愛をとりもどせ！！
穏やかだったり、ものぐさだったり、嗜虐的だったりと、一口に魔物娘といってもその気性には多くのバリエーションが存在する。
だが、その中でも海を主な生息地とする者たちは、一部の例外を除けば総じて気立てが良く、優しく、人間たちに細やかな愛情を注いでくれる。彼女らは、日々の生活に疲れた人々を癒す、まるで慈母のような娘たちである。
結果、領地が海に接している国はそれら、女性の鑑のような者たちとの交流が増え、住人達が魔物たちに悪感情を抱くことは全く無い親魔物国家となるというケースが非常に多い。
そんな、魔物を積極的に受け入れている国の一つ。とある波止場で、サハギンとメロウが向かい合っていた。
堤防に腰かけたサハギンは、海から上半身だけ外に出したメロウを物憂げに見つめている。が、見られているメロウの方はというと、瞳の中の好奇心と興奮を隠し切れていない。
それもそのはず。メアリという名のそのメロウは、今日、ツィツィという名の旧知のサハギンから恋の相談を持ちかけられていたのだ。
「さあ、ツィツィ。そんな悲しそうな顔していないで、ひとつお姉さんに悩みを話してみなさい。」
「……うん」
聞き役のメロウはその種族性ゆえの野次馬根性が全開だったが、当のツィツィはそれを厭うわけでもなく、淡々と彼女の置かれた状況を語りだした。
彼女の訴えをまとめると、こうである。
昨年、ツィツィはジードという名の男と結婚した。
お互いに想い合い、何度も逢瀬を重ねて結ばれた彼女らは、とても幸せな新婚生活を送ってきていた。
が、ここ一月ほど、ジードの帰宅が目に見えて遅くなってきたというのだ。
それだけならまだしも、夜中遅くに帰ってきて、「疲れている」という理由で、寝ないでずっと旦那さまを待っていたツィツィを抱いてあげることもなく、一人でさっさと寝入ってしまうのだとか。
これと決めた夫の愛なしには生きていけないのが魔物娘である。伴侶たるジードにもそのことは十分理解できている筈なのに、この冷たい仕打ちは一体どういうことなのか。
まさか、自分の他に女でもできたのでは。魚人ゆえ無口で無表情な自分に愛想が尽きて、どこかで別の女と楽しくやっているのではないか。
ツィツィはもう今夜にでもジードに離婚を切り出されるのではないかと、怯えきっているのだった。
「ふーむ。浮気、ねえ」
話を聞き終えたメアリは、腕組みをして思案した。
未だ独身ではあるが、いや独身であるからこそ、彼女の脳内には数々の魔物夫婦から聞き取った膨大な量の(いろいろな意味での)恋や愛の物語が収められているのだが、その中に
「夫が魔物に飽きて捨てた」
だとか、
「魔物を娶った男が一年立たずに心変わりした」
なんて、悲しくも惨い破局のストーリーは一つとして含まれていないのだ。
メアリとしては、魔物が人間の男を魂の底から求め欲するのと同じように、男の方も自分の人生を共にする相手として、無意識的かつ本能的に魔物娘を必要としているのではないかと思っていた。
魔物娘がこの世を一人で生きることを辛く、寂しく感じるのと同じように、人間の男もまた生きていくために、絶対に自分を裏切らない、一生を賭けて愛し愛されるための存在を必要としているのではないかと、そう考えていたのだ。
しかしツィツィの話は、これがもし人間同士の夫婦ならば「奥さんそれは浮気だよ」と即断したくなるほど典型的なものである。
黒く艶やかな髪や、くりくりして可愛い瞳や、水に濡れて怪しく光る紺の皮膜など、男にとってみればツィツィはまさしく極上、これ以上無いほど魅力的な女だと思うのだが、それを放って毎晩遅いご帰宅とは、一体どういうわけなのだろう。
むむむーと唸っているメアリを、若妻サハギンは悲しげに見下ろす。ぽつり、と、抑揚の無い声で彼女は呟いた。
「ジードに振られたら、私、どうして生きていったらいいのかな」
感情の発露に乏しい魚人種にして、まるでそれは魂から悲哀を絞り出すような切実な訴えだった。
孤独を厭い、愛する人とともに居たいという全魔物娘共通の願い。それを放っておくことは、海のラヴストーリーコレクターことメロウのソウルが許さない。彼女の集めた大切なコイバナライブラリーに、こんな悲しいお話を加えるわけにはいかない。
憤然として、メアリは顔を上げた。その瞳に、先ほどまでの傍観者的なスタンスは映っていない。それは苦しむ友を助ける、崇高な決意に満ち溢れていた。
「諦めちゃダメ！ 心が離れたっていうのなら、取り戻すまでよ！」
「……取り戻す？」
「そうよ！ ツィツィ、私たち魔物娘の武器は何？ この、カラダでしょうが！」
「……でも、いくら誘っても、ジードは乗ってきてくれないし……」
「だからって、彼を忘れられるの？ これから一人で生きていけるの？ 無理でしょうが。
大丈夫。お姉さんに考えがあるわ。ちょっと付き合いなさい」
「付き合う？ ……どこへ？」
「ステゴロで駄目なら、武器を使え。これは喧嘩の大原則よ」
堤防に沿って泳いでいくメアリを、ツィツィはぺたぺたと弱々しい足取りで追いかけた。
