マーシャークにコロされて
これから冬が到来することがよく分かる、そんな天気の中水平線が一望できる岬に一つの影があった。
「これで、良かったんだ。」
中肉中背、目つきの温厚さ以外はこれと言って特徴のない男。名を櫟蘿 博灯(いちら はくとも)という。
この時期にも関わらず、服は半袖にボロボロの長ズボン。財布には硬貨が何枚かしか入っていなかった。
単に彼が貧しいというわけではない。
「本望だ。別に誰が困ることも、悲しむこともないさ。」
なぜ、そのような格好で海を見に来たのか。
否、ただ観光にきたのではない。彼は悩み抜いた末に決断をし、独りでここに来たのだ。
身投げ。
理由は彼がお人好しすぎただけの身投げ。
彼の数少ない友人の一人、その友人の娘が難病にかかっており保険の利かない高額の治療を受けなければダメだという事だった。友人は必死に金をかき集めたが苦しい状況で博灯はそれを見逃せなかっただけだ。
友人から頼まれてもいないが金を渡し、自ら死を選んだのだ。
「彼女が治ってくれればそれで良いさ。」
病弱で普通に働くことが難しくなってた矢先のことで、施設出身の博灯にとっては人生に見切りをつけるという点では良いタイミングだった。それ以前に生きることに疲れていたことが大きいが。
それ故の身投げということである。
「はぁ、顔も知らないお父さん、お母さん。産んでくれてありがとう。こんな僕でも友人の娘さんを救うことが出来たみたいです。」
絶壁の先端に立つ。
恐怖がないのはこれまで様々な事で悩み苦しんできたから。そして最後の最後に一つ、自分の生きた証のようなことを実現したから。
それでも下を覗けば、本能的に足が止まるかもしれない。
博灯は目を閉じて、前進。
そして足場の感覚が無くなった瞬間ー
男は落ちた。
ーーーーーー☆ーーーーーー
「おーい!起きろぉ。死んではないけど…。」
女性の声が聞こえた。しかし、それはなんとも粗暴で思いやりの無いものだった。
冷たい。
それが一つ目の感覚であり、同時に意識が今の自分の状況を教えてくれる。
今、博灯は海から突き出ている岩の上に寝かされていた。
自分は落ちて死んだのでは。
ならばここはどこか。天国にいけるとは思っていなかった。
つまり地獄か。でも、聞こえてくる声はこれといって責める口調でない。
「うちの声聞こえるかぁ。…ダメかぁ?」
自分にかけられている声だと気づき目を開けることにする。
「おっ、良かったよ。生きてた。」
そこにいたのは女性だった。
いや、正確には性別は雌ということ。
「だ、誰ですか?」
何とも間抜けな質問だが、文字通り寸前まで停止していた思考を巡らせた結果だ。
「そこからなの?…なるほどねー。いや誰、と聞かれると困るけど。うちはリエリィ・ウノスクアーロ・コンエクスト。長いからね。リエイで良いよ。」
ニコッとした彼女、リエイの体は半分海に浸かっている。
が、その下半身は人間でないことがすぐに分かった。
「マーシャークって言って分かるのかな?魔物娘の一種族なんだけど。」
マーシャーク。
そう、リエイは人間でなかった。マーメイドの中でも鮫の特徴を持った魔物娘だ。
肌は異様に白く、目は切れ長。口からは歯、ではなく牙が見えている。
下半身は鮫そのもので凶暴性が具現化し多様に見える。
しかし、彼女達の種族は危険というわけではない。
現に博灯のことを傷つけてはいないのだから。
綺麗だ。博灯が受けた印象もその様なものだった。人ならざる者と明確に分かったとしてもその整った顔立ちに惹かれる。
「…僕を殺すんですか?」
様々な感情が渦巻くなか、聞かずにはいられなかった。
「…やっぱ、そー見えるのね。うちは悲しいよ。」
俯きがちに答えるリエイに慌てて補足を付け加える。
「あっ、いえ。僕なんかで良ければ。と、思っただけです。」
心からの言葉だった。
このまま生き延びて陸に戻ったとしても自分に未来なんて無いのだから。
「あ゛っ?」
先ほどから粗暴であった声に明らかな敵意が出てきた。
「キミ、今、何て言った?やっぱり死んでも良い感じの人なのかな?」
メンチを切っているリエイは捕食者の風格がでており博灯を普通の人間を怯えさせるには十分な迫力であった。
しかし、博灯は驚かない。
それよりもリエイの言ったやっぱりという言葉が気になった。
その疑問への回答はすぐになされる。
「さっきも、うちを見て驚かなかったよね。そして、マーシャークと聞いても反応がない。うちらの種族を初めて見て命乞いをしない奴なんてよっぽどキモが座ってるか、バカか。…死ぬ気の奴か。」
あんたはキモが座ってるようには見えないしね。
付け加えられたら挑発的な言葉にも反応が薄い博灯を見てリエイは諦めたように続ける。
