連載小説
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EP.U Act.T「侵入」
???「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

誰かの叫び声で目覚める。

???「誰か!!!だれか!!!たすけて!!!助けてくれ!!!く、来るなぁ!!!」

アッシュ「フィラー!おい!」

フィラー「……クッソ…もう少し寝てたかったのにさ……!!」

遠征組員A「早く行け!!俺はコイツを起こしてから向かう!!」

フィラーと共に部屋を出て周囲を確認する。
……

???「このっ!!離れろ!放せ!!!」

アッシュ「こっちだ!!」

声のする方へ走る。

そして、叫びが聞こえた場所の辺りの廊下に3人程見える……内一人はこの警察署で避難生活をしている男性……と……二人の女性…?
男性が襲われている…!!

フィラー「急げ……!」

男性「離れろ……!放せ……!!」

彼は必死に抵抗している。走れ。

???「も〜、暴れないの♥大丈夫よ〜何も怖く無いわよ〜♥折角会いに来たんだから〜楽しみましょ〜?♥️ね?♥️」

マズい。
彼が喰われる。

男性「い、いやだ!!だれか!!!」

???「結構お喋りなのね…♥️……ちょっとお口を塞いじゃおっかなぁ♥️あ〜〜んっ♥️」

男性「んんんん…!!……んん……。」

化け物が男性にかぶり付いた。

フィラー「あぁっ…!てめぇぇぇぇ!!!!」

フィラーが叫ぶと同時に化け物はこちらに気付き、口を離す。

???「ぷはぁ…あ〜あ、見つかっちゃった♥️あとは宜しくね〜?」

???「はいはーい。どっちかから選ぶのかぁ〜♥️」

噛まれた男性はボーっとしている。

化け物の一体が素早い身のこなしで急接近し、自分達の目の前に立つ。

アッシュ「っ!!速い!!」

二人とも思わず立ち止まる。

???「やぁやぁどうも〜。………あ〜!君たち、昨日外に出てた子達かぁ〜!」

???「そっちは宜しくねぇ〜、こっちは旦那様と楽しんでくるわね!」

化け物が男性を抱えて近くの窓から飛び出ていく。

フィラー「あっ……待ちやが……クソっ!!」

???「さてさて〜、う〜〜〜ん……迷っちゃうなぁ……。」

悩んでいるような素振りをしている隙に、懐に飛び込みナイフを振り抜く。
が、避けられる。

???「おっとっとぉ!全く〜、危ないなぁ。そんなもの持ってたら危ないよぉー?……でもいきなりクるだなんて…大胆だねぇ〜♥️」

化け物は恍惚とした表情をしている。

???「……フフフ…♥️」

フィラー「アッシュ!!!離れろ!!!!」

アッシュ「っ!!」

後ろに下がったが、化け物はそれ以上のスピードで迫り、押し倒された。

アッシュ「うぐぁっ!!!」

フィラー「アッシュ!!」

アッシュ「っ…この野郎っ!!!」

???「暴れなくていいのに〜……♥️……えへへ……♥️キミに決〜めた♥️」

フィラー「離れろっ…!!!」

???「おっとぉ!!」

フィラーの攻撃を避ける為に化け物が自分から離れる。

フィラー「アッシュ!立てるよな!!」

アッシュ「大丈夫だ……!!」

すぐさま立ち上がり、体勢を戻す。

???「も〜、二人がかりだなんて卑怯だよ〜。それじゃあ楽しめないよぉ…。」

フィラー「楽しもうがなんだろうが襲ってくるなら倒す!!」

アッシュ「フィラー!奴の言葉に耳を貸すな……!」

???「耳を貸すなーって、無視されるのは悲しくなっちゃうなぁ……。」

アッシュ「フィラー、とにかく奴を倒す事だけ考えろ!!ただ速いだけで他の奴らと同じだ!!」

???「他の奴ら……?あぁ〜、先にこっちに来てたゾンビちゃん達の事かな?あの子達困ってるよ〜?中に入れないよーって。」