その日の深夜。仕事を終えたジードは、毎晩の遅い帰宅を内心で妻に詫びながら家の扉を開いた。
物音を聞きつけて、すぐに妻のツィツィが出迎えに来てくれる。その表情はいつもながらに静かなものだが、夫たる彼には何か形容しがたい、緊張感のようなものが感じ取れた。
「おかえりなさい。
……ねえ、ジード。お風呂、入っているよ」
「そうか、ありがとう。じゃあ、軽く済ませちまうかな」
連日の労働で疲弊した体を癒そうと、彼は風呂場へ向かう。が、なぜかその後ろにツィツィがついてくる。まさかまだ風呂に入っていなかったのだろうかと、ジードはちょっと訝しんだ。
「なあ、別に風呂くらい一人で入れるんだが」
「いいから。いいから」
いつになく強引な彼女によって、彼は瞬く間に衣服を剥がれ、全裸にされてしまった。かぎ爪と水かきのついた、両生類のそれに近い両手でも、魔物娘である以上男の服を脱がせるに支障など無い。
生まれたままの姿となったジードを、ツィツィは風呂場へ押し込む。浴室に入った彼は、洗い場に見慣れない物体を見つけた。
形は長方形、色は銀色。いわゆるマットである。
器械体操に使われるような硬い布製のものではなく、空気を入れて膨らませるタイプのもの。それがいわゆるソープランドで性的なサービスに用いられる類のものであることは、ツィツィ以外の女を知らない彼にも理解できた。
「おい、なんだよこれ」
「いいから。この上に寝て」
小柄な体からは想像もできないほど強い力で、ツィツィはジードをそのマットの上に押し倒す。俗にいう疲れマラというやつで、早くも硬くなってしまっている彼の肉棒を見ると、ツィツィは薄く笑ってジードの右フトモモの上に腰かけた。
「今日は私が、サービスする。もう私以外、考えられないようにする」
「おい、ちょっと待てっ」
制止する声も無視して、ツィツィは右脚を伸ばし、フトモモとふくらはぎの間で旦那様の肉槍を挟み込んだ。
洗面器を手繰り寄せ、その中に予め用意していたらしき粘り気の強い液体を、だらーっとジードの股間に浴びせかける。膝関節を数回開閉して、捉えた男性器と脚の間にローションを馴染ませる。程よい肉づきの脚にきゅっと挟まれてしまうと、もう彼は抵抗できなくなった。
「……やっぱり、気持ち、いいんだ。じゃ、もっとしてあげる」
やはり表情は崩さないまま、しかしどこか嬉しげに、ツィツィは膝裏コキを始めた。
また少しローションを継ぎ足し、竿が乾いてしまわないようにヌルヌルの脚で優しく、しかも激しく責めてくれる。しばらく射精していなかったせいで早くも我慢汁を漏らす彼を見て、若妻サハギンは僅かに口角を釣り上げた。
「ちょ、なんで、こんな……」
「渡さない。ジードは、私のもの。どこの誰にも、渡さないんだから」
無表情でじっと見つめられると、もうジードは何も言えなくなってしまった。フトモモの上、薄い被膜一枚隔てて先で愛妻のおまんこがだらだらと淫らな涎を流していることにも気付かず、娼婦のように猥らな突然の奉仕で翻弄されるばかりだ。
おっぱいほどには柔らかくなく、口ほど自由に操れるわけでもなく、女性器ほど搾精に特化しているわけでもない単なる膝裏はしかし、暴力的な快感でジードの心をツィツィ一色に塗りつぶす。
本場の店でも使用されているという特に粘度の高い潤滑液のおかげで、膝関節の裏、肉づきが薄くなっており骨の感触が強く当たるような箇所さえ、甘い愛撫と背徳的な快楽をもたらす。
ツィツィが一度脚を開き、またすぐに閉じると、男性器の根元から先端に向かって、まるで中身を絞り出すかのようにぷにぷにした脚のお肉が圧迫していく。そして最も敏感な先端には、大腿の腱が強く摩擦し、ローションをまとってカリ首を擦りたてる。
ふわふわと浮遊感すら感じさせるソフトなマットの上で施される異次元の快楽に、ジードは現実感すら失いそうだった。
と、足元の方からくちゅっといういやらしい水音が鳴った。今、自分の股間でぬちゃぬちゃいっているローションの音とは少し違う、聞き慣れた音。ジードの上に乗っているツィツィが、微かに頬を染めていた。
「お前、まさか」
「……いまは、こっちに集中して」
自分の妻は、なんと膝の裏に夫の醜い男性器を抱きしめて、股を濡らしているのだ。娼婦のように夫に奉仕しながら、自分も快楽を感じているのだ。それほどまでに淫乱な妻を自分は娶ってしまったのだ。
そう考えてしまうと、ジードの性感は一気に高まった。照れ隠しなのか、一層速度を増したツィツィの膝コキの激しさもあって、瞬く間に射精感が頂点に達する。思わず呻くと、その呼吸に合わせて淫乱サハギンが脚に力を入れ、ローション塗れのおみあしで怒張の全体を強く抱きしめてくれた。
「もう、ツィツィ……！」
「出して。精液、ちょうだい」
普段の無感情なそれではなく、興奮の余り言葉がうまく発せないといった風の、熱気に満ちた愛の言葉。小柄な、未成熟な感じもまだまだ残る身体で頑張ってご奉仕してくれる愛しい妻にそう囁かれては、耐えられる男などいない。
ぎゅぅぅっ、と膝で挟まれて、ジードは射精した。
