読切小説
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古城跡の赤帽子
 とある川の下流の側には渓谷がある。そしてその近くにはかつて村があったが、ある時大雨からの大洪水と直後に起きた疫病により滅んでしまう。
 そこには治めていた領主の城もあったのだが、村と共に家運も衰えたのか、今は誰もおらず、辛うじて城であったと分かる程度の石造りの廃墟がただ残るのみである。
 そこまでならよくある昔話だがーーこの古城跡一帯の評判を極めて悪くしているのが、古城跡に住み着いた邪悪な魔術師と、彼に使役されていたという人喰いの怪物の噂であった。
 残存していた古城の地下室に、まだ当時幼体だった魔物が運び込まれ、魔術師によって養われていたという。彼は迷い込んだ不運な旅人を捕らえては怪物に餌として貪り喰わせ、引き換えにその邪悪な力を使い、口にするのも憚られるような行いをしていたという。
 しかし、ある時魔術師の姿は忽然と消え失せ、それと共に怪物の噂もぱったり聞かなくなった。だが、それでも近隣の人々はその一帯を気味悪がり、誰も近づこうとせず、それは数百年以上経った今でも同じである。










 ーーとある村ーー

 ここは古城跡より少し遠い所にある農村。数百年前なら、一応隣村と言える位置にはある。

「へぇ、そこに出たっていうのかい。魔物が?」
「んだ! 子鬼が奇声を上げて追いかけてきたんで慌てて逃げたんだけんど、生きた心地がしなかったべ!
 そいつぁ真っ赤な帽子をかぶった小さな女の子みてえなナリしてるが、頭から2本の角さ生えてて、口から見える歯は鋭くて、両耳は尖ってて、膝まで伸びてる白い髪を生やしてたんだべ。そしてバカでけぇ鉈持ってて、それを軽々振り回してたから、華奢なナリなのに獣みてえに凄え力だべさ」

 ある日の午後、畑の脇で2人の男が立ち話をしていた。話題は古城跡に住む怪物についてである。
 実際にそれを見たというガタイの良い中年の方が興奮して語るのを、眼鏡をかけた茶髪で眼鏡の青年の方は興味深そうに聞き入る。

「私も見てみたいね」
「あぁっ、ヴァリーさん、オラの話聞いてたんか!? あんな小せえのに凄え力だど!
 追いつかれたら最期、あの鉈であっちゅう間に切り刻まれてバラバラに決まってる!」
「ふぅん。そう言われると怖いな」

 口ではそう述べるが、実際には農夫の目撃談を信じていないのか、ヴァリーは薄ら笑いを浮かべていた。





 このヴァリーという男は加工食品や薬、タバコなどの様々な食料・生活用品を荷馬車で運んで売り歩く行商人で、この村を含む近隣一帯を回っている。自身もこの地方で生まれ育ったため、前々からあの古城跡の話は耳にしていたが、人もいない場所に行く意味は商売上ないため、確かめたことはなかった。
 しかしこの度あの農夫の話を聞き、古城跡へ行ってみようという気になった。好奇心というか怖いもの見たさというか、あるいは代わり映えしない退屈な日常にささやかな刺激が欲しかったのかもしれない。彼が生まれて一度も魔物というものを見たことがなかったのもある。
 そういう訳で、ヴァリーは危険を承知で、古城跡に行ってみようと思い立った。





「ここか……」

 それから数週間後の正午前。来れそうな都合の良い日を選び、ヴァリーは件の古城跡へとやって来た。
 前日までに準備を済ませた彼は当日の朝早くに出立。盗賊を避けるため出来るだけ開けた道を通ること十数回を経て、ようやくこの寂れた廃墟一帯へと訪れたのだ。

「………………」

 数百年前は村であったのだろうが、今は辛うじて残る石畳には草が所々生い茂り、廃墟とすら呼べない石と木で出来た瓦礫の散在するだけの風景となっている。
 行商人は荷馬車から降りて辺りを見回すが、今の所近くに動物の気配はない。しかし魔物というだけあり、気配ぐらいは消せるのかもしれない。

(あの親父の話では人型のようだしな……)

 あの農夫の話では、魔物は人型であるらしい。元々か化けているのかは知らないが、髪の長い少女の姿をした子鬼だという。そして大鉈を振り回していたというからには、体躯に見合わぬかなりの力の持ち主と言える。

