読切小説
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日本昔エロ話『コンキツネ』
 むかーしむかし。ある山に「コン」という一匹の子狐がいました。コンは一人ぼっちの子狐でシダの一杯、茂った森の中に小さな巣穴を掘って住んでいました。勿論、それはコンの両親が今流行りの育児放棄をしたとか虐待があったからなどではありません。結婚して早百年。その間、まったく愛情を衰えさせない両親の生活を邪魔しないようにコンは自らの意思で親元を離れたのです。今風に言えばコンは空気の読めるれでぃなのでした。
 
 さて、そんな子狐のコンではありますが、両親から食べ物を得る方法はしっかりと教わっています。偉大な七尾である母親にも褒められたその技術を使えば、食料を得るのはそう難しい事ではありませんでした。着物も家へと帰った時には母親から素晴らしい手縫いの一品を贈られるので、一人暮らしでも特に不満はありません。
 
 しかし、そうやって満ち足りたからこそ、好奇心一杯の子どもであるコンは色々と疼いてしまうのです。特に悪戯心に溢れたコンは夜でも昼でもふもとの村へと降りて悪戯をしてしまうのでした。畑に入って芋を掘り返したり、菜種殻の干してあるのへ火をつけたり、百姓の家に吊るしてある唐辛子をむしりとったり、いろんな事をしました。
 
 ある秋の事でした。二、三日雨が降り続いたその間、コンは外へも出られなくて穴の中へとしゃがんでいました。その心は勿論、退屈さで一杯です。七尾である母親の力を借りて作られたその穴の中はベッドに囲炉裏などが完備されている上に保存食もしっかりと残っていました。三日程度、外に出られない所で何の支障もありませんが、それでも退屈なのは変わりません。
 
 「早く雨あがらないかなぁ…」
 
 コンが何日も振り続ける雨を扉から見て、そう呟いたのは一度や二度ではありません。子どもながらの活力に溢れたコンは家でこもりきりでいるよりも外へと出て思いっきり身体を動かすほうが好きなのです。悪戯をしない時でも思いっきり山の中を駆けまわってその幼い身体に収まりきらない活力を発散してるのですから。
 
 「…ふぅ」
 
 そう溜め息を吐いた瞬間、コンの目に自らの姿が目に入りました。ふんわりとした金色の髪はまるで黄金そのもののように光か輝いています。肩ほどで短く切りそろえられているその髪は思わず指を梳き入れたくなる魅力に溢れていました。妖しい光を放つ紫の瞳は幼いながらに蠱惑的で見るものをドキリとさせる輝きを湛えています。まだまだ発展途上の肢体は小さいものですが、そのきめ細やかな肌は大人にも負けない張りと艶に溢れていました。
 
 その身体を包んでいるのは目も覚めるような鮮やかな赤い布地に金色の刺繍をされた独特の服でした。胴体を上から一枚の布ですっぽり覆ってしまうその独特の形は彼女の住む地域にはあまり見られないものです。コンは良く知りませんが、それはお隣の霧の大陸という場所で広く見られるタイプの衣服なのでした。しかし、一般的にあちらで見られるものとは違い、コンの丈は犯罪的に短いものです。少し動き回れば、見えちゃいけない大事な所まで見えてしまいそうなその短さは彼女のはつらつとした活力の中に混じる退廃的な色気を掻き立て、村の男衆をドギマギとさせているのでした。
 
 「ふふ…♪」
 
 そのままコンがクルリと後ろを向けば、今度は小さな尻尾が鏡へと映ります。一人前の淑女としてコンが毎日、手入れを欠かさないその尻尾は髪にも負けない立派な輝きを放っていました。彼女の自慢の一つでもあるその尻尾を鏡の奥にいる誰かに見せつけるように揺らしながら、コンはひとつ笑います。
 
 「えへへ…♪」
 
 コンは自分の姿が大好きでした。だって、それは大好きな両親からそれぞれ受け継いだものの結晶なのですから。スラリと通った鼻筋や切れ長の瞳こそ母親似ではありますが、目元は父親にそっくりです。ジパングでは珍しい髪の色も母親譲りですが、ちょっと跳ねた癖っ毛は父親から受け継いだものでした。その他、コンの身体は両親の要素が合わさって出来上がっているのです。寂しい時でも自分の姿を見れば、両親の存在を感じられて嬉しくなってしまうのでした。
 
 
 
 そんなコンが退屈さに飽き飽きしていたある日の事。ようやく上がった雨に負けないように太陽は輝いていました。雲ひとつないカラッとした快晴にコンは思わず嬉しくなって外へと飛び出しました。まだ地面が少しばかりぬかるんでいるのにも構わず、走りだせば、小さな家の中に閉じ込められていた身体が歓喜するのを感じます。そんなコンに負けないように木では百舌の声がキンキンに響いていました。
 
 そのまま勢い良く村の近くの川辺へと飛び出せば、コンの目にキラキラと輝くものが入ります。それは辺りに生えたススキの穂に雨の雫が残っており、太陽の光を反射しているからでした。
 
 「わぁっ!」
 
 雨後独特の美しい光景にコンの口から感嘆の言葉が漏れ出ました。彼女は雨は大嫌いではありますが、こうして雨後の山の姿を見るのは大好きなのです。普段は何でもない風景も雨の雫でとても幻想的に見えるのですから。違いの分かる淑女であるコンはまるで異世界のような光景を演出するススキに勢い良く飛び込み、そっとその間から川へと顔を出しました。
 
 「おぉー」
 
 そんな彼女の視界に茶色に濁った水が勢い良く流れていく光景が入ります。何時もは水が少ない川も三日間続いた雨を押し流そうと必死になって働いているのでした。雨の振っていない日には水に浸かる事のない川辺のススキや萩のかぶが濁った水で横倒しになるほどの勢いです。
 
 「んんー…」
 
 コンは唐突にその中に飛び込んでしまったらどうなるのだろうかと考えました。どれだけ水の勢いを増したとは言え、所詮は小さな小川です。入った所で水に攫われる事はないでしょう。雨が演出する何時もとは違う光景の中、今しか感じられない事をやってみたいと思うのは好奇心旺盛なコンには当たり前の事でした。
 
 「でも…」
 
 そう。しかし、そんな事をしてしまえば、母親がコンの事を思って作ってくれた服が汚れてしまうかもしれないのです。コンは一人で洗濯も出来る立派な淑女なので汚れても問題ないのですが、意図的に汚すのは何か間違った気がしてしまうのでした。それは幼いコンが服を汚して帰ってきた時に何度も母親に怒られた教育の成果なのですが、幼いコンにはそれを自覚する事はありません。
 
 「仕方ないなぁ…」
 
 結局、コンは川に入る事を諦めて、そのまま川下の方へと歩くことにしました。ススキを分けるようにぬかるんだ道を歩くのはちょっとした冒険気分です。時折、転びそうになるのをこらえながら、コンは幼い冒険心を満足させていました。
 
 「ん?」
 
 そんな風にコンが大分、村へと近づいた頃。ススキの間から川の中に黒いものが立っているがチラリと見えました。それに興味をそそられたコンは息を殺しながら、ゆっくりとそちらへと近づいていきます。草の深い所へ音を立てないように歩み寄れば、コンはそれが何者なのかすぐに分かりました。
 
 「あれ…兵十?」
 
 ボロボロの黒い着物を来た二十歳前後の男性。男性らしい角張った顔立ちはいかつくまるで周りを威圧しているようです。短く切り込んだ髪が独特の迫力となっているのが相まって、まるで山賊か何かにも見えました。しかし、コンはそんな兵十を恐れる事はありません。コンは兵十がその外見とは裏腹にとても家族思いで心優しい男性である事を知っているのです。
 
 「何をしてるのかな…?」
 
 そう呟きながら兵十の様子を注意深く観察してみれば、彼はボロボロの着物をたくし上げ、腰のところまで水に使って魚をとるはりきりという網を揺すっていました。ねじった鉢巻を巻いた額には汗が浮かび、兵十の精悍な顔を濡らしています。村一番の働き者である兵十がそんな風に汗まみれになった姿をコンはあまり見たことがありません。きっと何時間も前から彼はこうしているのでしょう。
 
 「(でも…いったい、どうして?)」
 
 今の季節は秋。一年で最も豊かな実りの季節は百姓である兵十が忙しい事を意味しているのです。久しぶりに雨があがった事と相まって、収穫と次の年の準備をもう初めていなければいけません。日が落ちれば作業できないのも相まって、悠長に川で魚を取っている場合などではないのです。それは働き者の兵十も良く分かっているはずでしょう。
 
 コンがそんな事を考えている間に兵十ははりきり網の一番後ろの袋のようになったところを水の中から持ち上げました。その中には芝の根や草の葉や腐った木切れなどがごちゃごちゃに入っていましたが、ところどころに白いものがキラリと光っています。それは太いうなぎの腹や大きなキスの腹でした。兵十はそれを満足気に確認してからびくの中へとうなぎやキスをゴミと一緒に入れました。そして、またふくろの口を縛って、水の中へと入れました。
 
 「(面白そう…)」
 
 それはコンが見たことのない動作でした。魚を取るなど素手で十分事足りるコンにとって、そのような道具は初めて見るものだったのです。自然、コンはその道具を自分で触ってみたくてウズウズとしだしました。しかし、兵十がその場にいる以上、コンは茂みから飛び出す訳にはいきません。そう自分に言い聞かせて、彼女はじっくりと兵十の事を観察し続けました。
 
 そうしている間に兵十はびくを持って川から上がります。そのままびくを土手に置くと何かを探しにか川上の方へと駆けていきました。それを確認したコンはチラリとススキから顔を出し、ゆっくりとびくの方へと近寄っていくのです。
 
 「まったく…相変わらず迂闊な人なんだから」
 
 そうコンが呟くのは最後まで自分に気付かなかった兵十の事です。村でも悪戯狐として有名になったコンがいなかったとしても、こうして魚が入ったびくを置いていくのは迂闊としか言い様がありません。悪意を持った第三者が通りかかれば、そのまま魚ごと持って行かれかねないのですから。この近くには兵十たちの村しかないとは言え、あまりにも無用心過ぎるでしょう。
 
 「ま、お陰で私が触れるんだから有難い話なんだけれど」
 
 そう言ってコンはゆっくりと笑みを形作りました。その強面とは裏腹に注意力に優れているとは言えない彼はどんな悪戯にもすぐに引っかかってくれるのです。その上、何時、どんな悪戯を仕掛けても他の誰よりも面白い反応を返してくれるのでした。そんな兵十の事がコンは大好きで、ついつい彼にばかり悪戯をしてしまうのです。それは少年が気になる相手の気をひこうと悪戯をする事とまったく同じでありましたが、幼い彼女はそれにまったく思い至る事がありませんでした。
 
 「それで…これどうやって使うんだったっけ…?」
 
 コンがびくの前で首を傾げながら、ゆっくりとそれを持ち上げました。丁寧に組まれたそのびくの中で何かが跳ねたり蠢いたりしているのが伝わってきます。一体、中で何が起こっているのか。気になったコンはびくの口を見様見真似で広げてみたのです。
 
 「うわぁ」
 
 そこにはピチピチと跳ねるキスとぐねぐねと動くうなぎがいました。どちらも捕れたてでとても活きの良いものです。きっと焼けば脂の乗った身を味あわせてくれるでしょう。特製のタレと合わせれば、より香ばしい匂いを掻き立ててくれるはずです。その想像に思わずよだれが出そうになりましたが、コンはそれを頭を振って振り払いました。コンは悪戯好きではありますが、犯罪をしたい訳ではないのです。ここで兵十のものを自分のものにすれば犯罪になってしまうのでしょう。
 
 「んー…」
 
 しかし、こうして兵十の大事なものが手元にあるのに何もしないのも何か違う気がするのです。なにせコンは自他ともに認める悪戯狐。それも兵十に構って欲しくて悪戯してしまう性格をしているのです。この魚を逃せば、きっと兵十はいつもの様に必死になって追いかけてきてくれる事でしょう。そう思うと何となく全身がウズウズして、居ても立ってもいられなくなってしまうのです。
 
 「……えいっ♪」
 
 少しばかり良心と格闘した後、コンは魚を川へと放り込み始めました。ドボンという音と共に魚たちは濁った水の中へと潜っていく来ます。無論、もう一度、はりきり網に掛からないように投げ込むのは網よりも下流の方です。もう哀れな魚が兵十に捕まって食べられる事はない。そう自分に言い聞かせて良心を納得させたコンは最後にうなぎをつかもうと手を伸ばしました。
 
 「あれ?」
 
 しかし、うなぎは他の魚とは比べ物にならないほどぬるぬるとしているのです。ましてや活きの良いうなぎはまだまだ元気一杯で食べられまいと必死にあがいているのでした。何度となくコンは掴もうとしましたが、その度に太いうなぎは彼女の手をすり抜けて逃げてしまうのです。
 
 「むー…っ!」
 
 自分は助けてあげようとしているのに一体、どうして逆らおうとするのか。そう思うとコンは何となく腹が立って来ました。それでも何とかしようと手を動かし続けましたが、最後には諦めてびくを直接川へと傾ける事に決めたのです。
 
 「よいしょっと」
 
 魚が沢山入るように編まれたびくをコンはゆっくりと持ち上げ、川辺へと近づいていきます。そのまま大きく振りかぶって川へと振り落とそうとした瞬間――
 
 「うわあ、ぬすっとぎつねめ!!」
 「ひにゃ!?」
 
 遠くの方からコンを見つけた兵十の声にコンはその身体を硬くしました。瞬間、勢いが中途半端に殺されたびくからうなぎがポンと飛び出し、コンの首にぎゅるりと巻きつくのです。ぬめぬめと気持ち悪い上に息苦しいその感覚にコンは反射的にうなぎを引き剥がそうとしました。しかし、ぬるぬるとした太いうなぎは予想以上に力強く、まったくコンの首から離れてはくれません。
 
 そうしている内に兵十はコンの方へと駆け出していました。茂みの間から見えるその顔は怒りで真っ赤になっています。しかし、それはコンの知らない表情でした。今までどんな悪戯をしても兵十がここまで怒りを顕にする事はなかったのです。だからこそ、コンは安心して彼に悪戯を仕掛ける事が出来たのですから。
 
 「(に、逃げないと…!)」
 
 ただでさえ強面の兵十が怒りを浮かべて走ってくる姿はそれだけで背筋が冷たくなるものでした。今まで感じたことのない恐怖に突き動かされるようにコンは横っ飛びに茂みの中から駈け出し、一生懸命に逃げました。
 
 川を超え、木々の間を縫い、反り返った小さい崖を駆け上がってようやく一息吐いたコンがゆっくりと振り向けば、そこには兵十はいませんでした。どうやら追っかけては来なかったらしい。その安堵を胸に浮かばせて、コンはゆっくりとうなぎを外すのにとりかかりました。
 
 「…結局、盗んできちゃったなぁ…」
 
 そんなつもりはなかったとは言え、結果的には盗人になってしまった自分。これでは両親に顔向け出来ないとコンはそっと溜め息を吐きました。しかし、どれだけ悔いてもやってしまった事は変わりません。それよりもこれから先の事を考えるべきでしょう。
 
 「…近い内にうなぎを持って行ってあげよう」
 
 母親から嫁入り修行の一貫としてこの辺りで捕れる魚の捌き方を全て教えてもらったコンにとっても、うなぎを捌くというのは難しい行為でした。母親は魚によく合う特製のタレと合わせれば、ほっぺたが落ちるような料理を作ってくれるものの、コンはまだまだその領域には達していないのです。しかし、コンは母親の料理をそのまま持っていくのはお詫びとしては何か間違っている気がするのでした。
 
 「(練習すれば…きっとすぐ出来るようになるもん)」
 
 両親の生活を邪魔する事になるのは心苦しいですが、実家に帰ってすぐさまうなぎの捌き方を練習しよう。そして、出来上がった料理を兵十に持っていけば、人の良い兵十はきっと許してくれる。そう自分に言い聞かせながら、コンはうなぎを実家へと運び始めました。
 
 「でも…何で追いかけて来なかったんだろう?」
 
 そう。兵十はこれまで見たことがないほどの怒りを浮かべてコンへと駆け寄っていたはずなのです。しかし、冷静に思い返してみれば、その形相とは裏腹に彼の足音を殆ど聞いた記憶はありません。幼いとは言え、コンとて魔物。その身体能力は飛び抜けていますが、あっという間に成人男性を置いてけぼりに出来るほどではありません。それを普段の悪戯で誰よりも良く理解しているコンには途中で兵十が追いかけるのを止めたとしか思えないのです。
 
 「まぁ、いっか」
 
 どうせ考えても答えの出ない事だ。それよりも今は日頃のお詫びも込めて美味しいうなぎ料理を作る事に集中する方が良い。そう考えたコンは思考を切り替えながら、足を進めたのでした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 その十日ほど後、コンは蓋をされたお皿を両手に持ち、背中に小さな鍋を背負いながら村を訪れていました。平ぺったい皿の方には特製のタレと共に蒲焼にしたうなぎがあり、釜の方には肝吸いが入っています。久しぶりに帰ってきた我が子に喜んだ母親にみっちりしごかれて作ったそれらの料理は他ならぬ母親にも太鼓判を押された一本でした。
 
 「えへへ…」
 
 それを運ぶコンの顔には笑顔が浮かんでいます。普段、コンは悪戯ばっかりしているとは言え、人に喜ばれる事をするのが嫌という訳ではないのでした。まして相手は憎からず想っている兵十なのです。きっとこれなら兵十も喜んで食べてくれる。そう思っただけで彼女の頬はだらしなく緩んでしまうのでした。
 
 「ん?」
 
 そんなコンが弥助という兵十とも仲の良い百姓の家の裏を通りかかった瞬間、弥助の家内がお歯黒をつけていました。滅多に見ないその姿に何をしているのか気になりましたが、それよりも今は兵十に詫びる方が先です。疼く好奇心をそう押さえつけながら、コンは通り過ぎました。
 
 しかし、その次の家でも、またその次の家でも、皆が何かの準備をしてるのです。よそ行きの着物を取り出したり、髪を念入りに梳いている女性の姿など滅多に見ません。今は一年の中でも特に多忙な時期ですし、そんなお化粧をしている暇など百姓にはないのです。
 
 「なんだろう…?秋祭りかな?でも、祭りなら太鼓や笛の音がすると思うんだけど…第一、お宮にのぼりが立つだろうし」
 
 そんな女性たちの姿に後ろ髪を引かれるような感覚を覚えながら、コンはポツリと呟きました。しかし、人里の行事に疎いコンにはその疑問を解消する術を知りません。こっそりと村人たちの話に耳を傾ければまた違うのかもしれませんが、彼女にそんな暇はありません。
 
 コンがそのまま疑問を解きほぐせぬままに足を進めれば、彼女の視界に赤い井戸が見えました。兵十の家はそのすぐ奥の壊れかけた小さな家です。子どもの頃に父親を亡くし、母親と二人暮しであった兵十は働き者ではありましたが、とても貧乏だったのでした。母親と自分一人で食べていくのが精一杯で嫁さんも迎え入れる事が出来なかったのです。
 
 そんな兵十の家の脇からそっと近づけば、ボロボロになった障子の向こうに大勢の人が集まっているのが見えました。しかし、兵十の家はそんな風に誰かが集まるような場所ではありません。元々、貧乏なのもありますが、兵十は口下手であまり人付き合いが得意とは言えない性格なのです。嫌われている訳ではないにせよ、強面なのも相まって、あまり好かれているとも言えないのでした。
 
 「…あれ?」
 
 それに一つ違和感を覚えたコンはゆっくりと遠回ししながら、裏手へと周りました。その間も気配を殺す事を忘れません。悪戯狐として有名なコンがこんな大勢の人がいる場所で見つかったら何をされるか分からないのです。無論、殺される事はないでしょうが、それでもこれまでの悪戯の分をこんこんと説教されるのは確実でしょう。一刻も早く兵十に会って、この前の謝罪をしたいコンにとってそんな風に説教されている暇などないのです。
 
 「……え?」
 
 そんな風にゆっくりと裏手へと回ったコンの目によそ行きの着物を着て、こしに手ぬぐいを下げた女性たちが火を炊いている光景が映ります。人一人が入れるくらいの大きな鍋には何かぐずぐずと煮えていて、煙と共に辺りに嫌な匂いをまき散らしていました。
 
 「………え?」
 
 その光景は人里の事情に疎いコンにも何をやっているのかはっきりと分かるものでした。しかし、コンはそれを信じたくありません。それも当然でしょう。だって、それは葬式の準備なのです。もっと具体的に言えば、兵十の家で誰かが死んでしまった為に行われる葬儀の前段階なのですから。
 
 「なん…で……?」
 
 この家には兵十ともう一人、年老いた彼の母親しか住んでいません。そしてコンは兵十もその母親も大好きでした。兵十は言うに及ばずですが、彼の母親はとても心穏やかな人で悪戯狐であるコンにも優しく接してくれたのです。苦労が刻み込まれたようなしわしわの手で優しく撫でられるのが彼女にとっての楽しみの一つでもあったのでした。
 
 「(嫌…!!)」
 
 どちらもコンにとっては大事で失いたくはない人。しかし、そのどちらかがあの大きな鍋で煮られているのは確実でした。その現実から逃げるようにコンが踵を返そうとしますが、その身体は言うことを聞いてくれません。まるでその場に縫いつけられたように彼女は呆然と立ち尽くしていました。
 
 「お花さんも可哀想な人よね…」
 「最後に食べたいもの一つ食べさせてもらえなかったなんて…」
 「あの狐が邪魔した所為なんでしょう?悪気がないのは分かるけれど…」
 「っ…!」
 
 そんなコンの前で女たちが語り始めた内容。それが彼女の心を大きく抉りました。だって、それは兵十の母――お花が死んだことを知らせる惨酷な言葉だったのですから。半ば覚悟していたとは言え、その衝撃は決して和らぐものではありません。ましてや女たちの言葉はそんなお花が最後の望んだ事を自分自身が邪魔したのだと伝えるもので…――
 
 「(じゃあ……アレって…)」
 
 忙しい時期なのにも関わらず、魚を捕ろうとしていた兵十。そこに最後に見た怒りの表情と追いかけて来なかったという状況証拠が重なり、コンに眩暈を覚えさせました。きっと兵十はお花が最後のうなぎを食べたいと言ったからこそ、仕事をほっぽりだして川で魚を捕ろうとしていたのでしょう。そうしてようやく捕まえたうなぎをコンが逃がしてしまったからこそ、あんなに激怒したのでしょう。そして、コンを追いかけて来なかったのは追いかける時間すら兵十には惜しかったからなのでしょう。
 
 ―ガシャン!
 
