夏の日のお姉さんと、はじめてのなつやすみ
八月も半ばのある日。
少年は、胸の鼓動を抑えきれずにいた。
「あの…ナズナさんっ！」
少年は意を決し、七本の尾を持った稲荷―彼の妻に呼びかけた。
・
・
・
昨年の夏。
一人旅に出た先で倒れてしまった少年は、稲荷に助けられ、彼女の家で介抱された。
そのまま二泊することになった末、稲荷からの後押しもあってとうとう我慢できず激しい交わりに発展。
数日後、稲荷は少年の部屋と自身の家を空間的に繋げるという荒技を用いて再会。
そのまま二人は結ばれ、少年は稲荷―ナズナの家で暮らすことになったのだった。
それからの日々は、少年にとって非常に充実したものとなった。
朝、ナズナの声で起こされ。
油揚げ入りの朝食を頂き。
空間的に繋げられている実家の部屋に戻り、両親に挨拶してから登校。
下校後は自分の部屋を通ってそのままナズナの家へと帰宅。
油揚げ入りの夕食を頂き。
ナズナのモフモフの尻尾に包まれて就寝する。
魔物の存在が一般的になっているため、クラスには魔物もいれば、魔物の夫も存在する。
魔物の夫となった他の級友や先輩と比べ、少年はその出席率と授業態度が評判である。
何せ魔物の夫でありながら、平日にはほとんど交わることはない。
交わりに夢中で欠席したり、来ても夜更かしのせいで居眠りしたり、或いは交わりの匂いが染みついたりしている他の者とは対照的だ。
このあたりは、夫の学業も考慮して生活習慣を組み立てる稲荷の良妻ぶりが見て取れる。
とはいえ無論、魔物の夫婦が平日に交わらないでいて欲求不満にならないはずもなく。
金曜日の夜から土曜日、翌日に差し支えないタイミングなら彼女も止める理由はない。
「ナズナさん、ボク、明日はお休みで…だから、今夜は…」
「ええ♥ たっぷり、えっちなこと、致しましょうね…旦那様♥」
一週間分溜め続けた欲求を爆発させる。
毎回、稲荷の身体は少年の白濁した精液で汚され、満たされて朝を迎える。
時には一日中交わり続けることもあった。その日は、交わりの場となった浴室の浴槽が少年の精液だけで満杯になるほどだった。
連休ともなれば、一日中ということも珍しくなくなる。
それでも、冬休みは行事が盛り沢山、春休みは進級準備があったりと、長期休暇をゆっくりと交わり続けて過ごすことは今までなかった。
そんな中、とうとうやってきた初めての夏休み。
少年は、もちろん稲荷とずっと一緒に交わり続けることばかり考えていた。
それでもナズナは、良妻として。
「旦那様、その…宿題のほうは…」
「…頑張って、やる！」
ということで、少年は夏休みの前半、全力でやれる宿題をこなすこととなった。
今までは夏休み後半になってから本気を出していたが、今年の少年は違う。
八月の前半までで、全ての宿題を終わらせてしまったのだ。
なお、魔物の夫となった者には日記の宿題は免除されている。連日ほぼ「セックスした」しか書きようのない者が多いためだ。
全てをやり終えた少年は、いよいよ妻との愛の営みを決心したのだった。
・
・
・
「あの…ナズナさんっ！」
呼びかけられたナズナは、満面の笑みで振り返る。
毎日この笑顔を見るだけで、また恋に落ちる感覚がした。
「旦那様、ナズナは嬉しいです♥」
「うん、ボク、とっても頑張ったよ！ その、それで」
「ええ♥ ええ♥ いっぱい、いっぱい、しましょうね♥」
ナズナも喜びを抑えきれていない。
なにせ二週間も交わらなかったのは、二人が結ばれてから初めてのこと。
彼女の方も、我慢に我慢を重ねていたのだった。
二人は足早に寝室へと向かう。
介抱された少年が初めて稲荷と顔を合わせ、初めて交わった、あの部屋へ。
部屋全体には既に、ナズナの手で結界が施されている。
外部から邪魔されないのはもちろん、中にあるものがどれだけ精液で汚れても掃除の手間いらずという優れものだ。
