彼のことが嫌い?冗談じゃないむしろ大好きよ

というか私が抱かれている時に何度も『好き』と言ったのにわかってくれなかったのかしら

しかしそれよりも何故今になって彼は私を解放してくれたのだろうか?


 「………待って、色々と聞きたいことがあるからまずはそれからよ」


 「……それもそうだね」


まずは何から聞こうかしら……






彼の話を纏めるとこういうことらしい

彼は街に住んでいる小説家で主に魔物と人間が登場する官能小説を書いているらしい

最近売れ出したのはいいものの次の作品のネタがなくて困っていたそうなのだ

気分転換に散歩していたところ路地裏でオナニーしていた私を見てとあるネタがひらめいたそうなのだが……

濃厚な作品を書くには相応の経験が無いと駄目だろうと判断した彼は私を捕縛してこの部屋に縛り付けたらしい

彼の発想力と行動力に脱帽だわ

男探しに必死な魔物と同じくらいだと思う

で、そのネタの実体験を得るために私に目隠しをして話しかけてくれなかったらしい

私と交わっては小説を書く、そんな生活を続けて今朝その作品が完成したけれど、いわゆる賢者タイムみたいな感じで急に罪悪感が湧き上がってきたそうで私を解放してくれることにしたそうだ


 「……ねぇ、その作品って大体今までの私達の生活と同じって事よね?」


 「そうだよ、設定的には声の出せない調教師がサキュバスに目隠しを付けて調教する生活って感じだけど」


 「じゃあその作品の最後ってどんな終わり方にしたの?」


 「………サキュバスが幼馴染の手で調教師から助けられてその幼馴染と結婚するって感じかな、あとはエピローグで幼馴染との交わりの書いてあるかな」


…………

腑に落ちないわねぇ


 「じゃあちょっと書き直しね」


 「えっ?」


私は彼を押し倒す

私は彼の元から離れるつもりなんてこれっぽっちもない

むしろ彼が私から離れらないぐらいに夢中にしてあげる


 「サキュバスに幼馴染なんて居なかった、サキュバスは最初から調教師のことが大好きで彼がサキュバスを開放した途端魅了の魔法をかけられて調教師もサキュバスが大好きになったってね」

 「それが書き終わったらたっぷりとご褒美をあげるわ、そのあとは次の作品を書くための『ネタ作り』と『実体験』を手伝ってあ・げ・る」


彼は一瞬驚いた表情をしたけれど、すぐに優しい笑みを浮かべて私に身を任せてくれた
12/02/15 22:28更新 / 錆鐚鎌足

■作者メッセージ
『小説家がサキュバスを捕縛、目隠し&言葉を発さないという縛りで調教を試みる』という電波が飛んできたので書いてみました

バフォ「調教って感じではないがの」

サキュ「どちらかというとらぶらぶちゅっちゅしてるだけですね」

それは仕様なので気にしないで下さい

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