読切小説
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広げてみよう!―おしり開発あれこれ
一・序文

 条件反射はアナルを開拓することにおいて重要な要素だ。
 というのも、生殖器官である膣と排泄器官である尻穴では役割が違い、当然ながら快楽信号を送る神経も種別が違う。膣に挿入する際に比べ、アナルに挿入された者は異物感を強く感じるという。腸壁が傷つけば命にも関わりかねないために、本能の部分が警鐘を鳴らして恐怖を感じることもあるという。
 しかし、アナルはちゃんと性器になるポテンシャルを秘めている。排泄感による快楽はもちろんのこと、子宮を膣の外から押すこともできる上、じっくり付き合っていけば膣と変わりない快楽になる。
 ここで先程述べた条件反射が出てくる。アナルでのピストンはそのままでは全然気持ち良くない。だが、開発段階でアナルを弄る最中にその個人の性感帯(クリトリスやGスポットなど)を同時に弄ってやることで、最終的にはどちらかを弄ればもう片方も疼く状態になる。また、開発相手がアナル調教への忌避感を覚えることを回避する狙いもある。アナルを弄られる嫌悪感を快楽で上塗りしてやれば、事はスムーズに行きやすい。
 前知識として、開発相手には「挿入する際には排泄時のようにいきむこと」、「引き抜く際には脱力すること」をお願いすべきだ。前者を伝える意図は、脱力するよりもいきむほうが肛門内に侵入しやすいため。後者はその逆で、双方に快楽を伝えやすいためだ。ただ、後者に関しては括約筋を締めてもいい。慣れない場合は脱力しようとしてもできないので、まずはアナルセックスに慣れることが肝要。

 この解説での最終目的は「アナルセックスでふたりとも気持ちよくなる」ことであり、副次目標として「膣よりも気持ちいいと思わせる」ことも目指したい。

 初めに、大まかな流れを記述しておく。
 初期段階では肛門に挿入することすらおぼつかないため、まずは指で徐々に広げていく。これは一日二日で出来るものではなく、二日や三日ごとに少しずつ広げていかなければいけない。最低一日間を置くのは、肛門括約筋の超回復を待つ必要があるため。根気よくほぐしていけば二ヶ月ほどでペニスを飲み込むことができるようになる。
 また、最初から最後まで、アナルを開発している最中はアナル以外の性感帯を片手間に弄ることを肝に銘じておくべきである。上記した通り、やる場合とやらない場合で開発難度が大きく変わってくる。「気持ちよくなりながら新しい性感帯も開発できるなんてお得!」と思わせることが大事。
 第二段階では、アナルでの性行為に慣れることを目標とする。肛門がペニスを飲み込めるほど広がっても、個人差はあれどペニスの大きさは開発相手の恐怖を喚起しやすい。亀頭さえ入ってしまえばあとはどう気持ちよくなるかの段階に入れるが、アナルの道は一日にしてならず。決して焦ってはいけない。
 浅い部分でペニスを慣らしていき、ゆっくりと慣らす範囲を広げていく。ペニスをまるごと飲み込むか、S字結腸までの範囲をペニスで満たしても違和感を感じなくなってからが本番と心がけたい。
 そして第三段階。ここまででおよそ三ヶ月足らずかそれ以上の時間をかけることをオススメする。一歩間違えば大惨事どころか夫婦仲にアナルよりも深い溝ができるため、慎重に慎重を重ねてほしい。そして、開発相手の下水道トラブルには真摯に向き合ってほしい。二人で気持よくアナルセックスするためには、下積みが不可欠である。
 アナル自体での快楽を感じさせる第三段階では、細かいテクニックを交えて開発相手にアナルは気持ちいいということを教えていく。アナルの快楽については上記した通り、排泄感による快楽、子宮を押し上げることでの快楽、条件反射での快楽がある。ここまでのステップのついでに他の性感帯で同時に快楽を伝えてやることができていれば、三番目は問題ないだろう。一番目と二番目の詳細を記述する。
 排泄感による快楽は、排泄行為という肉体のサイクルを利用したもの。排泄を嫌がってしまえば肉体に老廃物が溜まり悪影響を及ぼすため、排泄欲求には痛みを発生させ(腹痛)、排泄行為自体には快楽が発生するように人体は作られている。
 アナルセックスではペニスを排泄物に見立て、挿入はゆっくりと行い、引き抜く際には一息に行うという変則的なピストン方法がある。腸を押し退けるペニスが腸を擦りながら引き抜かれる際の快楽は、経験者から話を伺う限りでは「背骨がぞくぞくする気持ち良さ」とのこと。最初はゆっくりと挿入しながら一気に引き抜くを繰り返し、開発相手が昂ってきたらピストン自体のペースを上げていくといい。
 子宮を押し上げることでの快楽は、膣のほうのセックスでポルチオが気持ちいい開発相手の時にオススメしたいもの。逆に言えば、ポルチオがそれほど気持ちよくないとのことであればおすすめは出来ない。前述した排泄感快楽が万人向けだが、こちらは初めから相手が気持ちいいものを利用するため、開発相手が昂るのが早いというアドバンテージがある。
 正常位、対面座位でのアナルセックスによって、ペニスの攻勢で子宮を押すことができる。だが、乱暴に行ってはいけない。アナルは労りと慈しみを持って接しなければいけない。潤滑剤はたっぷりと施しておき、気持ち的には腰を上に浮かすようにしながらペニスを沈めていくと子宮を感じることができるだろう。一度子宮の位置を見つけてしまえば、あとはそこを重点的に攻めるように腰を使う。これだけで十分だろう。

