読切小説
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ヤンデレって高いスペックと社会的地位、金を持ってないとちょっと残念な感じになる


「愛情だけではなく俺の外出も止めることなくして…」

「私同伴ならいいですよ」

「猫カフェに行くつもりなんで
 白蛇さんに付いてこられると猫が怯えて逃げちゃう」

「なら私がここで猫ちゃんになりますニャン」

「猫も白蛇も体が長いとこは同じだけどそういうのじゃなくて
 こう…モフモフしたいんだよ」

「モフモフですか…少々時間を頂ければ私の体でも出来ますよ」

「え、そんなことできたんだ」

「はい、腋と股、どちらでモフモフいたしますか?」

「一般的にはそこはジョリジョリなんだよな」

「爬虫類と鳥類は似ているらしいので、私も気合で羽毛くらい生やせると思います」

「ヘビガラスみたいになる可能性もあるけど」

「クェェェェェェッ!!」

「奇声あげながら突っつくのやめて」

「もう!とにかくネコカフェはダメです」

「だったら、何か別のを考えてよ。陰毛生やす以外の」

「でしたら、お家で餃子を作りましょう!モフモフは出来ませんけど、
 餃子の皮を手作りすればモチモチ出来ますよ」

「今から作り始めるとちょうどお昼頃になるしいい考えだね」

「ニンニクもたっぷり入れましょう。明日まで外出が躊躇われるレベルに」

「割と効果あるよ、その監禁方法」

「あ、肝心のニンニクを切らしていました…」

「なら一緒に買いにいく?」

「竜神様の社の方の冷蔵庫にニンニクがあるやも」

「いくら従者とはいえ冷蔵庫を漁るのはどうなの」

「持ち回りで竜神様のお世話をしているので、あそこは実質的に共有の冷蔵庫です」

「都合の良すぎる解釈してない?」

「他の方も賞味期限切れそうなのとか、
 竜神様のお口に合わなかったものとか自宅に持って行ってますし」

「生活感強すぎて巫女さんたちへの幻想にヒビが入ってしまった」

「むしろ持ってかないと竜神様がコ〇トコで買ってくる食材が入らなくなるんです」

「竜神様が海鮮ちらし寿司を一人で食べ切ってて、信仰が揺らいだよ」

「ええ、まあ健啖家ですから…
 (アレの前に鳥の丸焼きも食べていたことは黙っていましょう…)」

「竜神様って業務〇スーパーとかも行くのが好きみたいで、
 なんか庶民的というか家庭的だよね」

「昔ほど天候を操ることの御利益が薄くなってきて、
 経済状況に変化があったのが原因でしょう」

「今だと白蛇さんも巫女一本でご飯食べれるほどじゃないしね…」

「世知辛い世の中ですが、私は貴方様がいればどこでも極楽ですわ」

「二人でセックスしてればお金もかからないしね!」

「もう!意地の悪いことは言わないでください
 まぁ、実際お金は貯まりましたけど…」

「前はそんなにお金使うことしてたの?」

「カメラとかマイクとか買ってました」

「え、俺の盗撮盗聴用の…?」

「いえ、動画配信用です」

「我ながらこの勘違いはとても恥ずかしい」

「大丈夫です!ちゃんと盗撮と盗聴用の小型カメラとマイクも買っていましたよ!」

「よかった…いやよくなかった」

「そちらの方は市役所に申請すると補助金がもらえるんです」

「補助金どころか業者も紹介してくれやがるね。
 おかげで自分の部屋の盗聴器と監視カメラの取付工事に立ち会うことになったよ」

「ええ、あの時は私もご一緒していたので覚えておりますよ」

「音声と画像チェック専門の作業員がいるなぁ…って思ってて、よく見たら
 白蛇さんだったから驚いたよ」

「やっぱり音声と画像にはこだわりたいですから」

「だからって『盗聴器外れてますよ!』って文句言いに来るのはどうなの?」

「いや、だって外そうとするんですもの…」

「普通は人の頭に盗聴器つけないから」

「そっと着けたらバレないかな…と」

「バレるわ、あんなエナジーボンボンみたいな盗聴器」

「ええ、まあ……(でも私は知っています。3時間は気づいていなかったこと)」

「それにしても白蛇さんが動画配信してたのなんて知らなかったよ」

「ゲーム実況とかしてたんですよ」

「へえ、今も俺が寝た後にゲームしてるもんね」

「私としては二人でゲームするのも良いんですけど」

「初心者相手にハメまがいのことするからイヤ」

「興奮しちゃうとつい…」

「それならまだオンラインで他の人と対戦した方がマシだよ」

「もちろん駄目です」

「なんでよ」

「今時のオンライン対戦ゲームはバフォメットやドラゴンもやってるんですよ!?」

「アケコンをガチャガチャしてるバフォメットとかドラゴンとかなんかやだなぁ…」

「アホみたいに寿命が長いせいで時間感覚もアホになってるから
アホほど長時間プレイする上にアホだから練習も真面目にするし
 そもそも動体視力や反射神経がアホ、そうして出来上がったのがアホらしくなるくらい強いアホですアホアホ」