部屋の中心に敷いてある布団の上で、二人は向かい合う。
既に頬は紅潮し、興奮を抑えようともしていなかった。
「ナズナさん♥」
「はい、旦那様♥」
「大好きですっ♥ ん…ちゅぅ♥」
少年はナズナの体を抱き寄せ、熱い口付けを交わす。
舌と舌とが濃厚に絡み合う、互いの愛を再確認するかのようなディープキス。
「んむ…ちゅぅ…♥」
「むちゅ…ちゅぷっ…♥」
唇を離すと、二人の舌の間には一筋の唾液が光る。
否応なしに身体が火照り出し、少年の肉棒は着衣の上からでも分かるほどに屹立していた。
「まあ、こんなに…♥ お慰め、致しますね…♥」
「はい…♥」
少年が着衣を脱ぎ、下半身が露わになると、勢いよく肉棒が跳ねる。
既に先端から先走り汁が溢れ出し、肉棒はてらてらと光沢を帯びていた。
それを目の当たりにし、ナズナは愛おしそうに肉棒に顔を寄せる。
「…ちゅっ♥ うふふ…♥」
「あんっ♥」
そっと亀頭に口付けしただけで、少年は乙女のような嬌声を上げた。
ナズナは普段見せない悪戯そうな笑みを浮かべながら、ぬるぬるとした肉棒を握る。
「では、ご奉仕致します…♥ あぁ…むっ♥」
「ふあぁぁ♥」
ナズナはそのまま、少年の肉棒を咥え込んだ。
久々の快楽に、少年は一瞬で腰砕けになる。
「はむっ、ちゅっ、ちろっ、ちゅぷっ、じゅぽっ、んむっ、むちゅっ♥」
「やぁっ♥ あっ♥ ナズナさっ、そこっ♥ きもちっ♥ ふあっ♥」
奥まで咥え込むと、肉棒全体が柔らかな頬肉に包まれる。
滑らかな舌が、裏筋をつぅとなぞる。
カリ首を丁寧に撫で上げる。
陰嚢を這いまわる。
舌先で亀頭の先端をちろちろとくすぐる。
前後にストロークするたび、綺麗な唇が固い肉棒を揉みほぐす。
一年の月日を経て更に磨かれ、溜まった欲求を全力でぶつけてくるナズナの口淫技術の前に、二週間も我慢し続けてきた少年が耐えられるはずもなく。
「うあっ♥ ナズナさんっ、イッ、でるっ♥ んあぁぁぁぁ♥」
「んむっ♥ ん…ぅぅぅ…っ♥」
どくどくどくどくっ。
射精の瞬間、少年は思わずナズナの頭を自身の側に押さえつけた。
二週間溜め込んできた精液の第一波が放たれ、ナズナの喉奥に注ぎ込まれる。
「っ、はああ…♥ あぁ…♥」
「んぐっ、んぐっ…♥ んむ…ちゅぅっ♥ ぷはっ…♥」
ナズナは美味しそうに喉を鳴らして精液を飲み下し、肉棒から唇を離した。
精液と唾液の混じった筋が、少年の亀頭とナズナの舌先を繋いで光る。
「とっても…とっても、気持ちいいです、ナズナさん…♥」
「ええ、ええ…♥ ありがとうございます♥ いっぱい、でましたね…♥」
そう言いつつも、少年の肉棒は固さを一切損なっていない。
とっくにインキュバス化している少年が、一度だけで満足するはずなどなく。
ナズナもまた、身体の疼きは収まっていなかった。
「それでは…今度は、こちらに♥」
「あ…♥」
着物の下をはだけ、ナズナは局部を露わにする。
既に愛液でびしょびしょに濡れており、湯気でも出そうな勢いだ。
それを見て、少年の肉棒は身体に似つかわしくないほどに更に膨張する。
「あ、あ…♥ さあ…旦那様…♥ その立派なモノ…私に挿れて下さいませ…♥」
「うん…行くよ、ナズナさんっ♥」
少年はナズナに覆いかぶさり、その怒張をナズナの秘所にあてがい。
腰を、進めた。
「んっ♥ くぅ…っ♥ あつ、い、です…旦那様ぁ…♥」
「ナズナさんの、中も…♥ あった、かいぃ…♥」
びしょ濡れの膣は、少年の凶悪な肉棒をすんなりと受け入れてしまう。
熱く湿った肉壁が、四方八方から口付けするかのように肉棒を愛撫する。
柔らかな膣壁がカリ首に吸い付き、子宮口は亀頭とディープキスを交わす。
腰を動かすと、膣がまるで百枚の舌のように肉棒全体を舐め回す。
「ひうっ…♥ 知ってますよっ、ナズナさん♥ ここ、弱いんですよねっ♥」