 以上の三段階をクリアすれば、すっかり出来上がったアナルが完成するはずだ。
 アナルの道は一日にしてならず。指一本から始めるアナル開発は、労力の分だけ快楽を生み出してくれるだろう。




二・実践

 ここまで読んでいただき感謝したい。アナルへの興味は十分に出来たと思う。
 ここからは砂漠の遺跡から拉致してきたマミーさんに協力を願い、アナル開発の途上経過日記として筆記する。皆さんのこれからアナル開発生活に役立ててもらいたい。
 毎日しっかり日記として経過観察を書き留めたが、その中でも重要である部分を抜粋した。今日は指何本入ったとか惚気とかぐだぐだ続けられても読者諸兄は困ると思った次第。
 皆さんのアナル道に幸運多からんことを。


・一日目

「おし、り……? おまんこ、やなの……?」
 アナルを開発する旨を告げる場合、基本的にこういった反応を受ける事が多い。ちなみに、マミーさんは飢えによる忘我状態だったため、ひとまずしゃぶって話せる状態になってもらった。気持ちよかった。
 ファーストインプレッションではアナルによる快楽の良さと自身がアナルセックスを行いたい熱意を相手に伝える。一度相手のお願いを聞いている状態なら、このステップはクリアしやすいはずだ。
「んんー……きもちい、なら……いい」
 こうして許可を頂けたので、四つん這いでこちらに尻を突き出す姿勢を取ってもらう。注意点として、相手がマミーなどのアンデッドでない場合、浣腸などでの洗浄をすべきである。腸内洗浄についてのコラムは巷にあふれているため、ここでは解説しない。各自で調べていただきたい。
 マミーさんの尻の包帯を解き、褐色の肌の奥にある綺麗な尻のすぼまりを視認する。このマミーさんは推定年齢21歳ほどだろうか、乳の形も良いと思ったが尻たぶの張りや重量感のバランスがとてもいい。だが、包帯越しに触っていては第一段階を達成できない。下半身の包帯をすべて解き、まるごと露出させる。
「え、えっ……? あ、やっ、ひぃあぁ」
 下半身が外気に触れたことで困惑し、次いで尻肉を直接揉みしだかれたことによって甘い声が漏れる。マミーというアンデッドの種族に特有の、非常に敏感な肌のためだ。ただ腹部を撫でまわすだけで達し、胸を直接掴まれただけで声を上げてしなだれかかってくるほど。アナルの調教という点において、非常にやりやすいのがマミーさんだ。
 上体を力なく伏せ、がくがくと両膝を打ち合わせて内股になっても、尻をただ撫で回す。膣からはどろどろと粘液が垂れている。が、目的はそれではない。
「や、やぁぁ、あはぁ……なで、なでるの、やめぇ……♥」
 息も絶え絶えに、マミーさんは抗議してくる。上々のようだ。ここで指先をローションでぬるぬるに湿らせ、肛門の菊をぐりぐりと円を描くように撫でまわす。
「ふ、あ、なにっ……なに、これっ」
 先ほどとはまた別種の快感に、再度困惑するマミーさん。黒い髪を揺らし、琥珀の瞳でこちらに期待の視線を投げてくる。膣への挿入を期待する視線だ。が、目的はアナルだ。慈悲はない。
 十分にアナルがローションによってぬめるようになったところで、まず人差し指を一本、少しずつ沈めていく。性交の前に爪を切らない男はいないと思うので、爪に関する注意喚起はしない。爪を立てて挿入するのではなく、指の腹から挿入するイメージだ。
「ひっ!?」
 怯えたような声を上げるマミーさん。彼女が求めるのは前の穴であり、彼女の常識では後ろの穴はそのような目的には使われない。だが、世の中の変態は常にありとあらゆる穴に挿入しようと考えているのだ。
 そのまま指を沈めていき、ひとまず第二関節までがアナルに飲み込まれた。マミーさんは口をぱくぱくさせ、なんと言ったら良いのかわからない風情である。ここで一旦落ち着いてもらうために、空いている左手で尻を撫でる。
「んっ、んふぅー……おしり、おしりって……そういうことなの?」
 むしろどういうことだと思ったのだろうか。尻を撫でることを再開したお陰でマミーさんは恍惚そうに鼻息を大きくし、ぴくぴくと菊座が締め付けてくる。アナルはただの穴ではなく、筋肉の一つなのだ。
 撫でるのはそのままに、アナルに挿入したままの指を上下左右に引っ張るように動かす。指を挿入しただけでは、アナルは広がらない。カーテンを広げる優しさを指先に込める。アナルは筋肉のカーテン。底なしの快楽の肉壷だ。
「んんふー、ね……入れて……」
 尻穴に指を突っ込んだまま、通常の性交に望むのも選択肢の一つとして有効。特に魔物娘相手であれば、効果は大きい。