「………………」

 危険を承知でやって来た以上、相応の準備はしていたつもりである。弾薬とナイフを入れた肩掛けカバンを左肩から下げ、痩躯には少々似つかわしくないフリントロック式で銃剣付きのラッパ銃を抱えながら、青年は辺りを警戒しつつゆっくりと歩き出す。

(確かに何かいるんだろうな……)

 そうして恐る恐るゆっくりと歩いていく内、薄っすらとだが獣臭がするのに青年は気づいた。

(何だろう? ここら一帯の物とは違うようだが……)

 しかし、気になるのはそこだけではない。ここの雰囲気そのものが他と違うのだ。
 青年が興味をそそられたのは、通常見るガーゴイルとは違う、ヒキガエルを思わせる怪物を象った彫り物だった。それに限らず、時折目につく廃城の壁一つ取っても、何やら奇妙な装飾や、このガーゴイル像のような明らかに教団文化圏とは異なる意匠の彫り物があったりする。

(だが、金目の物はなさそうだな……)

 このように、廃墟一帯は見たこともない景色と奇妙な物に溢れており、ヴァリー青年の好奇心を刺激したが、その一方で金になりそうな物は一切無さそうだった。観光としてはなかなか楽しめていたが、探索者としては残念な結果ではある。とはいえあくまでついで、元々商売で来たわけではないので、別に嘆くようなことでもないが。

「………」

 そんな風にささやかながら新鮮な景色を楽しんでいる内、ヴァリーは本来の目的を忘れつつあった。

「………………」

 目当ての存在が一向に現れないからか、この青年の警戒心は徐々に薄れつつあった。しかし、ヴァリーはまだ件の怪物がいない、農夫の話は嘘だったという確たる証拠を見つけてはいないのだ。
 むしろ、薄っすら残った獣臭からして、何かがいるということは確定しているのである。

「………………ウガ……」

 そして、“それ”は既に近くにいた。油断しきった探索の素人である青年に気づかれず近づいていくなど容易いことなのである。

「………………」

 だが、“それ”は用心深くもあった。青年を確実に捕らえられる位置とタイミングだと確信するまでは不用意に行動を起こさず、ただ注意散漫な青年の動きを逆に注意深く観察していた。

「………………ウゥ〜……」

 そこは本来狂暴であるはずの彼女の種族らしからぬほどの慎重さである。

(どうやら今はいないようだ。ひとしきり見学した後帰るとするか)

 そんな彼女の際立った慎重さ故、その存在を気づかせなかった。そのため、愚かにも青年は怪物が今はいないと思いこんでしまった。

「ん? 何だろあれ」

 そうこうしている内に古城の一角辺りまで青年は歩いてきたが、そこで彼は瓦礫の下にあるものに気がついた。

「何か模様が書いてあるな」
「…!?」

 近づいて見てみると、瓦礫の下には隠し扉らしきものがあった。そして扉には油性の白い塗料で『奇妙に線が歪み、中心に燃える柱の描かれた五芒星』が描いてあった。
 ヴァリーは興味深そうにまじまじと見つめるが、青年の行動に今まで息を潜めて彼を監視していた“それ”は途端に動揺した様子を見せた。

「開くかな…?」

 そして青年がしゃがんで扉に触れようとした瞬間ーー

「ウガーーーーッッ!!」
「ーーッッ!?」

 ついに“それ”は我慢しきれず、青年に飛びかかった。

「うわぁぁ!!??」

 唸り声に反応し、すぐさま振り返った青年。途端に飛び込んでくるものに気づき、咄嗟に身を躱したため、“それ”はそのまま瓦礫に突っ込んでしまう。

「こ、こいつッ!? こいつが子鬼かッ!?」

 “それ”はあの農夫の語った通りの見た目をしていた。
 人間の少女と見紛うばかりの小柄で痩せ気味の体躯、足首まで伸びた薄っすら赤みがかった白いボサボサ髪。そして赤く汚れた薄絹を思わせる体にぴったりと貼り付く薄手のワンピースを着ており、血錆を思わせるくすんだ赤色の帽子を頭にかぶっていた。
 けれども、ギザギザの鋭い歯、刃物のように尖った長い両耳、額から天に伸びた一対の角という特徴から、この少女が人間でないのは明らかである。おまけに、手には体躯に不釣り合いな大鉈を携えている時点で人間に友好的な存在にも見えない。

「ウウウウ……」

 石材で出来た瓦礫に生身で突っ込んだため、“子鬼”は痛みで悶絶していた。一方、間一髪のところで躱した青年は驚愕と恐怖で足をふらつかせながらもなんとか離れようとした。

