読切小説
[TOP]
ゲイザー村へ行こう
「私達の村では、まず一日に一人ずつ、つきっきりで”歓迎”する決まりです」

 静まりかえった暗い部屋の中。
 アルビノよりも白肌の少女は私の右側で私と腕を組んで、密やかな声でそう言った。
 くすぐるような吐息が私の耳元に当たる。
 私よりかなり背が低いが、それでも息が耳に触れるのは彼女が宙に浮いているからだ。
 彼女の顔にある大きな橙(だいだい)色の一つ目が、彼女が人間ではない異質な生物であると教えてくる。
 けれど、その真っ白な肢体は魔物というにはあまりに人間らしく、整っていた。

「だが勿論、”最初”はトクベツでございます。
 もっとも縁近く、功労者である者がそれを貰う」

 私の目前に立っていた二人目の女性が口を開く。彼女もまた白肌で青色の瞳を持つ一つ目をしていて、背は私と同じ程度だがどこか大人びた声をしている。
 道を私に譲るかのように彼女は横へ歩く。

「あの子はもうベッドの中ですよぅ。あまり焦らさないであげてください〜」

 さらにもう一人、私の左側に立っている、黄色の瞳をした一つ目の、とても背が高い女性が言う。彼女もまた私の腕を手に取りながら私に囁いた。
 巨大なベッドが私の目前にある。

「お兄ちゃん、心の準備ができたらお布団をめくってあげてね」

 ベッドの隣に立っていた、緑色の一つ目をした少女がわたしに囁く。
 ゆっくりと四人の少女たちは私から離れ「さあ」と合図をする。
 その言葉に従うまま、私はベッドに近づく。三人は横になって寝れるほどの大きさだ。

 ふわふわした柔らかい布団をめくると、赤い一つ目の幼い少女が裸で寝転んでいた。
 私をここに呼び、今日ずっと寄り添ってくれていたあの子。

「……っ」

 癖のついた長い黒髪と黒い手足、すべすべした白い肌が織りなすコントラスト。
 幼いながらもわずかに膨らんだ乳房の形、柔らかそうなお腹、しなやかで細い手足。
 黒いゲルのようなもので股間と乳首こそ隠されているが、かえってそれが扇情的だ。

「あ、あんまりじろじろ……見んなよぉっ……」

 恥ずかしそうに顔を赤らめ、私から目を逸らす様がいじらしくて堪らない。 
 情欲を掻き立てられて、興奮が高まっていく。

 後ろで扉が開く音がして、四人の少女達がこの部屋から静かに出ていくのが見えた。

「まずは二人きりで。それではしばしの間、失礼します」






――――――――――――――――――――――――――――――――――







 事のきっかけは七月の終わり頃、勤める会社に掛かってきた私宛ての電話だった。
 ウチのようなさして有名でもない出版社に女性が、それもライターを名指しで電話を掛けてくる事自体珍しく、印象に残っている。
 相手の女性が語ったのは、K県のある山中に「目が一つしかない者達が住む」村がある、という噂話だった。一分野としてオカルト関係も扱う以上こういったリークはままあるが、その殆どはイタズラである。
 しかし相手は「調べてみてくれ」の一点張りで「裏付けとなる情報を渡したいので、直接会って話がしたい」とまで言い出した。
 本来ならこんな胡散くさい話を信用する事自体が間違っている。
 だが、オカルトといえば同業者から焼き増ししたようなネタばかりの昨今。
 丁度予定も空いていた時期なので、藁にすがる思いで彼女の話を聞いてみる事にした。
 件の女性と会う約束をしたのはその三日後である。



 まだ知る人のない貴重なネタなので人目に触れる場所は避けたいと彼女が言って、地下の駐車場で会いたいと提案された。
 念の為に監視カメラが付いている所を選んでおいたので、迂闊な事はされまい。
 エンジンを掛けたまま車を停め、冷房を効かせて車内に座ったまま待つ。
 午後一時が約束の時間だ。

 約束の五分前になると、コンコンと窓を叩く音が聞こえた。

 ウィンドウを開ける前に私は相手の外見を確かめる。
 肩まである癖のついた黒髪に、茶色のロングコート。地下で薄暗いのと長い前髪のせいで、顔は下半分しか見えない。その顔もあまりよくは見えないが、とにかく肌が白い。
 しかしこの夏盛りにコートを着てくるのは一体どういう了見なのか?
 日の当たらないこの駐車場の中でさえ冷房が欠かせないのに。
 不審な事この上ないが、ここまで来てそんな事を理由に追い返す気にもならない。

「こんにちは。あなたが先日の情報提供者ですか?」

 ウィンドウをほんの少しだけ開けて、外に立つ女性に話しかける
 コートの厚みを差し置いても身体は細く、背は私より低いようだ。女性というよりは少女である。
 彼女が「ああ、」と返事したので、助手席に座ってもらうように私は声を掛けた。

「失礼するぜ」

 車のドアが開いて、密やかな彼女の声が車内に響く。声は電話越しで聞くより少し低いが、こっちが地声なのだろう。少女にしては落ち着いた低い声だ
 コートの膝下から伸びる足は膝下からつま先まで全体が黒く、しかし脚にはサンダルを履いているというアンバランスさ。
 遠慮でもしているのか、シートに深く腰掛けることは無かった。
 そしてコートを着ているのに汗を掻いている様子も、暑さに喘いでいた様子もない。

「まずは、初めまして。アタシの事は”ノル”と呼んでくれ」
「ノル……ハンドルネームみたいなものですか。私はこういう――」

 私が名刺入れを取り出そうとした所で、彼女、ノルが止める。

「ああ、大丈夫だ。アンタのことならよーく知ってるぜ」
「そういえば……電話では私を名指しで呼ばれたそうで。
 それほど有名な記事を書いたつもりはありませんが、覚えて頂けてるのは幸いです」
「記事を見たのもまああるが、それだけじゃあ不十分だ。
 オマエさんのことは知り合いに頼んで、隅から隅まで調べ上げてもらったよ」
「……というと?」

 にやり、と彼女が笑い、口元から人間離れしたギザギザの歯が露わになる。

「家族構成をはじめ、過去、病歴、犯歴、趣味、嗜好……他も色々。
 家族や恋人の有無から、丁度一ヶ月前にアンタがネットで注文した同人誌まで、な。
 それも人外の姿をした女性ばかりが出てくる成年向け書籍……アンタも好き者だねェ」

 くつくつと笑う少女。
 先日、確かに私は一ヶ月前、インターネットを通じて本を注文したばかりだ。内容まで当たっている。
 私の情報を知っているという、彼女の言った事はウソではないらしい。
 確かに最近家に人の出入りも多かったし、PCやスマートフォンの挙動にもやや不審な点はあったが……知らぬ内にそこまで深くプライバシーを探られていたとは。

「……私は、別に面白みのある人間じゃない。
 大した貯金もなければ、掘り返されて深刻に困るような傷もない。
 脅したところで意味はありませんよ」

 否でも警戒心を強めてしまう私に、ノルはあくまでも笑顔を崩さない。

「マァマァ、落ち着け。そんなつもりで探ったわけじゃない。
 金や失脚が目的なら、いちいち姿を晒して面と向かって相手に伝える必要はないだろ?
 こっちにも色々事情があってね、テキトーに相手を選んで依頼したんじゃない、って事は分かってもらえればと思う」
「あくまでも目的は今回の依頼だ、と?」
「ああ、そうだ」
「しかし……あなたみたいに、調査を依頼してくる人もいないではないですが……。
 目が一つしかない、なんて。そんな村が、いやそんな人間がいるとは思えませんよ?」
「そうだろうなあ。そんな人間は、アタシもいないと思う」

 返ってきたのはあっさりとした返事だった。

「人間なら、な」
「え?」
「だから、」

 ぼそっと呟いた言葉に聞き返すと、彼女は自分の前髪にそっと手を掛ける。
 手袋でも着けているのか、袖の中まで墨のように真っ黒い手だ。

「人間でないなら――あり得るだろ?」

 そのまま黒髪が掻き分けられ、その下の顔が露わになる。
 そこに在ったのは、赤く大きな一つ目。
 作り物ではない本物の目玉。
 それはぎょろりと動いて、私と目線を合わせた。


「……」


「……」


 エンジンと空調の音だけが鳴り響く車内で、しばし私と彼女は見つめ合う。 


「……」


「……」


 そのうちに彼女の笑みが消え、困惑の表情に変わっていく。

「……」
「……」
「……お、おい」
「……はい」
「なんてゆーか、ここはだな、もう少し驚いたカオをしてもらわないと……その。
 むしろ、アタシが恥ずかしいんだが」
「は、はあ……すみません」

 しばらく経って、ノルは困ったような声で目線を外す。頬も赤く染まっていた。顔が露わになった今なら分かるが、声にしては幼い顔つきだった。
 真ん中に一つしかない大きな瞳がごろんと動くのは中々奇妙な光景である。
 私も現実で初めて見る一つ目には驚いていたのだが、どうも彼女の期待する反応はできなかったようだ。オカルト関係の書籍や、人外女性の出る本ばかりを好んで読んでいたせいか、鈍感になっているのかもしれない。

「こほん。……えっと、えーと。
 ここで”暗示”を掛けるつもりだったのに……もうそんな雰囲気じゃねえな、これは」
「暗示? 暗示ってなんです? それにさっき、人間じゃないとかなんとか……」
「あっ、あとでちゃんと説明するよ。
 ……それで、アタシの言う村には来てくれるのか?……」

 気落ちしたような声を聞くと、なぜか悪い事をしたような気分になる。
 しかし、これで彼女の言う村が実在する可能性、という裏付けになった。
 不審な点ばかりだが、少なくとも虚偽で私を騙そうという不誠実さは見られない。

「その前に確認したいんですが、もしやあなたもその村の住人だったりするわけで?」
「むぐ、そ、そうだけど。変な所で理解が早いな」
「それならマズいでしょう。
 いくらウチみたいな三流出版社でも記事にしちゃ色々と面倒になる。
 その村とやらに変な人達や団体が押し掛けるかもしれないし」
「え? あー……たしかにそうかもな。
 だからまず私たちの村に来て、どういう風に書くかを考えてほしいんだよ」
「は、はあ」

 そのまま私はノルに説得され、その日のうちにその村へ向かう事になった。
 あまり気乗りはしなかったが、彼女のよく分からない勢いに引っ張られてしまったというのが正しい。





 数時間後。
 高速道路を使い、K県の山中まで辿り付く。
 村の中まで車を降りて歩く必要がないというのは有り難い話だが、それも奇妙だ。

「ああ、ここだ。あの看板が目印になってる」

 坂道を車でゆっくり登っていると、助手席に座った彼女が古い木の看板を指さす。
 ほとんど森といってもいい道にあるその看板は大きいが、傍にある木と同化してしまいそうなぐらい古めかしい。

「しかし、こんな山奥に人が住んでいるんですか?
 最寄りのコンビニでも、この辺りは特に人口の少ない場所だと聞きましたが……」
「行けば分かるって。居心地はいいから安心しな。
 ……あと、堅苦しいのはキライなんだ。そろそろ敬語はよしてくれ」
「わかりまし……いや、わかった」

 看板の文字はよく読めなかったが、とにかくこちらで合っているらしい。
 森の中は暗く、何度も曲がった道を通るので、ゆっくりと車を走らせていく。
 気温がやけに低く感じて、私は冷房のスイッチを切った。

「……なんか、ぞわっとするんだけど。山の中ってこんなに寒かったかな」
「うーん、ちょっと”道”が変わるから……大丈夫だとは思うけど、辛かったら言ってくれ」

 進んでいくと、少しずつ周りに霧が掛かっていく。
 道は見えるし分かれ道はないので迷う心配はないが、風景が白一色に染まっていくのには言いようのない不安を感じてしまう。
 蝉の鳴き声もいつの間にか消えていて、聞こえるのは車の動く音だけという静けさ。

「なんだか、別の世界に迷い込んでいくような気分だ……」
「ししっ……かもな」




 もう十五分ほど車を走らせると霧は少し晴れ、深い森の中に家が立ち並ぶ不思議な光景が目の前に広がった。
 立っている家々も掘っ立て小屋のような粗末なものではなく、ちゃんとした造りのものばかりだ。コンクリートではないが道もちゃんと舗装してある。
 こんな森の中に集落がある事自体が驚きだが、それが今まで認知されていなかったというのも奇妙だ。もしかしたら凄い事に首を突っ込んだのではないか――と第六感のような物が警鐘を鳴らす。

「ここにも人が……?」
「この辺りにも家はあるけど、まあハッキリ言って飾りみたいなモンだな。
 ここに住む奴らのために建てたのには違いないが、全然人気(にんき)がないんだ。
 どっちかというと別荘に近いか」

 私が車外の風景に気を取られていると、ノルが喋った。赤い一つ目をもう隠そうともせず、前髪は眉が見える程度に真ん中で掻き分けられている。

「それで、どこまで行けば?」
「んー、車だとたぶん、もう五分もしないうちに村でも特に大きい屋敷に着く。
 そこにこの村の村長が居る、客人が来るって話もつけてある」
「……なぜか、私をここに連れてくる事前提の話しぶりだけど」
「いやいや、こんなにすんなり事が運ぶとまでは思ってなかったけどよ」

 それは褒められているのか、と思いながら私はゆっくりと車を走らせる。

 ノルの言うとおり、五分もせずに大きな館が見えた。
 映画や漫画に出てきそうな洋風の建築物で、日本で言う所の西洋館に似ている。
 しかし似ているだけで、様式は見たことがない異国のものだ。
 お洒落な雰囲気はあるのだが、こんな森の中ではむしろ不気味である。オカルト的に言えばもってこいの物件に見えるがその禍々しさは本物だ。

「クルマは適当な所に止めておいてくれ。門の横ぐらいで」

 促されるままに正門近くで車を止め、荷物を持って降りる。
 走行中も思ったが、八月も間近になる季節だというのになぜか肌寒い。日が射しておらず薄暗いとはいえ少し異常だ。
 ただ息をしているだけなのに何故か身体が少しむずむずする。
 さらに見憶えのない植物も咲いていて、ますます現実の世界とは思えない。薄明りを放っている花のようなものも見えるが、光の錯覚か何かだろう。