 初日の活動としては指を挿入するだけで満点である。千里の道を歩くには、一歩から始めねばならない。相手がマミーさんということもあり、筋肉は弛緩気味だ。通常の工程の二ヶ月のところを、今回の記録では二週間ほどまで縮められた。人差し指から小指までが第二関節までアナルに入るようになれば、第一段階は終了となる。


・三十日目

「え……おしり、いれるの……?」
 どうやら自分はアナルに指を入れながら犯すのが好きな変態だと認識されたようで、間違ってはいないが正解でもないと釘を刺しておいた(指をアナルに差しながら)。
 十分にほぐれていることを確認し、いよいよ挿入となる。彼女はポルチオではなくGスポット快楽に弱いみたいなので、今回は排泄感と条件反射で攻めていくこととする。
 四つん這いにさせ、ローションと愛液がだらだらと垂れるマミーさんの股間に亀頭の先を当てる。期待して菊をきゅうきゅうと一定の収縮を繰り返す様を見るのがとても愛おしい。アナル開発を施す同業者と話す機会があると、決まってこの話題で盛り上がる。この仕草が出てくればもうアナルは折り返し地点だ、と全会一致だった。
「はぁー……はぁー……」
 マミーさんは荒い呼吸を続けながらこちらを期待する目で見つめてくる。尻を撫でられるだけで肛門が疼くと彼女の口から証言を得ているため、今回は非常に楽な仕事だと再認識した。魔物娘最高。
 腸を傷つけないように、ローションで濡れたアナルにゆっくりと亀頭を沈めていく。質にもよるが、滑りやすいローションであればそこまでじっくりしなくてもよいだろう。ただ、ローションをケチらず潤沢に使わなければ、逆にこちらのペニスが気持ちよくなれないので注意してほしい。
「ん、うく……ん、んーっ……すー、はーっ♥」
 無事にペニスを根本まで挿入し、マミーさんの様子を見る。口を半開きにさせ、深呼吸をしている。挿入中もずっと尻を撫でていたため、異物感は薄そうだ。ここの工程も短縮できそうで何より。
 マミーさんが深呼吸を繰り返して徐々に落ち着きを取り戻してきた辺りで、容赦なく前触れ無く一気にペニスをずるっと引き抜く。
「ふ、うああああっ?!♥♥」
 強い力で括約筋が締まり、ローションの滑りも合わせてこちらのペニスに強い快楽が与えられる。カリ首がひっかかり肛門内に留まり、ピストンもできない。マミーさんはというと、肩を震わせて目を伏せている。尻たぶが跳ね、括約筋が小刻みに強い締め付けを繰り返す。絶頂したのだ。こうなればもうアナルの味を占めたもので、次に繋げやすくなる。
「すー、ふーっ……すぅー、ふぅーっ……」
 絶頂の余韻を脱したのか、深呼吸を始める。括約筋の締まりも先ほどよりも弱くなったのでピストンが再開できる。マミーさんのアナルはかなり具合がよく、そろそろ一発出しておきたい。再度、ゆっくりと腰を沈めていき、一息に引き抜く。
「く、うー……ん、ひあはぁっ♥♥」
 一度盛大にイッたことで余裕ができたのか、今度の引き抜きでは嬌声を上げるのみ。余裕があるということはいいことだ。アナルに順応している証拠である。なので、ピストンを少し早めてみることにした。ゆっくりと奥に入れるのではなく、膣と同じ要領で行ってみる。
「んっ、ふぁあっ♥♥ やっ、だめぇえっ♥♥ はやっ、はやいよぉっ♥♥♥」
 マミーさん自身も、一日目と比べて反応に人間味が増してきた。肌ツヤもよく、潤いがある。腰を打ち付けるたび、彼女の尻の肉がぶるんと跳ねる。一日目と同じように撫でてみると、肌にすいついてくるような感触に思わずペニスが硬くなる。毎日毎日セックスしていれば、魔物娘の肌質は上がっていく。こちらにより一層精液を注いでもらうために、余剰魔力を皮膚上に循環させているのだ。
 彼女のアナルは素晴らしい。丹念に開発した甲斐もあり、程なくして彼女の腸内に精液を注ぎ込む。
「はぁっ♥ んっ、はああああ……♥♥ 出てるの、わかる……♥」
 彼女は自らの下腹部を包帯越しに触りながら、恍惚とした声でそう言った。
 余談だが、人間種のアナルの中で避妊具なしで直接精を注ぐと、翌日腹痛を引き起こす。それが魔物娘になるとどこでも精液を魔力に変換できるので、そういった点でもアナル開発向きといえるだろう。