「ウガッ!?」

 やがて子鬼はなんとか落ち着きを取り戻す。しかしそこで、瓦礫に突っ込んだせいで扉の紋章が剥げてしまったことに気づく。

「ウガッ……ウガ〜〜ッ!」
「………?」

 青年を追いかけることも失念し、子鬼はその場で狼狽えるばかりであった。その奇妙な光景に青年はつい足を止めてそちらを凝視してしまう。

「ハッ! い、いけないっ!」

 せっかくの逃走のチャンスを無駄にしてはいけない。そう思い直した青年は狼狽する子鬼を尻目に走った。

「ウガッ!? ウガ〜〜〜〜!」

 青年がいなくなったことに気づいた子鬼も後を追いかけた。しかし、その様は狙っていた獲物を追いかけるというよりは、1人では心細いから追い縋るという表現の方が正しいように見えた。

「………………」

 2人がいなくなってからすぐ、地下への扉で何かの仕掛けが動くような音がした。そして続けて聞こえたのは、何かが這いずるような低い音であった。










「ゼー…ゼー……」

 息を切らせながらなんとか馬車まで走ってきたヴァリー青年。

「クソッ……」

 今更自分の迂闊さと愚かさが嫌になる。一歩間違えれば、今頃あの子鬼に喰われていたかもしれない。

「さっさと帰ろう……」
「ウガ〜〜〜〜!」
「!?」

 聞き覚えのある唸り声が聞こえて最悪の予感がしながらも振り返る。するとこちらに猛ダッシュしてくる子鬼の姿が目に入った。

「げぇ!?」

 思わず変な声を上げてしまったヴァリーだが、追ってきた子鬼から再び逃げようと、再び馬車の方に向いて走ろうとする。

「ウガ〜〜ッ!」
「おわぁっ!?」

 しかし、走る速さなら遥かに子鬼の方が上だった。こちらに走り寄って来た子鬼はそのまま跳躍し、馬車に辿り着かせることなくヴァリーを背中から押し倒した。

「ウガガ〜〜!」
「は、放せっ! 放せよぉっ!!」

 ヴァリーは地面に押し倒され抱きつかれながらも必死でもがく。背中に密着された状態ではラッパ銃も使えない。逃げるには力づくで放させるしかないのだ。
 けれども、子鬼は体躯に見合わぬ物凄い力だった。体格で大きく勝るはずのヴァリーが暴れても全く放すことが出来ない。

「ウガ〜〜!」

 だが、恐怖で必死に逃れようとする青年は気づいていなかったが、この子鬼もまた同様に恐怖で怯え、それを紛らわそうと青年に縋っていたのである。もちろん、それは青年を気に入ったという“好意”ありきの行動ではあったのだが……

「ウガッウガッ……」

 しかし悲しいかな、青年に抱きついている内に恐怖を段々と種族の本能が上回りつつあった。
 汗ばむ青年の全身から漂う牡の芳香を吸い、牝として昂りつつあった。

「ウガッ!」
「ぐあぁぁっ!?」

 すぐさま子鬼はいつもの攻撃性を取り戻す。握っていた大鉈を、無意識に彼の背中に叩きつけてしまったのだ。
 突如起きる異常な感覚に青年は苦悶の声を上げた。斬られた痛みこそ何故かなかったが、その代わりに体が異常にだるく、熱くなって動けない。

「う、うぅ」
「ウガッ♥」

 子鬼は動けなくなった青年を仰向けにし、上着を乱暴に脱がせ、その下のワイシャツを掴んで力づくで引き裂いた。ボタンの糸が千切れて飛び、青年の上半身が露わになる。

「ウ〜〜♥」

 子鬼は上機嫌で青年の胸板に頬ずりし、体に馬乗りになった。

(………綺麗だ)

 ここで改めて、青年は子鬼の顔を眺め、素直にそう思った。振る舞いは完全に獣じみているが、その面貌は人間の少女と比べ、明らかに美しい。やや薄汚れてはいるが、人外であるが故か、非常に整った顔立ちをしている。
 そして、その瞳は澄んだ海を思わせる透き通った青色で、吸い込まれそうなほどに輝かしいものだった。

「……♥」

 先ほどまで大いに恐怖し、今は陵辱されかかっているのにもかかわらず、青年が自身につい見惚れていたのに気づいた子鬼はとても嬉しそうな様子だった。狂暴な彼女達でも、男からそういう態度を取られるのはとても嬉しいらしい。先ほどまでとはうって変わって可憐な笑みを浮かべている。