 「あ……あぁ…!」
 
 瞬間、数日の特訓の所為で傷だらけになったコンの指先から皿が滑り落ち、地面とぶつかって割れてしまいました。綺麗に真っ二つになった皿から黒いタレが漏れ、地面に広げます。しかし、コンはそれを拾う余裕などありませんでした。皿が割れた音に気づいた女たちが一斉に彼女の方を見たからです。
 
 「わ、私…私……!」
 
 敵意すら混じった視線にコンは身を竦ませました。これまで悪戯をして怒られる事はあっても、こんな風に敵意の混じった目で見られた事はなかったのです。初めて味わう純粋な敵意にコンは必死に言い訳をしようとしました。しかし、肌に突き刺さるような冷たい感情はそれさえも許さず、彼女は上手く言葉を紡ぐ事が出来ません。
 
 「っっ…!!」
 
 結局、コンは踵を返して逃げ出しました。自然、背中に背負った鍋がずれ、中身が零れてしまいます。美味しくなるように一生懸命作ったそれが地面へと吸い込まれるのも構わず、彼女はそのまま感情の赴くままに走り続けました。
 
 「はぁ…はぁ……」
 
 ようやく落ち着いたコンが辺りを見渡せば、そこは村の墓地近くでした。彼岸花の並び立つ沿道が見晴らせるその場所には六地蔵が並び立っています。ずっと全力疾走をし続けたコンは疲れてしまい、地蔵の横へと腰を下ろしました。
 
 「…気持ち悪い…」
 
 しかし、腰を下ろした事で零れた吸い物で濡れた服がべったりとコンの身体へと張り付きます。身体の熱を奪う独特の不快感とそっと香る吸い物の匂いにコンはそう言葉を口にしました。本来であればすぐさま川で水浴びをして、この汚れと匂いを落としたいくらいです。しかし、今のコンにその気力はありませんでした。
 
 「私…なんて事を……」
 
 自分の所為で失意の内に兵十の母親が死んでしまった。その事実を思い返すだけでコンの身体からは気力が抜けて行ってしまいます。当時はただの悪戯のつもりであったとは言え、それは言い訳でしょう。どれだけ口にした所で、事実は変わりませんし、きっと兵十も許してはくれません。
 
 「…私…私……っ!」
 
 その言葉と共にコンの目尻からはポロポロと大粒の涙がこぼれ始めます。その胸中は後悔と悲しみ、そして自責で一杯でした。もし、一度だけ時間を巻き戻す事が出来るならあの時の自分を止める事に使いたい。そんなどうしようもない願望すらコンは思い浮かべてしまうのです。
 
 「あ…」
 
 そんなコンの前に白い着物を着た葬列の者たちがゆっくりと通り始めます。真ん中に大きな棺を担いだその列はコンには淡々と移動しているように思えました。参列者の中には僅かに顔を曇らせるものもいましたが、泣いているのは位牌を大事そうに抱えている兵十だけだったのです。
 
 「ぅ…」
 
 今のコンに負けないほどにポロポロと涙を零す兵十の姿。そこには何時もの強面はありません。今の兵十は涙を拭う事さえ出来ない幼い子どものように泣きじゃくっているのでした。
 
 「……」
 
 そんな兵十にコンは掛ける言葉が見つかりません。それどころか彼の元に駆け出す事すら出来ませんでした。本当は謝らなければいけないのに、自分は罰せられなければいけないのに、コンの足はその場に縫いとめられたかのように動かないのです。それは兵十に憎しみの篭った視線で射ぬかれるのが恐ろしかったからです。
 
 「わ…私…」
 
 この期に及んで保身を考えている。そんな自分を自覚するのが嫌でコンはそっと踵を返しました。しかし、葬列から視線を背けた所で泣きじゃくる兵十が鼻を啜る音がコンの耳には届いてしまうのです。その音さえも自分を責めているように聞こえるコンは、そのまま走りだし、巣穴へと戻ってしまいました。
 
 「……はぁ」
 
 その晩、コンはどうすれば兵十に償えるのかを考えました。しかし、幼いコンには最早、死んでしまった相手に償う方法は思いつきません。まして、コンはあの場に居た堪れなくなって、ついつい逃げ出してしまったのです。そんな臆病で弱い自分が今更、兵十に何が出来るというか。そんな言葉さえコンの胸には浮かんできました。
 
 「…でも…」
 
 しかし、それでもコンは償いを止める気はありませんでした。コンは悪戯っ子ではありますが、善悪の区別はしっかりとつく年頃です。自分のやった事に対する責任は絶対に取らないといけない。その意識だけはコンの中で一度も薄れる事はありませんでした。
 
 「私の出来る事…かぁ…」
 
 そう呟きながらコンはそっと自分の身体を見下ろしました。うっすらと胸が膨らみ始めた幼い身体は母親直伝の家事能力と生活技術をしっかりと受け継いでいます。後々になればコンは絶世の美女となり、国を傾ける事だって可能な美しさを手に入れる事になるでしょうが、今のコンにはそれくらいしか誇れるものがありません。
 
 「だったら…これで償いをするしかないよね」
 
 それで許して貰えるかは勿論、コンには分かりません。しかし、許してもらえると思って償いをするのは間違っている事は幼いコンでも理解する事が出来ました。今はがむしゃらにでも自分の出来る事をするしかない。そう判断したコンは明日から自分のするべき事を頭の中で整理していくのでした。
 
 
 
 
 
 
 
 それから数日後、母親を失った兵十がそっと畑へ出ていくのをコンは物陰から見ていました。しかし、その背中はどんよりとしており、暗いものがコンの方まで漂ってきそうです。普段の寡黙ながら力強い様子が欠片も感じられないその姿にコンの胸がズキンと痛みました。
 
 「(やっぱり…お母さんがいないから…)」
 
 コンは兵十がどれだけ唯一の肉親である母を想っているかを知っています。たまに悪戯せずに兵十の傍に近寄れば、彼は色々と話をしてくれたのですから。その中の殆どは母親であるお花の事で、幼いコンは微かな嫉妬を覚えたほどなのです。そんな相手が失意の内に死んでしまったとあれば、平静でいられるはずがありません。
 
 「…ごめんね…」
 
 のそのそと畑へと歩き出す兵十の背中に届かないほどの小さい声でコンは小さく謝りました。しかし、、それでもコンは兵十の前に出る事が出来ません。兵十に憎まれていると思うとどうしても足が竦み、姿を現す事が出来ないのです。
 
 「イワシの安売りだあい。生きのいい、イワシだあい」
 
 そんなコンの耳に威勢のいい男性の声が届きました。ふとそちらに視線を向ければ、荷台に桶を積んだ一人の男性が通りを歩いているのが見えました。その桶の中には鱗を輝かせる捕れたてのイワシが並んでいるのが分かります。それはこの村にも度々、やってくるイワシ売りでした。
 
 「(イワシかぁ…)」
 
 少しばかり海から遠いこの村では海の魚は貴重品です。荷台を引いて練り歩くイワシ売りがさっきからひっきりなしに呼び止められていました。しかし、貧乏な兵十にはイワシを買う余裕などありません。先日、母親の葬式をしたので尚更でしょう。
 
 「よし」
 
 そこまで考えて一つ決心をしたコンはゆっくりとイワシ売りの方へと近づきました。勿論、その耳と尻尾は魔術で見えないようにして、特徴的な髪の色も誤魔化しています。幼くともコンもまた狐の魔物。人を化かす術など朝飯前なのです。
 
 「イワシ売りさんイワシ売りさん」
 「はいよ。おや、可愛いお嬢ちゃんだね」
 
 そう呼びかけたコンにイワシ売りはそっと笑いました。自分の姿を歪んで人に伝えている今のコンは普通の少女にしか見えません。誰だって眼の前の黒髪の少女が村で評判の悪戯狐だとは思わないでしょう。
 
 「三匹ほど生きのいいイワシをくださいな」
 「はいよ。お使いかい?偉いねぇ」
 「うん。そんな所」
 
 コンの言葉に桶からイワシを手づかみにするイワシ売りにコンは誤魔化すように笑いました。そのままイワシをイワシ売りの手から受け取ったコンはそっと胸元からお金を払います。それは母親がイザという時の為にコンへと渡してくれたものですが、コンは今この瞬間がその時だと思ったのです。
 
 「えへへ…」
 
 怪しまれる事なく無事に買い物を済ませたコンはその足でそのまま兵十の家へと戻りました。イワシを手に持ったままそっと周囲を確認しますが、兵十が帰ってきた様子はありません。それに一つ胸をなで下ろしながら、コンはそっと兵十の家へと上がりこみました。
 
 「おじゃましまーす」
 
 誰もいないのについそう言ってしまった自分に苦笑いを向けるコンの目に土間が入りました。普段であれば、年老いたお花がここに立って、兵十の為にご飯の支度をしているはずです。しかし、お花はもう死んでしまってこの世にはいません。それを感じる寂しい光景にコンの目尻に熱いものが浮かびそうになってしまいました。
 
 「…うん」
 
 しかし、今は泣いている場合ではありません。何時、兵十が帰ってくるかはまったく分からないのです。ついさっき出ていったばかりなので帰ってくるのは当分先だと思いますが、気の抜けた兵十の様子から考えるに安心は出来ません。何か忘れ物をした事を思い出してひょっこり帰ってくるかもしれないのですから。
 
 「その前にお料理を作ってあげておかないとね」
 
 そう言いながら、コンはそっと台所から包丁を取り出し、イワシを捌き始めました。勝手知ったる何とやら。何度もお花が料理をしているところを見ているコンにとって、兵十の家は第二の我が家も同然です。必要な道具を手際よく取り出しながら、コンはあっという間にイワシ三匹を煮付けと焼き魚にしてしまいました。
 
 「うん。上出来上出来」
 
 ついでとばかりに大根の葉を具材にした味噌汁も作り上げたコンが満足気にそう言うものの、その胸中では微かな不満が渦巻いていました。本当はもっと沢山のご馳走を兵十に食べさせてあげたいのです。しかし、兵十がいない間に上がり込んでいる身のコンにはそんな余裕はありません。料理だけではなく、他にも色々としなければいけない事があるのですから。
 
 「さて…と」
 
 そう言いながらコンが土間から上がり、囲炉裏の辺りを見渡せば、そこには敷いたままの兵十の布団がありました。無論、何時もならそんな風に布団を敷きっぱなしで外に出るなどありません。兵十は働き者ですし、優しい風貌とは裏腹に厳しい面のあったお花がそれを許さなかったでしょう。しかし、お花の死後、兵十は明らかに気の抜けた様子でまるで幽霊か何かにも思えるのです。そんな兵十には布団を干すような気力は残っていなかったのでしょう。
 
 「もう……」
 
 呆れたようにコンが言うものの、兵十の気持ちは彼女にもよく分かるものでした。コンも大好きな両親が死んでしまえば似たような状態になってしまうでしょう。無論、その全てを理解するのは不可能ですが、何もかもが手につかず、ただ漠然と作業をする事でしか悲しみを癒せない兵十の気持ちを察する事はコンにだって出来るのです。
 
 「(これもしっかり畳んでおいてあげないとね)」
 
 料理だけじゃなく掃除までするつもりであったコンはそう胸中で呟きながら、そっと兵十の布団へと近づきました。その瞬間、コンの鼻に兵十の体臭が触れるのです。何処と無く汗臭いその匂いはコンにとってはとてつもなく良い匂いで思わず目を細めてしまいました。
 
 「あぁ…っ♪」
 
 何処か陶酔すら浮かんだその声と共にコンの身体は兵十の布団へと飛び込みました。継ぎ接ぎだらけでボロボロになったその布団は決して寝心地が良いとは言えません。しかし、そのゴワゴワとした布地は兵十の匂いがたっぷりと染み付いているのです。久しく嗅いでいなかったその匂いにコンはすっかり虜になってしまいました。
 
 「すんすん…はぁ…はぁ…ぁっ♪」
 
 鼻を敷き布団にこすりつけるように匂いを嗅ぐコンの頭は少しずつ桃色の靄が掛かっていくのです。一般的に欲情と呼ばれるそれを幼いコンはまだ理解できません。彼女にとって大事なのはこの匂いを嗅いでいるだけでとても身体が熱くなって、胸がドキドキするという事だけなのです。
 
 「へい…じゅぅ…♪」
 
 何時もの幼い声をさらに舌足らずにした甘い言葉。しかし、コンがそう呼んだとしても兵十はその場にはいません。彼は今、来年の為の準備で忙しいのです。そんな事は勿論、コンにだって分かっていました。しかし、それでも彼女は愛しい人の名前を呼ばなければ気が済まなかったのです。
 
 「ごめん…ごめんね…ぇ…♪」
 
 兵十がいない今、コンは素直にそう呟く事が出来ました。本当であれば本人に伝えなければいけない大事な言葉。それは悪戯をしてしまった事でもあり、こうして彼の布団の中で身体を熱くしている行為に対する謝罪でした。しかし、コンはどれだけ胸中で兵十に謝罪してもその浅ましい行為を止める事が出来ません。寧ろ、謝れば謝るほどイけない事をしているようで、背徳感がどんどんと大きくなっていくのです。
 
 「はぁ…ぁっ♪」
 
 その背徳感が興奮に結びつき、身体が熱くなる。初めて知ったその感覚に幼いコンはどんどんとのめり込んでいくのです。それは人間からすれば少しばかり倒錯した、そして何より早すぎる性の芽生えでしょう。しかし、魔物としては決して早い訳ではありません。小さな子どもの頃から生殖の相手を探す本能を持つ魔物からすれば、寧ろ遅いくらいだと言っても過言ではないのです。
 
 「く…ぅぅ…♪」
 
 コンは少しずつではありますが、自分が今、どんな状態にあるのかを把握し始めていました。鮮やかな桜色の乳首がピンと張って服を持ち上げているのも、それが微かな身動ぎと共に擦れると肩が跳ねそうになるくらい気持ち良いのも、股の奥から何か甘い熱が広がって太ももが濡れているのも、ウズウズした感覚が濡れた太ももをこすり合わせるのも、はっきりと理解できるのです。そしてそれが一体、どうしてなのかもまたコンは理解し始めていました。
 
 「私…よくじょぉしてるぅ…♪」
 
 毎日のように両親の性交を見ていた頃には『欲情』とはどんな状態なのか分かりませんでした。しかし、魔物としての本能を急速に目覚めさせるコンには今の自分の状態こそ『欲情』である事が分かるのです。そして、この状態に陥った母親がすぐさま父親を誘い、性交しようとする理由も。
 
 「(こんなの…こんなの味わったら…我慢出来ないよぉ…♪)」
 
 まるで風邪でも引いたように熱い身体は敏感になり、少し身じろぎするだけで甘い感覚が走り抜けるのです。特に顕著なのはピンと張った乳首の奥で、ズキズキとした甘い疼きが走り続け、気を抜けばそこに手が伸びてしまいそうになるのでした。まだ感覚の発達していない子宮でさえ蕩け始めるのを感じるコンはハァハァと荒い息を吐きながら、兵十の布団の中へと入り込むのです。
 
 「ダメ…我慢…我慢…しないと…ぉ…♪」
 
 理性では抑えきれない甘い衝動。それは幼いコンにとってはあまりにも強大過ぎる壁です。しかし、大人でも超える事の難しいその壁が迫ってくるのを感じながらも、彼女は必死にそれに抗おうとしていました。自分が今日、ここにやってきたのは兵十に償う為なのだと、決して自分の欲望を充足させる為ではないと必死に言い聞かせていたのです。
 
 「お布団…はぁ…綺麗に…ぃ…」
 
 しかし、そうコンが自分に言い聞かせてもその身体は中々、その場から動く気配がありませんでした。敷き布団に顔を埋め、腰を少し上げた状態でもぞもぞと布団にくるまっているままです。無論、彼女は理性を全て投入してその場から離れようとしていました。しかし、愛しい人の体臭というのは魔物娘にとっては信じられないほどに抗いがたいものであるのです。
 
 「はぁ…ぁっ♥は…うぅぅ…」
 
 頭の中にかかるもやが少しずつ濃くなり、何もかもが薄らいでいってしまう。そんな感覚に苦しげな声を口が漏らしますが、コンにとってそれは決して嫌な感覚ではありませんでした。彼女の背負った余計なものがなくなり、ケダモノのように欲望の赴くままに振る舞う。それは魔物娘にとってある種、当然の事であるのです。原種の姿に近づいていくその感覚はコンにとって、晴れやかなものでさえありました。
 
 「ひゅぅ……♪」
 
 自分がどんどんと欲望に負けつつある事を自覚しながらもコンは何の対抗策も打つ事が出来ません。寧ろ、その欲望を助長させるように彼女の手はゆっくりと自分の背中へと回りました。そのままつるんとした可愛らしいお尻を露出させるように指先を動かし、素肌で兵十の布団の感覚を感じようとしていたのです。
 
 「あ…はぁ…っ♪」
 
 魔物娘であるコンは下着なんて身につけてはいません。薄布のような衣服を肌蹴れば、そこがすぐさま彼女の素肌になるのです。自然、顕になった秘所近くの幼肉がゴワゴワした布地と擦れ、ゾクゾクとした感覚を生み出しました。
 
 「へい…じゅぅぅ…♥」
 
 しかも、その布地からは兵十の体臭がしっかりと漂ってくるのです。まるで兵十のゴツゴツとした手に撫でられているような感覚にコンは思わず愛しい人の名前を呼んでしまいました。それは彼女の中で急速に目覚め始めたメスの本能が導いたものであり、コン自身が何かを考えていた訳ではありません。
 
 「きゅぅぅ…ぅ♪」
 
 しかし、そうして兵十の名前を読んだ瞬間、コンの胸の中に甘い痺れが走ったのです。何処か淫らなものの混じったその痺れはすぐさま身体中へと伝播し、彼女の幼い肢体をより熱く、そして敏感にしていくのでした。
 勿論、まだまだ経験の少ないコンにはそれが一体、何なのかは分かりません。彼女に分かるのはただ一つ。兵十の名前を呼ぶととても気持ちよくなれるという一点だけなのです。
 
 「は…ぁ…兵十…っ♪兵十ぅ…♪」
 
 そしてその感覚に理性の殆どを失ったコンは抗う事が出来ません。兵十の名前を呼びながら、コンは必死にお尻をフリフリと動かしてしまうのです。欲望から導かれたその動きは、左右前後に艶かしく幼肉を揺らすものでした。きっとその様を見れば、オスは我慢できなくなって彼女を襲ってしまう。幼い少女にそう思わせるほどにその動きは淫らで、そして色気に満ちていました。
 
 「兵十…ぅ…♪ごめん…ごめんねぇ…っ♪」
 
 兵十の名前と共に謝罪を口にするコンの唇からは透明な粘液がこぼれ始めていました。無論、彼女の母親を始めとする大人の魔物娘であれば、そこまで自分を見失う事はなかったでしょう。しかし、コンは今日、初めて、性の芽生えを経験したのです。欲情を受け流す術も知らない彼女にとって、初めて包まれる兵十の匂いはあまりにも凶悪だったのでした。
 
 「本当に…ごめんん……っ♪私…もぉぉ…っ♪」
 
 微かに残る理性が消え去る前にそう一つ謝罪しながら、コンはそっと自分の指先を胸の方へと持って行きました。そこにはもうピンと持ち上がったピンク色の可愛らしい乳首があるのです。既に何度も衣服と擦れていたそこはジンジンとした甘い熱を走らせ続けていました。その熱に導かれるようにコンはそっと指を動かし、その二つをきゅっと摘むのです。
 
 「ひぅぅぅぅんっ♪」
 
 瞬間、コンの口から悲鳴にも近い声があがりました。しかし、それは何処か媚びたものさえ混じりこんだ淫らなものです。聞くものによっては情欲を感じるであろうほどの嬌声は無論、彼女の乳首から浮かんだものでした。
 
 「(はぁ…ぁっ♪おむねぇ…触っちゃ…ダメなのにぃっ♥)」
 
 幼いコンは今まで自慰をした事がありませんでした。幼い頃から仲睦まじい両親の姿を見てきた彼女にとって、胸や秘所は一種の聖域であり、未来の旦那様にしか触ってもらってはいけない場所であったのです。しかし、今のコンはその禁忌を欲望に突き動かされるように破ってしまったのでした。
 
 「でも…気持ち…良い…ぃっ♪」
 
 これが気持ちの悪いものであればまだコンは自分を戒める事が出来たかもしれません。しかし、乳首から湧き上がった快感は幼い彼女にも否定しきれないほどに大きなものだったのです。微かに残った理性を吹き飛ばすその気持ちよさにコンはもう完全に屈服してしまいました。
 
 「ひあぁ…んっ♪」
 
 甘い媚びを混じらせた声を漏らしながら、コンの指は摘んだ乳首をクリクリと転がし始めました。それだけで欲望に染まりきった彼女の頭は揺らぎ、身体中には甘い痺れが走るのです。幾らでも味わいたくなるビリビリとした感覚はそのまま下腹部へと突き刺さり、奥から熱くてドロドロとした愛液を滴らせるのでした。
 
 「あぁ…でも…ぉ♥」
 
 初めて自分の乳首を弄る快感はコンにとっては凄まじいものでした。しかし、彼女はもう知っているのです。世の中にはこれよりももっと素晴らしく、そして気持ち良い快楽がある事を。恥ずかしがる事もなく我が子の前で交わる母親の言葉からそれを知ったコンにとって、今の快感は物足りなくもあったのです。
 
 「はぁ…っ♪はぁ…ぁ…♪」
 
 しかし、その反面、コンはそれに踏み切る事は出来ませんでした。理性が消え去ってしまったと言っても、それを禁忌と感じる感情そのものが消えた訳ではありません。好色な狐の魔物娘であると言っても、そこを触るのは未来の旦那様だけであるという気持ちがあるのです。
 
 「くぅぅん…っ♪」
 
 しかし、弄れば弄るほど沸き上がってくる痺れはコンの中の欲求不満を助長させるばかりです。かと言って、彼女はもう指を放す事なんて考えられもしませんでした。貪欲な魔物娘の本能に突き動かされるようにコンの小さく可愛らしい指先はクリクリと桜色の乳首を転がし続けるのです。
 
 「はぁ…♪これで…気持ち良い…もん…♪一杯…ゾクゾクってする…もんんっ♪」
 
 自分に言い聞かせるようにそう言うのは勿論、満足など出来ていないからです。コンはまだまだ幼いとは言え、魔物娘。目覚め始めたその欲望はオスの肉棒を受け入れたくて仕方ありませんでした。無論、その疼きは愛しい相手の――兵十の男根を幼い肢体で受け止めるまで続く事でしょう。そんな事は彼女にだって分かっているのです。
 
 「(でも…だめ…ぇ♪まだ…まだ…ダメなんだから…ぁっ♪)」
 
 子宮の奥底から沸き上がるようなその欲望。それは何時ものコンであればすぐさま屈し、兵十を襲いに行った事でしょう。しかし、欲望に負けた彼女にもまだ兵十に償いたいという気持ちが残っているのです。このまま彼の所に向かった所でそれが望めないのはコン自身が一番、良く知っている事でした。
 
