とある賞金稼ぎの出会い
「・・・よし」
俺は『ラドラス』。少しは剣の腕に自信がある賞金稼ぎだ。
俺は今、とある山の頂上にいく山路にいる。
目的は簡単。ここの主であるドラゴンを打ち倒すためだ。
最近住み着き、岩を落としてきたり、山を荒らしたりして恐ろしいから退治してくれと麓の村人に言われて来た。
対ドラゴン用装備もアイテムもばっちり。
大量の魔物たちに邪魔されまくったが、なんとか来れた。アイテムでＨＰもＭＰも全回復。負ける気はしねぇ。
「待ってやがれ、ドラゴンめ！」
俺は山路を勢いよく駆け上がった！
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『てかこれサラダやない！皿だ！』
『なに寒いギャグかましとんねん！』
「あはははは！あはははは！！」
・・・えー？
いや、ちょ、えー？？？
山路を駆け上がった俺の前では・・・
ひらけた頂上のど真ん中でコタツに入って寝そべりながらクッキー？に手を延ばしつつ、テレビを見てバカ笑いするドラゴンがいた。
・・・えー？
俺さー。扉を開けたら「よく来たな愚かな人間め！」とか言う悪人っぷり全開なやつ出てくると思ったんだけどよー・・・
「あはははは・・・ん？」
「あ」
ドラゴンがこっち向いた。
目をパチクリさせて、俺を見て・・・あ、てれび消した。
「・・・えーと・・・お、お客様か？」
「あー・・・あの、お前を倒しに来た、んだけど・・・」
・・・あ、急に慌てだした。コタツから出てオロオロしてる。
「し、しばらく待っていろ！？十分、いや、五分待っていろ！！」
「あ、あー、おぅ」
ドラゴンは慌てて走って・・・あ、コケた。あ、目元拭きながら走ってって・・・あ、隠し扉なんてあったのか。入ってった。
・・・なんか拍子抜けだなぁ・・・ん？
・・・そういや腹減ってたなぁ・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふはははは！愚かな人間め！我こと『ルドラウド』様が相手をしｔあーっ！？私のクッキーーーーッ！？」
「遅ぇよ。１４分も待ったじゃねぇか」
俺はコタツに入ってクッキーを食べていた。うん、結構美味い、このクッキー。
ちなみにドラゴンは髪でも梳いてきたのか、サラサラしてるように見えるロングヘア。身体も拭いたのか、先ほどより碧緑の鱗がピカピカしている。
「ま、魔界から取り寄せた高級クッキーを・・・お、お前、どれだけ食べた！？」
「え？あー・・・箱の半分くらい？」
「はんぶんっ！？・・・どうやら死にたいようだなぁ？」
お、やる気だしたか！？くっ、すげぇ気迫だぜ・・・空気がピリピリと張り詰めてきた！
「このルドラウド様の怒りを買って、ただで済むと思うでないぞ！」
「はっ、上等だ。俺の剣のサビにしてやる！」
さぁ、戦闘の始まりだ！
「よし、ゆくぞ！」
「きやがれッ！！！」
『消える飛行機雲〜♪僕たちは見送った〜♪』
・・・は？
「え！？こ、こんなときに！？ちょ、すまん！しばし待て！」
突然、ドラゴンが身体をまさぐり、携帯電話を取り出した。
・・・っておい。今、腰回りから取り出したよな？どうなってんだその鱗。
『ピッ♪』
「あー、もしもし？ルドラウドだが？え？今？いや、暇じゃな・・・なに！？夫を手に入れた！？おぉ、おめでとう！」
・・・おーい？
ちょ、相手に背を向けるなよ！
・・・って言っても、たぶん聞こえないな、アレ。
「ん？リア充爆発しろとか言わないのか？はははは！私だって少しは大人になるわ！で、どんなお方なの？ふんふん、へー・・・」
・・・どっこいしょ。
・・・あー、あったまるわー。
・・・クッキー食べよ。
「・・・ほぉー、お前にぴったりだな！で、出会いは？なーにを恥ずかしがってるんだ！私に報告した時点で言う気満々なんだろうが？さ、さ、聞かせろ聞かせろ♪うん、うん・・・」
モグモグ・・・
マジ美味いな、このクッキー。
魔界から取り寄せた的なこと言ってたが、魔界にも美味いもんあるんだな。