「ウ♥」

 子鬼は馬乗りになったまま、仰向けの青年の前に顔を近づけ、キスをした。しかし先ほどと違いちょっと優しめで、まるで恋人同士の愛情の確認とでも言うように穏やかなものだ。

「〜〜っ…」
「んっ、んっ、ウウ♥」

 子鬼はヴァリーの口の中に舌を入れてきた。舌同士を絡ませ、歯をなぞる。お互いの唾液が交わり、口の周りにまで漏れる。
 その様はとても少女らしからぬ卑猥なものだ。もしこれを知らぬ者が見たならば、青年は少女との姦淫の罪で捕まるだろう。
 だが、不思議と青年の心に彼女への拒絶の気持ちは湧かなかったのは何故だろうか。

「ウ…♥」

 ひとしきり口と舌と唾液を交えたのに満足したのか、少女は口から涎を垂らしながら口を離した。

「いつっ!?」

 しかし今度はいたずらっぽい笑みを浮かべてしなだれかかった子鬼はヴァリーの首筋を吸う。愛撫というよりはわざとキスマークを付けるという感じか。ちょっと痛みを覚え、青年は声を出してしまう。

「♥」

 痛がる青年を尻目に子鬼は両手で青年の胴体をさすり、肉や骨の感触を確かめていた。時折指で突いたりくすぐったりしてその度に反応を楽しむと共に、初めて物にした男の肉体の感触を味わった。

「ウ♥」
「あつっ!」

 今度は青年の右の乳首に吸い付き、右手で左の乳首をいじった。少女にそんな真似をされた青年は驚き、またむず痒い感触となんとも言い難い快感に体をビクリと震わせる。そんな青年の様子も子鬼は楽しんでいる。
 続いて胸板に舌を這わせる。愛撫されて敏感になっている体のため、それだけで変な快感がある。また乳首を舐めたり、所々触ったりして青年の様々な反応を見ている。

「ウガ♥」
「あっ! これはちが…」

 子鬼は動けないヴァリーをそのように弄んでいたが、やがて青年の下着に小さな右手を突っ込み、まさぐった。しかし、そうなる前から既に青年の分身には血が集まり、痛々しく勃起していることには気づいていた。
 小さな女の子に弄ばれ、勃起していたという事実をヴァリーはプライドからつい否定するが、そんな彼を嘲笑うかの如く、子鬼は可愛らしくも意地悪な笑みを浮かべている。

「ウガ〜〜?♥」
「うっうう!」

 「何が違うんだ、お前♥」と言わんばかりに、ニヤニヤ笑う子鬼はヴァリーの下着をずり下ろし、大きくなった分身を右手で扱き始めた。手は小さいが手慣れており、体躯的には結構大きめと言える青年の怒張を時に緩急や強弱をつけて扱き、時に亀頭周囲や鈴口を集中的に弄ったりする。
 少女の見た目とは不釣り合いなテクニックの愛撫から生み出されるもどかしい快感に、青年はつい変な声が出てしまう。

(あっ、ああ……くる………)

 やがて青年の怒張の先端からは透明な粘液が多量に出始め、それが潤滑液となってクチュクチュと音を響かせ、手淫をさらに卑猥なものへと変える。
 青年も感じており、そして限界が近いことを感じていた。そんなもどかしい快楽と苦悶の様子、限界までの表情の変化もまた子鬼は楽しんでおり、実に意地悪で楽しそうな顔をしていた。

「ウガッ♥」

 もう出せと言わんばかりに子鬼は扱いていた肉竿を強めに握った。

「うあっ!!」

 ここで青年もついに決壊する。陰嚢で作り出された子種汁が肉竿から勢い良く噴き出したのだ。ヴァリーは普段自慰もしないのだから、溜め込んだそれが多量なのは当たり前であった。

「〜〜♥♥」

 勢い良く噴き出したそれを顔面や髪に多く浴びながらも、子鬼は実に上機嫌であった。充満する牡の精臭にうっとりとし、白い肌をかぶった帽子と同じく紅潮させている。
 そして匂いだけでなく精液そのものも味わおうと、顔や髪にかかったそれらを指ですくい取り、口に運ぶ。それが終わると今度は青年の体に先ほどと同じく舌を這わせ、汗と一緒に舐め取った。
 幼い少女が口の中でクチュクチュと唾液と混ぜ合わせ美味しそうに飲み込む様は、途轍もなく淫靡で背徳的な光景であった。