「そこまで分かれば後は簡単だね。なんで、海に落ちたのか。」
「…自殺です。」
相手にそんな不穏な言葉を言わせまいと男の口が開く。
こんな時でも他人に気を使ってしまうのだ。
「はぁ。なんで?うちには分からないし、キミも分かって欲しいなんて思ってないだろうね。でもさ、こうして助けたんだから話しは聞かせてもらうよ。」
もう敵意は無く、惰性で話を聞くという態度に変わっていた。
人に聞かせられるようなことではないと理解しながらもリエイの瞳に見つめられ、何の感情か分からないものが溢れ、話すしかなくなってしまった。
「そう、ですね。ではまず名前から。僕は櫟蘿博灯と言います。」
ーーーーーー☆ーーーーーー
「なんで、博灯君が死ぬ必要があるの?」
分からない。と言うように声を上げる。
全部を聞いた上で、相手を責める気持ちもない純粋な疑問だ。
「ですから、あまり体が強くなくてもう働くのもままならないんです。」
身よりもいませんしね。
説明する中でも博灯の感情に動きはなかった。
長いこと独りで悩み考え、それでも悩んだ末のことだからだ。
「よく分からないけど、人間社会で助けになるようなこと無いの?」
生活補助等、一定のセーフティネットはあるが未来のない自分に使われて良いものではない。
そういう考えだった。
「無いことはないですが、もう良いんですよ。」
自覚はないが遠いところを見つめる。博灯の辛いところは恨みの対象などはなく自分のことを冷静に見つめ、その結果であることから言い訳が出来ないのだ。
「…」
ギロリと敵意ではないが、それでも渦巻く感情を抑えきれずに眼孔に乗せるリエイ。
博灯は目を背けるしかなかった。
「つまり、うちは博灯君を助けなくてもよかったし。今こうやっててもまた死ぬってこと?」
つまりは、そう言うことだが助けてくれた人を前に胸を張って言うことではない。
博灯は俯きがちに小さく頷く。
「ふーん。分かった、つまりもうキミは死んでるも同然なんだね!ならさ。」
リエイは凄い勢いで岩まで這い上がり、博灯との距離を詰める。
美人だと思っていた人に寄られた博灯は驚くとともに、少し照れる。
「うちが博灯君をコロしてあげる!」
えっ?
また思考が止まった。その瞬間、リエイは博灯を海へ引きづり込んだ。
冷たい海の中へ戻った博灯だが今度は身の危険を感じている。リエイへ静止を促す。
「待って下さい!」
「どーして?どうせ死ぬならうちにはコロされるのも一緒でしょ?」
ニコニコしながら囁いてくる。
バシャバシャと自分が水を打っている音がうるさいのにリエイの声はハッキリと聞こえた。
「そ、そうかもしれないですが!待って下さい!!」
実感、人と触れ合い感情が少し動いた彼は急に恐怖を感じ実感し始めたのだ。
「ダメだよ。死にたくないって言わなきゃ。少し痛み感じて生きたいって思わなきゃ。」
自身から離れつつあった博灯を再び引き寄せると肩の辺りにその鋭利な牙で噛みついた。
「ぐっ!」
正直、さほど痛みはないが混乱と恐怖により増長され感じる。
怖い、死にたくない。
こんな感情が湧き出ると同時に涙が。
「ごめん、なさい。」
ジクジクと肩が熱いがそんなことには構ってられなかった。
必死に生へとしがみつく。したいことも無い、やるべきことも無い。でも死ぬのはこんなにも怖くて。
「死にたくないです!止めて下さい!」
気が付いた時には叫んでいた。
ここ一番の怒声にリエイも動きを止めた。
危険が通り過ぎたが博灯の息は整わない。
「はぁ、はぁ、うっ…。」
涙が次々と溢れてくる。
水の中で沈まないのはリエイが上手く支えてくれるからであった。
「ふふっ、ほらね。死にたくないんだよ。」
よしよしと頭を撫でてくれる。
その優しい手つきに甘え、込み上げる感情を存分に吐き出す博灯であった。
ーーーーーー☆ーーーーーー
「さて、キミはシんじゃったわけなんだけど。」
一通り泣き終えた博灯は元の岩の上だ。
ここでの死ぬ、コロすと言うのは絶望してた博灯を消すことであって物理的な意味ではなかった。
本当に死にたいなら動じない、それなら置き去りにしてもよかったが生きる意志が見られたことにリエイは喜んでいた。
「も、申し訳ないです。」
自身の感情に気づき発散した博灯は落ち込んでるところだった。
大きく迷惑をかけ、感謝してもしきれない。
「もういいよ♪でもさぁ。博灯君。行くところある?」
不意の質問だがすぐに答えられる。そんなところはない。
家も払ってここまで来たのだから。
ここにくる前、駅で二晩過ごしたことを思えば、やはり心のどこかでは死にたくないと感じていたのろう。
「ならさ。」
キラリ、とリエイの目が輝く。
次の発言は博灯には全く予想だにしない提案であった。
「うちと海で暮らさない?」
良かったらだけど!
