読切小説
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それは沈没から始まった
「……ふわぁ〜……暇だ……」


メインマストの見張り番はなんて退屈なんだ。
この仕事を請け負う度に、欠伸をしながら毎回同じ事を考えていた。

「見張りっつってもなぁ……こんなに平和な海を眺めてもつまんないな……」

かれこれ海賊になってから三ヶ月程度しか経ってないが、任されるのは決まって見張りの仕事ばかり。他に頼まれる仕事といったら、せいぜいジャガイモの皮むきとか皿洗いとか……所謂雑用業務だ。
とは言っても、戦闘では役立たずだし、医療の知識も皆無だし、航海術なんてからっきし。こんな俺自身、大したスキルも無いから当然と言えば当然か。

「……俺、此処に居る意味あるのか?」

だが、現状暇である事は変わりない。見張り番とは言っても、仮に敵船が来たら他の同僚が先に船長に報告するし、大雨とかサイクロンとかの悪天候は航海士が事前に処置するし……。
今更ながら、俺は除け者にされてるんじゃないかと思えてきた。

「あ〜あ、なんか面白い事でも起きないかな……」

……この一言が、これから起こる前代未聞の大事件となるのであった。

「な〜んて、ある訳無い……って」

一人で寂しくブツブツと独り言を呟いていたら……ふと、何やら周囲の景色が変わっている事に気付いた。

「……あれ?」

いや、正確に言うと、視界に広がる海原は何も変わってない。極めて普通の、何時も通りの平和な海だ。

「……なんか……視界が下がってるような……?」

だが……心なしか、自分の目線がどんどん下がっているように感じる。
俺は特に身体を動かしている訳でも無いが……どうなってるんだ?

「……俺がおかしいのか?」

そう思った末に思わず自分の身体を見直してみたが、何処にも異常は無い。
やっぱりおかしいのは自分じゃないようだ。


「……て言うか……これって……」


そして、マストから真下の甲板に視線を移して、ようやく今の状況に気付いた。
……正直言って、呑気な事してる場合じゃない。て言うか、こんな状況下に気付くのが遅すぎる俺も馬鹿だった。

なんでそんな事言うかって?いや、だって……だって……。





「沈んでんがなー!!」





今俺が乗ってる海賊船は……徐々に沈みかけてる!
てか沈んでる!三分の二くらい!もう海水が入ってきてるし!



「ぎゃあああ!沈むー!」
「なんで!?なんでだ!?船底に穴でも開いちまったのか!?」
「それにしたって沈むスピードが速すぎる!」

下にいる同僚もパニックを起こしてあたふたと慌てている。
確かに穴が開いたにしても沈むのが異常なまでに速い。
なんだか……何かに引きずられているようだ。


「そろそろ頃合ね……」
「おわぁ!海の魔物!?」
「ふふ♪これはまたとない絶好のチャンス!と言うわけで、やっちゃえ〜♪」


そして船が半分以上沈みかけてるところで、好機とばかりにスキュラやネレイスなど、海の魔物の群れが同僚たちに一斉に襲い掛かってきた。


「ちょ、止めろ!話せんぐぅ!?」
「ヤッバイ!このお兄さん、好み♥頂いちゃお〜っと♪」
「ひぃぃ!止めて!ズボン脱がさないでぇ!」
「あん♥可愛い反応♥堪んない♥」
「あぁっ!ちょ、やば……気持ち良い……」
「まぁ、正直な男は大好きよ♥」


……案の定、同僚たちは海の魔物に次々と連れ去られていく。中には沈没してゆく船の上でヤり始める輩も居るが……正直、童貞の俺には目の毒が過ぎて困る。
いや、困ってるのはこの状況か。幸い、俺はメインマストと言う、一番高い位置に居るお陰でまだ魔物たちに見つかっていない。だが、このままだと確実に魔物に連れ去られてしまう。高みの見物状態が、少しずつ低みの見物状態に……。

「……おいおい、マジかよ……」

もはや船の胴体は完全に海の中へ沈んでしまっている。同僚たちは既に一人残らず魔物たちに連れ去られてしまい、船に残っているのは俺一人だけ。これだけでもう絶望的なのには違いないが……。

「……もう……覚悟するしかないのか……」

沈み行くマストの見張り台にて、俺はこれからの自分の運命を悟った。
俺……これから魔物に攫われるのかなぁ……。
どんな魔物に攫われるのかな?
スキュラ?ネレイス?カリュブディス?マーメイド?メロウ?シー・ビショップ?シー・スライム?セイレーン?
考えてみれば海の魔物って結構いるんだな。
俺はどんな子に捕まるんだろうな……俺はおっとりしたお姉さん系の人が好みだからシー・ビショップとか良いなぁ……って!