「ウガウガ♥」

 飛び散った精液を粗方舐め取った後で、精液で汚れ、しおれている肉竿に子鬼は顔を埋めーー

「はむっ」
「うぅっ!」

 今度は口に含んだ。

「ジュルルッッ!! ジュブブブブボボボボボボッッ!!」
「おぁああ!!」

 鋭く尖った歯を持つ割には、それが当たらぬよう非常に器用にしゃぶる。大きく膨張した男性器が子鬼の口に収まり、彼女はそれを強烈なバキューム力で吸い上げる。
 先ほどの愛撫によるもどかしい快楽とは違う強烈な刺激に、たまらずヴァリーは悲鳴を上げてしまう。

「んんっ、グボボッ!! ジュババババッ!!」

 小柄な少女の見た目の子鬼が唾液をたっぷり含んだ口だけでなく、時に咽頭にまで男根を呑み込む様は、途轍もなく背徳的な光景だった。そして見た目だけでなく、技術もまた熟練の娼婦顔負けの手慣れたもの。何処で身につけたのかは分からぬが、とんだ淫乱である。

(なんちゅうテクなんだ、この子鬼は!)

 しかし、人喰い牝子鬼に口淫されるという異常な状況にもかかわらず、青年の男根はその強烈な刺激で強い快感を感じていた。見た目に似合わぬテクニックもそうだが、子鬼がかなりの美少女である見た目をしており、そんな彼女の手荒な奉仕を受けていることも関係しているのかもしれない。

「ングッングッ」
「うぁぁああ!!」
「っ!! んんんん♥♥」

 2発目にもかかわらず、青年はまたすぐ射精してしまう。かなり出た白濁液を、子鬼はまるで甘い飲み物でも飲むかのように出る度飲み干していく。

「ウガッ♥」

 飲み干したところで、青年に確認させるかのように子鬼は口を大きく開いて見せた。精液臭こそするが、口の中には精液は全く残っていなかった。

「ウガウガッ♥♥」

 精液を飲んで上機嫌の子鬼は、今度は麻痺した青年の腰に跨った。

「や……やっぱり最後までするつもりなのか……」

 この体勢からして、そうとしか考えられない。手淫に口淫と来て、最後に生本番をするのだろう。しかしヴァリー青年は困惑していた。

「な……なんでこんなことするんだ……」

 何故自分と性交するのか。人喰い子鬼の意図が全く分からない。

「………」
「え?」

 そう問いかけられた子鬼は何故か俯き、先ほどの唸り声とは真逆の聴き取れないほどの小声で何かボソボソ言ったように聞こえた。

「………」
(小声すぎて聴こえない!)
「ス…」
(ス…?)
「スキッ!♥」

 最初の獣じみた態度、途中の上機嫌な感じとも違う。ある意味最も見た目に合った少女らしい恥じらった様子だった。
 手淫と口淫は平気でやったくせに、この『愛の告白』だけは何故か顔を、かぶった帽子に匹敵するぐらい赤くしてようやく叫んだ。

「へ…え…ハアァ!?」

 彼女の発言が理解出来ず、青年は素っ頓狂な声を上げる。

「す……スキって……好きぃ?」
「ウガ♥」

 青年の疑問に、子鬼は素直にこくりと頷く。

「ボクは食っても美味くないぞ!!」
「!?」

 しかし悲しいかな、一世一代の告白も青年には全く伝わっておらず、必死な形相で拒絶されたのだった。

「ウ…ウ…ウガァ〜〜ッッ!!!!」
「のわぎゃっ!!」

 それに怒った子鬼は傍らに置いておいた大鉈をヴァリーの頭頂部目がけておもいきり叩きつけた。

「う、あ、あ、熱い…」

 先ほどよりもさらに動けなくなるヴァリー。今度こそ本当に喰い殺されてしまうのだろうか?