「あ、あっ♥ そこ、です、旦那様ぁ♥ ナズナは、それ、好きなのですぅ♥」
既に互いの性感帯を知り尽くしているため、少年は容易くナズナの弱所に辿り着く。
膣内の一点をカリ首で擦ると、ナズナは激しくよがり出し、乱れ、甘い声を上げた。
伴って膣壁がきゅうと締まり、愛液が結合部から漏れて漏れて止まらなくなる。
先ほど射精したばかりとはいえ、この快感の前では関係ない。
今度は二人同時に、あっという間に絶頂を迎えた。
「うぁっ♥ も、でるっ♥ だすよっ、ナズナさんっ♥」
「はひっ♥ 注いでくださいましっ♥ ナズナの中にっ、あ、あぁぁぁぁ♥」
どびゅるるるるるるるるるぅっ！
先ほどとは比べ物にならないほどの量と濃さの精液が、ナズナの子宮に流れ込む。
同時にナズナも、愛液の洪水を迸らせながら腰を震わせた。
「はぁ…っ♥ はぁ…っ♥ 今度は、後ろから…♥」
「はい…っ、尻尾で、包んで差し上げます…っ♥」
二人は余韻に浸るのもそこそこに、繋がったまま体位を変える。
ナズナは回転して四つん這いになり、少年が後ろから突く形だ。
「いくよっ♥」
「はひぃっ♥」
少年は、ケモノのように腰を振る。
ナズナの柔らかな尻に、ぱつんぱつんと腰を叩きつける。
ナズナの方は七本の、愛液で濡れながらも触感を損なわない尻尾で少年の身体を包む。
全身を柔らかでモフモフとした尻尾に包まれ。
汗でほんのりひんやりとした、柔らかな尻の感触を下腹部に感じ。
肉棒は、熱い膣に吸い付かれ、撫で上げられ、締め付けられ、奉仕される。
「あっ♥ ひっ♥ はげしっ♥ 旦那様っ♥ んぃぃ♥」
「ナズナさんっ♥ きもちいよっ♥ ナズナさんっ♥」
三種類の異なる感覚で全身を愛撫され、少年は瞬く間に三度目の絶頂を迎える。
「あっ♥ うっ、おぁぁぁぁぁ♥」
「ひんっ♥ あ、あ、あぁぁぁぁぁ…っ♥」
どびゅびゅびゅびゅるるるぅぅぅぅっ！
びちゃぁっ！
猛烈な射精がナズナの胎内を満たし、結合部から溢れて滝のようにボタボタ零れ落ちる。
しかも今度は、射精しても少年は腰を止めない。
射精の勢いそのままに、更に腰を振り、何度も何度も何度も射精する。
ぶびゅるるるるるるるるるっ！
ごびゅるるるるるるるるるぅっ！
どびゅどびゅびゅびゅるるるるるるっ！
びちゃびちゃびちゃびちゃぁぁぁぁっ！
「あああああああああああああ♥」
「んひいいいいいいいいいいい♥」
ナズナの腹部は精液で妊婦のごとく膨らむ。
それでも入りきらない大量の精液が逆流し、ナズナの太もも、尻尾、背中までも汚す。
既に、これまでのどんな一日よりも大量の精液を放っていた。
少年がようやく肉棒から膣を引き抜くと、ごぼぉっと音を立てて精液が噴き出す。
既に辺り一面、真っ白な池になっていた。
「はぁぁ…っ♥」
「こん、どは…っ♥ わたくし、が…っ♥」
それでも、それでも。
まだまだ、この程度で終わるつもりなど双方ともになかった。
ナズナは結界の作用により辺りの大量の精液を自身の内に取り込む。
少年が出した精液は、一滴も無駄にならずナズナの魔力となっていく。
「ん…くぅ…♥ 旦那様っ…♥ では、私のお膝に…っ♥」
「はい、ナズナさん…っ♥」
少年は横から、ナズナの膝枕に頭を預けた。
既に精液で汚れた跡はなく、すべすべの太ももの感触が後頭部に伝わる。
「お胸も…好きにして、くださいませ…♥」
「うん…♥ ちゅ…むちゅっ…♥」
少年はナズナの豊満な胸を揉みしだきながら、乳首を口に含んで吸い始める。
（なぜかいまだに）妊娠していないにも関わらず、甘い母乳が口の中を満たす。
ナズナの方は、あれだけの射精をしながらまだ屹立している肉棒を、優しく握る。
そしてそのまま、細やかな力加減で扱き始めた。所謂授乳手コキである。
「んちゅ…ん…♥ んふぅ…♥」
「旦那様…♥ 好きなだけ、何度でも、いくらでも、出してくださいね…♥」
