読切小説
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激運!どんなもんでも鑑定団!
 司会バフォメット(以下司会バフォ)「さぁさぁ!今週も始まりました!激運!どんなもんでも鑑定団!」
 助手サキュバス(以下司会サキュ)「我々どんなもんでも鑑定団は、その名前通り『どんなもの』でも鑑定します!」
 司会バフォ「今日はどんなお宝が現れるのでしょうか!」
 助手サキュ「ええ、私!ワクワクしちゃいますっ!」
 司会バフォ「それでは…」
 助手サキュ「オープンザプライス!」

 依頼人1人目 沙悟清(さご きよ) 河童(34) 職業:農家

 司会バフォ「こんにちは!ようこそどんなもんでも鑑定団へ!」
 沙悟「はい、初めて上京してきた身故に不束者ですがよろしくお願いします。」
 助手サキュ「それでは沙悟さん、貴方のお宝を拝見させていただきましょうか。」
 沙悟「はい、こちらになります。」

 〜本日のお宝No.1 宿李杏祐(やりあんすけ)の武者山羊娘屏風図〜

 司会バフォ「これは…屏風ですね。」
 助手サキュ「描かれているのは甲冑を着たバフォメットみたいですが…今にも屏風から飛び出してきそうな迫力と、本当に生きているかのような繊細さがあります。」
 沙悟「お褒め頂きありがとうございます。この屏風は実家にあったもので、なんでも私の家に代々受け継がれているモノなんですよ。しかも、あの水墨画の巨匠である宿李杏祐の描いたものだと思うんです。ほら、隅にハンコが押してあるでしょう?」
 助手サキュ「確かにしっかりと押されていますね。」
 沙悟「あまりにも綺麗すぎるので最初はニセモノかと思っていましたが、昔のハンコはインクが残りやすいというの聞き、本物じゃないかと思うようになったんです。」
 司会バフォ「なるほどぉ!昔のハンコは実際インクが滲みやすい魔界象の象牙が使われていましたからね!」
 
 〜本日のお宝No.1ナレーションタイム〜

 ナレーション(種族不明)「宿李杏祐は、オオエド時代のジパングで一時絶大な人気を誇った水墨画界の大家である。」
 ナレーション「20歳から32歳の青年時代におおよそ1万もの作品を残すほど精力的な彼だったが…35歳になってからは画家を引退し、以降は90歳で病に倒れるまで細々と匿名で活動し続けたという。」
 ナレーション「今回の依頼品は、そんな彼の作品である武者山羊娘屏風図だ。甲冑を着けたバフォメットという異色の作品だ。」
 ナレーション「新魔王歴899年の博覧会に出品された際は、斬新さで多くの人だかりができた名画だが果たして本物なのだろうか?」

 〜本日のお宝No.1鑑定タイム〜

 司会バフォ「それでは鑑定結果がでました!沙悟さん、ご自分での評価額をお願いします!」
 沙悟「えーと、普通に100万ゴールドで。」
 
 ジャラジャラジャラジャラ…………

 ジャキーンッ!

 1000,100(100万100)ゴールド

 沙悟「予想価値より高かったのは嬉しいんですが、100ゴールドだけとはなんだか微妙ですね。アハハ…」
 司会バフォ「鑑定人さん、解説をお願いします。」
 鑑定人ぬらりひょん「単刀直入に言わせて頂きますと、ニセモノですね。もし本物であれば2000万ゴールドの価値があります。」
 沙悟「ニセモノですか……」
 鑑定人ぬらりひょん「ですが、沙悟浄さん。そう気を落とさないでください。ニセモノといっても、屏風そのものには金箔や高級な和紙が使われている上、この絵を描いたのは後に浮世絵師として世を風靡することになる厳陀羅斎(がんだらさい)なのです。」
 助手サキュ「厳陀羅斎というと、あの文化遺産の蛮岳四九景(ばんがくよんじゅうきゅうけい)を描いたあの!?」
 鑑定人ぬらりひょん「ご明察です。そんな彼なんですが素行は悪く、若い頃は高名な絵師の作品の贋作(がんさく)を売り捌いて回っていたんですね。しかも作者の名義を示す押印も複製するという徹底ぶり。この屏風もその一つです。」
 助手サキュ「それって犯罪じゃないですか!」
 鑑定人ぬらりひょん「肝心の出来栄えはあまりにも本家とはかけ離れており、絵の描き方どころか画材の材質や大きさも違うので本物を一目見れば、素人も1発で見抜けるほど違いがありすぎる…それどころか別物です。しかし、彼のスタイリッシュな作風のおかげでニセモノと分かっていてわざと買う人が居たり、政府も「これはこれでカッコいい」と取り締まらずに見逃していた訳なんですよ。」
 沙悟「良くも悪くもいい加減ですね…当時の方々。」
 鑑定人ぬらりひょん「芸術的価値こそあるのですが、流通量が多い為価値は低めとなっております。」
 沙悟「そうなんですか、解説ありがとうございました。」
 司会バフォ「沙悟さんのお宝の鑑定は以上となります!次の依頼人にいってみましょう!」

