読切小説
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ワームと追いかけっこ
俺の名前はスレイ。
とある騎士団の隊長で、今は隣国と平原で演習中だ。
演習と言っても内容自体は、
かくれんぼや鬼ごっこ等ほとんど子供の遊びである。
だがそれはあくまで通常のルールのみを見た話。
この演習では特殊ルールが設けられている。
そのルールとは、捕まえた方は自由にして良いというものだ。
これは魔物娘達の要求が強かったが為に生まれたルール。
捕まったら何をされるか分からないという緊迫感を味わう事が出来る、
という事で不満も少なかったのだが……
「ちっ……」
その決定は、俺にとって結構なハンデとなった。
そもそも俺の部隊は女が少なく、
居たとしても既婚だったりして独身の男がかなり多い。
そういうわけで先の提案はうちの隊員にとって魅力的過ぎたため
「残りは、俺一人か……」
クソ真面目に演習という名のお見合いを潜り抜け、
最後の演習にたどり着いた今、人間は俺一人しか残っていない。
他の奴らは経緯はどうあれ皆魔物娘達と一緒になり。
そして、魔物娘側も残るは一人。
その一人からあるラインまで逃げ切るか、
攻撃して撤退させれば俺の勝ちなのだがその一人が最大の難敵だった。

「や〜っと見つけたよ!」
元気な声とともに目の前の地面からその難敵が這い出てくる。
鱗に覆われたそいつは、
俺が何か言う前に黒髪を揺らしつつ突っ込んできた。
その突進は猛烈な勢いではあったが、
ほぼ一直線に突っ込んでくる為避けるのは容易い。
斜め前に跳んで振り返ると、地面が抉れていた。
その痕の先ではむくりと巨体……ワームが起き上がりこちらを向く。
「むうー、どうして逃げるの?」
今度は突進してこない。
こちらの次の一手を見定めているのだろうか。
試しに足を不自然でない範囲でずらしてみる。
すると、恐ろしいぐらいの正確さで奴は足を目で追ってきた。
体まで傾いているのは流石にどうかと思ったが、
そこまで集中されていては、
どれほど技巧を凝らそうと追いつかれるだろう。
「逃げろと言われているんだ、それでは理由にならんか?」
だから、素直に答えることにした。
ぶっきらぼうすぎるかとも思ったが、
「あ〜……なるほど、だから逃げてるんだね!」
問題はなかったらしい。
ワームは大発見をしたかのように頷き、
直後ハッとしたような顔で頭をブンブンと振った。
「って、違うよ!私はあなたを捕まえないといけないの!
お願い、捕まって!そして、交尾しよ!」
そして、再び力を溜めるワーム。
もちろん、こちらも隊長として捕まるわけにはいかない訳で……
「断る!第一、名前も知らない奴と出来るか!」
ワームが飛びかかってくると同時に俺はそう叫んで跳び、
向かってくるこいつの背中に手をつきそのまま跳んだ。
「名前?ああ、私はルーブっていう名前だよ!」
体ごと振り向きつつこいつ……ルーブはそう返してくる。
「そういう問題じゃない!」
元々ワームという種族は頭があまりよくないとは聞いていたが……
「む〜……じゃあ、どういう問題なのさ!」
そう言いつつ高速で追ってくるところを見ると、
どうやらその認識で間違っていないようだ。