どくどくどくどくっ…
流石に勢いこそ先ほどより落ちるものの、少年の肉棒は容易く精液を漏らす。
精液で汚れながらもナズナは扱く手を止めず、更なる射精を促していく。
裏筋、亀頭、陰嚢、カリ首。
その美しい指先でしなやかに、包むように、くすぐるように。
どくどくどくどくどくどく…
どくどくどくどくどくどくぅ…
どくどくどくどくどくどく…
どくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどく…
壊れた蛇口のように、少年の肉棒から次々と精液が湧き出す。
「ナズナさん…♥ また、キス、していいですか…♥」
「はい、もちろん…♥ んちゅぅ…♥」
二人が再びディープキスを交わすと共に、今度は尻尾が少年の肉棒を包む。
柔らかな毛先が肉棒を撫で上げ、敏感なところをつつき、優しく撫で上げる。
どくどくどくどくどくどく…
どくどくどくどくどくどく…
少年は尻尾の中にも精液を次々と漏らした。
少年がナズナに甘える間、ナズナは全身を器用に使って肉棒に奉仕し、射精を促す。
何もしていなくとも、ひとりでに快楽を与えられ、精液を好きなだけ漏らし続ける。
もちろん、少年自ら動いて膣内に、口内に、腸内にまで好きなだけぶちまける事もある。
もはや少年の肉棒は常に、射精しているか、射精に向けて快楽を与えられているかのどちらかの状態しか存在しなくなった。
どびゅどびゅびゅびゅるるるるるるっ！
そうして日が落ちて、
びゅるるるるるるるるるるるるぅっ！
日が昇って、
どくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどく
また日が落ちて、
ぶびゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる
また日が昇って。
もう何日になるか分からないほど快楽を貪りあって。
ナズナは何百回目かの精液を体内に取り込む。
すると。
「あ…旦那様っ♥ 見てくださいまし、とうとう私、九本目の尾が…っ♥」
「あっ、本当だ♥ やったね、ナズナさん♥」
大量の魔力を取り込んだナズナは、ついに九尾に至った。
するとナズナは、神妙な面持ちで少年に語り掛ける。
「あの…旦那様」
「なぁに、ナズナさん？」
「この『なつやすみ』、いつかは終わってしまいますね」
「う、うん」
「終わらせたく…ないですね」
「…うん、ずっと、ずっと、こうしていたい」
これほどの快楽を貪りあってしまうと、もはや我慢が効くようには思えなかった。
良妻としての矜持よりも、雌としての本能の方が優位に立ってしまっている。
「では…ずっと、こうしてしまいましょう」
「え…？」
「つまり、こうです。えいっ♪」
ナズナが指を鳴らすと、二人にそっくりの人影が部屋の中に現れた。
「えっ！？」
「九尾になって…高度な式神が、使えるようになりました」
「式神…」
「私たちの記憶と経験、思考をインプットしてあります」
「え…それじゃあ…」
「外のことは式神に任せて…私たちはずっと、こうしていませんか…？」
「そ、それは…」
「あちらまでこのようになってはいけませんので、性欲だけは別にしてありますが…定期的に記憶はこちらと同期できますし…」
「…………」
沈黙するも、答えは決まっていた。
双方とも既に、家の外の全ての事柄より、目の前の愛する人だけを考えていたい。
「うん」
「それでは…♥」
「ずっとずっと、こうしていようね、ナズナさん♥」
「はい、ずぅっと、気持ちよくなりましょうね、旦那様…♥」
・
・
・
外では美しい妻と、真面目な夫のカップル。
しかし本当の二人は、あの部屋で、永遠に、快楽を貪り続けるのだった。
真夏の夢は、終わらない。
ここから先は、永遠のなつやすみ。