 開発開始一ヶ月目にして、すでに折り返し地点を通過できた。どころか、もはやほとんどゴールに近いかもしれない。魔物娘のポテンシャルの高さには度々驚かされる。
 これからしばらくは肛門性交を重点的に行い、経過観察をしてみることとする。


・六十日目

 彼女はアナルセックスの虜となった。
 うつ伏せになって寝ているマミーさんのお尻の包帯をバレないようにそうっと取り除き、ローションを垂らす。だらしなくひくひく反応するアナルホールにローションが浸透していき、これで準備は万端だ。起こさないように気をつけながらペニスを肛門にあてがい、電撃よりも早く突きこむ。
「うあっ?♥♥ んぁ、えっ♥ なに、なにっ♥♥」
 ペニスをぶち込んだことによって、マミーさんが眠りから覚醒する。だが時すでに遅し、拒むことを忘れたアンデッドアナルは無血開城を果たしている。マミーさんの困惑も無視し、マミーさんに覆いかぶさった状態でひたすら腰を打ち付ける。
「あひっ♥ いきなり、ひいっ♥♥ いきなりなのに、身体が反応するのぉっ♥♥」
 二ヶ月に渡ってアナルを重点的に開発してきたのだ。マミーさんはもはや膣では満足できない体になっている。本来は子どもを作るための生殖行為であるはずのセックスが、今はただ双方が気持ち良くなるためだけの非生産的行為となっている。アンデッドは子どもを産めないとしても。
 うつ伏せのままのマミーさんは、アナルを支配されて抵抗することもできない。ただ自らの肛門を蹂躙してくるペニスを受け入れ、悦びの声を上げるのみ。そのくせ、こちらを喜ばせるためか、適度に括約筋を締め付けて快楽を送ってくる。……いや、これは魔物娘としての、男性を喜ばせるための本能的な行動なのかもしれない。
「きもちいいっ♥ きもちいいよおっ♥♥ おしりすごいっ♥♥ もっと、もっともっとっ♥♥♥」
 こちらが腰を打ちつけようとすればマミーさんは腰を浮かせ、こちらが引き抜こうとすればマミーさんはベッドに腰を付ける。三十日間みっちり行ったアナルセックスによって生まれた連帯感。その辺のおしどり夫婦にも負ける気がしない。マミーさんのアナル適性は最高峰だ。
 部屋に満ちるのは肉と肉のぶつかり合う音と互いの荒い息遣いと、愛おしさを持って互いの名前を呼び続ける声。
 アナルセックスを通して異種族の二人に芽生えた、太い心の綱。アナル開発のためだけのはずだったマミーさんは、もうそれだけの存在ではない。アナルの快楽を教えこむ立場が、マミーさんのアナルに夢中になっていた。次第にマミーさん自身のことに意識が向き始め、今ではこんな悪戯さえしてしまうようになった。ミイラ取りがミイラになったわけだ。
「すきっ♥ あなるも、あなたもっ♥♥ すきっ、すきっ、すきぃ♥♥」
 その言葉への答えは態度で示すことにした。顔を近づけて深いキスをしながら、腸内に子種をぶちまける。身体の下でマミーさんの腰が跳ねるのがわかる。アナルが小刻みに収縮しているのがわかる。二人同時に達したのだ。
 止めどなく精液を吐き出し続け、全身がびくびくと震えるほど絶頂しながらも、むさぼるようなキスは止めない。今この瞬間、アナルを通じて愛のメビウスの輪が形作られていた。
 ようやく射精が止まり、マミーさんにのしかかったまま二人して脱力する。顔と顔の距離が近いまま目が合い、マミーさんはとろけた表情でこちらへ微笑みかけ、
「けっこん、しよ」
 少し早い口づけを交わした。
15/07/08 02:58更新 / 鍵山白煙

■作者メッセージ
甘口タグをつけていいのか迷いました。

誤字脱字や、ここをこうしたほうがいいなどのアドバイスがあればお願いします。
導入が長い上に本番が短いって抗議はもう土下座するしかないので許してください。

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