ため込んだザーメンは普段に無い勢いで飛び出し、上に跨っていたツィツィの体に降りかかる。紺色の皮膜、僅かに膨らんだ胸元や、腹の辺りに空いた隙間など、男のフェティシズムをくすぐってやまない魅惑のパーツを残らず濃厚なザーメンで真っ白く汚されながら、新妻はただじっと夫の絶頂を見ていた。
「……はあ、はあ……な、なんでいきなりこんなこと……どこで、こんなの……」
「だって」
言いかけて、ツィツィは上体をジードの方へ倒す。腰を膝で跨いで、ちょうど男が女を押し倒すような姿勢になって、端正な顔を近づけてくる。
「だって、私はジードがいないと生きていけないもの。別れたく、ないんだもの。
だから、こうして気持ち良くして……」
「別れる！？
……ああ、いや、ツィツィ。ここしばらく相手をしてやれなかったのは悪かったけど、別に浮気とか、そういうんじゃないからな。俺には、今までもこれからもずっとお前だけだよ」
「……ほんと？」
「本当だって。お前より可愛い女なんて、この世にいないよ」
「……うそじゃない？ りこん、しない？」
「嘘じゃないし離婚もしない。もう俺は、ツィツィ以外に欲情できないんだ」
必死の説得を、少しの間彼女は黙って聞いていた。と、マットの上で仰向けに寝転んだままの彼に、ツィツィが勢いを付けて思いきり、むぎゅーと抱きついてきた。
「うれしい、うれしい。
ありがと、ジード。私もあなたが、だいすき」
会話の苦手なサハギンが必死の思いで絞り出す愛の言葉に、ジードは心打たれていた。また同時に、こんなに良い妻を寂しがらせるとは、俺はなんて罪深いことをしたのだろうとも。
「ごめんな。ちょっと、事情があったんだよ。でももう大丈夫だから。明日は、休みを取ったから」
「ほんと！？」
「ああ。だから、いっぱいしような。ツィツィも、もう我慢できないんだろ」
発情を悟られていた幼な妻は、さすがに少し恥ずかしそうな表情を見せたが、しかし否定はしない。硬くなったままの男性器を久しぶりに膣内へ迎え入れるべく、股の薄布をずらし、腰を持ち上げた。
「……じゃあこれで、仲直り？」
「そうだな。たくさん中に出してあげるよ。おいで」
そうジードが言うや否や、発情サハギンは一気に腰を降ろした。
脚で遊んでいた時から濡れっぱなしだったのだろう、いつも以上に潤った膣は飢えた獣のように剛直を飲み込んでいく。
さっき使ったローションがまだこびり付いているということもあり、非常に滑りの良くなった肉棒をずぶずぶと体重をかけて胎内へ導いていく。少女の矮躯が、その繊細さに不釣り合いな男性器を容易く呑み込んでいく様は、どこまでもジードを奮い立たせるのだった。
「あう、入っ、たぁ……」
「きつくって、気持ちいいよ。ツィツィっ」
「じゃ、じゃあ、動く、ね」
挿入の快楽に表情を蕩けさせながらも、サハギンは腰を使い始めた。
マットの弾力を利用した上下動は、普段ベッドの上でするよりも素早く、また緩急に富んでいる。不規則かつ不断な粘膜同士の摩擦は、淫乱な妻を忘我へ押し上げていく。
「これ、これ、いい……！ すき、すきぃ、じーど、あいしてる……！ おちんち、きもちいっ……！」
「俺も、いいぞ……！ またすぐに、出そうだっ」
「だ、出してっ、しきゅうに、なかだしして、あかちゃん、はらませてっ！」
いつも魚のように生気がなく、何を言っても変化に乏しいツィツィの表情が、こうしてエッチする時だけはどんな女よりも猥らに崩れ、日常生活では絶対に言わないような淫語を恥ずかしげもなく叫んでくれる。
彼女がここまで乱れる様を見ることができるのは、夫である自分だけなのだと考えるたび、ジードは妻への愛しさで胸がいっぱいになるのだ。
このまま騎乗位でするのも良いが、もっとこの可愛い女の子を気持ちよくさせたい
と、そう思った彼の視界の端に、桃色の洗面器が映った。
最初膝でしたときに使ったローションが貯めてあったものである。見た所、まだかなりの量の粘液が残っているようだったので、ジードはそれを手に取り、余った潤滑液を全部自分の胸に垂らした。
「よっ……と、こういうのはどうだ」
「！？」
ピストン運動に夢中になっていた妻へ手を伸ばし、仰向けになった自分の方へその身体を優しく抱き寄せる。控えめなおっぱいが彼の胸板の上でむにぃと変形し、紺の鱗をローションに塗れさせると、腕の中の淫乱妻がひっと息を飲んだ。
「だ、だめ、おっぱ……！」
「気持ちいいだろ。このまま、ぎゅーってしててやるよ」
魔物娘にしては小振りながら他の誰よりも敏感で、鱗越しにちょっと揉まれるだけですぐに発情してしまういやらしい乳に、ヌルヌルの液体をまぶしたらどうなるか。腕の中で荒い息をつき頬を紅潮させ、欲情を隠そうともしないツィツィを見ていれば、容易く分かることだった。
サハギンの矮躯を、ジードは殊更に強く抱きしめる。内心でここしばらくの不義を詫びつつ、もう離さない、という熱い気持ちを込めてハグしていると、愛と欲に満たされ切った若妻は涙すら流し、子作りの快楽に耽る。
「きもち、いい……！ もっと、ぎゅって、して……！ はなしちゃ、やぁ……！」