 依頼人2人目 リース・グリドン ラタストク(24) 職業:トレジャーハンター兼記者

 司会バフォ「どうもリースさん、貴方のお宝は一体なんでしょうか?」
 リース「ふふふ…見てくださいな…」

 〜本日のお宝No.2 聖剣エクスカリバー〜

 リース「この聖剣エクスカリバーです!」
 助手サキュ「武器の中でも超ビッグネームが飛び出してきちゃいましたね!ですが…その…レジェンドアイテムにしては覇気がないというか…それどころか剣…にしてはなんか軽そうな質感ですね…まるでオモチャみたい…」
 リース「何てこと言うんですかっ!これでも私が命を懸けてトイザラ遺跡から持ち帰ったシロモノなんですよ!本物に決まっています!」
 助手サキュ「すいません!私とした事が…トイザラ遺跡は迷宮として名高いですからね!そんな場所にあるのですからお宝でしょう!ええ!」
 リース「そうですそうです!トレジャーハント歴10年の大ベテランである私を甘く見ないでくださいな!絶対ほんも…」
 司会バフォ「まぁまぁ落ち着いてくださいリースさん!ベテランの貴方が仰るのですから本物だと私は信じていますよ!(め、めんどくせェ〜!)」

 〜本日のお宝No.2ナレーションタイム〜

 ナレーション(種族不明)「司会のバフォさん、お疲れ様です……」
 ナレーション「気を取り直してお宝の開設に移ろう。トイザラ遺跡とは、おおよそ新魔王歴4000年前に作られた遺跡と言われており、その役割は内部の複雑な構造からして王家の宝物庫だと考えられていた。」
 ナレーション「新魔王歴1920年代の遺跡発掘ブームの際には、純金でできた首飾り、魔獣の毛皮で作られたマントなどが出土している。」
 ナレーション「今回のお宝は、聖剣エクスカリバー。伝説の英雄アーサー王が振るったとされる逸品だが、このトイザラ遺跡が存在する地域にはそんな伝承などない為、にわかにこれがエクスカリバーだとは信じがたい。」
 ナレーション「というかそもそも、アーサー王伝説が誕生したのは今から1000年前ほどで、年代的に大きなずれがある。」
 ナレーション「依頼品自体は剣の形をとっているものの、伝承に記されている大きさより小さい上に質感も粗末な印象。」
 ナレーション「果たして、鑑定やいかに?」

 〜本日のお宝No.2鑑定タイム〜

 司会バフォ「えー…それでは鑑定結果がでました。リースさん、ご自身の評価額をお願いします…」
 リース「そんなの決まってますよ!こんな国宝級のお宝、100万ゴールドなんて安すぎます!10倍の1000万ゴールドでお願いします!」
 助手サキュ「………………アホくせぇ(ボソッ)」
 
 ジャラジャラジャラジャラ…………

 ジャキーンッ!

 20,000,000(2000万)ゴールド

 司会バフォ「えっ」
 リース「えっ」
 助手サキュ「えっ」
 スタッフ「えっ」
 観客「えっ」

 スタジオ一同「「「どええええええええええええええええええっ!?」」」

 司会バフォ「なんと!こんなどうみても捨てられたオモチャみたいな剣が2000万ゴールドの価値が付いてしまいました!鑑定人さん!これは一体どういう事でしょうか!」
 鑑定人ファラオ「これはそもそもエクスカリバーではありません。ただのプラスチック製のオモチャです。大変申し訳ないのですが、依頼人のリースさんの目は節穴どころじゃないくらい酷いです。しかし、念のため年代鑑定を行ったところなんと4000年前に作られたモノだと判明しました。」
 助手サキュ「よ、4000年前…金属加工を既にやっていたとはいえ、そんな時代にプラスチックなんて…」
 鑑定人ファラオ「そうなんです。4000年前は金属加工こそ行われていたものの、プラスチックを精製する技術は開発されていないはずです。これは歴史的大発見であり、学術的価値を考慮してこのような価値を付けさせていただきました。」
 リース「嘘…正直どう見てもニセモノだと思って内心諦めていたのに…まさか本物のお宝だったなんて…」
 鑑定人ファラオ「リースさんはとても運が良かったようですね。まさに塞翁が馬ってヤツですよ。」
 リース「あ、ありがとうございます…」