少し走ると、大きな岩が行く手を塞いでいた。
ルーブは相変わらず追ってくる。
その速度は落ちるどころか、むしろ上がってすらいるようだ。
「まーてぇー!!」
……これは、どうにかしなければまずい。
走りつつ考える。
このまま走ったところで、俺はこれ以上スピードは上げられれない。
そんなことをすれば、一分もつかどうかだ。
だからといって、殺陣を演じるわけにもいかない。
ちょっとくらいなら凌げるだろうが、
先程の集中力を少しでも発揮されれば危うくなる。
万策尽きたか、そう思ったが……
「もう少し、いくぞぉーー!!」
後ろを振り向きルーブの勢いを見、そして再度岩を見て俺は閃いた。
「いいだろうよ!さあ、全力でかかってこい!」
彼女に振り向き、そう言って構える。
もちろんその構えは受けるためではなく、避けるためだ。
「ふぬーっ!!」
奇妙な掛け声と共にさらに勢いを増すルーブ。
……あんな勢いでぶつかろうとは、俺のことを考えてるんだろうか?
ともかく、俺は岩を背にして待ち構える。
かつて文献で読んだ、轟竜だかを退治する物語の方法を試すべく。
「とーっつげきー!!」
ついにその瞬間が来た。
前にするのが恐ろしいほどの速度のルーブに、俺は真横に体を投げ出す。
脇腹のあたりを角が掠めたような気がした。
だが直撃はしなかったらしく、
狙い通りに俺は両腕で顔を覆うようにして全身で着地する。
後ろの方から、バォゴギャァン!!と凄い音がした。
目論見通りに事が進んだことに安堵して振り返り……
「……………………」
飛び込んできた風景に、俺は絶句した。
いや、むしろ失神しなかっただけマシと言うべきかもしれない。
結論から言えば、「目論見」は成功だ。
だが、「結果」はそうはいかなかった。
俺の身代わりとなり、ルーブの勢いを全身で受けた巨岩は。



ぽっかりと、穴があいていた……真ん中に。



次いで向こうの方から「ビックリしたぁ……」等と聞こえた。
穴の向こうを見る限り痛がっている様子は、無い。
「嘘……だろ……?」
目の前で繰り広げられている状況にそれしか言葉が出てこなかった。
「あ!むぅ〜、かかってこいって嘘ついたの!?」
振り返ったルーブがそう言う。
「え、いや、避けないとは言ってないだろ……!」
何とかそう返すと、ルーブはちょっと前までと変わらない調子で言った。
「そっかぁ……うん、確かに、避けないとは言ってないよね!」
……今この瞬間は馬鹿なのが、余計に怖かった。
「じゃ、じゃあ、そう言うわけだ、じゃあな!!」
一刻も早くこの場から立ち去ろう。
俺の本能が満場一致でそう告げ、その言葉のままに駆け出す……が……

「あーっ!!逃がすかぁ!!」
ルーブの叫び声が聞こえた後、
俺の上を何かが飛び、そして目の前に突き刺さる。
それは、真ん中に大きな何かが貫通したような跡があった。
というか、岩だった。
突き刺さった後に、それは衝撃に耐えきれずに砕け散った。
「っ……!!」
ここまでの異様な展開に、俺はつい硬直してしまう。
いかに戦闘経験があろうと、こんな体験はしたことがなかった。
そして硬直したほとんど直後……
「捕まえたぁっ♪」
俺の胴に何かが巻き付き、地面へと引き倒してきた。
鱗に覆われているのを見て、それがルーブの体だと理解する。
「くぅ……!!」
何とか逃げ出そうとするが……
「ふふ……もう逃がさないもん!
抵抗したって、あなたの力じゃ私を振りほどけないもんね!」
そう言って彼女は、俺の胴に込める力をさらに強くする。
「っ……!!」
ぎりぎり痛くはない、がどう足掻こうと抜け出せない力加減だ。
両腕でどうにかこうにか抜け出そうとするも、
「あ、駄目だって言ったでしょ!」
今度は両腕を彼女の両腕に押さえ込まれてしまった。
彼女の力は強く、押し返すどころかずらすことすら出来ない。
今度こそ、万策尽きてしまったらしい。
「……お前の勝ちだ。
もうこっからはルールに従うさ、好きにしろ。」
観念してそう伝えると、彼女は胴に巻いていた体をするすると解き、
今度は俺の足に巻き付け、両足を纏めてきた。