「泳ぐって選択肢があったじゃないか!」


呑気に悟ってる場合じゃない!
こうなったら、死に物狂いで泳ぎまくって、どこかの島に逃げてやる!


「おりゃ〜!」


覚悟を決めた俺は見張り台から勢い良く海に飛び込んだ。


ザッパーン!


頭から海面に入った俺は、早速泳ぎ始めようとした……が!


「っ!?ん、んぶぶ!んぐぅ!」


突然、何かが足に絡まり、そのまま海中へと引き摺り下ろされてしまった。両腕をバタつかせて上方へ泳ごうと必死の抵抗を試みるが、俺の身体は虚しくも海底へと沈み続ける。

一体どうなってるんだよ……なんで浮かばないんだよ……!?


「!?」


足に絡まってるものを見ようとした瞬間、またしても不可解な現象が起きた。
なんと、俺の周囲が突然漆黒の闇に覆われた。さっきまでは海中の様子は見れたのに、俺の視界に広がるのは闇ばかり。まるで大きな箱の中に閉じ込められたような感じだ。
くそう……一体何が起こったんだよ!?なんでこんなにも立て続けに異常現象が起きるんだよ!?


「!?……!?」

パニック状態でありながらも両目をパッチリと開いているつもりだが、それでも真っ暗で何も見えない。
ただでさえ訳の分からない事態に追い込まれてたってのに、更にこの仕打ちはあんまりだ。まさか、神はここでくたばれとでも言ってるのか?

いやだって……現に……呼吸が……!



「こんにちは」
「!?」


突然、何者かの声が鮮明に耳に届き、俺は思わず背後を振り返った。


「うふふ♪やっと近づく事が出来たわ……嬉しい♥」
「…………」

そこには……とても美しい女……いや、魔物がこちらに微笑んでいた。
一際輝く薄紫色の長髪に、頭に生えてる三角形の黒い鰭。一番特徴的なのは、下半身の烏賊の足。まるで獲物を狙っているかのようにウネウネと動いている。
更に魅力的なのは、綺麗に整った顔立ちに、思わず釘付けとなってしまう大きな胸。そして、母性感じる温かい微笑み……。
そうだ……俺の記憶が正しければ、この魔物は確か……クラーケンだ。

「あら……どうしたの?そんなにポケ〜としちゃって。お姉さんの顔に何か付いてる?」
「…………」

……初めて見たけど……クラーケンって、こんなに綺麗な魔物だったのか……。

……って、見惚れてる場合じゃなかった〜!
空気!空気!空気欲しい!窒息しちゃう!死んでまう!


「ん、んぐぐぐぐぅ!」
「ちょ、落ち着いて!大丈夫よ!この闇の中なら呼吸も出来るし、会話も出来るから!」


慌てふためいてる俺を見たクラーケンは、咄嗟に俺の肩を掴んで宥めてきた。
大丈夫と耳にして一瞬だけ疑わしく思ったが、このクラーケンが嘘を言ってるようにも思えなかった為、ひとまず落ち着いてみた。

「……はぁ、はぁ……あ、あれ?本当だ……苦しくない。しかも喋れる……」
「ね?大丈夫でしょ?私の魔力の中なら呼吸も心配無いわ」

腹を括って呼吸を試みたら、クラーケンの言った通り、呼吸も会話も普通に出来る。
一先ず窒息死の心配は抹消された為、思わず安堵のため息が出てしまう。

「あらあら……もう、慌てん坊さんね」
「うっ……いや、だって……ついさっきまで色々とあって……」
「……そうよね……いきなり海中に引きずられた上に、闇に閉じ込められたら驚くよね……」

申し訳なさそうに苦笑いを浮かべると、クラーケンは急に俺の頬に手を添えてきた。
この軽いスキンシップで不意にも胸がドキドキと鼓動を打つ。

「驚かせてごめんなさい。大丈夫?」
「え、あ、だ、大丈夫です、はい」

……近い。凄く近い。顔がメチャクチャ近い。吐息が当たってるし。
……ヤバイ……こうして寄られるだけでもう……俺の逸物が……!