「本当にお前はエロくて可愛いなあ。愛してるよ」
「……！！」
抱き竦められた上半身を激しく動かし、夫の上半身でローションまみれのおっぱいを刺激しながら、淫乱魚人は一層激しく腰を振り立てる。胸と股間、二箇所同時にこの上ない快感を与えられ、飢えたサハギンの肉体は狂ったようにうねる。
空気で膨らんだマットは、幼な妻の両膝を支えながらも反発し、上半身と下半身で同時に起こる不規則な運動を支える。冷たく硬いタイルに背中を触れさせなくて良いジードにとっても、その上にまたがって愛を貪るツィツィにとっても、非常に役に立っていた。
胸を旦那様に密着させ、お尻を浅ましく持ち上げては乱暴に振り下ろす、魔物娘の本能全開な変則騎乗位は、かつて無いほどに仲良し夫婦を燃え上がらせる。
手のひらサイズの乳房を皮膜越しに激しくヌメる肌へと擦りつけ、固く勃起した乳首を心臓の真上できゅっと押しつぶされると、あまりの気持ちよさにジードはまた両手に力を込め、熱烈なハグをしてしまう。
愛する人との肌の触れ合い以上に魔物を興奮させるものはなく、数週間ぶりに男を味わう肉壷はその衝動で滾り、ローションよりも熱い淫水を止めどなく垂れ流す。
見た目通り狭くてキツイ、その上たっぷりの愛液が奥から絶え間なく流れ出る、そんな間生の膣に扱き上げられては、インキュバスといえども長くは耐えられない。抱きしめる手を緩めないまま、ジードはツィツィの耳元で言った。
「なあ、もう……！」
「いいよ。だ、だして、せーし、ナカに……！」
ぱっつん前髪の向こう、普段は静かな水面のように静かな二つの瞳が、今だけは欲情に燃え盛っている。胎の中に精子をぶちまけて欲しくて、狂っている。それだけで、魔物娘の旦那は辛抱たまらなくなるのだ。
「出すぞ、ツィツィっ」
「う……！ は、やく、……！ ほし……！」
快感の余り会話もできなくなった色狂いサハギンは、絶頂の予感に腰を早める。自分のものにぴったりフィットしてきゅうきゅう締まる極上の淫膣は、一瞬で男を屈服させた。
耐えようと思う間もなく、ジードは射精させられた。絶頂してから一瞬後に、初めて自分がいったことに気づく、そんな激しすぎる搾精は、一度や二度の脈動では出しきれないほど大量の精液を絞り出す。
小さな膣道に旦那様のものを一杯に咥え込み、緩みなど一切無いようなぎちぎちおまんこに、大量の白濁は到底収まりきらず、子宮口の真下で放たれた精液は肉筒を逆流し、二人の股間を白く染める。
胎内に入り切らない、過剰な量のザーメンを注ぎ込まれてもなお、ツィツィはおっぱいを皮膜でズリズリ擦り、パンパンと腰を打ち鳴らしては、愛する男の精に陶酔していた。
「まだ、たりない。もっとしよ？」
「ああ、いいよ。ツィツィのお腹が膨らんで見えるくらい、中出ししてやるからな」
言葉を交わすのももどかしく、夫婦はまた子作りを始めた。ローション、愛液に加えて精液まで注がれた女陰は更に滑りを増し、欲しがりなサハギンの肉体を潤し続けるのだった。
日が変わるまで交わり続け、然る後にお互いの身体を洗い合い、その過程でまた何度か種付けし、やっと夫婦は風呂から上がった。
居間で二人ソファーに腰掛け、酒を飲みながらゆったりと休憩していると、不意にツィツィが切り出した。
「ねえ。結局、事情ってなんだったの？ どうして、帰りが遅くなってたの？」
「ああ、それか」
言われて初めて思い出したように、さり気なくジードは自分の鞄から小さな包みを取り出した。
片手でぎりぎり掴めないくらいの大きさであるその包みは、綺麗な包装紙とリボンでラッピングされている。贈り物用のサービスを買った店に依頼したに違いないそれを、彼は妻に手渡した。
「もうすぐ俺らの結婚記念日だろ。何かお前に贈りたくて、な。
でも、俺って安月給取りだろ。せっかくだから良いのを買おうと思っても、余裕が無くてな。上司に頼んで、ボーナス多めになるように仕事を増やしてもらっていたんだ」
「そうだったの」
受け取ったツィツィの声はやはり静かな調子だが、その端々から期待と嬉しさがにじみ出ている。
「開けていい？」
「ああ、どうぞ」
返事を聞くやいなや、若妻は夫からのプレゼントを中身を見るのが待ち切れぬ風で開封する。包装を解き、上品な化粧箱を開けた中にあったのは、首に巻くチョーカーだった。
黒革のベルトに細かい金剛石をふんだんに散りばめた、一見して分かる高級品だった。月給何か月分などではきかないそれを手に取り、ツィツィは暫し呆然とした。
「サハギンの手に指輪は嵌められないし、ネックレスってのもなんか違うような気がしたんで、俺なりに色々考えたんだが。どうだ？ 身に着けて、くれるか？」
その言葉に、ツィツィは一瞬反応しなかった。
が、不意に身体を夫の方へ向け、隣に座っていたジードの身体に思い切り抱きつき、熱に浮かされたようにお礼を言い始めた。
「ありがと、ありがとう……！
すき、すき、だぁいすき。ジードすき、あいしてる！ しぬまでいっしょ、なんだからっ」
感激の余りまとまった文章すら発せなくなった可愛い妻の頭を、ジードは心底幸せそうな表情で撫でていた。