 「だから…こうやって…ぇぇっ♥」
 
 瞬間、欲望を振り切るようにコンの指先がぎゅっと乳首を押し込みました。今までの摘むようなものとは違い、押しつぶすようなその圧力に彼女の口から一瞬、言葉が途切れます。胸から伝わってくる快感が濁流のように思考を飲み込んでいくのを感じるコンには言葉を紡ぐ余裕などはなかったのでした。
 
 「ひぃ……ぃぃんっ♪♪」
 
 遅れて言葉を紡ぐコンの尻尾はピーンと伸びきり、ごわごわの布団を持ち上げます。それさえも今の彼女にとっては心地良い感覚でした。元々、コンにとって尻尾はとても敏感な部分なのです。さらに快感によって刺激に弱くなっている今、ゴワゴワとした布団を持ち上げる感覚は兵十に尻尾を撫でられているように思えるのでした。
 
 「(兵十が…私の尻尾を…ぉっ♥)」
 
 それはコンにとってとても甘美な想像です。なにせコンは母親から受け継いだ自らの尻尾を自慢の種にしているのですから。自分の中でも飛び抜けて愛おしいその部位を兵十もまた愛してくれている。そう思うだけで彼女の胸は高鳴り、子宮の奥底で甘い熱がグルグルと渦巻くのでした。
 
 「は…ぁぁっんっ♪」
 
 そんな子宮に乳首から生まれた快感が突き刺さり、ビクビクと震えさせるのです。さっきまでとは比べ物にならない大きなその快感に子宮からまたドロリと愛液がこぼれ出てしまいました。ぷりんとした形の良いお尻もビクビクと震え、太ももが布団とこすれ合うのです。その度に兵十の事を意識してしまう彼女は甘い声を漏らし、その身体を震わせるのでした。
 
 「ひぃ…ぃっ♪これ…これぇ…ぇっ♪」
 
 まるで自分が快楽に囚われてしまったような感覚にコンが微かな恐怖を浮かべて言葉を紡ぎます。気持ち良さに突き動かされるように自らの身体を愛撫し、そして生まれた快感を原動力に再び指先を動かしているのですから。永遠に終わらない輪の中に閉じ込められたような錯覚を幼いコンが覚えるのも無理の無い事でしょう。無論、実際には欲望には天井があるだけに永遠に終わらない訳ではないのですが、ついさっき性の芽生えを経験した彼女には分かりません。
 
 「怖い…よぉ…♪へいじゅうぅ…怖い…のぉ……っ♪」
 
 恐怖を紛らわす為にコンが呼んだのは母親の名前でも父親の名前でもありません。愛しくてついつい意地悪してしまう兵十の事でした。最早、彼女にとって兵十は両親よりも安心出来る相手になっているのです。コン自身、自覚してはいませんが、兵十に身も心も捧げる準備を彼女の身体は着々と整えているのでした。そして、だからこそ、彼の名前を呼ぶ度にコンの心の中で恐怖が反転し、歓喜に変わっていくのです。
 
 「はぁ…ぁっ♪へいじゅう…へいじゅぅ…ぅっ♥♥」
 
 ついさっきまでは恐ろしくて仕方がなかった無限の輪環。しかし、それを兵十を受け入れる為であると思えば、決して悪い気分ではありませんでした。いえ、寧ろコンの身体はそれに喜びさえも覚え始めていたのです。この快感は全て兵十と交わる為のものだと思っただけで彼女の胸が高鳴り、下腹部ではキュンキュンと子宮が唸り始めました。
 
 「あはぁ…ぁっ♪へいじゅう…っ♥私…とっても淫乱なんだよぉ…っ♪」
 
 経験したことのない子宮の疼きを発散するようにコンの口から甘い声が漏れるのでした。それはここにはいない兵十に呼びかけるような口調です。無論、彼女とてここに兵十がいないのは良く理解していました。しかし、彼がここにいると想像しただけで、この痴態を見られてしまったらと思うだけで、少女から魔物娘へと変わり始めたコンは気持ち良くなってしまうのです。
 
 「自分でお胸も弄って…ぇクリクリしてぇぇっ♥あはっ…♪お股もドロドロぉ…♪」
 
 それは今までコン自身でさえ聞いたことのないような甘く淫らな声でした。しかし、彼女はそれと似た声をこれまでに何度も聞いたことがあるのです。それは父親に交わっている時に母親が紡ぐメスの声でした。あの幸せそうな母が紡いだ声と同じものを混じらせた言葉を放っている。その想像はコンの子宮を疼かせるには十分です。
 
 「こんな…淫乱な女の子は嫌い…?ううん…っ♪そんなはずないよねぇ…っ♥」
 
 そう呟くコンの脳裏に浮かぶのはそんな母親を受け止める父親の事。娘の彼女から見ても好色な母親は娘の前であっても構わずに父親を誘惑していました。そんな母親に抗う様を見せる父親ではありましたが、一度だって母親を拒み切れた事はありません。仲睦まじい二人の様子をこれまでに一杯見てきたコンにとって、淫乱なメスとはオスに好かれるものであったのです。
 
 「だから…ぁっ♪私…一杯、淫乱になるからねぇっ♪兵十に喜んで貰えるように…一杯…淫らに…ぃ…っ♥」
 
 その言葉を紡ぐコンの指先がぎゅっと乳首を押しつぶしたまま下へと動きます。ピンと限界一杯にまで引っ張られた乳首は布団に押し付けられるほどに伸ばされ痛々しい姿と化していました。その先端からは微かに痛みさえ伝わってくるほどです。しかし、それでもコンは決してそれが不快ではありませんでした。寧ろその微かな痛みが快感を意識させ、背筋をゾクゾクとさせるのです。
 
 「きゅふ…ぅ♪ビクビクくるぅ…っ♪」
 
 乳首を無理矢理引っ張るその刺激はさっきよりももっと強く、何より被虐的なものでした。背筋をゾクゾクとさせる被虐感と絡み合うその快感は肌のすぐ裏で暴れまわり、彼女の肢体をより敏感にさせていきます。貪欲な魔物娘の本能はそれを見逃しません。敏感になった肌を精一杯、堪能するように小さな肢体を布団へとこすりつけるように踊らせるのです。
 
 「へいじゅぅ…ぅ♪すごいよぉ…♪お胸引っ張るとぉ♥ピーンってなって…ドロドロになるぅ…♥」
 
 魔物娘として目覚め始めたとは言え、コンはまだまだ幼い少女。その感覚を具体的に言い表す言葉を知りません。しかし、それでも彼女は想像の中の兵十へと必死に報告していました。それこそが自分の義務だと言わんばかりにコンは語りかけ続けていたのです。そして、その度に彼女の肢体にゾクゾクとした快感が走り、コンの意識を揺らしました。
 
 「服越しでもこんなに敏感なのに…直接触ったらどうなるんだろうね…ぇ♥兵十は…見たい?私がもっと淫らになるところ…見たいよね…?」
 
 そしてその語りかけはどんどんと過激になっていくのでした。それはもうただの語りかけではなく、相手からの答えを期待しているものなのですから。無論、そんな風に問いかけた所で遥か遠くに居る兵十には決して届くはずがありません。しかし、コンの想像…いえ、妄想の中にいる兵十は顔を真赤にしながら首肯する事でそれに答えてくれたのです。
 
 「あは…ぁっ♪正直なへいじゅぅ…♥でも…そんな所が大好きだよぉ…♪」
 
 普段は決して言わないし、言おうとも思わない愛の告白。しかし、欲望に支配されたコンの口からはあっさりとそれが飛び出してしまいました。今の彼女にとって重要なのは見栄や建前などではないのです。どうすれば秘所を触らずにもっと気持ち良くなれるかだけがコンの関心事だったのですから。気持ち良くなれると思えば、妄想の兵十に告白する事など造作もありません。
 
 「えへへ…♪」
 
 そして、その告白はコンが思っていた以上の効果を彼女にもたらしました。思いも寄らない告白の言葉に妄想の中の兵十はあわてふためきながらも悪い感情を浮かばせなかったのです。それどころか彼女に対して好意らしきものさえ示してくれていました。無論、コンとてそれが自分の妄想である事は分かっているのです。しかし、妄想の中であるとは言え、魔物娘の本能を目覚めさせたオスにそんな反応をされて嬉しくないはずがありません。胸の高鳴りと共に身体がより暖かくなり、子宮がまた一つトロっとしてしまうのでした。
 
 「(うふ…♪びくってしたぁ…♪)」
 
 そんな子宮からまた一つ疼きが走るのを感じながらコンはそっと自らの指を衣服の下へと潜り込ませました。瞬間、ピンと張った乳首が彼女の指先を迎え、ピクピクと自己主張を始めます。まるで今すぐ弄んで欲しいと主張するような乳首の様子にコンはひとつ笑顔を浮かべてから、きゅっと桜色の部位をつまみ上げるのでした。
 
 「ひゃうぅんっ♪」
 
 瞬間、コンの身体にビリビリとした痺れが走り抜けました。それはさっきまでのものよりもさらに一段強く、そして鮮烈です。布を隔てていないだけでこれほどまでに違うのか。幼い彼女がそんな事を思うほどの快感にその全身がブルブルと震えていました。
 
 「ん…はぁ…ぁっ♪…しゅごい…ぃっ♪」
 
 駆け抜ける快感によって少しずつ意識が揺らぎ始めたのでしょう。舌足らずなコンの言葉は本来の発音とは少しズレた所にありました。しかし、コンはそれを決して悪いようには思いません。寧ろ、その舌足らずな声がとても淫らで、素敵なものに感じてしまうのです。そしてそれだけ自分が淫らになっている事に今の彼女は強い悦びを覚えるのでした。
 
 「えへ…ぇっ♪兵十が…見てくれてるかりゃ…私…っ♥すっごい感じちゃふよぉ…♥」
 
 舌足らずな甘い声でそう訴えながらコンはクリクリと乳首を動かします。瞬間、伝わってくる快感が彼女の視界を焼き、白く揺らがせるのでした。しかし、コンはそれでもまったく問題はありません。今の彼女にとって重要なのは継ぎ接ぎだらけの布団ではなく、脳裏に浮かぶ愛しい兵十の姿なのです。例え視界が揺らいでもハッキリと見える妄想の中の彼さえあれば、視界が真っ白になった所で問題とも感じられないのでした。
 
 「はぁ…ぁぁ…っ♥」
 
 だからこそ、コンの指先にはより強い力が籠もり、彼女の乳頭を強く摘み上げるのです。より快楽を求めるコンの自慰に従って、そこから痛みと共に焼けるような快感が湧き上がりました。被虐感すら伴ったその快感は彼女の期待通りに視界を焼き、背筋をビクビクと震わせます。そのまま背骨を伝うようにして下腹部へと降りた快感が彼女のお腹の一番奥からドロリとした熱いものを零させるのでした。
 
 「ひゅあぁ…♪漏れちゃう…ぅ♪」
 
 しかし、それはもう幼いコンの肢体に収まりきるものではありませんでした。ただでさえ人並み以上に小さな膣穴にはもう愛液をせき止める場所はないのです。自然、新しく溢れ出した愛液に押し出されるようにぴっちりとしまった彼女の処女地から透明な愛液がこぼれ、そのすっきりとした太ももを伝っていくのでした。
 
 「(ダメ…ぇっ♪兵十の布団を…汚しちゃう…っ)」
 
 それを禁忌とする感情がコンの心の中に湧き上がります。しかし、それは一瞬の事でした。すぐさま快感に上書きされたその思考は寧ろ兵十の布団を自分の愛液で穢したいというものへと変わったのです。
 
 「(この布団で…私の淫らなお汁が染み込んだお布団で兵十が…ぁっ♪)」
 
 その想像にコンは今まで以上の震えを全身に走らせました。なだらかな曲線を描く背筋がブルブルと震え、お尻にまでそれを伝わらせるほどです。無論、それはコンがその恐ろしさに恐怖したからなどではありません。その淫らな想像に彼女の身体は形容しがたい歓喜を覚えたのです。
 
 「(私の匂い…ぃっ♪一杯…いっぱぁい…っ♪♪)」
 
 狐はイヌ科であり、縄張り意識が強い生き物なのです。無論、犬ほどそれが顕著ではありませんが、その意識はコンの本能にまで刻み込まれていました。そして、その狐の本能が、愛しい相手に自分の匂いをつけるという淫らで倒錯的な行為に例えようもない悦びを覚えているのです。
 
 「あはぁっ♪一杯…いっぱぁい摺り込んであげるね…♪私の匂いで…兵十を一杯にしてあげるぅ…♪」
 
 そして、幼いコンはそれを誤魔化す術を知りません。あっという間にその悦びの虜となったコンはずっと立て続けていた膝をそっと倒しました。瞬間、彼女の秘所と衣服が触れ合い、微かな快感をコンへと伝えます。しかし、彼女にとって重要なのはそんな小さな快感などではありません。今のコンにとって重要なのは自分の愛液が衣服越しに兵十の布団へと染み込んでいるという事実なのです。
 
 「(で…もぉ…♪)」
 
 しかし、思った以上に愛液は中々、布団に染みこんではくれません。幼いコンの膣穴は狭いですが、勢い良く愛液が出続けているという訳ではありません。乳首から沸き上がる快感は決して少ないものではありませんが、絶頂へと至れるほどのものでもなかったのです。自然、彼女の子宮はゆっくりと愛液を溢れさせるだけで、彼女の期待通りには中々いきません。
 
 「くぅぅ…んっ♪こんにゃの…物足りないよぉ…♪」
 
 本当はこの布団一杯に自分の匂いを染み込ませたいのに遅々としてその作業が進まない。その切なさと苛立ちにコンはぎゅっと布団に顔をこすりつけました。瞬間、兵十の体臭がふわりと彼女の鼻孔を擽り、コンの心を慰めてくれますが、それは僅かな間でしかありません。今の彼女には兵十の匂いだけでは足りないのです。そこに自分の甘い愛液の匂いまでが混ざり込んでようやく完成したと思えるのですから。
 
 「はぁ…ぁっ♪すぅぅぅ…♥ふぅぅんんっ♪♪」
 
 そんな彼女の脳裏に一つの考えが浮かび上がりました。それは決して諸手を上げて歓迎されるようなものではありません。しかし、この切ない状況を打開するにはそれしかない事をコンは良く理解していたのです。自分の小さな意地と欲望。その二つを天秤に掛けた彼女はゆっくりと自分の腰を前後に揺すり始めました。
 
 「ひきゅぅぅぅぅっ♥」
 
 瞬間、彼女の口から甲高い嬌声が漏れ始めました。それは勿論、今のコンが途方もない快感を感じているからです。既に固く勃起した陰核を布団へとこすりつけるようなその動きは彼女の子宮を揺らす強い快楽を生み出していました。自然、快楽を愛液へと替える子宮からは凄まじい勢いで愛液が漏れ出し、衣服を貫通し始めるのです。
 
 「あはぁっ♪ニチャニチャって…クチュクチュってぇ…っ♪」
 
 そうして生み出される淫らな水音。糸を引く粘性の音にコンは歓喜の声を上げるのでした。無論、彼女とてそれがいけない事であるのは理解しているのです。メスとしての大事な部分を布団にこすりつけるなんてはしたない真似をしてはいけないと分かっているのでした。しかし、それでもコンは止まれません。今の彼女の心にあるのは兵十に自分の匂いをつけたいという願望だけだったのですから。
 
 「ひぁ…ぁぁんっ♥」
 
 しかし、彼女の選んだ行為はそれだけでは留まりませんでした。クチュクチュと音を鳴らしながら陰核を布団へと押し付けるコンの子宮からぐわりと甘い熱が持ち上がったのです。まるで今まで溜め込んだ快楽を一気に撒き散らそうとするような感覚を彼女は知りません。
 
 「来るぅ…っ♪来ちゃうのぉっ♪ビリビリが来りゅぅぅ…っ♥」
 
 しかし、彼女がそれに困惑や恐怖を覚える事はありません。コンの本能はそれがとても素晴らしいものであり、気持ち良い事であると彼女に伝えているのですから。年頃の女の子よりは遥かに性的方面に博識とは言え、それを実体験として知っている訳ではないコンにとって、それは唯一信じられる情報でした。
 
 「はぁ…ぁっ♪はぁっ♪すぅぅぅ…くん…っ♪♪」
 
 鼻とだらしなく半開きになった口から必死に兵十の匂いを嗅ぎながら、コンの身体はドンドンと加速していきます。より激しく快楽を貪ろうとするその動きに答えて、ぴちゃぴちゃという音と共に愛液が吹き出していました。布団から奏でられるクチュクチュという水音と共に鼓膜を淫らに揺らすその音にコンはドンドンとのめり込み、よりその動きを過激にしていくのです。
 
 「ひぅぅぅぅぅぅ……ぅぅぅ♪♪」
 
 そして、その動きが最高に達そうとした瞬間、コンのお腹の奥で持ち上がった熱が一気に弾けるのでした。まるで鳳仙花のように勢い良く弾けたその熱は肌に薄く汗を浮かばせる彼女の全身へと一気に広がっていくのです。一瞬で全身を快楽で埋め尽くされるのを感じたコンの頭も真っ白に染まり、何も考えられなくなっていくのでした。
 
 「(あぁ…ぁぁっ♪これ…イイ…っ♥しゅごく…イイぃっ♥♥)」
 
 僅かにコンの中で残った思考が全身を甘い痺れで一杯にさせられたような感覚に歓喜の声をあげました。その間も彼女の肢体の中ではビリビリとした甘くも被虐的な快楽が走りぬけ、その肌を震わせています。その震えを原動力に空気や布団とこすれ合う感覚は今のコンにとっては快楽以外の何者でもありませんでした。そして、敏感過ぎるほど敏感になったコンは身体の芯に響くようなその快楽を燃料にするようにその全身を震わせるのです。
 
 「ふわぁ…ぁ…♪」
 
 そんなコンが落ち着いたのはそれから数分ほど経った後の事です。白いもやが掛かったような視界がようやく晴れ、ピンと張った状態で固まっていた四肢を少しずつ動かす事が出来ました。そんな状態でもずっと乳首を摘み続けていた自分の指に一つ苦笑をしながら、コンはゆっくりと寝返りを打ち、甘い吐息を吐き出します。
 
 「私…イッちゃったんだ…」
 
 そう。その状態はコンにとって見覚えのあるものでした。父親と交わっている時に母親が見せる独特の反応。それは今の自分とまったく同じものであったのです。それを母親が『イッた』と表現しているのを何度も聞いたコンは先の自分が『イッた』のだと理解する事が出来たのでした。
 
 「こんなに…気持ちイイなんて…知らなかった…ぁ…♪」
 
 そう呟くコンの身体にはまださっきの余韻が残っていました。ジンジンと身体の奥で響くようなそれに彼女はまた一つ甘い溜め息を吐くのです。まるでタガが外れたようにじわじわと快楽が高まり、ゆっくりと、しかし、確実に高みへと突き上げられる感覚。初めて味わう絶頂の感覚にコンはもう虜になってしまったのでした。
 
 「でも……」
 
 そう。しかし、それは数分で逃げるように引いていってしまったのです。今も彼女の身体にはジンジンとした余韻が残り、肌も敏感になっていますが、それだけでした。コンの母親のようにその状態が何十分…いえ、数時間も続くような状態とは程遠いものです。脳裏に思い描く母親が矢継ぎ早に絶頂へと至る姿を見てきたコンにとって、これはあまりにも味気ない終わり方であったのでした。
 
 「やっぱり……オチンポがないと…」
 
 その言葉と共に生唾をゴクリと飲み込んだ瞬間、コンの子宮がキュンと唸り声をあげました。太くて逞しい肉の棒。表皮に血管が浮き出すほどに勃起した黒々しい器官を思い浮かべるだけで彼女の身体が疼きと共に欲望を訴えます。
 
 「したい…兵十と…ぉ♪」
 
 その欲望を口にしながらコンはゴロリと寝返りを打ちました。その身体からは倦怠感が吹き飛び、目覚めた欲望がジンジンとした火照りを伝えています。普通の魔物娘であれば、その欲望のままに兵十を押し倒し、愛しい人の精液を浴びるように受け止めていた事でしょう。いえ、コンだって出来るのであれば本当はそうしたいのです。
 
 「…でも…でも……」
 
 しかし、それを善としないのもまた彼女の心でありました。そんな風に兵十に欲望を押し付けるよりも犯してしまった罪を償う事の方が先だとコンには思えるのです。何も返せていない今の状態で兵十の前に出ていっても、彼から罵りの言葉を受けるだけでしょう。幾ら魔物娘の本能に目覚め始めたとは言え、コンはまだまだ幼い少女。恋心を抱く相手に罵られて尚、押し倒すような真似が出来るほど心も身体も成長してはいないのです。
 
 「…ふぅ…」
 
 そんな自分に一つ溜め息を吐いたコンはゆっくりと布団から身体を起こしました。瞬間、布団と衣服の間に張り付いた様々な体液が糸を引き、ねちゃりといやらしい水音を鳴らします。それが自分の身体から出たものだと思うと彼女は無性に恥ずかしくなり、その肌を赤く染めました。
 
 「もう…私、なんでこんな事したんだろ…」
 
 コンはそう言いながら、ネチョネチョになった布団をくるくると器用に纏め、肩に背負うようにして持ち上げました。日が落ちるにはまだまだ余裕があるとは言え、布団のように大きなものが乾くには時間がかかるのです。季節が秋という事も相まって布団が乾くかどうかは賭けに近いものでした。
 しかし、このまま布団を放っておけば兵十が帰ってくるまでに乾かないのは自明の理でした。魔物娘の本能はそれに悦びを訴えますが、コンはそれではいけないと思うのです。疲れて帰ってきたのに布団が汚れていてはただでさえ気落ちしている彼がさらに落ち込むことになるのですから。それは流石に可哀想だと彼女は思うのです。
 
 「頑張れば…きっと…」
 
 自分に言い聞かせるように呟いたその言葉は一体、何を指しているのかは彼女自身にも分かりませんでした。頑張れば布団が乾くのか、それとも兵十に許してもらえるのか、あるいは彼と夫婦になれるのか。そのどれもを指しているようで、何処かズレている。そんな感覚を覚えながら、彼女は布団を運んでいくのでした。
 
 
 
 
 
 次の日、コンは再び兵十の家へとやって来ていました。その手には山で採ってきた一抱えにもなる栗があります。朝から駆けずり回って手に入れたこの栗を使えば、今日も兵十に美味しいご飯を作ってあげる事が出来る。そう思うだけで彼女は自分の頬が緩むのを感じるのでした。
 
 「あ…いけないいけない…」
 
 しかし、コンはそんな自分を戒めました。それは決して頬を緩めている顔がだらしなかったからではありません。昨日はついつい気を抜いてしまって、兵十の布団を汚してしまったのです。アレから急いで洗濯して干す事は出来ましたが、彼が帰ってくるまでにはきっと乾いていなかったでしょう。
 
 「(流石に二日連続同じ事を繰り返す訳にはいかないよね)」
 
 昨夜の兵十は自分の所為で湿った布団で眠ったに違いない。そう思うと楽しい気分に浸っている気にはどうしてもなれないのです。償いに来たつもりなのにまた一つ迷惑を掛けてしまったのですから当然でしょう。せめて今日は同じ轍を踏まないようにしようと彼女が自分を戒めた瞬間、目の前にボロボロの兵十の家が見えました。
 
