読切小説
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夏だ!湖畔でキャンプだ!
夏休みになり、友人と僕を含めた3人は県外の湖までキャンプをする事になり、食材担当を任された。
「なぁ?何か食べたい物があるか?」
スーパーに入り、携帯越しで友人と話しを始めた。
「夕食は当然カレーで」
「カレーか‥」
「定番だからな」
「‥で、ご飯はどうするんだ?」
「普通、飯盒で炊くだろう?」
「はんごう‥?」
初めて聞く単語に間の抜けた声でそのままに返した。
「…………。いや‥いい。お前に任せる」
そこで電話は切られ、熟考しながらカートを押し……バーベキュー用の食材を選び中に入れていった。


日は進み、キャンプ当日。車に揺られる事、数時間。太陽が沈みかけた頃、目的の池に着いた。そして、直ぐに夕食の用意。

友人の1人が鉄板の用意をして、もう1人がテントの用意をしている中、僕は肉、野菜を一口大に刻み……タマネギを入れてしまった事に後悔していた。

そして………。
野菜のヘタや種、肉のトレーを捨てに指定のゴミ捨て場で分別して捨てている所に、後ろからちゃぽんと水の音。一瞬ビクッとなりながらも‥
あれだあれ‥シャワーとかトイレとか‥誰もいないはずなのに急に視線を感じる。それと同じだ。自分に言い聞かせるように落ち着こうとした、その刹那。

背後から腹部にギュッと力強く水に濡れたような何かに掴まれた。背後からはポタポタと水が滴り落ちる音も聞こえて、なによりもそれは冷たかった。
この場所にありがちな非業な死を遂げた誰かの幽霊。頭の中は瞬時に答えを導き出した。

すぐにこれでもかって位、大きな声が出て‥夜の湖畔に悲鳴が木霊している中
「ごめんなさい。ごめんなさい。もうしません。許して下さい」
ただ‥何かにつけて、ひたすらに謝り続けた。

「うるさい‥」
小さく呟くような声。それでいて‥どちらの友人とも当てはまらない、初めて聞いた声。
友人のいたずら。頭の片隅にあった答えの1つが否定されるなら、やはり……
再び悲鳴のような叫び声を出し、謝っていた。
「うる‥さい……」
先よりもうんざりが混じった声。そして‥
「からだ‥あたたかい……」
再び呟くような声の後、すぐに背中に何かを押し付けられるような感触があり‥時をおかずに緩やかに動きだして、同時に背後から甘い吐息のような物が聞こえると同じく後ろへ引きずられている感覚。
いや事実、引きずられている。その証拠に音と踵と沿うように、砂利に2本の線が引かれていく。
足から冷たさを感じ、下を見れば池に浸かっていた。
このままだと、本当にあっちの世界まで引きずられる。直感的に危機を感じとり、反射的に身体が抵抗を試みて肘が何かに当たった。
「いたい‥」
僅かながらに確かにそう呟いて、動きが一瞬、止まった。
本当に幽霊なら痛覚は感じない筈。頭の中の冷静な部分が答えを導き出した。そして……
月が雲に隠れてやや薄暗い中、その正体は分からないものの、手掛かり得るように僕を掴んでいるものを手で調べた。
………。水?に濡れたそれはヒレとウロコのようなが感触があった。
「くす‥ぐったい…」
幽霊ではなく、多分きっと‥人(?)なんだと思う。なら……
「な、なぁ‥。身体。身体を離してくれると助かるんだけど‥」
そう。意思疏通が出来る筈。そして暫くの間を置き‥
「いや…。それに‥からだ……あたたかい」
再び背中に何かが押し付けられて、軽く上下に動いている感触。
「あ、あのさ……。顔。顔を見せてほしいかなって‥。それに、誰だかも知りたいから‥」
反応が無いまま、腹を押さえてる何かは解かれ、月明かりがその人(?)の姿を照らし始めた。
そこには‥僕より一回り小柄で、髪は黒く長い女の子と向かい合っており、思わず「可愛い」と一言漏れた。
その子は息をつく間もなく、飛び付くように僕の口を塞ぎ‥その衝撃でバランスを崩し、池の中に尻餅をついていた。
「いたく‥ない…?」
すぐに口を離し、潤んだ目で心配するような声を出した。
この子との近過ぎる距離に、僕は口を開くよりも先に胸が高鳴っているのを感じていった。
「うん。大丈夫。水が衝撃を吸収してくれたから。だから、それほど痛くないよ。君の方こそ大丈夫?」
声で返さずに、1回深く頷いて‥再び僕の口を塞いで、僕の首もとから手を回して身体を更に密着させてきた。だからこそ僕も負けじと離さないように背中に手を回した。


気が付くと僕は押し倒されており、彼女は長い間舌と舌を絡めていたキスを突然止めて、徐に立ち上がった。
僕はつられるように見上げ‥月明かりに照らされた顔は‥さっき見た時の無表情、無関心な白い顔が嘘のように紅に染まりきって、月明かりの加減からか、息を飲むほどに艶かしく見えたのも束の間。ズボンの中で苦しそうにしている膨らみを解いた。
羞恥を感じる前に、その子は自身の股の布をずらすと僕の胸の上に手をついて、勃ったものに向かってそのまま一気に体重を下ろし、何かを突き破るような感覚と同時に彼女の愛らしい嬌声が夜の静寂に響いた。
「すき‥すき‥すき……」
目を完全に蕩けさせて、うわ言のように繰り返しながら腰を激しく動かして……その表情と激しさですぐに出る直前になった。
「だめだ‥出る。だから……離れて……」
僕にとって初めてでも、彼女の中に出すとどうなるかは解りきっている。
「やだ…。だめ‥。いっしょ‥。ずっといっしょにいたい。だから‥だから…こども…こどもが……」
彼女は僕から逃げないように脇腹を持つと、ラストスパートをかけるように、より激し打ち付けて‥大きな嬌声を出すと胸に向かって倒れ込み、僕も同時に果てた。

静かな夜に聞こえるのは2人だけの荒い呼吸。僕は彼女の長い髪を手で掻き分けるように入れて、頭に直に触れて撫でていた。
「なぁ‥僕のどこが良くて、その……」
恥ずかしくて、その次の言葉は出なかった。
「からだ‥あたたかいから……」
僕の上で這うように動いて、唇と唇が軽く触れたキスをした。
「それに‥かわいいって‥いってくれた…」
唇が離れたばかりの‥鼻と鼻がぶつかる距離。僕は彼女を離さないように背中に手を回して強く抱きしめた。
「取り柄もない僕だけど‥僕で良かったら……その‥好きって言ってくれた人も初めてだから‥」
彼女は深く、それでいて僕と目を合わせたまま1回頷いた。
「もう‥いっかい…」
呟くように言うと、繋がったままの結合部を擦り合わせるように緩やかに動かして……
それから‥1回では済まず。2回、3回と続け、気がつくと周りが仄かに明るさを取り戻していた。

そして‥頭の片隅で忘れかけていた友人と合流して、車内で冷やかされながらも、帰路へついた。


それから月日も流れて‥彼女との間に娘が2人出来、初めて知り合った日と同じ日は毎年必ず同じ場所でキャンプをするのが家の約束事になっている。
12/08/13 14:06更新 / ジョワイユーズ

■作者メッセージ
彼女の作る料理は川魚と味噌汁にはシジミが必須に‥。そして彼は経験を積んでいくと、後ろから突きながら、腋の下から手を入れて胸を揉み揉みと‥。
そして‥水辺という理由で、するときは必ず浴室で…。と思うのですよ。

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