少年は、胸の鼓動を抑えきれずにいた。
「あの…ナズナさんっ！」
少年は意を決し、七本の尾を持った稲荷―彼の妻に呼びかけた。
・
・
・
昨年の夏。
一人旅に出た先で倒れてしまった少年は、稲荷に助けられ、彼女の家で介抱された。
そのまま二泊することになった末、稲荷からの後押しもあってとうとう我慢できず激しい交わりに発展。
数日後、稲荷は少年の部屋と自身の家を空間的に繋げるという荒技を用いて再会。
そのまま二人は結ばれ、少年は稲荷―ナズナの家で暮らすことになったのだった。
それからの日々は、少年にとって非常に充実したものとなった。
朝、ナズナの声で起こされ。
油揚げ入りの朝食を頂き。
空間的に繋げられている実家の部屋に戻り、両親に挨拶してから登校。
下校後は自分の部屋を通ってそのままナズナの家へと帰宅。
油揚げ入りの夕食を頂き。
ナズナのモフモフの尻尾に包まれて就寝する。
魔物の存在が一般的になっているため、クラスには魔物もいれば、魔物の夫も存在する。
魔物の夫となった他の級友や先輩と比べ、少年はその出席率と授業態度が評判である。
何せ魔物の夫でありながら、平日にはほとんど交わることはない。
交わりに夢中で欠席したり、来ても夜更かしのせいで居眠りしたり、或いは交わりの匂いが染みついたりしている他の者とは対照的だ。
このあたりは、夫の学業も考慮して生活習慣を組み立てる稲荷の良妻ぶりが見て取れる。
とはいえ無論、魔物の夫婦が平日に交わらないでいて欲求不満にならないはずもなく。
金曜日の夜から土曜日、翌日に差し支えないタイミングなら彼女も止める理由はない。
「ナズナさん、ボク、明日はお休みで…だから、今夜は…」
「ええ♥ たっぷり、えっちなこと、致しましょうね…旦那様♥」
一週間分溜め続けた欲求を爆発させる。
毎回、稲荷の身体は少年の白濁した精液で汚され、満たされて朝を迎える。
時には一日中交わり続けることもあった。その日は、交わりの場となった浴室の浴槽が少年の精液だけで満杯になるほどだった。
連休ともなれば、一日中ということも珍しくなくなる。
それでも、冬休みは行事が盛り沢山、春休みは進級準備があったりと、長期休暇をゆっくりと交わり続けて過ごすことは今までなかった。
そんな中、とうとうやってきた初めての夏休み。
少年は、もちろん稲荷とずっと一緒に交わり続けることばかり考えていた。
それでもナズナは、良妻として。
「旦那様、その…宿題のほうは…」
「…頑張って、やる！」
ということで、少年は夏休みの前半、全力でやれる宿題をこなすこととなった。
今までは夏休み後半になってから本気を出していたが、今年の少年は違う。
八月の前半までで、全ての宿題を終わらせてしまったのだ。
なお、魔物の夫となった者には日記の宿題は免除されている。連日ほぼ「セックスした」しか書きようのない者が多いためだ。
全てをやり終えた少年は、いよいよ妻との愛の営みを決心したのだった。
・
・
・
「あの…ナズナさんっ！」
呼びかけられたナズナは、満面の笑みで振り返る。
毎日この笑顔を見るだけで、また恋に落ちる感覚がした。
「旦那様、ナズナは嬉しいです♥」
「うん、ボク、とっても頑張ったよ！ その、それで」
「ええ♥ ええ♥ いっぱい、いっぱい、しましょうね♥」
ナズナも喜びを抑えきれていない。
なにせ二週間も交わらなかったのは、二人が結ばれてから初めてのこと。
彼女の方も、我慢に我慢を重ねていたのだった。
二人は足早に寝室へと向かう。
介抱された少年が初めて稲荷と顔を合わせ、初めて交わった、あの部屋へ。
部屋全体には既に、ナズナの手で結界が施されている。
外部から邪魔されないのはもちろん、中にあるものがどれだけ精液で汚れても掃除の手間いらずという優れものだ。
部屋の中心に敷いてある布団の上で、二人は向かい合う。