「……こうして見ると……やっぱりあなたって素敵ね……」
「ふぇ?い、いやいや!それ程でも!」
「ううん、本当よ。こうして見ているだけで……お姉さん、ドキドキするの……」
「いやそんな……って、ちょ!?いつの間に!?」

俺がクラーケンに見惚れている間にも、クラーケンは両腕を俺の首に回し、烏賊の触手を俺の両腕と両足、そして胴体にしっかりと巻き付かせている。

「ねぇ……ギュッてさせて。あなたの身体……ギュ〜って抱きしめたいの……」
「え、ちょ、あの……!」
「あぁ……温かい……♥」
「うぅ……」

あっという間にクラーケンに抱きつかれる形となり、互いの身体が完全に密着した。触手に付いてる吸盤はかなり強力で、離れないようにピッタリと張り付いてくる。
何と言うか……此処は海の中だと言うのに、彼女の身体はとても温かい。
それに……あの大きい胸が俺の身体に……!
……もう無理。抵抗出来ない。

「あぁん♥こっちも温かい……」
「はわぁ……」

追い討ちとでも言わんばかりに、主人に甘える子犬のように頬擦りをしてきた。
こんなに美人な人が俺みたいな男に抱きついてる……それだけでも堪らないのに、更にこんな事されたらもう……!

「……うふふ♪お姉さん、もう我慢できない♥」
「え、ちょ、ちょっと!」

そしてクラーケンは烏賊の触手で俺のズボンを脱がし始めた。器用にもベルトの留め具を外し、ファスナーも上手く下ろしていく。抵抗しようにもクラーケンの足で完全に動きを抑えられている為、されるがままとなるしかなかった。

「……あらぁ♥まだ何もしてないのに、もうビンビン♥」
「うぅ……」

そして露となった俺の勃起ペニスを目にするなり、クラーケンは物凄く嬉しそうに……そして物凄く興奮気味に生唾を飲んだ。
今まで女に勃起した肉棒なんて見せた事なんて無かった。そう思うと、今のこの状況がかなり恥ずかしい……。

「そんなに恥ずかしがらないで。大丈夫よ、怖くないから」
「いや、怖がってはないけど……」
「……ねぇねぇ、もしかしてあなた、童貞だったりする?」
「へ!?な、なんだよ急に……」
「いや、なんとな〜く、そんな気がしただけよ。それで、どうなの?」
「……そ、そうだけど……」
「あらホント?嬉しい!」

童貞と聞くや否や、クラーケンは嬉しそうに目を輝かせた。
童貞ってそんなに良いものなのか?俺には分からない……。

「それじゃあ、いっぱい気持ちよくなってもらうために、お姉さんも頑張るからね」

そう言うと、クラーケンは触手で俺の逸物を包み込み、ゆっくりと優しく扱き始めた。

「うわ、あ……」
「うふふ……どう?気持ち良い?こんなの、初めてでしょ?」

クラーケンの触手はとてもヌルヌルしてて滑りが良い。しかも触手の吸盤が上手い具合に亀頭やカリ首を擦ってる所為で一段と快感の刺激が強い。
確かにこんなに気持ち良いのは初めてだ。人間の手なんか比べ物にならない……!

「あらぁ……お顔が真っ赤になってるわよ。そんなに気持ち良いの?」
「ああ……良いよ…………」
「まぁ、嬉しい♪」

返答を聞いた途端、クラーケンは嬉しそうに微笑みながら触手の動きを速めた。
もはや今の俺には抵抗する術など無い……いや、仮にあるとしても実行しない。
この快感に抗う気力も完全に失せている。今はただ、この美しいクラーケンの事で頭がいっぱいになっている。

「ねぇ……私の初めてのキス、受け取って欲しいな……」
「あ……ん、んん……」
「ん……ちゅっ」

快感で頭がボーっとしている最中、クラーケンが俺の後頭部を抑えてそっと唇を重ねてきた。
あぁ……女の唇って、こんなに柔らかいんだな……。

「ちゅっちゅ……。あぁ……重ねるだけでこんなに気持ち良いなんて……んん、ちゅ……ちゅ、んちゅう……」

俺の逸物を扱く触手を休ませず、クラーケンは更に啄ばむように俺の唇を触れ合わせる。今まで味わった事の無い甘いキスに頭が痺れそうになった。

「ん、ちゅっ……ちゅぅ、ちゅ、んん……」

勿論、ただ触れ合わせるだけでクラーケンは満足しなかった。
唇の間から舌を入れて、俺の舌を絡めて無我夢中に嘗め回す。口いっぱいにクラーケンの甘味な唾液が広がり、益々興奮が高ぶってくる。気が付けば俺自身も更に快感を求めるようになり、舌の動きを合わせるようになった。