「えへへ……じゃあ、好きにさせて貰うね?」
そう言うと、尻尾や手で俺の装備を引き剥がしてくる。
もとより俺の装備は軽装で、
防具と呼べるものは手甲やレギンスくらいのものだったので、
全て脱がされるまでにそう時間はかからなかった。
かくして全裸になったわけだが……
「いただきまーす!」
剥き出しになった俺のペニスを、いきなりルーブは自分の中へ招き入れた。
前戯も無しの挿入に面食らったが、
「うぁ……っ!?……っ!」
すぐにそんなことは思考の隅へと追いやられてしまう。
気持ちよすぎるのだ。
とろとろで熱々の膣が、四方八方から容赦なく責め立てて来る。
痛みは無く、快感だけが濁流の如く流れ込んでくるのだ。
女と体を重ねたことなど無かった俺には、
(よしんば重ねたことがあっても無理だろうが)
そんなものは少しも耐えることが出来る筈はなく……
「う……!?ん、んんあっ!!!」
入れてから一分足らずで、俺は彼女の中に精を放ってしまった。
あっけなさすぎる程の、射精。
快感に混じって情けなさがこみ上げてくる。
「あ……♥精液、出て来たぁ♥」
そんな俺をよそに、ルーブは精を吸い上げるかのように体を仰け反らせた。
それに合わせてまた膣内がキュウッと締まる。
「く……ふ、ぁあ……っ」
射精直後のペニスへの攻撃に、俺は喘いでしまっていた。
そんな俺を見て彼女が言う。
「ふふ……まだまだ、いっぱい出して……♥」
まだまだ、いっぱい。
それはつまり、彼女はまだまだ持つことを示していた。
それはそうだ、彼女は恐らく全然体力を削られていない。
対して、俺はさっきの一回だけで相当持っていかれた。
「じゃあ、いくよ……」
このままされていたら、俺の男としてのプライドが無くなってしまう。
それは、なんか、いやだ。
そこまで考えが至ったところで目の前に、
ルーブの、形の良い乳房があるのが見えた。
その先の乳頭は、まるで誘うかのように勃起している。
「く!……は、むっ……!!」
それが見えたときには、俺は顔を起こしそれにしゃぶりついていた。
半ば噛むようにして、その柔らかさを堪能する。
「ふやぁっ!?ちょ、ちょっと……!!」
するとルーブが初めて、快に悶えるように体をくねらせた。
股間への快楽は強まったが、先程までの一方的なものとは違う快楽だ。
それが嬉しくて、俺はさらに攻撃を続ける。
「ん……む、んむ、むぅ……」
今度は唇で乳頭をグニグニと優しくこね回してみた。
「うやぁ……ん……そ、んなに、したらっ、だ、めぇ……っ♥」
またもルーブは悶えた。
しかも、腕を掴む力が弱まり体は少し下の方へと落ちかけている。
そのおかげで、俺の口辺りには柔らかな彼女の乳房が押しつけられていた。
「む、ふ……ん、む、れろれえろ……」
ここまでくるまでに、俺の理性など消し飛びかけていた。
欲望の赴くままに彼女の乳頭を舌先で好き勝手にくすぐる。
それだけではなく、柔らかい周りの乳房を何回も噛む。
甘い香りが鼻から入り込んでくる。
「ひ……ぃ、ん……!!」
言葉少なにルーブは悶える。
それが俺にとどめの一撃を撃たせた。
「はむ……っ」
乳頭を、つい歯で噛んでしまったのだ。
出来る限り加減はしたが、結構強く噛んでしまった。
すると彼女に、大きな動きが見られた。
「ふ、やああぁぁ……っ!!」
大きく嬌声を上げて上を向き、体をブルブルと震わせたのだ。
同時にペニスに襲いかかる強烈な快感。
グチュ、と一気に膣内が締まったのだ。
「んむっ!?は、むっ……!!」
その快感に耐えようと歯を食いしばろうとして、
俺は彼女の乳頭を歯で挟み、そして擦るようにして離した。
「ふ、うあ、だ、め、そんなああぁぁっっぁぁあぁ!!!!」
いや、離したというより離させられたといった方が正しい。
あまりの快感に俺が仰け反ってしまったからだ。
目を閉じ頭を地面に押しつけ快感に震える。
薄れかけた意識をつなぎ止め彼女を見ると、
彼女は俺にのしかかり体重を預け、
俺がそうしているように、ビクビクと時折小刻みに震えた。

