読切小説
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一つ目と幼馴染の昔話
ある所に青い肌で角が生えている一つ目の女の子がいました。その女の子は他人と違うからという理由で仲間外れにされたり、いじめられたりされてしまっていました。

何でかって?

そうだね。今は違うけど、その時はまだ魔物が馴染めていない時代だったから仕方がなかったんだよ。

そんな女の子にも一人だけ友達がいました、生まれた頃から一緒にいる男の子です。男の子は女の子とずっと一緒にいたおかげか、女の子の事を変だなんて思ったりせずに一緒に遊んでくれました。
ある日、男の子は女の子がいじめられている事を知ってしまいます。男の子は女の子を抱きしめて「絶対に守ってあげる」と約束しました。
だけど、どうすれば女の子を守れるのかな、と男の子は悩んでしまいます。

次の日、男の子は眼帯をつけて女の子をいじめていた子供たちに「お前らなんて、俺の目を見ただけで死んじゃうんだからな」と言いました。
もちろん、いじめっ子たちは怒って女の子の事なんて忘れて男の子をいじめはじめます。それでも男の子はいじめっ子達を怒らせるのをやめません。
そんな事をしているうちに、女の子のいじめは無くなってしまいます。それが、男の子の考えた女の子を守る方法でした。女の子が他人と違うからいじめられるなら、男の子はもっと奇妙な事をしたのです。

確かに女の子のいじめは無くなりましたが、女の子は全然嬉しくありません。だって、たった一人の大切な友達がいじめられているのですから。
女の子は男の子に「なんでこんなことするの?」と言いました。男の子は「俺が本当は強いのにあいつらが悪い事をしてるからいけないんだ、俺なんかと一緒にいるとお前はまたいじめられるぞ」と返します。
臆病な女の子はどうする事も出来ませんでした、平気なふりをしていても本当はいじめられるのが怖かったのです。女の子は何も出来ないのが悔しくて涙をこぼしながら、男の子に何度も「ごめんなさい」と謝ります。しかし、男の子は「お前は可愛いんだから泣くな、笑顔が一番なんだぞ」と笑って言ってくれました。



そのうちに魔物が当たり前に受け入れられる世界になりました、女の子は今ではいつでも笑顔の人気者です。でも、男の子は相変わらずに変なふりをしていました。
男の子は自分が変なふりを止めたらまた女の子がいじめられてしまうかもしれないと思って、それが怖くて止めなかったのです。

女の子は男の子に「もう、ボクは大丈夫だからそんな事しなくていいんだよ」と言いました。男の子は格好をつけて「俺が好きでやっている事なんだから別にいいだろ」と聞きません。
だから、女の子は男の子を抱きしめて「キミはボクの好きな人だから無理して欲しくない、ボクは今までキミに甘えていてばっかりだったから今度はキミがボクに甘えてもいいんだよ」と語りかけます。男の子は「ありがとう、本当はお前のそばにいたかった」と泣きながら女の子を抱きしめ返します。

そうして、女の子と男の子は付き合うようになりました。もちろん、まわりの人たちも喜んでくれています。二人はやっとお互いに笑顔で一緒にいられるようになりましたとさ。

めでたし、めでたし。
14/09/17 08:34更新 / アンノウン

■作者メッセージ
その女の子と男の子がどうしてるかって?
そうだね、お父さんに聞いてごらん。
二人の間には子供も生まれて幸せに暮らしてるって言ってくれるからね。

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