「はぅん、ちゅ……好き……好きよ……ちゅ、ちゅう……ん……だぁい好き……ん、んちゅ……」

時折唇に間を開ける度に、クラーケンは潤んだ瞳で愛を囁いてくる。
キスされてる上に告白なんてされたら堪ったものじゃない。俺の中で、情熱的に奉仕してくれているクラーケンへの愛おしさが募っていった。

「んぅ、ちゅ……はぁ……。ねぇ、私……あなたのおちんちん入れたいの。もう……入れて……いいよね?」
「え……?」

唇を離したクラーケンは、俺のペニスに巻きついてる触手を器用に動かし、自分の衣服を捲ってから秘部に宛がった。
いつの間にかクラーケンの性器は魔力で露になっており、激しい愛撫もしていないのに愛液でグショグショに濡れている。

「ほら……あなたに会う前にね、あなたに犯されるのを妄想しながらオナニーしてたら、こんなに濡れちゃったの」
「妄想って……俺が出てたのか……?」
「そうよ。こんなにエッチなお姉さんでごめんね……」

……まさか俺が自慰のおかずにされてたなんて思ってなかった……。

「さぁ……入れるね……」
「え、ちょ、もう!?」
「ここまでしておいて何言ってるの。もう後には退けないわ♥」
「いや、心の準備が……!」
「大丈夫よ、お姉さんがいっぱい気持ちよくしてあげるからね♥」

こちらが何を言っても聞く耳持たないようだ。クラーケンは勃起してる俺の肉棒を触手で支え、その真上からゆっくりと自分の腰を下ろしていく。先端から狭い膣による抵抗感を受けるが、それでいて少しずつ奥へと導かれる……そんな不思議な感覚だった。

「ん、あぁ……入ってくるぅ……♥」

自ら俺のペニスを挿入しているクラーケンの頬は欲情によってほんのりと赤く染まり、両目はトロンと力無く垂れている。
一見すると酔い痴れているようにも見えるが、その表情は僅かながら痛みで歪んでいるように思えた。

「んっ……もうそろそろね……!」
「えっな、何が……うぅ!」
「んっ!!」

……この瞬間、クラーケンが痛がっている理由が理解出来た。
愛液でグッショリ濡れてる性器から滴れる鮮血……これを見れば経験が皆無な俺でも分かる。
そう……クラーケンは処女だった。

「んはぁ……もう少し……もう少し……」
「お、おい……!」
「……はぁ……奥まで……入ったぁ……♥」

俺が戸惑ってる傍らで、クラーケンは俺のペニスを膣の最深部まで導かせたようだ。亀頭の先から竿の根元まで、温かくて狭い膣に絞められる。今までにない快感に早くも射精しそうになるが、それより俺は処女を失ったばかりのクラーケンが気がかりだった。

「はぁん……感じる。おマンコ、感じるよぉ……♥」
「だ、大丈夫かよ!?痛いならすぐに抜いた方が……!」
「嫌!抜かない!」

俺からは特に何もしてない……いや、性格には触手で縛られている所為で何も出来ないのだが、俺の勃起したペニスがクラーケンに痛みを与えたのは事実。
その事から罪悪感を覚えて、すぐに抜くように促したが、クラーケンは急に俺をギュッと抱きしめてきた。

「大切にとっておいた初めては……あなたにあげるって決めたのよ。こんなところで引き返したくない……あなたと繋がっていたいのよ……」
「!!」

……出会ったばかりの俺をそこまで想ってくれている……こんなに強く抱きしめて、キスまでして、挙句の果てに処女まで……。
今まで感じた事の無い嬉しさが心の底から込み上げてきた。これ程までに女の人から愛された経験の無い俺にとって、喜ばしい事この上ない。腕に絡み付いてる触手の所為で今すぐ抱きしめれないのが非常に歯痒かった。