モグモグ・・・
あ、空んなっちゃった。
「・・・なに？サバトを潰しに来た勇者に一目惚れされて？告白された？おぉぉぉっ！！なんてロマンチックな出会いだ！！私もそんな出会いがした・・・ん？あれ？」
・・・満腹になったら眠くなってきたな・・・
・・・あ、やべ、コタツの魔力と重なって、すげぇ眠気が・・・
「あー！！！ちょ、すまん！また今度でいいか！？今、ちょうど山を登ってきたヤツがいるんだ！ちょと撃退する！！え？男だったら襲っちゃえ？ババババ馬鹿なこと言うな！！！////」
・・・ぐー、ぐー・・・
「確かにちょっと好みだけど・・・えぇい、うるさい！それじゃあね！」
『ピッ♪』
「待たせたな！それでは始めｙてか寝てるーーーっ！？あーーーっ！？クッキーも全部食べられたーーーっ！？」
ぐー・・・ぐー・・・
「・・・この、こんの・・・」
『ゴゴゴゴゴゴ・・・』
ぐー・・・ぐ・・・んが？
「クッキー泥棒ぉぉぉぉぉぉっ！！！」
ちょ！？起き抜けにドラゴンブレスははんそｋあぶねぇっ！！？
『ドゴァッ！！』
「なっ！？避けただと！？」
ちょ、マジで人生終わったかと思った・・・あ、あぶねぇ・・・
「ふ、ふふふ、ふはははは！どうやら腕前は我と闘うに値する男のようだな！」
「へっ、負ける喧嘩を自ら売るバカじゃないんでね・・・」
つってもマジギリギリだったがな・・・ん？
「気に入った！ならば我も全力をもって闘お・・・」
「なぁ、ちょっといいか？」
「えぇい、なんだ！？やっとマトモに話が進みそうだったのに！」
あ、自覚はしてんだな、グダグダなの。
「いや・・・さっきのドラゴンブレスでコタツが木っ端微塵だが、いいのかって・・・」
「・・・へ？」
ドラゴンが振り返る。
コタツのあった場所には、爆発の跡と、焼き焦げたコタツ布団の切れ端が散乱していた。
「あーーーっ！？私のコタツーーーっ！？」
うるさいなこのドラゴン。
さっきから、叫んでばっかじゃねぇか。
「き、さ、ま〜〜っ！よくも私の安楽地を・・・」
「いや。潰したのお前だからな？」
なんだこのドラゴン。間抜けっていうか、緊張感ないっていうか・・・
「あー、もう始めようぜ？お前みたいなドジドラゴン、すぐにでも倒してやる！」
「なっ！？ど、ドジじゃない！我は断じてドジなどではない！」
・・・ん？なんか過剰反応？
「た、確かによくお茶こぼしたりとかコケた拍子に山の麓に岩を転がしてしまったりとか、空中ブレスの練習中に的からズレてブレスが山に激突したりするが、ドジじゅない！！」
「ドジじゃねぇか！しかも噛んでるし！『じゅない』ってなんだよ！」
岩を落としてきたりとか、山荒らしたりしてんの全部こいつのドジか！！なにこのドジっ子！？傍迷惑な！！
「ど、ドジじゃない！ドジじゃないもん！！」
「ドジだよ！このドジっ子ドラゴン！！もういい！俺は帰る！めんどくせぇ！！」
まったく・・・期待して損したぜ・・・
「ドジじゃ・・・ひくっ、ないもん・・・」
・・・ん？
・・・まさか・・・泣いてない、よな？
「わだじ、ドジじゃ、ひぐっ、ドジじゃな・・・ひっぐ・・・うぇぇぇ・・・」
泣き出しやがったよコイツ！
「うわーん！ドジじゃない！ドジじゃないもーん！うわーーーん！！！」
「ちょ、うおっ！？」
ドラゴンはボロボロ涙を流しながら俺に駆け寄ってきてポカポカとなぐ・・・
『ガンガンガンガンガンッ！！』
「おまっ！こらっ！鎧殴るな！お前は『ポカポカ』のつもりかもしれんが音が違うから！ちょ、ヘコむヘコむヘコむ！鎧ヘコむから！！！」
「うわーーーん！うわーーーん！！」
『ガンガンベキバキッ！』
割れた！割れたよ！
ちょ、死ぬ死ぬ死ぬ俺死ぬーーーーーーーーーっ！！？
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・落ち着いたか？」
「ぐずっ、ひぐっ、あい・・・」
マジで鎧壊れて胸板にダイレクトナックルくる直前にドジっ子ドラゴンにグーパンをいれ、落ち着かせ、正座させていた。