既に頬は紅潮し、興奮を抑えようともしていなかった。
「ナズナさん♥」
「はい、旦那様♥」
「大好きですっ♥ ん…ちゅぅ♥」
少年はナズナの体を抱き寄せ、熱い口付けを交わす。
舌と舌とが濃厚に絡み合う、互いの愛を再確認するかのようなディープキス。
「んむ…ちゅぅ…♥」
「むちゅ…ちゅぷっ…♥」
唇を離すと、二人の舌の間には一筋の唾液が光る。
否応なしに身体が火照り出し、少年の肉棒は着衣の上からでも分かるほどに屹立していた。
「まあ、こんなに…♥ お慰め、致しますね…♥」
「はい…♥」
少年が着衣を脱ぎ、下半身が露わになると、勢いよく肉棒が跳ねる。
既に先端から先走り汁が溢れ出し、肉棒はてらてらと光沢を帯びていた。
それを目の当たりにし、ナズナは愛おしそうに肉棒に顔を寄せる。
「…ちゅっ♥ うふふ…♥」
「あんっ♥」
そっと亀頭に口付けしただけで、少年は乙女のような嬌声を上げた。
ナズナは普段見せない悪戯そうな笑みを浮かべながら、ぬるぬるとした肉棒を握る。
「では、ご奉仕致します…♥ あぁ…むっ♥」
「ふあぁぁ♥」
ナズナはそのまま、少年の肉棒を咥え込んだ。
久々の快楽に、少年は一瞬で腰砕けになる。
「はむっ、ちゅっ、ちろっ、ちゅぷっ、じゅぽっ、んむっ、むちゅっ♥」
「やぁっ♥ あっ♥ ナズナさっ、そこっ♥ きもちっ♥ ふあっ♥」
奥まで咥え込むと、肉棒全体が柔らかな頬肉に包まれる。
滑らかな舌が、裏筋をつぅとなぞる。
カリ首を丁寧に撫で上げる。
陰嚢を這いまわる。
舌先で亀頭の先端をちろちろとくすぐる。
前後にストロークするたび、綺麗な唇が固い肉棒を揉みほぐす。
一年の月日を経て更に磨かれ、溜まった欲求を全力でぶつけてくるナズナの口淫技術の前に、二週間も我慢し続けてきた少年が耐えられるはずもなく。
「うあっ♥ ナズナさんっ、イッ、でるっ♥ んあぁぁぁぁ♥」
「んむっ♥ ん…ぅぅぅ…っ♥」
どくどくどくどくっ。
射精の瞬間、少年は思わずナズナの頭を自身の側に押さえつけた。
二週間溜め込んできた精液の第一波が放たれ、ナズナの喉奥に注ぎ込まれる。
「っ、はああ…♥ あぁ…♥」
「んぐっ、んぐっ…♥ んむ…ちゅぅっ♥ ぷはっ…♥」
ナズナは美味しそうに喉を鳴らして精液を飲み下し、肉棒から唇を離した。
精液と唾液の混じった筋が、少年の亀頭とナズナの舌先を繋いで光る。
「とっても…とっても、気持ちいいです、ナズナさん…♥」
「ええ、ええ…♥ ありがとうございます♥ いっぱい、でましたね…♥」
そう言いつつも、少年の肉棒は固さを一切損なっていない。
とっくにインキュバス化している少年が、一度だけで満足するはずなどなく。
ナズナもまた、身体の疼きは収まっていなかった。
「それでは…今度は、こちらに♥」
「あ…♥」
着物の下をはだけ、ナズナは局部を露わにする。
既に愛液でびしょびしょに濡れており、湯気でも出そうな勢いだ。
それを見て、少年の肉棒は身体に似つかわしくないほどに更に膨張する。
「あ、あ…♥ さあ…旦那様…♥ その立派なモノ…私に挿れて下さいませ…♥」
「うん…行くよ、ナズナさんっ♥」
少年はナズナに覆いかぶさり、その怒張をナズナの秘所にあてがい。
腰を、進めた。
「んっ♥ くぅ…っ♥ あつ、い、です…旦那様ぁ…♥」
「ナズナさんの、中も…♥ あった、かいぃ…♥」
びしょ濡れの膣は、少年の凶悪な肉棒をすんなりと受け入れてしまう。
熱く湿った肉壁が、四方八方から口付けするかのように肉棒を愛撫する。
柔らかな膣壁がカリ首に吸い付き、子宮口は亀頭とディープキスを交わす。
腰を動かすと、膣がまるで百枚の舌のように肉棒全体を舐め回す。
「ひうっ…♥ 知ってますよっ、ナズナさん♥ ここ、弱いんですよねっ♥」
「あ、あっ♥ そこ、です、旦那様ぁ♥ ナズナは、それ、好きなのですぅ♥」
