連載小説
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どう扱えば良いのかわからない来訪者。(※別の話と世界軸の繋がりあり)
※この話は、人間の原価は基本的に0円、なら価値を決めるのは…と繋がっています。よろしければそちらから読むことをおすすめします。

それからしばらくは平和な日々が続いた晩秋のある昼下がり…

和也「…?」

そのままモニターを見ると、黒髪の魔物とその伴侶らしき男がいる

和也「誰だ…?予定はないはずだが」

楓『まさか…いやそんな…』

和也「知り合いか?」

楓『とりあえず、上がってもらいましょう…』

和也「どちら様で…」

???『なるほど…お主が…』

和也「話が飲み込めないんだが…」

楓『姉さん…』

和也「姉がいたんかい…」

楓『えぇ…姉さんは力、つまり妖力を高めることは得意でも抑えることは壊滅的に苦手だったからすぐに封印されてしまったわ…』

和也「何らかの理由で解放されたわけか…」

???『そういうことだ』

すると、彼女のそばにいた男が口を開く

???「理由を作ったのは俺だ」

和也「俺は小林和也、君は…」

???「光、訳あって名字は名乗りたくない」

和也「なら、そのまま光で良いのか」

光「それで頼む」

楓『姉さんも幸せそうで良かった…』

???『妾は椿だ、妹が世話になっているようだな』

和也「それだけではないんだがな…」

椿『???』

雫『母さんに姉がいたなんて…』

瑠璃『私の大伯母にあたるひと?』

椿『娘がいたのは覚えているが孫まで居たのか!?…って妹たち三人を相手に出来るお主は何者だ!?』

和也「インキュバスだ」

椿『いや、そうではなく…』

光「椿のそんな顔初めて見た…」

椿『純粋な古代種とそれに匹敵する魔物2人を相手に出来る男…世の中は広いな…』

椿は心底驚いている

雫『私は雫です。叔母様、初めまして』

椿『あ、うむ…初めまして…』

瑠璃『私は瑠璃です。大伯母さん、初めまして♪』

椿『名で呼んで構わない』

和也「俺からしたら親戚なのは確かだが扱いは…」

椿『そうなるからだ…お主が三人まとめて娶っている以上扱いに困るのは確実だろうからな…』

光「確かに」

和也「そう言えば、2人はどうやって?」

椿『妾は先ほど言っていたように妖力を高めることは得意でも抑えることはほぼ出来ないと言える状態であったから楓より前に厳重に封印されていたのだ』

光「それを俺が捨て身な好奇心で解いたわけだ」

和也「捨て身な好奇心?」

光「俺には、かつて捨てた名前がある」

和也「…親絡みか?」

光「そうだ」

和也「なるほど…俺も一時期家族が崩壊しかけたことあったからな」

光「小林、和也…まさか」

和也「…」

光「解放戦線と戦って壊滅させた人の一人?」

和也「ああ、そうだ」

光「納得…」

椿『解放戦線?』

楓『あとから話すわ…』

光「俺は、親から捨てられた施設育ちで施設は不正があって職員が捕まった」

和也「なるほど…それで風当たりが…?」

光「そうだ、そしてやってられなくなったところに異界から飛んできた椿の祠があった」

和也「で、解放したのはパンドラの箱ではなく掘り出し物だったと」

光「そうだな…」

和也「で、会いに来た他に何か用事が?」

光「それは…」

和也「まあ良いや、敵でないことわかったから今日は泊まっていくと良い」

椿『ありがとう』

和也「積もる話もあるだろうし、俺ははずした方がいいか?」

楓『必要になったら呼びますから、彼に部屋を案内しておいてくれますか?』

和也「わかった」

そのまま俺は彼に部屋を案内することにした

光「広っ!」

和也「俺たちにここを紹介した証人が『古代種の旦那たるものこれくらいの屋敷に住むべき』と言われてそのまま契約させられた。まあ魔力変換ですぐに金の問題は解決したが」

光「なるほど…」

和也「ここなんて良いな」

俺たちの寝ている寝室の隣の部屋を俺は選ぶ

光「ありがとう」

それから俺は彼女たちの部屋の前で待つ

楓『終わりましたよ』

和也「ああ。」

椿『お主もなかなか波乱万丈な人生を送ってきていたのだな』

和也「聞いてるなら、その経験から俺は心にある敵に対して容赦するための器官が機能しなくなったか壊れたかした」

椿『全く、人間は醜いものだ』

光・和也「確かに」