照れたように笑う彼女は凄く可愛い。などと思っている場合ではない。
「どーせ、行くところ無いならさ。うちも独り身だし。普通に出会いなんてないし。優しいのって最高の美点だと思うよ!」
自分でも直球で言い過ぎている自覚があるのか白い肌はどんどん桃色にないってく。
「可愛い…じゃなかった。リエイさんみたいな素敵な方、僕なんかには勿体ないですよ!」
拒絶ではなく遠慮、相手のことを考えてのこと。
しかしリエイはそうは捉えない。
「それ答えになってないからね。」
じっと見つめられると照れてしまう博灯。
「いや、でも。僕じゃ…。」
ここにきてまたイラッときたリエイは強引に進める。
「もう!良いよ!なら体の相性で決めるから!!」
またも凄い勢いで岩へ上り、今度は博灯に一瞬考える暇を与えてからの入水。
有無を言わせてないというところでは同じだ。
先ほどみたく暴れはしないがそれでも抵抗はする。
「リエイさん、ダメですって。」
腕を振り放そうとするが出来ない。水の中で動きにくいこともあるがそれ以上に力が強かった。
「まずはキスから♪」
ここに間はない。
瞬時に唇を奪われる。
「うむっ!!」
最初は文字通り重ねるだけ、チュッと啄むようなキス。
次にリエイは舌を進入させてきた。くちゃくちゃと舌同士が絡み合い口内を蹂躙される。
お互いの息が続かなくなったところで一旦離れる。
と、いっても顔のみの話であり体はこれでもかというど密着している。
「生きてて良かったって思わせてあげるよ。」
低めの声に博灯はゾクリと背中をふるわす。今から食い殺されても可笑しくない笑顔だ。
しかし、それが綺麗だった。
もうどうにでもなってくれ。
リエイの言うとおり自分は一回死んだといえる身だ。彼女に何か出来るならそれも本望であると感じた。
するとここであることに気づく。
「リエイさんに噛んでもらったところ…熱いです。」
傷はできていないはずだが、何故だか熱を帯びていた。
ちなみに、今はもうおなじみになった岩に座らされズボンを脱がされている。
「さっきは甘噛み程度だったね…うちの種族はなんというか、そう、噛んだところから気持ちよくなるんだ。」
「っ!!」
リエイは話し終わるともに博灯の足に噛みついたのだ。最初のとは異なり後が付くくらいの強さ。
しかし、さしたる痛みはない。
その代わり肩に感じている熱の何倍ものジュクジュクとした快感が感じられた。
よく見ると血のようなものが辺りに飛んでいた。
「大丈夫だから。うちの魔力とキミの精が混ざってこんな色になってるだけ。」
肩と太股の両方に熱を持ち、既に博灯のモノはいきり立っていた。
「アハッ、へぇ、少し前まで死のうとしてたのがもう元気なんだ。」
良かった、良かった。
モノに手を触れ軽くなぞる。
それに対してピクピクと反応することにリエイは満足げだ。
「じゃ、頂いちゃおうかな。」
そう言うと躊躇なく口に含んだ。
リエイの“噛み”のお陰で暖かいとは言え水温はかなり低い。
そこへの口内の温度というのは非常に心地よいものだ。
ジュルジュプ、レェロレロ。
「うわぁ。リエイさんの口ぐちゃぐちゃで…気持ちいいです。」
「よらった。もっろ、いもちよくらってね。」
マーシャークは丁寧に、しかし荒く責め立てていく。搾るように吸い立て裏筋に這わせるように舐める。また吸う。射精感に追い込められ苦悶の表情の博灯。
初めての感覚に腰が浮く。
リエイも気持ちよさそうに悶える博灯に興奮する。
「くっ、リエイさん。僕もう出そうです。」
「分かるよ、うちの口が気持ち良すぎて玉も上がってるしね。ほらほら、らしちゃいなよ!」
話し終わる前にモノを口に含み吸い上げる。同時に睾丸も揉まれもう我慢は利かなかった。
「射精るっ!!」
ビュク!ビュルビュル!ドプッ!
「んっ!!…アハッ!いっぱいれれるね。」
リエイは口内に出たもの、口の端から垂れているモノも含め全てを嚥下した。
その頬は今日一番の蒸気だ。
んくんくと喉を動かし終えると笑みを博灯へ向ける。
「おいしかったよ。…アレ?まだ立ってるね。」
やっていることは単純でも自身の精を一滴残さず飲まれ微笑まれれば、自分の価値を見失っていた男にはこみ上げるものがある。二つの意味で。
「…リエイさん、僕入れたいです。」
「んー?なんだってー?」
棒読みオブ棒読み。意地の悪いことをされているが博灯にはどうでも良いことだった。
「リエイさんのオ×ンコに入れさせて下さい!!」
人生、今までかなりの欲を我慢してきた。既に一回の快楽を覚えた博灯に自分を止めるすべはなかった。
止めようものならリエイがそうはさせなかっただろうが。
「きていいよ、うちの中で気持ちよくなって。」
最後は博灯自ら海に飛び込む。
仮にも男の飛び込む勢いであるが、流石はマーシャーク、鮫の力強さで見事受け入れた。
「ほら、おいでよ。」
首に甘噛み。
また体中を熱と快感がかける。
海の中だがリエイの補助もありすぐに自分のモノを彼女にあてがえた。
博灯は彼女の顔を伺う。本当に自分なんかが良いのか。相手は後悔しないだろうか。
しかし、一言でそれも全てどこかへ飛んだ。
「うちはこんな時まで相手を気遣えるキミを素敵だと思うよ。うちが全部受け入れてあげるから。おいで。」
耳を甘噛みされた。
ズプッ!