「ほら、こっちだ」

 私の右手をノルが握り、私を引っ張って歩き出す。
 真っ黒い彼女の手は手袋のような布の感触ではなく、柔らかく少しひんやりとしていた。
 突然の行動に驚く間もなく、私は彼女に連れられていく。

「ど、どうして手を?」
「えっ、こ、これは……オマエが迷わないようにだよ、決まってるだろ!」

 迷うも何も館は目前である。まあ、確かに森方面は鬱蒼としていて危険そうだが。

「いいからほら、行くぞっ」

 引っ張る手の勢いが強くなり、上半身が傾く。
 転ばないように気を付けながら門の前まで行くと、誰かが館の玄関を開けて出てくる。

「おや……お待ちしておりました」

 ショートの黒髪に、陶磁器のように白い肌。しかし手足は真っ黒い何かに包まれている。
 背は170cmの私と同じくらいで、黒ネクタイの着いた黒の燕尾服に黒の革靴という、まるで執事のような装いだ。顔立ちも中性的だがとても整っている。
 そして、やはり顔には大きな目が一つだけ。ノルとは違う青色の、澄んだ瞳である。

「どうもこんにちは。思ったよりお早い到着でしたね」

 声を聞くまでは判断できなかったが、声の高さでようやく女性だと分かる。
 その女性は門前まで颯爽と歩いてくると、恭しく私達に頭を下げた。
 振りまく雰囲気は劇団でしか見られないような、男装の麗人と言って差し支えない。

「お話はノルから伺っております。今開門しますので、お待ちください。
 ……それにしても、」
「?」
「随分打ち解けていらっしゃるようですね。ノルは割と気難しい子なのですが」

 その言葉で、私とノルがまだ手を繋いでいたことに気付く。

「よっ、余計なコト言わなくていいんだよトヴォー!」

 慌ててノルは私から手を離し、声を荒げる。
 トヴォーと呼ばれた麗人は門を開けた後、もう一度私に頭を下げた。 

「申し遅れました、わたくしはこの館の執事、トヴォ―と申します」
「あ、どうも……」

 つられるように私も頭を下げると、ノルが密かにつぶやく。

「ま、ごっこ遊びみたいなモンだけどな」
「えっ?」
「あーいや、なんでもねェよ」
「では、村長がお待ちです。中へどうぞ」

 ノルの言葉に疑問を持ちながらも、私達は館へと誘われる。



 厳かな扉を開けると、白と黒の市松模様のタイルが敷かれた玄関が広がっていた。
 見た事のない形のシャンデリアやウォールランプが備え付けられているが、派手な明るさではない。
 そこから更に大きなホールを通り、応接室のような場所へ案内される。全体的に調度品やインテリアは少ないがどれも高級品に見えた。
 ただ、人気はほとんどなく静まり返っているのが気になる。
 トヴォーさんに扉を開けてもらいノルと共に部屋へ入ると、赤の絨毯が敷かれた室内が目に入り、館の雰囲気とは不釣り合いなほんわかした声が聞こえた。

「あらぁ、いらっしゃいませ〜」

 応接室の中に立っていた女性はやはり目が一つで、黄色の瞳をしている。
 黒く腰まで伸びたロングヘアーで、私の顔がちょうど彼女の胸元辺りに来ることから背丈は2m近くあるだろう。男性でも稀な程の身長だが、気圧されるような威圧感はなく、寧ろ和やかである。
 礼服のようなブラックフォーマルの膝下まであるワンピースという装いだ。やはり手足は黒く、そして服の上からでも一番に際立つぐらい巨乳である。
 
「どうもどうも、こんな遠い所までわざわざ〜」
「いえ、こちらこそ急にお邪魔して申し訳ありません」

 頭を下げられたので、私もそれに倣う。彼女は語尾が伸びるのが特徴のようだ。

「あ〜、私はこの館と村を仕切らせていただいてます、ヒューラです〜」
「村長の方でしたか。まさか女性の方とは思いも……」
「ええ、基本的にこの村には女性しかいないもので〜。
 村長とは言っても、形式上というか、まあ一応、みたいな感じでして〜」
「は、はあ」

 声に違わず、思ったよりフランクな人だ。
 彼女に促され、私とノル、ヒューラさんでテーブルに着き、向かい合って置かれた黒いソファに腰掛ける。外にいたトヴォーさんはヒューラさんに促され、お茶の準備をしに行った。
 何故か村側の立場であるノルがヒューラさんの側ではなく私の隣に座るが、他の誰も気に留めていない。
 私も詮索することはせず、話を切り出す。

「それにしても……初めてですね、このような場所に、こんな集落があるなんて話は。
 にわかには信じられませんが、今までずっと秘匿されていたという事なのですか?」
「う〜ん、まあそう……いえ、どこからお話しましょうか〜……」

 首をかしげながら、ヒューラさんが余所を見る。

「お気づきになられてるかもしれませんが、もうここはアナタのいらっしゃる世界ではないんですよね〜」
「……はい?」
「ちょっ、話がいきなりすぎないか!?」

 にこやかに笑みを保つ彼女に冗談を言っている節はない。ノルも驚いてはいるがそれを否定しようとはしない。

「でもここまで来てくださったのなら、もう隠す事もないというか〜」
「いやいや、まだ何の暗示も掛けてないんだぞ?もし正気を失って発狂でもしたら……」
「そ〜んなゲームみたいなこと起きませんよ〜、ニンゲンさんってお強いんですから〜」
「す、すみません。話が突飛すぎて付いていけないのですが」

 あらぁ、とヒューラさんが口に手を当てる。
 対してノルはやれやれと言った表情だ。

「私のいた世界でないとしたら……ここはどこだと言うんですか」
「う〜ん、私どもの世界ではこのような場所を『魔界』と呼ぶんですけれど……どうもそちらの世界では空想上の産物だと思われているらしいですねぇ〜」
「……まかい?」
「あ〜、そもそも私達『ゲイザー』についてはご存知ですか〜? ノルちゃん、どう?」
「いや、まだ話してねェよ……もっと順を追って説明するべきだと思ってたから」
「げ、げいざー?」
「まず私達は、人間とは違う生き物でして〜……」

 説明された事を纏めると――ここはもう日本、いや地球ですらない別の世界。
 この世界には魔物娘という存在があり、彼女たち『ゲイザー』は魔物娘の一種である。
 『ゲイザー』は目が一つしかない、背中から触手を生やした種族だ。
 相手の目を見ることで”暗示”を掛けるという魔法を使用する。
 そして『ゲイザー』は、普通の食べ物ではなく男性の精を糧にしている。
 別の世界だの魔法だの、常識からかけ離れた単語ばかりが飛び出して来て、私は取材の時にいつも使っているボイスレコーダーの起動さえ忘れかけていた。
 到底信じられない話だが、彼女達を見ているとそんな常識は飛んでいきそうになる。

「その……さっき聞いた『ゲイザー』の外見と、ヒューラさん達の姿は、少々異なるようですが」
「ああ〜、今はお洋服を着ていますから、触手の方は引っ込めているんですよね〜。
 せっかくですので、お見せしましょうか〜」

 そう言ってヒューラさんは立ち上がり、自分の着ている黒のワンピーススーツを脱ぎ始める。

「おいおい……」
「ちょ、ちょっと!こんな所で――」

 私とノルが静止の声を掛けても、ためらう事無く服を脱ぎ捨てるヒューラさん。
 服の下から現れたのは真白い肌に、むちむちと肉付きの良い柔らかそうな肢体、たゆんと揺れるとても大きな乳房。黒いゲルのようなもので乳首や股間こそ隠されているが、セミヌードよりも過激である。
 目前で繰り広げられる大胆な露出で、目のやり場に困ってしまう。

「うふふ……では、お見せしますね……私たちの、本当の姿を……」

 にやりと微笑むその顔は、どこか悪魔のような凄みを連想させた。
 その瞬間、ヒューラさんの身体が宙に浮き上がり、臀部辺りから尾のような黒い毛がぶわっと広がる。同時に背中から、黒いゲルに塗れた何本もの触手らしき物体が現れる。その先端には顔にある一つ目に似た黄色の目玉が付いていて、ぎょろりとこちらを睨んでくる。

「ん、んんんんっ――」

 一、二……合計十本の触手が、一斉にこちらへ瞳を向けた。
 その身に纏うのは、全身の毛が逆立つような、ぞくっとする程の威圧感。
 一般人の私では正確に推し測れないが、確かにそこにある”力”。
 ヒューラさん自身の柔らかな雰囲気もあり畏怖のような物は感じさせないが、その名状しがたい雰囲気は神秘に満ちていた。

「――ふぅっ。人様にこの姿をお見せするのなんていつぶりでしょうか。
 あれは今から三十六万……いや、一万四千年前でしたか……」
「いや、流石にそこまで長生きしてねェだろ」
「あら、バレちゃいました?ノルちゃんが送ってくれたゲームが面白かったのでつい」
「ほ、本当に……魔物、……しゃ、写真を……!」

 思わず私の手が震える。デジタルカメラを持ってこなかったのをここまで後悔した事はないだろう。
 いやスマートフォンの内臓カメラでもいい、記録として残さなければ。

「あらぁ♪ お写真はちょっとぉ、恥ずかしいです〜……♥」
「自分から脱いどいて何言ってんだ……」

 私がスマートフォンを構えると、ヒューラさんの触手が自身の身体に巻き付いて、彼女の裸体を隠す。
 構うこと無く私はシャッターを何回も切る。

「いーのか?写真なんか撮らせて」
「だ、だって〜、男の人に見られてると思うと、コーフンしちゃって……♥」
「ただの痴女なんだよなぁ……」
「いいじゃありませんか、どうせこの村からは……うふふ〜♪」

 二人の言葉が耳から耳へ抜けていくぐらい、私は狂喜していた。
 何枚か写真を撮り終えてからようやく平静さを保ち、私はソファに座り直す。

「話を戻そうぜ……アタシ達『ゲイザー』が人外だって事は分かっただろ?」
「ええ……実際にこの目で見てしまっては、否定しようがありません。
 しかし、どうしてここにはそのゲイザー達だけが集まっているのですか?
 先ほど聞いた話だと、魔物娘は色々な種族で溢れているということですが……」
「あら〜、良い所にお気づきになられましたね〜。
 とはいえそんなに大層な事ではありませんよ〜」
「自分で言うのもなんだが、アタシらは魔物娘の中でも上級魔物扱いされてるし、さらにかなり特殊な魔物だ。アタシらのツラとさっきのヒューラを見ればわかるだろ?
 だが少なくとも、どんなニンゲンでも受け入れてもらえる――ってな見た目じゃあねえよな」
「しかし……人間はともかく、他の魔物娘達まで招かないのはなぜです?」
「ええ、まさにそこなんですよね〜。
 生物である以上、当然かもしれませんが〜……私達にも個性があるんですよ。
 人目に触れる数が少なく、かつ強大な魔力を持つ故に、ゲイザーは意地悪で捻くれ物だというイメージが先行してしまっているのですが〜、それは魔界を出ればのお話です。
 同じゲイザー達が住む場所では、本当に多種多様なゲイザーがいるわけで〜」
「まあつまり……アタシらはアタシらなりに、枠に嵌められず生きてたいのさ。
 何々には向いてないだとか、何々はしない方がいいとか……そーいうありがてェ講釈とは離れてな。
 本来ゲイザーは家族ぐらいしか群れを作らないし、極端な話作る必要もない。
 普通ならキキーモラやショゴスが就くメイドも、ここじゃゲイザーが取り仕切ってる」
「そういうゲイザー達が集まったのが、この村、この館の始まりなわけですね〜」
「なるほど……」
「ま、自由を求めたあまり不自由に駆られる事もあるわけだけど……。
 その辺は他の奴らも一緒ってことで、割り切るしかねえな」
「さて、そこでお話なのですが〜……あ、入って入って〜」

 こんこん、とドアがノックされ、ヒューラさんが入室を促す。
 トヴォーさんがドアを開けると、二人の少女がお盆に載せたお茶とお菓子のようなものを運んでくる。
 
「失礼します」
「おじゃまします!」

 二人はてきぱきと私達に紅茶を注ぎ、クッキーのようなお菓子を並べた。
 そういえば、今まで見てきたこの村の住人全員の手足は黒に包まれており、みんな長い手袋や靴下を履いているかのようである。どうやらこれはゲイザー特有の性質のようだ。
 全ての準備が終わると、二人は並んで私にお辞儀をする。

「いらっしゃいませお客様。わたしはこの館でメイドをしております、トレと申します」

 一人はトレと名乗る少女で、ヴィクトリアン型のメイド服に身を包んだとても幼い少女だ。橙色の一つ目で、私より頭一つ以上背が低い。130pとちょっとの身長だろう。見るからに子供で入学したての小学生のような背丈と体格だ。
 アップスタイルで結った黒髪の上からレースの付いた白いヘッドドレスを被り、前髪が垂れないように横に流してピンで留めている。ロングドレスのメイド服もかっちりと着こなしており、手際や振る舞いを見ても十分な素養があるようだ。

「こんにちは、ボクは村長の娘のエットです。よろしくお願いします!」

 もう一人の、エットと名乗る少女は160cmぐらいの身長で、緑色の一つ目だ。顔立ちはトヴォーさんに似て中性的だが、彼女とは違い幼げなボーイッシュさが際立っている。
 白い長袖のブラウスと黒いロングスカートを履いた、私より少し背の小さい少女だ。緑色の一つ目で、元気よくスカートを揺らす動きと快活な声をしている。
 しかしヒューラさんの娘という割には、両者はほとんど似ていなかった。

「さて、これで”全員”揃いましたね〜」

 いつの間にかトヴォーさんも含め、私の周りを五人五色の一つ目が囲んでいる。
 赤目のノル、緑目のエット、青目のトヴォー、橙目のトレ、黄目のヒューラ。
 全員が一つ目であり、『ゲイザー』だという事は言われずとも察する事ができる。