 「(さて…今日の兵十は…と)」
 
 そう心の中で呟きながら、コンはそっと裏口から家の中の様子を見ました。すると家の中央にある囲炉裏の前で兵十がぼんやりとした顔で座っているのが見えます。その手には掛けた茶碗を持っている辺り、きっと食事の途中なのでしょう。
 
 「(しまったなぁ…)」
 
 コンはてっきり昨日と同じく兵十が午飯を畑で食べているものだと思っていました。しかし、昨日、少し張り切ってご飯を作りすぎたのでしょう。その手に持った茶碗に掛けられているのは彼女が昨日、作った味噌汁でした。流石に味噌汁を畑まで持ち運ぶ気にはなれず、こうして午飯を食べにわざわざ家まで戻ってきたのでしょう。
 
 「えへへ…」
 
 そうやって無駄にしないように食べてくれる姿を見るだけでコンの顔に笑顔が浮かびました。自分の善行が兵十に受け入れられたと思うだけで尻尾がちぎれんばかりに揺れてしまいます。そんな自分を抑えようとする気持ちは彼女の中にはまだありましたが、それでも心の中から湧き上がる歓喜の感情はどうしても否定できません。
 
 「…はぁ…」
 「…え?」
 
 しかし、その瞬間、兵十の口からは重く苦しい溜め息がポツリと出るのでした。てっきり喜んでくれていると思った彼の溜め息にコンは驚きながら視線をそちらへと向けました。すると裏口から微かに見える兵十の頬には痣が出来ています。その表情もさっきは気づきませんでしたが、ぼんやりとしているというよりは思い悩んでいるという方が近いものでした。
 
 「一体、この料理は誰が作ったんだろう。流石に気味が悪い」
 「あ…」
 
 ポツリと呟かれた兵十の言葉にコンの胸が痛みを訴えました。確かに何時の間にか料理が出来ているなんて気味が悪いにもほどがあります。自分の留守中に誰かが忍び込んだ証拠ではないかと不安がるのも仕方のない事でしょう。それでも今、こうして警戒しつつも彼は食べてくれているのが救いではありますが、気味悪がられて捨てられてもおかしくはありません。
 
 「さらに勝手に布団は干されていたが妙に湿っていたし…俺のいない間に何が起こっているんだろう」
 「う…」
 
 やっぱりあんな短時間では布団は乾かなかったのでしょう。予想していたとは言え、兵十の口からハッキリとそれを聞かされるとどうにも胸が痛くなってしまいます。その痛みを抑えるようにコンがぎゅっと栗を抱いた腕に力を込めましたが、刺すような痛みは一向になくなる気配がありません。
 
 「(失敗しちゃったなぁ…)」
 
 勿論、コンとて最初から全てが成功するだなんて思っていませんでした。こうして自分の姿を隠して兵十へと償っている以上、まったくの誤解を招くことだって予想していたのです。しかし、善意でやった事がここまで逆方向に作用するだなんて彼女は思ってもいませんでした。自分の考えが浅かった為とは言え、どうしても気落ちしてしまいます。
 
 「(…今日はもう帰ろう)」
 
 未だぼんやりとしている兵十の姿を傍目に見ながら、コンはそっと抱いた栗を裏口へと置きました。通りからは見えないこの位置ならば他人に盗まれる心配はないでしょう。兵十が食事の準備をする為にはどうしても通らなければいけない位置ですし、ここならば置いておいても大丈夫。そう判断したコンはそのままそっと踵を返し、山へと戻っていくのでした。
 
 
 
 
 
 それからと言うものコンは毎日、兵十の元へと栗を始めとする食べ物を持っていくようになりました。山で松茸を見つけた時にはそれも彼の家へと運ぶようになったのです。無論、最初の頃は兵十も警戒していましたが、度重なる差し入れに自分なりの納得を得たのでしょう。最近では警戒する事なく栗や松茸を食べてくれるようになりました。
 
 「えへへ…」
 
 それが嬉しくてコンはあれほど楽しんでいた悪戯もせずに山の幸を探すようになりました。しかし、秋もかなり暮れ、そろそろ冬へと入ろうとしていた時期です。冬篭もりの準備として人や動物が沢山、秋の恵みを蓄えるようになり、潤沢であったはずの食べ物が一気に目減りしてしまったのでした。
 
 「うーん…」
 
 結果としてコンは日が暮れて黄金色の月が空に上がっても食べ物を探すようになったのです。とは言っても、彼女にとってそれはさほど大変な事ではありませんでした。夜目が利く狐の魔物娘にとって、夜道を歩くのはさほど苦ではありません。自分の庭と言っても良いほどに歩き慣れた山の中ですから尚の事です
 
 「あれ?」
 
 そんなコンが足元に目を向けながら木々を縫うようにして歩き続けて早数時間。その間、枯れ葉がこすれ合う音と松虫の泣き声が彼女の耳を震わせていました。秋独特の合唱に背中を押されるように歩き続けた彼女は開けた所に出てしまいました。そのままゆっくりと眼下に目を向ければ、小さな崖のようになった先に小道が通っています。どうやら夢中になっている内に予定の場所よりも大分進んでしまったようです。
 
 「でも…」
 
 そう。しかし、それでもコンの腕の中には栗が殆どありませんでした。かつては山の何処を歩いても手に入ったその食べ物はもう殆ど採り尽くされてしまったのです。もう数時間ほどコンは歩いていますが、その腕にある栗の数は十を僅かに超える程度でした。
 
 「…これじゃあ流石に足りないよね…」
 
 そう言うものの、これ以上、探した所で無駄な事だとコンは理解していました。山師のように自然と密着して過ごしている彼女にはもう山の幸が殆ど残っていない事など自明の理なのです。しかし、それでも兵十の事を思うと中々に諦める事が出来ません。あの気の毒な青年に償うにはまだまだ足りないとコンは思うのです。
 
 「……て……だ」
 「……んだ?」
 「ん?」
 
 そんなコンの耳に微かな話し声が聞こえました。瞬間、彼女の耳はピンと立ち上がり、辺りを警戒し始めます。そのままキョロキョロと周囲を見渡したコンはその声が眼下の道から聞こえてくることに気づいたのです。
 
 「(あれは……)」
 
 再び小さな崖の上からひょっこりと顔を出すように下を覗き込めば、コンの視界に見覚えのある顔が入りました。独特の迫力を放つ強面は少し離れたところにいる彼女にも一目で兵十と分かるものです。そして、それ以上に彼から漂ってくる体臭がボロ布を縫い合わせたようなみすぼらしい格好をした男性がコンの愛しい相手であると教えてくれるのでした。
 
 「(隣にいるのは誰だろう…)」
 
 しかし、コンには兵十が話している相手の事は分かりませんでした。兵十の顔はこの距離でもハッキリと分かるというのに隣の男性の顔は朧気にしか分からないのです。良くも悪くも没個性なその顔はコンにはカカシ程度にしか思えないのでした。
 
 「(まぁ、いっか。どうせ加助だろうし)」
 
 そうコンが断言出来るのは兵十の交友関係の少なさが原因です。迫力ある強面に反して人見知りで気の弱い彼がこんなにも親しく話せる相手は幼馴染である加助以外にはあり得ません。顔立ちもすっきりしていて口も上手な加助と強面で口下手な兵十が仲良くしているのは決して小さくない謎ではありますが、彼女にとってそうした相手が彼の助けとなってくれている方が遥かに重要なのです。
 
 「(むぅ…)」
 
 しかし、コンはそう思う反面、その親しげな様子に嫉妬の感情を抑える事は出来ませんでした。それは別に二人の仲が親密以上であると疑っているからなどではありません。加助には命よりも大事にしているぬれおなごの嫁がいるのですから。兵十とて時折、村の若い女――基本的には魔物娘なのですが――に目を引かれている事を考えるに男の方が好きだという可能性は皆無でしょう。
 ですが、それでもコンは頬を膨らましたくなる気持ちを否定する事が出来ません。自分というものがあるのにも関わらず――勿論、兵十にとってそんな事は知った事ではないのですが――どうして男とあんな風に親しげに話すのか。コンだって本当は兵十と仲良く話したいのです。
 
 「そうそう、なあ加助」
 「ん?」
 
 コンがそうやって嫉妬を感じているのにも気付かず、眼下の二人はそう話し始めました。その足が止まらずに歩き続けている辺り、きっと何処かへ行く途中なのでしょう。それが気になったコンはそっと二人が自分の前から通り過ぎるのを待ってからゆっくりと崖の下へと降りていったのでした。
 
 「俺はこの頃、とても不思議なことがあるんだ」
 「何が?」
 「おっ母が死んでからは、俺に栗や松茸なんかを、毎日くれるんだよ」
 「ふうん、誰が?」
 「それが分からんのだよ。俺の知らんうちに、裏口へ置いていくんだ」
 
 兵十の言葉にコンは後ろでクスリと笑いました。勿論、兵十の家にそうやって栗や松茸を運んでいるのは他ならぬ彼女です。それを知らない兵十にとっては不思議で仕方のない事でしょう。そして同時にただ不思議がっているだけで彼が悪いように思っていないのは加助に語る言葉の節々から伝わってくるのです。
 
 「(あぁ、そっか。こういう悪戯もあるんだ)」
 
 決して悪さをするのではなく、相手を喜ばせる悪戯。息を潜めて聞き耳を立てる彼女にはそれは想像もしたことがないものでした。しかし、兵十の言葉を聞いてる内に胸の内に湧き上がった感覚は、悪戯をした時の愉快さと良い事をした後の清々しさが混ざり合った絶妙なものだったのです。
 
 「本当かい?」
 
 そんなコンの前で加助はそう兵十に尋ねました。その言葉にはどうしても疑いの念がついてまわっています。それも当然でしょう。ある日突然、見知らぬ誰かが食べ物を置いていくだなんて普通では考えられません。実りの秋とは言え、他人に食べ物を恵んでいる余裕は殆どのものにはないのです。すぐさま寒い冬が来てしまう以上、誰もがその準備に忙しいのですから。
 
 「本当だとも。嘘と思うなら、明日、見に来いよ。その栗を見せてやるよ」
 「へぇ…不思議な事もあるもんだなぁ…」
 
 とは言え、加助の横で自信満々にそう言う兵十に嘘を言っている様子はありませんでした。迫力のある顔立ちとは裏腹に嘘を吐くのが苦手な彼の事です。きっと本当の事を言っているのだろう。そう判断した加助はしみじみと呟きながら、足を進めます。
 
 「(でも…一体、誰がそんな事をしてるんだ?)」
 
 村の一員として受け入れられているとは言え、兵十は決して交友関係の広い男ではありません。葬式の時には多くの参列者がいましたが、それはあくまで礼儀の一つに過ぎないのです。村一番の働き者でもある彼には友人らしい友人など加助以外にはいないのでした。
 
 「(そんな兵十に正体を隠すように手助けする必要…か)」
 
 そんなもの村の住人にはありません。交友関係が広くないとはいえ、同じ村の住人として挨拶や近所付き合いは普通にあるのですから。彼の手助けがしたいのであれば普通に料理を差し入れしてやったりすれば良いだけの話なのです。少なくとも村の住人でないことだけは確実でしょう。
 
 「(という事は何らかの理由があってコイツの前に顔を出せないという可能性が高いだろうな)」
 
 それが彼に対して後ろ暗い事があるのか、それとも顔を出せないほどに醜悪な化物なのか、はたまた、何かやましい事でも考えているのか。部外者である加助には分かりません。しかし、気味悪がっている訳ではない兵十の様子から察するに食べ物に毒が混ざっていたなんていう事はないでしょう。栗や松茸を盗んできたとは考えられませんし、何か犯罪行為に人の良い兵十を巻き込もうとしている訳ではないはずです。
 
 「(しかし…栗や松茸…ねぇ)」
 
 山へと入る知識がある人間であれば、それは幾らでも採ってくる事が出来るものです。しかし、村人には隠れて兵十に差し入れをする理由などはありません。ならば、山へと入る知識があると言うよりは寧ろ…――
 
 「(おっと、いけない。こうやって結論を急ぐのは俺の悪い癖だな)」
 
 妻であるぬれおなごにも指摘された悪癖が顔を出そうとしているのを感じた加助は自分に苦笑を向けました。しかし、そうやって考えこむのはそれだけ加助が兵十のことを大事に思っているからです。兵十とは様々な意味で対称的な加助ではありますが、幼い頃から色々な悪戯に付きあわせたりしている兵十の事を親友だと思っているのでした。
 
 「それ以外に何か不思議な事はなかったか?」
 「不思議な事かぁ…」
 
 半ば確信を得たとは言え、まだまだ結論を出すには早い。そう思った加助は兵十にそう尋ねました。瞬間、兵十は顎に手を置いて、首をひねるようにして思考へと入ります。加助とは違ってあまり物覚えが良いとは言えない兵十にとってそれは考え事をする時の一種の癖のようなものでした。
 
 「そう言えばその前に俺の留守中に勝手に家へ入ってきた奴がいたよ」
 「へぇ…それは盗人だったのかい?」
 「いや、それどころかそいつは俺に料理を作ってくれたらしい」
 
 瞬間、加助の後ろの茂みがガサリと音を立てました。それは勿論、そこに潜んでいるコンが驚きに身を硬くしたからです。しかし、風も強くなる秋の夜更け。特に兵十は不信に思わず、不思議そうに言葉を紡ぐだけでした。
 
 「料理か。それはどんなものだったんだ?」
 「焼いたイワシや味噌汁だったな。とても美味しかった」
 「…食べたのか」
 「あぁ。勿体無いからな」
 
 あっけらかんと言う兵十に加助はそっと頭を抑えました。勿論、こうして人を疑わないのが兵十の美徳であるということは加助も良く知っています。しかし、その一方であまりにもモノを考えなさ過ぎるのではないかという気持ちもあるのでした。誰が作ったともしれない料理を食べて毒でも入っていたらどうするのか。そんな風に心配する気持ちはどうしても否定出来ないのです。
 
 「(まぁ、コイツをそんな風に殺そうとするなんてあり得ないんだろうが…)」
 
 兵十は貧乏な農民でしかありません。何処にでも居るような人の良い普通の青年でしか無いのです。そんな兵十に毒を盛ろうとする理由なんて加助にだって思いつきません。そういう意味では兵十があっさりと料理を口に運んだのは理解出来ない訳ではないのです。
 
 「ただ、もうひとつ不思議な事があってだな…」
 「なんだ?」
 「俺の布団が何時の間にか洗濯されて干されていた。ただ、秋口に洗濯などしたものだから中途半端に乾いていてな。お陰で俺はその日、湿った布団で寝る事になったよ」
 
 困ったような独白にまた一つ茂みがガサリと揺れました。それに加助は人知れず笑みを浮かべます。鈍感な兵十とは違って聡い加助はどうやら後ろには一連の事件の犯人がいる事に気づいていたのでした。無論、その正体もまた加助には分かっています。
 
 「(さて、どうしてやろうかな)」
 
 山に住む悪戯狐がどうしていきなりこんな隠れた善行をするようになったのかもまた加助には朧気ながら理解していました。どうしてコンが自らの罪を自覚するようになったかまでは分かりませんが、決していつもの様に悪戯として兵十に構っている訳ではないのでしょう。
 しかし、そう理解していても加助はコンの事をあまり良い風には思えませんでした。親友だと思っている兵十に構って貰いたがっての悪戯は時には度を越したものにもなっていたのです。それが少しばかり歪んだ愛情表現だと妻に教わったとしても、実際に被害を被っている兵十を知っているだけにあまり肯定的にはなれません。
 
 「おい、加助」
 「ん?」
 
 そんな風に考え事をしている間に兵十と加助は小さいお屋敷の前にたどり着きました。そこは吉兵衛というこの辺りを治めるお百姓の家です。ようやく目的地に着いた事を知った加助は自分の頭の中からコンの事を追い出しながら、そっと屋敷の中へと入っていったのでした。
 
 「ん…」
 
 そんな二人の後ろからひょっこりと顔を出したコンは障子に映る二人の影を追いかけました。本当は彼らの背中をずっと追い回したかったのですが、悪戯狐であるコンはお百姓の家には入れません。もしかしたら自分のことを話しているかもしれないのになんと歯がゆい事か。そう思うコンの目の前で二人の影がそっと部屋の中へと入っていくのが見えました。
 
 「お念仏かな」
 
 それから少しした後、部屋の中からポンポンという木魚の音と共にお経が聞こえ始めました。どうやら今日は住職がお経をあげに来たようです。畑の収穫も終わり、冬明けの準備も一段落着いたからでしょう。そう思っている間にまた三人ほど吉兵衛の屋敷の中へと入っていくのがコンの目にも見えました。
 
 「むぅ…退屈…」
 
 独特の調子で唄い上げるように読まれるお経がコンはあまり好きではありませんでした。良くも悪くも子どもである彼女にとって長い間、じっとして大人しく聴き続けているというのは中々に苦痛なのです。兵十から紡がれる愛の言葉であればまだしも、聞いている内に眠くなってくるお経ともあれば尚更でした。
 
 「んー……」
 
 しかし、コンはその場を離れる訳にはいきませんでした。二人の会話の続きが気になりますし、何より夜道を男二人で歩くのはとても危険なのです。隙あらば男を押し倒して自分のものにしようと目を光られている魔物娘がそこら中にいるのですから。その一人であるコンにとって兵十が他の誰かのものになるのではないかとハラハラしているのでした。
 
 「ちゃんと最後まで送り届けてあげないと…」
 
 そう自分に言い聞かせながらコンは眠気と戦い続けました。しかし、人より頑丈な魔物娘であるとは言え、山道を歩き続けた幼い身体はそれなりに疲労していたのでしょう。何時の間にかウトウトとし始め、瞼が落ちそうになってしまいます。それでも尚、必死に眠気に抗い続けようとしていましたが、ついに眠気に屈したコンはその場で丸くなって眠り始めてしまったのでした。
 
 
 ―その夢の中でコンはとても幸せでした。
 
 
 だって、夢の中のコンの隣には兵十が居たのです。それだけでも幸せなのに、彼はコンに対して甘い言葉を幾らでも囁いてくれるのでした。普段の兵十であれば決して言わないような優しくも暖かい言葉に彼女の身体は振るえるほどの歓喜を覚えていたのです。
 
 「んん…っ♪」
 
 そうして震えた身体を兵十がぎゅっと抱きしめてくれます。村一番の働き者である兵十の腕は思いの外がっしりとしていて逃げ場など何処にもないように思えるのでした。しかし、今のコンにとってそれは女芯をとろけさせる要素でしかありません。愛しいオスの逞しさは魔物娘にとって媚薬にも近いのです。
 
 「は…ぁ…♪」
 
 身体がゆっくりと火照るのを感じたコンはそっと力を抜きました。自然、その身体は重力に引かれて落ちそうになるのです。しかし、コンのその身体を兵十はしっかりと抱きとめていてくれました。いえ、それはただ抱きとめるだけではありません。まるで自分のものだと主張するように力強く抱き寄せてくれていたのでした。
 
 「幸せ…ぇ…♪」
 
 愛しいオスの優しさと逞しさを同時に感じられるその仕草。それにコンの口から蕩けた声が溢れました。欲情をたっぷりとまぶされたその言葉に彼女自身の興奮も高まっていくのです。
 
 「あ…♪」
 
 しかし、その甘い声はコンよりも兵十の方に効果が大きかったのでしょう。自分の身体を抱きしめる兵十の顔にはっきりと欲情が浮かんでいくのを彼女は感じました。無論、それはコンにとって喜ばしい事です。幼い自分の身体にこんなにも興奮してくれると思うだけで今すぐ兵十の手で無茶苦茶にして欲しいと思ってしまうのでした。
 
 「ねぇ…シて…ぇ♥」
 
 そしてついつい甘いオネダリの言葉がコンの口から出てしまうのです。愛する母親に負けない甘くいやらしいその言葉にコンの背筋がブルリと震えた瞬間、兵十がコクリと首肯を返してくれました。そのままゆっくりとコンへと顔を近づけ、唇を付き出してくれるのです。何処か不恰好なその接吻にコンもまた目を閉じる事で応えようとして……――
 
 
 「んん……」
 
 
 そこでコンは目が覚めてしまいました。周囲に耳を傾ければドタドタという音と共に部屋から何人もの男が出ていくのが聞こえます。その中には兵十の足音もありました。
 
 「えへ…♪」
 
 これだけ多くの足音の中でも兵十のものだけはしっかりと分かる。そんな自分に一つ誇らしげな笑みを浮かべながら、コンは丸まった身体を起こし、ゆっくりと伸びをしました。瞬間、身体の中に残っていた眠気が発散し、意識が少しだけスッキリします。まだまだ身体のなかに眠気は残っていますが、今すぐ眠るような事はないでしょう。
 
 「(本当は…もうちょっと眠りたい気持ちがない訳じゃないけど)」
 
 そう。さっきの夢はこれから口づけをして兵十の欲望のままに滅茶苦茶にされる所で終わってしまったのです。最高の瞬間の前に終わってしまった夢の続きを見たいと言う願望はコンの中にもありました。しかし、その夢は彼女のこれからの努力次第で幾らでも現実にすることが出来るのです。その為にも今は他の虫が兵十につかないように二人の護衛をしなければいけません。
 
 「……だし」
 「……だから……だな」
 
 そんなコンの耳に兵十と加助の声が届きました。どうやら二人はこのまま酒盛りに雪崩込もうとする誘いを断って帰ろうとしているようです。兵十は自らの貧乏さから、加助は嫁の大事さから断るその言葉を聞いて強引に酒盛りに誘おうとする男衆はいなかったのでしょう。一分ほどした後に二人の男は吉兵衛の屋敷から出てきました。
 
 「よし」
 
 そんな二人の後をコンはこっそり着いて行きました。幸いにして二人は一度も後ろを振り返る事なく、来た道を辿るようにして歩いています。影を踏むようにして後をつけるのはそう難しい事ではありませんでした。
 
 「そうそう。さっきの話だがな」
 「え?」
 「ほら、お前の家に食べ物が投げ込まれるって話だよ」
 「あぁ」
 
 コンの目の前で加助がそんな風に話を切り出しました。最初はそれが理解できなかった兵十も次の言葉に納得の言葉を返しました。さっきの話とは吉兵衛の屋敷へ向かう途中に兵十が口にした話題だったのです。てっきりついさっき加助が話していた嫁との惚気話かと思っていた兵十にとって、それは少しばかり意外でありました。
 
 「そりゃあきっと神様の仕業だろうよ」
 「えっ」
 
 兵十が驚いたのは神様が自分を見て下さっている事ではありません。神様なんて信じていないと普段から口にする加助が神様が実在するような言葉を放ったからです。村の付き合い以外では積極的に神仏に関わろうとしない普段の加助を知る兵十にとって、それは意外という言葉では片付けられない衝撃でした。
 