既に互いの性感帯を知り尽くしているため、少年は容易くナズナの弱所に辿り着く。
膣内の一点をカリ首で擦ると、ナズナは激しくよがり出し、乱れ、甘い声を上げた。
伴って膣壁がきゅうと締まり、愛液が結合部から漏れて漏れて止まらなくなる。
先ほど射精したばかりとはいえ、この快感の前では関係ない。
今度は二人同時に、あっという間に絶頂を迎えた。
「うぁっ♥ も、でるっ♥ だすよっ、ナズナさんっ♥」
「はひっ♥ 注いでくださいましっ♥ ナズナの中にっ、あ、あぁぁぁぁ♥」
どびゅるるるるるるるるるぅっ！
先ほどとは比べ物にならないほどの量と濃さの精液が、ナズナの子宮に流れ込む。
同時にナズナも、愛液の洪水を迸らせながら腰を震わせた。
「はぁ…っ♥ はぁ…っ♥ 今度は、後ろから…♥」
「はい…っ、尻尾で、包んで差し上げます…っ♥」
二人は余韻に浸るのもそこそこに、繋がったまま体位を変える。
ナズナは回転して四つん這いになり、少年が後ろから突く形だ。
「いくよっ♥」
「はひぃっ♥」
少年は、ケモノのように腰を振る。
ナズナの柔らかな尻に、ぱつんぱつんと腰を叩きつける。
ナズナの方は七本の、愛液で濡れながらも触感を損なわない尻尾で少年の身体を包む。
全身を柔らかでモフモフとした尻尾に包まれ。
汗でほんのりひんやりとした、柔らかな尻の感触を下腹部に感じ。
肉棒は、熱い膣に吸い付かれ、撫で上げられ、締め付けられ、奉仕される。
「あっ♥ ひっ♥ はげしっ♥ 旦那様っ♥ んぃぃ♥」
「ナズナさんっ♥ きもちいよっ♥ ナズナさんっ♥」
三種類の異なる感覚で全身を愛撫され、少年は瞬く間に三度目の絶頂を迎える。
「あっ♥ うっ、おぁぁぁぁぁ♥」
「ひんっ♥ あ、あ、あぁぁぁぁぁ…っ♥」
どびゅびゅびゅびゅるるるぅぅぅぅっ！
びちゃぁっ！
猛烈な射精がナズナの胎内を満たし、結合部から溢れて滝のようにボタボタ零れ落ちる。
しかも今度は、射精しても少年は腰を止めない。
射精の勢いそのままに、更に腰を振り、何度も何度も何度も射精する。
ぶびゅるるるるるるるるるっ！
ごびゅるるるるるるるるるぅっ！
どびゅどびゅびゅびゅるるるるるるっ！
びちゃびちゃびちゃびちゃぁぁぁぁっ！
「あああああああああああああ♥」
「んひいいいいいいいいいいい♥」
ナズナの腹部は精液で妊婦のごとく膨らむ。
それでも入りきらない大量の精液が逆流し、ナズナの太もも、尻尾、背中までも汚す。
既に、これまでのどんな一日よりも大量の精液を放っていた。
少年がようやく肉棒から膣を引き抜くと、ごぼぉっと音を立てて精液が噴き出す。
既に辺り一面、真っ白な池になっていた。
「はぁぁ…っ♥」
「こん、どは…っ♥ わたくし、が…っ♥」
それでも、それでも。
まだまだ、この程度で終わるつもりなど双方ともになかった。
ナズナは結界の作用により辺りの大量の精液を自身の内に取り込む。
少年が出した精液は、一滴も無駄にならずナズナの魔力となっていく。
「ん…くぅ…♥ 旦那様っ…♥ では、私のお膝に…っ♥」
「はい、ナズナさん…っ♥」
少年は横から、ナズナの膝枕に頭を預けた。
既に精液で汚れた跡はなく、すべすべの太ももの感触が後頭部に伝わる。
「お胸も…好きにして、くださいませ…♥」
「うん…♥ ちゅ…むちゅっ…♥」
少年はナズナの豊満な胸を揉みしだきながら、乳首を口に含んで吸い始める。
（なぜかいまだに）妊娠していないにも関わらず、甘い母乳が口の中を満たす。
ナズナの方は、あれだけの射精をしながらまだ屹立している肉棒を、優しく握る。
そしてそのまま、細やかな力加減で扱き始めた。所謂授乳手コキである。
「んちゅ…ん…♥ んふぅ…♥」
「旦那様…♥ 好きなだけ、何度でも、いくらでも、出してくださいね…♥」
どくどくどくどくっ…