「ふ……ふあっ……あ……♥」
その様が可愛くて、たまらず俺は彼女を抱きしめたくなった。
そこで、腕に掛かっている力などもう殆ど無いことに気付く。
どうやら絶頂の際に力が抜けたようだ。
するりと腕を抜き、彼女の柔肌を指先で感じつつ抱きしめる。
「はぅ……っ、抱き締めるの、気持ち良い……♥」
するとルーブはピクン、と震えた後緩んだ顔でそう言った。
「っ、なあ……抱き締められるの、良いのか?」
ゆっくりと力を強めつつそう訊くと、彼女はこう返してくる。
「うん、抱き締められるとっていうより、
何ていうか、私の肌をあなたが触ってるのが……はぅ!」
言われたのが嬉しくてつい力を込めてしまう。
彼女の体に力が入ったのが分かった。
「わ、悪い……痛かったか?」
心配になってそう訊くと、彼女は笑顔で答える。
「ううん、むしろ気持ちよかった……。
でも、やっぱり……交尾、したいよぉ……」
しかし最後にそう言う辺り、ワームらしい。
俺もそれなりに回復してきてはいたし、
叶えてやりたいと思うので、こう訊いてみる。
「なぁ、普通の交尾と、気持ち良い交尾、どっちが良い……?」
「ふぇ??気持ち良い方が良いに決まってるよ……」
当然だというように答えて、我慢できなくなったのか、
もぞもぞと動こうとするルーブ。
「お、おい、もうちょっと待てって……」
「む〜……もう待てないよぉ……」
言葉で制しようとするが、彼女は止まろうとせず、
程なくして股間にかかる快感がまた強まりだした。
ここで流されれば、また最初に逆戻りだ。
そう思い、手で上から下に彼女の背筋をなぞってみる。
「ふ……う……ん……」
狙い通り、彼女の動きが緩慢なものになった。
さらに撫で回すと、もはや完全に動きは止まる。
……やはり、口で言うより体で分からせた方が簡単なタイプらしい。
「はぁ……う……体、ぞわぞわするよぉ……」
「大丈夫だ、それが後で気持ちよくなって返ってくる筈だから……」
そう言いつつ次に背中から首へ指を這わせて、
ゆっくりと、しっかりとなぞっていく。
しばらくの間はルーブも大人しくしていたのだが、
「う、うぅ……く……むぅ……」
彼女はまた、もぞもぞと動き始めた。
流石に、焦らされるのも限界か……?
そう思ったのだが、彼女がとった行動はこちらの予想外のことだった。
彼女は俺の肩の上にある自分の手を動かすと、
片腕で俺の体を持ち上げ、その後俺を強く抱き締めてきたのだ。
てっきり無理矢理犯すためにまた押さえ込まれるかと思っていたので、
びっくりして動きを止めると、彼女は微笑んでこう言った。
「えへへ……私も、あなたをギュウってする。
そしたら、もっと気持ちよくなれるんだよね?」
加減の出来ない力だけの魔物娘だと思っていたが、
きちんと教えれば出来るようだ。
彼女の腕はゴツゴツしていたが暖かく優しかった。
「ああ、そうだ……よく分かってるな。」
答えて俺からももう少し強く抱き締める。
今度は撫でたりせずに、本当にただただ抱き締めるだけ。
ルーブはというと、完全に落ち着いていた。
セックスの途中のワームだとは思えないほどである。
膣内はゆっくりと動いているが、
最初にイかされた時に比べると何とも穏やかな気持ちよさだ。
「ねぇ、もっと、気持ちよくなりたいよ……」
「……ちょっと、痛くても良いか?」
緩んだ表情でそうねだってくるルーブに俺は訊いた。
「んー……痛すぎるのはイヤだな……
あ、でも、私って強いから、相当のことじゃないと痛くないよ?」
自信過剰ともとれるその言い方に、貫通された岩を俺は思い出す。
……確かに、その通りだ。
それならば、これからすることもそう痛くは感じないかもしれない。
そう思って俺は、「それもそうだな」と答え、
彼女の体と頭の間、きれいな首筋に口を近づけた。
「じゃあ、いくぞ……」
そして俺は、そこに傷つけない程度に噛みつく。
「ん……」
優しく、優しく噛んでいくと彼女は一回ブルリと身を震わせ、
「んぅ……ふぅ……」
やがてこちらに体重を預けこんなことまで言う。
「んふ……なんだか、くすぐったいよ……
ねえ……もっと、もっと強く噛んで……」
そう言われては、しないわけにはいかない。
半ば牙を突き立てるようにして、首筋へ歯を押し当てる。
今度は、少し強すぎるくらいに。
力を入れすぎたかと不安になったが、
「ふ、あっ……♥うん……!!
気持ち、いいよ……!く、ふぅ、ん……!」
彼女は体を揺らし悶えていた。
どうやら、このくらいがちょうど良いらしい。
「そうか……それは、良かった……」
そう言ってまた、俺は彼女の首筋を噛む。
さっきので感覚は掴んだので、どんどん噛んでいく。