耳を貸すな。

グール「それと、私はゾンビじゃなくて、グールだからね!そこは、間違えないでね!」

もう一度懐に飛び込みナイフを振り抜く。

グール「うわっとぉ!!もーーー。話聞いてよぉーー。」

フィラー「アッシュ…。」

アッシュ「化け物と会話する必要は無いぞ!フィラー!」

グール「そんなぁ……酷いよぉ……。つい昨日に来たばっかりで休んでなくて、お腹空いてるのになぁ……。」

フィラー「結局は喰うのが目当て……なのか…?」

グール「うーん、"喰う"っていうよりも、"食べちゃいたい〜"って方が」

もう一度攻撃をする。

グール「おわぁっ!!まだ話してるのに!!……しょうがないなぁ…。えーと、多分、昨日外に出てた疲れがまだ残ってるのかな……?」

フィラー「お、おい。アッシュ……。」

化け物は近くの窓へ移動した。

グール「疲れてる所に無理させちゃうのはダメだもんねぇ…。私もちょっと疲れ気味だし、あの人に報告しないとだし…。……じゃあ、また今度くるね!!今度こそエッチしようね!アッシュくん!♥️」

化け物がウィンクをして窓から飛び出ていく。

アッシュ「クソったれが……。」

フィラー「……アッシュ。」

アッシュ「2階の窓はもうダメだ。全部塞ぐぞ。警部補に話を」

フィラー「落ち着けよアッシュ!」

フィラーに肩を掴まれる。

フィラー「確かにあいつは化け物だったかもしれない。……でも会話できてただろ…?なら敵対しない可能性もあっただろうが……!」

アッシュ「人が襲われてたのにか?」

フィラー「……。」

アッシュ「また1人やられたんだ。」

フィラー「それは分かってる……。けど……。」

アッシュ「これ以上被害が出ない為にも塞いでおくべきだろ……。」

フィラー「あいつは化け物達の情報を持ってた。……それだけは覚えておいてくれよ。」

アッシュ「奴のハッタリかも知れないことも肝に銘じておけよ。」

フィラー「アッシュ…。……。……無理はするなよ…。」

アッシュ「あぁ。」

ヴィスタ警部補が居るであろう一階へ向かう。

途中でヴィスタ警部補に会う。

ヴィスタ「大丈夫か!?」

アッシュ「自分達は。」

フィラー「まぁ、見てのとーりですよ。」

ヴィスタ「なら……さっきの叫び声は……?」

アッシュ「……ここにいた男性です…。」

フィラー「二階に侵入してきた化け物に……喰われて…連れ去られた。」

ヴィスタ警部補は片手で顔を抑える。

ヴィスタ「あぁ……。そうか………。」

ヴィスタが驚いた顔をした。

ヴィスタ「二階に化け物!?嘘だろ!?」

アッシュ「いや、本当です…。」

フィラー「それに、一階の外にいるゆっくりな奴らとは違って俊敏だった。……。ゆっくりな奴が"ゾンビ"で、あいつは"グール"って、言ってたっけな。」

ヴィスタ「会話したのか!?」

フィラー「アッシュは会話したがらなかったけど。」

アッシュ「自分達の言語だとは限らないからな……あくまでもそう聞こえてるだけで、奴らにとっての意味は全く違うかもしれないぞ。」

フィラー「普通に会話続いてた気がするけどな……。」

ヴィスタ「会話できるならどうにか捕まえて情報を聞き出すのも手だが………俊敏で二階に来れる……か。」

アッシュ「二階の窓も塞ぐべきでしょう。」

フィラー「被害者増やしたくないからね。」

ヴィスタ「…一階にまだ板があった筈だ。それで二階の窓も塞ぐ事にしよう。」

誰かが走ってくる音がする。

遠征組員A「アッシュ!フィラー!ヴィスタさん!」

遠征組員B「何があったんだちくしょう!!」

ヴィスタ「あぁ、どうやら化け物の新種が二階から侵入してきたそうだ……被害者は1人、喰われて連れ去られたそうだ…。アッシュとフィラーの証言では、俊敏でなおかつ言葉を発していたそうだ。」