だが、その中でも海を主な生息地とする者たちは、一部の例外を除けば総じて気立てが良く、優しく、人間たちに細やかな愛情を注いでくれる。彼女らは、日々の生活に疲れた人々を癒す、まるで慈母のような娘たちである。
結果、領地が海に接している国はそれら、女性の鑑のような者たちとの交流が増え、住人達が魔物たちに悪感情を抱くことは全く無い親魔物国家となるというケースが非常に多い。
そんな、魔物を積極的に受け入れている国の一つ。とある波止場で、サハギンとメロウが向かい合っていた。
堤防に腰かけたサハギンは、海から上半身だけ外に出したメロウを物憂げに見つめている。が、見られているメロウの方はというと、瞳の中の好奇心と興奮を隠し切れていない。
それもそのはず。メアリという名のそのメロウは、今日、ツィツィという名の旧知のサハギンから恋の相談を持ちかけられていたのだ。
「さあ、ツィツィ。そんな悲しそうな顔していないで、ひとつお姉さんに悩みを話してみなさい。」
「……うん」
聞き役のメロウはその種族性ゆえの野次馬根性が全開だったが、当のツィツィはそれを厭うわけでもなく、淡々と彼女の置かれた状況を語りだした。
彼女の訴えをまとめると、こうである。
昨年、ツィツィはジードという名の男と結婚した。
お互いに想い合い、何度も逢瀬を重ねて結ばれた彼女らは、とても幸せな新婚生活を送ってきていた。
が、ここ一月ほど、ジードの帰宅が目に見えて遅くなってきたというのだ。
それだけならまだしも、夜中遅くに帰ってきて、「疲れている」という理由で、寝ないでずっと旦那さまを待っていたツィツィを抱いてあげることもなく、一人でさっさと寝入ってしまうのだとか。
これと決めた夫の愛なしには生きていけないのが魔物娘である。伴侶たるジードにもそのことは十分理解できている筈なのに、この冷たい仕打ちは一体どういうことなのか。
まさか、自分の他に女でもできたのでは。魚人ゆえ無口で無表情な自分に愛想が尽きて、どこかで別の女と楽しくやっているのではないか。
ツィツィはもう今夜にでもジードに離婚を切り出されるのではないかと、怯えきっているのだった。
「ふーむ。浮気、ねえ」
話を聞き終えたメアリは、腕組みをして思案した。
未だ独身ではあるが、いや独身であるからこそ、彼女の脳内には数々の魔物夫婦から聞き取った膨大な量の(いろいろな意味での)恋や愛の物語が収められているのだが、その中に
「夫が魔物に飽きて捨てた」
だとか、
「魔物を娶った男が一年立たずに心変わりした」
なんて、悲しくも惨い破局のストーリーは一つとして含まれていないのだ。
メアリとしては、魔物が人間の男を魂の底から求め欲するのと同じように、男の方も自分の人生を共にする相手として、無意識的かつ本能的に魔物娘を必要としているのではないかと思っていた。
魔物娘がこの世を一人で生きることを辛く、寂しく感じるのと同じように、人間の男もまた生きていくために、絶対に自分を裏切らない、一生を賭けて愛し愛されるための存在を必要としているのではないかと、そう考えていたのだ。
しかしツィツィの話は、これがもし人間同士の夫婦ならば「奥さんそれは浮気だよ」と即断したくなるほど典型的なものである。
黒く艶やかな髪や、くりくりして可愛い瞳や、水に濡れて怪しく光る紺の皮膜など、男にとってみればツィツィはまさしく極上、これ以上無いほど魅力的な女だと思うのだが、それを放って毎晩遅いご帰宅とは、一体どういうわけなのだろう。
むむむーと唸っているメアリを、若妻サハギンは悲しげに見下ろす。ぽつり、と、抑揚の無い声で彼女は呟いた。
「ジードに振られたら、私、どうして生きていったらいいのかな」
感情の発露に乏しい魚人種にして、まるでそれは魂から悲哀を絞り出すような切実な訴えだった。
孤独を厭い、愛する人とともに居たいという全魔物娘共通の願い。それを放っておくことは、海のラヴストーリーコレクターことメロウのソウルが許さない。彼女の集めた大切なコイバナライブラリーに、こんな悲しいお話を加えるわけにはいかない。
憤然として、メアリは顔を上げた。その瞳に、先ほどまでの傍観者的なスタンスは映っていない。それは苦しむ友を助ける、崇高な決意に満ち溢れていた。
「諦めちゃダメ！ 心が離れたっていうのなら、取り戻すまでよ！」
「……取り戻す？」
「そうよ！ ツィツィ、私たち魔物娘の武器は何？ この、カラダでしょうが！」
「……でも、いくら誘っても、ジードは乗ってきてくれないし……」
「だからって、彼を忘れられるの？ これから一人で生きていけるの？ 無理でしょうが。
大丈夫。お姉さんに考えがあるわ。ちょっと付き合いなさい」
「付き合う？ ……どこへ？」
「ステゴロで駄目なら、武器を使え。これは喧嘩の大原則よ」
堤防に沿って泳いでいくメアリを、ツィツィはぺたぺたと弱々しい足取りで追いかけた。
その日の深夜。仕事を終えたジードは、毎晩の遅い帰宅を内心で妻に詫びながら家の扉を開いた。