「だからね……一緒に気持ちよくなろう♥」


聖母のような温かい笑みを浮かべた瞬間、クラーケンは自ら腰を振ってセックスを始めた。


「あぁん!凄い!あ、ひゃん!こんなの、初めて……あ、ああ!ふぁん!」
「お、おい……そんな無理しなくても……!」
「無理なんか、はぁ!してないわ……!そんなに、痛くない……ふぁ、あぁ!寧ろ、気持ち良い……あぁ、ひゃぁん!」

きつく抱きついてる所為で、クラーケンの大きなおっぱいが俺の胸板に押し付けられる。初めてでもある所為で加減が分からないのか、クラーケンの膣内は常にギュウギュウと俺の肉棒をきつく絞め続ける。ペニスが膣内の奥を突くたびに、蜜壷から溢れ出る愛液が卑猥な水音を響かせた。
まだ入れたばかりなのに限界が近く、一瞬でも気を緩めばすぐにでも達してしまいそうだ。でもこれ……凄く気持ち良い……!

「ね、ねぇ……ひぁ!き、気持ち良い!?私の中、気持ち良い!?んぁん、ひゃ!はぁあん!」
「あ、あぁ……良いよ!気持ち良い!なんかもう……すぐに出そう……!」
「ほ、本当?良かったぁ……んひゃぁ♥でも、もうちょっとだけ我慢して!あ、あぁ!そうすれば……より一層気持ち良く射精出来るからぁ♥」

言われなくても……俺自身、このまますぐに射精するのはあまりにも勿体無いと思う。
きつくて、温かくて、トロトロで……もっと、もっとこの快感を味わいたい。


「あんっ!?い、今……あなたから突いてくれたぁ♥」
「あ、あぁ……俺からも……したくて……!」
「んひゃぁ♥嬉しいよぉ♥はぁ、あん!もっと、もっと突いてぇ♥あぁ、はぅん!あなたのおちんちん、もっと感じさせてぇ♥」


性欲に敵う筈も無く、触手に縛られた状態で俺は無我夢中で腰を振り始めた。クラーケンも腰を動きを俺と合わせるようになり、パンパンと腰同士を打ち付ける肉の音が暗い海中に響いた。

「あっ!あ、あひ……好き、しゅきぃ♥もっと、もっとキスしよぉ……♥ん、んちゅ!ちゅ、んちゅ、ちゅぅ……んん!」

ギリギリまで堪えようと射精を必死に抑えていると、クラーケンの方からまた濃厚なキスをされた。情熱的に唇を押し付け、貪るように舌をうねらせて俺の舌を絡め取る。
上の口からは唾液。舌の口からは愛液。二つの卑猥な蜜はいやらしく音を響かせ、媚薬の如く胸の高ぶりを激しくさせた。

「んふぅ、ちゅ……じゅ!んん、ん、ちゅ、ちゅう!」

クラーケンも気持ちが高ぶってきたのか、唇を貪る勢いが増してきている。俺の身体に巻きついてる触手も、締め付ける力と吸盤の吸引力を強めて更に密着させた。それでも大した痛みを感じる事は無く、クラーケンがちゃんと加減してくれているのが理解出来た。

「んちゅ、ぢゅぅ……!好き、好きぃ♥んひゃん!ん、ちゅぅ……!好き、大好きぃ♥」

クラーケンの腰のピストン運動が徐々に激しさを増していく。唇の間から漏れる熱い吐息が、もうすぐ絶頂に達しそうな彼女を物語っていた。

「は、はぅぁ!ね、ねぇ、私……もうイッちゃいそうなのぉ♥」
「うぁ……お、俺も……もう……!」
「それじゃ……あんっ!一緒に、一緒にイこう♥あ、んひゃあ!ひぁぁあ!」

俺の方も既に限界が近かった。さっきまでなんとか持ち応えていたが、クラーケンの膣が気持ち良すぎて敵わない。このままだと中出ししそうだ。

「あぁっ、もう出る……!」
「あぁっふわぁっ!いいよ♥このまま出して!ふぁ、はああ!あなたの精液、あっひゃあ!いっぱい私にちょうだい♥」
「あぅっく……い、いいのか?中に、出して……?」
「うん、出して♥ぁはあ!大好きなあなたの濃い精液で……あ、んぁ!私の子宮を満たしてぇ♥あ、んぁああん!」
「うぁ、だ、駄目だ、もう……うぅ!」