「基本、アタシ達の村はこの五人で回してた。ま、アタシがあっちにいた間は抜きだが」
「ボクらはずっと待っていました。この村に男性の方が来ることを!」
「勿論、普通の人間では駄目です。わたくし達を認め、異形を愛する事の出来る方……」
「わたし達は待ち、厳選した男性をノルがこの村へと連れてくる。そういう筋書きです」
「それと……攫ってしまっても、後々面倒が起きにくい方、というのも一つですね〜」
「という事は、まさか……?!」

 ぞわっ、と私の体が震える。五体の異形が向ける視線がすべて私に降り注ぐ。
 微笑む者、大きく笑みを浮かべる者、ぎざっとした歯を見せて笑う者――。
 そのどれもが、捕食者が浮かべるものに見えた。

「ええ……真相を知ってしまったアナタにお尋ねしましょう。
 どうですか?私達とここに住んで、親睦を深めてみたいとは思いませんか〜?」
「し、親睦……?」
「ええ。わたくし達にかかれば、旦那様の意向を捻じ曲げる事は容易いですが――」
「愛というのは育むものです。少なくともわたし達五人はその思いでこの村を作りました」
「お互いを知り、理解してこそ、より愛は尊いものになる……」
「だからもしオマエがイヤなら、ここで帰してやる事も出来るってわけだ」

 ごくりと唾を飲み込む。目線から逃げるように一度ティーカップに手を付けたが、手が震えて零しそうになってしまう。勿論紅茶の味など分からない。

「さあ。どうします?」

 誰が言ったかも分からない言葉に対し、私は勇気を振り絞って返事した。

「よろしくお願いします、皆さん」

 返事を聞いた五人のゲイザーは、妖しく笑うばかりだった。







 まず私は館の中を案内される。
 一階は賓客を迎える場(とはいえほとんど誰も来ないらしいが)で、二階が主な生活スペースになっており、私の為に用意してくれたという部屋に連れていってもらう。
 案内してくれるのはメイドのトレと、村長の娘(という役であろう)エットだ。

 最初にエットはこんなことを言ってきた。

「あの、ボク、これから『お兄ちゃん』って呼んでもいいですか?」
「えっ、あ、ああ」
「よかった! ありがとう、お兄ちゃん!」

 突然すぎて驚いたが、聞けば彼女は元々一人っ子で、そういう関係に憧れていたらしい(そもそも今の所魔物からは魔物しか生まれないと聞いた)。
 事情を聞いたからという訳ではないが、私も身寄りの殆どない身で、兄弟はおろか今は両親さえいない。遠い親戚とはもう連絡も取っていない。
 彼女のような少女にそう呼んでもらえるのは私にとっても嬉しい申し出で、断る理由はなかった。

「不躾な質問で申し訳ありませんが、ご主人様はおいくつなのですか?」

 三人で廊下を歩いていると、トレが質問をしてくる。 
 「館に住まわれるのであればこれからはご主人様です」と言っていたので、私への呼び方もそうなったのだろう。

「数えで二十四歳だよ」
「あら……そうなのですか? わたしより随分お若いのですね」
「え」

 思わず聞き返してしまう私に、エットが繋げる。

「そりゃまあヒューラさんと同じぐらいだし、トレはボクより断然――あ、いや、なんでもないよ」

 背丈からして一番の年少者だと思っていたのだが、私より年上とは。考えてみればその気品溢れるメイド姿は一朝一夕で身に着けられるものではない。
 髪型も衣装も昨今ありがちなコスプレメイド風ではなく、露出の少ない落ち着いたヴィクトリアンスタイルのものだ。

「随分とその、若く見えるけれど……」
「魔物の体型は個人差が大きいですから。生まれてからずっと子供のままの子もいます」
「ボクももっと胸が大きかったらなぁ……髪もあんまり伸びないし……」

 自分の胸や髪を撫でながら、エットがぼやく。魔物も人と同じく、一つ目以外の外見で悩むこともあるらしい。

「こちらがご主人様にお使いいただくお部屋になります」

 用意されたという部屋を見せて貰うと、そこは館の主人が使うような広々とした部屋だった。
 二人は寝転がれそうな大きなベッド、洋風のタンス、派手ではないが豪華なテーブルとイス。白いカーテンのかかった窓。
 というか、どう見てもこの館の主寝室である。

「ここは……主寝室じゃあ?」
「ええ、その通りです。元々この館には主人がおりませんから」
「だからココに来てくれた人がご主人になるの。ねー」

 トレとエットは二人で目を合わせて笑いあう。
 主人扱いされるのはやぶさかではないが、あまりにも急すぎる話だ。
 とりあえず部屋の中に荷物を置くと、トレが私に話しかける。

「ご主人様。お風呂とお食事、どちらを先になさいますか?」
「え?あ、ああ……じゃあ、食事の方を先に……」
「分かりました。それではご準備が出来ましたらお声掛けしますので、ここでお待ちください」
「しばらく待っててね、お兄ちゃん!」

 一礼をして、トレとエットが部屋を出ていく。
 スマートフォンを触ってみるが当然電波は入らず、GPSも機能していない。外部への連絡は不可能だろう。
 ただじっと待つのも手持ち無沙汰なので、私は記事にした時のために、書き出しの案をメモしておくことにした。




「旦那様。お食事の用意が出来ましたのでお迎えに上がりました」

 しばらくして、トヴォーさんが私の部屋まで呼びに来てくれた。

「この館のメイドはトレという子だけしか見てませんが……食事はどなたが?」
「お恥ずかしながら、私達『ゲイザー』は人間と食性が全く異なるもので……。
 まともな料理を作れるのはそのトレと、”外”で住んでいたノルだけですね」
「ノル……彼女も料理を?」
「いつか来てくださる主人の為、村の外からトレに料理本を買ってきているので、私達よりはまだ知識がある……という程度ですが。
 なのでお口に合いませんでしたら申し訳ありません。出来る限り努力させていただきますが、こればかりは力及ばず行き届かない面です」
「いえ、押し掛けたのは私の方ですから、むしろこちらが感謝するぐらいで……」
「……旦那様」

 トヴォーさんは一度歩みを止め、私の方へ向き直る。
 見るたびに感心するほど端正な顔立ちの上に、きりりと引き締まった表情の彼女だが、何故か今は困惑したような顔だ。

「突然に申し訳ありません。……このような物言いは従者としてあるまじきものですが……わたくしは、旦那様の御眼鏡に適う人材でしょうか?」
「えっ?」
「も、申し訳ありません、まだ邂逅も間もないというのにこんな質問をされても、ご迷惑かと思います。
 しかしわたくしも魔物として、女として、それを推し測らずにはいられません。
 私にとっては、初めてお仕えする主人なのですから」
「しゅ、主人って……あの二人といい、いくらなんでも話が急すぎて……」
「勿論、それは承知の上です。旦那様にとってはご迷惑なお話かもしれません。
 ですが……主人を、いえ伴侶を待ち望んでいた我々の想いも、どうか僅かでもくみ取って頂けませんか。
 つまり、その……わたくしのような者でも、女性として寵愛を受けるに値するのか……旦那様の口から、お聞きしたいのです」

 トヴォーさんが見せるのは、麗人としてではない、女性としての一面。
 おそらく、二人きりにでもならなければこんな事を漏らす気はなかったのだろう。
 自分でも口に出したのが意外だと言わんばかりに、その動揺が見て取れるのだから。

「そんな心配をしなくても、トヴォーさんは魅力に溢れていますよ。
 全員に違う魅力があるから、それを比べる事は出来ないにしても……、
 トヴォーさんには気品ある優雅な佇まいが感じられますし、見せ掛けの礼儀に頼っているわけでもない。
 それは男女誰であっても、蠱惑的に映るもの。
 私に聞くまでもなく、貴方は素晴らしい方だと思います」
「――いえ。他でもない、旦那様からお聞きしたかったのです、その言葉を。
 有難うございます。その言葉で、多少なりとも自信を持ち直す事が出来ました」
「そんな。私は事実と所感を述べただけですから」
「……さらに失礼な物言いを重ねさせて頂けるのであれば……。
 今は、ふ、二人きりなのですから、もっと睦言のようにわたくしへ――し、失礼しました。案内に戻らせていただきます」

 私を先導するトヴォーさんの表情は、私からはそれ以上窺えなかった。




 食堂は思いの外小さく、四人掛けぐらいのテーブルとイスしかない。館の大きさからしてみれば異様な狭さだ。
 まあ、テーブルに着いて食事をしない生き物なのだから当然かもしれないが。
 トヴォーさんに促されて席に着くと、すぐにトレとノルが料理を運んできた。

「本日のおゆはんは、魔界豚のソテーとホルスタウロスミルク製クリームシチュー、フロウケルプの海藻サラダです」

 テーブルに何皿かの料理とフランスパン(のようなパン)が並べられ、良い匂いが漂ってくる。
 見たことも聞いた事もない食材も並んでいるが、妖しいというほどではない。
 しかし料理が並べられたのは私の前だけなので、やはり彼女たちは食べないようだ。

「誰かに料理をお出しするのは本当に久しぶりですが……食べられないという事はないと思います。ノルも手伝っていますけれど、主な調理は私なのでご安心下さい」
「あ、アタシが手伝ったらマズくなるみたいな言い方すんなよ!
 今日は珍しく失敗しなかったんだからな!」
「い、いただきます」

 言い合う二人はさておき、一礼をして食器に手を付ける。
 まずはスープを一口飲んでみると、とても濃厚なミルクの味がする。バタールと似たパンに合う味だ。入っている野菜は大きさこそバラバラだが、生煮えという事はない。素材がいいのか、どれも新鮮な美味しさである。
 豚肉は食べた事のない味だが、高級品のようなとろける味わいが魅力的だ。
 海藻のサラダもこれまた異様なうまみだが、寧ろ味が良すぎて形容しきれないほどである。

「うん、おいしい。レストランに来たみたいだ」
「お褒め頂き恐縮です、ご主人様」
「だ、だろ? アタシが一生懸命手伝ったんだから当たり前だけどな!」
「ノルには主に野菜の切り分けを頼みました」
「ああ、通りで具の大きさが……」
「そうですね……時間をかけて煮込んだので、大丈夫だとは思います」
「んむむ、食えるんだから問題ないだろ!」

 トレは謙遜していたが、どれも美味であるのは間違いない。
 満足した心地で私はあっという間に夕食を食べきってしまった。

「御馳走様です。とてもおいしい出来だったよ」
「ししっ、まあトーゼンだな」
「気に入っていただけたのであれば幸いです。
 ご主人様、すぐに入浴の準備をなさいましょうか?」
「あ、は、はい。お願いするよ」
「分かりました。それでは皆様に声をお掛けしてきます」
「み、皆様に、って……?」
「そりゃあ、今日は皆に『主人』ができた特別な日だからな。
 それじゃあ行ってくるぜ、きししっ」

 一抹の不安を抱えながらも、私は呼ばれるのを部屋で待っていた。






 五人のゲイザーに周囲を囲まれ、浴室横にある脱衣所まで連れて行かれる。
 一緒に入るのを断れるような雰囲気は誰一人として見せてくれない。

 というか――脱衣所に入る前から全員服を着ていない。

「あの、皆さん、服は……」

 全員真っ白い肌に黒髪、一つ目という所は共通しているが、体型には個性がある。

「それなんですが、私達『ゲイザー』は滅多にお風呂には入らないので〜……。
 浴室は特別に大きく作ってありますが、服を置く棚は六人分もないんですよね〜」

 ヒューラさんはむちむちと肉付きの良い体型で、どこを触っても柔らかそうな身体をしている。太っているというわけでもなく、だらしない脂肪の付き方はしていない。

「そもそも好んで服を着てるのはメイドのわたしと、執事のトヴォーくらいなのです」

 トレは未成熟な子供の体型で胸は殆どないし、手も足も細く、児童によく見られるいわゆるイカ腹だ。低学年の小学生ぐらいに幼いので、一緒に入るだけで背徳感が凄まじい。

「礼装というのは着ているだけでも身と心が引き締まりますからね」

 トヴォーさんはモデル体型と言っていいスタイルの良さで、綺麗なくびれが目立つ。胸の形も大きすぎず小さすぎずで美しい。ただ、恥ずかしいのか顔は少し赤い。

「あ、ボクも女の子の服を着るのは好きだよ!」

 エットは胸こそ小さいが、程よく付いた肉と均整の取れた体型を両立させている。

「アタシはいつの間にか慣れちまったが……ま、ない方がラクだな」

 ノルはトレほどではないにしろ幼い身体付きで、胸も小さい。手足も細いがそれなりに柔らかそうだ。

「その……みなさんの前で脱げ、と?」

 わいわいと騒ぐゲイザー五人を後目に、私は羞恥心でいっぱいだった。

「もちろん、私達が脱がせてあげてもいいんですよぉ〜?」
「……自分で脱ぎます」

 覚悟を決めて、私は自分の着ている服を脱いでいく。
 周りは大きな目玉に囲まれているし、一枚脱ぐ度に誰かが声を上げるので、やりづらくて仕方がなかった。
 全て脱ぎ終えて全裸になった後も、視線を隠すこともなくまじまじと全員に見つめられたのだが。

「わたし、こんなにじっくり殿方の裸体を見るのは初めてですね……」
「わ、わたくしもなんだか胸がざわついて、濡れてしまいそう……」
「お、おいオマエら!コーフンするのはいいけどちゃんと約束は守れよ!」

 騒ぎ立てる数人は無視し、浴槽への扉を開ける。
 大理石で出来た美しい浴槽に湯船が張られていて、もうもうと湯気を立てている。
 この館には不釣り合いなほど大きく、千人風呂という程ではないにしろ、六人は優に入れる広さだ。

「凄いですね……こんなに大きいとは思ってなかった」
「先ほどもお伝えしましたが、普段使わない分キレイなんですよ。
 それじゃあまずは……全員でお体をお浄めしますね♪」
「だからその――わっ!」