気づけば俺は彼女の耳の辺りまで噛み続けていた。
それに気づき、一旦口を離す。
「ふ、ゃぁ……ね、ぇ……次は、どうするの……?
もっともっと、気持ちよくして欲しいな……」
その瞬間、彼女がそう問いかけてくる。
「ああ……次はな……?」
言いつつ、顔を彼女の前に持っていく。
そこからは彼女のふにゃふにゃになった顔がよく見えた。
目はとろんとしていて覇気がなく、
それどころかこちらの動きを待ち詫びているようでもある。
とろけさせられていたつもりだったが、
どうやら今はこちらがとろけさせてしまったようだ。
……まぁ、悪くない。
そう結論づけて、続きを言う。
「ほら……口、開けてみろ……」
すると素直にルーブは口を開けた。
そこに俺は口を重ね合わせ、彼女の唇を奪う。
「ふむ……?ん、んふ……ん……」
少しびっくりしたように動きが止まったが、
すぐに彼女はこちらの唇を追いかけてくる。
「ん、む……ん……う……」
触れ合わせるだけの軽いキスを続けるが、
その内に俺はそんなものでは満足できなくなってきた。
もっと、彼女の口の隅々まで味わいたい。
彼女の吐息を味を匂いを、自分のものにしたい。
そう思ったのはなにも俺だけではなかったらしい。
「は……ぁ……あ、む、うりゅ……」
無理矢理舌をねじ込もうとしてくるルーブ。
彼女の要求に対して俺は口を開け、それを受け入れた。
「ん、ちゅ、れぅ……う、んむ……」
すぐさま入り込んでくる彼女の舌。
それはこちらの口の中をゆっくりと這いずり回る。
「れ、あ……ふ……む……」
じっくり、俺の全てを確かめるようなその動きに、
俺の体はピクリと一瞬震えた。
「むぅ、んはぁ……ふふ……」
彼女は一旦口を離すと、満足げに微笑み
「はむ、れう、ずちゅ……ぅ……」
再度舌を俺の口の中へと突っ込んでくる。
蹂躙されている訳ではない。
むしろ、舌と舌とを絡み合わせ互いの中身を伝え合うような感覚だ。
「むぅ……ん……う……」
彼女と俺の口が動く度に、甘い匂いと味が流れ込んでくる。
しばらく経った後、俺達は口だけでなく腕も動かし始めた。
キスの前にやっていたように背筋を撫でたり、ただただ抱き締めたり。
全身で、中からも外からも互いを味わっていく。