理性、我慢、欲望。全てが決壊し勢いよく挿入した。
「んぁぁ!キタぁ。」
二人とも立ち泳ぎもしていないのにズンズンとリエイを突き上げるように動かせる。これは博灯に合わせリエイが動いているからだ。
モノが抜けないように。
「あっ、ふっ、リエイさん。凄く凄く気持ちいいです。」
「ふふっ、そうでしょ?ずっと待ってたから。ここら辺人全然来ないしね。でも、良かったよ。良い子が来てくれて。んぁ!」
別に世間から避難されたことはほとんどないが自己肯定をして来なかった博灯にはもう甘くとろけさせられる言葉だ。
「リエ…リエイさん。こ、腰止まらないぃ。」
容赦なく肉ヒダが締め上げてくる感覚。既に息も絶え絶えだ。
よく分からないが彼女の指がなぞり上げるところや太股同士が刷れているところなどから噛まれたときと同じような感覚が、とても小さいが、沸き続ける。
リエイの“鮫肌”の効果である。
「もっと!もっと、突き上げて!んっ、んっ。」
コリコリとカリ首が膣壁を刺激してくる度に、リエイも可愛げな声を上げる。
それに博灯も興奮をして動きが荒くなる。
このサイクルであっという間に本日2度目の射精感が高まる。それでもまだ、躊躇うところが出る。
「このままじゃ射精しちゃいます…。抜かせて下さい。」
すると、リエイはもういい加減にしろといった感じで留めをさす。
過去より躊躇が消えない男の顔をぐいっと近づけ耳元で囁いた。
「中以外許さないさ。うちの中、博灯君の優しいのを中に全部頂戴!」
許されるのか分からない。が、目の前の美しい魔物娘に誘いを受け自分を受け入れてもらえてる。
単純かもしれないが、もう博灯はリエイを愛してしまった。
「射精します!リエイさんの中に出します!射精る!!」
「良いよ!きて、きて!はぁぁ!」
ドクドクッ、ドプッ、ビュクッ!!
一回目より量が増えるなんてことがあるのだろうか。
実際にあってしまったのだから仕方がないが。
ぐったりとしてしまった博灯を支え、抱きつくリエイ。
「気持ちよかったね。うち、幸せだよ
。」
凶暴であり、温かみのある目。いつもの通りならこの上ない罪悪感が沸くのだが、この一言で救われる。
「ぼ、僕責任取りますから…。」
「…そっかぁ。責任取るって言うことになるんだねぇ。責任じゃなきゃうちなんて嫌だよねぇ。」
実にわざとらしく落ち込むリエイに慌てて弁解をする。
「ち、違います!いや、その…。リエイさん、僕と付き合って下さい!」
自分に自信なんて一切無いけど、この人を。マーシャークのリエイさんを幸せにしたい。
その気持ちは本物であった。
「もちろん!てか、最初からそれでいいんだよ。それよりもさ。」
また顔を近づけ囁く。
「生きててよかった?」
妖艶かつ暖かい声に博灯は頷くしかない。
満面の笑みでギュッと抱きつかれる。
その抱擁はザラザラとした鮫肌を感じる、最高に心地の良いものであった。
ーーーーーー☆ーーーーーー
「ってゆーわけだからぁ。櫟蘿博灯君は海の中でも生活できるようになりましたぁ。ってきーてないよねぇ。」
じゃあたしは帰りますかね、といって海に消えていく甲羅。
あの後すぐに近くを泳いでいた海和尚に連絡をいれ沖の方で儀式をしてもらった。
海和尚からの魔力注入によってすっかりヤる気が出てしまった博灯はリエイと二回戦を始めてしまった。
博灯でも足のつくところまで来たので今度は正常位でヤっている。
「博灯君、本当に良かったの?」
儀式を望んだのは博灯からであった。勢いからの後悔がないかと心配になる。
「こんな、僕で良かったら。リエイさんの元にいさせて下さい。」
「…そっか♪これからよろしくね!あとさ、一つ聞かせて。」
なんだろうと思うと真面目な顔で言われた。
「うちの名前フルで言える?」
「?…リエリィ・ウノスクアーロ・コンエクストさんですよね?」
リエイは、いやリエリィ・ウノスクアーロ・コンエクストは驚く。
「一回で覚えていたの?」
「人の名前は忘れません。それに、これから一緒になる人ですし。」
照れたように俯く。
一回でフルネームを覚えられたことがないマーシャークは喜び、褒める。
「キミの良いところまた見つけたよ。これから、もっともっと探しちゃお♪」
そう言って繋がったままの体を寄せ合いキスをする。
オレンジ色の暖かな夕陽がつくる二つの影はとても幸せそうであった。
「これで、良かったんだ。」
中肉中背、目つきの温厚さ以外はこれと言って特徴のない男。名を櫟蘿 博灯(いちら はくとも)という。
この時期にも関わらず、服は半袖にボロボロの長ズボン。財布には硬貨が何枚かしか入っていなかった。
