ここは、魔界最大の都市スカイブルー。そのスカイブルーの周りには多くの転移装置があり、その転移装置から様々な場所や新魔物領の場所までいける。また、スカイブルーは多くの新魔物領と同盟を結んでおり小さな村や町を合併させた巨大な都市である。そのため、商業・工業・農業・学園地区・貿易港などに区切られている。　商業地区の「シューリン」工業地区の「レンカン」農業地区の「サーレン」学園地区の「フォースナイン」貿易港の「ブルーレイン」そして、そこの地区に住む様々な家族や魔物娘達。そんな、賑やかな都市スカイブルーに住むある家族の記録である。

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　まだ、寒さが残る２月の朝。窓からこぼれる太陽の光がとても暖かく感じた。太陽の光が、部屋に差し込む前から一人で服を着替えている一人の少女。脱いだパジャマを綺麗にたたみ、ベットシーツの皺をとり自分のベットの下にある小さな踏み台を出し窓の近くまで持っていきやりなれた様子で踏み台を置き、キシッ・・・キシッと音を鳴らしながら踏み台にのり窓の取っ手を手にとり窓を開けた。

　まだ朝だったのか入ってくる風がとても冷たかった。だが、入ってきた風で眠気が少し飛んだかのように目がパッチリと開けられていた。そして、また風が吹くと今度は目を瞑り風を感じた。黒く長い髪。まだ小さいがピンと立たれた犬耳、褐色の肌に手が肉球になっている。彼女はアヌビスで名前はリヴェリア５歳。魔物保育園に通う園児。子どもでありながら、難しい単語や意味などがよく分かっている。だが、まだまだ子ども。怖い本を読めば一人ではトイレにいけなくなるのがたまにきず。　
　
　両親は共に大学の先生であり、父親は偉大な考古学者。母は父と会うまでは、遺跡の番人をしていた。その、経験を生かし今は、父と共に大学で未来の考古学者の卵を育てているのだ。

　「ソレイアさん。さっきから一人で何言っているの？」リヴェリアちゃんがドアの隙間にいる者に声をかけた。

　「え！！それは、秘密だよリヴェリアちゃん」小さな箱に入って頭にピンク色のリボンをつけている女性。彼女はミミックのソレイアさん。この家のお手伝いさんである。

　「うんしょ・・・」踏み台から降りたリヴェリアちゃんは、ドアの所で洗濯物を持っているソレイアに近づいていった。

　「ソレイアさん。今日は、パパとママはいつ帰ってくるの」

　「ヴェストさんは、大学の会議で遅くなりますし、イディムさんは追試の監督で遅くなるわね」

　「よし、計算通り」

　「ん、どういうことリヴェリアちゃん？」ソレイアが、首を傾げて言った。

　「パパは、ここ最近遅く帰ってくるの。それに、そろそろ大学の学長さんの選挙や教授たちの人事異動とかも入ってくるからこの時期は忙しくなる。ママは、この前までテストの再確認や日程を組んでいたからそろそろだと思ったの」

　「そう言えば、そうね・・・・・・」ソレイアは最近の二人の様子を思い出してみた。ヴェストさんは最近帰りが遅く、疲れきった様子で毎日帰ってくる。イディムさんは、自室に篭り何かを見ていたわね。それよりも、リヴェリアちゃんはこのことになることをわかっていたの？それこそ、末恐ろしい・・・・・

　「ソレイアさん。それで今日は、何の日か知っている？」リヴェリアちゃんがソレイアに話し掛けた。

　「えっと・・・ゴミだしは昨日だし、タイムセールは今日はないし、リヴェアちゃんの布団は明日干すから・・・・・あっ！！」

　「えへへ・・・・」

　「今日は、トイレ掃除の日ね」

　「違うよ！！今日は、パパとママの結婚記念日だよ」頬っぺたを膨らましてソレイアさんに叱った。

　「と言うわけで、ママのかわりに今日は私がおつかいに行きます」説教する事１時間。リヴェリアちゃんは、一通り説教をすると自分のスケジュールをソレイアに言った。

　「まず、家を出てアースノル雑貨店で精力剤を買います。その次にラジーナちゃんのお花屋さん『鈴蘭』で、デザートフラワーを買います。そして、帰ってきます」びっしりと書かれたメモ帳みて、目が痛くなるソレイア。