ちなみに俺は鎧は脱いで胡座をかいている。変形して着るだけで息苦しい。高かったのになぁ・・・
「・・・とりあえず、鼻をかめ。ほら、ハンカチ」
「・・・ッヂーーーン！ッヂーーーン！」
わざわざ両方かんでくれてありがとうよ・・・いや、まんま俺に渡そうとするなよ。
「えーとだな・・・なんで俺がここに来たかわかってるか？」
「・・・え？えーと・・・私を妻に」
「ねぇよ。もう一度言ってやる。ねぇよ！」
「ウッ・・・（；ω；）」
「泣くな！！」
クソ・・・扱いが難しい・・・とりあえず理由を話すか・・・
「いいか？俺がここに来たのはな・・・」
〜〜〜（説明中）〜〜〜
「・・・と、いうことで、村人からお願いされたんだ」
「ガビーン！Σ（ﾟдﾟlll）
わ、私はなんて迷惑をかけていたんだ・・・」
あぁ・・・やっぱり気づいてなかったんだな・・・予想通りすぎて涙が出るわ・・・
「もうお前を殺すなんて物騒な考えも吹っ飛んだし、あれだ、どこか別の場所に移住してくれねーかな？」
「そんなの簡単にできないよぅ・・・」
ですよねー・・・どうすっかなぁ・・・
「・・・ねぇ、お前・・・あ。いや、貴方はどこに住んでるの？」
「は？俺？俺は賞金稼ぎだからな。根無し草だよ」
「・・・おうち、ないの？」
おうちて。ひっさしぶりに聞いたなその単語。
「賞金稼ぎなんざ各地歩き回って稼ぐ身体資本だからな。家なんて構えてらんね・・・」
・・・待て。
なんでドジっ子の目がキラキラしてんだ？
「私、いいこと考えた！」
おい。おい待て。
「やったね！歩かなくてよくなるよ！」
おいバカやめろ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・そ、そうですか、ありがとうございました」
「えぇ、とりあえずドラゴンによる被害はなくなりますよ・・・私を除いて・・・」
俺は麓の村の村長に報告と、礼金をもらいに来ていた。
ちなみに山から『飛んで来た』。間違いない。『飛んで来た』。
『わーっ、すっげー！ドラゴンだーっ！』
『おっきいー！』
『コラ貴様ラ、私ノ背ニ乗ルナ！危ナイカラ我ガ脚ニ近ヅクナ！踏ミ潰シタラドウスル！？』
・・・村長の家のすぐそばで子供のはしゃぐ声と、『アイツ』の声が聞こえる。
・・・そろそろ、行くか・・・
「では、報酬金、確かにもらいました。私『たち』はこれで・・・」
「は、はい・・・お気をつけて・・・」
なににだ？
アイツのドジにか？背中に乗せた俺が落ちないようにか？ははは、笑えねぇ。
家の外には、『巨大なドラゴン』が子供たちにまとわりつかれ、困った感じになっていた。
「ア、アナタ♪」
うるせぇ。誰がテメェの旦那だ。人間モードんときぶん殴るぞ。
「こら、子供たち、竜からのきなさい。賞金稼ぎさんが乗りなさるから・・・」
村長さん、ありがとよ・・・あんまり嬉しくないけどな。いっそこのドラゴンもらってくれねぇ？
「アナタ♪早ク、早ク♪」
はいはい、わかりましたよ・・・
俺はドラゴンの背中に乗り、都合よくバイクのハンドルみたく突き出た甲殻のトゲをしっかり握った。
「それじゃ、失礼しました」
「皆サン、ゴ迷惑カケマシタ」
瞬間。
俺は天高く飛んだ・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドジっ子の提案は、俺と共に旅をする、だった。
根無し草なら迷惑をかけながらでも旅の恥はなんとやらでいいじゃないかと言いだしたのだ。
もちろん俺はイヤだと言ったら、ガキみたく駄々こねて泣き喚いたので、仕方なく了承した。
・・・これからコイツとふたりで賞金稼ぎをやるとは・・・先が思いやられるぜ・・・
「〜〜〜♪〜〜〜♪」
・・・呑気に鼻歌なんか歌いやがって・・・
・・・ま、悪くはねぇかもな・・・
ポジティブシンキングでいくとしよう・・・
「・・・って、俺が乗ってんのに上下反転すんなーーーっ！！！」
前言撤回。コイツやっぱダメだ。
