読切小説
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バフォキリーの奇行
「してないよりしてた方が素敵やん?」

『そもそもやたらちっさくない?』

「知っとる?大型化させるより小型化させる方が難しいんじゃよ」

『羽ないし』

「羽よりマントのほうがかっこよくない?」

『角生えてるし』

「天界と通信しやすいようにアンテナを刺しておるんじゃよ」

『アンテナの先端が地底向いてるぞ』

「実るほどこうべを垂れる稲穂かな。つまり儂の謙虚さの表れということじゃな」

『自分で言ってりゃ世話ないな』

「うっせーばーか!!」

『お前絶対ヴァルキリーじゃねえだろ!』

「どこからどうみてもヴァルキリーじゃろ」

『ヴァルキリーとの共通点探す方が難しいわ』

「ま、たしかに儂はキレイ系よりもかわゆい系じゃしな、あんまりないかも」

『かろうじて上げるとすれば、呼吸しているところかな』

「儂くらいになると別に呼吸しなくても何ともないのじゃ」ドヤッ

『じゃ、共通点皆無ということで』

「おぬしも呼吸、必要なさそうじゃね」

『突然だけど、自分の性格を表すなら?』

「強気でガンガン行くタイプじゃな!」

『好きな食べ物は?』

「なんでも食べるけど、一番は肉!」

『主な生息地は?』

「魔界!