 「俺はあれからずっと考えていたが、どうも、そりゃ人間じゃない。神様だ。神様がお前がたった一人になったのを哀れに思わっしゃって、色んな物をを恵んで下さるんだよ」
 
 そう言葉を紡ぐ加助は勿論、それが神様ではなくコンの仕業である事に気づいていました。しかし、それを兵十に教えてやるのは酷く癪に思えるのです。どうせ本人が顔を出さないのであれば、適当に嘘を吹きこんでやれば良い。その方が後ろに着いている悪戯狐にも堪えるだろうと思ったのです。
 
 「そうかなあ」
 「じゃあ、そんな不思議な事を誰がするって言うんだ?」
 
 加助ほどではなくとも神仏に対してあまり肯定的ではない兵十はそう疑いの声を漏らしました。しかし、そんな兵十も加助の問いには答える事が出来ません。あまり賢いとは言えない兵十ではありますが、それでもそんな真似をする必要がある相手が自分の周りにいない事くらい理解しているのです。加助の言う神様の仕業という言葉はしっくり来ませんがそれくらいしか説明できない気がするのでした。
 
 「だから、毎日、神様にお礼を言うが良いよ」
 「うん」
 
 兵十が加助の言葉に素直に頷いたのは決して納得したからではありません。やっぱりどうしても神様の仕業というのはしっくり来ないのです。ですが、もし、あの不思議な出来事が神様の仕業だとして、その恩恵に与っている兵十がまったく自分を信じていないというのは良い気がしないでしょう。今は他に有力な候補も思いつきませんし、とりあえず神様に感謝しよう。人の良い兵十は加助に誘導されているのにも気付かず、そう思ったのでした。
 
 「むぅぅ…」
 
 勿論、それが面白くないのはコンです。兵十に優しくしているのは自分なのにどうしてその手柄を神様とやらに持っていかれなければいけないのか。元々、償いでやっていた事とは言え、どうにも理不尽である感が否めません。怒り出すほどではありませんが妙にもやもやとしたものを感じるのです。
 
 「あわ…!?」
 
 しかし、その感傷にあまり浸っている訳にもいきません。溢れだすもやもやに胸を抑えた瞬間、加助がそっと後ろを振り返りはじめたのです。驚いたコンは急いで脇の茂みへと飛び込み、息を殺しました。
 
 「どうしたんだ?」
 「いや、なんでもないよ」
 
 そんなコンの前で兵十に短く返しながら、加助は一つ笑みを浮かべました。さっきの音を聞く限り、この辺りに悪戯狐が潜んでいたのは確実です。勿論、さっきの話も聞いていた事でしょう。それに対し、今まで正体を現さなかった彼女がどんな反応を見せるのか。少しばかり意地が悪いと理解しつつも楽しみなのは否定出来ません。
 
 「(まぁ、悪いようにはならんだろう)」
 
 兵十が底抜けのお人好しである事は加助も良く理解している事なのです。あの悪戯狐にどれだけ痛い目に合わされても退治しようだなどと言い出した事は一度たりともありません。その甘さに漬け込まれていると加助などは思うのですが、それがまた兵十の優しさであると思うのです。
 
 「(きっとコイツはあの悪戯狐も許すだろうからな)」
 
 兵十は死に際の母親にうなぎを食べさせてやれなかったのを深く悔いていました。しかし、かと言ってその怒りをコンへと向けたところを加助は一度たりとも見せた事がありません。そんな兵十へと食べ物を差し入れしていたのがコンだと知れば、彼はきっとすぐに彼女の事を許す事でしょう。良くも悪くも純朴でお人好しなのが兵十の特徴なのですから。
 
 「(その後でどうなるかまでは保証は出来かねるけれど)」
 
 兵十に恋心を抱いているらしいコンがその後でどのような行動に出るのかは分かりません。しかし、恋にも性交にも一直線な魔物娘の事です。何の気兼ねもなく会えるような関係になればきっとそう遠くない内に二人は夫婦になるでしょう。それを心の底から祝福できるかまでは分かりませんが、邪魔をしたいとまでは思えません。
 
 「それより早く帰ろう。杏子が嫉妬してしまう」
 「はいはい」
 
 口を開けばすぐさま嫁との惚気を口にする加助に肩を落としながら、兵十は歩き始めました。兵十とて年頃の男です。貧乏さと顔の怖さが相まって縁がありませんが性欲も結婚願望もあるのでした。とは言え、自分の貧乏さでは嫁を迎え入れたとしてもまともな暮らしをさせてやる事は出来ません。それに首尾よく誰かに惚れて貰ったとしても人並み以上に苦労させる結婚生活など可哀想です。だからこそ、兵十は自分の結婚を半ば諦めている状態でした。
 
 「(それでも良いと言ってくれる奇特な子がいれば…いや、そんなものいる訳がないか)」
 
 そう自分の中で結論付ける兵十は無論、その子が後ろに居る事に気付いていません。そんな兵十と加助が月に照らされながら帰っていくのをコンは茂みの中からこっそりと見送りながら一つ溜め息を吐いたのでした。
 
 
 
 
 
 
 次の日、兵十は朝から物置で縄を結っていました。畑仕事も一段落着いた農家にとって縄や草鞋は貴重な収入源です。食べ物の少ない冬の間の仕事でもあるそれは村一番の働き者である兵十が特に得意な分野でした。
 
 「はぁ…」
 
 しかし、今の兵十の指先は思ったように動いてはくれません。少し動いてはピタリと止まり、また少ししてからのそのそと動き始めるのです。それは別に寒さに凍えているからではありません。大分、肌寒くなってはきましたが、兵十は夜遅くまで働く事もままあるのですから。
 
 「…どうしたんだろうなぁ…最近」
 
 そう兵十が呟くのは自分の身近で起こる不思議な出来事…ではありません。その脳裏に浮かんでいるのは輝かんばかりの金髪を揺らす小さな少女の事です。一体、自分の何を気に入ったのか分かりませんが、その狐の魔物娘――コンは一週間に一度は兵十の所へ顔を出していたのでした。
 しかし、最近はそんな彼女の姿をまったく見ないようになったのです。無論、これまでも雨の日が長く続いた日には顔を出さない事もありました。しかし、あの大雨の日からずっと穏やかな天気が続いているのです。それにも関わらずこれだけの長期間、コンが顔を出さない事なんて今までなかったのでした。
 
 「何か病気にでも罹ったのか…」
 
 無論、人より遥かに丈夫な魔物娘が病気になる事など滅多にありません。しかし、兵十にとって魔物娘は化物というよりは見目麗しい美少女や美女に近いのです。もし、命に関わるような大病で一人苦しんでいたらどうしよう。そんな事を考えてしまうのでした。
 
 「(でもなぁ…)」
 
 しかし、兵十はコンの住処をまったく知りません。近くの山に住んでいる事は知っていますが、山と言っても広々として全てを見て回るには一日では到底、足らないのです。これから冬の準備を本格的にしなければいけませんし、彼女の様子を見に行く時間はありません。
 
 「(それに…)」
 
 そう呟きながら思い返すのはあの大雨が上がった日の事。病床に臥せった母親が望んだうなぎをコンが逃がしてしまったのは未だ兵十の心の中に引っかかっていました。無論、彼女にそれほどの悪意があった訳ではないことは彼も良く理解しています。しかし、そのお陰で母親の死に目にも会えなかったという事が暗い感情を沸き上がらせるのでした。
 
 「違う。アレは俺の失敗だったんだ」
 
 しかし、兵十はそれに身を委ねる事を善としませんでした。元はと言えば、警戒を怠った自分自身が悪いのです。これまでの経験からコンが悪戯しに来るであろう事は理解していたのにうなぎが取れた事が嬉しくて、びくを置いたまま母親に報告しに行ってしまったのですから。
 
 「(ちょっと悪戯っ子なだけで悪い子じゃないんだし…)」
 
 これまで兵十は沢山の悪戯をコンからされてきました。しかし、一度だって取り返しの付かない規模の悪戯をされた事はないのです。今までされた中で一番、大変だった時は畑をほじくり返した時でしたが、その時だって彼女は根っこが取れないように細心の注意を払っていました。それを埋め直す手間は大変でしたが、収穫前という事もあって収穫量が大きく減ったりはしなかったのです。
 
 「(それにちゃんと言えば、大人しく言う事は聞いてくれる)」
 
 少しばかり腕白過ぎますが、本気で叱られればシュンと尻尾を垂らして反省の意を示すのです。耳を伏せたその姿は庇護欲をそそられて仕方ありません。それに、彼女は悪戯の罰だと言い渡した仕事から逃げた事は一度だってないのです。そればかりか普段、悪戯ばっかりしているコンの姿は想像も出来ないくらいに従順に言うことを聞いて仕事を手伝ってくれるのでした。彼女がうなぎを逃したあの時だって自分が側にいて止めていればきっと悪戯をする事はなかったでしょう。
 
 「…良い子…なんだよなぁ」
 
 そんなコンを兵十は嫌いになれませんでした。いえ、それどころか好ましいとさえ思っていたのです。加助にこんな事を言うと呆れられるでしょうが、子どもらしい子どもをしている彼女に活力を貰ったのは一度や二度ではありません。貧乏で余裕のない生活を送っている兵十にとって、コンは一種の清涼剤でもあったのでした。
 
 「…はぁ」
 
 しかし、その彼女が自分の傍にいない。母親の死からどうにも気力が湧き上がらない兵十にとってそれは少しばかり悲しい事でした。あの明るくも愛らしい少女に悪戯されて追いかけっこをすれば、少しは自分の身体に力が戻ってくるはずなのに。最近の兵十はそんな事さえ思い浮かべていたのです。
 
 「…やめよう。こんな事考えても無駄だ」
 
 そう思考を打ち切ってから兵十は大きく背伸びをしました。そうすると身体の中で固まった気だるさが少しだけ晴れてくれます。心もまた少しだけ晴れやかな気分になっていました。どうやらコンの事を考えている間に少し元気を取り戻せたようだ。そんな現金な自分に一つ笑みを浮かべながら、彼は再び手元に視線を戻そうとします。
 
 「ん?」
 
 その瞬間、彼の視界に見覚えのある金色がチラリと横切ります。最近は全く見なかったその金色を兵十は最初、見間違えではないかと思いました。しかし、キラキラと輝く細い髪はこの辺りでは滅多に見ないものです。黄金にも負けないその輝きを見間違えるはずがありません。
 
 「まさか…」
 
 またコンが悪戯しに来たのか。そう思うと兵十の顔が緩み、身体には活力が戻って来ました。それはついさっきまで溜め息を吐いていた男の姿とは思えない張り切りっぷりです。しかし、兵十にしてみれば悪戯しようとした現場を押さえるだけじゃなく、久しぶりに捕まえてやらなければいけません。前回の悪戯についての説教もしたいですし、何より最近の調子も面と向かって尋ねたかったのですから。
 
 「ようし」
 
 そう気合を入れながら、兵十は音を立てないようにゆっくりと立ち上がり、忍び足でコンの後ろへと回り込もうとし始めました。そんな彼の姿にコンはまだまだ気付いてはいません。警戒しているのは前方だけで後ろにはまったく気を配っていないのでした。村の仕事を詳しく知っている訳ではない彼女からすれば、まだこの時間は兵十は畑に出ている時間なのです。よもや物置にいるだなどと思わず、裏口からこっそり中の様子を伺うだけで警戒を解いてしまっていました。
 
 「(うん。今日もいないよね)」
 
 良くも悪くも兵十の家に忍びこむのに慣れたコンは持ってきた食べ物を持ったままそっと土間の方へと足を進めました。勿論、普段であればそんな迂闊な事はしません。例え兵十が留守であったとしても、そっと戸口の近くに食べ物を置いて帰るのですから。しかし、今日のコンはそれでは到底、満足できなかったのです。
 
 「(私がこんなに尽くしてるのに…)」
 
 コンがそう胸中で呟きながら思い浮かべるのは昨夜の出来事です。加助の話術によって自分の行いがあっさりと神仏の仕業にされてしまった事に彼女は一晩経っても納得出来ていませんでした。別に彼に感謝されたくてこんな事をやっている訳ではありませんが、どうしても誤解されたままというのは面白くないのです。
 
 「(だから、今日は誤解の余地がないくらいに美味しい料理を作ってやる…!)」
 
 そうすればきっと兵十とてこれまでの出来事が神様ではなく誰かの手によるものだと分かるでしょう。無論、兵十がそうやって作った料理を食べないという可能性も考えられますが、最初の料理も何だかんだで食べてくれた辺りその心配は杞憂に近いものです。それでも最初は警戒されるでしょうが、警戒程度では我慢出来ないほどに美味しそうな料理を作れば良いだけの話です。
 
 「よし…!」
 
 そう気合を入れながらコンは自分の胸元から囲炉裏の近くへドサドサと食べ物を下ろしました。そこには昨日一晩掛けて集めたキノコや栗が山のようにあるのです。普段よりも一層気合の入ったその食材をどう料理してやろうか。そんな事を考える彼女の視界に灰色の布団が目に入りました。
 
 「う…」
 
 それはコンにとって後悔の象徴と言っても過言ではありません。あの布団から漂う誘惑に負けて、彼女は一度、大きな失敗をしているのですから。あの恥ずかしくもいやらしい失敗を意識させられてしまう布団から彼女は反射的に目を逸らそうとしました。
 
 「あぁ…ぁ♪」
 
 しかし、一度、意識してしまったら魔物娘の本能はもう止まらないのです。微かに漂う兵十の匂いを意識してしまうだけで彼女のお腹の奥はきゅぅぅぅんと収縮し、甘い感覚を訴えてくるのでした。口からも甘い吐息が思わず漏れ出て、身体が火照り始めるのが分かります。
 
 「(ダメダメ…!もうおんなじ失敗を繰り返さないって決めたんだから…!)」
 
 自分に対し、コンがそう言い聞かせますが、どんどんと熱っぽくなっている視線を布団から離す事が出来ません。どうしてもそっちに意識が向いてしまうのです。無論、彼女の中にも微かにある理性がそれをいけない事であると訴えますが、むくむくと膨れ上がっていく本能の方が遥かに強大でした。
 
 「うぅぅ…」
 
 それでもコンは数分ほどその場に立ち止まって本能に抗い続けていました。しかし、その間も彼女の身体の中でズキズキとした疼きが走り抜け、今すぐ布団に飛び込んでみたくなるのです。それを抑えようと太ももを擦れ合わせるようにして身悶えしましたが、あまり効果はあるとは言えませんでした。
 
 「(何をしてるんだ?)」
 
 そんなコンの様子を戸口からそっと覗く兵十は首を傾げました。後ろ姿しか見えない兵十には、今の彼女の姿はいきなりモノを置いたかと思えばモジモジしだしたとしか思えないのです。一体、何をしているのか。それがとても気になりましたが、コレ以上近づけばコンに気付かれてしまいます。まだ悪戯をしている気配がない以上、ここで取り押さえる訳には参りません。出来れば言い逃れの出来ない――無論、コンがそのような卑怯な真似をするとは兵十も思っていませんが――状況で捕まえてやりたいのです。
 
 「はぁ…ぁっ♪」
 
 兵十にまったく気づいていないコンはふらふらと誘われるように土間から床へとそっと上がりました。そうなったらもう彼女を止められるものは何もありません。近づく度に濃くなっていくその匂いをもっと味わおうと本能が強くなり、理性が急激に薄れていくのです。
 
 「ふわぁん…っ♥」
 
 最後に一つ甘い鳴き声を漏らしてからコンは兵十の布団へと飛び込みました。瞬間、ずっと味わいたかった兵十の匂いが暖かく彼女を迎え入れてくれるのです。それを肺一杯に吸い込むようにスンスンと鼻を鳴らしながら、コンはゴロゴロと顔を布団へと押し付けていました。
 
 「わふぅ…♪」
 
 甘えるような鳴き声を漏らすコンの尻尾はフリフリと揺れていました。それをはしたないと思う気持ちも彼女の中には残っていましたが、それを止める事は出来ません。こうして兵十の匂いに包まれる幸せをもうコンはずっと前に知ってしまったのですから。いえ、幸せだけでなく、快楽までも彼女は知ってしまったのです。
 
 「はぁ…ぁ…っ♪はぁ…ぁ♪」
 
 何度も夢想した男くさくも甘い匂い。それを思ってコンが自分を慰めた回数はもう両手では到底、足りません。そんな匂いが今、自分を優しく包み込んでくれている。そう思うだけで彼女の子宮は疼きを覚え、呼吸の感覚もドンドン短くなっていくのでした。
 
 「(あぁ…また…私…いやらしいメス狐になっちゃうぅ…♥)」
 
 そんな自分を押し留めるように内心でコンが呟いた言葉も今の彼女からすれば興奮を助長するものでしかありません。自分がいやらしいと思えば思うほどに魔物娘の本能は激しく燃え上がり、その身体を熱くしていくのですから。それに彼女が気づいた所で既に遅いのです。自分の思い浮かべた『メス狐』という言葉に背筋を震わせたコンはそのまま掛け布団をめくり上げ、布団の中に小さな身体をすっぽりと納めてしまったのですから。
 
 「すんすんっ♪…ふわぁ…ぁっ♥」
 
 瞬間、四方八方から兵十の匂いがコンの鼻を擽ります。それはもう欲望に染まりきった幼い身体には毒にも近いものでした。一瞬で欲情が膨れ上がり、コンは自らの指をそっと秘所へと導くのです。
 
 「あぁ…もう濡れ濡れぇ…♥」
 
 そこはもう洪水にでもあったかのように濡れてしまっていました。兵十を思って繰り返した自慰によってコンの女…いえ、メスは急速に目覚め始めているのです。彼のことを思うだけでいやらしい液体を滴らせるまでに成長した貪欲な口にとって、兵十の匂いは最高のご馳走でした。
 
 「んん…っ♪ふにゅぅ…ぅ♥」
 
 ご馳走を前にして滴り落ちる淫らなヨダレを潤滑油にして手を動かすのが最近のコンのお気に入りでした。無論、魔物娘と言えども貞操観念はある為に指を入れるつもりはありません。しかし、こうして一本の毛も生えていないなだらかな恥丘を包むように撫でるだけで彼女の身体に信じられないような快感が突き上げてくるのでした。
 
 「???」
 
 そんなコンの様子を知らない兵十は戸口で一人首を傾げていました。いきなり彼女が床へと上がった所までは見えましたが、視界の都合上、何をしているかまではまったく分からないのです。てっきりすぐに出てくると思ってここで待機していたのですが、まったくその姿が見えません。
 
 「(まさか…)」
 
 思い返せばさっき床にあがった時のコンの様子は何処か胡乱で足元もはっきりしていませんでした。もしかしたらまだ病気で倒れそうになっているのかもしれない。そう思うと居ても立ってもいられなくなった兵十は足音を忍ばせたままゆっくりと家の中へと入って行きました。
 
 「……んっ…♪…あ…ぁっ♥」
 
 そんな兵十の耳に妙な曇った声が届きました。そっとそちらに視線を向ければ自分の布団の中でもぞもぞと何かが動いているのが分かります。どうやらコンはそこに身を潜めているようだ。そう判断した兵十はそのまま驚かせない様にゆっくりとそちらに向かい始めるのです。
 
 「(でも…なんなんだ?この声…)」
 
 哀しいかな兵十には性交渉の経験がありません。これまでその口下手さと貧乏さから村の女性たちにそっぽを向かれ続けていたのですから。加助から色々と性的な知識を教えて貰いはしましたが、実際に嬌声を聞いたことは一度もありません。そんな彼にとってそのくぐもった声は苦しそうなものでありながら、妙に劣情を誘う不思議なものに思えるのです。
 
 「(まぁ、良い。今はそれよりもこの子の事だ)」
 
 自分の身体が興奮していくのを頭を振るようにして否定しながら兵十はそっと布団の横へと立ちました。しかし、それでも布団はもぞもぞと動くだけで彼の方へと視線を向けません。どうやら人の気配に気付かないほど弱っているらしい。恐らく、頼る者もおらず、ここにやって来るしかなかったのだろう。そう思考を紡ぐ兵十の胸に同情の念が沸き上がってくるのでした。
 
 「…なあ」
 「ひきゅぅぅっっ♪」
 
 その感情のまま兵十が優しく声を掛けた瞬間、その布団はビクンと大きく跳ねました。そのまま中で小さな悲鳴と共にぐるぐると暴れまわっているのが彼にも分かります。どうやら軽い混乱に陥っているようだ。そう判断した兵十はまずは落ち着いて貰おうと布団をそっと叩きます。
 
 「大丈夫だ。別に怒るつもりなんかない」
 「ひにゃ…ぁ…っ♪」
 
 しかし、それでも尚、布団の中で暴れまわるコンは止まりません。それも当然でしょう。彼女は別に怒られる事を怖がってこうして布団の中で身動ぎしている訳ではないのですから。ただでさえ兵十の匂いに包まれて、身体中が敏感になっているのです。その上、こうして優しく話しかけられれば、身体の疼きが止まらなくなってしまうのでした。
 
 「(あぁ…っ♪私…こんな…ぁ♪こんにゃ…ぁ♥)」
 
 身体中の肌が湧き立ち、どんどんと敏感になっていく感覚。それに惹かれるように子宮が疼き、ドロドロの愛液がまた滴り落ちてしまいました。秘所を撫で摩る指の間から粘液がポタポタとこぼれ落ちる度に兵十の前で布団を穢しているという背徳感が彼女の中で湧き上がるのです。そしてその背徳感が身体をさらに熱く、何より貪欲にさせるのでした。
 
 「(尻尾ぉ…♪尻尾も…物欲しそうに揺れちゃう…ぅ♥)」
 
 その貪欲さが最も顕著な形で現れているのが彼女の尻尾でした。ふさふさとした自慢の尻尾はコンの言う事をまるで聞かず、布団を持ち上げるようにフリフリと揺れるのです。布団の上から見ている兵十が暴れていると思うほどにその動きは激しいものでした。
 
 「(どうしてやれば良いのだろう…?)」
 
 そんな尻尾の動きを見て未だに混乱の境地にあると誤解した兵十はそっと首を捻りました。どうすればこの哀れな少女を落ち着かせてやるかをない必死に考えようとしていたのです。しかし、兵十は学もなければ、加助のように決して鋭い訳でもありません。結局、どうすれば良いのか分からず、その場に立ち尽くす事しか出来ませんでした。
 
 「(もしかしたら俺と盗人か何かだと勘違いしているのかもしれない。それなら顔を見れば落ち着いてくれるだろうか…?」
 
 無論、そんな事はありません。コンが兵十の声を聞き違えるはずがありませんし、何よりここは見るからに貧乏な家なのです。盗人だってこんな所に盗みに入るとは思えません。しかし、良くも悪くも人が良く、鈍い彼からすればそれ以外に今の彼女の狼狽を説明出来るものがないように思えるのです。
 