 右から左から腕を掴まれ、私は強引に二つ設置されている洗い場の片方へ座らされる。
 目前には大きなシャワーがあり、私が座らされたのは歪な形の椅子だ。それは風俗店で見かける、俗にいう「すけべ椅子」に似ていた。
 
「お湯をお掛けしますね〜、熱かったらすぐに言ってください〜」

 一番身長の高いヒューラさんが、私の頭上からシャワーで温水を掛ける。身体が濡れるように万遍なく。
 
「あの、タオル……洗うためのタオルは?」
「勿論そんなものはありません。代わりに、私達の身体でくまなく洗って差し上げます」
「な、何を言って……くぅっ」

 シャワーが止まったかと思うと、両腕にぬるぬるした柔らかい物がすり付けられる。
 見ると、泡立ったボディソープを纏った彼女たちが、自分の肢体を私の身体に擦りつけているのが分かった。特殊な洗剤でも使っているのか、透き通った海のように瑞々しい匂いと、ぬちゅぬちゅという淫らな音で周りが包まれていく。
 さながら風俗店のような接待に私は翻弄されるしかない。

「へへっ……どうだ?アタシの手でごしごしされるのは気持ちイイだろ?」

 私の目前にはノルが立っていて、胸部やお腹、足を、手についた泡で洗っている。

「大きな背中ですね……わたし胸はありませんが、こういう時には役立ちますよ」

 トレは自分の胸とお腹に付いた泡を、私の背中と密着させるように洗ってくる。時折当たる乳首らしき感触にどきっとしてしまう。

「わたくしは胸で旦那様の右腕をお洗いします……んんっ、乳首が擦れて、快感が……っ」

 私の右にいるトヴォーさんは綺麗な乳房に泡を溜め、その谷間で右腕を洗う。触れればむにゅむにゅと形を変える柔い感触に息を呑む。

「じゃあボクは、お尻で……♪あっ、擦れるたびに、ヘンな感じっ……」

 エットは股間にたっぷり付いた泡を私の左腕に擦りつける。きゅっと挟んでくる尻たぶの感触が印象に残る。

「髪の毛は私がお洗いしますよぉ〜、ごしごし♪かゆいところはございませんか〜?」

 ヒューラさんはふわりと宙に浮き、空中で私の髪にシャンプーを塗し手櫛を入れる。しなやかな白い指で頭皮をくすぐられるのには慣れそうにない。

「こ、こんな、卑猥なこと……それも全員で……うぁっ!」
「なーに言ってんだ、こんなにカタくしといて……♪ココは念入りに洗ってやるからな♪」

 今度はノルが私の股間を洗い始める。最初は太ももから始まり鼠蹊部を経て、周りを泡塗れにした所で一番敏感な肉棒を手でしごき始めた。
 全身に触れる色々な感触と、艶めいた声とでペニスは強く勃起してしまっている。

「や、やめ……うぅっ」
「おいおい、アタシ達は体を洗ってやってるだけだぜ?
 ほら、先っぽから玉までくまなく綺麗にしてやる♪」
「ではわたしは、お尻の方をお洗い致します……汚れが溜まっていそうですからね♪」
「そこは、きたな……あふぅっ」
 
 椅子は真ん中がえぐられたように大きく窪んでいるため、私の陰嚢やお尻の穴が露わになっている。そのくぼみからトレが指を挿し入れ、私の局部を洗い始める。特に尻の穴は余すところなく念入りに指でほじくられ、奇妙な快感が走ってしまう。
 前からはノルが肉棒と陰嚢を両手でしゅこしゅこと優しく刺激してくる。

「次は右半身ですね……余すところなく手で磨き上げていきますよ」
「じゃあボクも……ごしごし、ぐしぐし……あれ?乳首に触るとピクッとしたけど……」
「ふふ、旦那様は乳首も敏感なのですね……良い事を聞きました♪」

 性感帯を幾つも刺激され、射精してしまいそうになる――という所で愛撫が止まった。

「は〜い、そろそろお湯かけますね〜♪」

 宙に浮いていたヒューラさんがシャワーヘッドを手に取り、泡まみれになった私達全員に勢いよくお湯を浴びせる。
 あのまま刺激を続けられていたらきっと私は暴発していただろう。

「ししっ……随分気持ちよさそうなカオしてたじゃないか。
 もうちょっとだったんだろ? でもま、お楽しみは取っとかないとな……♪」
「ご主人様は敏感なのですね。わたしが穴をくすぐるたびに身体を震わせて……くすっ」
「お兄ちゃんの身体を洗うの、すっごくドキドキしましたぁ……こんなの初めて♪」
「わたくしの身体も疼いてしまって……夜まで持つかどうか」
「はいは〜い、まだ泡が残ってるからもう少し固まって〜」

 全員の泡が流れ落ちるまで時間が掛かったが、私の興奮は冷めやらぬままだ。
 その後はみんなで湯船に浸かったわけだが、この時も全員が身体を押し付けてくるためのんびりすることもできなかった。
 胸で顔を挟まれたり、胸に顔を擦り付けられたり、背中に胸を押し当てられたり。
 股間や内腿をさわさわと刺激されたり、耳に息を吹きかけられたり。
 五人もの女性と入浴を共にする機会など当然初めての経験だが、風呂に入っていたとは思えないほど神経をすり減らされてしまった。

 結局五人のスキンシップが激化し、のぼせる限界まで湯船に浸からされ、浴槽から上がった所で身体中をバスタオルで拭かれる。
 私はほとんど動けなくなっていたのでもはや抗議の言葉も出てこない。

「あら〜、少しやりすぎちゃったかしら……大丈夫ですか〜?」
「ちょ、ちょっと待ってろ。なんか飲み物持ってくるから!」

 そんな私を見かねたのか、ノルがよく冷えた水を持ってきてくれたのが有り難かった。
 からかってくる事も多いが、何かと面倒見の良い子なのかもしれない。 
 
 しかし介抱されても身体がいう事を聞かず、少しずつ意識が薄れていった。





 
 目が覚めた時、私はバスローブのような服一枚だけを着せられ、ヒューラさんとトレに左右両側から支えられた上で、まだ見た事のない部屋へ案内されていた。
 扉の中は真ん中以外が真っ暗で、一段と広い事と巨大なベッドが置かれている事しか分からない。

「あの……この部屋は?」
 
 私が質問すると、二人がそれに答える。

「うふふ〜、お風呂も終わって、男女が夜にやる事となったら一つでしょう〜?」
「ええ……ご主人様には、至上の快楽を味わって頂きます」

 答えを聞く間もなく、私は部屋の中へと連れて行かれる。



「――私達の村では、まず全員で”歓迎”する決まりです」



「――だが勿論、”最初”はトクベツです。
 もっとも縁近く、功労者である者がそれを貰う」



「――あの子はもうベッドの中ですよぅ。あまり焦らさないであげてください〜」



 私とノルはベッドの上で座って向かい合い、言葉を交わす。

 癖のついた長い黒髪と黒い手足、すべすべした白い肌が織りなすコントラスト。
 時折私を見つめる、宝石のように煌めく赤い瞳の大きな一つ目。
 幼いながらもわずかに膨らんだ乳房の形、柔らかそうなお腹、しなやかで細い手足。
 黒いゲルのようなもので股間と乳首こそ隠されているが、かえってそれが扇情的だ。

「なんか……改まって二人にされると、どんなカオしていいのか……分かんねェよ」

 恥ずかしそうに顔を赤らめ、私から目を逸らす様がいじらしくて堪らない。 
 情欲を掻き立てられて、興奮が高まっていく。

「さっきはありがとう」
「へっ? な、何のコトだ」
「あのお水のおかげで、だいぶ楽になったから」
「あ、ああ……ベツにっ。今日は特別だから、オマエに倒れられたら困るだけだよ」
「特別……」
「そう。オマエを独り占めにできる日だし……アタシにとっての初めてでもある」
「その……本当にいいのか? 私とこんな事をしても……」

 ゲイザーは男の精を糧とする生き物だ。私達とは住む世界も貞操の常識も違うのだろうが、それでも気にはなってしまう。
 いつになく神妙な顔つきになるノルの表情。
 彼女は私から目を逸らしながらも、そっと私の手のひらに手を重ねてきた。
 体温は私より低く、少しひやっとしている。

「……何度も言わせるなよ。アタシはオマエの事を調べ上げたって言ったろ。
 何とも思わないヤツを、こんなトコまで連れてきたりするワケねェっての」
「でも、まだ会ったばかりの相手を、」
「そうでもねェさ。本当に初めて会ったのは……一ヶ月以上も前のことなんだからよ。
 当然アタシは普通の人間に変装してたから、気付かないのも当たり前だが」
「会っていた……って?」
「オマエが住んでた建物に引っ越してきた女がいただろ?あれがアタシさ」

 そういえばアパートに新しい住人が来て、私の所にも挨拶に来た覚えがある。
 仕事にかまけていた私は然程気に留めていなかったが、まさかそれがノルだったとは。

「あの日から『ラタトスク』に調査を依頼して、同時にアタシもオマエを観察した。
 まあ……オマエは”あの書籍”を買う予定だったろうから、依頼なんかしなくてもあいつらに目は付けられてただろうがな。
 つまりアタシにとっては急でもなんでもない……むしろよく我慢したほうだ。
 けど本当に決め手になったのは、アタシの”眼”を見せた時だった」
「あの時の……」

 あの時。
 車の中で、初めて会った時の事を思い出す。
 黒髪を掻き分け、自分の赤い一つ目を晒すノルを。
 
 気が付くとノルは私の手を握り、少しずつ身を寄せてくる。

「暗示が無くてもアタシを受け入れるようなヤツは、オマエが初めてだった。
 ニンゲンに”眼”を見せる事は何度もあったが――思い出したくもねェ。
 やれ化け物だの、気持ち悪いだの、ひでェ言い草だったぜ。
 あっちの世界じゃあ特に……な。
 だから”眼”をこんだけ気にしてるのも、この村じゃアタシぐらいだろうが」
「……」
「何も言わずに見つめられたときアタシは……何がなんだか分からなかった。
 十秒も経ってないはずなのに、何時間も見つめあってた気分だった。
 コイツなら、アタシを心から受け入れてくれるんじゃないか……そう思っちまった」

 手と手だけでなく身体も触れ合い、距離はますます近くなる。
 お風呂でも嗅いだ石鹸のような瑞々しい香りと、桃のように甘い香りが混ざった匂いが鼻をくすぐる。

「それは……買いかぶりすぎだよ。私は驚いて声も出せなかっただけだ。
 君の事を知れば、外見だけで嫌うような人間なんてほとんどいない」
「……へへっ、ありがとよ。
 そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
 でももう、どっちでもいいさ……アタシが見ていたいのは、もうオマエだけだ。
 一つしかないアタシの眼で見つめられるのは、いつだって一人だけなんだからな」
「ノル……」

 私から一度手を離し、彼女はベッドの上で仰向けに寝転がる。
 顔をもたげ、赤い一つ目が請うようにじっと私を見る。
 言葉で言われなくても、その意図は伝わった。

「だが、そもそもこんなトコに無理矢理連れてきたんだ、恨まれたっておかしくねェ。
 いつも身勝手なアタシが好かれたいだなんて、虫の良すぎる話かもしれない……。
 けど今さら”暗示”を使うのは、ここまでのオマエの気持ちを無下にするのと同じだ。
 だから、たとえほんの少しでも……アタシを愛してくれるって言うなら……」

 彼女の上に覆いかぶさるように身体を寄せて、私とノルは顔と顔を突き合わせた。
 頬が赤く染まり、耐え切れなくなったノルが目を逸らす。

「アタシの事を……だ、抱いて……ほしい……っ」

 それは彼女からの精一杯の告白だった。
 人をからかいたがるのは誤魔化しで、その奥には愛されたいという願望が燻っている。
 ノルは二人きりで、情事の前になってようやく自分の素直な気持ちを伝えてくれた。
 家族を喪った私がずっと欲しがっていたもの。
 彼女はそれに気づいた上で、私を選び、そして私にくれたのだ。
 いや、ノルだけではない。エット、トヴォー、トレ、ヒューラ。皆が私の事を労わってくれているし、その気持ちに優劣を付けることなど私には出来ない。

 だが今は目前にいる彼女の想いにただ応えたくて、私はそっと彼女に口づけする。

「――んっ」

 ちゅ。
 浅い口づけを一度。二度。三度。
 とても薄い彼女の唇。
 少しずつ長くなるキス。
 唇を離し、顔を見合わせるたびに胸が高鳴ってくる。
 互いの拙さなんてどうでもよくなるぐらいに、その行為に没頭していく。

「も……もっと、して」
 
 大きな赤い一つ目がぱちぱちと瞬きをすると、長く美しいまつ毛が揺らめく。
 見つめあっているだけで快感と心が通じ合うような、不思議な一体感。
 口づけと一緒に柔い頬や黒髪を撫でたりして、彼女の身体を手で探っていく。
 最初は全身をマッサージするように、柔らかい部分をくまなく口や手で触れる。
 耳、首筋、二の腕、お腹、太腿――微弱な性感帯から徐々に。
 最初はひやっとしていたノルの身体が徐々に温もりを持ち始める。

「あっ……んくっ……」

 思ったよりノルは敏感で、ソフトタッチするだけでも小さく声を漏らす。
 それでもリラックスできているのか、少しずつお互いの体に力が抜けてきた。
 頃合いを見計らって、ノルの小さな乳房にそっと手のひらを這わせる。そのまま手で包んでしまえるぐらいに小さいが、マシュマロのような柔らかさは筆舌に尽くしがたい。