「ウガッ!」

 憤慨した様子の子鬼だが、ヤることはヤるつもりだった。彼の肉竿を強く握って扱き、無理矢理勃たせる。

「ウ………」

 そして勃起させたグロテスクな肉竿を、自身の幼い女性器にあてがう。

「ガァァッ!」

 そのまま腰を下ろし、肉竿を自身に受け入れた。ブチブチという音と共に肉の槍は呑み込まれ、破瓜の血が結合部より滴る。

「ウ…ウガァ〜〜〜〜!!」

 さすがに痛みがあり、涙目になった子鬼は仰向けの青年の胸板に倒れ込み、震えていた。

(こ…いつ……)

 朦朧とする意識の中、その光景だけははっきりと見えた。
 子鬼は処女だった。そして今自分と交わり、“大人”になったのだ。

「ウガッウガッ……」

 さすがの子鬼も痛みはすぐ引くわけではないらしく、数分経ってもまだもたれかかって震えている。そもそもヴァリーのモノのサイズは体格的には大きめで、ましてや小柄な少女程度の体格の穴には本来不釣り合いな代物である。

「……!」

 震える子鬼はいつの間にかヴァリー青年の手を握っていた。その様は恐ろしい人喰いの怪物でなく、見た目相応の小柄な少女らしい弱々しいものであった。

「ウガッ……」

 やがて、少女は起き上がる。目に涙を溜めながらも、先ほどの狂暴そうな雰囲気に戻りつつあった。

「ウガッ……ウガッ……」
「……っ」

 そんな彼女は恐る恐るとはいえ、ついに腰を上下させ始めた。ただでさえ釣り合っていない膨れ上がった肉竿は狭い穴とその中にびっしりと生える襞に扱かれ、この体の熱とは違う無上の快楽を感じていた。

(な…んだ、これっ……! キモチ良すぎるッ……!!!!)

 脳がビリビリと音がするほど痺れる。伝えられる快感に混乱しているのか。
 認めたくないが、人喰いの化け物少女と交わってこれ以上ないほどに感じてしまっている。
 今の自分の姿を知己が見たら何と言うであろうかーー「お前はこんな幼い女の子とヤって性欲を満たすような変態野郎だったのか」とでも面罵されるのであろうか。

「ウガッウガッ♥♥」

 だが、そんな疑問もすぐに吹っ飛んだ。まともな思考も出来ないほどに、この少女との交わりは気持ち良いのだ。
 彼女の方ももう破瓜の痛みは引いたらしく、今では快楽を貪ることしか頭にないようだ。薄い尻を高速で上下させ、その度腹に陰茎の形がはっきり浮き上がるほどだが、青年同様に快楽は凄まじいらしい。子宮に亀頭が突き入れられる度それを感じて、美少女らしからぬアヘ顔を無様に晒している。
 そして破瓜の血に多量の愛液とカウパー液が混ざり、独特の異臭を放ちながら、水音と不釣り合いな双方の性器が擦れる音、尻と腰が打ち合う破裂音が周囲に響く。

「うっうぐぅ」

 少女に無理矢理犯され、暴力的な快楽にヴァリー青年は最早うめき声しか出せない。一方、子鬼は小柄な体躯からは考えられないほどの恐ろしい勢いで腰を上下させ、初めての交わりの感触を楽しんでいる。

(ザラザラしたヒダがっ……)

 痛いというほどではないが、狭い膣穴の中のザラザラした襞がよく絡み、その一つ一つが意思を持って蠢いているようだった。それらが鋭くも心地良い刺激を肉竿に与え、一刻も早い射精をねだるかのようだ。
 それらが常に生き物のように絡むの加え、子鬼は暴力的とすら言えるほどの激しい腰の振り方をするため、まるで脳に常に電流でも流されているかのような快感を覚える。

(これじゃまたすぐ出てしまう!)

 そんなのに長く耐えられるはずもない。手淫と口淫と同じく、限界はすぐに近づきつつあった。

「ウガッウガッ♥♥」

 犯している子鬼の方も青年の表情や腰の震えなどから、男の限界が近いのを察していた。

「ウガッウガッウガッウガッ♥♥」
「うああああああ!!」

 青年が情けなく声を上げるのも無理はない。ただでさえ恐ろしい速さだったのに、子鬼はトドメとばかりにさらにスパートをかけてきたのだ。

「うあっ……ああああああ」
「ウガアアアアアア♥♥ イクウウウウウウウウウウ♥♥」

 そうして、両者は同時に絶頂を迎える。本日3度目の吐精は、幼い女性器の子宮口目がけて行われた。密着した亀頭から吐き出された多量の白濁液は小さな子宮にドプドプと流し込まれ、子鬼少女の下腹部を少々膨らませるほどだった。