単に彼が貧しいというわけではない。
「本望だ。別に誰が困ることも、悲しむこともないさ。」
なぜ、そのような格好で海を見に来たのか。
否、ただ観光にきたのではない。彼は悩み抜いた末に決断をし、独りでここに来たのだ。
身投げ。
理由は彼がお人好しすぎただけの身投げ。
彼の数少ない友人の一人、その友人の娘が難病にかかっており保険の利かない高額の治療を受けなければダメだという事だった。友人は必死に金をかき集めたが苦しい状況で博灯はそれを見逃せなかっただけだ。
友人から頼まれてもいないが金を渡し、自ら死を選んだのだ。
「彼女が治ってくれればそれで良いさ。」
病弱で普通に働くことが難しくなってた矢先のことで、施設出身の博灯にとっては人生に見切りをつけるという点では良いタイミングだった。それ以前に生きることに疲れていたことが大きいが。
それ故の身投げということである。
「はぁ、顔も知らないお父さん、お母さん。産んでくれてありがとう。こんな僕でも友人の娘さんを救うことが出来たみたいです。」
絶壁の先端に立つ。
恐怖がないのはこれまで様々な事で悩み苦しんできたから。そして最後の最後に一つ、自分の生きた証のようなことを実現したから。
それでも下を覗けば、本能的に足が止まるかもしれない。
博灯は目を閉じて、前進。
そして足場の感覚が無くなった瞬間ー
男は落ちた。
ーーーーーー☆ーーーーーー
「おーい!起きろぉ。死んではないけど…。」
女性の声が聞こえた。しかし、それはなんとも粗暴で思いやりの無いものだった。
冷たい。
それが一つ目の感覚であり、同時に意識が今の自分の状況を教えてくれる。
今、博灯は海から突き出ている岩の上に寝かされていた。
自分は落ちて死んだのでは。
ならばここはどこか。天国にいけるとは思っていなかった。
つまり地獄か。でも、聞こえてくる声はこれといって責める口調でない。
「うちの声聞こえるかぁ。…ダメかぁ?」
自分にかけられている声だと気づき目を開けることにする。
「おっ、良かったよ。生きてた。」
そこにいたのは女性だった。
いや、正確には性別は雌ということ。
「だ、誰ですか?」
何とも間抜けな質問だが、文字通り寸前まで停止していた思考を巡らせた結果だ。
「そこからなの?…なるほどねー。いや誰、と聞かれると困るけど。うちはリエリィ・ウノスクアーロ・コンエクスト。長いからね。リエイで良いよ。」
ニコッとした彼女、リエイの体は半分海に浸かっている。
が、その下半身は人間でないことがすぐに分かった。
「マーシャークって言って分かるのかな?魔物娘の一種族なんだけど。」
マーシャーク。
そう、リエイは人間でなかった。マーメイドの中でも鮫の特徴を持った魔物娘だ。
肌は異様に白く、目は切れ長。口からは歯、ではなく牙が見えている。
下半身は鮫そのもので凶暴性が具現化し多様に見える。
しかし、彼女達の種族は危険というわけではない。
現に博灯のことを傷つけてはいないのだから。
綺麗だ。博灯が受けた印象もその様なものだった。人ならざる者と明確に分かったとしてもその整った顔立ちに惹かれる。
「…僕を殺すんですか?」
様々な感情が渦巻くなか、聞かずにはいられなかった。
「…やっぱ、そー見えるのね。うちは悲しいよ。」
俯きがちに答えるリエイに慌てて補足を付け加える。
「あっ、いえ。僕なんかで良ければ。と、思っただけです。」
心からの言葉だった。
このまま生き延びて陸に戻ったとしても自分に未来なんて無いのだから。
「あ゛っ?」
先ほどから粗暴であった声に明らかな敵意が出てきた。
「キミ、今、何て言った?やっぱり死んでも良い感じの人なのかな?」
メンチを切っているリエイは捕食者の風格がでており博灯を普通の人間を怯えさせるには十分な迫力であった。
しかし、博灯は驚かない。
それよりもリエイの言ったやっぱりという言葉が気になった。
その疑問への回答はすぐになされる。
「さっきも、うちを見て驚かなかったよね。そして、マーシャークと聞いても反応がない。うちらの種族を初めて見て命乞いをしない奴なんてよっぽどキモが座ってるか、バカか。…死ぬ気の奴か。」
あんたはキモが座ってるようには見えないしね。
付け加えられたら挑発的な言葉にも反応が薄い博灯を見てリエイは諦めたように続ける。
「そこまで分かれば後は簡単だね。なんで、海に落ちたのか。」
「…自殺です。」
相手にそんな不穏な言葉を言わせまいと男の口が開く。
こんな時でも他人に気を使ってしまうのだ。