一瞬だけ迷いが生じたが……彼女がそこまで言うのなら、俺は従うまで。そもそも身体の自由があまり利かないから、そうするしかない。
肉棒を一気に最奥まで突き上げて、溜まりに溜まってた精液を噴出させた。今まで感じた事のない解放感に包まれて、身体全体に快感の電流が走る。天にも昇りそうな幸福を覚えながらも、自分でも驚くくらい射精が続いていた。


「ひあぁっ!イクゥ!イッちゃうよぉっ!んはあぁっ!はぅあああ!はぁぁあああぁ!!」


射精と同時にクラーケンも絶頂に達したようだ。俺をギュッと抱きしめたまま、愉悦の叫びを上げながら身体を仰け反らせた。


「あ、熱いぃ♥凄く熱いのぉ♥注がれちゃってるよぉ♥」


クラーケンはビクビクと身体を痙攣させながらも、ペニスから出てる精液を感じ取ってくれていた。俺の精液で愉悦に包まれているその美しい姿に見惚れてしまう。


「はぁ、あぁ……はぁ、はぁ……」


最後にブルッと身体を痙攣させた後、クラーケンは激しく肩で息をしながら恍惚の笑みを浮かべた。そして視線を俺に合わせて、潤んだ瞳で俺を見つめてくる。


「はぁ……いっぱい出たね♥お姉さん、こんなに気持ち良いの初めて♥」


クラーケンは徐に自分の顔を俺の顔へと近付けて……。


「好きよ……大好き♥これからも一緒に居ようね♥」


そっと……優しいキスをしてきた。



〜〜〜数分後〜〜〜



「一目惚れって……俺に?」
「そう。昨日の夜……小さな島に停泊してる船のマストで、何も言わずに海を眺めてるあなたを見たの」
「え?居たの?昨日の夜に?」
「ええ、気付かれないのも無理ないけど。あれからあなたの事が頭から離れなくなって……だから、思い切ってあなたを海中へ連れて行こうと決めたの。後は……ご存知の通りよ」
「それじゃあ……まさか、初めから俺だけを狙ってやったのか?」
「そうよ」

クラーケンの話によると……どうやら昨日から俺を知っていたらしく、最初から俺目当てで船を沈ませたようだ。こんな大した顔でもない俺に惚れるなんて今でも信じられないけど……あそこまで熱い好意を見せられたら疑う余地も無い。それに、この人生の中で女と縁が無かった俺にとっては嬉しい話だ。
因みに、俺も途中まで見てたが、船長を含む他の船員はもれなく海の魔物たちの夫になったらしい。まぁ、海中で溺れ死ぬよりよっぽどマシだろう。
……と言っても、船が沈没した原因の半分は俺にあるから、なんだか申し訳ない気分だ。


「それとさ……何時までこうしてるんだ?」
「もうちょっとだけ」
「もうちょっとって……」
「も〜、いいじゃない♪お姉さんはね、あなたが夫になってくれてとっても嬉しいの♪」
「あはは……さいでっか……」

そして俺は今……黒い魔力から解放された後、クラーケンの触手に巻きつかれたまま何処かへ連れて行かれてる。恐らく、クラーケンの住処までお持ち帰りされているのだろう。
まぁ俺自身、このクラーケンに心から惚れちゃった訳だし、既に覚悟は決めてある。これからは海賊から足を洗って、彼女を幸せにする為に頑張ろう。

……しまった。まだ肝心な事を知らなかった。

「そう言えば……凄く大事な事を聞いてなかった」
「ん〜?」
「俺さ……まだ君の名前知らないんだよな」
「あ……だったら私もまだあなたの名前を聞いてない」

そう……俺たちはまだ互いの名前を聞いてなかった。名前の知らない夫婦なんて笑い話にもならない。

「じゃあ私からね。私はね、リティアって言うの」
「リティアか……覚えたよ、リティア。俺はノイルって言うんだ」
「ノイル……良い名前ね!それじゃあ改めて……これからもよろしくね、ノイル♥」

クラーケン……いや、リティアは俺の唇に軽くキスをして、『ふふっ♪』と明るい笑みを浮かべた。
この愛おしい笑顔を見ていると、なんだか俺まで明るい気分になる。これからリティアと幸せな夫婦生活が始まるんだな……!