「あふっ、む、むねは……ビンカンだから、やさしく、してっ……あぁっ♥」

 むにむにとした感触が心地よくてしばらく乳房を揉んでいると、黒いゲルの下にある乳首がピンと立って主張する。
 目がとろんと蕩けはじめたノルの表情が印象的だ。

「お、おっぱい……いいよぉ♥すっごく、感じちゃうぅ……♥」

 乳輪をなぞるように指を這わせ、その周辺を舌で舐めると、濃い牛乳のような味がする黒いゲルが溶けるように剥がれて、白い肌と乳首が露わになった。
 甘い桃のような香りが強く漂い始める。
 両方の胸部にある黒いゲルを剥がし終えると、ツンと尖った乳首の淫らさが際立つ。

「じ、じらさないで……はやくっ……乳首、さわってぇ……っ♥」

 懇願するような嬌声に私も我慢できず、乳首のフチに舌を這わせる。こりこりとした感触を味わいながら、もう片方の乳首もくりくりと指で弄る。
 舌でなぞる度にピクピクとノルは体を震わせ、喘ぎ声をあげた。

「ふひゃっ♥あぁっ……♥ち、ちくび、気持ちイイっ……♥んあぁっ♥」

 くりくり、こりこり、かりかり……明確な弱点を知った私は気をよくして、乱暴にならないように気を付けながら愛撫を強くしていく。
 乳首を摘まんで緩く引っ張ったり、唇で軽く吸い付いてみたり。
 そして弱い刺激に慣れ始めた所で、すかさず乳頭を指と舌でくりくりと弄る。
 一際強い嬌声を上げて、ノルの赤い一つ目が潤んだ。

「そ、それっ、しゅごいぃっ……♥ち、ちくびだけで、イっちゃいそおっ……♥」

 ノルの息が荒くなり、汗が滲みはじめる。彼女たちは魔法により体調をコントロールしているため通常は汗を掻かないが、性的刺激を受けるとそれが乱れ、人間と同じように汗粒を垂らすそうだ。成分も人間とは違うのか、彼女から漂ってくるのは甘い体臭をより強くしたような淫靡な匂い。
 気が付くと彼女の体温は私と同じくらいに温かくなっていた。
 彼女の身体が感じ始めた所で、私はノルの股間に触れてみる。
 黒いゲルで覆われた秘部からは蜜のような愛液が零れていて、ぬるりと指に絡み付く。

「んやぁっ……だ、だから、焦らすなってぇ……♥」

 愛撫を待ちわびる彼女に詫びながら、ノルの足を開かせ、私は股間の黒いゲルをれろれろと舌で舐め取っていく。甘みのある愛液と黒ゲルの味が混ざり合い、濃厚な果汁のような風味だ。
 
「な、舐められるたびに、ぞくって、カラダがはねてっ……あぁんっ♥
 もっ、もっとぉ……♥オマエに、舐められたいよぉっ……♥」

 股間に付着した黒いゲルを舐め取ると、ぴったり閉じた綺麗な割れ目が露わになる。局部に毛は一つもなくつるりとしていて、ますます身体の幼さを際立たせていた。
 更にノルの下半身を持ち上げ、お尻に顔を近づけると小さなお尻のたぶに少しだけ顔が埋まり、溜まった汗の匂いがする。そしてお尻の穴を舌で軽く突いてみる。

「ひゃぁっ?! そ、そこっ、ちがっ、だめぇっ!」

 この責めは予想外だったのか、ノルは驚きと困惑の声を上げた。
 しかしさっきよりも大きな反応を見て、嫌悪感はなさそうだと判断して、穴の回りから中心まで、チロチロと丁寧に舐め上げていく。

「おっ、おいっ!おしりの、あなっ、なんかっ、舐めるなぁっ……♥ばかっ、へんたいぃっ……!♥」

 不浄の穴を舐められるという羞恥に耐え切れなくなったのか、彼女の手がぽかぽかと力なく僕の頭を叩く。
 とはいえお尻の穴にも中にも汚れや臭いなど全くなく、感じるのは淫らな匂いとほのかな汗の味だけ。お尻をぐいっと広げ、菊門の皺の一本まで舐めると窄まりがヒクヒクとうごめいて、ますますいやらしい。

「や、やめろっ♥やめろってぇ……♥そんなとこ、きたな――んあぁっ♥」

 次は舌を穴の中にぐりぐりとねじ込んでみる。
 入ったのはいいが、きゅうっとお尻の入口が強く締め付けてきて、なかなか舌を離してくれない。

「べ、ベロが、おしりに、はいってくるぅっ……!♥ ほっ、ほじらないでぇっ♥
 らめぇっ♥ほんとに、そこっ♥はずかしくて、しんじゃう、よぉっ……♥あぁぁっ♥」

 ぐにぐにと直腸の中で舌を蠢かせると、膣穴からまた蜜が垂れてくる。ここも乳首と同様強く感じる性感帯なのかもしれない。
 しかしこれ以上お尻の穴を責めると羞恥心で彼女を泣かせてしまいそうなので、ノルのお尻の穴から舌をにゅるりと引き抜いた。

「はぁっ、はぁっ……もぉっ、ばかっ、ばかぁっ……♥
 ねぇ、はやくぅ……アタシのなか、入れてっ……!
 ぐちゃぐちゃにかきまぜて、せーえきいっぱい出してぇ……っ♥」

 まだ絶頂には達せず、ノルが痺れを切らしたかのように言う。
 私のほうもそろそろ我慢の限界だった。

「あ……そ、そうだ。手も……握っててくれよっ。
 やっぱ初めてだから、ちょ、ちょっとだけど……こ、怖くて……さ」

 小さな声でそう言うノルの黒い手を取り、私は指を絡ませぎゅっと握る。
 それに応じるようにノルも手を握り返してくれる。
 その手は最初に手を繋いだ時とは違って確かな温もりを持っていた。
 
「あ、ありがと……よ、へへっ。
 もう大丈夫だよ……だからはやく、アタシのこと……めちゃめちゃに、して……♥」

 ノルの痴態を見て強く勃起した肉棒を、彼女の小さな割れ目にそっとくっ付ける。
 視線を交わし、彼女が小さくうなずくのを見て、少しずつペニスを挿入していく。

「んぅぅっ、おちんちん、はいって、くるぅっ……カタくて、熱いのがっ……。
 すごいぃ……♥まだなぞられてるだけなのに、こんなに、イイなんてッ……♥」

 ずぶずぶ、めりめりと幼い膣にペニスが飲み込まれていく。
 柔らかい肉がぎゅっと締め付けてくるだけでも気持ち良いが、無数にあるヒダが亀頭を撫でていくのも心地いい。
 ぬめった膣内は熱く溶けてしまいそうな心地で、精液を絞り取るのに最適な器官だ。
 幼い身体つきだというのに、ノルの秘部は根元までぱっくりと私のペニスを咥えこんでしまう。

「あぁっ……おちんちん、奥まで、入ったぁっ……♥
 アタシのちっちゃなおまんこ、もういっぱいだよぉっ♥」
「の、ノル。大丈夫? 痛くないか?」
「あはぁ……ぜんぜん痛くないよぉ。気持ちよくって、オマエのが入ってると思うと、入れてるだけでイッちゃうかも……♥」

 蕩けたノルの表情を見ても、虚勢を張っている様子はない。
 血のような液体が僅かに秘部から垂れるが、破瓜の痛みはないようなので、安心して身体を動かせる。
 肉棒に添えていた手を離し、私はノルと両手で手を繋ぐ。

「動くよ、ノルっ」
「うんっ……♥激しくしても、いいからっ、はやくっ……んぁっ♥」

 最初はゆっくりとピストンを行い、潤滑となる愛液を馴染ませ動きがスムーズになるようにする。
 にちゅっ、ぐちゅっ、ぬちゅっ、ぱちゅっ、ずちゅっ。
 淫らな液音と一緒に肉棒が飲み込まれ引き抜かれ、耐え難い快感を与えてくる。
 狭くてキツい穴だがじゅぽじゅぽと挿入を繰り返す度に膣肉がこなれて、ますます具合の良い締めつけできゅっとペニスを刺激する。

「あふっ♥んぅっ♥ふぅっ♥もっと、もっとはげしくぅっ♥」

 じゅっぷじゅっぷと音を立ててノルの奥を突く。
 すぐにでも射精してしまいたい欲求をぐっとこらえ、ピストン運動を激しくしていく。
 しかしペニスを動かす度にヒダが万遍なくぬちゅぬちゅと絡み付いてきて、腰が抜けそうだ。

「おくっ、おくのほうっ♥すごいぃっ、きもちいいぃっ♥♥
 突かれる、たびにっ♥きゅんきゅんって、するぅっ……♪♥
 いいっ、いいよぉっ♥おちんちん、もっとっ、もっとぉっ♥♥」

 ぐぽっ、ぬぽっ、ずちゅっ、ぐちゅっ!
 ぬぷっ、ずぷっ、ぬぷぷっ!
 子供のように私の手を握り締め、嬌声を上げながら小さな身体を跳ねさせるノル。
 汗が飛び散り、互いの体液が混ざりあう。
 蕩けた赤い一つ目に涙が浮かび、口がだらしなく開いて、ぎざっとした歯を覗かせる。

「らめっ♥いっ、イクぅっ♥もう、イッちゃうっ……♥
 キスっ、きしゅしてぇっ♥あたしの、あたしの目、みててぇっ……♥♥」
「で、出る……ッ、中に出すよっ……!」
「らしてぇっ♥アタシのなかっ、セーエキでいっぱいにしてぇっ♥♥」

 ノルが望むままに、唇を唇で塞いで舌を絡ませ、彼女の大きな目と見つめあう。
 離さないと言わんばかりに彼女が足を私の腰に絡ませ、ぎゅっとホールドしてくる。
 手と手で繋いだ互いの両手にも力が入り、すっかり火照ったノルの肢体や膣内の温もりに、私の意識が溶かされていく。
 最奥までペニスを突き入れた瞬間、ノルと私は一際大きく身体を震わせて絶頂した。

「んんっ♥んんんんっ♥♥んんぅぅぅっ――ッ!!♥♥♥」

 びゅるっ、びゅるるるっ、びゅるっ!
 溜まった精液が一気に吐き出され、狭い膣や子宮の中を溢れんばかりに満たしていく。
 どぷっ、どくどくどくっ、ぐぷぷっ……!
 長い長い射精は精通の快楽を何十倍にもしたような凄まじさで、止まる事を知らない。
 意識が気持ち良さだけに支配され、ノルへの愛欲だけで頭がいっぱいになり視界が白く染まる。魔物と交わる人外の快楽で脳神経が焼切れそうだった。

「あはぁっ……♥すっごい、こんなにたくさん、ナカに注がれてるぅっ……♥
 おなか、いっぱい……♥飲み切れないよぉっ……しあわせぇ……っ♥♥」

 ごぷっ、と音を立てて接合部から愛液と精液の混ざり合った液体が零れだす。
 精嚢の中まで吸い出されるような感覚はまだ続き、余韻でさえも身体が痺れてしまう。

「しゅきぃっ……♥らいしゅきらよぉ……えへへぇ……♥♥」

 ノルも絶頂の余韻に浸りきっているのか、うわ言のように好意を呟いている。
 赤い一つ目から垂れる涙を拭ってやると微笑んで私を見つめる。
 力の入らない身体で私を抱きしめてくる彼女に、私も精一杯の抱擁で返す。
 あまりにも濃密な初めての交わりは、脳髄に強く焼き付けられた。

「あい、してるぅ……♥」
「私も、愛してるよ、ノル」

 人間を超えた快楽による体力の消耗は余りにも激しかったらしい。
 ノルと見つめあい、睦言を交わしたところで私の意識は闇に落ちていく。 








 ――気が付くと、私は大の字でベッドの上に寝かされていた。
 そして私をぐるりと囲むように並んだ五人五色のゲイザー達。

「今日はノルの日なので、実際に交わるのは彼女だけですが……。
 ご主人様に最大限気持ち良くなって頂けるよう、十分な性交が終われば、その後は全員で奉仕いたします。
 まずは日替わりで、一日ずつ性交する相手を変えていく予定です――」

 赤目のノル、緑目のエット、青目のトヴォー、橙目のトレ、黄目のヒューラ。
 私の目が覚めた事に気付くと、それぞれ違った笑みを浮かべる。

「さあて……アタシをあんだけ好きなようにしたんだ。オマエも好きなようにされる覚悟は出来てるよなァ?
 しししっ、たーっぷり犯しちまうからな、オマエのこと……♪♥」

 ノルは私の股間に馬乗りになったかと思うと、自分の秘部を私のペニスに押し当てる。
 たっぷり濡れたその割れ目からは蜜が垂れ、ノルが腰を下げると、ずにゅっと肉棒を飲み込んでいってしまう。

「うあっ……な、なか、気持ちいいっ……!」
「うふふ。わたしはお風呂の時のように、お尻の穴を優しく弄って差し上げますね……もちろん、今度は中までたっぷり……♪♥」
「あ、あひぃ……そ、そんなところ、指で……っ」

 トレの姿はノルに隠れて見えにくいが、私の両足の間にいるようだ。
 つぷん、と私の菊門にトレの細い指が挿しこまれていく。潤滑剤のたっぷり付いた指はするりと入ったが、異物感は拭えない。
 しかしそれ以上の不思議な快楽に包まれ、声が出てしまう。
 一本、二本と指が増やされていき、まるで生き物のように中をぐにぐにと捏ね回してくるので、ペニスがますます固く勃起していく。

「わたくしとエットは、二人で乳首を舐め回して差し上げますね……チロチロ、ちゅぱちゅぱっ……ふふっ、少し舌で突いただけなのに、もうこんなにカタくしていらっしゃるなんて……♥」
「お兄ちゃんの、小さくて可愛らしい乳首、おいしそう……れろれろっ、ちゅーっ……あはっ、オトコのヒトなのに乳首で感じちゃうの?ボクと同じくらい敏感なんだ……♪♥」
「そ、そんな……んあっ」

 右からエット、左からトヴォーさんが私の胸に顔を寄せ、緑色の一つ目と青色の一つ目が私の表情を上目遣いで眺めながら、乳首を舐め回してくる。
 普段は意識する事のない性感帯なのに、彼女たちの責めにはとても敏感に反応してしまい、舐められるだけで電気が走るような快感に襲われていく。
 舌遣いも巧みで、乳輪を舐め回したり、唇で甘噛みしてきたり、色々な愛撫で気持ち良さに慣れさせてくれない。

