読切小説
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使い魔の契約
この学園には魔物娘が多い、そう聞いたから俺はこの学園に入学したのに……この学園の大抵の魔物娘には彼氏がいるじゃないか!
彼氏がいなくても片思いをしていて、俺の入る隙なんてないし。これじゃあ俺の想像していた桃色学園性活なんてできないじゃないか。
そう考えながら、放課後の校舎をうろついている時だった。

「ちょいとそこのお兄さん、ボクと契約して魔女になってよ!」

そんな事を言いながら見知らぬ幼女が近づいてきたのだ。学園の制服を着ている所を見ると俺と同じ生徒なんだろう。

「なんだ、あれか? 魔女になってってのは俺が独り身な事の嫌みか? 男より女になったほうが楽って事なのか?」
「いやー、この種族に生まれたからにはこの台詞を一度は言ってみたくてね。 キミに彼女がいても同じ事を言うつもりだったよ」

俺は八つ当たり気味に怒鳴ったのにこの人はケラケラと笑っているのを見て、この人と関わったら何か色々と台無しにされる予感がすると俺の本能が危険信号を発している。

「そうですか、じゃあ俺は今から帰るんで」
「そんな事言わずにちょっとボクに付き合ってよ、独り身って事はキミ彼女募集中なんでしょ? だったらキミにもいい話だと思うからさ♪」

彼女は逃がさないように俺の腕を掴んでその場に引き止めた。俺はもちろん逃げようとするが彼女は見た目に反して結構力が強く、俺には逃げることができない。

「分かりました、話だけ聞きます」
「そうこなくっちゃ。 で、話って言うのはボクと契約してサバト部に入ってくれない? ノルマがあってさ、男性を一人でも勧誘しなくちゃいけないんだよね」
「部活の勧誘ですか……サバト部って何するんですか?」
「まぁ、一言で言えば恋人を作ってイチャイチャするだけの部だよ。 だからキミにはメリットしかないよ♪」

確かに恋人を作るってのは俺の目的と一致してるが、絶対に甘い話には裏があるはずだ。

「実際に見てみないと分からないんで、活動がある日にまた誘ってください」
「活動ねぇ……じゃあ、ボクと契約して仮入部しようか」

逃げようと思ったのに今日活動してるのかよ。そんなことを思っていると彼女は俺の腕を引っ張りながら空き教室に連れ込んだ。

「部の活動ですよね? なんで、空き教室に?」
「だから、さっきも言ったとおり恋人とイチャつくのが活動だよ。 そのためには恋人がいないといけないでしょ? だからボクが契約してあげる」
「あの……契約って具体的には何をするんでしょうか」
「交尾、子作り、性行為、セックス、合体、淫行……好きな言い方でいいよ♪」
「全部同じじゃないか!」
「魔物娘が男に契約って言ったら一つしかないじゃん」

ダメだ、確かに俺は彼女が欲しいとは思っていたけど、これじゃあ俺の理想とは程遠い。

「俺はそういうことする前にまず順序があると思うんですよ、お互い親睦を深め合ったり」
「面倒くさいなキミは、ボクとヤった後からでもいいじゃないか」
「よくない! 全然よくないよ」
「わかった、だったらせめて目を瞑っていてくれ」

俺は警戒しながら言われたとおりに目を瞑ってみると唇にやわらかい感触がした。驚いて目を開けると彼女の顔がすぐ目の前にある。

「あの……もしかして」
「キスさせてもらったよ、これで仮契約って事で今からボクとキミは恋人同士だ♪」

こうやって俺が彼女に振り回される日々が始まった。
14/09/17 08:35更新 / アンノウン

■作者メッセージ
「なあ、何であの時俺に声をかけたんだ?」
「んー、ただ単にボクがキミに一目ぼれしたからだよ、結果的に今が幸せなんだから別に気にすることじゃないだろ?」
「卒業するまでに全校集会で何回ハメ撮り映像流されて風紀委員に『愛し合うのはいいが教室の使用許可を貰ってください』って注意されたと思ってるんだよ」
「いいじゃないか、ボク達が愛し合ってるのを皆に見てもらっただけなんだから」
「よくねえよ、おかげでクラス中に俺にそういう趣味だと思われたんだぞ」
「ボクはキミと契約したんだから愛し合うのは当然だろ。それともボクと出会わなかったほうがよかったのかい?」
「そうじゃないけど」
「だったらボクに愛してるって言ってくれ」
「わかったよ、愛してる」

結婚した今でも彼女に勝てる気はしない。

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