 依頼人3人目 ヨハン・クラウザー 人間(55) 職業:株式会社ゴッデス会長(自称) ミカエル ヴァルキリー(自称)(???) 職業:SP(自称)

 司会バフォ「どうも、どんなもんでも鑑定団で」
 ミカエル「フンッ!(シャキン!)」
 司会バフォ・助手サキュ「ヒィッ!?け、剣!?」
 ミカエル「失礼いたしました。職業柄気が抜けないもので…(スチャ)」
 助手サキュ「恐ろしい殺気だった…ガタガタ」
 司会バフォ「それで、貴方がたのお宝は?ブルブル」
 ヨハン「これですな。」
 台車押しスタッフ「…(ガラガラ)」

 〜本日のお宝No.3 主神の大理石彫刻〜

 助手サキュ「彫刻ですね。ロリロリしいのでエンジェルでしょうか?」
 司会バフォ「エンジェルにしては顔つきと体が幼めですね。」
 ヨハン「何だと?(ギロッ)」
 ミカエル「ハァッ!(ジャキン!)」
 助手サキュ「ひゃあっ!?また気に障る事でも言いましたか!?」
 ミカエル「これはかの偉大なる主神の大理石彫刻です。(スチャ)」
 ヨハン「格の高いお方故、そこらのエンジェルなどと一緒にされては困りますぞ。なにせ海や大地、人間、魔物すら作られたお方ですからな。」
 助手サキュ「し、主神…!」
 司会バフォ「ええっ!?」

 〜本日のお宝No.3 ナレーションタイム〜

 ナレーション「何やら怪しい会社の会長とそのSPを名乗る二人組の依頼人。威厳と胡散臭さを併せ持った彼らのお宝は主神の大理石彫刻。」
 ナレーション「海と大地、人間や魔物すら含むこの世の全てを作った大いなる存在。」
 ナレーション「神の頂点に立つ主神が掲げる思想は禁欲。欲望に忠実である魔物とは相どれぬ存在であり、教団の「魔物は悪である」という思想の元となっている。」
 ナレーション「依頼品を見てみると純白の大理石で作られ、純粋な愛らしさと厳格な鋭利さを醸し出しているこの彫刻はまさに主神の思想…否主神そのものを体現していると言って良いだろう。……なんか今まばたきしたような気がするけど気のせいだよね?」
 ナレーション「彫刻にしては生き生きしすぎてて不気味なんですけど…本当に気のせいだよね?ね?」

 〜本日のお宝No.3鑑定タイム〜

 司会バフォ「それでは、ヨハンさんとミカエルさん!本人評価額をお願いします!」
 ヨハン「ズバリ、10億ゴールドですぞ。」
 ミカエル「これでもまだ謙虚に抑えている方です。神の寛大なお心に感謝するのですね。」
 司会バフォ「そ、そうですか。(チッ、嫌な連中が来やがった!)」
 助手サキュ「それでは鑑定どうぞ!」

 ジャラジャラジャラジャラ…………

 ジャキーンッ!