 …あ」

『帰れ、魔界に』

「誘導尋問とかずるいのじゃ!」

『普通に図鑑見て調べただけだろうが』

「いかんのう、本に載ってることばかり鵜呑みにしちゃ
 実はヴァルキリー見たことないんじゃろ?儂のは単なる個体差なのじゃ!」

『いや、ヴァルキリーには何人かあったことある』

「やべっ」

『もっと前からやばかったから安心しろ』

「バレてしまっては仕方ないのう…

 儂はヴァルキリーではなく

   バフォキリーなのじゃ!」

『諦めが悪すぎる』

「ま、そういうわけで今後ともよろしく…」

『するわけねえだろ』

「パワーが欲しくはないか…

 すべてを圧倒する力を…」

『それどう考えても悪役のセリフだよな』

「悪に悪いことをするのが正義じゃからノープロブレムじゃな」

『それ悪い奴がよく言う正義だからな』

「だって儂、魔物じゃしね、どっちかというと悪寄りじゃし」

『お前本当にどうしたいの?ごまかしたいの?開き直りたいの?バカなの?死ぬの?』

「そんなにキレんでもいいじゃろ。勇者には優しさが大事なのじゃ」

『目の前に魔物がいるのに即斬らないだけ優しいだろ』

「それ代替わり前の魔物がよく言う優しさなんじゃけども、おぬし実はハーフか?」

『マジお前の胴体ハーフにするわ…』

「お、やる?やっちゃいます?
 物事を暴力で解決することに関してはプロフェッショナルじゃけど、儂」

『説得力ありすぎる…』

「今は暴れる機会なんてほぼないから安心するが良い、
 まあそれが原因で今こうしてここにいるわけじゃけど…」

『そうだ、いい加減なんでここにいるのか説明しろよ』

「おぬし、光源氏って知っとる?」

『もうお前が何するかわかったから帰れ』

「そう言うなよ〜もう儂に勝てそうな勇者とか野生でいないんじゃよ〜」

『擦り寄ってくるなよ』

「催眠や種付けおじさんを信じていた頃もあったけど、
 いつまでも夢見る乙女じゃいられないのじゃ」

『もう女騎士にでもなって捕まって来いよ』

「それやってみたんだけど、島一つ滅んじゃった…」

『なんで?』

「おぬしだって悪い話じゃないじゃろ?
 他の勇者はおろかリリムやドラゴンだって余裕で勝てるようにしてあげるのじゃ」

『それは盛りすぎじゃね?』

「嘘だと思ったら2週間だけでもお試しください!」

『2週間でいいのか?言っておくが俺は解約とか期限内に済ませられるタイプだからな』

「よいのじゃ、よいのじゃ、

 さ、この1コースと5コース10コースの中から選ぶのじゃ」

『なんだ1とか5って?』

「だいたいどれくらい強くなるかの目安みたいなもんじゃな」

『あぁ、兵士1人分 5人分 10人分ってことか』

「違う違う


 国 」

『信じられると思う?』

「じゃあ、今から近場の何個か堕とす?」

『人類滅亡の引き金を引いてしまいそうだからやめとく』

「儂としても、自分より強いお兄ちゃんを求める同胞のために、
 勇者が生まれる可能性のある教団圏は潰したくないのじゃ」

『魔界のほうが強い奴が生まれそうな気がするけどな』

「生まれたとしてもどうせメスなのじゃ



……いやまて、今の人間を全て魔物に変えてしまえば男の魔物も産まれるようになるとか聞いたことがあるのじゃ、それならいっそ…」

『これ以上掘り下げると取り返しのつかないことになりそうだから、本筋に戻ろうぜ』

「そうじゃな、で、どのコースにするんじゃ?」

『コースごとに何をするのか聞いときたい』

「1コースは1日みっちり鍛えるのじゃ
 5コースは5日むっちり鍛えて
 10コースは10日もっちり鍛えるのじゃ」

『何をすれば一日で国崩し出来るまで成長するんだよ…』

「儂が配合した栄養剤を飲んで、儂が発明した(がくしゅうそうち)を頭に着けてくれればいいのじゃ
 その後は儂が動き回るのを見ててくれれば良い感じに成長するんで」

『最終的に勇者を6人集めて別の勇者6人と戦わせるとかしそう』

「どっちかというと勇者4人に強大儂を倒してもらいたいくらいじゃな」

『だけど、お前を見て強くなったとしても、結局お前と同じくらい強くなるだけでは?』

「儂と五分五分だったら何度か死合えばおぬしが勝つじゃろ」

『物騒な変換されてるけど大丈夫だろうな…』

「大丈夫じゃ、今日だけで余裕で死ねない体になるのじゃ」

『さすがに人間卒業する勇気はないんだけど』

「勇者になってる時点で人間卒業させられてるようなもんじゃろ」

『それ言われると弱いな…』

「全てを超えるパワーを手に入れるのじゃ…」

『でもさ、今の世の中そんなに強くなってどうするんだ?
 現にお前は力を持て余してこのザマだろ』

「勇者なら話は別じゃろ、リリム捕まえまくってリリム牧場でも開けばいいのじゃ」

『カスの極みすぎる…』

「それか普通の勇者みたいにそこらへんに転がる悪を成敗していけばいいのじゃよ

 丹念に醸造された悲劇を問答無用でねじ伏せる快感は今も昔も変わらんのじゃ!」

『良いこと言ってる風だけど、滲み出る邪悪臭』

「ならば逆転の発想、
 おぬしが強くなって儂を止められるようになれば万事解決なのじゃ!」

『理屈としては分からなくもないけど…』

「暴力をもってすればどんな屁理屈も通せんだよ!!」

『またゲスいこと言ってる…』

「ま、どうするかは一杯飲んでから考えればいいのじゃ」

『これがさっき言ってた栄養剤か…

 …黒色というか光が完全に吸収されてるような色してるんだけど」

「あらゆるものから抽出と濃縮を繰り返した結果、この色になったのじゃ」

『逆センチュリースープかよ…味はどうなんだ?』

「……逆センチュリースープじゃな」

『ご遠慮します』

「そういうと思っておぬしの味覚と嗅覚を一時的に破壊しておいたのじゃ!」

『お前の良心と常識は誰に破壊されたの?』

「じゃあ、上からじゃなくて下からにする?そっちの方が吸収率もいいんじゃけど」

『大人しく上の口から飲ませていただきますね、はい』

「飲んだ瞬間からビンビンになるぞい」

『う、体中からLEVEL UP の文字が噴出してるんだが』

「強くなってるのを分かりやすく可視化しました!」

『凄まじい力だ…今ならリンゴも片手で握りつぶせそうだ』

「もっとすごそうなの握りつぶしてくんない?」

『しかし、他人のおかげで力を得てもどこか空虚な気持ちになるな』

「まだそこスタートラインじゃからね?その程度で悟られても困るのじゃ」

『薬飲んだだけだしな』

「ここからはバフォキリーたる儂が育ててやるのじゃ」

『まだその設定引きずってたのか…』

「さっそく修行場所のバフォ魔殿に案内するのじゃ」

『お前、自分の種族名好きだよな』

「最後のアイデンティティだから大事にしたいんじゃよね、
 永く生きすぎて自分の名前も忘れちゃったし」

『急に重い設定を語るんじゃない』

「バフォ魔殿は時は止まってないけど、
 他の世界を巻き込んで壊れないように頑丈にできてるのじゃ」

『ドラゴ〇ボールでも聞いたことないフレーズ出すな』

「この2週間でどこまで儂に近づけるか楽しみじゃな!」

『マジでこいつほっといたら何するかわからんし、
 俺がどうにかするしかねえ…』

「いやぁ、儂にもようやっとお兄ちゃんが出来るのじゃ!」

『………』

「どうしたんじゃ?」




















『強くなるだけだったら魔女になった方が手っ取り早いな…』


「やめろぉ!!!!」
20/06/28 17:04更新 / ヤルダケヤル

■作者メッセージ
最後まで読んでいただきありがとうございます。

隠しボスがそのまま魔物娘になったらこうなるんじゃないかなぁというアレ。
歴戦のバフォ様ならいくら強くしても良さそうな気がしました(妄言

今回は読みやすさの改善ということで教えてもらった『』と「」で分けてみました。

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