「はぁ。なんで?うちには分からないし、キミも分かって欲しいなんて思ってないだろうね。でもさ、こうして助けたんだから話しは聞かせてもらうよ。」
もう敵意は無く、惰性で話を聞くという態度に変わっていた。
人に聞かせられるようなことではないと理解しながらもリエイの瞳に見つめられ、何の感情か分からないものが溢れ、話すしかなくなってしまった。
「そう、ですね。ではまず名前から。僕は櫟蘿博灯と言います。」
ーーーーーー☆ーーーーーー
「なんで、博灯君が死ぬ必要があるの?」
分からない。と言うように声を上げる。
全部を聞いた上で、相手を責める気持ちもない純粋な疑問だ。
「ですから、あまり体が強くなくてもう働くのもままならないんです。」
身よりもいませんしね。
説明する中でも博灯の感情に動きはなかった。
長いこと独りで悩み考え、それでも悩んだ末のことだからだ。
「よく分からないけど、人間社会で助けになるようなこと無いの?」
生活補助等、一定のセーフティネットはあるが未来のない自分に使われて良いものではない。
そういう考えだった。
「無いことはないですが、もう良いんですよ。」
自覚はないが遠いところを見つめる。博灯の辛いところは恨みの対象などはなく自分のことを冷静に見つめ、その結果であることから言い訳が出来ないのだ。
「…」
ギロリと敵意ではないが、それでも渦巻く感情を抑えきれずに眼孔に乗せるリエイ。
博灯は目を背けるしかなかった。
「つまり、うちは博灯君を助けなくてもよかったし。今こうやっててもまた死ぬってこと?」
つまりは、そう言うことだが助けてくれた人を前に胸を張って言うことではない。
博灯は俯きがちに小さく頷く。
「ふーん。分かった、つまりもうキミは死んでるも同然なんだね!ならさ。」
リエイは凄い勢いで岩まで這い上がり、博灯との距離を詰める。
美人だと思っていた人に寄られた博灯は驚くとともに、少し照れる。
「うちが博灯君をコロしてあげる!」
えっ?
また思考が止まった。その瞬間、リエイは博灯を海へ引きづり込んだ。
冷たい海の中へ戻った博灯だが今度は身の危険を感じている。リエイへ静止を促す。
「待って下さい!」
「どーして?どうせ死ぬならうちにはコロされるのも一緒でしょ?」
ニコニコしながら囁いてくる。
バシャバシャと自分が水を打っている音がうるさいのにリエイの声はハッキリと聞こえた。
「そ、そうかもしれないですが!待って下さい!!」
実感、人と触れ合い感情が少し動いた彼は急に恐怖を感じ実感し始めたのだ。
「ダメだよ。死にたくないって言わなきゃ。少し痛み感じて生きたいって思わなきゃ。」
自身から離れつつあった博灯を再び引き寄せると肩の辺りにその鋭利な牙で噛みついた。
「ぐっ!」
正直、さほど痛みはないが混乱と恐怖により増長され感じる。
怖い、死にたくない。
こんな感情が湧き出ると同時に涙が。
「ごめん、なさい。」
ジクジクと肩が熱いがそんなことには構ってられなかった。
必死に生へとしがみつく。したいことも無い、やるべきことも無い。でも死ぬのはこんなにも怖くて。
「死にたくないです!止めて下さい!」
気が付いた時には叫んでいた。
ここ一番の怒声にリエイも動きを止めた。
危険が通り過ぎたが博灯の息は整わない。
「はぁ、はぁ、うっ…。」
涙が次々と溢れてくる。
水の中で沈まないのはリエイが上手く支えてくれるからであった。
「ふふっ、ほらね。死にたくないんだよ。」
よしよしと頭を撫でてくれる。
その優しい手つきに甘え、込み上げる感情を存分に吐き出す博灯であった。
ーーーーーー☆ーーーーーー
「さて、キミはシんじゃったわけなんだけど。」
一通り泣き終えた博灯は元の岩の上だ。
ここでの死ぬ、コロすと言うのは絶望してた博灯を消すことであって物理的な意味ではなかった。
本当に死にたいなら動じない、それなら置き去りにしてもよかったが生きる意志が見られたことにリエイは喜んでいた。
「も、申し訳ないです。」
自身の感情に気づき発散した博灯は落ち込んでるところだった。
大きく迷惑をかけ、感謝してもしきれない。
「もういいよ♪でもさぁ。博灯君。行くところある?」
不意の質問だがすぐに答えられる。そんなところはない。
家も払ってここまで来たのだから。
ここにくる前、駅で二晩過ごしたことを思えば、やはり心のどこかでは死にたくないと感じていたのろう。
「ならさ。」
キラリ、とリエイの目が輝く。
次の発言は博灯には全く予想だにしない提案であった。
「うちと海で暮らさない?」
良かったらだけど!