 10,000,000,000(100億)ゴールド

 司会バフォ「あーーーっと!ひゃ、ひゃ、ひゃ、ひゃ、100億ゴールドです!これは番組史上最高額が出てしまいましたっ!鑑定人さん、解説お願いします!」
 鑑定人ドラゴン「うむむむ…これは…傑作だ…!傑作すぎる!依頼者の方があそこまで仰るだけのことはあります。大理石は加工がしやすいとはいえ、ここまで繊細に表現できるとは!髪、まつ毛、服の質感、さらにはかぼちゃパンツまで…」
 ???「この無礼者!恥を知りなさい!(ズガン!)」
 鑑定人ドラゴン「うわぁっ!?(ヒョイッ)」
 鑑定人ファラオ「何だっ!?」
 鑑定人ぬらりひょん「機械の故障か!?」
 司会バフォ「一体何が起きたのでしょう!どこからか現れた稲妻が鑑定人ドラゴンさんの席を粉砕しました!」
 助手サキュ「えっ!?どうなってるの!?」
 ヨハン「あーっ!困りますわが主!あーっ!」
 ミカエル「せっかくいい所までいったんです!抑えてください!」
 ???「お黙りなさい!ヨハン!ミカエル!こやつは下賤な魔物の分際で私の破廉恥な部分を覗き見たのです!今すぐ消し炭にせねば気が済みません!」 
 鑑定人ドラゴン「ち、彫刻が台から降りた…って!まさか!」
 司会バフォ「ええっ!?本物の主神!?」
 ???「フン、バレてしまえば仕方ありません!冥土の土産に教えてやりましょう!私こそが…万物の創造主!主神なのです!もちろん本物ですよ!」
 ヨハン「あぁぁぁぁ!い、言っちゃいましたぞぉ〜!」
 ミカエル「こんの駄女神…!」
 助手サキュ「ちょ、本物ってマジですかぁぁぁぁ!?」
 ???改め主神「忌々しい魔王との闘いで敗北して、力の99%を失いこんな姿になってしまいましたが貴方達を屠る事くらい容易いのです。それに、私には優秀な部下が二人もついているのですからね。」
 ヨハン「そうですとも!株式会社ゴッデス会長は表の顔!私こそが主神様の左腕!聖デトロイア教国教皇!ヨハン・クラウザー!」
 ミカエル「SPのヴァルキリーとは世を忍ぶ仮の姿!私こそは主神様の右腕!偉大なる神の側近!大天使ミカエル!」
 主神・ヨハン・ミカエル「三人合わせて!ホーリーメシアンズ!」
 ミカエル「卑しい魔物共め!貴様らを下し!今こそ我らの天下を取り返してくれるわ!覚悟!(ゴゴゴゴゴゴ)」
 鑑定人「ぬらりひょん「なんという気迫だ!」
 鑑定人ファラオ「我が国の将軍すら比べ物にならん!」
 鑑定人ドラゴン「我々の様な非戦闘民など一瞬でやられてしまう!」
 司会バフォ「こ、これまでか!」
 助手サキュ「ママ助けて〜!」
 主神「一匹残らず駆逐して…(ピピピピピ)はい、もしもし。主神です。えっ!?シフト!?すみません!今すぐ行きます!」
 ヨハン「我が主?どうなされましたか?」
 主神「お前達!今日は道路工事のバイトです!大急ぎで向かいますよ!」
 ミカエル「しまった!そうでしたね!」
 司会バフォ「は?」
 鑑定人ドラゴン「神様が…」
 助手サキュ「バイト?」
 主神「お前達魔物共との闘いで力を失ってしまった以上、私の様な存在でも働かなければやってられないのです!ああ忌々しい!」
 ミカエル「そうだ!貴様らと戦うのにも安定した軍資金がいるのだ!クソッ!あの鎧は給料10ヵ月分なのに!アッサリ壊しやがって!」
 ヨハン「我が主!ミカエル様!急がないと監督にシバかれてしまいますぞ!」
 ミカエル「そうだな!早く行かねば!親方のゲンコツはヤバい!」
 主神「そうですね!これ以上油を売るヒマはないのです!ここは一旦手を引いてあげましょう!さらばです!(バッ)」
 ミカエル「命拾いしたな魔物共!(バッ)」
 ヨハン「次こそは必ず!お前たちを打ち倒してやろう!(バッ)」
 助手サキュ「ふぅ…行ってしまいましたね…」
 司会バフォ「そうですねぇ…気を取り直して、次は本日最後の依頼人です!どうぞ!」

 依頼人4人目 ハイブリッジ・メイジン 魔女(12)職業:サバト構成員 プラムフィールド・メイジン 魔女(11)職業:サバト構成員

 助手サキュ「司会バフォさんのサバトのメイジン姉妹じゃないですか!一体なぜここに!?」
 司会バフォ「よっぽど見せたいお宝があるらしくて…ここ数日私に何度も電話してきたんですよ。その熱意を買って出場させる事にしました。」
 ハイブリッジ「(ドヤァ)」
 プラムフィールド「(ドヤァ)」
 司会バフォ「それでは本題に入ります。お二人とも、貴方たちのお宝はなんでしょうか?」
 プラムフィールド「これです!」