 「(よし。それじゃあ…)」
 
 他にコンにやってやれる事が思いつかない兵十はそっと布団に手を掛けました。そのままコンを怖がらせない様にゆっくりと掛け布団を剥ぎとっていくのです。そうして少しずつ顕になる彼女の幼い身体。しかし、それは兵十が思っていたような姿勢――つまり仰向けではありませんでした。寧ろ顔を布団に押し付けて腰をあげるような不思議なうつ伏せの姿勢だったのです。
 
 「(あれ?)」
 
 そこで一つ兵十が疑問に思いましたが、だからと言って腕を止める理由にはなりません。引っかかるものを感じたもののきっと大した事ではないのだろう。そう判断して兵十はスルスルと掛け布団を剥がしていくのでした。
 
 「(わわわ…!!)」
 
 それに驚いたのはコンです。まさかこんな風に実力行使に出られるとは夢にも思っていなかった彼女は布団の中で驚愕と共に焦燥を覚えました。本来であればその感情のままに兵十の腕を止めるのが正解なのでしょう。今だって別に無理矢理に布団を剥がされている訳ではないのです。優しい兵十に寒いと一言でも言えば、きっと元の状態に戻してくれる事でしょう。
 
 「(でも……ぉ♪)」
 
 そう。でも、このまま剥がされれば、自慰をしていた自分の全てを兵十に見られてしまうのです。彼の匂いを嗅いでいやらしくひくついた秘所を一心不乱にこすっていたいやらしいメス狐の姿を余す所なく知られてしまうのです。秘所から滴り堕ちた愛液で淫らなマーキングをしていた事を理解されてしまうのです。コンの中に僅かに残った理性はそれに対し強い羞恥心を訴えていました。しかし、既に欲情で一杯になった彼女の身体は寧ろその恥ずかしさが気持ち良くって…――
 
 「あぁ…ぁっ♥」
 
 結局、愛しい人に痴態を見られるという気持ち良さにコンは抗う事が出来ませんでした。その身体を覆っていた布団が剥がされ、腰を高く上げて自慰をしていた様を白日の――いえ、兵十の元に晒されるのです。瞬間、刺すような視線を濡れた内股周辺に感じた彼女はブルリとその身を震わせました。
 
 「(見られてる…ぅ♥私の濡れ濡れメスマンコ…ぉ♥発情しまくったロリマンコ兵十に覚えられちゃったよぉ…♪)」
 
 それは途方も無い喜びでした。本当は恥ずかしいはずなのに、いやらしいはずなのに、コンの子宮は痴態を見られているという悦びに震え、快楽を弾けさせるのです。自慰の昂ぶりが最高潮に達した時の快楽にも似たその感覚は彼女が見られている事で軽い絶頂を覚えた何よりの証拠でした。
 
 「ふぁ……あぁぁっ♪」
 「え…?」
 
 甘い声と共にぷちゅりと愛液を吹き出すコンを見ながら、兵十は間抜けな声をあげました。当然でしょう。病人だと思い込んでいた相手が自分の布団の中で自慰をしていたのですから。しかも、その相手はまだ二次性徴も迎えていないような幼い少女です。子どもの作り方さえ知らないであろう年頃のコンがまさかそんな風に自らを慰めているだなんて彼は欠片足りとも思っていなかったのでした。
 
 「(でも…な、なんて……淫らなんだ…)」
 
 まるで見て欲しいと言わんばかりに腰を高く上げ、背筋をブルリと震わせる少女。その股の間には小さな手が差し込まれていました。しかし、その手は透明な液体に濡れ、太ももから布団にまで滴り落ちているのです。それは性が芽生えるにはまだ余りにも幼すぎる少女が明らかに快楽を貪っていた証拠でしょう。そして、その淫らな物証に潜在的な欲求不満が続いていた兵十の肉棒が一気に硬くなっていくのでした。
 
 「ごくっ…」
 
 まだ性差を意識しない年頃の少女の淫ら過ぎる姿。その背徳感に兵十の喉が自然と生唾を飲み込みました。お互いに荒い息を吐く空間の中でそれは強く響き、コンの耳にもしっかりと届くのです。勿論、母親がどうやって父親を誘惑しているかを日常的に見てきた彼女にとって、それはオスが興奮しているが故のものであると分かるのでした。
 
 「(しゅごい…っ♪私を見て…興奮してくれてるって思っただけで…ぇ…♥」
 
 それだけでコンの子宮は再び弾け、ドロドロとした甘い快楽を身体中に行き渡らせました。再びの軽い絶頂。しかし、それは先程とは違い、それだけでは終わらせませんでした。身体中に広がった快楽は彼女の中で未だ眠っていた魔物娘としての部分を呼び起こし、覚醒させるのです。
 
 「う…ぅ…」
 
 また一つ大人の階段を登ったコンの腰がゆっくりと前後左右に揺れ始めます。それは彼女自身も意図していないものでしたが、オスを誘う淫らな動きでした。まるで今すぐ奥まで肉棒を突っ込んで欲しいとオネダリしているようなその動きに耐性のない兵十はこらえきれません。完全に勃起したムスコを庇うように前屈みになってしまうのでした。
 
 「(お、俺は何を考えてるんだ…!こ、こんな小さい子に…!)」
 
 兵十がそう自分を戒めますが、固く勃起した肉棒から湧き上がるオスの欲望は決して消えはしません。寧ろ、無限に滾々と湧き出すようなその欲望は彼の視線をコンの秘所へと釘付けにしていました。そして、そのオスを誘うような淫らな身体を見れば見るほど兵十の身体は燃え上がり、逞しい肉の棒を幼い秘所へとねじ込みたくなるのです。
 
 「(ば、馬鹿な事を考えるなよ…!そんな事出来る訳ないだろうが…!)」
 
 相手は自分の半分程度の年齢でしかない。それが兵十の欲望をギリギリの所で食い止める防波堤でした。しかし、それはコンのひくつく秘所を見る度にドンドンと削られていくのです。無論、普段の兵十であればそんな風には決してなりません。どれだけ彼女が人外の美しさを振りまく可憐な美少女であったとしても、子どもという意識が強いのですから。
 
 「はぁ…!はぁ…!」
 
 そんな兵十を荒い吐息を吐かせるほどに興奮させているのはコンの身体から漏れ出る魔力が原因でした。どれだけ子どもと言っても彼女はもう本能に目覚めた魔物娘なのです。母親と同じようにその身体からはオスを誘惑する魔力を漂わせ、無意識に興奮させてしまうのでした。魔力の象徴でもある尻尾をまだ一本しか持たないが故にその魔力は弱々しいものですが、ヤモメ暮らしの長い彼を欲望へと引きずり込むには十分過ぎる力を持っているのです。
 
 「俺…俺…ぐぅ…」
 
 このままこの場にいたらきっととんでもない間違いを犯してしまう。気付かぬ内にコンの魔力に侵されていっている兵十がそう自分に言い聞かせました。これまで悪戯ばっかりされてそれなりに迷惑してきたとは言え、彼はコンの事を好ましく思っているのです。そんな相手に自分の欲望を叩きつけて汚すような事をしてはいけない。そう思った兵十は歯を食い縛りながら、ゆっくりと足を後退り始めました。
 
 「んぅ…ぅっ♪」
 
 しかし、そんな兵十の様子がコンからしてみれば不満でしかないのです。オスの欲望を滾らせた熱い視線で射抜かれるだけで軽い絶頂を何度も味わっているとは言え、貪欲な魔物娘の本能はそんなものでは満足しません。そのドロドロとした欲望を子宮の奥まで一杯に注ぎ込んで汚し尽くして欲しいのです。
 ですが、目の前の彼は必死でそれに抗おうとしている。それは彼女にとって決して好ましく映らない訳ではありませんでした。寧ろ、このような状況でもそうやって自制する事の出来る相手に心奪われたのだと誇らしい気持ちさえあるのです。しかし、それ以上に彼女の子宮は強い疼きを訴え、欲求不満に震えるのでした。
 
 「(だからぁ…ぁっ♥)」
 「ぅ…」
 
 そう言葉を紡ぎながらコンはそっと秘所に手を当てた指を動かしました。大陰唇の両側を押さえていた中指と人差し指。それをゆっくりと離れさせていくのです。自然、圧力によって固定された大陰唇がゆっくりと広げられ、くぱぁと言うねっとりとした音と共に透明な愛液が滴り落ちるのでした。
 
 「あ…あぁ…!」
 
 薄紅に染まった大陰唇の向こうに広がっていたのは薄く充血した桜色の粘膜です。大陰唇とは比べ物にならないほどひくついたその粘膜の上の方では小さな穴が開閉していました。まるで呼吸でもしているように定期的に花開くその部分からはトロトロの粘液がこぼれ落ち、細い太ももを伝って落ちていくのです。
 
 「(なんで…そんな…そんなものを見せるんだ…!?)」
 
 今まで女の秘所など見た事のない兵十にだってハッキリと分かる淫らな光景。それを幼いコンに見せつけられた彼は強い狼狽を覚えました。鈍感な兵十はそれが彼女なりの誘惑だなんて気付いてはいません。だからこそ、残る理性を必死にかき集めて桃色の粘膜から目を背けようとしました。
 
 「う…は…ぁ…!」
 
 しかし、定期的にくぱくぱと動くその場所からは視線を背ける事が出来ません。それどころか一旦は後ろに下がった兵十の足はゆっくりとコンの方へと擦り寄り始めるのです。勿論、彼の心はそれをいけない事だと訴え続けていました。しかし、これまで一人で処理する事しか出来なかった彼の性欲は今、この時、最高潮へと――心を飲み込むほど大きなものへと達してしまったのです。
 
 「う…あぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 「きゃんっ♪」
 
 ケダモノのような叫び声と共に兵十の身体はコンの小さな身体にのしかかりました。四つん這いになった彼女をそのまますっぽりと覆うようなその姿勢にコンの子宮がきゅぅぅぅぅんとコレまで以上の唸り声をあげるのです。彼に負けないほどのケダモノじみたその唸り声に彼女の身体はまたひとつ絶頂へと達し、身震いを走らせました。
 
 「ふあぁぁっ♪」
 
 ですが、それで快楽は終わりません。理性を見失った兵十はそのまま一気に服を脱ぎ去ったのです。力任せで引きちぎるように服を脱ぎ捨てた瞬間、コンの鼻にツンとした独特の匂いが差し込んでくるのでした。それは彼女にとって馴染み深い、けれど、まったく嗅いだ事のない不思議な匂いだったのです。
 
 「(これぇ…父様の先っぽからもぉっ♪)」
 
 そう。それは精液が出る前に肉棒から滴る先走りの匂いでした。微かに精液の匂いを混じらせたその匂いはどんな魔物娘にとっても大好物です。無論、コンもまた父親の先っぽから出るその匂いが嫌いではありませんでした。
 しかし、今、こうして兵十の褌から放たれる匂いは父親のモノとはまったく比べ物にならないのです。少しだけ癖のあるツンとした強い匂いを嗅ぐ度に身体中が疼き、頭の中が真っ白になってしまいそうになるのですから。そして真っ白になった頭の中にドンドンとその匂いが情報として流れ込み、彼女の頭の中を書き換えていくように感じるのでした。
 
 「(あぁ…っ♪これなんだぁっ♥私の…ぉ♪私を愛してくれる人の匂いが…これなんだねっ♥♥」
 
 コンがそう思った瞬間、癖のあるその匂いがドンドンと甘いものへと変わっていくのです。まるで極上のお菓子から漂ってくるような蕩けるような甘さ。それを嗅いでいるだけで彼女はその匂いの元を思いっきり味わいたくなってしまうのです。
 
 「はぁ…ぁんっ♥」
 「うぉ…!」
 
 その欲望のままにコンは自分の腰を兵十の方へと突き出し、褌に愛液を塗りたくるように上下に動かしました。瞬間、クチュクチュと言う音と共に兵十の口から苦悶の嬌声が漏れ出るのです。それに彼女の欲望が少しだけ充足へと向かいましたが、まだまだ満足には足りません。熱と快感の篭った子宮は兵十の逞しい肉棒から精液を思う存分、飲み込むまでは決して満足など出来ないのです。
 
 「うぐうぅぅぅ!」
 
 それは兵十もまた同じでした。すぐそこにまだ熟してない禁断の果実があるのにも関わらず、ギリギリの所でお預けを食らっているのですから。無論、愛液を塗りたくるような彼女の動きに快感を感じているのは確かですが、それは決してイけるほどではありません。もう少し進めば最高の快楽を得られると理解しているのに、腰に纏った薄布が邪魔をしているのですから尚更です。
 
 「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…!」
 
 だからこそ、兵十はクチュクチュと自分の方へと腰を押し付けるコンに構わず自分の褌に手を掛けました。グルグルに巻かれているそれを強引に引き剥がします。それを再び投げ捨てるように放り投げてから彼はコンの小さなくびれを作る腰を力一杯に掴むのでした。
 
 「(あぁ…っ♥ついに…ついに犯されるんだぁ…♪)」
 
 相手への労りなどこれっぽっちも考えていない力強い手。それは目の前のメスを貪る事しか考えていないオス独特のものでしょう。それに彼女は胸が締め付けられるような激しいときめきを覚えてしまうのです。無論、そこには初体験という事に対する恐怖や躊躇いなど欠片も混じってはいません。自慰を覚えてからずっと夢にまで見た愛しいオスとの性交がすぐそこに来ているのですから当然でしょう。
 
 「は…あぁぁっ♪」
 
 そんなコンに向かって兵十の腰がゆっくりと押し付けられました。瞬間、既に濡れ濡れとなっていた秘所がぐいぐいと押し広げられるのを感じます。今まで何人たりとも侵入したことのない文字通りの処女地。そこを押し広げられるのは通常であれば痛みを伴うものでしょう。しかし、身体中に通ったコンの神経は痛みなど欠片も感じず、寧ろ信じられないほどの快楽を伝えてくるのでした。
 
 「(気持ち良いっ♥気持ち良いっ♥気持ち良い気持ち良い気持ち良いぃぃっ♥)」
 
 心の中で何度叫んでも秘所から膨れ上がる快楽は収まる気配がありません。寧ろ、悦びの声をあげればあげるほど快楽神経がより敏感になっていくように思えるのです。勿論、それは未発達であった秘所の神経が初体験というキッカケによって急速に成長しているという事も無関係ではありません。しかし、それ以上に彼女の快楽を引き上げているのは、秘裂を引き裂くようにして強引に自分の中へと入ろうとしている熱い肉棒が兵十のモノであるという事でした。
 
 「ふああああぁぁぁっ♥♥」
 
 愛しいオスの肉棒。それは魔物娘にとって最高のご馳走であり、そして最高の弱点でもあるのです。どんな魔物娘にだって耐える事の出来ない最高の武器を喰らって幼いコンがマトモでいられるはずがありませんでした。半開きになった口からヨダレをだらだらと零しながら、甘い甘いメスの声をあげるのです。
 
 「(来てるぅ…っ♪ゴリゴリってぇ…っ♥激しいよぉぉっ♥♥)」
 
 そんなコンに構わず兵十は強引に腰を進めます。その度に大人とは比べ物にならないほど狭く未発達な膣穴を蹂躙される感覚が彼女の思考を襲っていました。無論、その小さな肢体は一瞬で絶頂へと押し上げられ、肌が一斉に快楽で泡立ちます。ですが、それは一度っきりで終わりではありません。コンの身体に相応しい小さな肉襞を逞しい男根が蹂躙する度にそれは幾らでも彼女へと襲いかかるのでした。
 
 「(あああ…ぁっ♥大人チンポ良い…っ♥子どもマンコを大人チンポでゴリゴリされるの素敵ぃ…っ♪)」
 
 挿入されるだけで幾らでも絶頂へと押し上げられる感覚は人間の女にとっては苦痛以外の何物でもないでしょう。何事も過ぎれば毒となってしまうのですから。しかし、コンを始めとする魔物娘は人間とよりも遥かに敏感な分、快楽の上限が無限にも近いのです。挿入によって肉がこじ開けられている苦しささえ快楽へと書き換えてしまう淫らで貪欲な身体にとってこの程度の絶頂は朝飯前でした。
 
 
 「きゅふぅっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ♥♥」
 
 しかし、そんなコンの意識がグラリと揺れました。それは兵十の男根が彼女の最奥へと叩きつけられたからです。既に先端から零すように先走りを漏らし始めた肉棒がまだまだ未発達で薄い子ども子宮に押し付けられているのでした。本来であれば快楽と衝撃を受け止める肉厚さがない子宮。直接、肉棒を大事な部分へと押し込まれるようにさえ感じる感覚に彼女の脳が真っ白に染まるのでした。
 
 「ふああああああっ♪あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あっ♪♪」
 
 数瞬ほど遅れて子宮から湧き上がる絶頂。それにコンの喉が震えるほどの嬌声が飛び出ました。しかし、それでもコンの味わう悦楽は一向になくなりません。寧ろ、身体中を悦楽によって塗りつぶされていくような被虐感にも近い気持ち良さは慣れれば慣れるほど雪だるま式に膨れ上がっていくのです。
 
 「ひ…うぅ…ぅ…♪♪」
 
 爆発するような絶頂がようやく一段落ついたコンの口から短い声が漏れ出ます。呂律の回っていないその声は微かに震えてさえいました。しかし、今の彼女にはそれを抑える余裕はありません。身体の中にはまだまだ逞しい肉棒が入り込んだままで身動ぎする度に敏感な子宮口をくりくりと弄ってくるのですから。
 
 「(はぁ…ぁ♪これが…兵十のオチンポ…ぉ…♥)」
 
 それでも急速に悦楽にも順応しつつあるコンの内には自分を串刺しにするような肉棒に意識を向ける余裕が生まれ始めていました。ですが、それは諸刃の剣でもあるのです。彼へと意識を向ければ向けるほど、悦楽一杯になった胸の中に暖かい感情が生まれ、彼女の目尻から熱いものが零れそうになるのですから。そしてその暖かい感情と気持ち良さが結びつき、お互いに高め合うようにしてコンの身体を震わせるのでした。
 
 「(熱くてぇ…硬くて…っ♥太くて…長くて…♪何より…美味しいよぉ…ぉ♥♥」
 
 ですが、それでもコンは兵十の事を想うのを止める事が出来ません。幼い膣肉が火傷してしまいそうな熱さも、金剛にも似た硬さも、幼い膣穴には不似合いな太さも、子宮一杯まで届く長さも、一つだって無視する事が出来ないのです。どれもが彼女にとって心震えるほどに素晴らしいものに思えるのですから。
 
 「う…おぉ…!」
 
 そんなコンの膣穴を味わう兵十の口からも声が漏れ出ます。しかし、それは彼女から出た陶酔混じりのものとは違い、快楽を必死に堪えようとする我慢の声でした。こうして奥まで挿入したとは言え、まだ1/3ほどは外に出たままです。しかし、それでも彼女の狭い膣穴に押し込められた肉の棒からは信じられないほどの快楽が伝わってくるのでした。
 
 「(きつい…!!)」
 
 兵十が一番に感じているのは膣穴の狭さです。普通であれば性交できる年齢に達していない少女の穴は人並みの大きさを持つ兵十にとってあまりにも小さすぎるのでした。強引に腰を進めている時だってコンの身体が壊れてしまうのではないかと心配になったのは一度や二度ではないのです。
 ですが、そのキツさがオスである彼にとって快楽の源以外の何物でもありません。肉棒を肉の穴で締め付けられているその感覚に今にも射精しそうになるほどです。
 
 「(だけど…膣内だけは…!)」
 
 気を抜けば身体を支配しそうになる射精衝動。それを兵十は何とか理性の力で何とかねじ伏せていました。こうして欲望に負けて挿入に至ったとは言え、膣内に射精してしまうのは明らかにやりすぎです。まだコンが孕む事の出来る年頃だとは彼も思ってはいませんが、かと言って不必要な危険を冒すべきではない。少なくとも微かに残った兵十の理性はそう訴えているのでした。
 
 「(何を今更と言われるかも知れないが…それでも…)」
 
 そう胸中で呟いた兵十の腰がゆっくりとコンから離れていきます。瞬間、カリ首に狭い膣肉が引っ掛かり、彼の腰が砕けそうになりました。しかし、今の兵十にとって最大の敵はその快楽ではありません。ともすれば、欲望のままに彼女を犯し、貪りつくしたくなる自分自身だったのです。
 
 「ぐ……ぬあ…ぁ!」
 
 そんな自分に負けないように兵十は残った気力と理性を振り絞っていました。同時にコンの膣内を必要以上に傷つけないように細心の注意を払うのです。それは彼の人生の中で最も難易度の高い行動でした。ですが、それに臆する事なく兵十はコンの身体から肉棒を引き抜こうとしていたのです。
 
 「んくぅぅぅ…っ♪」
 
 そんな兵十の戦いと葛藤を微塵も知らないコンはその可愛らしい唇から快楽の声をあげました。無論、その身体には彼の男根が動く度に絶頂の波が襲いかかっています。とは言え、それは挿入時とは少し毛色が異なっていました。蹂躙される印象の強い挿入時とは違い、今のコンはカリ首で膣肉を引きずり出されるような錯覚を覚えるのです。
 
 「(はぁ…ぁっ♥オチンポがぁ…っ♥へいじぅの大人チンポが抉ってくよぉぉっ♪♪)」
 
 まだ未発達な肉襞が引きずられ、膣肉が抉られる感覚。それに彼女の背筋が反り返り、ブルブルと震えました。兵十の男根で一杯になった秘所からは硬い肉の剣を伝うように愛液が溢れ出ています。だらしなく布団に預けられたままの顔は紅潮と共に好色さを浮かべ、だらしない笑みを浮かべていました。最早、そこには性を知らない少女としての姿は欠片もなく、オスを知ってしまった淫らなメスがいるだけです。
 
 「う…うぅ…!」
 
 快楽にピーンと張った尻尾の向こうから覗く幼い少女のメスとしての表情。それに兵十の欲望が刺激され、頭がクラリと揺れるのを感じます。しかし、それでも彼はそこで踏みとどまって見せました。一度や欲望に負けた理性を必死でかき集めて、カリ首を膣の入口まで引き戻してきたのです。
 
 「(後…もう少し…もう少しで…!)」
 
 もう少しでコンを解放する事が出来る。そう思ったのが兵十の気の緩みになったのでしょう。今にもカリ首が飛び出しそうな場所で一瞬、腰を止めてしまった彼にコンの細い足が絡みつくのです。今までくたりと布団に預けられていた細い足。それを動かしたのは彼女なりの自己主張でありました。そのまま進む事を自分も望んでいる。だらしなく半開きになった口を自由に動かす事の出来ない彼女にとって、その気持ちを伝えるにはそれしかなかったのでした。
 
 「は…ぁ…!はぁ…!はぁ……っ!」
 
 そのコンの主張を兵十は正確に受け止める事が出来た訳ではありません。ですが、彼女が兵十の足へと絡ませた足はほんの僅かながら彼を押し留める事に成功したのです。その間にコンの膣肉は行かないで欲しいと言わんばかりにきゅっきゅと締め付け、兵十の欲望を掻き立てるのでした。
 