そんな甘い時間は、互いの口を離しても終わらない。
むしろ、さらにその甘さを増そうとしていた。
「ねえ……っ、私……もう、どろどろになっちゃいそうだよ……
でも、ね……でも、おまんこが、交尾したいって……」
力が入らないといった様子で、そう伝えてくるルーブ。
もちろん、俺も同じ気持ちだった。
「ああ……じゃあ、気持ち良い交尾、しようか……」
そう言って、ゆっくりと腰を動かす。
ペニスが膣肉に当たり、なぞっていく。
その気持ちよさに、俺のそれは一気に最大まで勃起した。
「はぅっ……!いきなり、おっきくぅ……っ」
彼女もそれを感じ取り、体をくねらせる。
だが、彼女の雌の本能は俺の勃起に対して、
役割を果たすべく膣内の肉を動かしてきた。
グチュリといやらしい音が、彼女と俺の境界から響く。
その音と、肉の快感が俺の身を一層震わせた。
「っ……は、ぁ……っ……」
震えるが彼女の体にしっかりとしがみつく。
そして、彼女の中へとゆっくりペニスを沈めていった。
深くに進んでいくほど、膣の圧力は強くなっていく。
「く……っ……」
声を漏らしつつも、耐える。
気を抜けばすぐに精を吐き出してしまいそうな快感だったが、
俺はイくわけにはいかなかった。
「はぅ……あ……」
ルーブに気持ち良い交尾を教えてやると言った手前だからでもあるが、
一番の理由は、ルーブと一緒でなければ嫌だったからだ。
そしてまた口づけを交わす。
舌同士を絡ませ、唾液を交換する。
いや、交換しているのは唾液だけではない。
「はむ……あむ、う、ん、う……」
唾液の味、体の匂い、そして欲望。
抱き締める腕から、重ねる口から、差し込んでいるペニスから。
自分の全てを俺は彼女に渡していた。
渡したいと欲するほど、彼女を思っていた。
彼女もそれは同じであったらしい。
「む、りゅ……う……んむ……」
彼女も、俺に全てを渡してくる。
口が、指が、肌が、膣が彼女の中身を注いでくる。
苛烈さ、素直さ、感じている事、味、香り、そして好意。
自分の全てをルーブに渡し空っぽになった俺の中に、
彼女の全てが注ぎ込まれていく。
「ん……んふ、ん、んん……!!」
そして、もう一度唇を奪い、吐息を、唾液を流し込む。
俺の中にあったルーブを、彼女に返す。
そして、彼女からも俺が返ってくる。
でも、俺の中のルーブは消えない。
彼女の香りが、味が、全てが微かながら俺の中に残っている。
それが俺にまた、彼女を求めさせた。
「ん、みゅ、んう、う、んっ……!!」
返ってきたばかりの俺を、またルーブに渡すべく舌を絡ませる。
彼女もやはり同じ事をしてくれた。
そしてまた、彼女が俺の中に入ってくる。
入ってくると、俺はそれを返し、返される。
そんなことを繰り返す内に、その間隔は分からないほど短くなり、
自分がもはやスレイなのかルーブなのかすら分からなくなってきた。
「あむ、む、むぅ……ん、むぅ!!」
いや、俺はきっと、その両方なのだ。
俺であって、そして彼女でもあるのだ。
そう考えられるように、いや、
考えることはもう、頭が痺れて出来ていないから、
感じられるようにというのが正しい言い方なんだろう。
「はむ、む、ん、んんっ、は、あぅ……ん……!!」
分かる。
俺は、ルーブと一つのものになっていた。
俺でも、彼女でもないが、そのどちらでもあるものに。
「あむ、むあ、あ、あっ、あっ……!!」