「うふふ〜、私はお顔を担当しますよぉ。まずは甘いキスから……んんっ♪
 次は耳を舐めたり〜、おっぱいでお顔を挟んであげたり〜……♪
 私の乳首、吸ってもいいんだよ〜、ほら〜♥」
「んぅっ、んむ〜っ……!」

 ヒューラさんは私の枕元に立ち、私の頭の方から顔を寄せてきて、キスの雨を降らせてくる。
 それが終わると耳をはむはむと唇で挟んだり、たゆんとした胸を押し付けてきたり。
 さらに子供を褒めるみたいに頭を優しく撫でてくるので、その甘さに蕩けてしまう。

「んぅっ♥あぁっ♥や、やっぱり♥オマエのおちんちん♥すごいぃっ♥
 ほらっ、もっとっ♥オマエのかわいいイキ顔っ♥アタシに見せろよぉっ♥♪
 後三回射精したら、つぎはっ♥お尻で、絞ってやるぅっ♥
 今夜はもう♥ぜったいっ♥離して♥やんない♥からなぁっ……♥」
「動かすたびにお尻の穴が指を締め付けてきます……イクたびにヒクヒクするから、射精したのが丸分かりですよ? 幼い子供の指で肛門を弄られるのがそんなにイイのですか?
 ふふふ……ヘンタイなご主人様♪ いいですよ、お尻の穴と前立腺、もっと淫らに開発して差し上げますからね……♪♥」
「旦那様、乳首なのに感じてしまわれるのですか?普通の男性は胸で感じたりしませんのに……もう開発されてしまったとは、何と卑猥なお身体でしょうか♥
 恥ずかしいですか?いえ、恥ずかしいのが気持ち良いのでしょう? くすっ、旦那様はやはり淫乱ですね♪ とても可愛らしいです……♥」
「イイんだよぉ、好きなだけ感じて? 乳首弄られただけでイケるようになっちゃおうねえ♪
 女の子みたいなメス乳首にしちゃって、乳首コリコリするだけで射精のスイッチになるぐらい開発しちゃうから♥」
「それじゃあ、もっともっと気持ちよくなれる暗示を掛けちゃいますよぉ♪
 身体の感度がイクたびに上がっちゃう暗示と、感度のストッパーを外す暗示と、快楽で脳や神経が壊れたり発狂しないようにする暗示……これだけあれば、好きなだけ快楽を味わえますからねぇ〜♥
 ほーら、私の目をじっと見て……あら、目を閉じてもダメよ?時間は掛かるけれど、私の暗示は部屋の中全体まで届いちゃうんだから〜♪」
「う、うぁぁぁぁぁぁぁっ……!!」

 五人のゲイザー達による愛撫を一身に受け、私は桃源郷のような快楽に包まれていた。
 愛をささやいてくる者、言葉で責めてくる者、暗示を掛けてくる者。
 五人五色の愛し方で、成すすべなく身体も精神も堕とされていった。







 翌日。
 これから五日間は、夜伽をする相手がつきっきりで私と一日を過ごすことになった。
 そして他のゲイザー達は、初めての夜伽を終えるまでは私に姿を一切見せない。
 私は決められた相手とだけその一日を送る、ということだ。
 彼女達も、初めての交わりをする一日は特別なものにしたい、という想いなのだろう。

 どうもこの世界には飲んだ者を分身させる「分身薬」なるものがあるらしいが、魔物娘達にとっては人気商品なので慢性的な品薄状態になっているそうだ。
 何個かはこの館にもあるらしいが「初め」はやはり特別らしく、使うのは彼女らの初体験が終わってから、と全員の意見で決まったらしい。
 
 朝から一日過ごす相手に起こしてもらい、相手によっては一緒に部屋で微睡んだり、健康のため運動したりする。昼からは一緒に外を散歩してみたり、館の雑務を手伝ったり、館にある様々なゲーム(ノルが私のいた世界から買ってくるらしい)をして遊んだりする。
 近場に観光名所などはないが、空間転移魔法の施された装置(主に館で使う日用品その他諸々の仕入れのために使われている)を使えば村の外に行くことも出来るらしい。
 まだ装置は使わず、散歩は館近くを見て回るだけに留めたが、これからが楽しみだ。





 次の日の夜。夜伽をする部屋の中。
 今日はエットの番だ。

 綺麗なシーツが敷かれた巨大なベッドの上で、私とエットは二人きりだった。
 どちらも裸だが、彼女は恥ずかしがるように自分の胸や股間を隠したがる。
 私の事を「お兄ちゃん」と呼び、昼はまるで妹のように甘えてきた彼女だが、夜伽の前となるとしおらしくなるようだ。

「ご、ごめんなさい。ボク、ゲイザーで可愛くないし、暗示を掛けるのもニガテだし。
 こんな貧相なカラダだから……お兄ちゃんのこと、満足させてあげられないかも……」

 俯いて表情を暗くするエット。緑色の一つ目が潤み、涙目になっている。
 私はベリーショートの黒髪の頭を優しく撫でながら、彼女をなだめる。

「そんなことない、私はゲイザー達が好きだし、君も綺麗な身体だよ。十分魅力的だ」
「でも、この村の中でもボク、トヴォーみたいにスタイルも良くないし、ヒューラみたいなおっぱいもないし、トレのような女の子らしさもないよ……」
「確かに、スタイルや胸だけ見たら、他の子の方が勝っているのかもしれない。
 でも、女の子の可愛さはそれだけじゃ表せないんだ。
 色んな要素があるし、相乗して更に良くなったりする」
「……ほんと?」
「本当だよ」
「……ホントにボク、女の子らしい?目が一つだけでも、可愛いって言ってくれる?」
「ああ。エットはとてもカワイイ女の子だ。自信を持っていい」

 私がそう言うと、エットはまるで猫のように自分の頭を胸にすりすりと擦りつけてくる。

「えへへ……♪ そう言ってもらえて嬉しいな……ね、もっと頭撫でてほしい……♥」

 すりすり、なでなで。しばらく私達はそれを続けていた。
 するとエットはスイッチが入ったかのように顔を上げ、私の唇を奪う。

「ん〜っ……♥んむっ、ちゅっ……♥」

 始めはためらいがちな口づけで、少しずつ触れ合う時間を伸ばしていく。
 気が付くと、舌を絡め合うような情熱的なキスに変わっていた。

「ね……ボクのカラダも、触ってくれる……?♥」

 キスを続けながら、私はエットの成長途中な身体を弄る。 
 乳房は小ぶりながらもマシュマロのように柔らかい。
 感度もいいのか、少し揉むだけで彼女が声を上げた。
 その感触を楽しみながらも、胸全体を優しく揉み続ける。

「んふぅっ……♥ちゅぅっ、はふぅっ……♥」

 乳首の上にある黒いゲルは、指で擦ると簡単に剥がれていく。
 ピンと勃起した二つの乳首に両手の指を這わせ、痛みのないようにそっと弄っていく。
 指で弾くたびに熱い息を漏らすのがたまらなく愛しい。
 さらに乳頭を指で突いたり、くりくりと擦ったりと、乳首の愛撫に力を入れる。

「んぅぅっ♥そ、そこ、おっぱいっ♥すっごく、きもちいいよおっ……♥」

 頃合いを見計らって、片手をエットの股間に這わせる。
 ほんの少しだけ膨らんだ秘部はじっとりと濡れていて、蜜が溢れていた。
 秘裂を開きクリトリスを探し当てて優しく触れると、エットがビクンと体を震わせる。

「んはぁっ……♥お兄ちゃん、もうガマンできないっ……。
 ボクのこと、いっぱいいっぱい愛して、女の子にしてくれる……?♥」

 緑色の一つ目が上目遣いで此方を見る。
 答える代わりに私はエットをベッドに押し倒し、彼女と一つになる。
 快楽に身悶え、嬌声を上げるエットの姿はとても可愛らしく、女の子そのものだった。
 
「あふっ♥んんっ♥ああんっ♥くふぅんっ……!♥
 ご、ごめんね、おにいちゃっ♥ボク、ボクっ♥もうっ♥いっひゃうよぉっ!!♥♥」

 びゅくっ、びゅるるるっ、びゅくんっ!
 濃い精液がまだ成長途中の膣や子宮の中に注ぎ込まれていく。
 快楽だけで頭の中がいっぱいになり、視界が真っ白になる。
 縋るものを探すように、私たちは気が付くとお互いを抱き締め合っていた。

「おにいちゃぁ……♥らいしゅきぃ……♥♥」









 その次の日の夜。夜伽をする部屋の中。
 今日はトヴォーさんの番だ。

 トヴォーさんは執事を演じる時の燕尾服を脱いでベッドの縁に座っている。
 モデル並みのスタイルをした体型は美しく、白肌も相まって彫像のようにも見えた。
 しかしいつものクールさはどこにやら、裸になるやいなや火が付いたように顔を赤くして、生娘のように布団で自分の身体を隠してしまう。
 青い一つ目はつぶさにまばたきをして落ち着きない。

「と、トヴォーさん。大丈夫ですか?」
「……す、すみません。誰かに肌を晒すのは慣れていなくて……」
「お風呂では平気そうな顔をしていたのに」
「あ、あれは……あくまでも旦那様への奉仕だからと割り切っていましたから。
 それにせ、せ、せっくす、など……敬愛する旦那様にあられもない醜態を見せてしまいそうで、こ、怖いのです……」
「誰かと体を重ねるのは、やはり怖いですか?」
「い、いえ……愛し愛されること、交わりの行為自体は怖くありません。
 ただ、使用人という関係を超えて伴侶となること、そしてわたくしの奥底にある女としての性を全てさらけ出すことで、旦那様に幻滅されてしまわないかどうかが、不安で仕方なくて……。
 そういう意味では、素直に自分を見せられるエットやヒューラさんが羨ましいのです」

 それは意外な告白で、私の知らない彼女の一面だった。
 颯爽とした麗人の姿と、誰よりも初心ないじらしい女性の姿。そんな二面性を持っているのかもしれない。

「旦那様、ご迷惑かもしれませんが、ここはわたくしの暗示で――」
「……いや。できればそれは無しにしたいんです。
 たとえどんなに乱れたとしても、トヴォーさんの美しさは変わりませんよ。
 それにそうやって恥ずかしがる君の顔は、とても可愛らしい。暗示なんて必要ないんです」
「そ……そんな歯の浮いた文句だけで、わたくしは騙されませんっ」
「じゃあ、もっと見せてほしい。君が乱れる所を」
「で、ですが――んむっ」

 彼女が珍しく気を抜いた所に不意打ちでキスする。
 眉を曲げ、大きな一つ目をぎゅっとつむるトヴォーさんの顔が印象的だった。
 これも、いつもならまず見られない表情だろう。
 身体から力が抜けた彼女から、肌を隠していた布団を取り上げる。
 驚く彼女をベッドに押し倒して、身体を触れ合わせた。

「あぅぅっ……♥だ、旦那様ぁ、どうか。どうか手心を……♥」
「分かってます。出来る限り優しくしますから」
「そ、それもですが……伴侶として抱いて下さるのなら、どうか今だけでも、わたくしのことを”トヴォー”とお呼びください。
 そしてわたくしのことを……その痴態まで、しっかり見ていてくださいね……?♥」
「もちろん、トヴォー」

 私は仰向けになった彼女の横へ寝転がって、その均整のとれた身体に触れていく。
 頭や黒髪を撫でたり、首筋に舌を這わせたり、耳を甘噛みしたり。
 始めは声を押し殺すようにしていたトヴォーだったが、愛撫を続けるにつれ、普段の落ち着いた口調とは正反対の甘い声を上げ始める。
 半球型の美しい乳房は感度も良いらしく、全体を丁寧に揉みほぐしてから乳首に触れると、また違う嬌声を上げてくれた。

「んぅっ♥む、胸……もっと、して、くださいっ……♥」

 しばらく乳房の愛撫をつづけた後、股間が濡れてきたのが分かると私はトヴォーの両足の間に入り、M字に開脚させて秘部に舌を這わせる。
 やはり整った形の膣は恥丘が僅かに膨らんでいるものの、毛の一つもなくつるりとしていて少女のような淑やかさがあった。

「あぁっ♥そ、そのようなところを、舐められてはっ……♥」

 快感を受け、勃起し始めたクリトリスも舌で優しく愛撫する。
 包皮が剥けたクリトリスをれろりと舐め上げると、悲鳴にも似た喘ぎ声を上げて身体を震わせた。
 舌先で先端をコロコロと転がしたり、クリトリス全体をそっと吸ってみたりすると、その度にトヴォーが身体をくねらせて色っぽい声で呻く。

「ひゃうっ!♥んむぅっ、あはぁっ……♥だ、だめですっ♥そこっ、クリはっ♥敏感でっ――あぁぁっ!♥
 す、すぐに、イってしまっ……、あ……だ、だんな、さま……?」

 ずっと舌で責めているとトヴォーだけが絶頂を迎えてしまいそうなので、そこでピタッと刺激を止めた。
 快感の懇願で潤んだ青い瞳の一つ目が私を見つめる。
 寸止めされた彼女は、お預けをされた犬のような、切なくねだる声で私を誘う。

「だんな、さまっ……♥はやく、はやくくださいっ、だんなさまの、その……」

 まだ恥じらいに囚われているのか、何が欲しいのかははっきりと言わない。
 どうして欲しいか正確に言えるまで、私は彼女への愛撫をお預けにするという旨を伝える。

「……お、おねがいします、だんなさまっ♥
 だんなさまの……お、おちん、ぽを……♥わたくしの、お、おま……んこにっ♥挿れて……ください、ませ……っ♥」

 今まで以上に羞恥心で頬を染めながら、必死で懇願するトヴォー。
 そんな彼女のいじらしい一面を見て、私も我慢できなくなっていた。
 いきり立った肉棒を私は彼女の股間に擦り付け、潤滑を良くしてからゆっくりと亀頭を膣穴に当てる。

「あ、あああぁ……♥は、入ってきますっ♥だんなさまの、おちんぽっ……♥」

 私の剛直を迎え入れてくれた時には、その声も大きな目もすっかり蕩けきっていた。
 今まで焦らしてしまった分を埋め合わせるかのように、激しいピストンで奥を突いていく。

「あっ、ああぁっ♥だっ、だんなさまっ♥そんなっ♥いきなりっ♥はげしっ……!!♥♥
 こんなっ♥こんなのっ♥はじめてぇっ♥
 あたまのなかっ♥めちゃくちゃになってぇ♥おかひくなっちゃうっっ♥♥」

 喘ぎ声を止められず、股間からとめどなく愛液を溢れさせ、昇ってくる快感に打ち震えるその姿はとても淫らで『女の顔』になっていた。
 形も揉み心地も良い乳房を優しく揉むと、さらにきゅうきゅうと中を締め付けてくる。

「んひぃぃっ♥ち、ちんぽっ♥だんなさまのおちんぽぉっ♥しゅごいですぅぅっ♥♥
 おっ、おまんこぉ♥もっと♥もっとぐちゃぐちゃにしてくらしゃいぃっ!!♥♥
 わたくしのことぉっ、だんなさまだけのメスにしれぇぇっ!!♥♥」

 絶頂が近くなると、普段の清楚さからは考えられないほど卑猥な言葉を吐き出す。
 淫猥な本性を曝け出したトヴォーの痴態は、例えようもなく淫らで美しかった。
 私も限界に近づき、彼女の綺麗な性器に思い切り精液を吐き出す。
 びゅるっ、びゅるるるっ、びゅるっ!