　「え〜〜と、一人で行くの？リヴェリアちゃん？」ソレイアが心配そうに言う。

　「もちろんです。この日のために、お小遣いと地図も用意したんです」そう言うと、自分の体よりも大きい地図を持ちコンパスを見せた。

　「でも、何かあったら大変だし。もしも・・・・」

　「大丈夫です。ですから、行かせてください」

　「・・・・・うん。分かったわ。そしたら気を付けていってくるのよ」

　「はい。おつかい行ってきます」そのまま、リュックサックと帽子そして、地図を片手に玄関まで走っていくリヴェリアちゃん。

　「それでは、行ってきます」

　「気を付けて、行って来てね」

　「はい」

　ドアの近くに設置してある転移装置の上に乗り目的地の場所を目指すリヴェリアちゃん。目指すは、商業地区「シューレン」にある雑貨屋「アースノル」

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　　　　　　　　　　　　〜商業地区・シューレン〜

　商業地区シューレン。人や馬車が行き交う所でリヴェリアちゃんは「アースノル」を探していた。持っている地図を見ながら自分の現在地と目的地を照らし合わせて。

　「この道を左に曲がったら、アースノルにつくはず・・・・」果実売りの角を左に曲がった所で、大きな看板で「アースノル」とかかれた看板があった。

　「ここだ」そう言うと、手に持った地図をリュックサックに入れお店の仲に入った。

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　　　　　　　　　　　　〜アースノル・お店の中〜

　お店の中には、たくさんのおもちゃやお菓子などが置いてあった。そして、リヴェリアちゃんが捜し求めた精力剤「シュルザーH」が棚の上にあった。

　「あった。これを買わなきゃ」リヴェリアちゃんは、「シュルザーH」を取ろうと背伸びをしたが、手が届かなかった。

　「と・・・・届かない」

　「これは、小さいお客さんが来たようだな」

　後ろから、聞き覚えのある声を聞いて振り向くと、ガタイのいい男の人がアースノルと描かれたエプロンを着てリヴェリアちゃんの後ろに立っていた。

　「アスノールさん」

　「ん･・・・･誰かと思ったら、ヴィストさん所のリヴェリアちゃんじゃないか、イディムさんやヴェストさんと一緒じゃないのか？」

　「いえ、一人で来ました。今日はパパとママの結婚記念日ですから」

　「そりゃあ、すごいな。それで何がほしいんだい」

　「あれです。今日は、パパにとって大変な一日になりますから」棚の上にある「シュルザーH」を指差した。

　「そいつは、ヴェストさんも大変だね」小笑いしながら棚の上にある「シュルザーH」を取り、リヴェリアちゃんに渡した。

　「ありがとうございます。そしたら・・・・」そう言って、お財布からお金を取り出そうとした瞬間アスノールが止めた。

　「いいよ。いいよ。お金なんて、今日はタダで」

　「でも・・・・」

　「いいって、いいって。それに、他にも買うんだろ」アスノールは、笑顔でリヴェリアちゃんに言った

　「うん」小さく頷くリヴェリアちゃん。

　「だろ。ほら、リュックサックに入れたから気を付けて行くんだぞ」

　「はい。ありがとうございます」アスノールさんにお礼を言うと、次の場所へと向かった。

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　　　　　　　　　　　〜シューレン・レインボー通り〜
　
　「ここを、右行って、左行ったら・・・・・着いた」リヴェリアちゃんが、曲がりくねった道をコンパスと地図を使って着いた先は、『鈴蘭』と花で形を作られたお店に着いた。そのお店の前で、花に水をやる見慣れた人影がいた。

　「おじさん。お花ください」リヴェリアちゃんが、花に水をやる人に声をかけた。

　「は〜い。なんの花がいいですか・・・・ってリヴェリアちゃん！？」驚いて、じょうろを落としてしまうトップさん。

　「おじさん。デザートフラワーありますか？」

　「デザートフラワー・・・・・うん。あるよ。少し待っててね」そう言うと、お店の中に入って行き綺麗に包装されたデザートフラワー持ってきてリヴェリアちゃんに渡した。

　「一人でお買い物かい？えらいね」そう言うとリヴェリアちゃんの頭を撫でてあげるトップさん。

　「はい。今日はパパとママの大事な日なんです」

　「そうなんだね。そしてら、このお花はおまけだよ」もうひとつ綺麗に包装されたもうひとつの花束をもらった。

　「ありがとうございます。おじさん」そうお礼を言うと『鈴蘭』を後にするリヴェリアちゃん。

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　　　　　　　　　　　　　〜リーヴェスト家〜

　「ただいま。ソレイアさん」玄関から元気な声で挨拶するリヴェリアちゃん。

　「お帰りなさい。リヴェリアちゃん。こっちは準備できたわよ」ニッコリと微笑むソレイアさん。
　
　「うん。後は、パパとママを待つだけです」リヴェリアちゃんがプレゼントの用意をして、ソファーの上で待っていると、玄関からパパとママの声が聞こえてきた。

　「ただいま、リヴェリア」

　「ただいま、いい子に待っていたか。リヴェリア」

　「お帰りなさい。パパ､ママ」笑顔で答えるリヴェリアちゃん。

　「待たせたな。ソレイア。リヴェリアを見てくれてありがとう」

　「そんな、イディムさん全然いいわよ。それよりも、こちらにきてください。ヴェストさんも」

　「「？？？」」

　二人は、ソレイアさんに連れられていった。その場所には・・・・

　「な・・・なんだこれは」そこには、「パパ､ママ結婚記念日おめでとう」とかかれた垂れ幕が飾っていた。

　「パパ、ママ結婚記念日おめでとう」そうリヴェリアちゃんが二人にデザートフラワーを渡した。

　「ありがとう、リヴェリア。パパは今、とても感動してるよ」

　「リヴェリア、ありがとう。私としたことがすっかり忘れていたよ」二人で、利ヴェリアちゃんを抱きしめるとリヴェリアはニッコリと笑った。

　「さぁ、今日は私が腕に振るったご馳走ですよ冷めないうちに食べてくださいね」ソレイアさんが、エプロンをつけてヴェストとイディムさんに声をかけた。

　テーブルを囲むリーヴェスト家。今日の出来事やお使いに行った事を喜んで話すリヴェリアちゃん。その日のリーヴェスト家はとても暖かな一日となった。
　

■作者メッセージ

　どうも、お久しぶりです。最近忙しくて更新が遅くなりましたが、元気でやってます。さて、本編のお話しはしばしのお休み。それまでは、こちらで更新をします。でわでわ感想お待ちしてます。

　　　　　　　　　　　　　　　〜次回予告〜
　　ある家族に、新しい命が・・・・でも、ちょっと不安なオークの少女。お姉ちゃんになるために色々と頑張っちゃいます。次回「お姉ちゃんになる日」よろしくね