体中がガクガクと震え、頭はギチギチとうるさく締め付けてくる。
それでも、俺は、目の前のこのワームの、ルーブの体を欲し続けた。
押し付けて、刻み込んで、抱き締めて。
応えるように彼女は、俺を求めた。
喰らって、奪って、締め付けて、抱き締めて。
「ふ、あ、あ、あうぅ……っ、く♥ぅん♥
んあぅあぁあ、はあぁあっぁっぁあぁあ……っ」
「ぐ、ぅ、ああっぁあ……っ!!」
彼女の喘ぎとともに膣内の動きが激しくなる。
奥に奥にと、まるで、望む場所に早く来いと急かすかのように。
分かってる……すぐにそこに行くから。
だから、もう少し、もうちょっとだけ、待っててくれ。
言葉など言えない程の快楽の濁流の中、
その願いだけを支えに、俺は彼女の中にもう一段階深く踏み込んだ。
「ぐ、ぁあぁ……っ、は、ああっ……っ!」
瞬間、頭がバチッと弾け飛びそうになる。
でも、イくわけには、彼女を置いていくわけには行かない。
その一念で、絶頂に達するのを堪えようとする。
だが、そんなことはお構いなしに、
彼女の雌の深奥は俺の雄を食らいつくそうと牙を突き立てる。
「く、ふ、あ、は、あぁっ、う……!!」
限界だ、そう思ったとき、俺の意識を引き留めるものがあった。
彼女が、俺と同じようにガクガクと震える腕でしがみついてきたのだ。
まるで、まだいかないで、と懇願するかのように。
少なくとも俺にはそう思えた。
お陰で俺は、絶頂スレスレながらも意識を何とか保てた。
礼を言うように彼女の体を抱き締め指を立てる。
「ね、え……最後に、チュッチュって……!してぇ……っ!」
そう言った後彼女は、凄まじい快感を浴びているだろうに、
俺の正面に顔を持ってくるとこう続けた。
「おね、がい……!もう、わたしぃっ、んああっ!
弾けて、バンって、飛んでっちゃっておかしくなりそうなのぉっ!!」
紅潮したその顔を見て、俺は必死に応えた。
「わかった、分かったよ、分かったから……っむぅっ!!」
狂おしい欲情と愛のままに目の前の口に俺のそれを重ね合わせ、
「む、ちゅ、む、うふ、ん、んんっ、う、むりゅ、ふはっ!
んりゅ、ん、んくぅっ……ん、はっ、はっ……あむんぅうぅ!!」
互いの欲しがるままに口を貪り合う。
陰部で、口で、触れ合う肌や指までも俺たちは繋がっていた。
「む、あうむ、むぐ、っ、はっ、は、はっ……あむっ……!」
腰を振る度に、食らいつかれるペニス。
体が、意識が、思考だけでなく感覚すら狂っていた。
「ふは、あぁっ、良いのっ、おちんちんがぁっ、
私の中でっ、グチュッてされで暴れてぇえっ!!」
「はぁっ、っぅくんあぁ……っ!!!」
いや、狂っていても良い。
狂っているという理由だけでこんな快感から身を引けるものか!
体が、もうやめろと軋みをあげている。
限界だと、止まれと叫んでいる。
そんな体の本能は、雄の本能がかき消してくれた。
……うるさい!うるさいぞ、俺は……ルーブと!!
ルーブというワームを……!俺で染め上げて……!
俺自身も、彼女に染め上げられ……っ!!
「く、うあっぁあっっっぁぁあっぁぁぁああっ!
ふ、ん、く、おあっああ、あああぁぁあぁっぁ……♥♥」
「ふあぅんっ!?あ、あうあっ♥んう、んあうんふああっやああっ♥あはあぁぁ♥♥」
限界を超えて動き続けた肉体はついに、果てた。
体から力が抜け、彼女に縋りつく事すらできずに、
だらんと俺の腕が投げ出される。
彼女も、それは同じようで俺の体にかかる重みがぐっと増した。
「はっ……はっ、か、はっ……」
頭がバチバチする……下半身から何かが止めどなく流れ出ていく……
「はぅ……ん、く、ぅ……♥」
それは、一滴残らずルーブに吸われていった。
俺の雄が吐き出したそれを、ルーブの雌は貪欲に、
出されるそばから吸い尽くしていく。
当分は、止まりそうにもない……。
ルーブに何か声をかけたいが、声すらも出せないほど、
俺の肉体は疲れはてているようだった。
「は……はぁ……ぅっ、くっ……」
声を出そうとしても、出るのはそんな声のみ。