「なんか恨みでもあるの?」

「この前ボコボコにされました」

「そう…」

「でもまだ負けるならいいんです。
 間違って男性が勝ってしまうと、『お兄ちゃん』『旦那様』コースになります」

「上級魔族が本当にそれでいいのか」

「今だと魔物娘が求婚のために開示請求すると
 無条件で家族構成、住所と電話番号、メールアドレスに性癖まで相手に渡されます」

「なんで国が性癖をしってるの…?」

「リリム(けんりょく)に
 刑部狸(かね)と
 グレムリン(ぎじゅつ)と
 ラタトスク(ノウハウ)
 が集まるとこうなります」

「人間の基本的人権はどこ…?」

「魔物娘党が政権握った時に、基本的人権の項目が憲法から抹消されましたから」

「いちゃラブのためなら人権や自由を侵してもよいって真顔で宣言されたときは
 もう色々ダメだと思った」

「こうして一緒にいれるんだから良かったじゃないですか」

「まあね、なのでこっちも隠し撮りしてた白蛇さんの私生活を見ていこうと思います」

「なんですかそれ?」

「実は、工事が終わった後に業者からおすすめされた『盗撮カウンタープラン』に
 加入してたんだよね」

「通りで業者さんは私の部屋の工事までしてたんですね…」

「ずっと観ようと思ってたけど、一人で観ても面白くないからそのままにしてたのを
 さっきの話で思い出したよ」

「私の基本的魔権はどこ…?」

「最初の方ちょろっとみるだけにするから
 そんなに恥ずかしいところは見ないと思うよ」

「無論です!私は 行 住 坐 臥 恥ずかしい所はありませんよ!」

「なら加入した意味なかったかもね
 一応見てみるけど」


『いえ〜いめっちゃホ〜リディ♪』


「なんでサツマイモ掴んで踊りながら部屋に入ってきたの?裸で」

「……休日にふかし芋を作ってテンション上がっちゃって、
 部屋では裸族ですけど、貴方様以外には肌は晒しておりませんのでご安心を」

「不安感じている箇所はそこじゃないんだよね」


『カタカタカタカタ…』


「芋を食べながらずっとパソコンで何かやってるけど」

「あれは盗撮した画像から夜のオカズに使えそうなところを抜き出してるところですね」

「あんな真剣な表情の白蛇さん見たことない…」

「それが終わったら、そのまま実況動画の編集ですね」

「俺の中のヤンデレに生活感が出てくると助かる派と辛い派が喧嘩してる」

「壁一面に写真が貼ってないと嫌とかそういう感じですか?」

「そうそう、監禁用の部屋をすでに用意してるとかそういうの」

「確保したら24時間一緒にいるわけですし監禁用の部屋とか必要でしょうか?」

「これはヤンデレポイントを進呈」

『……………』ぷぅ〜

「ヤンデレポイント没収になります」

「せ、生理現象だから仕方ないじゃないですか!」

「お芋を食べてたらどうしても出ちゃうよね」

「貴方様になら見られても恥ずかしくないと思っていましたが、流石にこれは…」

「でも、俺の恥ずかしいところも見ているわけだしお互い様だね」

「盗撮初日から普通にオナニーするメンタル強い人と一緒にしないでくださいまし」

「開き直るのが人生を楽しく生きるコツだから」

「乳房のサイズのわりに乳首と乳輪が大きい絵ばかり御覧になっていたから
 私のをお見せするときは内心不安でいっぱいでした」

「均整の取れた体より少し崩れて下品な方が興奮するよね」

「あら、ならどうして毎夜私に興奮なさるのでしょうか…♥」

「え、普通に乳首が下ひ…「クエェェェェェェ!!」
 その突っつきそれなりに痛いんで」

「まったく…いくら私だからといって言っていいことと悪いことがありますよ!」

「ごめん、ごめん」

「それに、ニンニク貰いに行かなきゃいけないのに
 部屋でのんびりしすぎですよ」

「いったん、話しが盛り上がっちゃうとずるずる続いちゃうんだよね」

「そういう時間も嫌いじゃないのですが、あまり良くはありませんね」

「竜神様の所に行ってもまた喋り始めちゃいそうだね」