……あ、そう言えば……。

「なぁリティア。今向かっている住処ってどんな所なんだ?」
「え?住処?」
「ああ、今そこに向かって泳いでるんだろ?」

海の魔物が住んでる場所って、今まで見た事が無いからピンと来ない。
ゴツゴツとした岩の洞窟みたいな所なのか、それともキチンとした一軒家みたいな所なのか……。

……まさか……流石に蛸壺は有り得ないか。
蛸じゃないし……いや、そう言う問題じゃなかった。

「う〜んと……住処とはちょっと違うわね。動くし
「……って、え?今なんて?」
「だから、動くって言ったの」
「……動く?何が?」
「まぁ、百聞は一見に如かずって言うからね。実際に見れば分かるわ」

リティアの言ってる意味がさっぱり分からない。
動くってどういう事だ?足が生えてて勝手に歩いたりしてるのか?
まぁ、リティアの言う通り、実際に見てみれば分かるだろう。


「……あ、見えてきた!ほら、あれだよ!」


そして暫く泳いでいると、どうやら目的地と思われる場所に着いたようだ。リティアが指差した方向へと視線を移して見た。


「……え?」


……俺の目には……なんとも予想外のものが映っていた。

それは……とても家とは言い難いものだ。
まるで……船みたいな形をしている。いや、どう見ても船だ。
普通の商船と比べたらかなり大きく、船首の先には白い羽衣を来た女神の像が付けられている。見るからに強固で立派な船だが……まさか、あれがリティアの住処?


「あれって……船だよな?」
「そう、海中を進める船……フライング・ダッチマン。私の海賊船よ」


リティアは誇らしげに笑みを浮かべた。フライング・ダッチマン……海中を進める海賊船か。
確かによく見ると、船の側面には立派な大砲が並んでるし、マストの天辺の旗には、烏賊の足に囲まれてる髑髏のマークが描かれてる。
凄いなぁ……さっきまで俺が乗ってた船とは大違い……って、え?海賊船?


「……今、海賊船って……」
「あ、そう言えばまだ言ってなかったわ。実は私……海賊なのよ」


頭に一つの予感が浮かんだが……それを察したかのようにリティアがパチッとウィンクをして答えた。


「我がデイビー海賊団へようこそ!私は船長のキャプテン・リティアよ!」
「海賊団……って、えぇ!?船長!?まさか、本当に!?」
「本当よ。巷では『デイビー三世』とも呼ばれてるわ」


……なんと、リティアは海賊だった。しかも船長を務めてるとは……。
海賊から足を洗うと決めたら、まさかの海賊の夫になるという……なんて偶然だ。

……待てよ……俺、デイビーって名前、聞いた事ある……。


「なぁ……『デイビー』って聞いた事があるんだが……」
「あ、知ってるんだ。そう、『デイビー』は数百年も前……魔王の力が全世界に及ぶ前の時代に、広い海で縦横無尽に暴れ回り、人間たちに恐怖を味わわせたクラーケンの名前よ。それこそデイビー・ジョーンズ……私のお爺ちゃんよ」
「やっぱりそうか……。で、お爺ちゃんって事は……君は……」
「ええ、お察しの通り。私はその孫娘って訳なの」
「あ、ああ……」


やっぱりそうだった……一度は耳にした名前だと思ったら、あの伝説のクラーケン、デイビー・ジョーンズの事だったのか。しかもリティアがデイビーの孫娘だったとは……。
……今更ながら、俺はとんでもない魔物の夫になってしまったようだ。


「……ねぇ、ノイル……」


呆然とする俺に向かって、リティアは満面の笑みを見せてきた。
やっぱりこの笑顔を見ていると幸せな気分になる。考えてみれば、夫婦で力を合わせて海賊稼業ってのも悪くないな。


「これからずっと、お姉さんと一緒に頑張ろうね!」
「……ああ、頑張る!」


こうして、新しい俺の海賊生活が始まった。
そして船に入った後、すぐにリティアに船長室まで連れて行かれて、ベッドの上で数時間も激しく犯されたのは言うまでもない……。


……まぁ、いいか。幸せだし。
13/05/24 22:45更新 / シャークドン

■作者メッセージ
新しい魔物娘の更新を見て『海賊シリーズを展開する者として、この魔物娘の物語を書かない訳にはイカんっつー話だよ!イカだけに!』と、テンションマックスモードになっちゃったので書いてみました。
クラーケン……ついに来ましたね!何時しか図鑑世界の仲間に入ると予想していましたが、その日が訪れようとは……感無量です!

それでは……読んでくださってありがとうございました!

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