流石に勢いこそ先ほどより落ちるものの、少年の肉棒は容易く精液を漏らす。
精液で汚れながらもナズナは扱く手を止めず、更なる射精を促していく。
裏筋、亀頭、陰嚢、カリ首。
その美しい指先でしなやかに、包むように、くすぐるように。
どくどくどくどくどくどく…
どくどくどくどくどくどくぅ…
どくどくどくどくどくどく…
どくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどく…
壊れた蛇口のように、少年の肉棒から次々と精液が湧き出す。
「ナズナさん…♥ また、キス、していいですか…♥」
「はい、もちろん…♥ んちゅぅ…♥」
二人が再びディープキスを交わすと共に、今度は尻尾が少年の肉棒を包む。
柔らかな毛先が肉棒を撫で上げ、敏感なところをつつき、優しく撫で上げる。
どくどくどくどくどくどく…
どくどくどくどくどくどく…
少年は尻尾の中にも精液を次々と漏らした。
少年がナズナに甘える間、ナズナは全身を器用に使って肉棒に奉仕し、射精を促す。
何もしていなくとも、ひとりでに快楽を与えられ、精液を好きなだけ漏らし続ける。
もちろん、少年自ら動いて膣内に、口内に、腸内にまで好きなだけぶちまける事もある。
もはや少年の肉棒は常に、射精しているか、射精に向けて快楽を与えられているかのどちらかの状態しか存在しなくなった。
どびゅどびゅびゅびゅるるるるるるっ！
そうして日が落ちて、
びゅるるるるるるるるるるるるぅっ！
日が昇って、
どくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどく
また日が落ちて、
ぶびゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる
また日が昇って。
もう何日になるか分からないほど快楽を貪りあって。
ナズナは何百回目かの精液を体内に取り込む。
すると。
「あ…旦那様っ♥ 見てくださいまし、とうとう私、九本目の尾が…っ♥」
「あっ、本当だ♥ やったね、ナズナさん♥」
大量の魔力を取り込んだナズナは、ついに九尾に至った。
するとナズナは、神妙な面持ちで少年に語り掛ける。
「あの…旦那様」
「なぁに、ナズナさん？」
「この『なつやすみ』、いつかは終わってしまいますね」
「う、うん」
「終わらせたく…ないですね」
「…うん、ずっと、ずっと、こうしていたい」
これほどの快楽を貪りあってしまうと、もはや我慢が効くようには思えなかった。
良妻としての矜持よりも、雌としての本能の方が優位に立ってしまっている。
「では…ずっと、こうしてしまいましょう」
「え…？」
「つまり、こうです。えいっ♪」
ナズナが指を鳴らすと、二人にそっくりの人影が部屋の中に現れた。
「えっ！？」
「九尾になって…高度な式神が、使えるようになりました」
「式神…」
「私たちの記憶と経験、思考をインプットしてあります」
「え…それじゃあ…」
「外のことは式神に任せて…私たちはずっと、こうしていませんか…？」
「そ、それは…」
「あちらまでこのようになってはいけませんので、性欲だけは別にしてありますが…定期的に記憶はこちらと同期できますし…」
「…………」
沈黙するも、答えは決まっていた。
双方とも既に、家の外の全ての事柄より、目の前の愛する人だけを考えていたい。
「うん」
「それでは…♥」
「ずっとずっと、こうしていようね、ナズナさん♥」
「はい、ずぅっと、気持ちよくなりましょうね、旦那様…♥」
・
・
・
外では美しい妻と、真面目な夫のカップル。
しかし本当の二人は、あの部屋で、永遠に、快楽を貪り続けるのだった。
真夏の夢は、終わらない。
ここから先は、永遠のなつやすみ。
18/08/24 17:13更新 / 第四アルカ騎士団