照れたように笑う彼女は凄く可愛い。などと思っている場合ではない。
「どーせ、行くところ無いならさ。うちも独り身だし。普通に出会いなんてないし。優しいのって最高の美点だと思うよ!」
自分でも直球で言い過ぎている自覚があるのか白い肌はどんどん桃色にないってく。
「可愛い…じゃなかった。リエイさんみたいな素敵な方、僕なんかには勿体ないですよ!」
拒絶ではなく遠慮、相手のことを考えてのこと。
しかしリエイはそうは捉えない。
「それ答えになってないからね。」
じっと見つめられると照れてしまう博灯。
「いや、でも。僕じゃ…。」
ここにきてまたイラッときたリエイは強引に進める。
「もう!良いよ!なら体の相性で決めるから!!」
またも凄い勢いで岩へ上り、今度は博灯に一瞬考える暇を与えてからの入水。
有無を言わせてないというところでは同じだ。
先ほどみたく暴れはしないがそれでも抵抗はする。
「リエイさん、ダメですって。」
腕を振り放そうとするが出来ない。水の中で動きにくいこともあるがそれ以上に力が強かった。
「まずはキスから♪」
ここに間はない。
瞬時に唇を奪われる。
「うむっ!!」
最初は文字通り重ねるだけ、チュッと啄むようなキス。
次にリエイは舌を進入させてきた。くちゃくちゃと舌同士が絡み合い口内を蹂躙される。
お互いの息が続かなくなったところで一旦離れる。
と、いっても顔のみの話であり体はこれでもかというど密着している。
「生きてて良かったって思わせてあげるよ。」
低めの声に博灯はゾクリと背中をふるわす。今から食い殺されても可笑しくない笑顔だ。
しかし、それが綺麗だった。
もうどうにでもなってくれ。
リエイの言うとおり自分は一回死んだといえる身だ。彼女に何か出来るならそれも本望であると感じた。
するとここであることに気づく。
「リエイさんに噛んでもらったところ…熱いです。」
傷はできていないはずだが、何故だか熱を帯びていた。
ちなみに、今はもうおなじみになった岩に座らされズボンを脱がされている。
「さっきは甘噛み程度だったね…うちの種族はなんというか、そう、噛んだところから気持ちよくなるんだ。」
「っ!!」
リエイは話し終わるともに博灯の足に噛みついたのだ。最初のとは異なり後が付くくらいの強さ。
しかし、さしたる痛みはない。
その代わり肩に感じている熱の何倍ものジュクジュクとした快感が感じられた。
よく見ると血のようなものが辺りに飛んでいた。
「大丈夫だから。うちの魔力とキミの精が混ざってこんな色になってるだけ。」
肩と太股の両方に熱を持ち、既に博灯のモノはいきり立っていた。
「アハッ、へぇ、少し前まで死のうとしてたのがもう元気なんだ。」
良かった、良かった。
モノに手を触れ軽くなぞる。
それに対してピクピクと反応することにリエイは満足げだ。
「じゃ、頂いちゃおうかな。」
そう言うと躊躇なく口に含んだ。
リエイの“噛み”のお陰で暖かいとは言え水温はかなり低い。
そこへの口内の温度というのは非常に心地よいものだ。
ジュルジュプ、レェロレロ。
「うわぁ。リエイさんの口ぐちゃぐちゃで…気持ちいいです。」
「よらった。もっろ、いもちよくらってね。」
マーシャークは丁寧に、しかし荒く責め立てていく。搾るように吸い立て裏筋に這わせるように舐める。また吸う。射精感に追い込められ苦悶の表情の博灯。
初めての感覚に腰が浮く。
リエイも気持ちよさそうに悶える博灯に興奮する。
「くっ、リエイさん。僕もう出そうです。」
「分かるよ、うちの口が気持ち良すぎて玉も上がってるしね。ほらほら、らしちゃいなよ!」
話し終わる前にモノを口に含み吸い上げる。同時に睾丸も揉まれもう我慢は利かなかった。
「射精るっ!!」
ビュク!ビュルビュル!ドプッ!
「んっ!!…アハッ!いっぱいれれるね。」
リエイは口内に出たもの、口の端から垂れているモノも含め全てを嚥下した。
その頬は今日一番の蒸気だ。
んくんくと喉を動かし終えると笑みを博灯へ向ける。
「おいしかったよ。…アレ?まだ立ってるね。」
やっていることは単純でも自身の精を一滴残さず飲まれ微笑まれれば、自分の価値を見失っていた男にはこみ上げるものがある。二つの意味で。
「…リエイさん、僕入れたいです。」
「んー?なんだってー?」
棒読みオブ棒読み。意地の悪いことをされているが博灯にはどうでも良いことだった。
「リエイさんのオ×ンコに入れさせて下さい!!」
人生、今までかなりの欲を我慢してきた。既に一回の快楽を覚えた博灯に自分を止めるすべはなかった。
止めようものならリエイがそうはさせなかっただろうが。
「きていいよ、うちの中で気持ちよくなって。」
最後は博灯自ら海に飛び込む。
仮にも男の飛び込む勢いであるが、流石はマーシャーク、鮫の力強さで見事受け入れた。
「ほら、おいでよ。」
首に甘噛み。
また体中を熱と快感がかける。
海の中だがリエイの補助もありすぐに自分のモノを彼女にあてがえた。
博灯は彼女の顔を伺う。本当に自分なんかが良いのか。相手は後悔しないだろうか。
しかし、一言でそれも全てどこかへ飛んだ。
「うちはこんな時まで相手を気遣えるキミを素敵だと思うよ。うちが全部受け入れてあげるから。おいで。」
耳を甘噛みされた。
ズプッ!