物音を聞きつけて、すぐに妻のツィツィが出迎えに来てくれる。その表情はいつもながらに静かなものだが、夫たる彼には何か形容しがたい、緊張感のようなものが感じ取れた。
「おかえりなさい。
……ねえ、ジード。お風呂、入っているよ」
「そうか、ありがとう。じゃあ、軽く済ませちまうかな」
連日の労働で疲弊した体を癒そうと、彼は風呂場へ向かう。が、なぜかその後ろにツィツィがついてくる。まさかまだ風呂に入っていなかったのだろうかと、ジードはちょっと訝しんだ。
「なあ、別に風呂くらい一人で入れるんだが」
「いいから。いいから」
いつになく強引な彼女によって、彼は瞬く間に衣服を剥がれ、全裸にされてしまった。かぎ爪と水かきのついた、両生類のそれに近い両手でも、魔物娘である以上男の服を脱がせるに支障など無い。
生まれたままの姿となったジードを、ツィツィは風呂場へ押し込む。浴室に入った彼は、洗い場に見慣れない物体を見つけた。
形は長方形、色は銀色。いわゆるマットである。
器械体操に使われるような硬い布製のものではなく、空気を入れて膨らませるタイプのもの。それがいわゆるソープランドで性的なサービスに用いられる類のものであることは、ツィツィ以外の女を知らない彼にも理解できた。
「おい、なんだよこれ」
「いいから。この上に寝て」
小柄な体からは想像もできないほど強い力で、ツィツィはジードをそのマットの上に押し倒す。俗にいう疲れマラというやつで、早くも硬くなってしまっている彼の肉棒を見ると、ツィツィは薄く笑ってジードの右フトモモの上に腰かけた。
「今日は私が、サービスする。もう私以外、考えられないようにする」
「おい、ちょっと待てっ」
制止する声も無視して、ツィツィは右脚を伸ばし、フトモモとふくらはぎの間で旦那様の肉槍を挟み込んだ。
洗面器を手繰り寄せ、その中に予め用意していたらしき粘り気の強い液体を、だらーっとジードの股間に浴びせかける。膝関節を数回開閉して、捉えた男性器と脚の間にローションを馴染ませる。程よい肉づきの脚にきゅっと挟まれてしまうと、もう彼は抵抗できなくなった。
「……やっぱり、気持ち、いいんだ。じゃ、もっとしてあげる」
やはり表情は崩さないまま、しかしどこか嬉しげに、ツィツィは膝裏コキを始めた。
また少しローションを継ぎ足し、竿が乾いてしまわないようにヌルヌルの脚で優しく、しかも激しく責めてくれる。しばらく射精していなかったせいで早くも我慢汁を漏らす彼を見て、若妻サハギンは僅かに口角を釣り上げた。
「ちょ、なんで、こんな……」
「渡さない。ジードは、私のもの。どこの誰にも、渡さないんだから」
無表情でじっと見つめられると、もうジードは何も言えなくなってしまった。フトモモの上、薄い被膜一枚隔てて先で愛妻のおまんこがだらだらと淫らな涎を流していることにも気付かず、娼婦のように猥らな突然の奉仕で翻弄されるばかりだ。
おっぱいほどには柔らかくなく、口ほど自由に操れるわけでもなく、女性器ほど搾精に特化しているわけでもない単なる膝裏はしかし、暴力的な快感でジードの心をツィツィ一色に塗りつぶす。
本場の店でも使用されているという特に粘度の高い潤滑液のおかげで、膝関節の裏、肉づきが薄くなっており骨の感触が強く当たるような箇所さえ、甘い愛撫と背徳的な快楽をもたらす。
ツィツィが一度脚を開き、またすぐに閉じると、男性器の根元から先端に向かって、まるで中身を絞り出すかのようにぷにぷにした脚のお肉が圧迫していく。そして最も敏感な先端には、大腿の腱が強く摩擦し、ローションをまとってカリ首を擦りたてる。
ふわふわと浮遊感すら感じさせるソフトなマットの上で施される異次元の快楽に、ジードは現実感すら失いそうだった。
と、足元の方からくちゅっといういやらしい水音が鳴った。今、自分の股間でぬちゃぬちゃいっているローションの音とは少し違う、聞き慣れた音。ジードの上に乗っているツィツィが、微かに頬を染めていた。
「お前、まさか」
「……いまは、こっちに集中して」
自分の妻は、なんと膝の裏に夫の醜い男性器を抱きしめて、股を濡らしているのだ。娼婦のように夫に奉仕しながら、自分も快楽を感じているのだ。それほどまでに淫乱な妻を自分は娶ってしまったのだ。
そう考えてしまうと、ジードの性感は一気に高まった。照れ隠しなのか、一層速度を増したツィツィの膝コキの激しさもあって、瞬く間に射精感が頂点に達する。思わず呻くと、その呼吸に合わせて淫乱サハギンが脚に力を入れ、ローション塗れのおみあしで怒張の全体を強く抱きしめてくれた。
「もう、ツィツィ……！」
「出して。精液、ちょうだい」
普段の無感情なそれではなく、興奮の余り言葉がうまく発せないといった風の、熱気に満ちた愛の言葉。小柄な、未成熟な感じもまだまだ残る身体で頑張ってご奉仕してくれる愛しい妻にそう囁かれては、耐えられる男などいない。
ぎゅぅぅっ、と膝で挟まれて、ジードは射精した。
