連載小説
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後篇 犬(ワーウルフ)と共に去りぬ
「ただいま〜・・・」
ハウリの秘密を知ってしまったジャンは力なく家へと帰ってきます。
(ハウリが魔物・・・・ワーウルフだったなんて・・・)
ジャンは悩みます。
小さなころからずっと一緒に生きてきた女の子が魔物だったとあれば無理も有りません、何せこの街では魔物娘は悪だと教えられてきたわけですから。
(次の満月は明日の夜・・・・ハウリと離れたくない、だけど魔物は悪・・・でも、でもハウリはハウリだ・・・どうしたら・・・俺はどうしたらいんだ・・・!)
玄関でじっと悩んでいる彼に奥から彼の父親がやってきます
「どうしたジャン・・・元気がないじゃないか」
ジャンはぼんやりとした顔で父親を見つめます。
「悩みがあるなら聞こうじゃないか」


「父さんは・・・もしも突然自分が魔物だったって知った時、どう思う?」
それを聞き彼の父は難しい顔をしてこう答えます。
「それは、怖いだろうな・・・この街でそんな事が他の人間に分かれば大変な事になる」
ジャンは黙って聞き続けます。
「そんな事、他の人には言えないしな・・・それに、寂しいだろう」
話を終えた後、ジャンは自分の部屋へと戻って行きました。
彼が部屋に戻った後、彼の父はつぶやきます
「そうか・・・ハウリちゃんの本当の姿を知ってしまったか・・・納得のいく答えを出せよ、ジャン」

部屋へと戻ったジャン、彼の答えはもう決まっていました
「ハウリは、そんな大変な事を俺に話してくれた、自分が危ないかもしれないのに・・・そうだよ、簡単なことじゃないか、どうしてこんなことで悩んでいたんだろう・・・はははっ!」
そうしてジャンは早々に眠りにつくのでした、とても、とても嬉しそうな顔で


翌日の朝
ハウリの家ではハウリとその父は身支度を整えていました。
そしてジャンの家では
「ジャン、本当にいいんだな?」
「あぁ、自分で決めたんだ、悔いはないよ」
「そうか・・・」
ジャンの方も身支度を整えているのでした。
「・・・父さん」
ふと、ジャンは疑問に思った事を尋ねます
「どうして、さっき俺がハウリが魔物娘だって言った時驚かなかったの?」
すると彼の父は笑顔で
「実はな、若いころあの子の父親と俺は冒険者のコンビだったのさ、んであの子に魔術をかけたのも俺なのさっ!」
そう言うとジャンの父はグッと親指を立て、ウインクするのでした。
「立派に暮らせよ?教会の人間が動きそうになったら俺が止めるから、安心して行って来い!」
そうして元気よく送り出されるジャン、それと同時にハウリも荷物を持って家から出てきます
「あっ・・・・ジャン」
「よっ、ハウリ!」
戸惑うハウリに何時も通りのジャン
「どうして・・・私は・・・私は!」
見る見るハウリの目には涙が浮かび上がってきます。
それを見たジャンは彼女の涙をぬぐい
「何言ってるんだハウリはハウリだ、俺たちはいつも一緒じゃないか!」
と先程彼の父親がやったようにグッとポーズを決めます。
「ありが・・・とう・・・!」
嬉しさのあまりハウリは泣き出してしまうのでした。
そうこうしていると二人の父親も家から出てきました。
「二人とも、行くべき場所への地図はハウリの荷物の中に入ってるからね」
「ハウリちゃん、ジャンをよろしくなっ!」
互いの父に見送られ二人は笑顔で顔を合わせるのでした。
「へへっ、じゃあ行こう!」
「うん!」
こうして人間の少年とワーウルフの少女は元気よく旅立っていくのでした。
その後、彼らと思わしき夫婦が親魔物領で目撃されたと言う・・・





〜おまけ?〜
「さてガロス、そこに隠れている娘たちの旅路を邪魔する奴らを蹴散らそうか」
「おうともよ、人の恋路を邪魔する奴らは馬に蹴られてなんとやらとな、いくぞアイン!」
そう言って父親達は駆け出すのでした。
11/03/02 01:33更新 / 猫目
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■作者メッセージ
はてさて、とりあえず完結です
えーっと、どうでしたでしょうか?
初めは、狼と共に去りぬ というタイトルにしようと思っていましたが、語呂が悪いので犬にしました、ごめんなさい

ところで、昔こんな感じのお話を見たことありまして、それをふと思い出してこれを書いたのですが、何方か御存じありませんでしょうか?

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