「ウガッ……♥♥」
「う……ああ……」

 幸せそうな顔で、子鬼は青年に微笑む。人喰いの化け物のはずなのに、その顔はとても美しくーー

「あ…はは……」

 青年が何故か笑ってしまうほどに、愛おしく感じられるものだった。

「………」
「「!!」」

 しかし、両者に性交後の余韻を楽しむ暇はなかった。
 『何か』が来る。途轍もなく恐ろしい何かがーー

「!?ーーうわああああ!!!!」

 それからすぐだ。ヴァリーがそれに気づいて悲鳴を上げたのは。
 胴回りが人2人分はありそうな途轍もなく巨大な白い大蛇、いやミミズかーー違う、1番近いのは『白象の鼻』か。そう形容出来るような長い触手のようなものがこちらまでゆっくりと伸びてきていた。

(! 死ーー)

 触手の先端にはびっしりと生えた鋭い牙が見えた。一目見た瞬間、感じてしまった。あれに捕まったら最期、貪り喰われると。
 それがヴァリー目がけ、一直線に伸びてきた。這いずるような遅さから一転、飛びかかる豹のような速さで。

「ウガアアアアアアアアアア!!!!」

 しかし、恐怖だけでなく、そもそも子鬼に斬りつけられたせいで体が動かない。そんな己の死を悟り、走馬灯を見かかっていたヴァリーを現実に引き戻したのは子鬼の咆哮だった。

「ピギイイイイイイイイイイイイ!!!!」

 牙の生えた先端がヴァリーの体に到達するかと思われた寸前で、跳び上がった子鬼の振り下ろした大鉈の一撃が、触手の先端をぶった切った。
 触手の基部は思わず耳を塞ぎたくなるおぞましく甲高い悲鳴を上げ、おなじぐらいの速さで引き上げていった。

「え…」

 ヴァリー青年は起きた出来事に呆然とする。

「お前…」

 どういうことだ? あの触手はこの子鬼とは違う化け物だ。しかし両者は仲間などではないのは、子鬼の行動からして明白だった。では、そもそもこの子鬼は何なのだ?

「……もしかして人喰いは“あっち”の方で、お前は違うのか……?」
「ウン」
「!? お前喋れるのか!?」

 青年からの問いかけに、素直に頷く子鬼。しかしそれ以上に驚いたのは、短いとはいえ唸り声でなく普通に返事したことだ。
 とはいえ、さっきは「スキ」と普通に彼に伝えてはいるのだが、それ以外は唸り声しか上げなかったので無理もない。

「イマはボウシがシロい。だからシャベれる」
「あ……」

 たどたどしいが、人語を喋っている。見れば、確かに先ほどと違い、赤錆色だった帽子が今は白くなっている。

「なんで帽子の色が変わったんだ?」
「オマエとマジワッてセイをノんだからダ」
「………………」

 原理はよく分からないが、今はそう納得するしかなかった。





 この“レッドキャップ”という子鬼は、最近になって他の土地から流れてきたよそ者で、そもそもこの土地の人喰いの怪物伝説に全く関係のない存在だった。紛らわしい話だが、では何故ここに住み着いたのかというと、そもそも廃墟や古城跡を好む性質だからである。独り者のレッドキャップは、基本的にはそのような場所を選んで住んでいるそうだ。
 しかし、彼女の住んだこの古城跡は、先にあの化け物が住み着いていたのだ。とはいえ、伝説に出てくる魔術師によるものかは不明だが、彼女がやって来た時点では既に封印が施されていたが、それは弱い物で、やろうと思えばあの化け物は突破することは出来るらしい。
 だがあの化け物は待ち伏せ型の狩りをする上、そもそも出せるのは触手だけ。そのため誰かが側まで近づきさえしなければ大丈夫である。
 ところが、曰く付きの土地とはいえ、たまに不届き者がやって来ることがある。だから、封印を解かれて誰かが喰われるのを恐れた彼女が威嚇して追い返していた。
 ヴァリーもその1人であるわけだが、彼は今までの連中と違ってこのレッドキャップの好みであったらしい。そのため追い返さず様子を窺っていたところ、不用意に封印のための『旧神の印』をどかそうとしたため、止めようとしたところおもいきり突っ込んでしまい、怪物の封印が解けて自由になってしまったというわけである。