瑠璃『まあ、私たちに出会えたのもそれが理由だしね…』

椿『そいつらはどうしたのだ?』

和也「一人は一発思い切り顔面に拳をめり込ませるほどぶん殴ってもう一人は関節技をかけて肩関節を外したら気絶した」

椿『面白い男だ』

楓『でしょう?』

和也「だから主神教団の連中にはほぼ負の感情しかない」

椿『そうであろうな…』

和也「滅んでしまえば良いものを」

椿『まあ、今の魔物のやり方では解放戦線の連中さえ殺さぬとなると被害者たちは「自分達は助けなかったのにあいつらは生かすのか?」と言われ非難を受けるであろうな…』

和也「それもこれも彼女たちが招いたこと、甘んじて受け入れてどうぞ。だと思う」

椿『違いない』


楓『もともと敵に容赦のない考え方してるからそこは合うのかも…』

雫『まあ、へんなことしないならそれで良いんじゃない?』

瑠璃『確かに』

和也「なら、夕食の下ごしらえやるかな」

楓『そうね…』

椿『なるほど…本当に助け合っているのだな…』

和也「なんと言うか、彼女たち力はあるけど性格は割と穏やかなようで」

椿『まあ、力の調整と性格は比例するからな』

和也「なるほど」

光「まさか、椿にこんなに親戚いたなんて」

和也「俺はそこは俺も同じだ」

瑠璃『よし、これで良いね♪』

下ごしらえが終わったので俺たちは居間に戻る

和也「暖炉が必要な季節になったな…」

雫『そうね…』

椿『幸せそうで何よりだ…♪』

和也「です」

椿『まさか同じ時代に妾たち古代種の好みに合う精を持つ未婚のものが二人もいるとは』

和也「確かに」

そんなことを話していると日も暮れてきたので夕食の準備することにした

和也「良い肉が入ってきたのは良かったな」

瑠璃『うん♪』

椿『美味そうな匂いがしてきたな…』

それからしばらくして、鍋は出来た

和也「寒いときは鍋物に限る」

楓『ふふ♪』

暖かい鍋は寒い日には本当に美味しい、楓たちは幸せそうな顔をしている…

和也「〆はどうする?」

楓『雑炊にしませんか?』

和也「異論はないな」

瑠璃『うん』

雫『大丈夫です』

椿『和也』

和也「??」

椿『お主も飯を作るのだな』

和也「まあ、な」

椿『旨かった』

和也「まだ終わってないぞ」

そのまま卵とご飯を入れておじやを作る

和也「よし、出来た」

おじやもよそって食べていく…いろいろな食材の旨味が出ていて美味しい…

和也「さて、洗い物やらないと」

洗い物を終えて、風呂をいれる

椿『む』

和也「??」

椿『ここはどうやって水を?』

和也「魔力で転送してる」

椿『なるほど…』

和也「と言うよりも頑固な主神教団の国を攻め落とすのに間接的な仕事してるから」

椿『確かに、発生する魔力は高いであろうな』

和也「よし、沸いた」

そう話していると風呂が沸いたので先にはいるように言う

椿『ありがとう』

和也「ふう…」

彼女たちが風呂場に行き、俺は伸びをする

瑠璃『ふふ』

和也「???」

楓『打ち解けたようで良かった』

和也「なんと言うか、言うだけある相手だってわかれば扱いは割と楽に感じた」

雫『確かに』

和也「さてと、待つか」

瑠璃『うん』

和也「…」

彼女たちがくっついてくる、暖かい…












その頃

椿『ふう…あの温泉に負けずの湯だ…』

光「だなぁ…」

椿『幸せそうで良かった』

光「確かに…」

椿『これなら安心だ…』

光「これからどうする?」

椿『そうだな…明日聞いてみるか』

光「そうしよう」


それからしばらくして二人は上がってきたので俺たちも風呂場に向かう

和也「ふう…」

瑠璃『暖かい…』

雫『柚子入れて良かった』

楓『買っておいて良かったわ…』

しっかり浸かって身体を洗ってから上がる

和也「なら、寝るか?」

楓『ですねぇ…初日は控えないと…』

雫『収まりつかなくなりそうだしね…』

瑠璃『うん…』

そのまま俺たちは眠りに落ちていった…

おわり
21/11/12 22:34更新 / サボテン
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■作者メッセージ
どうも、サボテンです

今回の話はいかがだったでしょうか?

ご意見、ご感想などありましたらよろしくお願いします

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