 〜本日のお宝No.4 魔王様の黄金像〜

 司会バフォ「これは、サキュバスの黄金像?」
 ハイブリッジ「はい!ただのサキュバスじゃないんですよ!」
 プラムフィールド「サキュバスの中のサキュバスである魔王様の像ですから!」
 助手サキュ「魔王様ですか!」
 司会バフォ「確かに魔王様を象った美術品は多いですね。しかし…黄金像は技術・素材共に至高のモノが要求される訳ですから価値はかなりのモノですよ。」
 プラムフィールド「そうですよバフォ様!そんなお宝を私達が持っているんですから!」
 ハイブリッジ「へへん!何せ私とプラムが頑張ってつ…次から次へと探し回ってやっと見つけたんだよ!」
 司会バフォ「…ん?いや、気のせいか。ハイブリッジ。ここはサバトじゃないから私の事は司会バフォさんと呼びなさい。」
 ハイブリッジ「すいませーん!司会バフォさん!てつや…ザニーズのテツヤくんと将来結婚したいなーって考えててウキウキしちゃってました!」
 司会バフォ「(何か…引っかかるな)」

 〜本日のお宝No.4 ナレーションタイム〜

 ナレーション「魔王様。殺伐とした血なまぐさい世の中を、淫乱でエロス溢れる平和に世界に作り替えた偉大なる人物である。」
 ナレーション「名を知らぬ者が居ない大英雄は、世界各国で称えられており時には崇拝の対象となることもある。」
 ナレーション「そんな魔王様の業績に対する敬意を込めて作られた芸術品も数多く存在している。」
 ナレーション「今回の依頼品である黄金像は高い加工技術と純度の高い良質な金が要るシロモノだ。」
 ナレーション「ありったけの技術と高級素材を注ぎ込む事で敬意をアピールしている黄金像はとりわけ価値が高いが…果たして結果やいかに。」

 〜本日のお宝No.4鑑定タイム〜

 司会バフォ「依頼人、ご自身の評価額をお願いします!」
 プラムフィールド「1000万ゴールドです!凄いものなんだからそれくらいして当然ですよ!」
 ハイブリッジ「そうです!がくひ…がくひゃ、学者さんだってそう言ってました!」
 助手サキュ「(…やはり怪しいですね。)」
 司会バフォ「(像の堀りも拙く、所々黒くハゲている部分があったが、まさか…)」

 ジャラジャラジャラジャラ…………

 ジャキーンッ!

 0ゴールド

 プラムフィールド「…………ッ!」
 ハイブリッジ「ふぇぇぇぇぇ!?」

 司会バフォ「……なんと、0ゴールドです。鑑定人さん、解説お願いします。」
 鑑定人ドラゴン「なんだこれは!我々を舐めているのか!これはまごうとなきニセモノ…いやニセモノですらない!ゴミだ!ただの木クズに絵の具を塗っただけではないか!」
 プラムフィールド「………………。」
 ハイブリッジ「………………。」
 鑑定人ドラゴン「それに像の彫り方も汚すぎる!心が籠っておらん!この像を売りさばいて金を手に入れてやろうという魂胆が見え見えだ!」
 プラムフィールド「…………。」
 ハイブリッジ「………………ぐすっ」
 助手サキュ「あわわわわ!ド、ド、ド、ドラゴンさん!」
 司会バフォ「………………。」
 鑑定人ファラオ「落ち着いてください!鑑定人ドラゴンさん!」
 鑑定人ぬらりひょん「そうです!いくらなんでもそんな言い方は…」
 鑑定人ドラゴン「黙れ!私はどうしてもこの怒りが収まらん!このふざけたゴミを作ったのは一体どこの馬鹿だ!出て来い!焼き尽くしてやる!」