「それで、こうすればいいのか?」
「ウン」

 ヴァリーは腐りかけた垂木を拾い、その先に怪物の触手の一部から滴る血を付けた。そしてレッドキャップが突っ込んで削ってしまった紋章の上から再び描き直す。

「これでいいか?」
「ウン」

 『旧神の印』は怪物の血で描き直された。彼女が言うには、この方が下手な塗料より余程効果があるそうだ。

「ささやかな刺激が欲しかったんだけどな〜……」

 地下への扉の前で目を瞑り、今日一日を振り返る青年。怖いもの見たさで死にかけたとは、なんと愚かな話だろう。あの農夫のことを自分は笑えまい。

「ウガッウガッ」
「重いぃ〜〜」

 描き直した紋章の上に、2人は慎重に瓦礫を運んで載せていく。原始的なやり方ではあるが、瓦礫を載せて隠すことで人から見えなくし関心を抱かせなくさせるというのは、なんだかんだで効果が大きい。

「これでしばらくは誤魔化せるだろう」
「ウン」
「私に魔術師の知り合いでもいればなぁ〜」

 そうしたら、この怪物がどんな存在なのか少しは分かるかもしれない。

「はぁ、今日は疲れた。体もベトベトだ……」
「キモチヨカッたろ?」
「なんでお前偉そうなんだよ……」

 薄い胸を張ってニンマリ笑うレッドキャップに呆れる青年。

「帰るか…」
「ウン」
「……お前の家はここだろ」
「イマからオマエとイッショにスむ」
「ハァァ!!??」

 そう宣言されて驚く青年。

「イヤだよ!」
「ウガッ……」

 当然拒否するがレッドキャップはギラリと目を光らせ、大鉈を構えた。

「! ああもう分かったよ!」
「ウガ♪」

 レッドキャップはヴァリー青年に抱きつくと、2人は馬車まで歩いていった。





 こうして無理矢理一緒になった2人であったが、まあなんだかんだで上手くやっている。しかし、件の怪物を忘れたわけでなく、封印が破られていないかどうかたまに見に来ている。
 レッドキャップの見立てでは、今の所犠牲者は出ていない。こいつのせいで2人は出会ったのであるが、2人ともこいつを仲人と呼ぶ気にはなれないとのことだ。
21/10/29 16:42更新 / フルメタル・ミサイル

■作者メッセージ
備考:人物&怪物紹介

ヴァリー

 やや長めの茶髪に眼鏡をかけた、なかなか整った顔立ちの優男で、“モノ”のサイズにも自信ありとのこと。この地方での行商で生計を立てている。
 仕事自体は真面目にこなしていたが、代わり映えしない日常に退屈を覚え、ささやかな刺激を求めていた。そんな中、子鬼の目撃情報を聞いたことで、曰く付きの古城跡へと出向くことに。そこでレッドキャップに出くわし犯されるも、同時に化け物とも遭遇しささやかどころでない恐怖体験をする。
 その時の縁で、なんだかんだでレッドキャップと夫婦になった。それ以後は古城跡の封印の監視を続けながら、妻となった彼女と一緒に行商を行なっている。

レッドキャップ

 古城跡に最近住み着いたレッドキャップで、人喰いの怪物と思われていた。種族的には珍しい、海のように澄んだ青色の瞳を持つ。
 知性を持つ魔物娘であるが、帽子が赤い興奮時には唸り声しか発することが出来ない。そのため、普段は言葉で意思の疎通が出来ず、古城跡にやって来た者を威嚇して追い返すことしか出来なかった。ただし、それは人喰いの怪物の犠牲を出すまいとする彼女の優しさによるもので、種族柄凶暴だと勘違いされがちだが本質的には思いやりの深い優しい性格。
 やって来たヴァリーを気に入りつけ回すが、彼が知らずにうっかり怪物の封印を解こうとしたため止めようとしたところ、自分で解放する羽目になってしまう。ヴァリーを犯している最中、襲い来る怪物の触手をぶった切り彼を救った。その後彼と一緒になり、封印の監視を続けつつ以前とうって変わって文明的な生活を送っている。

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 古城跡に住んでいた怪物。かつて魔術師によって養われていたのはこちら。地下室に運び込まれた時には幼体だったようだが、邪悪な魔術師に与えられる餌の人間を貪り喰う内にどんどん大きくなり、やがて地下室から出られなくなるほどの巨体へと成長した。
 出てきたのは触手のみだが、地下室の中に収まった巨体は形容し難い奇怪な姿をしているようだ。人喰いではあるが、生贄を捧げることで他の神と交信をさせてくれることもあるという。
 一説には『偉大な蛇神の息子』とも言われ、混沌の魔物の中でも上位の存在であり魔王の魔力の影響を受けないほどだというが、真相は定かでない。

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