ため込んだザーメンは普段に無い勢いで飛び出し、上に跨っていたツィツィの体に降りかかる。紺色の皮膜、僅かに膨らんだ胸元や、腹の辺りに空いた隙間など、男のフェティシズムをくすぐってやまない魅惑のパーツを残らず濃厚なザーメンで真っ白く汚されながら、新妻はただじっと夫の絶頂を見ていた。
「……はあ、はあ……な、なんでいきなりこんなこと……どこで、こんなの……」
「だって」
言いかけて、ツィツィは上体をジードの方へ倒す。腰を膝で跨いで、ちょうど男が女を押し倒すような姿勢になって、端正な顔を近づけてくる。
「だって、私はジードがいないと生きていけないもの。別れたく、ないんだもの。
だから、こうして気持ち良くして……」
「別れる！？
……ああ、いや、ツィツィ。ここしばらく相手をしてやれなかったのは悪かったけど、別に浮気とか、そういうんじゃないからな。俺には、今までもこれからもずっとお前だけだよ」
「……ほんと？」
「本当だって。お前より可愛い女なんて、この世にいないよ」
「……うそじゃない？ りこん、しない？」
「嘘じゃないし離婚もしない。もう俺は、ツィツィ以外に欲情できないんだ」
必死の説得を、少しの間彼女は黙って聞いていた。と、マットの上で仰向けに寝転んだままの彼に、ツィツィが勢いを付けて思いきり、むぎゅーと抱きついてきた。
「うれしい、うれしい。
ありがと、ジード。私もあなたが、だいすき」
会話の苦手なサハギンが必死の思いで絞り出す愛の言葉に、ジードは心打たれていた。また同時に、こんなに良い妻を寂しがらせるとは、俺はなんて罪深いことをしたのだろうとも。
「ごめんな。ちょっと、事情があったんだよ。でももう大丈夫だから。明日は、休みを取ったから」
「ほんと！？」
「ああ。だから、いっぱいしような。ツィツィも、もう我慢できないんだろ」
発情を悟られていた幼な妻は、さすがに少し恥ずかしそうな表情を見せたが、しかし否定はしない。硬くなったままの男性器を久しぶりに膣内へ迎え入れるべく、股の薄布をずらし、腰を持ち上げた。
「……じゃあこれで、仲直り？」
「そうだな。たくさん中に出してあげるよ。おいで」
そうジードが言うや否や、発情サハギンは一気に腰を降ろした。
脚で遊んでいた時から濡れっぱなしだったのだろう、いつも以上に潤った膣は飢えた獣のように剛直を飲み込んでいく。
さっき使ったローションがまだこびり付いているということもあり、非常に滑りの良くなった肉棒をずぶずぶと体重をかけて胎内へ導いていく。少女の矮躯が、その繊細さに不釣り合いな男性器を容易く呑み込んでいく様は、どこまでもジードを奮い立たせるのだった。
「あう、入っ、たぁ……」
「きつくって、気持ちいいよ。ツィツィっ」
「じゃ、じゃあ、動く、ね」
挿入の快楽に表情を蕩けさせながらも、サハギンは腰を使い始めた。
マットの弾力を利用した上下動は、普段ベッドの上でするよりも素早く、また緩急に富んでいる。不規則かつ不断な粘膜同士の摩擦は、淫乱な妻を忘我へ押し上げていく。
「これ、これ、いい……！ すき、すきぃ、じーど、あいしてる……！ おちんち、きもちいっ……！」
「俺も、いいぞ……！ またすぐに、出そうだっ」
「だ、出してっ、しきゅうに、なかだしして、あかちゃん、はらませてっ！」
いつも魚のように生気がなく、何を言っても変化に乏しいツィツィの表情が、こうしてエッチする時だけはどんな女よりも猥らに崩れ、日常生活では絶対に言わないような淫語を恥ずかしげもなく叫んでくれる。
彼女がここまで乱れる様を見ることができるのは、夫である自分だけなのだと考えるたび、ジードは妻への愛しさで胸がいっぱいになるのだ。
このまま騎乗位でするのも良いが、もっとこの可愛い女の子を気持ちよくさせたい
と、そう思った彼の視界の端に、桃色の洗面器が映った。
最初膝でしたときに使ったローションが貯めてあったものである。見た所、まだかなりの量の粘液が残っているようだったので、ジードはそれを手に取り、余った潤滑液を全部自分の胸に垂らした。
「よっ……と、こういうのはどうだ」
「！？」
ピストン運動に夢中になっていた妻へ手を伸ばし、仰向けになった自分の方へその身体を優しく抱き寄せる。控えめなおっぱいが彼の胸板の上でむにぃと変形し、紺の鱗をローションに塗れさせると、腕の中の淫乱妻がひっと息を飲んだ。
「だ、だめ、おっぱ……！」
「気持ちいいだろ。このまま、ぎゅーってしててやるよ」
魔物娘にしては小振りながら他の誰よりも敏感で、鱗越しにちょっと揉まれるだけですぐに発情してしまういやらしい乳に、ヌルヌルの液体をまぶしたらどうなるか。腕の中で荒い息をつき頬を紅潮させ、欲情を隠そうともしないツィツィを見ていれば、容易く分かることだった。
サハギンの矮躯を、ジードは殊更に強く抱きしめる。内心でここしばらくの不義を詫びつつ、もう離さない、という熱い気持ちを込めてハグしていると、愛と欲に満たされ切った若妻は涙すら流し、子作りの快楽に耽る。
「きもち、いい……！ もっと、ぎゅって、して……！ はなしちゃ、やぁ……！」
「本当にお前はエロくて可愛いなあ。愛してるよ」
「……！！」
