読切小説
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まもむす小劇場 どーして梅雨の後に夏が来るのか
昔々、日本のある所に、それはとても可愛らしい少年が住んでいました。
少年は幼くして父親と母親と死別してしまったので、いつも一人でした。
しかし、少年は決して寂しくありませんでした。
何故ならば、彼の周囲にはいつも、頼れる姉貴分のイグニス、清らかなウンディーネ、天真爛漫なシルフ、抱擁力を持つノームの4精霊がいたのです。
少年が物心ついたころから、何故かすでに彼女達はおりました。

「お腹すいた…」
等と少年が言おうものならば
「待ってな!アタシが猪の一匹や二匹取ってきて焼き肉にしてやるさ!」
「それではワタクシは湖へお魚を捕ってまいりますわ」
「木の実取ってくるねー!」
「畑の、収穫してくる…」
と食料の確保に奔走し
「一人じゃ怖くて寝られないよぅ…」
と布団を引き摺って歩こうものなら
「んじゃ、怖いものが来ないように見回ってきてやるさ!」
「私は歌を歌って差し上げますわ〜」
「添い寝してあげるー!」
「膝枕…」
とこのような感じで、常に少年のお世話をしていたのでした。
少年としても、こんな彼女達を姉として心から慕っていました。
そのため、寂しい思いをすることもなくそれはそれは楽しく過ごしていました。


しかし、そんな平穏は長くは続きませんでした。
事の発端は少年が成長し、青年になったくらいの頃です。
彼もやっぱり男、昔は姉として見てきた精霊達を女性として意識するようになり始めました。
ここで青年が
「4人とも俺の翼だ!」
とかなんだとか言って、4人を均等に愛するもげろ野郎ならば何事もなかったのですが。
青年が目覚めた性癖はなんと、おっぱい星人だったのです!
これにより
「昔のように私が歌を歌って差し上げますわ〜」
「そんなのより私が添い寝してあげちゃうよ!」
とウンディーネとシルフがいちゃこらしに来ても
「あ、いや…いいよ」
と素っ気の無い返事を返す青年
これに対して二人の精霊は、あんなに一緒だったのに、とショックを受けてしまいます。
この事から、青年は徐々にウンディーネやシルフとの関係が気まずいことになってしまったのです。
しかし悲劇はこれだけにとどまる事は無かったのです。
青年はおっぱい星人な事に加えて、口数の少ない子の方が好みだったのです!
そのため
「よー、ウンディーネやシルフの奴と喧嘩したんだってな?昔みたいにアタシの胸に抱きついてもいいんだぜ?」
とイグニスが羨ま…基、善意のけしからん誘惑を仕掛けてきても
「いらん」
と、突っぱねたことによって、イグニスともやっぱり気まずいことになってしまったのでした。


青年が精霊三人と気まずい関係になってしばらく経ったある日のことです。
色を知った青年は、遂に溜まりに溜まった性欲を抑えきれなくなってしまいます。
「ノーム!」
熱いパトスを胸に秘め、青年はノームの部屋の扉を開きます。
「…?」
「ごめん、俺我慢できない…!」
突然の襲撃に戸惑い気味のノーム、それを尻目に彼女を押し倒す青年。
「それは嬉しい、だけど…」
ノームは自分だけでなく皆も愛してあげて欲しいと切り出そうとします。
が、その直後
「んっ…!」
青年は彼女の唇に口づけを行いました。
それはもう、舌を絡める濃厚な奴をば
しばらくの間ノームの口内を堪能すると青年は、服を脱ぎだ元気にそそり立つソレを露わにしました。
精霊とはいえノームもやはり魔物娘、性の誘惑には勝てません。
来て、と言わんばかりに青年の背に手を回し引き寄せ、二人は、激しく互いを求めて身体を重ねました。
それはもう家中に何かの軋む音と甘い喘ぎ声が響くくらいに
そして、しばらくにゃんにゃんした後に、青年はノームの膣内にこれまで我慢し続け溜まりに溜まった精を放出したのです。
こうして青年はノームと生涯の契約を結んでしまいました。

これに対して、彼女と同じように幼い頃から世話を続けてきたイグニス、ウンディーネ、シルフの3人が黙っているはずがありません。
光のない目で、シルクのベッドで朝まで愛し合う青年とノームの所に現れたかと思うと
「ノームさんだけなんてずるいですわ!」
「わたしだってえっちな事したい!」
「アタシだっておっぱいあるのに!」
と乱入してきたのです。
が、無口スキーおっぱい星人が彼女達と身体を重ねるはずがありません。
青年は少し考えたのち
「この大地の中で一生愛し合おう」
とノームに囁きます。
それを聞いたノームは
「うん…!」
と頬を赤らめ、嬉しそうに青年を連れて地中へと消えていくのでした。

目の前でいちゃこらしながら地面の中へ消えていく2人を見て、3人の怒りは爆発します。
「幼いころから…ワタクシだって、お世話してきたのにぃぃぃいい!」
そう言って、忌々しい大地を水の中に沈めてやろうとウンディーネは大雨を起こします。
それと同時に
「そんなの…私の風でえぐり返して…!」
とシルフも強烈な風を巻き起こします。
しかし、そんな強力な雨風も雄大な大地には効果はなく、次第にウンディーネとシルフは疲れて果ててしまうのでした。
その後に続き、イグニスも
「アタシだって…アタシだっておっぱい大きいのにぃ!!!」
と、大地を蒸し返して引き摺り出してやろう、嫉妬の炎が燃え上がります。
だがしかし、これまたやはり徒労に終わり、イグニスもまた疲れ果ててしまうのでした。

しかし、毎年6月から9月にかけて、何故か彼女達の力は回復し、今年こそは青年を奪ってやると力を発揮しているのです。
その為、ここ日本では嵐による激しい雨風の後、暑い夏がやってくるようになったのです。

めでたし、めでたし…?
12/08/16 12:22更新 / 猫目

■作者メッセージ
「ふむふむ…じゃから、ジパングでは梅雨や台風で激しい雨風が起きた後、日差しが強くなって暑くなるんじゃな…」
男が話し終えると、バフォメットは納得したように頷く。
「嘘だ」
「えっ…?」
「今、即席で考えた」
それを聞き、バフォメットは頬を膨らませる。
「兄上、わしをだましおったなー!許さんのじゃ!兄上の馬鹿!アホ!間抜け!かいしょーなし!わしの魅惑のロリボディに反応しないふのう!」
そんな罵声に対し、兄上と呼ばれた男は表情変えずに、バフォメットの頬を摘まんだ。
「今度余計なこと言うと口を縫い合わすぞ…大体、お前が眠れないから何かお話聞かせてくれと言ったから考えてやったんじゃないか!」
「ふぁい…ふぉふぇんなふぁい…」

おしまい

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