理性、我慢、欲望。全てが決壊し勢いよく挿入した。
「んぁぁ!キタぁ。」
二人とも立ち泳ぎもしていないのにズンズンとリエイを突き上げるように動かせる。これは博灯に合わせリエイが動いているからだ。
モノが抜けないように。
「あっ、ふっ、リエイさん。凄く凄く気持ちいいです。」
「ふふっ、そうでしょ?ずっと待ってたから。ここら辺人全然来ないしね。でも、良かったよ。良い子が来てくれて。んぁ!」
別に世間から避難されたことはほとんどないが自己肯定をして来なかった博灯にはもう甘くとろけさせられる言葉だ。
「リエ…リエイさん。こ、腰止まらないぃ。」
容赦なく肉ヒダが締め上げてくる感覚。既に息も絶え絶えだ。
よく分からないが彼女の指がなぞり上げるところや太股同士が刷れているところなどから噛まれたときと同じような感覚が、とても小さいが、沸き続ける。
リエイの“鮫肌”の効果である。
「もっと!もっと、突き上げて!んっ、んっ。」
コリコリとカリ首が膣壁を刺激してくる度に、リエイも可愛げな声を上げる。
それに博灯も興奮をして動きが荒くなる。
このサイクルであっという間に本日2度目の射精感が高まる。それでもまだ、躊躇うところが出る。
「このままじゃ射精しちゃいます…。抜かせて下さい。」
すると、リエイはもういい加減にしろといった感じで留めをさす。
過去より躊躇が消えない男の顔をぐいっと近づけ耳元で囁いた。
「中以外許さないさ。うちの中、博灯君の優しいのを中に全部頂戴!」
許されるのか分からない。が、目の前の美しい魔物娘に誘いを受け自分を受け入れてもらえてる。
単純かもしれないが、もう博灯はリエイを愛してしまった。
「射精します!リエイさんの中に出します!射精る!!」
「良いよ!きて、きて!はぁぁ!」
ドクドクッ、ドプッ、ビュクッ!!
一回目より量が増えるなんてことがあるのだろうか。
実際にあってしまったのだから仕方がないが。
ぐったりとしてしまった博灯を支え、抱きつくリエイ。
「気持ちよかったね。うち、幸せだよ
。」
凶暴であり、温かみのある目。いつもの通りならこの上ない罪悪感が沸くのだが、この一言で救われる。
「ぼ、僕責任取りますから…。」
「…そっかぁ。責任取るって言うことになるんだねぇ。責任じゃなきゃうちなんて嫌だよねぇ。」
実にわざとらしく落ち込むリエイに慌てて弁解をする。
「ち、違います!いや、その…。リエイさん、僕と付き合って下さい!」
自分に自信なんて一切無いけど、この人を。マーシャークのリエイさんを幸せにしたい。
その気持ちは本物であった。
「もちろん!てか、最初からそれでいいんだよ。それよりもさ。」
また顔を近づけ囁く。
「生きててよかった?」
妖艶かつ暖かい声に博灯は頷くしかない。
満面の笑みでギュッと抱きつかれる。
その抱擁はザラザラとした鮫肌を感じる、最高に心地の良いものであった。
ーーーーーー☆ーーーーーー
「ってゆーわけだからぁ。櫟蘿博灯君は海の中でも生活できるようになりましたぁ。ってきーてないよねぇ。」
じゃあたしは帰りますかね、といって海に消えていく甲羅。
あの後すぐに近くを泳いでいた海和尚に連絡をいれ沖の方で儀式をしてもらった。
海和尚からの魔力注入によってすっかりヤる気が出てしまった博灯はリエイと二回戦を始めてしまった。
博灯でも足のつくところまで来たので今度は正常位でヤっている。
「博灯君、本当に良かったの?」
儀式を望んだのは博灯からであった。勢いからの後悔がないかと心配になる。
「こんな、僕で良かったら。リエイさんの元にいさせて下さい。」
「…そっか♪これからよろしくね!あとさ、一つ聞かせて。」
なんだろうと思うと真面目な顔で言われた。
「うちの名前フルで言える?」
「?…リエリィ・ウノスクアーロ・コンエクストさんですよね?」
リエイは、いやリエリィ・ウノスクアーロ・コンエクストは驚く。
「一回で覚えていたの?」
「人の名前は忘れません。それに、これから一緒になる人ですし。」
照れたように俯く。
一回でフルネームを覚えられたことがないマーシャークは喜び、褒める。
「キミの良いところまた見つけたよ。これから、もっともっと探しちゃお♪」
そう言って繋がったままの体を寄せ合いキスをする。
オレンジ色の暖かな夕陽がつくる二つの影はとても幸せそうであった。
19/05/02 11:27更新 / J DER
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