 ハイブリッジ「ひっぐ…私です……。」
 プラムフィールド「私もです…。」

 鑑定人ドラゴン「なっ!?」
 鑑定人ファラオ「えっ!?」
 鑑定人ぬらりひょん「なんと…!」
 助手サキュ「嘘…」
 司会バフォ「やはり…」
 ハイブリッジ「はい…鑑定人ドラゴンさんの言う通り、お金が欲しいと思って作ったのは本当です。だけど、それはお小遣い欲しさにやったんじゃなくて…お兄ちゃんの為にやったんです!」
 プラムフィールド「お兄ちゃんは、いっつも私達の面倒を見てくれる優しい人で…絵のお勉強をする学校に行くために遅くまで働いていて…」
 ハイブリッジ「すっごく忙しいのに私達のお世話までしてくれているんです…もう疲れているというのに…」
 プラムフィールド「だからそんなお兄ちゃんに恩返ししてあげようと思って…このニセモノの像を売ってお兄ちゃんが学校に入るのに必要なお金…1000万ゴールドを稼ごうとしました。」
 ハイブリッジ「あの像も私とプラムが夜も寝ずに彫りました。でも…人を騙してお金を稼ぐのは悪い事ですよね。ごめんなさい。ドラゴンさん、バフォ様、スタジオの皆様。」
 プラムフィールド「ドラゴンさん、お望み通り私達を焼き尽くしてください。」
 ハイブリッジ「私達は悪い事をしてしまったんです。それくらいされて当たり前です。」
 鑑定人ドラゴン「……………。」
 助手サキュ「…司会バフォさん。」
 司会バフォ「………オープンザ、プライス。」

 ジャラジャラジャラジャラ…………

 ジャキーンッ!

 10,000,000(1000万)ゴールド

 ハイブリッジ「ふぇ?」
 プラムフィールド「えっ」
 司会バフォ「おっと、先程から一変して1000万ゴールドの価値が出ました。。…鑑定人さん。これは一体どういう事しょうか?」
 鑑定人ドラゴン「先程は大変失礼しました。ハイブリッジさん、プラムフィールドさん。この像はホンモノです。ただし芸術品としてではなく、貴方達の気持ちが込められたモノとしてです。」
 助手サキュ「司会バフォさん…鑑定人ドラゴンさん…」
 鑑定人ドラゴン「人を騙すのは確かにいけない事です。しかし、それは己の私利私欲の為ではなくお兄様の為を思っての行動…人を愛する魔物娘の心得を実践したまで。それを咎める理由などありますでしょうか。」
 ハイブリッジ「ドラゴンさん…」
 鑑定人ドラゴン「馬鹿は私なのです。像がニセモノであるという所だけを見て、怒りに我を忘れ貴方達の真意も見ることができなかった。本当に、申し訳ございません。この像は鑑定結果で出た価値で買い取らせて頂きます。」
 プラムフィールド「いえ、そんな…」
 鑑定人ファラオ「私の方からも、DAL(魔王航空便)のフリーパスポートを寄付させて頂きます。お兄様には世界の様々な国を回り芸術センスを養って頂きたいからです。」
 鑑定人ぬらりひょん「私からは、自分の息がかかっている美術館や博物館にお兄様が無料で入れるように手配しておきます。私の所蔵する品がお兄様のインスピレーションを生み出す力になれるのであれば本望です。」
 ハイブリッジ「皆様…」
 助手サキュ「えー、ここで番組にスペシャルゲストが到着したようです!どうぞ!」

 キヨ・メイジン インキュバス(20)職業:アルバイト掛け持ち

 キヨ「ハイ、プラム!探したんだぞ!」
 ハイブリッジ・プラムフィールド「「お兄ちゃん!ガバッ」」
 キヨ「良かった、お前たちが無事で。番組を見て驚いたよ。まさかお前たちがあんなことを考えていたなんて…苦労をかけたな…皆様、うちのがご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。」
 鑑定人ドラゴン「良いんですよ、お兄様。私はそのおかげで良いものを見られたのですから。」
 キヨ「本当にすみません。俺とこいつらのなんかの為にここまでして頂いて…」
 鑑定人ファラオ「気にしないでください。」
 鑑定人ぬらりひょん「未来ある若者を全力で助けるのは大人の役目ですから。無理をなさらず頑張ってください。」
 鑑定人ドラゴン「そうして頂ければ私ども…そしてなにより妹さん方が喜びます。」
 キヨ「皆様…本当に…ありがとうございます!」
 ハイブリッジ「ありがとう…グスン」
 プラムフィールド「良かった…ヒック」 

 司会バフォ「さぁこれにて、今日の激運!どんなもんでも鑑定団の営業は終了となります!」
 助手サキュ「来週もまたお楽しみに!それでは皆様!さようなら〜!」

 
 
 
 
20/09/23 19:31更新 / 消毒マンドリル

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