「んああああッ♥♥!!おまんこ、おまんこあついよぉぉっ♥♥!!
 わたひのメスあなまんこっ♥いっぱい♥いっぱいそそがれてぇぇっ……♥♥!」

 さらに精液に塗れた肉棒を秘部から引き抜くと、トヴォーのお尻の穴にあてがう。
 余韻に浸りきっている菊門はヒクヒクといやらしくうごめいて、雄を誘うかのようだ。
 入念にほぐしていないので締まりが強く挿入できるかどうか不安だったが、ペニスを押し付けていくにつれズブズブと少しずつ飲み込まれていく。
 不浄の穴を押し広げられる未知の快楽に、ますますトヴォーは蕩けはじめる。

「ひあああっ♥?!!お、おしりぃっ♥らめれすぅっ♥いったのまだ♥のこってるのにっ♥いまそんなとこ♥入れられたらぁっ♥♥!!
 けつあなっ♥おしりまんこぉっ♥ぐちゃぐちゃでっ♥おかひくなってぇ……♥♥!!」

 膣とは違う、入口のキツい締め付けとその奥の心地いいトロトロとした柔肉の腸内。
 ずにゅっ、ぐぷっ、ずぬぬっ。
 お尻の穴を犯していくたびに、きゅうきゅうと入口で肉棒を締め付けて応えてくれる。

「んおぉっ♥おしりっ♥おしりのあななのにぃっ♥かんじちゃうっ♥おまんこもっ♥おしりまんこもっ♥ヘンタイめすあなにひゃれてぇっ♥♥
 ほんとにっ♥ほんろにメスにされひゃうぅっ♥♥!!」

 その可愛らしくきゅっとした窄まりにペニスを挿し入れ、直腸内を犯していく。
 入り口はぎゅっと強く締め付けてくるのに中はとろとろで熱く、気持ちがいい。
 トヴォーもあまりの快楽で舌が回らなくなるほど淫らに乱れきっていた。

「ら、らんなさまぁっ♥も、もうっ♥いぃっ、いきまひゅ♥おしりまんこで♥いっひゃいまふぅっ♥♥!!♥♥」

 何度も何度も菊穴を犯すうちに解れてきて、ますます尻穴の具合が良くなっていく。
 びゅくっ、びゅるるるっ、びゅくんっ!
 二度目の射精はすぐで、堪えることもできずまた白濁液を流し込んだ。
 
「ふああぁっ……♥おまんこも、おひりも♥だんなさまので、いっぱひぃ……♥
 はーっ、はーっ……♥わたくひ、お、おんなのこに……♥こころのそこから……♥めすにされひゃったぁっ……♥♥」



 これだけ乱れた姿を私に見せてくれたトヴォーだったが、皆が部屋に入ってくる前にはもう貞淑な執事の顔に戻っていた。
 きっと彼女にとってはどちらも仮初めの姿ではなく、両方とも正しい自分なのだろう。

「――また二人きりになれた時は宜しくお願いします、旦那様……♥♪」

 その両方の姿を私にだけ見せてくれるのが、私にはとても嬉しかった。











 その次の日の夜。夜伽をする部屋の中。
 今日はトレの番だ。

 私は一糸纏わぬ裸だが、トレはいつものメイド服のまま私と共にベッドに座っていた。
 そうしてほしいと昼の間に頼んだからである。
 彼女の白いエプロンドレスも黒いロングスカートも、気品ある清潔な布の匂いがするので、おそらくは新しい物を選んで着てくれたのだろう。

「私の服は他の者とは違い替えがたくさんありますので、汚す事には差し支えありませんが……。
 ご主人様はこんな幼子が着るメイド服にも興奮なさるのですか?
 それにこれはフレンチメイドのような、男性を誘う目的の衣類ではありませんのに。
 ふふふ……いけない方ですね、ご主人様は♪」

 妖しく笑うトレの姿はいつもの従順なメイドではなく、妖艶な淑女のように見える。
 だがそこに侮蔑のような感情はなく、見下されるような嫌悪感など一切私は感じない。
 
「と、トレは一体どれくらいメイドをやっているんだ?」
「あら、女子に年齢を聞くのは紳士としてタブーでございますよ、ご主人様?
 まあ……わたしもヒューラと同じぐらいの時間を過ごしているので、それなりの素養は身に着けたつもりですが」
「そんなに……道理でやる事にそつがないわけだ」
「ふふっ、雑談もよろしいですが、わたしはもうそろそろ我慢できませんよ?
 ベッドの上で仰向けに寝転んでください。
 さあご主人様、私を犯すのと私に犯されるのと、どちらがよろしいですか……♥?」

 トレはベッドで寝転んだ私の腰に馬乗りになり、スカートをたくし上げながらそう言って微笑む。
 大きな橙色の一つ目が私を見下ろす。

「りょ……両方、したい」
「まぁ、欲張りなご主人様……。小さな身体を手籠めにする背徳感も、幼い子供に犯される倒錯感も両方味わいたいのですね♥
 であれば……”初めて”をどちらでするかは、わたしが決めさせていただきます」
「そ、それはいいけど……どうして?」

 ふふ、と彼女はいつもの笑みを浮かべる。丁寧なメイドの時の顔だ。
 たくし上げたトレのロングスカートの下から可愛らしいドロワーズが覗く。

「ご主人様はお優しい方ですので、ノルやエットぐらいならともかく、子供のように小さな私を抱くとなれば、きっと心の中で知らずのうちに加減をしてしまうでしょう。
 そうならないよう、わたしは貴方に”暗示”を掛けさせていただきます」
「暗示……」
「特に、『相手の好意を増幅させる暗示』は、ご主人様のような奇異な方――いえ失礼しました、単眼種に対して嫌悪を持たない方に対しては、効きすぎてしまうのです。
 その結果、理性が保てなくなり、獣よりも激しくわたしを犯すことになるでしょう」
「そんなに効果があるのか」
「ええ。強力過ぎるゆえに、他の子たちは好んで使わなかったのだと思います。
 性に奔放な私達とて、自ずから愛してくれるのならそれが一番なのですから」
「でもそんな、手荒に犯すだなんて……」
「いいえ、わたしはご主人様に激しく犯され、求められたいのです。
 ……とはいえ、睦言を交わす余裕を持ちながら交わるというのもまた捨てがたい。
 ですので記念すべき初めては、私のペースでご主人様を味あわせてくださいませ。
 ご承知いただけますか……?♥」

 淫魔のような笑みを隠そうともしないトレの表情は、幼い顔つきなのに私より大人に見えてしまう。
 私がこくりと頷くと、彼女はドロワーズを脱ぎ捨て、スカートを持ち上げる。
 細い太腿や未成熟なぴったり閉じた割れ目が露わになって、淫靡さが際立つ。
 秘裂からは液体の垂れた跡が何本もあり、すでに愛液が溢れているようだった。

「見えますか、ご主人様?貴方が焦らす内に、もうこんなに濡れてしまいました……♥
 これからこの小さな小さなおまんこで精液を絞り取られるのですよ?
 それもこんな幼子に馬乗りにされ、あまつさえ主導権を握られながら……ふふふっ♥」

 笑みを浮かべながらトレは私に顔を近づけ、優しい口づけを交わしてくる。

「あ、ああ……」
「まずはより快感を感じられるよう、カラダにだけ働きかける暗示を掛けます。
 ――ご主人様。私の眼を見つめ、お受入れください」

 ぞくり。
 トレの橙色の目と視線を合わせた瞬間、背筋が跳ね上がるような感覚が走る。
 数回味わった事のある体験だが、これに慣れる日は来そうもない。

「使用人の仕事にかまけていることもあって、わたしの暗示はヒューラやノルほど上手ではありませんが……それでもいつもの数倍以上にはなるでしょうね」
「ううっ、ああ……は、肌に服が擦れるだけでも、ヘンな感じが……」
「ふふ、スカートやエプロンの生地には拘っておりますからね。
 望まれるなら、わたしのメイド服でおちんちんを包んであげても良いのですが……。
 もうそんな焦らしは必要ないようですね?」
「トレ、は、はやくっ……」
「くすっ。それではご主人様のヘンタイなおちんちん、わたしがぱっくり食べてあげます……♪♥」

 トレに跨られていた私は、騎乗位の形で彼女に犯される。
 幼い秘部はとにかく狭くキツい締め付けだったが、驚くことに根元までずっぽりとペニスを飲み込んでしまった。スカートから覗く、肉棒の形にぽこっと膨らんだ下腹部が妙にいやらしい。
 破瓜の血は少しだけ垂れていたが、痛みは一切なさそうだった。

「ふっ、んぅ、んんっ。ご主人様、いかがですか?♥ わたしに犯されているところ、ちゃんと見て下さってますか……?♥ んぅっ♪♥」
「ぐっ、ああっ、い、いいよっ、トレぇっ!」

 少しずつペースは速くなり、互いの漏らす嬌声も激しくなっていく。

「ご主人様は、乳首やお尻を責められるのもお好きでしたね?♥
 では両方の乳首をコリコリと指で弄りながら犯して差し上げます♪
 お尻にはローターをご用意していますので、存分に気持ちよくなってください……♪♥」
「うぅっ?!い、いまそんなところ、責められたら……んひぃっ!」
「あら、ローターがにゅるんと簡単に飲み込まれてしまいましたよ?
 ご主人様のお尻の穴は大変いやらしいですね……♥さあ、スイッチを入れて、と♥」
「ひ、ひぅっ……き、気持ち、よすぎてっ……おかひく、なるっ……!!」
「たくさんブルブル震えて、お尻の中で暴れてるの、分かりますか?♥
 ふふふ……おちんちんがますますカタくなってきました♥
 乳首もこんなにぷっくり立たせて……♥指先でくりくりされるだけで、まるで女の子のように感じてしまうのですね、ご主人様?♥」
「う、うああ……こ、こんな、たえられっ……」
「よろしいのですよ?おちんちんもお尻も乳首も責められて、気持ち良いのでしょう?
 こんな幼子のようなメイドに犯されて感じてしまうなんて、なんて淫らで変態なご主人様……ふふっ♥
 こうやって耳元で囁かれるのさえ気持ちよさそうにして……♥
 さあ、快感に蕩けた可愛らしいお顔を私に見せながら、精液を注ぎ込んでください♥」
「だ、だめだっ、トレ、もう、出るぅっ……!!」

 びゅるっ、びゅるるるっ、びゅるっ!
 精液が小さな膣や子宮の中に注ぎ込まれていく。
 気持ちいい、という快楽だけで頭の中がいっぱいになり、放心してしまう。
 射精が終わっても乳首やお尻への責めは止まらず、気持ち良さが終わらない。

「ああ……♥出してしまわれましたか。もう少しは我慢なされると思ったのですが……♥
 初めての精液、たっぷりと頂いてしまいました……御馳走様です♥
 ですが、まだですよ……もっといっぱい、わたしの子宮にも、お尻の穴にも、精液を注ぎ込んで貰います……♥
 では……そろそろ暗示をお掛けしましょうか。
 さあ、わたしの目を、じっと見てください――」

 目を合わせた瞬間、橙の瞳に魅入られるような、酩酊にも似た意識の混濁。
 しかし湧き上がる高揚感は酒のそれと比べ物にならない。
 精神が溶け出し、目前にいる女性以外への興味が掻き消えていく。

「と、トレッ、う、う、うあぁぁぁ!!」
「誰かに暗示を掛けるのはいつ振りか、もう覚えていませんが……私を受け入れて下さり、心より感謝します、ご主人様……ふふふっ♪♥」

 数秒もしないうちに私は狂乱しながら、目前にいるトレに襲いかかっていた。
 注ぎ込んだ精液や愛液で潤滑になった両穴だが、きつきつな狭さは変わらない。
 好きなように脱がせないメイド服に憤りながら、破いてしまいそうな勢いで彼女に噛り付く。
 それでも私は構わずに彼女を欲望のまま犯し続けていた。

「トレ、トレッ、トレぇっ……ああっ、いいっ、気持ちいいっ!!」
「あぁっ♥んぅっ♥ご、ご主人様ぁっ♥もっと、もっとっ♥♥
 わたしの幼いおまんこやおしりを♥こわれるぐらい♥犯してくらさいっ♥
 あはぁっ♥素敵っ♥すてきですよっ♥ごしゅじんひゃまぁっっ♥♥♪」