 「うおぉぉぉぉ!!!!」
 「ひぅぅぅぅぅぅんっ♥♥」
 
 それに耐えるだけの理性はもう兵十には残っていませんでした。身体中からかき集められた理性は最後の最後にコンの妨害によって蒸発させられてしまったのです。最早、彼の中に残るのは目の前のメスを思う存分、犯し尽くそうとするオスの本能だけでした。無論、その抽送はさっきとは比べ物にならないほど激しく、腰そのものをコンのお尻へと叩きつけるような力強いものです。
 
 「あぁっ♥あ゛あぁぁっ♥あ゛あ゛あぁぁぁぁぁっっ♪♪」
 
 気遣う事もなく、ただ欲望を発散する為だけの抽送にコンが悦びの叫び声をあげました。他人へと聞かれてもおかしくはないほどの大きさになったメスの叫び声を彼女は止める事が出来ません。再び蹂躙を繰り返す肉棒が擦れる度に頭の中でバチバチと何かが弾け、身体中を悦楽が駆け巡るのです。しかも、その絶頂は終わる前にもう一つ別の絶頂へと繋がり、余韻を感じる余裕すらありません。
 
 「いぐぅぅぅぅぅぅぅ♪♪」
 
 その上、熱くて蕩けそうな亀頭で子宮口を突かれる度にコンの股間は愛液とはまた違う透明な液体を吹き出すのでした。それは感極まったメスだけが吹き出す潮です。ですが、彼女はそれに気を割く余裕は欠片もありませんでした。子宮を突かれる度に身体がふわりと浮き上がり、意識が揺らぐ錯覚を覚えるのです。大きすぎる悦楽によって自分という感覚すら揺らぎ始めている彼女にとって、最も重要なのはその悦楽を余す所なく味わい尽くす事でした。
 
 「ぐぅぅぅぅぅ!!」
 
 そんなコンに悦楽を注ぎ込んでいる兵十もまた余裕がまったくありませんでした。射精衝動を堪え続けた肉棒は既に信じられないほど敏感になっているのです。今にも弾けそうなほどの熱と張りを手に入れた肉棒で幼い膣肉を蹂躙する度に、彼の腰の奥から熱いものが込み上がってきそうになるのでした。
 
 「(くそ…!なんで…こんな…!!)」
 
 それをギリギリの所で抑えているのは兵十の中の感情でした。しかし、それはさっきまでのようなコンに対する好意や引け目などではありません。今の彼の胸に宿っているのは純粋で歪んだ怒りの感情だったのです。
 
 「(俺が…俺があんなにも我慢したって言うのに…!!)」
 
 そう。兵十は何度も踏みとどまろうとしたのです。コンの裸を見た時だってそうですし、実際に挿入した後だって何とかしようと努力してきました。しかし、その全ては彼女の肢体から漂う妖しい魅力とその誘惑によって台無しにされてしまったのです。意思の弱い自分――と言っても魔物娘の魔力に侵されて平常心を保てるようなものは少ないのですが――に腹が立つ以上に幼くもメスとしての魅力を身に着けつつある彼女に怒りを覚えるのでした。
 
 「この…!このぉ…!」
 「ひぃんんんんんんっ♥♥」
 
 その感情を叩きつけるように腰を動かせば、コンの口から悲鳴のような声が漏れました。とは言え、それは艶の浮かんだ淫らなものです。もうメスとして完全に目覚めたコンは多少、乱暴に犯された所で痛みを感じる事はありません。寧ろ、欲望のままに腰を突き入れられ、前後左右へと無茶苦茶に擦り上げられる乱暴さがたまらなく気持ち良いのです。
 
 「(すごぉい…っ♪こんな…こんなケダモノみたいに犯して貰えるなんてぇ…♥)」
 
 それは性の芽生えを経験したコンがずっと望んでいた事でした。彼女が自慰する時の妄想は優しい兵十が優しさという仮面を脱ぎ捨て一匹のオスになる事が多かったのです。その妄想が今、現実として形になっている。その悦びに子宮がまたキュンと悦びの声をあげて、潮を吹き出させました。
 
 「(もっとぉ…っ♪もっと犯してぇっ♥私のロリマンコ貪ってぇっ♥♥)」
 「うぅ…!」
 
 コンがそう思うと同時に彼女の膣肉が蠢き始めます。それを肉棒という敏感な部分で感じる兵十にとって、それは信じられないほどの変化でした。なにせ今までキツさだけしかなかった膣肉がふっと緩み、抽送しやすくなったのですから。しかし、それは決して緩すぎる訳でも快楽が減った訳でもないのです。窮屈さがなくなった代わりと言わんばかりに彼女の膣肉は兵十の肉棒へと情熱的に絡みつき、撫で上げるように肉襞を押し付けてくるのでした。
 
 「ぬおぉぉ…!」
 
 兵十は知りませんでしたが、それは大人顔負けの膣肉の蠢きでした。間違ってもついさっき処女を散らしたばかりの女の子に出来るような芸当ではありません。しかし、コンはもう少女ではなく魔物娘のメスなのです。膣肉を思うがままに操る程度など朝飯前でした。
 
 「きゅぅぅぅっ♥あ…あぁぁぁあぁっ♥♥」
 
 しかし、それは彼女にも大きな反動をもたらす行動でした。膣肉を思うがままに動かす事が出来るということはそれだけコンの肉襞に意識が向くという事なのですから。指先と何ら変わらぬ器用さを発揮し始めた膣穴はさらに敏感となり、彼女をより深い悦楽へと叩き落とすのでした。そして、もう既に数えきれないほどの絶頂へと押し上げられている膣肉はきゅっと収縮し、柔らかな膣肉でじゅるじゅると肉棒を舐め上げるのです。
 
 「ぐ…ああああ…ぁっ!」
 
 それが兵十にとってのトドメとなりました。コンの幼い膣肉を蹂躙する侵略者は膣肉の甘い抱擁に耐える事が出来なかったのです。ビクンと言う強い震えと共に肉棒が一回りほど膨れ上がりました。先端の亀頭は特にそれが顕著でカリ首が凶悪的なまでに反り返っていたのです。
 
 「(射精るんだよねっ♪私のロリマンコでしゃせぇしてくれるんだよねぇっ♪良いよぉっ♥いっぱい…いぃっぱい奥で…っ♥びゅるびゅるってとろけさせてぇっ♥♥)」
 
 そして、それがコンの身体に新しい変化を与えました。抜き出されぬよう肉棒を大きくし、最奥で子種を吐き出そうとするオスの本能に応えるように彼女の子宮がゆっくりと律動を開始するのです。まるで奥へ奥へと招き入れるようなその蠢きはカリ首に強い刺激を与えるのでした。自然、もう限界一杯であった兵十に耐えられるはずもなく、精管を通って熱い白濁液がコンの膣肉へと叩きつけられたのです。
 
 「あくぅぅぅぅぅぅぅっ♥♥♥」
 
 ずっとずっと彼女が欲しくて堪らなかった白濁液。それを受け止める敏感な幼肉から焼けるような感覚が伝わって来ました。しかし、それは決して苦痛に類するものではないのです。溶けてしまいそうなほどの強い熱は興奮に蕩けた彼女の膣肉にすぐさま吸収され、興奮と悦楽へと書き換えられているのですから。
 
 「(美味しいっ♥美味しいっ♥美味しい美味しい美味しい美味しい美味しいよぉぉぉっ♥♥♥)」
 
 そして、何よりコンの意識を揺らしているのはその美味さでありました。今まで食べてきたどんなものよりも甘く切ないその味は到底、この世のものとは思えないほどでした。この世にある全ての甘味を煮込み、美味しさだけを抽出したような極上の甘さは彼女の意識が歪ませるようにも感じるのです。
 
 「(こんなの味わったら…こんなの知ったらぁ…っ♥わらし…私…馬鹿ににゃるぅ…っ♥♥)」
 
 自分の意識が精液の味によって書き換わり、中毒へと陥ってしまう。その感覚すらコンには悦ばしいものでした。だって、それは大好きな母親とまったく同じ状態なのです。母親が父親の精液を最高のご馳走だとばかりに飲み、味わい、そして犯されていた事を知る彼女にとって、それは決して厭うものではありません。
 
 「(だからぁ…もっろぉっ♪もっと射精してぇっ♥オチンポの中空っぽになるまで私にせぇえきちょうだぁいっ♪♪)」
 
 だからこそ、コンはその精液がもっと欲しくて精液の味で緩みそうになる膣肉を強く律動させるのです。それはさっきまでの奥へと導くようなものとは違い、精液を絞りだすような激しいものでした。それに性経験のない兵十が耐えられるはずがありません。射精で敏感になっている肉棒を再び絶頂へと押し上げられるのです。
 
 「(うあ…吸い取られる…ぅぅ…っ!!)」
 
 行き着く暇もない二度目の射精。それに兵十の視界がグラリと揺れました。魔物娘であるコンとは違って彼はごく一般的な人間でしかありません。感じられる快楽の上限ギリギリの射精を味わって無事で居られるはずがないのです。溢れそうになる快楽が微かな頭痛すら感じさせるほどでした。
 
 「(なのに…!)」
 
 しかし、その頭痛がまったく気にならないほど兵十の身体は快楽に満ちていました。苦痛とは比べ物にならないほど大きな快楽が頭痛を押し流しているのです。勿論、そんな快楽を彼は知りませんでした。これまで自分を慰めてきたことはそれなりにありますが、それらとは一線どころか二線を画す快楽に兵十は虜になっていくのです。
 
 「(もっと…!もっとこれが欲しい…!もっと…もっと…もっと…ぉ!)」
 「あ゛あ゛あぁぁぁぁっっ♪♪♪)」
 
 そう欲望を剥き出しにした兵十が射精途中の肉棒を強引に動かし始めました。それは性交の最中にも彼を侵し続けていた魔物娘の魔力が原因です。無造作に垂れ流されるコンの魔力は確実に兵十の意識を侵食し、その身体をより性交へと特化したものへと作り変えているのでした。普段の彼であれば、射精途中に抽送を再開する事など出来るはずがないのです。
 
 「(あはぁっ♥来てるぅっ♪射精しっぱなしのオチンポでぐちゅぐちゅにされて♪精液来てりゅのぉっ♥♥)」
 
 乱暴かつ強引な兵十の抽送にコンが悦びの声をあげました。精液を幼肉に吐き出されるだけでも美味しさと悦楽があいまって信じられないほど気持ち良いのに、射精前の最高の硬さと大きさを維持する肉棒でゴリゴリと膣肉を抉られているのです。愛しいオスの精液の美味しさを刻み込まれた意識はもう滅茶苦茶になり、マトモに思考を紡ぐ事さえ出来ません。
 
 「(じゅっとこうしてたいよぉっ♥じゅっとずっとずぅぅぅっとぉっ♥犯されたいぃっ♪ぐちょぐちょにされたいのぉっ♪)」
 
 しかし、そんなコンの想いとは裏腹に兵十の射精がゆっくりと収まっていくのでした。再び元の勢いを取り戻させようと彼女の意識が肉幹を撫でるように淫肉を動かしますが、再び兵十が絶頂へと至る事はありません。幾ら魔物娘の魔力で強化されたとは言え、彼はまだまだ普通の人間なのです。三連続で休みなく射精出来るような領域にはまだ達してはいません。
 
 「ふうぁっ♥ふぁぁ……あぁぁぁ♪♪」
 
 彼女にとって唯一の救いは未だ理性を取り戻す気配のない兵十が激しく腰を振るっている事でした。射精が止まった事によって落ち着く事もなくケダモノのように抽送を繰り返される膣肉からは先程のような大きなものではなくとも悦楽が沸き上がっているのです。勿論、射精時の何もかもが書き換えられるような気持ち良さには到底、及びませんが、それでも彼女を絶頂へと押し上げるのには十分過ぎるものでした。
 
 「(れも…ぉっ♥♥たりにゃい…っ♪足りないのぉっ♪)」
 
 それでも彼女は物足りなさを否定出来ませんでした。それは勿論、射精が途切れてしまった事も無関係ではありません。ですが、それ以上に兵十の男根が子宮口へと届いてくれないのが不満なのです。さっきからケダモノのように腰を振るわれているとは言え、欲望に囚われた今の彼は経験不足も相まって上手く抽送する事が出来ません。その逞しい肉棒は膣穴の中腹ほどを行き来するだけでした。その為、敏感な子宮口はさっきから強い疼きを覚え、早くその熱い亀頭を差し込んで欲しいと訴えてくるのです。
 
 「(らから…ぁっ♪良いよねぇ♥私…良いよねぇ…っ♥♥)」
 
 そう内心で言葉を紡ぎながらコンの腰がゆっくりと彼の方へと動き始めました。既に挿入しやすいように突き出した腰をさらに押し出すのは彼女にとっては初めてのものです。しかし、快楽に飢えた魔物娘の本能はその経験不足を補い、コンの腰を円滑に動かすのでした。
 
 「ひぃぃぃぃぃぃぃぅぅぅぅっ♥♥♥」
 
 そこにケダモノじみた抽送を繰り返す兵十の腰がぶつかり、ぱちゅんと肉の弾ける音をかき鳴らしました。そして同時に彼女の膣奥へと膨れ上がった肉棒の先端が突き刺さるのです。待ち望んだ熱い肉の棒に子宮が悦び、彼女の意識がパチリと弾けるように感じるのでした。
 
 「んくぅぅぅぅぅぅぅぅんっ♪♪」
 
 ですが、その意識を弾けたままにしておく事は兵十が許しませんでした。まだ未発達な子宮口に吸い付かれる感覚に彼の欲望がここは気持ち良い場所であると思いだしたのです。既にドロドロとした欲望で一杯となった兵十はその快楽を貪る為にグリグリと亀頭を子宮口へと押し付け始めました。
 
 「(わふぅぅ…♥私…匂いをつけられてるぅっ♪彼の匂いをすりこまれてりゅよぉ…っ♥♥)」
 
 さっきまでとは打って変わって子宮口を重点的に責められている。しかも、その先端にはまだ射精したばかりの精液と先走りがこべりついているのです。魔物娘が最も喜ぶその匂いを敏感な子宮に刷り込まれた彼女の膣穴は彼の肉棒を逃すまいとするようにきゅっと締まりました。
 
 「はぁぁ…!はぁぁ…!!」
 「あはぁっ♥はぁ…っ♪ひああ……あああぁっ♪♪」
 
 しかし、それを引き剥がすように兵十の腰は再び抽送へと戻ります。それに合わせてコンもまた腰を振るえば、入り口から膣奥までが肉棒でゴリゴリと抉れるのでした。敏感な秘所を余すところ無く蹂躙するその抽送は勢いを弱める事なく子宮へと叩き込まれるのです。そして子宮へと男根が到達する度に、彼女の意識はグラグラと揺れ、身体中が絶頂と悦楽で満たされていくのでした。
 
 「はぁ…!この…くそ…!」
 
 そして、それは兵十もまた同じでした。入り口から膣奥まで肉棒を差し込むということはその間に不規則に並ぶ肉襞の刺激をすべて受け取ってしまうということなのですから。まだ未発達で幼いとは言え、その刺激はついさきほどまで性経験が皆無であった彼にとってはあまりにも強すぎるのです。精液さえあれば、もうとっくの昔に射精していた事でしょう。幼い少女の肢体でまたあっさりとイキそうになっている。背筋が震えるようなその背徳感を兵十は否定しようとしましたが、湧き上がる快楽の前には無力でした。
 
 「(なんで…こんな…!!)」
 
 そんな彼の中にまた一つ怒りが浮かび上がります。それはこの状況を作り上げた彼女に対する理不尽とも言える怒りでした。自分がこうしてイきそうになっているのも、欲望に無残に敗北してしまったのも全て彼女の所為だ。そう責任を転嫁した兵十はその手をそっと掴んでいたコンの腰から離し、平手のまま彼女のお尻へと叩きつけるのです。
 
 ―パシィィィィィン
 
 「きゃああああああんんっ♥♥」
 
 瞬間、肉の弾ける音が響き、彼女の口から嬌声が漏れ出ます。その下にあるふっくらとした双丘には微かに赤い手形が吐いていました。ある程度、手加減してあったとは言え、成人男性の平手を受けたのです。それも当然だと言えるでしょう。
 
 「(や…やだ…ぁ♪な、なにこれぇ…♥)」
 
 しかし、そこから生まれる彼女の反応は決して普通とは言えないものでした。平手を受けた瞬間、力尽きるように布団を握り締めるだけであった指先にまで被虐感が通り抜け、思わず背筋を反り返られてしまったのです。さらにその膣肉はこれまでもかとばかりにきゅんきゅんと収縮し、子宮は愛液をドロドロと吐き出し続けていたのでした。到底、普通の性癖を持つ女にはあり得ないその反応。しかし、コンはその特殊な性癖に少しずつ目覚め始めていたのです。
 
 「(お、俺は…なんて事を…)」
 
 そして、それは兵十もまた同じでした。元々、彼は温厚な性格であり、八つ当たりなんて滅多にしません。ましてや女相手に手をあげようと思ったことは一度もなかったのです。そんな自分が衝動のままにしてしまった行為。それに兵十は強い狼狽を覚え、興奮から少しばかり覚めてしまいました。
 
 「うぐ…ぅ」
 
 そんな兵十を再び快楽の渦へと引きずり込もうとしているかのように彼女の膣肉はきゅんきゅんと蠢きます。まるでもっとやって欲しいと言わんばかりのその反応に兵十の思考は嗜虐性へと染まっていきました。それは魔物娘の魔力が自らの性癖に合わせて相手を変えている証なのですが、彼にはそのような事を気づく余裕も知識もありません。ただ、目の前のメスを罵り、弄び、犯し尽くしたいという欲求だけがあったのです。
 
 「この…!俺がどれだけ…!どれだけ我慢したと…!」
 
 ―パシィィィィン
 
 「ひぃぃぃぅぅぅうんっ♪♪♪」
 
 自分の努力を皆無にし、こうして犯罪へと引きずり込んだ張本人。それを罰しようと紡がれた兵十の言葉と平手にコンはまたゾクゾクとした被虐感を味わいました。子宮から背筋を伝って脳髄へと突き刺さるような独特の感覚にまた一つ彼女が被虐性へと目覚めるのです。
 
 「(あぁぁ…っ♪しゅごいのぉっ♥これしゅごいぃぃんっ♪トロトロになった身体がビリビリすりゅぅっ♥♥)」
 
 自然、虐げられる悦楽に目覚めたコンの身体はより淫らなものへと変わっていきます。平手一発ごとに大きくなっていくその悦楽に彼女はあっという間に虜になってしまいました。気持ち良さを強調するものではなく、それそのものが悦楽感覚にコンの幼くも淫らな身体は何度も甘い叫びをあげるのです。
 
 「それなのにお前は…!こんなに淫らに俺を誘って…!この…駄狐め!」
 「(ごめんなしゃいぃっ♥へいじぅごめんなさいぃぃぃっ♪♪)」
 
 怒りと快楽の混ざり合った兵十の言葉に彼女は胸中で謝罪の言葉を紡ぎます。しかし、それは彼女の口から漏れ出る事はありません。平手を繰り出される間も常に動き続けている男根の前では意味のある言葉を紡ぐ隙間など何処にもないのです。どうしてもケダモノじみた嬌声がその口から出てしまうのでした。
 
 「は…はは…!こうして叩いてやってるってのに…!お、お前は…感じてるんだな…!」
 
 平手を繰り出す度にきゅんと締まる膣肉と嬌声。それが兵十の良心を僅かなりでも慰める唯一のものでした。魔物娘の魔力によってどれだけ嗜虐性を高めていると言っても、彼は元々、とても心優しい人間なのです。そうやって少女に手を挙げる事を気に病む気持ちは欲望に囚われてもなくなりません。
 しかし、だからこそ、彼は少しずつ自分の中の欲望が加速していくのを感じました。またひとつ階段を踏み外して堕ちていくような感覚に兵十は戸惑いを覚えるのです。しかし、それもすぐさま欲望と快楽の中で消え、彼の口から彼女を罵る言葉が飛び出るのでした。
 
 「何時も俺に悪戯してたのもこうやってお仕置きされたかったんだろう!?」
 「あああぁぁぁぁぁっ♥♥」
 
 決め付けに近い兵十の言葉にコンの口からまた一つ濡れた声が出ました。それと同時に粟立った全身の肌にビリビリとした感覚が走り、鳥肌が幾つも浮かびます。言葉でさえ、あっさりと被虐的な絶頂に至りそうになっている淫らな自分。それに悦びを感じる彼女の胸に彼の言葉が何度も反響するのです。
 
 「(あぁ…♥しょぉなんだ…♪私…ずっとこぉしへお仕置きされたかったんらぁ…♪)」
 
 ずっと兵十相手にばかり悪戯を繰り返していたのも、彼に捕まってこうしてお仕置きされたかったから。そう決め付ける兵十の言葉を今の彼女は酷く納得出来る気がするのです。好きになった相手に意地悪するのは男の子だけの特権ではありませんが、女の子が同じ事をする事というのは決して多くはありません。その中で自分なりに悪戯ばかり繰り返していた理由を探そうと思うと、どうしてもそんな被虐感に行き着いてしまうのです。
 
 「お前の望み通り、一杯、お仕置きしてやる…!犯して、叩いて、射精して…!もう二度と悪戯しようなんて思えないくらいにお仕置きしてやるからな!!」
 「わふぅっ♥わ…ぁぁぁぁっ♥♥♥」
 
 力強い兵十の宣言に彼女の全身が悦びの声をあげました。それは今のコンからすればご褒美にも近い言葉であったのです。人の良い兵十が途中でお仕置きを止めてしまうのではないか。彼女は内心、そう思っていたのです。しかし、強い意思の込められたその宣言にはそのような迷いは一切、感じられません。きっと兵十は自分の事を本当にお仕置きし尽くそうとしてくれている。そう思うだけで彼女の膣肉はブルリと震え、また絶頂の高みへと押し上げられるのでした。
 
 「うぐ…!」
 
 ここに来て新しい動きを見せる媚肉に兵十がうめき声をあげました。ただでさえ、彼女の幼肉はぴったりと肉棒に密着し、扱くように律動を繰り返しているのです。その上、その肉が震え始めたのですから、彼の背筋にゾクゾクと快楽が通り抜けても仕方のない事でしょう。まだ精液が足りてないだけに絶頂へは至りませんが、気を抜けば腰が砕けてしまいそうなほど彼女の膣肉は気持ちが良いのです。
 
 「どうした?さっきから膣内がビクビクって震えてるぞ?罵られるのがそんなに気持ち良いのか?」
 
 到底、人では到達し得ない膣肉の蠢き。そこから伝わる快楽をねじ伏せる力の中には見栄も混じっていました。兵十とてオスなのです。こうして犯してやる、お仕置きしてやると言い放ったのですから、その途中で力尽きるような姿は見せられません。この小さな少女が望んでいるように最後まで絶対的な蹂躙者で在り続ける事が今の彼を支える一つの力であったのです。
 