俺は『ラドラス』。少しは剣の腕に自信がある賞金稼ぎだ。
俺は今、とある山の頂上にいく山路にいる。
目的は簡単。ここの主であるドラゴンを打ち倒すためだ。
最近住み着き、岩を落としてきたり、山を荒らしたりして恐ろしいから退治してくれと麓の村人に言われて来た。
対ドラゴン用装備もアイテムもばっちり。
大量の魔物たちに邪魔されまくったが、なんとか来れた。アイテムでＨＰもＭＰも全回復。負ける気はしねぇ。
「待ってやがれ、ドラゴンめ！」
俺は山路を勢いよく駆け上がった！
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『てかこれサラダやない！皿だ！』
『なに寒いギャグかましとんねん！』
「あはははは！あはははは！！」
・・・えー？
いや、ちょ、えー？？？
山路を駆け上がった俺の前では・・・
ひらけた頂上のど真ん中でコタツに入って寝そべりながらクッキー？に手を延ばしつつ、テレビを見てバカ笑いするドラゴンがいた。
・・・えー？
俺さー。扉を開けたら「よく来たな愚かな人間め！」とか言う悪人っぷり全開なやつ出てくると思ったんだけどよー・・・
「あはははは・・・ん？」
「あ」
ドラゴンがこっち向いた。
目をパチクリさせて、俺を見て・・・あ、てれび消した。
「・・・えーと・・・お、お客様か？」
「あー・・・あの、お前を倒しに来た、んだけど・・・」
・・・あ、急に慌てだした。コタツから出てオロオロしてる。
「し、しばらく待っていろ！？十分、いや、五分待っていろ！！」
「あ、あー、おぅ」
ドラゴンは慌てて走って・・・あ、コケた。あ、目元拭きながら走ってって・・・あ、隠し扉なんてあったのか。入ってった。
・・・なんか拍子抜けだなぁ・・・ん？
・・・そういや腹減ってたなぁ・・・
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「ふはははは！愚かな人間め！我こと『ルドラウド』様が相手をしｔあーっ！？私のクッキーーーーッ！？」
「遅ぇよ。１４分も待ったじゃねぇか」
俺はコタツに入ってクッキーを食べていた。うん、結構美味い、このクッキー。
ちなみにドラゴンは髪でも梳いてきたのか、サラサラしてるように見えるロングヘア。身体も拭いたのか、先ほどより碧緑の鱗がピカピカしている。
「ま、魔界から取り寄せた高級クッキーを・・・お、お前、どれだけ食べた！？」
「え？あー・・・箱の半分くらい？」
「はんぶんっ！？・・・どうやら死にたいようだなぁ？」
お、やる気だしたか！？くっ、すげぇ気迫だぜ・・・空気がピリピリと張り詰めてきた！
「このルドラウド様の怒りを買って、ただで済むと思うでないぞ！」
「はっ、上等だ。俺の剣のサビにしてやる！」
さぁ、戦闘の始まりだ！
「よし、ゆくぞ！」
「きやがれッ！！！」
『消える飛行機雲〜♪僕たちは見送った〜♪』
・・・は？
「え！？こ、こんなときに！？ちょ、すまん！しばし待て！」
突然、ドラゴンが身体をまさぐり、携帯電話を取り出した。
・・・っておい。今、腰回りから取り出したよな？どうなってんだその鱗。
『ピッ♪』
「あー、もしもし？ルドラウドだが？え？今？いや、暇じゃな・・・なに！？夫を手に入れた！？おぉ、おめでとう！」
・・・おーい？
ちょ、相手に背を向けるなよ！
・・・って言っても、たぶん聞こえないな、アレ。
「ん？リア充爆発しろとか言わないのか？はははは！私だって少しは大人になるわ！で、どんなお方なの？ふんふん、へー・・・」
・・・どっこいしょ。
・・・あー、あったまるわー。
・・・クッキー食べよ。
「・・・ほぉー、お前にぴったりだな！で、出会いは？なーにを恥ずかしがってるんだ！私に報告した時点で言う気満々なんだろうが？さ、さ、聞かせろ聞かせろ♪うん、うん・・・」
モグモグ・・・
マジ美味いな、このクッキー。
魔界から取り寄せた的なこと言ってたが、魔界にも美味いもんあるんだな。
モグモグ・・・
あ、空んなっちゃった。