抱き竦められた上半身を激しく動かし、夫の上半身でローションまみれのおっぱいを刺激しながら、淫乱魚人は一層激しく腰を振り立てる。胸と股間、二箇所同時にこの上ない快感を与えられ、飢えたサハギンの肉体は狂ったようにうねる。
空気で膨らんだマットは、幼な妻の両膝を支えながらも反発し、上半身と下半身で同時に起こる不規則な運動を支える。冷たく硬いタイルに背中を触れさせなくて良いジードにとっても、その上にまたがって愛を貪るツィツィにとっても、非常に役に立っていた。
胸を旦那様に密着させ、お尻を浅ましく持ち上げては乱暴に振り下ろす、魔物娘の本能全開な変則騎乗位は、かつて無いほどに仲良し夫婦を燃え上がらせる。
手のひらサイズの乳房を皮膜越しに激しくヌメる肌へと擦りつけ、固く勃起した乳首を心臓の真上できゅっと押しつぶされると、あまりの気持ちよさにジードはまた両手に力を込め、熱烈なハグをしてしまう。
愛する人との肌の触れ合い以上に魔物を興奮させるものはなく、数週間ぶりに男を味わう肉壷はその衝動で滾り、ローションよりも熱い淫水を止めどなく垂れ流す。
見た目通り狭くてキツイ、その上たっぷりの愛液が奥から絶え間なく流れ出る、そんな間生の膣に扱き上げられては、インキュバスといえども長くは耐えられない。抱きしめる手を緩めないまま、ジードはツィツィの耳元で言った。
「なあ、もう……！」
「いいよ。だ、だして、せーし、ナカに……！」
ぱっつん前髪の向こう、普段は静かな水面のように静かな二つの瞳が、今だけは欲情に燃え盛っている。胎の中に精子をぶちまけて欲しくて、狂っている。それだけで、魔物娘の旦那は辛抱たまらなくなるのだ。
「出すぞ、ツィツィっ」
「う……！ は、やく、……！ ほし……！」
快感の余り会話もできなくなった色狂いサハギンは、絶頂の予感に腰を早める。自分のものにぴったりフィットしてきゅうきゅう締まる極上の淫膣は、一瞬で男を屈服させた。
耐えようと思う間もなく、ジードは射精させられた。絶頂してから一瞬後に、初めて自分がいったことに気づく、そんな激しすぎる搾精は、一度や二度の脈動では出しきれないほど大量の精液を絞り出す。
小さな膣道に旦那様のものを一杯に咥え込み、緩みなど一切無いようなぎちぎちおまんこに、大量の白濁は到底収まりきらず、子宮口の真下で放たれた精液は肉筒を逆流し、二人の股間を白く染める。
胎内に入り切らない、過剰な量のザーメンを注ぎ込まれてもなお、ツィツィはおっぱいを皮膜でズリズリ擦り、パンパンと腰を打ち鳴らしては、愛する男の精に陶酔していた。
「まだ、たりない。もっとしよ？」
「ああ、いいよ。ツィツィのお腹が膨らんで見えるくらい、中出ししてやるからな」
言葉を交わすのももどかしく、夫婦はまた子作りを始めた。ローション、愛液に加えて精液まで注がれた女陰は更に滑りを増し、欲しがりなサハギンの肉体を潤し続けるのだった。
日が変わるまで交わり続け、然る後にお互いの身体を洗い合い、その過程でまた何度か種付けし、やっと夫婦は風呂から上がった。
居間で二人ソファーに腰掛け、酒を飲みながらゆったりと休憩していると、不意にツィツィが切り出した。
「ねえ。結局、事情ってなんだったの？ どうして、帰りが遅くなってたの？」
「ああ、それか」
言われて初めて思い出したように、さり気なくジードは自分の鞄から小さな包みを取り出した。
片手でぎりぎり掴めないくらいの大きさであるその包みは、綺麗な包装紙とリボンでラッピングされている。贈り物用のサービスを買った店に依頼したに違いないそれを、彼は妻に手渡した。
「もうすぐ俺らの結婚記念日だろ。何かお前に贈りたくて、な。
でも、俺って安月給取りだろ。せっかくだから良いのを買おうと思っても、余裕が無くてな。上司に頼んで、ボーナス多めになるように仕事を増やしてもらっていたんだ」
「そうだったの」
受け取ったツィツィの声はやはり静かな調子だが、その端々から期待と嬉しさがにじみ出ている。
「開けていい？」
「ああ、どうぞ」
返事を聞くやいなや、若妻は夫からのプレゼントを中身を見るのが待ち切れぬ風で開封する。包装を解き、上品な化粧箱を開けた中にあったのは、首に巻くチョーカーだった。
黒革のベルトに細かい金剛石をふんだんに散りばめた、一見して分かる高級品だった。月給何か月分などではきかないそれを手に取り、ツィツィは暫し呆然とした。
「サハギンの手に指輪は嵌められないし、ネックレスってのもなんか違うような気がしたんで、俺なりに色々考えたんだが。どうだ？ 身に着けて、くれるか？」
その言葉に、ツィツィは一瞬反応しなかった。
が、不意に身体を夫の方へ向け、隣に座っていたジードの身体に思い切り抱きつき、熱に浮かされたようにお礼を言い始めた。
「ありがと、ありがとう……！
すき、すき、だぁいすき。ジードすき、あいしてる！ しぬまでいっしょ、なんだからっ」
感激の余りまとまった文章すら発せなくなった可愛い妻の頭を、ジードは心底幸せそうな表情で撫でていた。
12/02/19 13:58更新 / ナシ・アジフ