やっと声が出せるようになったのはそれからしばらく後、
腕と指に感覚が戻ってきた頃だった。
ペニスからは未だに精が出続けている。
何とか腕を動かし、彼女の頭を撫でる。
撫でられた彼女はゆっくりと顔を上げた。
とろけた満足げな表情の彼女におれは短く訊く。
「どうだ……?気持ち、良かっただろ……?」
「うん……すっごくって……それに……
あなたの事が、とっても、好きになって……
それがまた、私の何かを熱くさせて……
あのね……上手く言えないけど、気持ちよかったの……」
彼女は微笑んでゆっくり答えた後、再び俺に体重を預けた。
ずっしりとした重みだが、今は心地良い。
「はぅぅ、ん……私……体力には自信あったのに……
一回飛んだら……なんだか、眠くなっちゃったの……」
「ふ……それは、な……?」
そこまで言って、なけなしの力で彼女の体を抱きしめる。
「それが……気持ち良い交尾の証みたいなものなんだ……
とっても気持ちよくて、終わったらぐっと疲れて……
でも、相手のことが、凄く好きになれる……」
「うん……分かるよ……あなたのことを、もう放したくないもん……」
そう言って、ルーブは俺の胸に顔を埋めた。
「ルーブ……?」
「う……?ごめん……私、眠く、なっ……ちゃって……」
そして、そのまま寝息を立て始める彼女。
その頭をそっと撫で、自分自身も体の欲求通りに眠りに就いた。




演習の翌日、俺はある事実を知らされた。
まあ、そう大した事ではない。
うちの国と相手の国が合併するという話だ。
なんでも、もとからこの話は持ち上がっていたらしく
先の演習はその先駆けという感じだったらしい。
要するに、目的は演習と言うより本当にお見合いだったわけだ。
ただ、懸念事項があった。
俺は、何のことだか予想がつかなかったのだが、
まあある意味当然と言えば当然だ。
何せ、それは俺だったんだから。
演習とかこつけたお見合いの場で、
俺のようなクソ真面目な奴はまあ、そりゃあ浮く。
そこで用意されたのが、ルーブだったらしい。
……用意したっつうより、ルーブも暴れん坊で懸念されてたらしいが。
要するに、問題児同士が上手くくっついてくれて万々歳って事らしい。
んでもって、手続きは無事終了。
二つの国は一つにまとまったわけである。
で、俺は何をしてるかって言うと……

「ねぇねぇ、こっちは砕かなくって良いの?」
「ああ、そっちは良い。
そこは川が氾濫しないようになってるんだ。」
ルーブの手綱を握らされている。
何でも、俺以外の言うことは聞く気がないって事らしい。
あちらさんからは、良く手懐けられたな、なんて言われたが……
「うん……よし、それじゃあここで終わりだね!」
「ああ、良く頑張ったな。」
「へへ、もっと褒めて〜撫でて〜」
「ふふ、よしよし、良くやった、偉いぞ〜」
「んへへぇ〜……」
俺はつい格好つけてこう言ってしまった。
(手懐けたんじゃなくって、通じ合っただけ。
きちんと分かってやれば良い奴だぞあいつは。)
……思い出しても、身震いする。
あまりに格好付けすぎだ。
「そうだスレイ、水浴びに行こ!私だけが知ってる場所があるんだ!」
「ん、分かった……じゃあ行こうか!」

まあでも……こいつのためなら格好付けても、許されるよな!
17/05/29 21:42更新 / GARU

■作者メッセージ
竜族……三種目……ッ!!
いやぁ……ワームは、なんつうか体は大人、頭脳は子供、って感じの可愛さで
すっごい可愛いよぉ……
(可愛いって二回言ったけど、細かい事は良いんだ、多分。)

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