「・・・なに？サバトを潰しに来た勇者に一目惚れされて？告白された？おぉぉぉっ！！なんてロマンチックな出会いだ！！私もそんな出会いがした・・・ん？あれ？」
・・・満腹になったら眠くなってきたな・・・
・・・あ、やべ、コタツの魔力と重なって、すげぇ眠気が・・・
「あー！！！ちょ、すまん！また今度でいいか！？今、ちょうど山を登ってきたヤツがいるんだ！ちょと撃退する！！え？男だったら襲っちゃえ？ババババ馬鹿なこと言うな！！！////」
・・・ぐー、ぐー・・・
「確かにちょっと好みだけど・・・えぇい、うるさい！それじゃあね！」
『ピッ♪』
「待たせたな！それでは始めｙてか寝てるーーーっ！？あーーーっ！？クッキーも全部食べられたーーーっ！？」
ぐー・・・ぐー・・・
「・・・この、こんの・・・」
『ゴゴゴゴゴゴ・・・』
ぐー・・・ぐ・・・んが？
「クッキー泥棒ぉぉぉぉぉぉっ！！！」
ちょ！？起き抜けにドラゴンブレスははんそｋあぶねぇっ！！？
『ドゴァッ！！』
「なっ！？避けただと！？」
ちょ、マジで人生終わったかと思った・・・あ、あぶねぇ・・・
「ふ、ふふふ、ふはははは！どうやら腕前は我と闘うに値する男のようだな！」
「へっ、負ける喧嘩を自ら売るバカじゃないんでね・・・」
つってもマジギリギリだったがな・・・ん？
「気に入った！ならば我も全力をもって闘お・・・」
「なぁ、ちょっといいか？」
「えぇい、なんだ！？やっとマトモに話が進みそうだったのに！」
あ、自覚はしてんだな、グダグダなの。
「いや・・・さっきのドラゴンブレスでコタツが木っ端微塵だが、いいのかって・・・」
「・・・へ？」
ドラゴンが振り返る。
コタツのあった場所には、爆発の跡と、焼き焦げたコタツ布団の切れ端が散乱していた。
「あーーーっ！？私のコタツーーーっ！？」
うるさいなこのドラゴン。
さっきから、叫んでばっかじゃねぇか。
「き、さ、ま〜〜っ！よくも私の安楽地を・・・」
「いや。潰したのお前だからな？」
なんだこのドラゴン。間抜けっていうか、緊張感ないっていうか・・・
「あー、もう始めようぜ？お前みたいなドジドラゴン、すぐにでも倒してやる！」
「なっ！？ど、ドジじゃない！我は断じてドジなどではない！」
・・・ん？なんか過剰反応？
「た、確かによくお茶こぼしたりとかコケた拍子に山の麓に岩を転がしてしまったりとか、空中ブレスの練習中に的からズレてブレスが山に激突したりするが、ドジじゅない！！」
「ドジじゃねぇか！しかも噛んでるし！『じゅない』ってなんだよ！」
岩を落としてきたりとか、山荒らしたりしてんの全部こいつのドジか！！なにこのドジっ子！？傍迷惑な！！
「ど、ドジじゃない！ドジじゃないもん！！」
「ドジだよ！このドジっ子ドラゴン！！もういい！俺は帰る！めんどくせぇ！！」
まったく・・・期待して損したぜ・・・
「ドジじゃ・・・ひくっ、ないもん・・・」
・・・ん？
・・・まさか・・・泣いてない、よな？
「わだじ、ドジじゃ、ひぐっ、ドジじゃな・・・ひっぐ・・・うぇぇぇ・・・」
泣き出しやがったよコイツ！
「うわーん！ドジじゃない！ドジじゃないもーん！うわーーーん！！！」
「ちょ、うおっ！？」
ドラゴンはボロボロ涙を流しながら俺に駆け寄ってきてポカポカとなぐ・・・
『ガンガンガンガンガンッ！！』
「おまっ！こらっ！鎧殴るな！お前は『ポカポカ』のつもりかもしれんが音が違うから！ちょ、ヘコむヘコむヘコむ！鎧ヘコむから！！！」
「うわーーーん！うわーーーん！！」
『ガンガンベキバキッ！』
割れた！割れたよ！
ちょ、死ぬ死ぬ死ぬ俺死ぬーーーーーーーーーっ！！？
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「・・・落ち着いたか？」
「ぐずっ、ひぐっ、あい・・・」
マジで鎧壊れて胸板にダイレクトナックルくる直前にドジっ子ドラゴンにグーパンをいれ、落ち着かせ、正座させていた。