 「(気持ち良いですぅっ♥♥叱られてすりゅお仕置き気持ち良いにょぉっ♥一杯一杯イッちゃってましゅぅっ♪♪)」
 
 そんな兵十に対し、コンは何時の間にか敬語を使い始めていました。それは彼女の心と身体が兵十を自らの主人であると認めた証拠です。優しくて素朴なオスに心奪われた一匹のメスは自らへりくだる事でその慈悲と愛、そして何より身も心も震えるような悦楽を求めていました。
 
 「(あぁ…っ♪わらし…幸せれすぅ…♪今ぁ…犯されてる今しゅっごい気持ち良くて…幸しぇなのぉ…♥♥)」
 
 その根底にはこれまでずっと顔を見合わせる事が出来なかったという寂しさがありました。既に両親から独り立ちして大人びていると言っても、コンはまだまだ幼い少女なのです。心奪われたオスを会う事の出来ない寂しさと後悔に枕を濡らした夜――勿論、愛液と涙の両方ですが――は数えきれません。
 しかし、それほどまでに想っていた相手が今、こうして自分を犯してくれている。勿論、これまで自分のしてきた何もかもを許してくれた訳ではない事をコンもまた気付いていました。しかし、それでも尚、こうして彼に求められる事が、犯されている事が、彼女にとって最高の幸せであると思えるのです。
 
 「ほら!腰が止まってるぞ!」
 
 ―パシィィィン
 
 「ひぅぅぅぅぅぅんっ♥♥」
 
 その幸せをコンが享受しようとした瞬間、お叱りと共に平手が彼女のお尻を打ちました。その催促に自分の腰の動きが鈍っている事に気づいたコンは再び彼の方へと突き出すようにして腰を動かし始めるのです。ですが、その動きはさっきまでとは比べ物にならないほど鈍く、キレのないものでした。
 
 「(あぁぁっ♪れもぉ…♥これしゅごいのぉっ♪しゅごくてビリビリしてぇぇっ♪♪お尻動かなくなっちゃいそぉれすぅっ♥♥)」
 
 ただでさえ、激しい腰の動きに加えて彼が罵る度に被虐感が全身を駆け抜け絶頂へと至りそうになるのです。急速に被虐性癖を目覚めさせる今のコンにとって、それは小さな身体では収まりきらなくなってしまうほどの悦楽でした。成長し、大人となった魔物娘になればまた違うのでしょうが、まだまだその入口になったばかりの少女にとって、張り詰めるように力を込めた腕や足はもう限界だったのです。
 
 「(ゴンゴンってしきぅ叩かれる度に蕩けそぉ…っ♥倒れて犯されるだけのメスになっちゃいそぉなんですぅっ♪)」
 
 しかし、彼女はそれを善とする訳にはいきませんでした。何だかんだ言って主導権は兵十が握っていますが、欲望へと彼を欲望へと引きずり込んだのは他でもないコンの方なのですから。彼を誘惑した以上、今の自分に与える事の出来る最大の快楽を彼に味わって欲しい。その一念で彼女は崩れ落ちそうになる身体を何とか支え続けていたのです。
 
 「ぬぉ…ぐ…」
 
 そんなコンの健気さに気づく余裕は今の兵十にはありません。元々、彼は今すぐに絶頂に至ってもおかしくない状態なのです。さっきの叱りの言葉だって、本来は言う必要などありません。彼女が腰を動かすまでもなく、彼は既に臨界を迎えていたのですから。
 それでもあぁやってコンに指摘をしたのはそれを彼女が悦んでくれると思ったからです。彼女が被虐的な性癖を身に着けつつあるのはこうして肉棒で接している彼にも良く分かるのでした。こうして欲望に負けて犯している以上、出来るだけコンには気持ち良くなって貰いたい。奇しくも、それはコンとまったく同じ気持ちであったのです。
 
 「(だけど…!)」
 
 しかし、そろそろ兵十も限界でした。魔物娘の魔力の影響で急速に増産されている精液が精嚢の中で煮えたぎり始めたのです。まるで目の前のメスを孕ませる為の勢いを溜め込んでいるようなその熱に彼自身が焼けてしまいそうなほどでした。そう遠くない内に自分は絶頂してしまう。それを自覚する兵十は最後の力を振り絞って思いっきり男根を突き入れるのでした。
 
 「ふにゃああぁぁぁんっ♥♥」
 
 弓を引き絞るように背筋を酷使する力強い抽送。それは一歩間違えれば男根が抜けてしまいかねないほどの大きなものでした。しかし、コンの媚肉は抜ける事を許すまいとするようにキュっと締まり、肉棒へと吸い付いてくるのです。愛液と先走り、そして精液でドロドロになった淫肉が剥き出しの粘膜に吸い付いてくるその快楽はそのまま精嚢へと降ていくのでした。そして、解放の時を待ち続ける精液に熱を込め、また一つ絶頂へと進ませるのです。
 
 「(ひぅぅぅっ♥来てるぅっ♪オチンポゴンゴンって子宮叩いへぇっ♥大きくなってりゅのぉっ♪♪)」
 
 その肉棒が少しずつその身を膨れ上がらせていくのが彼女には良く分かりました。それと同時にコンの胸が強い悦びと喜びを覚えるのです。以前も感じた事のある限界一杯の硬さと熱。それは射精前のものであると彼女の本能が訴えてくるのですから。
 
 「(出りゅんですねっ♥白くて美味しい精液いぃっぱいしゃせぇしてくれるんでしゅねぇっ♥♥)」
 「うぅぅ…おぉぉぉ!」
 
 媚を浮かべたその言葉がコンの脳裏を過ぎった瞬間、兵十の口から呻き声が漏れ出ました。それは自らの精嚢に溜まった精液が精管へと押し上げられるのを感じたが故のものです。それと呼応するように同時に彼の背筋には快楽が通り抜け、腰に甘い痺れが溜まり始めるのでした。ともすれば腰が動きを止めそうになるその痺れを振り切るように彼は最後の一刺しを突き入れます。
 
 「ひあああああぁぁぁぁぁぁぁっ♪♪♪」
 
 射精前の怒張がじゅるじゅると音を立てて膣内を滑り、子宮口へと飛び込んでくる。その悦楽にコンが甘い叫び声をあげた瞬間、亀頭から思いっきり精液が飛び出ました。解放の時をずっとずっと待ち望んでいたその白濁液は最奥の子宮口を叩き、彼女の子宮へと注がれていくのです。
 
 「わぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんっっ♥♥♥」
 
 その途方もない悦びにコンは悦びの遠吠えをあげてしまいました。勿論、彼女は先程も兵十の精液を受け取っています。しかし、今、彼女が感じているのはそれよりももっと濃厚で熱い味でした。魔物娘の淫らな身体の中でも特に敏感で貪欲な子宮に愛しいオスの精液が注ぎ込まれているからでしょう。より鮮烈で激しく感じる射精に彼女の意識はぼやけ始めるのでした。
 
 「(ふにゃあぁ…♪わらひ…身体…くじゅれてぇ…♥しきぅだけになっちゃいまふぅ…っ♥♥)」
 
 悦楽に満ちた身体の線が薄れ、ドロドロと溶けだしてしまう。自分の身体が今、どんな姿勢なのかさえ分からない状態は通常であれば恐怖を感じるものでしょう。しかし、そんな彼女の中で唯一、ハッキリしている部分があるのです。今も尚、熱い白濁液を注がれている子宮の蠢きとそこから伝わってくる蕩楽。まるでそこだけが自分の身体であるような錯覚に襲われるコンは美味しい精液をもっと飲みたいと子宮口を亀頭へ吸い付かせるのです。
 
 「ぉぉぉぉぉぉ…っ!」
 
 子宮の奥へと叩き込んだ亀頭から射精する。初めて味わうオス独特の征服感は兵十に芽生えた嗜虐性を満足させるものでした。目の前の可愛らしくも生意気なメスを心底自分のものにしたという達成感すら混じった射精は素晴らしい心地良さです。
 ですが、そんな彼の上位性が唐突に吸い付いてきた子宮口によって揺らぎ始めました。これまでずっと精液が貰えなかった子宮はコン自身が自覚出来なかったほどに飢えていたのです。一滴残らず精液を貪ろうとするかのような激しい吸い付きに征服したのではなく、絞り出されたようにさえ感じるのでした。
 
 「はふぅぅぅっ♥♥うぁ…ぁぁぁんっ♪♪♪」
 
 そんな兵十に気づく事もなく、彼女の膣肉は奥へ奥へと精液を絞りだすように動き続けます。精管に残った微かな精液すら吸い上げようとする貪欲な膣肉の蠢きに兵十はようやく相手が幼いながらも人外の存在である事に気づきました。どれだけ被虐的な性癖を持っていたとしても貪られているのは、支配されているのは自分の方でしかない。それを理解した瞬間、彼の身体から精液がなくなり、力尽きるようにコンの身体へと倒れ伏してしまうのでした。
 
 「あぁぁ…んっ♥♥♥」
 
 力尽きるように自分の上へと覆いかぶさってくる兵十。それすらも今のコンにとっては心地良い感覚でした。文字通り身体を蕩けさせた蕩楽に包まれる彼女には重いを感じる余裕はありません。例え感じられた所でコンはきっとその重さを愛しいものだと受け取った事でしょう。だって、それは自分を征服してくれたオスの、愛しい兵十の重さなのですから。
 
 「(んあぁ…♪しきぅで…まだタポタポいってるぅ…♥♥)」
 
 とは言え、さしあたって今の彼女に重要なのは子宮に注がれた精液の事でした。抜かずに三度射精したとは思えない濃度と量にコンの意識がうっとりとしてしまいます。流石に膣肉で暴発した時に比べると薄く、量も少ないですが、膣肉とは違って精液の味と匂いは何処にもいきません。子を孕み、絶頂の源となる子宮で何時までも濃厚な甘さと匂いを感じ、陶酔に浸る事が出来るのです。
 
 「(幸しぇ……♥)」
 
 さっきコンは兵十に犯されている時に自らが幸せであると感じました。しかし、今の彼女の身体にはそれと比べ物にならないほどの多幸感が満ちていたのです。まるでこの世の全てが自分にとって素晴らしいものであるかのような錯覚に満ちた身体から幸せの涙がこぼれ落ちるのでした。
 
 「わんんん……♥」
 
 既に幾筋も涙が零れたコンの顔はもう人前には見せられないほどぐちゃぐちゃでした。半開きになった唇からはヨダレがこぼれ落ち、快楽に緩む目は胡乱です。興奮と快楽で熱くなった肌には汗が浮かび、コンの顔を一層、濡らしていました。しかし、そこには見るも無残なほどに崩れているが倒錯した美しさと淫靡さが同居していたのです。人間であれば大人の女であったとしても浮かべられるか定かではないメスの表情は完全にコンが魔物娘として目覚めた事を意味していました。
 
 「う……」
 
 そんな彼女に身体を預ける兵十は強い焦りを覚えていました。三度の射精によって幾分、冷静になった彼は自分がしでかしてしまった事の重大さに気づいたのです。幾ら相手から誘われたとしても今まで自分のしてきた所業は言い訳出来るものではありません。殺されても文句の言えないようなものばかりだったのですから。
 
 「(と、とりあえず…この子からどいてあげないと…)」
 
 そう兵十が判断して腕に力を込めますが、未だに彼女の中で膨れ上がったままの肉棒が障害となって立ち塞がりました。コンから離れようとすればするほど、それを防ごうとするようにじゅるじゅると吸い上げる膣肉とカリ首が擦れるのです。ただでさえ、射精したばかりで敏感になっている肉棒をそんな風に擦られたら力が抜けそうになってもおかしくはないでしょう。
 
 「ぬ…ぐぐ…!」
 「あぁんっ♥♥」
 
 それでも何とか持ちうる全ての力を込めて、兵十はコンから肉棒を引き抜きました。瞬間、自由になった身体を支えるものがなくなり、後ろへと倒れこんでしまいます。布団とは違い、固く冷たい床の感触をむき出しになった肌で受け止めるのは少しばかり不快でした。しかし、コンから離れる為に全力を注ぎ込んだ今の兵十には指一本動かす体力も気力も残っていなかったのです。
 
 「ん…?」
 
 そんな兵十の視界に茶色の何かが映り込みました。ふと気になってそちらに目を向ければ、そこには刺の生えた殻から向かれた栗が幾つも置かれています。その脇には土が着いたままの松茸が並び、いい匂いを放っていました。
 
 「(まさか…!?)」
 
 快楽の余韻で思考が鈍った兵十でもそれが何を意味しているのかはすぐに理解できました。しかし、それを認めるのには少しばかり時間が必要だったのです。それも当然でしょう。だって、それが意味する所は彼は毎日、食べ物を差し入れしてくれていた健気な少女を強姦同然に犯したという事なのですから。誘惑されたとは言え、そう簡単に認められる訳がありません。
 
 「コン…お前だったのか。何時も栗をくれたのは…」
 
 それでも現実に向きあおう兵十は上体をゆっくりと起こし、震えるような声を紡ぎました。それにコンはぐったりとしたままそっと頷きます。それを形の良いつるんとした可愛らしいお尻越しに見た兵十は卒倒するように頭を落としました。白い精液が膣穴からまだ細く出ていました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 数年後、兵十の家は立派なものへと変わっていました。吉兵衛の屋敷には負けるとは言え、壁も障子も立派な新品で以前のように穴が空いていたりはしません。仕事道具も立派なものへと変わり、畑を耕す手間も大分、楽になりました。最近では畑の拡大に乗り出し、それなりに安定した耕作を行う事が出来るのです。
 
 「(それもこれも…)」
 
 継ぎ接ぎ一つない立派な作業着を着た兵十がそっと視線を脇へと向ければ、そこには目を見張るような美女が座っていました。流れるような金色の髪を伸ばすその美女はその視線に応えるようにそっと微笑みます。白磁のような肌に美という要素を彫り込んだようなその顔に母性溢れる笑みを向けられるのは数年経った今でも慣れません。ついつい頬を赤く染めて、ぼ〜っとだらしなく見つめてしまうのです。
 
 「もう…何ですか?いきなり人の顔を見て」
 「あ、あぁ…いや、悪い」
 
 そんな兵十に小首を傾げるだけで美女の胸がぷるんと小さく揺れました。もう片手では掴み切る事の出来ないその胸に彼は思わず生唾を飲み込んでしまいたくなります。まして薄い紅色に染まった和装の奥にきゅっとしまったくびれやふっくらとした掴み心地の良いお尻が秘められている事を知っているのですから尚更でした。
 
 「ふふ…♪変な兵十様ですね」
 「う…」
 
 クスリとまた一つ微笑むその姿は淑女という言葉に相応しいものでした。物腰一つとっても柔らかく、言葉遣いもとても丁寧なものなのですから。実際、彼女を城へと召抱えようとした者もいたのです。しかし、彼女はその全てをやんわりと断り、こうして彼の傍に居続けたのでした。
 
 「私は兵十様のものなんですから…そんな風に謝らずとも幾らでも見て構いませんよ?」
 
 そう紡ぐ彼女――コンの姿に兵十の胸がまた一つ高鳴りました。コンが自分のモノになって早数年。その間、彼女の成長を間近で見続けてきた彼でありますが、未だにそう言われるのは慣れません。まるで類まれな幸運で分不相応な宝物を手に入れてしまったような気がするのです。
 
 「(実際…この子はとても働き者だ)」
 
 あの日――色々あって兵十がコンを犯してしまったその日から彼女はこの家に住み込むようになりました。それまでの悪戯っ子な部分をまるで感じさせず、献身的に兵十を立て続けてくれたのです。料理洗濯掃除に裁縫、どの分野でも一流の能力を発揮するコンの助力のお陰で兵十はこうして貧乏暮らしを脱却できたのでした。
 
 「(本当、俺には勿体無いくらいの娘っ子だな)」
 
 兵十がそう思うのは一度や二度ではありません。こうして彼女と住む事になったキッカケがキッカケだっただけに、この数年間、何度もそう思ってきたのです。自分と結ばれなければ、もっと楽に、そして美味しいものを食べられる暮らしがあっただろうに。そんな風に自分を責めたのも数えきれないほどでした。
 
 「(でも…俺はもうコンがいないと駄目だ)」
 
 それでも兵十はもうコンを手放す事は考えられませんでした。公私共に自分を助け続けてくれた彼女を彼はもう不可欠なほどに愛してしまっているのです。この数年という時間の中で様々な意味で骨抜きにされた兵十にとって、コンはもう人生の全てと言い切っても良いほどに大きな存在になっていました。
 
 「(ふふ…♪きっとまたもしもの事を考えてらっしゃるのでしょうね)」
 
 そんな兵十の考えをコンは全て見通していました。こうして彼の傍に住み込ませて貰えるようになってから数年が経ち、兵十も百姓の仲間入りが出来ましたが、分かりやすいのはまったく変わりません。その表情から彼の想いを読み取るなどずっと兵十を見てきた彼女には朝飯前なのです。
 
 「(まったく…私がこうなれたのは他でもない兵十様のお陰なのに…)」
 
 悪戯ばっかりしていた少女がそれと真逆の淑女へと変われたのは兵十が皆に誇れる女になりたかったからに他なりません。小さな村社会の中では嫁の評価はそのまま旦那の評価にも直結するのですから。彼女が少しでも隣人たちに良く思われる良妻であろうとし続けているのは全て兵十の為なのです。
 
 「(それを…何度も申し上げているのに…もう…)」
 
 しかし、それを何度、伝えても兵十は納得してはくれません。彼女が美しくなったのも淑女であり続けているのも、全て彼の為だけであり、言い寄ってくる有象無象にちやほやされる為ではないと言うのに、未だにあの日の事を責めているのです。それがコンが兵十に抱く唯一の不満点でした。
 
 「(まぁ…それだけ私の事を愛して下さっているんでしょうけれど…♪)」
 
 勿論、ここまで来るのに様々な障害がありました。土下座して謝罪を繰り返す彼に同居を認めさせるのも一苦労でしたし、その後に再び同衾出来るようになるまでにも一悶着あったのです。再び彼から手を出してくれるようになるにもとても時間が掛かりましたし、村で評判だった悪戯狐と同居し始めた兵十に対する陰口もあったのでした。特に大きかったのは美しく成長したコンが城に召抱えられそうになった時で、村中を巻き込んだ大騒動にまで発展したのです。
 
 「(それでも…この方は私を抱きとめて下さっている…♥)」
 
 それほどの騒動を乗り越えて今、この愛しいオスを愛されている。その実感にコンの背筋がブルリと震え、和装の内側でピンと乳首が立ち上がり始めました。好色さの象徴である尻尾が既に四つとなっている今の彼女は年中、発情期も同様です。気を抜けばすぐさま兵十の肉棒で子宮を虐め尽くして欲しくなるのでした。
 
 「ねぇ…兵十様ぁ…♥」
 「う…」
 
 甘い媚びを浮かばせてそっと擦り寄ってくるコンに兵十は小さな呻き声をあげました。ここ数年でオスの魔物と化した彼にはその身体から立ち上る魔力がはっきりと見えるのです。目の前の美しくも貪欲な美女はまた発情している。逃すまいとしているように扇状に広がる尻尾もそれを示していました。
 
 「シたくありませんか…?」
 「だ、ダメだ。まだ朝なんだぞ」
 
 そう。今は朝餉の席なのです。兵十はコンが作った美味しい朝餉を平らげたら畑仕事へと向かわなければいけません。多少、生活が楽になったとは言え、仕事もしないで日々を過ごせるほどではないのです。彼女に過不足無く食べさせてやる為にも仕事をサボる訳にはいきません。
 
 「でも…兵十様のココはそうは言っておりませんわ…♥」
 「ぬぅ…」
 
 そう言って股間をゆっくりと撫でるコンが兵十の耳を擽ります。甘いその囁きに応えるように彼の肉棒はむくむくと硬くなり、褌を押し上げていました。オスの魔物になってから一段と大きくなった魔羅はそのまま褌を突き破ってしまいそうなほどです。興奮の中に微かな痛みが混ざったその不快感に兵十は今すぐ褌を脱ぎ去りたくなるのでした。
 
 「そ、それでもダメだ。今日こそ仕事をしなければいけないんだからな」
 
 しかし、それでも兵十はその欲望に負ける訳にはいきませんでした。実は昨日も一昨日もそうやって彼は欲望に敗北し、コンを襲ってしまっているのです。何故か彼の畑には人の手がなくても勝手に不思議な果実が成ると言っても三日も放っておく訳にはいきません。これから子どもが出来た時の為にも出来るだけ貯蓄は作って置かなければいけないのですから。
 
 「そうですか…では仕方ありませんわね…♥」
 「あ、あぁ。その代わり、ちゃんと夜には構って…んんっ!!」
 
 その言葉の途中にコンの唇が兵十へと押し付けられました。そのまま彼の唇を分け入って入ってくるぬるぬるとした舌が彼女の甘い唾液を彼の粘膜へと塗りたくるのです。まるで甘露を煮詰めたような甘く、そして蕩けるような唾液に彼は我慢出来ません。ついつい自分から舌を動かし、深い口付けをしてしまうのです。
 
 「んふ…ぅ♪くちゅ…♥」
 
 それに悦びの声をあげながら、コンはゆっくりと自分の和装とそして兵十の服に手を掛けました。白魚のような細く美しい指を器用に動かすのと同時に舌をねっとりと絡み合わせるのです。まるでどちらも別人が行なっているかのように器用に動くその身体にあっという間に兵十は裸にさせられてしまうのでした。
 
 「ふふ…♪私…悪い子ですわね…♥仕事に行く夫をこんな風に引き止めてしまうなんて…♥」
 「コン…」
 「ですから…私に…淫らな駄狐の私に…兵十様の肉棒でたっぷりお仕置き…して下さいませ…♥」
 
 媚を浮かべながら悪いと自白するその表情にはお仕置きを楽しみにする淫らなものが浮かんでいます。被虐的な快楽を教えこまれたあの日からコンは悪戯をする事がなくなりました。しかし、その代わり、こんな風に抗いきれない誘惑をしてくる事が増えたのです。ある意味では悪戯よりも遥かに質の悪いそれに兵十は抗う事が出来ません。目尻を下げ、蕩けたその顔を見るだけで、征服された悦びで埋め尽くしたくなるのですから。
 
 「このぉ!」
 「きゃぁんっ♥♥」
 
 その衝動に抗えない兵十は勢い良くコンを押し倒しました。狙い通り欲望に負けた愛しいオスに嬌声とも悲鳴とも言い辛い声をあげながら、彼女は兵十に足を絡ませます。歓迎するように、そして逃がさないように自分を捕まえるそれを感じながら、兵十は強引に唇をコンへと押し付けました。そのまま、まるでさっきのお返しだと言わんばかりのその口を貪り……――
 
 ―そしてこの日もまた兵十はコンへの『お仕置き』に一日を費やし、畑仕事に出る事が出来ないのでした。
 
 
12/08/13 12:52更新 / デュラハンの婿

■作者メッセージ
妖狐さんがエロ可愛すぎて生きるのが辛い^q^

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