アッシュ「二体に侵入されてました。……内一体は……」

フィラー「見逃してくれた。が正しいかな。」

ヴィスタ「だから早急に二階の窓を塞ぐ。いいだろうか?」

遠征組員A・B「了解。」

全員で一階の倉庫室へ向かう。

……前から思っていたが…この警察署……準備が良すぎないか?まるで前もってこうなることが分かっていた……いや、避難所として機能させるならこれぐらいは普通なのだろうか。

倉庫室に入り、板と工具諸々を持てるだけ持つ。

フィラー「これ以上は持てそうにないかも。」

アッシュ「同じく。」

遠征組員A「こっちもだ。」

遠征組員B「きつい!」

ヴィスタ「これぐらいあれば十分だろう!急ぐぞ!」

二階へ向かう。

既に第二陣が来ていない事を祈る。

叫び声が聞こえない辺り、まだ安心してもいいだろう。

二階に到着する。

ヴィスタ「アッシュとフィラーは向こう側から塞いでくれ。私達は逆方向から塞いでいく。」

アッシュ・フィラー「了解!」

急いで移動し塞ぎ始める。ふと窓から外の様子を見ると、明るくなってきたばっかりなのに、笑ってしまうぐらい化け物が沢山居る。その中にあの速い奴がいるのかと考えた。……それだけは御免だ。

ひたすらに窓を塞いでいく。

・・



アッシュ「板を使いきった!」

フィラー「こっちもだ!」

ヴィスタ警部補達の元へ走る。二階の窓は全て塞がっているように見える。

ヴィスタ警部補達少ない数の板を抱えている。全て塞いだと見ていいだろう。

ヴィスタ「あぁ、二人とも。……お疲れ様。」

アッシュ「はぁ……疲れた……。」

フィラー「朝っぱらからこれはキツイよ……。」

遠征組員A「こっちは今日が遠征だ。……厳しい戦いになりそうだけどな。」

ヴィスタ「今から行くのかどうか話していた。……本当に今から行くのか……?」

遠征組員A「情報は必要でしょう。」

遠征組員B「アッシュとフィラーにばっか良い顔させてられっか!」

ヴィスタ「私は止めたいのだが……無理だと思ったらすぐに戻ってくる事は約束してくれるか?」

遠征組員A・B「もちろん!」

二人が準備をしに移動していく。

ヴィスタ「大丈夫だろうか……?」

アッシュ「……自分達はどうする?フィラー。」

フィラー「……もう少し寝たいかな。 」

ヴィスタ「あぁそうだ、二人とも、……後で、でいいが、デアの作業を手伝ってくれないか?もちろん今から休みたいなら十分に休んで貰って構わない。」

アッシュ「分かりました。」

フィラー「先に休みたいぜ……。」

ヴィスタ「分かった。…少し休んでいてくれ。」

遠征組用の寝室へ向かい、自分の簡易ベッドに寝転がり、仮眠を取る。

フィラー「なぁ、アッシュ、奴が言ってた…"あの人"って……誰なんだろうな…?」

……。

フィラー「もう寝ちまったか…。早いな…。」

……なぜ……奴らは言語が一緒なんだ?……自分達を襲う理由は……?……考えても答えは出ないか…。

とにかく、自分達は……まだ生き延びるんだ。
19/05/03 19:23更新 / オニタケ
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■作者メッセージ
はい、EP2Act1でした、オニタケです。
EP2に入ったとはいえ書かれていることはほとんど変わらないと思います。

今回で主人公ことアッシュ君に誰かが軽く襲われる瞬間を目の当たりにさせました。あとグールって俊敏そうだから……ね?(リッカー的なイメージ)

にしても敵だと思っていた化け物が突然こちらと同じ言語で会話し始めたら誰でもビビると思います。
(GW中に上げれなかったらドリアードの下に埋められる所だった人)

■デア・イスパー(♂)
防衛組の男性。モーノスタ市警察の巡査。常にニンマリしているようなウザタイプ。割と細身。ヴィスタとは同期で、ヴィスタ共々警察署になる前の拠点施設の事を知っている。独身。

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