 精液がトレの両穴から零れだしてシーツに大きなシミを作り、乳歯しかない彼女の幼い口内を犯して喉に精液を注ぎ込み、メイド服の至る所に精液の匂いが染みつくまで服を汚してからようやく、私に正気が戻っていく。

「あはぁ……♥も、もぉ……♥わらしの、ナカも♥からだも♥ふくも♥ごしゅじんさまの匂いで、いっぱひぃ……♥♥
 私は、いま、さいこうに幸せな、あなただけのメイドですっ……♥」

 うわ言のように呟くトレの身体を労わりながら、彼女の頭を撫でる。
 幼い姿のメイドが自分の精液に塗れて悦楽に浸っている――そんな姿を見るだけで、また欲望が湧いてきてしまいそうだった。









 その次の日の夜。夜伽をする部屋の中。
 今日はヒューラさんの番だ。

 大きなベッドの上で正座するヒューラさんと、その太腿を枕にして寝転ぶ私。
 ヒューラさんの黄色の綺麗な一つ目が私を見下ろしていた。
 もちろん、二人とも裸で何も身に着けていない。そのおかげで肉付きのいいむちむちとした太ももの柔らかさを堪能することができる。
 まるで母と子のような図式だが当のヒューラさんは「私はまだお母さんって年でも身分でもありません、今はお姉ちゃんって呼んで」と言ったりする。

「あ、あの。ヒューラさん」
「ヒューラお姉ちゃん、でしょ〜。 それでどうしたの〜、弟くん?」

 村長という肩書はどこにいったのか、あくまでも私の姉でいたいらしい。

「その……夜伽のほうはいいんですか?」
「う〜ん、そりゃあ私だってすぐにでもシたいんだけど……。
 連日連夜で私達に絞られて、アナタも疲れてるでしょ〜?
 まだインキュバスにもなってないのに、流石にずっとはかわいそうだと思って〜。
 だからこうやってれば、少しでも癒しになるかしら〜って思ったんだけど……」
「で、でも……その。どうしても胸が当たってしまうので、落ち着かないというか、落ち着けないというか……」

 ヒューラさんの真っ白い乳房はとても大きく、膝枕でも私の顔に当たってしまう。
 円錐型の綺麗な形をした胸はぽよんとした柔らかさで、むにむにと沈み込む指が溶けそうな触り心地だ。胸に関しては大きさは勿論、揉み心地も村の中で一番かもしれない。
 そんな魅惑の乳房を顔に乗せられては、興奮するなという方が難しかった。

「あっ、ご、ごめんなさい。わざとじゃないのよ〜。
 私もホントはもっと、トヴォーみたいな丁度いいサイズのおっぱいが良かったし、トレやノル、エットみたいな可愛らしさが羨ましい。
 ……身長なんか、こんなに大きくなっちゃったし。
 うまくいかないのよね〜、女の子らしくなるって……」

 この村にいる彼女達がお互いの身体に羨望を抱いたりしているのを見ると、やはり隣の芝生は青く見えるという事だろうか。
 人間も魔物も、根底は変わらないのかもしれない。

「いえ、ヒューラさんの胸も背丈も素敵ですよ。ずっと眺めていたいぐらいです」
「あらあら……お世辞でも嬉しいワ♪ でも、おっぱいは眺めるだけじゃ満足できないんでしょ〜?」
「うっ、は……はい」
「アナタはもう私の弟くんでお婿さんなんだから、好きにしていいのよ〜?
 好きなだけ揉んでも、乳首に吸い付いても……♥」

 膝枕されたまま私が上を向くと、ヒューラさんの乳房が顔に当たる。
 思わず私は少しだけ頭をもたげ、ピンと勃起した乳首を口に含んでしまった。

「きゃっ♥♪もうっ、そんなにおっぱい飲みたかったの〜?しかたない弟くん♪
 よ〜しよし、たくさん頭なでなでしてあげるからね〜♪」

 頭を撫でられるのは心地いいが、この絵面は流石に恥ずかしいものだ。
 大きな乳首は舐めているだけで果実のようにほの甘く、吸い付いてみるとまた違う味がする。
 少しずつ口に流れてくるそれはどうやら母乳のようなものらしく、さらっとしているのに甘みがある。

「んぅぅ〜♪も、もっと飲んでっ……♥お姉ちゃんもおちんちん、しこしこしてあげるから……♥」
「んっ……、んむぅぅっ……!」
「ほ〜ら、おちんちんさんいい子いい子♥しこしこ♥こすこす♥亀頭なでなで♥」

 しなやかな大きな手で肉棒を扱かれながら、授乳されている。
 そんな異様な状況でも、私はどうしようもなく興奮してしまっているのだ。
 しかし我慢できずに射精してしまいそうになると、手の動きがピタッと止まる。

「だめだよ〜?セイエキ出すなら、ゼンブ私の中に出してくれないと〜♪」
 一滴でも無駄にしちゃったら精子さんがかわいそうだからね〜♪
 さっ、そろそろしましょうか〜、子作りせっくす♥」

 ヒューラさんは私をベッドに仰向けで寝かせると、その上から覆いかぶさってくる。
 トレの時と同じ、騎乗位の形になった。

「お姉ちゃんが動いてあげるから、アナタは気持ちよ〜く射精するだけでいいよ♪
 それじゃ、おちんちん入れちゃうね〜……んぅっ♥」
「あ、あああっ……!き、気持ちいい……」

 彼女の秘部はとろとろで柔らかく、緩すぎない程度の溶けてしまいそうな心地だ。
 まったりとした気持ち良さで肉棒を包んできて、ゆっくり快感を高めてくれる。
 さらに膣の中にヒダヒダがたくさんあって、擦れる度に腰が抜けそうになってしまう。
 ぬちゅっ、ずちゅっ、ぱちゅっ。
 緩やかに腰を上下させてヒューラさんは責めてきた。

「よしよ〜し♥頭もいっぱいなでなでしながらえっちしてあげるよぉ〜♪♥
 私たちのためにたくさん頑張ってくれたね〜♥よしよし……♥」
「あうう……ひゅ、ヒューラさん……」
「もうっ、お姉ちゃんって呼んでって言ったでしょ〜?
 そんな悪い子はおっぱいで押し潰しちゃおっかなぁ〜♪♥」
「お、おっぱ……んむぅっ!」

 上下運動を続けながらも、ヒューラさんは腰を曲げつつ私に抱きつくかのように上半身を下げて、私の顔に二つの乳房をむにゅっと押し当ててくる。
 息がしにくくなり、必死で空気を取り込もうとすると、汗の匂いとほんのりと甘い石鹸のような匂いが混じりあって鼻をくすぐる。

「ほらっ♥ほらぁっ♥どうっ?♥ お姉ちゃんのおまんこ、気持ちいいっ?♥」
「んんんっ、んぐぅっ、むむぅ〜……!」
「あ〜、ごめんごめん、これじゃ喋りにくいよね〜」
「ぷはっ……はぁっ、はぁっ……」

 しばらくしてようやく胸を顔から離してくれる。
 かと思うと、今度はまた別の責め方を思いついたようだった。

「そうだ〜♥せっかく二人きりなんだし、触手も使ってあげよっか〜♪♥」

 ヒューラさんがそう言うと、一度私の身体から離れて立ち上がった。すると背中の腰辺りからずるり、と目玉の付いた黒い触手が何本も顔をもたげる。
 最初に会った時と同じように十本の触手が背中から延びてきて、私の両手両足に絡み付いてきた。
 そのまま身体全体を持ち上げられ、宙に浮いてしまう。
 そして彼女自身も宙に浮くことで、お互いが空中に漂っていた。

「浮かんじゃえば、どんな体位だってえっちできるし、弟くんは動かなくていいし〜」
「動かなくていいというか、動けないというか……」
「それじゃ〜、せっくす再開しちゃおうか〜♥ えいっ♪」
「あっ……あああ!」

 私は膝を曲げて両足を開かされ、その足の間にヒューラさんが腰を近づけてくる。さらに僕とヒューラさんとが離れないように、お互いの身体ごと巻き込むようにしてぐるぐると触手が巻きつく。
 もとよりろくな抵抗など出来なかったが、今度は腰をくねらせ快感を逃がすこともできない、完全な拘束だ。
 しかも密着しているため彼女の大きな胸で顔が挟まれ、プリンのような至高の柔らかさに包まれている。

「これでもう、ちっとも動けないね〜?♥」
「でもこれだと、腰を振ることも……」
「ざ〜んねん♥これでも精液は搾り取れちゃうんだよ〜?♥」
「え……うあっ?! な、なんか、ヒューラさんの中、うねって……!」
「うふふふ〜♥おまんこが動いてるの、分かる〜?♥
 ちょ〜っとずつ気持ちよくなっていくから、じんわりと射精できるよぉ♪♥」
「あ、あああ……す、すごいぃっ……きゅっきゅって、絡み付いてくるぅ……!」

 ヒューラさんの膣内は腰を動かしていないのに脈動し、締め付けたりうねったりしてゆったりした快感を送ってくる。
 他の四人と交わった時とはまた違う、身体を徐々に溶かされていくような心地だ。

「あは〜っ♥もうそんなに蕩けたカオしちゃって〜♥♥
 あとは頭ナデナデも忘れずに〜♥いい子だね〜弟くん♥なでなで♥」
「んあぁぁ……しゅ、しゅごいぃ、溶けちゃうよお……ひゅーらおねえちゃあん……!」
「やーっとお姉ちゃんって呼んでくれたぁ♪♥♥
 じゃあ、ラストスパートはちょーっとだけ強めに〜……♥
 おちんちんくにくに♥ おっぱいでむにゅむにゅ♥ 頭をなでなで♥いい子いい子♥♥」
「あああ、あぁぁぁ……も、もう、らめぇぇ……っ」

 ぴゅっ、どくどくどくっ、どろどろどろ、だらだらっ……。
 ペニスから濃い精液がどろどろと漏れ出して、ヒューラお姉ちゃんの中を満たしていく。

「一滴も残さないように子宮口でおちんちん吸い上げて、ちゅーってしちゃいますよぉ♪」
「ひゃあぁぁっ、お、おちんちんの先っぽ、吸われてるぅっ」

 さらに膣内で何かが亀頭の先端にぴたっと吸い付いてきて、残った精液を全部吸い出そうとするかのようにちゅうちゅうと吸ってくる。
 射精の気持ち良さがずっと全身で続くような、そんな快楽に浸される。

「あぁんっ♥こんなにたくさんセーエキ出してくれるなんて、やっぱりステキ〜♥♥
 最後の最後まで子宮でセーエキ受け止めて、私が一番に赤ちゃん作っちゃうから〜♥♥」
「お、おねえちゃあんっ……だいすきぃっ……」
「私も♥弟くんのことだ〜いすきだからね♥愛してるよ〜♥♥」

 結局、ヒューラさんに心の底から甘やかされた結果、元に戻すのに暗示が必要になってしまうぐらい重症な堕落だった。
 普段はのんびりしているが、彼女の慈愛心は底知れないのかもしれない……。








――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ――今も私はゲイザー達だけが住む村で暮らし続けている。
 しかし、彼女たちと過ごす時間を苦痛に思ったことは一度もない。
 小さないさかいも無かったとは言わないが、却ってそれがアクセントにもなった。
 この村に住むことを選んだのは他でもない、私自身による意思なのだ。
 何より、お互いに慕い愛してくれる者達と共に余生を過ごせる――こんな幸福が他にあるだろうか。
 それは相手が人間でも魔物でも変わることはない、この世の真理と言ってもいい。

 さて、ここまで掛かって恐縮だが、私がなぜこんな文章を書いたのかを最後に記す。

 あなたが私の文をまだ見てくれているのなら、一つお伝えしておきたい事がある。
 私の伴侶である五人のゲイザー達がそれぞれ子宝を授かり、新たな命が産まれた事だ。
 魔界に住む他のゲイザーとも協力し、新しい”村”の建設を急務にした上で、我が子たちの伴侶を探している。
 ここまで書けばお気づきだろう。
 この記事を読み、まだ愛する相手がいないという者。
 その上で貴方が『ゲイザー』という種を受け入れられるのであれば、是非私に連絡していただきたい。
 男性なら我が子達の伴侶に、女性なら彼女達と同じゲイザーに成ってもらう予定だ。
 ただ女性の場合は他の魔物に成りたいという要望もあると思うので、そちらに関しても出来る限り援助させていただく。

 こちらは貴方にとっては異世界なので、通常の方法では私と交信できないが、秘密裏に動いている『ラタトスク機関』を通せば間接的にコンタクトを取る事が出来る。

 まずは『魔物娘図鑑』と名の付く書籍を書店・通信販売で購入してほしい。

 原本・関連書籍を購入した者はそちらの世界に潜伏している『ラタトスク機関』に選別対象と判断され、極秘で身元を洗い出されるだろう。
 審査の結果、問題なしと判断された者には、各所に点在した私達の世界へ通じる門に、なんらかの形で案内される。その案内人の一部として我が子たちを起用してもらう予定だ。
 今はまだ親類や身寄りのない人間・苦境から救出されるべきである人間が優先されているが、いずれほとんどの人間は此方へと招かれるだろう。
 勿論、その前に過激派の魔物娘たちがそちらへ侵攻を仕掛ける可能性もあるが……。

 貴方が良き伴侶を見つけられるよう、心よりお祈りする。
18/08/28 21:43更新 / しおやき

■作者メッセージ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。

記念すべきゲイザーちゃんSS、100作品目ということで張り切りボーイになりました。
まあ中身は、頭カラッポで好きなものを詰め込めるだけ詰め込んだ、ぼくのかんがえたさいきょうのゲイザーたち状態でしたが。
はっきり言ってハーレム物というのはどうしても一人ずつに対しての愛が薄まりがちで、そんなに好きではないのですが、自分なりに納得できるものを書かせてもらいました。
欲を言えばもう少しゲイザーたち同士の絡みや関係も書きたかったのですが、これ以上の分量にするのもアレでしたので…。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33