「その心配はありません、この時間だと竜神様はお昼寝の最中でしょうから」

「まだ午前だよ…」





ーーーーーーー





「ニンニク一個まるごと貰っていくのかと思ったら3粒で良いの?
 てっきりたくさん作るんだと思ってたよ」」

「思えば近頃、少々ご飯を食べ過ぎているような気がしてまして…」

「そういわれるとご飯3回くらいおかわりするしね」

「運動らしい運動といえば夜伽くらいのもの…」

「休みの日は『寝て起きて お昼食べたら 昼寝して』って感じだしね」

「なんて怠惰な575でしょう」

「魔物娘らしくて良いんじゃない?」

「でも、私の種族は世間一般に献身的な大和撫子で通ってますので」

「君が単に白いだけのワームの可能性が出てきたね」

「ただの白いワームに焼かれてみますか?」

「炎の色が青じゃないのが逆に怖い」

「嫉妬の炎以外も出そうと思えば出せるんですね」

「それで餃子焼いてみたら?」

「楽しく作って楽しく食べたいので嫉妬の炎や憤怒の炎で料理はダメです」

「楽しく食べすぎて困るって話を今してなかった?」

「そういってもたくさん食べる私が好きなのは知っておりますよ♥」

「あぁ確かに、最近は白蛇さんのお腹周りを見ても興奮するんだよね」

「ちょっと話が違ってきました」

「興奮半分と可愛らしさ半分って感じ」

「具体的に言うとどのような?」

「ペンドラーみたいな…」

「せめてドラゴンタイプにしていただけないでしょうか?
 この際カイリューでも良いんで」

「さすがにカイリューに興奮するのはヤバいよ」

「どこで線引きしてるんですか…」

「しかし、なぜ貴方様は私と同じ生活しているのに体系が変わっていないのです?」

「俺はご飯一杯で止めてるし君が昼寝してる間に筋トレしてるからだよ」

「はい?」

「俺は夜更かしせずにすぐ寝ちゃうから昼寝しようとしても起きちゃうんだよね
 だからその時間を使って運動してたってこと」

「私が深夜にポテチとコーラを飲みながらゲームしているのに貴方様はそんなことを…」

「夜は俺の寝顔を一晩中観察とかしてて欲しかった…」

「私と一緒に地獄(ふくよかランド)に堕ちてくれるのではなかったのですか…!?」

「竜神様は一緒に堕ちてくれるんじゃないかな」

「もうこれは裏切りです…
 私、貴方様の体への嫉妬が隠せません…!」

「そんな嫉妬の炎ってありなの?」

「そういう訳で今日の料理はこちら
 鐘で蓋して私で貴方様を包んで蒸し焼きにする『鐘つき餃子』です」

「なんでだろう…凄い元ネタに忠実な感じのする一品…いや、元ネタってなんだ」

「鐘のおかげで全身にムラなく私の炎が行き渡り、蒸し焼きなのでふっくらジューシー、
 竜神様のコス〇コ通いの付き添いついでに買っておいてよかった」

「あそこって何でもあるんだなぁ…」

「では、服を脱いで体を軽く洗ってください」

「材料自身に下拵えさせようとしないで。
 っていうか餃子要素皆無だよね?」

「白い(蛇)で肉(棒)とかを包むので餃子ですね」

「ざっくりしてるなぁ…」

「しかも鐘の中でホカホカになった体でエッチすることにより、
 いつもよりも効果的に脂肪燃焼できるのです」

「理にはかなってるけど、
 人間を蒸し焼きにする時点で道理からは外れてるね」










「あ、そうだ、せっかく蒸すならおイモも一緒に…」

「痩せる気ないな?」
24/04/29 17:13更新 / ヤルダケヤル

■作者メッセージ

今回も読んでいただきありがとうございます。
書き始めたらヤンデレの毒が完全に抜けきってだらしない白蛇さんが一匹いるだけだった

冒頭の「ヤンデレは付き合うとまでがクライマックス説」は自分が書く上では難しい問題だと思ってます。魔物娘図鑑だとヤンデレでも命に危険とか痛みによる支配とかがないので、ただただ愛情表現のハードな娘になっちゃういますよね。それが図鑑世界の良い所なわけですけど。

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