ちなみに俺は鎧は脱いで胡座をかいている。変形して着るだけで息苦しい。高かったのになぁ・・・
「・・・とりあえず、鼻をかめ。ほら、ハンカチ」
「・・・ッヂーーーン！ッヂーーーン！」
わざわざ両方かんでくれてありがとうよ・・・いや、まんま俺に渡そうとするなよ。
「えーとだな・・・なんで俺がここに来たかわかってるか？」
「・・・え？えーと・・・私を妻に」
「ねぇよ。もう一度言ってやる。ねぇよ！」
「ウッ・・・（；ω；）」
「泣くな！！」
クソ・・・扱いが難しい・・・とりあえず理由を話すか・・・
「いいか？俺がここに来たのはな・・・」
〜〜〜（説明中）〜〜〜
「・・・と、いうことで、村人からお願いされたんだ」
「ガビーン！Σ（ﾟдﾟlll）
わ、私はなんて迷惑をかけていたんだ・・・」
あぁ・・・やっぱり気づいてなかったんだな・・・予想通りすぎて涙が出るわ・・・
「もうお前を殺すなんて物騒な考えも吹っ飛んだし、あれだ、どこか別の場所に移住してくれねーかな？」
「そんなの簡単にできないよぅ・・・」
ですよねー・・・どうすっかなぁ・・・
「・・・ねぇ、お前・・・あ。いや、貴方はどこに住んでるの？」
「は？俺？俺は賞金稼ぎだからな。根無し草だよ」
「・・・おうち、ないの？」
おうちて。ひっさしぶりに聞いたなその単語。
「賞金稼ぎなんざ各地歩き回って稼ぐ身体資本だからな。家なんて構えてらんね・・・」
・・・待て。
なんでドジっ子の目がキラキラしてんだ？
「私、いいこと考えた！」
おい。おい待て。
「やったね！歩かなくてよくなるよ！」
おいバカやめろ。
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「・・・そ、そうですか、ありがとうございました」
「えぇ、とりあえずドラゴンによる被害はなくなりますよ・・・私を除いて・・・」
俺は麓の村の村長に報告と、礼金をもらいに来ていた。
ちなみに山から『飛んで来た』。間違いない。『飛んで来た』。
『わーっ、すっげー！ドラゴンだーっ！』
『おっきいー！』
『コラ貴様ラ、私ノ背ニ乗ルナ！危ナイカラ我ガ脚ニ近ヅクナ！踏ミ潰シタラドウスル！？』
・・・村長の家のすぐそばで子供のはしゃぐ声と、『アイツ』の声が聞こえる。
・・・そろそろ、行くか・・・
「では、報酬金、確かにもらいました。私『たち』はこれで・・・」
「は、はい・・・お気をつけて・・・」
なににだ？
アイツのドジにか？背中に乗せた俺が落ちないようにか？ははは、笑えねぇ。
家の外には、『巨大なドラゴン』が子供たちにまとわりつかれ、困った感じになっていた。
「ア、アナタ♪」
うるせぇ。誰がテメェの旦那だ。人間モードんときぶん殴るぞ。
「こら、子供たち、竜からのきなさい。賞金稼ぎさんが乗りなさるから・・・」
村長さん、ありがとよ・・・あんまり嬉しくないけどな。いっそこのドラゴンもらってくれねぇ？
「アナタ♪早ク、早ク♪」
はいはい、わかりましたよ・・・
俺はドラゴンの背中に乗り、都合よくバイクのハンドルみたく突き出た甲殻のトゲをしっかり握った。
「それじゃ、失礼しました」
「皆サン、ゴ迷惑カケマシタ」
瞬間。
俺は天高く飛んだ・・・
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ドジっ子の提案は、俺と共に旅をする、だった。
根無し草なら迷惑をかけながらでも旅の恥はなんとやらでいいじゃないかと言いだしたのだ。
もちろん俺はイヤだと言ったら、ガキみたく駄々こねて泣き喚いたので、仕方なく了承した。
・・・これからコイツとふたりで賞金稼ぎをやるとは・・・先が思いやられるぜ・・・
「〜〜〜♪〜〜〜♪」
・・・呑気に鼻歌なんか歌いやがって・・・
・・・ま、悪くはねぇかもな・・・
ポジティブシンキングでいくとしよう・・・
「・・・って、俺が乗ってんのに上下反転すんなーーーっ！！！」
前言撤回。コイツやっぱダメだ。
11/11/16 15:58更新 / ganota_Mk2